〈実施形態1〉
以下、本発明の実施形態1に係るプローブカードについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
[プローブカードの構成]
図1乃至図4を用いて、本発明の実施形態1に係るプローブカードの構成について詳細に説明する。実施形態1では、7行7列のマトリクス状に配置された検査用プローブについて説明するが、上記の行列数に限定するものではなく、本発明に係るプローブカードはより多くの行列数のマトリクス状検査用プローブに適用することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの概要を示す平面図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係るプローブカード10は、基板100と、基板100の第1面側(図1における基板100の紙面奥側)において第1間隔d1で配置された検査用プローブ(第1パッド)110と、基板100の第1面側とは反対の第2面側(図1における基板100の紙面手前側)において第1間隔d1よりも広い第2間隔d2で配置された第2パッド120と、第1パッド110と第2パッド120とを接続する貫通電極140と、基板100の第2面側において第2パッド120より基板100の外周に配置された第3パッド130と、基板100の第2面側に配置され、金属薄膜及び絶縁薄膜によって構成され、第2パッド120と第3パッド130とを接続する多層配線150とを有する。
ここで、第1間隔d1及び第2間隔d2は、複数の第1パッド110及び複数の第2パッド120がマトリクス状に等間隔で配置される場合の周期又はピッチに対応する。また、複数の第1パッド110がマトリクス状に配置されていない場合は、隣接する第1パッド110のうち最も近い第1パッド110の組み合わせにおいて、各々の第1パッド110の中心間の距離を第1間隔d1という。また、同様に、複数の第2パッド120がマトリクス状に配置されていない場合は、隣接する第2パッド120のうち最も近い第2パッド120の組み合わせにおいて、各々の第2パッド120の中心間の距離を第2間隔d2という。
図1の平面図は、基板100の第2面側から見た平面図であり、第2面側の表面に配置された第2パッド120は実線で描かれている。また、基板100の第1面側及び内部に配置されている第1パッド110及び貫通電極140は点線で描かれている。また、多層配線150のうち、第2面側から見て最上層に配置された第3配線152−1及び第4配線152−2は実線で描かれており、第3配線152−1及び第4配線152−2よりも下層(基板100に近い層)に配置された第1配線151−1及び第2配線151−2は点線で描かれている。なお、説明の便宜上、多層配線150は基板100の左端及び下端に配置された第3パッド130に接続されたものだけを図示したが、実際には、多層配線150は基板100の右端及び上端に配置された第3パッド130にも接続される。
図2Aは、本発明の実施形態1に係るプローブカードのA−B断面図である。図2Aに示す断面図は、基板100の第1面側101が紙面上方に、第2面側102が紙面下方になるように示されている。図2Aに示すように、基板100には第1面側101から第2面側102まで貫通する貫通孔141が設けられている。第1パッド110と第2パッド120とが平面視において同じ位置に配置されている場合、貫通孔141は基板100の第1面側101又は第2面側102の表面に対して垂直に設けられ、それ以外の場合は斜めに設けられている。
ここで、貫通孔の傾斜角度は、対応する第1パッド110及び第2パッド120の位置関係で決まる。上記のように、多層配線の層数を低減するためには、第2パッド120間の第2間隔d2を大きくすることが好ましい。一方で、貫通孔の傾斜角度が小さくなると、貫通孔内部への貫通電極の形成が難しくなる、貫通電極が長くなるため電気抵抗が大きくなるなどの不都合が生じる。実用的な貫通孔の傾斜角度を得るためには、第2間隔d2は第1間隔d1の1.5倍以上3倍以下とすることが好ましい。より好ましくは、第2間隔d2は第1間隔d1の2倍以上2.5倍以下であるとよい。図2Aでは、貫通孔141は斜めに直線状に設けられた構造を例示したが、この構造に限定されず、貫通孔は基板100の厚さ方向(D2方向)に対して斜めに延びる部分又は基板100の平面方向(D1方向)に延びる部分を有していればよい。
貫通孔141内部の基板100の第2面側102付近にはシード層160が配置されている。また、貫通孔141内部及びシード層160のさらに内側には、第1パッド110と第2パッド120とを接続する貫通電極140が配置されている。図2Aでは、第1パッド110は基板100に接して配置されているが、例えば図2Bに示すように、基板100と第1パッド110との間に、第1面側101において、少なくとも貫通電極140の一部と接触し、貫通電極140と第1パッド110とを接続するように開口部191が設けられた樹脂層190が設けられていてもよい。換言すると、樹脂層190は少なくとも一部が貫通電極140に接し、他の一部が外部に露出されるように配置され、貫通電極140内で発生するガスや水分を樹脂層190を介して外部に放出するような構造であってもよい。樹脂層190としては、例えばポリイミドのようなガスや水分を透過する性質を有する樹脂層を使用することができる。
