以下に、本発明の給紙装置及び画像形成システムを実施するための形態について、図1〜図16を参照しながら説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
1.第1の実施の形態例
まず、図1〜図16を参照して本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる画像形成システム及び給紙装置について説明する。
図1は、画像形成システム1の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、用紙に画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2に用紙を供給する給紙装置3から構成されている。なお、本例の給紙装置3には、画像を形成する用紙として、スミ貼りの封筒Pが収納されている。また、画像形成システム1では、画像不良の観点から中央部に貼り合わせ部が形成されるセンター貼りの封筒よりも、幅方向の片側に貼り合わせ部が形成されるスミ貼りの封筒が用いられている。
[画像形成装置]
まず、画像形成装置2について説明する。
画像形成装置2は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、装置本体201と、原稿搬送部210と、画像読取部220と、用紙収納部230と、画像形成部240と、定着部250と、用紙搬送部260と、不図示の制御部とを有している。
装置本体201は、略直方体状の箱状に形成さている。そして、画像読取部220、用紙収納部230、画像形成部240、定着部250、用紙搬送部260及び制御部は、装置本体201の内部に配設されており、原稿搬送部210は、装置本体201の上部に配置されている。
原稿搬送部210は、原稿Gをセットする原稿給紙台211と、複数のローラ212と、搬送ドラム213と、搬送ガイド214と、原稿排出ローラ215と、原稿排出トレイ216とを有している。原稿給紙台211にセットされた原稿Gは、複数のローラ212及び搬送ドラム213によって、画像読取部220の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド214及び原稿排出ローラ215は、複数のローラ212及び搬送ドラム213により搬送された原稿Gを原稿排出トレイ216に排出する。
画像読取部220は、原稿搬送部210により搬送された原稿G又は原稿台221に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。画像読取部220へ搬送された原稿Gは、その片面又は両面の画像が光学系により露光され、イメージセンサ222によって読み取られる。
イメージセンサ222により光電変換されたアナログ信号は、画像処理部223において、アナログ処理、A/D変換処理、シェーデインク補正処理、画像圧縮処理等の各種の処理が行われる。そして、各種の信号処理が行われた画像信号は、画像処理部223から画像形成部240に送られる。
なお、画像形成部240に送られる画像信号は、画像読取部220から出力される画像信号に限定されず、画像形成装置2に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
用紙収納部230は、装置本体201の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて設けられた複数の給紙カセット231を有している。給紙カセット231に収納された用紙Sは、給紙部232により給紙されて用紙搬送部260に送られ、用紙搬送部260によって転写位置を有する転写部245に搬送される。
画像形成部240及び定着部250は、画像読取部220と用紙収納部230との間に配置されている。画像形成部240は、感光体241、帯電部242、露光部243、現像部244、転写部245、およびクリーニング部246等から構成されている。
感光体241は、像担持体であり、図示しない駆動源による駆動によって回転する。帯電部242は、感光体241に電荷を与えることによって当該感光体241の表面を一様に帯電する。露光部243は、画像読取部220から受信した画像信号又は外部装置から受信した画像信号に基づいて、感光体241の表面に対して露光を行うことにより、感光体241上に静電潜像を形成する。
現像部244は、例えば、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて、感光体241上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する。転写部245は、感光体241上のトナー画像を、用紙搬送部260によって搬送される用紙S又は給紙装置3から供給された封筒Pに転写する。クリーニング部246は、感光体241上の残留しているトナーを除去する、即ち、感光体241の表面をクリーニングする。