また、図2Aでは、貫通電極140及び基板100の第2面側102に接するように第2パッド120が配置された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、貫通電極140及び基板100上に酸化シリコンなどの無機絶縁層やポリイミドなどの有機絶縁層を保護層として形成し、貫通電極140を露出するように当該保護層に開口部を形成し、当該開口部に第2パッド120を形成してもよい。
基板100の第2面側102の第2パッド120上には多層配線150が形成されている。多層配線150は、基板100及び第2パッド120を覆う第1絶縁膜171と、第1絶縁膜171のコンタクトホールを充填する第1ビア181と、多層配線150の1層目の第1配線層151と、第1配線層151を覆う第2絶縁膜172と、第2絶縁膜172のコンタクトホールを充填する第2ビア182と、多層配線150の2層目の第2配線層152とを有する。ここで、第1配線層151には第1配線151−1及び第2配線151−2が含まれ、第2配線層152には第3配線152−1及び第4配線152−2が含まれる。つまり、第1配線151−1と第2配線151−2とは同じ層に配置されており、第3配線152−1と第4配線152−2とは同じ層に配置されている。また、第1配線151−1と第3配線152−1とは異なる層に配置されている。
次に、図3を用いて、第1パッド110、第2パッド120、及び第3パッド130の位置関係を説明する。図3は、本発明の実施形態1に係るプローブカードにおいて、各パッドの位置関係を示す平面図である。図3に示すように、第1パッド110が配置された第1パッド領域119と第2パッド120が配置された第2パッド領域129とは、基板100の平面視において互いに重畳している。また、第3パッド130が配置された第3パッド領域139は、基板100の外周領域に位置し、第1パッド領域119及び第2パッド領域129とは重畳しない。つまり、第3パッド領域139は、第1パッド領域119及び第2パッド領域129から独立した位置に存在する。換言すると、第3パッド領域139と第1パッド領域119及び第2パッド領域129とは離隔されている。
次に、図4を用いて、第2パッド120と第3パッド130とを接続する各々の多層配線150の位置関係を説明する。図4は、本発明の実施形態1に係るプローブカードにおいて、各パッドの位置関係を示す平面図である。ここでは、説明の便宜上、配置された位置に応じて第2パッド120が配置された位置に応じて第1環状領域乃至第4環状領域に分類して説明する。また、図4では、多層配線150は基板100の左端及び下端に配置された第3パッド130に接続されたものだけを図示したが、実際には多層配線150は基板100の右端及び上端に配置された第3パッド130にも接続される。
図4に示すように、複数の第2パッド120が配置された領域は、第2パッド120が外周に環状に配置された第1環状領域210と、第1環状領域210の内側領域において、第2パッド120が環状に配置された第2環状領域220と、第2環状領域220の内側領域において、第2パッド120が環状に配置された第3環状領域230と、第3環状領域230の内側領域において、第2パッド120が配置された領域240を含む。ここで、図4では、第2パッド120は7行7列のマトリクス状に配置されているため、領域240には第2パッド120が1つしか配置されていないが、図4に示すマトリクスの行列数よりも多い場合は領域240にも第2パッド120が環状に配置される。そのような場合は、領域240を第4環状領域240という。
ここで、第1環状領域210に配置された第2パッド120は第1配線151−1に接続され、第2環状領域220に配置された第2パッド120は第2配線151−2に接続されている。また、第3環状領域230に配置された第2パッド120は第3配線152−1に接続され、領域240(第2パッド120が環状に配置されている場合は「第4環状領域240」)に配置された第2パッド120は第4配線152−2に接続されている。ここで、第2配線151−2は隣接する第1配線151−1の間に配置されている。
図4では、第1配線151−1及び第2配線151−2と第3配線152−1とは、多層配線のうち異なる層で配置されている。しかし、隣接する第1配線151−1と第2配線151−2との間に第3配線152−1を配置することができれば、第1配線乃至第3配線を同じ層で形成してもよい。
以上のように、実施形態1に係るプローブカード10によると、貫通電極140によって第1パッド110と第2パッド120とを接続することで、パッド間隔を広げることができる。その結果、第2パッド120と第3パッド130とを接続する配線のレイアウトに余裕ができるため、同じ層の配線で接続できるパッドの数を増加させることができ、多層配線の層数を低減することができる。
特に、第1パッド領域119と第2パッド領域129とが基板100の平面視において互いに重畳することで、第2パッド120を配置できる領域が広く確保することができ、第2パッド120の第2間隔d2を大きくすることができる。その結果、同じ層の配線で接続できるパッドの数を増加させることができ、多層配線の層数を低減することができる。
また、第1パッド110と第3パッド130とが基板100の平面視において、重畳しない位置に配置されていることで、第3パッドと外部機器とを均一に圧着することができ、また、第3パッドに外部機器を圧着させる際に検査用プローブとなる第1パッドに外力がかからないようにすることができるため、不良発生率が低いプローブカードを得ることができる。
[プローブカードの製造方法]
図5乃至図20を用いて、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法を説明する。図5乃至図20において、図2Aに示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。
まず、基板100に使用する基板を準備する。実施形態1では、基板100に使用する基板としてガラス基板を使用した製造方法について説明する。ただし、基板100はガラス基板に限定されず、例えば、シリコン、炭化シリコン等のシリコン化合物、ガリウム砒素等の化合物半導体、石英、サファイアなどで構成されていてもよく、また、これらが積層されたものであってもよい。基板100の厚さは、特に制限はないが、例えば、100μm以上800μm以下の厚さの基板を使用することができる。基板100の厚さは、より好ましくは、200μm以上400μm以下であるとよい。上記の基板の厚さの下限よりも基板が薄くなると、基板のたわみが大きくなる。その影響で、製造過程におけるハンドリングが困難になるとともに、基板上に形成する薄膜等の内部応力により基板が反ってしまう。また、上記の基板の厚さの上限よりも基板が厚くなると貫通孔の形成工程が長くなる。その影響で、製造工程が長期化し、製造コストも上昇してしまう。
図5は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、基板内部にレーザ光を照射する工程を示す断面図である。図5の基板100は、図2Aの基板100の上下が反転して示されている。図5では、フェムト秒レーザを基板100に照射することで、貫通孔を形成したい領域の基板の材料を変質させる。ここで、光源300から出射されたレーザ光301は基板100の第2面側102から入射され、基板100の内部の貫通孔を形成したい領域で焦点を結ぶ。レーザ光301が焦点を結んだ位置では、高いエネルギーが供給され、基板の材料が変質する。例えば、貫通孔を基板のD2方向に対して斜めに形成したい場合、レーザ光301の焦点深度を変化させながら光源300を走査すればよい。
図6は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、基板内部に変質層を形成する工程を示す断面図である。上記のようにフェムト秒レーザを照射することで、後に有底孔又は貫通孔が形成される変質領域103が基板100に形成される。変質領域103は所望の有底孔又は貫通孔の形状に合わせて、適宜形状を変更することができる。実施形態1の製造方法では、有底孔を形成してからスリミングによって貫通孔を形成するため、図5及び図6では、変質領域103が基板100のD2方向全てに形成されない方法を例示した。一方で、いったん有底孔を形成する工程を設けずに、後の薬液によるエッチングの工程だけで貫通孔を形成する場合は、基板をD2方向に全て変質させてもよい。ここで、変質領域103の領域が後の有底孔又は貫通孔の大きさになるため、所望の有底孔又は貫通孔の大きさに合わせて変質領域を調整すればよい。
図7は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、薬液を使用して基板の変質層をエッチングする工程を示す断面図である。変質領域103は変質していない領域と比べて薬液によるエッチングレートが早くなる。つまり、基板全体を薬液に浸漬させることで変質領域103が選択的に又は他の基板100に比べて早い速度でエッチングされる。図7では、容器310に入れられた薬液311に基板100を浸漬することでエッチングを行う方法を示す。ここで、エッチングに使用する薬液として、基板100がガラス基板であれば、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BHF)、界面活性剤添加バッファードフッ酸(LAL)などを使用することができる。エッチングに使用する薬液は基板の材質によって適宜選択することができる。また、エッチングの方法は浸漬させる方法以外にも、スピン式のエッチング方法でもよい。