定着部250は、用紙S又は封筒Pを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙S又は封筒Pに定着させる。この定着部250は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ251及び定着下ローラ252を有している。定着上ローラ251及び定着下ローラ252は、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラ251と定着下ローラ252との圧接部が、用紙S又は封筒Pを加圧及び加熱する定着ニップ部である。
定着上ローラ251の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ251の外周部が温められる。そして、定着上ローラ251の外周部の熱が用紙S又は封筒Pへ伝達されることにより、用紙S又は封筒P上のトナー画像が熱定着される。
用紙S又は封筒Pは、転写部245によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ251と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙S又は封筒Pには、定着上ローラ251と定着下ローラ252とによる加圧と、定着上ローラ251の外周部の熱による加熱が行われる。
用紙搬送部260は、レジストローラ262と、排紙部263と、搬送路切換部264と、用紙反転搬送部265と、循環再給紙部266とを有している。用紙搬送部260は、給紙装置3から供給される封筒Pを受け入れる。
レジストローラ262は、用紙S又は封筒Pの搬送方向に対する曲りを矯正すると共に、感光体241の回転に同期させて用紙S又は封筒Pを転写部245に送る。排紙部263は、定着部250によってトナー画像が定着された用紙S又は封筒Pを装置本体201の外部へ排出する。
搬送路切換部264は、定着部250よりも用紙搬送方向下流に配置されている。搬送路切換部264は、定着部250を通過した用紙S又は封筒Pの搬送路を切り換える。すなわち、搬送路切換部264は、片面画像形成における画像形成面を上方に向けて排紙するフェースアップ排紙を行う場合に、用紙S又は封筒Pを直進させる。これにより、用紙S又は封筒Pは、排紙部263によって排紙される。また、搬送路切換部264は、片面画像形成における画像形成面を下方に向けて排紙するフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙S又は封筒Pを下方に案内する。
フェースダウン排紙を行う場合は、搬送路切換部264によって用紙S又は封筒Pを下方に案内した後に、用紙反転搬送部265によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転されて画像形成面が下方に向いた用紙S又は封筒Pは、排紙部263によって排紙される。両面画像形成を行う場合は、搬送路切換部264によって用紙S又は封筒Pを下方に案内した後に、用紙反転搬送部265によって表裏を反転し、循環再給紙部266により再び転写位置へ送られる。
[給紙装置]
次に、給紙装置3について説明する。
給紙装置3は、装置本体301と、封筒Pのサイズや種類に応じて設けられた複数の用紙収納部302とを有している。装置本体301は、略直方体状の箱状に形成されている。複数の用紙収納部302は、装置本体301の内部に配設されている。
そして、複数の用紙収納部302は、装置本体301の鉛直方向に沿って配設されている。用紙収納部302に収納された封筒Pは、用紙収納部302に設けた搬送部312により画像形成装置2に搬送される。この用紙収納部302は、不図示にガイドレールに沿って移動させることにより、装置本体301から引き出し可能に構成されている。
[用紙収納部302]
次に、図2〜図7を参照して用紙収納部302の詳細な構成について説明する。
図2は、用紙収納部302を示す斜視図、図3は、用紙収納部302を示す正面図、図4は、用紙収納部302を示す側面図である。
図2及び図3に示すように、用紙収納部302は、支持台303と、昇降板304と、2つの側部規制部材305A、305Bと、先端規制部材306と、積載台307と、搬送部312と、持ち上げ部材331と、後端規制部材341とを有している。また、用紙収納部302は、昇降板304を昇降可能に支持する昇降駆動部308(図8参照)と、補助送風部の一例を示す送風部309と、検知センサ310(図8参照)とを有している。2つの側部規制部材305A、305B及び先端規制部材306及び昇降駆動部308は、支持台303の一面に設けられている。