図8は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、基板内部に有底孔を形成する工程を示す断面図である。上記の薬液311を使用したエッチングによって変質領域103を除去することで、有底孔320を形成する。ここで、有底孔320の直径は10μm以上100μm以下とすることができる。ただし、有底孔320の直径は上記の範囲に限定されず、上記の範囲よりも大きくてもよく、また、小さくてもよい。また、有底孔320の形状には特に制限はなく、例えば円形以外に矩形や多角形であってもよい。また、有底孔320はD2方向に大きさが異なっていてもよい。例えば、孔径がD2方向に単調増加又は単調減少するテーパ形状、孔の断面形状においてD1方向に凹状である樽型形状、又は孔の断面形状においてD1方向に凸状であるくびれ形状であってもよい。
図9は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、有底孔内部にシード層を形成する工程を示す断面図である。図8のように有底孔320が形成された基板100にシード層160を形成する。シード層160は、例えば、銅、チタン、タンタル、タングステン等の金属またはこれらを用いた合金の単層または積層を使用することができ、PVD法(蒸着法およびスパッタリング法等)又はCVD法等により形成することができる。シード層160に使用する材料は、後に形成するめっき層330と同じ材質を選択することができる。シード層160は、後の工程でめっき層330を形成する際に、電解めっき処理のシードとして利用するために設けられる。ここで、シード層160は、上記のめっき層330を形成しやすくするために、有底孔320の表面付近(基板100の第2面側102)の開口サイズが小さくなるように十分な厚さで形成することが好ましい。例えば、有底孔320の表面付近の開口サイズが30μm径の場合、シード層160は、好ましくは3μm以上30μm以下の膜厚で形成するとよい。また、シード層160は、より好ましくは6μm以上15μm以下の膜厚で形成するとよい。換言すると、シード層160は、有底孔320の表面付近の開口径に対して1/10倍以上1倍以下の膜厚で形成するとよい。また、シード層160は、より好ましくは1/5倍以上1/2倍以下の膜厚で形成するとよい。
図10は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、有底孔が形成された基板上に有底孔320を塞ぐめっき層を形成する工程を示す断面図である。めっき層330は、少なくとも基板100の第2面側102に形成されたシード層160上に形成され、有底孔320を塞ぐように、つまり有底孔320に蓋をするように形成される。めっき層330は電解めっき処理を行うことで形成することができ、例えば、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属またはこれらを用いた合金などから選択することができる。図10では、めっき層330が有底孔320内部に形成されていない構造を例示したが、めっき層330が有底孔320内部に形成されてもよい。
図11は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、有底孔が形成された基板に支持基板を貼り合せる工程を示す断面図である。図11の基板100は、図5乃至図10の基板100の上下が反転して示されている。ここでは、図10で形成しためっき層330と支持基板340とを粘着シート350を用いて貼り合せる。支持基板340は、後の工程で基板100に歪みが生じないように、基板100と同等又はそれ以上の剛性を有する基板を使用することができる。例えば、基板100にガラス基板を使用する場合、支持基板340として基板100と同様のガラス基板を使用することができる。また、支持基板340はガラス基板以外にもサファイア基板等の絶縁性基板、シリコン基板等の半導体基板、又はステンレス基板等の導電性基板を使用することができる。
また、粘着シート350は、部材を挟んで両面に粘着層が配置されている。粘着シート350の粘着層のうちめっき層330側の粘着層は、導電性を有し、刺激(この例では所定温度以上の熱)の印加によって粘着力が低下する。以下の説明において、導電性を有するこの粘着層を導電性粘着層という場合がある。粘着シート350の支持基板340側の粘着層(以下、支持粘着層という場合がある)は、例えば、感圧粘着剤であって、導電性を有していても有していなくてもよい。また、支持粘着層は、少なくとも導電性粘着層の粘着力が低下する刺激の程度においては、粘着力がほとんど低下しない。
粘着シート350の両面に設けられた粘着層によって支持基板340と基板100との位置関係が固定される。これによって、支持基板340は、粘着シート350を介して基板100を第2面側102からシード層160およびめっき層330を介して支持する。
また、図11に示すように、粘着シート350は、基板100の端部より外側に拡がっている部分(外周部360)を有する。外周部360は、導電性粘着層の表面351が露出された状態となり、電解めっき処理を施す際に、電源から電流を供給するための電極として用いられる。
図12は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、有底孔が形成された基板をスリミングして貫通孔を形成する工程を示す断面図である。図12では、基板100の第1面側101からスリミングを行うことで、基板100を薄板化する。スリミングとしては、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)やウェットエッチングを使用することができる。スリミングによって有底孔320の底に達するまで基板100を薄板化することで貫通孔141を形成する。ここで、基板100は支持基板340によって支持されているため、基板100が薄化されても基板100の反りが抑制され、また、製造工程中の強度を保つこともできる。
スリミングにCMPを使用する場合、研磨剤として酸化セリウム(セリア)を使用することができる。セリアを使用したCMPは、ガラスや酸化シリコンを高速研磨することができる。セリアは、機械的な研磨作用だけでなく、水と共に作用して化学的に酸化シリコンを研磨する作用を有し、高い研磨速度を得ることができる。
図13は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通孔を充填する貫通電極及び検査用プローブを形成する工程を示す断面図である。図13において、貫通電極140はめっき層330上にめっき法で形成する。具体的には、貫通電極140はめっき層330に給電して電解めっき処理を行うことで形成する。ここで、電解めっき処理の陰極として機能するめっき層330に電圧を供給するため、外周部360の導電性粘着層の表面351に外部から電圧を印加することができる。導電性粘着層を介して電流を供給することで、貫通孔141の内部で表面が露出しためっき層330及びシード層160をシードとして貫通電極140を形成することができる。したがって、めっき層330及びシード層160を形成せず、導電性粘着層をシードとして貫通電極140を形成することもできる。なお、シード層160は基板100と粘着シート350との間の一部に形成されていてもよい。例えば、貫通孔141の開口部周辺にのみシード層が形成され、導電性粘着層からシード層にも電流が供給されるようにしてもよい。貫通電極140に使用する金属材料は、例えば、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属またはこれらを用いた合金などから選択することができる。
上記のように、貫通電極140を形成した後に検査用プローブとして機能する第1パッド110を形成する。第1パッド110は貫通電極140を形成後に、貫通電極140とは異なる工程、異なる材質で形成してもよい。また、めっき法で貫通電極140を形成する際に基板100の第1面側101までめっき層を形成し、当該めっき層をパターニングすることで第1パッド110を形成してもよい。また、第1パッド110を形成しない領域にレジストを形成した状態でめっき法を行うことで、貫通電極140及び第1パッド110を同一工程で形成してもよい。図13では、第1パッド110は断面形状が半円形である構造を例示したが、この構造に限定されず、断面形状が矩形や台形であってもよい。
図14は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通孔が形成された基板から支持基板を剥離する工程を示す断面図である。第1パッド110が形成された後に所定温度以上の熱処理を行うことで、粘着シート350の導電性粘着層の粘着力を低下させる。そして、基板100から粘着シート350及び支持基板340を剥離する。このとき、当該熱処理は粘着シート350の導電性粘着層の反対面側に配置された支持粘着層が支持基板340と剥離しない程度の温度で行うことが好ましい。ここで、熱処理は基板100及び支持基板340全体を加熱する方法であってもよく、レーザ照射等によって接合箇所を局所的に加熱する方法であってもよい。また、上記のように、粘着シート350の導電性粘着層を電解めっき処理の電極として用いる場合、粘着シート350を剥離することで電解めっき用の電極も同時に除去される。そのため、シード層を別途形成して、電解めっき処理後に除去するという工程を行わなくてもよく、製造工程を簡略化することができる。
図15は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、シード層を除去し、多層配線用パッドを形成する工程を示す断面図である。第2パッド120は図14に示すめっき層330及びシード層160を除去し、貫通電極140に接するように別途形成されてもよい。また、めっき層330及びシード層160をパターニングすることで第2パッド120を形成してもよい。