昇降部の一例を示す昇降板304は、昇降駆動部308(図8参照)により鉛直方向に沿って昇降可能に支持されている。昇降板304は、略長方形をなす平板状に形成されている。昇降板304における封筒Pの搬送方向と直交し、かつ鉛直方向とも直交する幅方向の両側には、それぞれ切り欠き部304aが形成されている。また、昇降板304における幅方向の中央部には、搬送方向に沿って開口する挿入孔304bが形成されている。そして、切り欠き部304aには、側部規制部材305A、305Bが配置され、挿入孔304bには、積載台307が配置されている。
2つの側部規制部材305A、305Bは、支持台303の幅方向の両側で、かつ支持台303の搬送方向の下流側に配置されている。2つの側部規制部材305A、305Bは、支持台303の一面に対して略垂直に立設している。また、2つの側部規制部材305A、305Bは、ガイドレールにより支持台303に幅方向に移動可能に支持されている。2つの側部規制部材305A、305Bは、昇降板304に設けた切り欠き部304a内に挿入される。2つの側部規制部材305A、305Bの間隔は、用紙収納部302に積載された封筒Pの幅方向の長さに対応している。そして、2つの側部規制部材305A、305Bは、用紙収納部302に積載された封筒Pの幅方向の両側から軽く押圧することにより、封筒Pの幅方向の位置を規制する。
2つの側部規制部材305A、305Bには、それぞれ送風部309と切替部361が収納されている。また、図2〜図4に示すように、2つの側部規制部材305A、305Bにおける互いに対向する一面には、主吹き出し口305aと、補助吹き出し口305bが形成されている。主吹き出し口305aは、側部規制部材305A、305Bにおける鉛直方向の上部に形成されている。補助吹き出し口305bは、側部規制部材305A、305Bにおける鉛直方向の下部に形成されている。
主吹き出し口305a及び補助吹き出し口305bからは、送風部309から送風されるエアーが吹き出される。主吹き出し口305aから吹き出されたエアーは、封筒Pの幅方向の一方の端部から用紙間を通り抜けて他方の端部に向けて吹き付けられる。このエアーの吹き付けによって封筒Pが捌かれ、上部数枚が1枚ずつに分離される。補助吹き出し口305bから吹き出されたエアーは、後述する積載台307の側面部322と、積載台307に積載された封筒Pと、側部規制部材305A、305Bと、昇降板304で形成された空間Mに吹き付けられる(図14参照)。
また、切替部361は、送風部309から送り出されたエアーの吹き出し口を、主吹き出し口305aから補助吹き出し口305bへ、または補助吹き出し口305bから主吹き出し口305aへ切り替える。
さらに、2つの側部規制部材305A、305Bにおける鉛直方向の上端部には、ストッパ部材362が設けられている。ストッパ部材362は、積載台307に積載された封筒Pにおける鉛直方向の最上位に位置する封筒(以下、最上位封筒という)P1の一面に当接する。そして、ストッパ部材362は、最上位封筒P1が鉛直方向の上方に向けて浮き上がることを規制する。
図2に示すように、先端規制部材306は、支持台303における搬送方向の下流側に配置されている。先端規制部材306は、支持台303から垂直に立設されている。そして、先端規制部材306には、用紙収納部302に収納された封筒Pにおける搬送方向の下流側の端部を規制する。また、先端規制部材306の鉛直方向の上方には、搬送部312が配置されている。
図5は、搬送部312を示す断面図である。
搬送部312は、最上位封筒P1を画像形成装置2へ搬送する。図5に示すように、搬送部312は、給紙ローラ313と、上ガイド314と、下ガイド315と、複数の搬送ローラ316とを有している。給紙ローラ313は、最上位封筒P1の上面に当接する。
上ガイド314及び下ガイド315は、給紙ローラ313の搬送方向の下流側に配置されている。下ガイド315は、先端規制部材306における昇降板304側の一面と連続している。上ガイド314は、下ガイド315の鉛直方向の上方に所定の間隔を開けて配置されている。上ガイド314及び下ガイド315は、給紙ローラ313から搬送された封筒Pを一対の搬送ローラ316までガイドする。そして、複数の搬送ローラ316は、搬送された封筒Pを画像形成装置2(図1参照)に送り出す。
次に、積載台307について説明する。
図6は、積載台307を示す斜視図、図7は、積載台307を示す側面図である。
図2及び図3に示すように、積載台307は、昇降板304における鉛直方向の上側の主面部304cに着脱可能に取り付けられる。
また、図6に示すように、積載台307は、中空の直方体状に形成されている。積載台307は、封筒Pが積載される積載面部321と、2つの側面部322、322と、正面部323とを有している。積載面部321は、略長方形状に形成されている。2つの側面部322、322は、積載面部321の幅方向の両端から略垂直に連続している。また、正面部323は、積載面部321の搬送方向の下流側の端部から略垂直に連続している。2つの側面部322、322及び正面部323は、積載面部321から鉛直方向の下方に向けて突出している。