図16は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通電極基板上に多層配線の層間膜を形成する工程を示す断面図である。ここでは、図5乃至図15で形成した貫通電極基板の一側面(第1パッドが形成された面とは逆の面側)に多層配線を形成する工程について説明する。図16の基板100は、図11乃至図15の基板100の上下が反転して示されている。基板100の第2面側102に多層配線を形成するために、まず第2パッド120を覆う第1絶縁膜171を形成し、各々の第2パッド120を露出するコンタクトホール173を形成する。
ここで、第1絶縁膜171は単層であってもよく積層であってもよい。例えば、第1絶縁膜171を積層とする場合、無機絶縁層と有機絶縁層の積層構造とすることができる。さらに、無機絶縁層は、例えば第2パッド120、貫通電極140などに使用する金属材料に対するバリア性を有する第1無機絶縁層と、当該第1無機絶縁層に比べて有機絶縁層との密着性が高く、内部応力が小さい第2無機絶縁層との積層とすることができる。また、有機絶縁層は第2パッド120によって形成された段差を緩和又は平坦化する材料であることが好ましく、少なくとも第2パッド120によって形成される段差以上の膜厚であることが好ましい。当該有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
第1無機絶縁層としては、例えば第2パッド120又は貫通電極140にCuが使用される場合、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)、炭素添加シリコンオキサイド(SiOC)などを使用することができる。また、第2無機絶縁層としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)などを使用することができる。また、有機絶縁層としては、感光性ポリイミド、感光性アクリル、感光性シロキサンなどを使用することができる。
図17は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通電極基板上に多層配線のビア及び配線を形成する工程を示す断面図である。図17に示すように、コンタクトホール173に第2パッド120と接続する第1ビア181が充填され、第1ビア181及び第1絶縁膜171の上に第1配線層151が形成される。ここで、第1ビア181及び第1配線層151を異なる工程で形成してもよく、また、コンタクトホール173内部及び第1絶縁膜171上に形成した金属材料をパターニングすることで、第1ビア181及び第1配線層151を同一材料、同一工程で形成してもよい。第1ビア181及び第1配線層151としては、電気抵抗が低い銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)などを使用することができる。また、アルミニウム−ネオジウム合金(Al−Nd)やアルミニウム−銅合金(Al−Cu)などのアルミニウム合金を使用することができる。
図18は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通電極基板上に多層配線の上層の層間膜を形成する工程を示す断面図である。図18では、図16と同じように、第1配線層151を覆う第2絶縁膜172を形成し、第1配線層151のうち第1配線151−1及び第2配線151−2とは異なる第1配線層151のみを露出するコンタクトホール174を形成する。
図19は、本発明の実施形態1に係るプローブカードの製造方法において、貫通電極基板上に多層配線の上層のビア及び配線を形成する工程を示す断面図である。図19では、図17と同じように、コンタクトホール174に第1配線層151と接続する第2ビア182が充填され、第2ビア182及び第2絶縁膜172の上に第2配線層152が形成される。
上記のように、図5乃至図19に示した製造方法により、図2Aに示すプローブカードと同様の構造を得ることができる。上記の方法では、第1配線層151及び第2配線層152の2層の多層配線を例示したが、もちろんこの配線層数には限定されず、必要に応じてより多くの層数の多層配線を形成してもよい。ここで、第2配線層152は第2絶縁膜172上において表面が露出しているが、第2配線層152及び第2絶縁膜172を覆う絶縁膜がさらに形成されてもよい。
〈実施形態2〉
図20及び図21を用いて、本発明の実施形態2に係るプローブカードについて詳細に説明する。実施形態2では、基板100の貫通孔142の第1面側101付近が鈍角になるように加工された構造について説明する。
図20は、本発明の実施形態2に係るプローブカードの断面図である。図20に示すプローブカード20は図2Aに示すプローブカード10と類似しているが、プローブカード20は、貫通電極140が配置される貫通孔142と第1面側101の基板100の表面とのなす角が鈍角である点においてプローブカード10とは相違する。
図21は、本発明の実施形態2に係るプローブカードの貫通孔の表面付近の形状を示す断面図である。より具体的には、図21は図20の点線枠400の拡大図である。図21を用いて、貫通孔142の内壁と第1面側101の基板100の表面とのなす角について詳細に説明する。