2つの側面部322、322における積載面部321と反対側の端部、すなわち鉛直方向の下方側の端部には、幅方向の両側に向けて屈曲する外フランジ部324が形成されている。図2に示すように、外フランジ部324は、昇降板304の主面部304cに載置される。
また、図6に示すように、2つの側面部322、322における幅方向の一側に配置された側面部322の外フランジ部324には、嵌合孔324aが形成されている。この嵌合孔324aは、昇降板304に設けた不図示の嵌合ピンと嵌合する。これにより、積載台307における昇降板304に対する搬送方向の位置決めを行うことができる。
正面部323における鉛直方向の長さは、2つの側面部322、322の鉛直方向の長さよりも長く設定されている。そして、図2に示すように、正面部323における鉛直方向の下側の端部は、昇降板304に設けた挿入孔304bに嵌合する。これにより、積載台307における昇降板304に対する幅方向の位置決めを行うことができる。その結果、積載台307は、昇降板304における幅方向の略中央部に着脱可能に取り付けられる。そして、積載台307は、昇降板304と一体となって鉛直方向に昇降する。
なお、積載台307を昇降板304に取り付け方法は、上述したものに限定されるものではなく、固定ねじや係合ピン等その他各種の取り付け方法を用いることができるものである。また、積載台307を昇降板304に固定してもよい。
また、積載面部321における幅方向の長さは、積載される封筒Pの幅方向の長さよりも短く設定されている。図3に示すように、積載台307を昇降板304に取り付けた際、積載面部321は、昇降板304の主面部304cよりも鉛直方向の上方に配置される。
図6に示すように、積載面部321における幅方向の中央部には、搬送方向に沿ってガイド溝321aが形成されている。ガイド溝321aには、後述する後端規制部材341が摺動可能に取り付けられている。
後端規制部材341は、スライダ342と、後端規制部343とを有している。スライダ342は、ガイド溝321aに摺動可能に支持されている。後端規制部343は、棒状に形成されている。後端規制部343は、スライダ342から鉛直方向に沿って立設している。
図4及び図7に示すように、後端規制部343は、積載台307の積載面部321に積載された封筒Pにおける搬送方向の上流側、すなわち封筒Pの後端に当接する。また、スライダ342がガイド溝321aに沿って搬送方向に摺動することにより、後端規制部材341は、封筒Pのサイズに応じて後端規制部343の搬送方向に対する位置を変えることができる。
なお、本例では、後端規制部343を棒状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、後端規制部343は、平板状や角柱状等その他各種の形状に形成してもよい。また、後端規制部材341を積載台307に設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、後端規制部材を側部規制部材に設けてもよい。
図6に示すように、積載面部321における搬送方向の上流側には、一対の持ち上げ部材331が着脱可能に取り付けられている。図7に示すように、一対の持ち上げ部材331は、後端規制部材341の近傍で、かつ後端規制部材341よりも搬送方向の下流側に配置される。持ち上げ部材331は、積載面部321に積載された封筒Pにおける搬送方向の上流側の端部を、鉛直方向の上方に向けて持ち上げる。
持ち上げ部材331は、略直方体状に形成されている。持ち上げ部材331は、積載面部321に磁力により吸着する磁石面部332と、弾性部333と、支持部334とを有している。弾性部333は、磁石面部332と支持部334との間に形成されている。弾性部333としては、例えば、発泡ウレタン、ゴム、コイルばね等その他各種の弾性を有する部材が適用される。
図7に示すように、支持部334には、積載面部321に積載された封筒Pのうち鉛直方向の最下位に位置する封筒Pが当接する。また、積載面部321に積載された封筒Pの重さにより、持ち上げ部材331の弾性部333が鉛直方向の下方に向けて弾性変形する。そして、積載面部321に積載された封筒Pの枚数が少なくなると、弾性部333に加わる荷重が軽くなるため、弾性部333は、鉛直方向の上方に向けて封筒Pを持ち上げる。
なお、本例では、持ち上げ部材331を積載面部321に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。持ち上げ部材331は、積載面部321に積載された封筒Pにおける搬送方向の上流側の端部を、鉛直方向の上方に向けて持ち上げることができればよい。そのため、持ち上げ部材を昇降板304に設けてもよく、あるいは側部規制部材305A、305Bに設けて昇降板304及び積載台307と共に鉛直方向に昇降可能に構成してもよい。
さらに、本例では、積載台307を昇降板304に着脱可能に取り付けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、封筒Pを専用に収納する用紙収納部の場合、昇降板304と積載台307を一体に形成してもよい。
[制御系の構成]
次に、給紙装置3の制御系の構成について図8を参照して説明する。
図8は、給紙装置3の制御系の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、給紙装置3は、制御部351を備えている。制御部351は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、を有する。また、制御部351には、送風部309と、昇降駆動部308と、検知センサ310、切替部361が接続されている。
検知センサ310は、用紙収納部302における積載面部321に積載された封筒Pの高さを検知する。そして、検知センサ310が検知した封筒Pの高さ情報は、制御部351に送信される。
昇降駆動部308は、制御部351から送信される信号に基づいて昇降板304及び積載台307を昇降させる。また、送風部309は、制御部351から送信される信号に基づいて駆動し、吹き出すエアーの風量を調整する。切替部361は、制御部351から送信される信号に基づいて駆動し、送風部309から送り込まれたエアーの吹き出し口を切り替える。
なお、本例では、給紙装置3に制御部351を設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、給紙装置3に制御部を設けずに、画像形成装置2に設けた制御部によって送風部309及び昇降駆動部308を駆動させ、検知センサ310が検知した情報を画像形成装置2に設けた制御部に送信するようにしてもよい。
[従来と本例の比較]
次に、図9〜図10を参照して、本例の給紙装置3と従来の給紙装置との比較を説明する。
図9A及び図9Bは、給紙装置に封筒Pを積載した状態を示す正面図である。図9Aは、従来の給紙装置を示し、図9Bは、本例の給紙装置3を示している。
図9Aに示すように、従来の給紙装置では、封筒Pは、昇降板304に積載される。ここで、スミ貼りの封筒Pは、幅方向の一側に貼り合わせ部が形成されているため、幅方向の一側が他側に対して厚くなる。そのため、昇降板304に封筒Pを積載させると、幅方向の一側が他側よりも高くなり、最上位封筒P1の一面は、水平面Hに対して傾斜する。その結果、給紙ローラ313から上ガイド314及び下ガイド315(図5参照)に最上位封筒P1を搬送する際に、最上位封筒P1が上ガイド314と下ガイド315の間に挿入されずに、紙詰まりが発生するおそれがある。
これに対し、本例の給紙装置3は、昇降板304に積載台307を設けて、積載面部321に封筒Pを積載している。図9Bに示すように、積載面部321の幅方向の長さは、封筒Pの幅方向の長さよりも短く設定されている。さらに、積載面部321は、封筒Pの幅方向の略中央部に配置される。
そのため、積載面部321に積載された封筒Pにおける幅方向の両端部は、積載面部321から幅方向の両側に向けて突出する。すなわち、封筒Pにおける幅方向の両端部は、鉛直方向の下方から支持されるものがないため、浮いた状態となる。そして、積載面部321に積載された封筒Pは、その自重による鉛直方向の下方に向けて垂れ下がる。
これにより、最上位封筒P1の一面を水平面Hと略平行に矯正することができ、最上位封筒P1の水平姿勢を良好に維持することができる。その結果、最上位封筒P1を給紙ローラ313によって上ガイド314及び下ガイド315に搬送する際に、最上位封筒P1が上ガイド314と下ガイド315の間にスムーズに挿入することができる。
図10A及び図10Bは、給紙装置に封筒Pを積載した状態を示す正面図である。図10Aは、従来の給紙装置を示し、図10Bは、本例の給紙装置3を示している。
図10Aに示すように、封筒Pを昇降板304に積載した場合、封筒Pの搬送方向(いわゆる長手方向)の上流側には、開口部であるフラップ部が形成されている。また、封筒Pの搬送方向の下流側である底部には、貼り合わせ部が形成されている。そのため、封筒Pにおける搬送方向の下流側が上流側に対して厚くなる。そのため、昇降板304に封筒Pを積載させると、搬送方向の下流側が上流側よりも高くなり、最上位封筒P1の一面は、水平面Hに対して傾斜する。
これに対し、本例の給紙装置3は、積載面部321の搬送方向の上流側に持ち上げ部材331を設けている。そして、図10Bに示すように、持ち上げ部材331は、封筒Pにおける搬送方向の上流側を積載面部321から鉛直方向の上方に向けて持ち上げる。これにより、最上位封筒P1の一面を水平面Hと略平行に矯正することができる。
[送風部の動作]
次に、図11〜図14を参照して、本例の給紙装置3における送風部309の動作について説明する。