図21では、貫通孔142は、貫通孔142の内壁のうち基板100の表面に対して最も小さい角度をなす第1内壁部142−1、基板100の表面と第1内壁部142−1とを接続する第2内壁部142−2、貫通孔142の内壁のうち基板100の表面に対して最も大きい角度をなす第3内壁部142−3、及び基板100の表面と第3内壁部142−3とを接続する第4内壁部142−4に分けて表現することができる。ここで、第1内壁部142−1と第2内壁部142−2とがなす角410の角度θ1、第2内壁部142−2と基板100の表面とがなす角420の角度θ2、第3内壁部142−3と第4内壁部142−4とがなす角430の角度θ3、及び第4内壁部142−4と基板100の表面とがなす角440の角度θ4の全ての角度が鈍角である。図21では、貫通孔142が明確に角410乃至角440を有する構造を例示したが、この構造に限定されず、角410乃至角440に相当する箇所が曲線形状であってもよい。
以上のように、実施形態2に係るプローブカード20によると、貫通孔142と基板表面とのなす角が鈍角となる、つまり、鋭角部分が面取りされて鈍角になることで、機械的な強度が向上する。その結果、貫通孔の表面付近の基板の欠けなどの発生を抑制することができ、製造歩留まり向上の効果が得られる。
ここで、図20及び図21に示す、基板表面とのなす角が鈍角の貫通孔142は、有底孔から貫通孔を得るためのスリミングの工程で形成することができる。基板表面とのなす角が鈍角の貫通孔142を得るためには、特にスリミングにCMPを使用した場合、CMPの処理条件を化学的研磨の作用が強くなる条件(腐食リッチ)とすることが好ましい。CMP条件を腐食リッチとすることで、基板表面と貫通孔との間の角をよりなめらかな形状にすることができ、貫通孔の孔径をより広げることができるので、上記の鈍角の形成に適している。
〈実施形態3〉
図22を用いて、本発明の実施形態3に係るプローブカードについて説明する。実施形態3では、プローブカード30は、基板100の平面視において同じ位置に配置されていない第1パッド110と第2パッド120とを接続する貫通電極144が、直線部及び屈曲部を組み合わせた、いわゆるクランク形状を有している。つまり、貫通電極144は基板100の平面方向(D1方向)に延びる直線部144−1、144−2、144−3を有する。ここで、貫通電極144は、接続する第1パッド110及び第2パッド120の基板100のD1方向のずれ量によって、直線部144−1、144−2、144−3の基板の深さ方向(D2方向)の位置が異なる。
以上のように、実施形態3に係るプローブカード30によると、貫通電極144がクランク形状を有することで、アンカー効果により貫通電極が貫通孔から抜けにくくなる。また、貫通電極144のD1方向に延びる直線部144−1、144−2、144−3がそれぞれD2方向に異なる位置に配置されることで、隣接する貫通電極間の干渉を抑制することができる。
〈実施形態4〉
図23を用いて、本発明の実施形態4に係るプローブカードについて説明する。図23に示すプローブカード40は、図2Aに示すプローブカード10と類似しているが、プローブカード40は貫通電極140が配置された基板100と多層配線150との間に貫通電極540が配置された基板500をさらに有する点において、プローブカード10と相違する。
基板500は、基板500の第1面側501に配置され、基板100に配置された第2パッド120と接触する第4パッド510と、基板500の第1面側501とは反対の第2面側502において、第4パッド510よりも広い間隔で配置された第5パッド520と、第4パッド510と第5パッド520とを接続する貫通電極540とを有する。
基板100と基板500とは、第2パッド120と第4パッド510とが電気的に接続されるように貼り合せられる。例えば、導電性粒子を含む樹脂材料を接着剤として基板100と基板500とを接合してもよい。また、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介して圧着させて基板100と基板500とを接合してもよい。
以上のように、実施形態4に係るプローブカード40によると、貫通電極基板を複数重ねて接合させることで、貫通電極140及び540の傾斜角を大きくすることなく多層配線150に接続する第5パッド520の間隔を広くすることができる。その結果、レイアウトに余裕ができるため、一つの層に多くの配線を配置することができ、多層配線の層数を少なくすることができる。
本実施形態に係るプローブカードは、例えば、半導体基板に多数のLSI基板が形成された物品にパッドを対向させて電気的に接続し、物品が機能するか否かを検査するのに用いられる。検査後、物品をダイシングすることにより、個々の半導体装置が得られる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。