図11は、送風部309の動作の一例を示すフローチャートである。図12〜図14は、封筒Pに吹き付けられるエアーの状態を示す説明図である。
まず、図11に示すように、制御部351は、送風部309を駆動する。そして、制御部351は、切替部361を駆動させて送風部309から送り込まれたエアーの吹き出し口を、主吹き出し口305aに設定する。これにより、主吹き出し口305aからエアーが吹き出される(ステップS11)。
そのため、図12に示すように、積載面部321に積載された用紙Pにおける鉛直方向の上部の封筒Pには、幅方向の両側に配置された主吹き出し口305aからエアーが吹き付けられる。これにより、封筒Pが捌かれ、上部枚数が1枚ずつ分離されると共に、最上位封筒P1の一面を略水平にすることができる。
ここで、図13に示すように、封筒Pの幅方向の両端部は、鉛直方向の下方から支持するものがないため、最上位封筒P1の一面の幅方向の両端部も、水平面Hに対して鉛直方向の下方に垂れ下がる。しかしながら、本例の給紙装置3は、封筒Pの搬送方向の上流側に持ち上げ部材331を設けている。
そのため、図7に示すように、封筒Pの搬送方向の上流側の端部は、持ち上げ部材331により鉛直方向の上方に向けて持ち上げられる。また、封筒Pの搬送方向の下流側の端部は、給紙ローラ313によって積載面部321側に押さえられ、略水平に保たれている。そのため、封筒Pは、持ち上げ部材331により、搬送方向、すなわち長手方向に湾曲する。すなわち、持ち上げ部材331は、封筒Pに長手方向のコルゲーションを付与している。
これにより、封筒Pに長手方向のコルゲーションが付与されることで、封筒Pにおける幅方向の両端部の垂れ下がりが抑制される。その結果、積載枚数が少なくなっても、最上位封筒P1の一面を水平面Hに対して略平行に維持させることができる。
しかしながら、剛性が低い封筒Pの場合、長手方向のコルゲーションが付与されても、その効果が薄くなる。そのため、封筒Pの搬送方向の下流側における幅方向の両端部は、鉛直方向の下方に向けて垂れ下がる。さらに、積載枚数が少なくなった状態で、主吹き出し口305aから封筒Pの幅方向の両端部に向けてエアーを吹き付けると、封筒Pの鉛直方向の上部をエアーが吹き抜ける。その結果、封筒Pの幅方向の両端部が、エアーによって鉛直方向の下方に押し下げられる。
そのため、図11に示すように、制御部351は、検知センサ310からの情報に基づいて、積載台307に積載された封筒Pの枚数が所定の枚数以下が否かを判断する(ステップS12)。ステップS12において、制御部351は、積載枚数が所定の枚数以下でないと判断した場合(ステップS12のNO判定)、主吹き出し口305aからエアーを吹き出す。
また、ステップS12において、制御部351は、積載枚数が所定の枚数以下であると判断した場合(ステップS12のYES判定)、制御部351は切替部361を制御し、エアーの吹き出し口を主吹き出し口305aから補助吹き出し口305bに切り替える(ステップS13)。そして、送風部309から吹き出されたエアーは、補助吹き出し口305bから送風される(ステップS14)。
これにより、図14に示すように、補助吹き出し口305bから、積載台307の側面部322と、側部規制部材305A、305Bと、昇降板304と、積載台307に積載された封筒Pにおける最下位に配置された封筒(以下、最下位封筒という)P2で形成された空間Mにエアーが吹き出される。そして、空間Mに吹き出されたエアーは、積載台307の側面部322に当たり、封筒Pの両端部に鉛直方向の下方から吹き付けられる。これにより、封筒Pにおける垂れ下がった両端部が、エアーにより持ち上げられる。その結果、積載枚数が少なくなっても、最上位封筒P1の一面を水平面Hに対して略平行に維持させることができる。
また、2つの側部規制部材305A、305Bにおける鉛直方向の上端部には、ストッパ部材362が設けられている。そのため、エアーにより持ち上げられた封筒Pの両端部が、鉛直方向の上方に跳ね上がることを規制することができる。なお、本例では、ストッパ部材362を側部規制部材305A,305Bに設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、ストッパ部材362を先端規制部材306や後端規制部材341に設けてもよい。
次に、積載台307に積載された封筒Pが全て搬送されると、制御部351は、全ての駆動を停止させる(ステップS15)。これにより、送風部309を用いた用紙収納部302における封筒Pの排出動作が完了する。
また、補助吹き出し口305bにおけるエアーが吹き出される方向を、積載台307に積載された封筒Pの両端部の下面に向けてもよい。さらに、本例では、側部規制部材305A、305Bにそれぞれ送風部309を1つだけ設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、主吹き出し口305aからエアーを吹き出す主送風部と、補助吹き出し口305bからエアーを吹き出す補助送風部を設けてもよい。この場合、エアーの切替作業が必要なくなるため、切替部361を設けなくてもよい。
また、送風部309を側部規制部材305A、305Bに収納した例を説明したが、これに限定されるものではなく、送風部309を側部規制部材305A、305B以外の場所に配置してもよい。
なお、本例では、積載台307に積載された封筒Pの枚数を検知する検知センサ310を設け、この検知センサ310が検知した検知信号に基づいて切替部361を切り替える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、昇降板304又は積載台307が所定の位置に到達した時に、切替部361を作動させて、エアーの吹き出し口を主吹き出し口305aから補助吹き出し口305bへ切り替えるようにしてもよい。
2.第2の実施の形態例
次に、図15を参照して本発明の第2の実施の形態例にかかる給紙装置について説明する。
図15は、第2の実施の形態例にかかる給紙装置の用紙収納部を示す正面図である。
この第2の実施の形態例にかかる給紙装置が、第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と異なる点は、補助吹き出し口及び補助送風部を設ける箇所である。そのため、ここでは、補助吹き出し口について説明し、第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図15に示すように、積載台307の内部には、補助送風部409と、分岐部461が収納されている。分岐部461は、補助送風部409から吹き出されたエアーを2つに分ける。
また、積載台307における2つの側面部322、322には、それぞれ補助吹き出し口405が設けられている。補助送風部409から吹き出されたエアーは、分岐部461を介して補助吹き出し口405から吹き出される。そして、補助吹き出し口405から空間Mにエアーが吹き出される。
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する給紙装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と同様の作用及び効果を得ることができる。
3.第3の実施の形態例
次に、図16を参照して本発明の第2の実施の形態例にかかる給紙装置について説明する。
図16は、第3の実施の形態例にかかる給紙装置の用紙収納部を示す斜視図である。
この第3の実施の形態例にかかる給紙装置が、第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と異なる点は、補助吹き出し口及び補助送風部を設ける箇所である。そのため、ここでは、補助吹き出し口について説明し、第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図16に示すように、先端規制部材306の内部には、補助送風部509が収納されている。また、先端規制部材306における鉛直方向の下部には、2つの補助吹き出し口505A、505Bが形成されている。第1の補助吹き出し口505Aは、先端規制部材306の幅方向の一側に形成されている。第2の補助吹き出し口505Bは、先端規制部材306の幅方向の他側に形成されている。補助送風部509が駆動すると、2つの補助吹き出し口505A、505Bからエアーが吹き出される。
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する給紙装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる給紙装置3と同様の作用及び効果を得ることができる。
上述した第2の実施の形態例にかかる給紙装置及び第3の実施の形態例にかかる給紙装置で示すように、補助吹き出し口を設ける箇所は、側部規制部材305A、305Bに限定されるものではない。例えば、昇降板304に補助吹き出し口を設けてもよい。すなわち、補助吹き出し口は、補助送風部から送り込まれたエアーを、積載台307に積載された封筒Pにおける幅方向の両端部に向けて鉛直方向の下方から吹き出すことができればよい。
以上、給紙装置及び画像形成システムの実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の給紙装置及び画像形成システムは、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施の形態例では、搬送部として給紙ローラ313を用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。搬送部としては、例えば、最上位封筒P1を吸着することで、上ガイド314及び下ガイド315に搬送するエアー方式の搬送方法を適用してもよく、その他各種の搬送方法を用いてもよい。