例証となる非限定的実施形態、及び付属の図への参照を用いて、以降、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることがあり、本発明を、下に示す実施形態に限定されるとみなすべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が行き届いたものになるように、また本発明の範囲を当業者に知らせるために提供するものである。
本発明をより容易に理解できるように特定の用語を下で定義する。さらなる定義は、発明の詳細な説明の中で見つけることができるだろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈による別段の明白な指図がない限り、単数及び複数両方の指示対象を含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる場合、2つの種、A及びB、に言及するときの用語「及び/又は」は、A及びBの少なくとも一方を意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる場合、2つより多くの種、例えばA、B及びC、に言及するときの用語「及び/又は」は、A、B若しくはCの少なくとも1つ、又はA、B若しくはCのいずれかの組み合わせ(この場合は各々の種に単数の可能性又は複数の可能性がある)の少なくとも1つを意味する。
本明細書全体を通して、語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」などの語尾変化形は、述べられている整数(若しくは成分)又は整数(若しくは成分)群の包含を含意するが、他のいかなる整数(若しくは成分)又は整数(若しくは成分)群の除外も含意しないと解されるものとする。
本明細書を通して、用語「含む(including)」は、「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」を意味するために用いている。「含む(including)」及び「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」は、同義で用いている。
用語「アミノ酸残基」又は「アミノ酸」は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドに組み込まれているアミノ酸への言及を含む。用語「ポリペプチド」は、アミノ酸又はアミノ酸残基のあらゆる重合体を含む。用語「ポリペプチド配列」は、ポリペプチドを物理的に構成する一連のアミノ酸又はアミノ酸残基を指す。「タンパク質」は、1本又は2本以上のポリペプチド又はポリペプチド「鎖」を含む高分子である。「ペプチド」は、約15〜20アミノ酸残基未満のサイズの小さいポリペプチドである。用語「アミノ酸配列」は、その長さに依存してペプチド又はポリペプチドを物理的に含む一連のアミノ酸又はアミノ酸残基を指す。別段の指示がない限り、本明細書において開示するポリペプチド及びタンパク質配列は、アミノ末端からカルボキシ末端へのそれらの順序を表すように左から右に記載している。
用語「アミノ酸」、「アミノ酸残基」、「アミノ酸配列」又はポリペプチド配列は、天然に存在するアミノ酸(L及びD立体異性体を含む)を含み、別段の制限がない限り、天然に存在するアミノ酸と同様に機能することができる公知の天然アミノ酸アナログ、例えば、セレノシステイン、ピロールリジン、N−ホルミルメチオニン、ガンマ−カルボキシグルタメート、ヒドロキシプロリン、ハイプシン、ピログルタミン酸及びセレノメチオニンなども含む。本明細書において言及するアミノ酸は、表A中の以下のような簡略表記名によって記載している:
ポリペプチドに関しての句「保存的置換」は、全ポリペプチドの機能及び構造を実質的に変えない、ポリペプチドのアミノ酸組成の変化を指す(Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W. H. Freeman and Company, New York (2nd ed., 1992)を参照されたい)。
本明細書において用いる場合、用語「発現した」、「発現すること」又は「発現する」及びその文法上の異形は、ポリヌクレオチド又は核酸のポリペプチド及び/又はタンパク質への翻訳を指す。発現したポリペプチド又はタンパク質は、細胞内に残存し、細胞表面膜の成分になることもあり、又は細胞外空間に分泌されることもある。
本明細書において用いる場合、句「CD20発現細胞」の意味は、膜貫通ドメインを含むCD20分子を細胞表面で発現するあらゆる細胞を包含する。
本明細書において用いる場合、少なくとも1つの細胞表面で有意な量のCD20を発現する細胞は、「CD20陽性細胞」又は「CD20+細胞」であり、細胞外標的生体分子CD20と物理的に結合している細胞である。CD20の有意な量は、下のセクションIII−Bで定義する。
本明細書において用いる場合、記号「α」は、この記号の後に続く生体分子と結合することができる免疫グロブリン型結合領域の簡略表記である。記号「α」は、この記号の後に続く生体分子と結合するその能力に基づく免疫グロブリン型結合領域の機能的特徴を指すために用いている。
記号「::」は、物理的に互いに連結されて連続するポリペプチドを形成する前又はした後のポリペプチド領域を意味する。
本発明の目的では、用語「エフェクター」は、1つ又は2つ以上の因子の動員及び/又はアロステリック効果をもたらす生物活性、例えば、細胞毒性、生体シグナル伝達、酵素的触媒、細胞内経路決定及び/又は細胞間結合を提供することを意味する。
本明細書において用いる場合、句「多価CD20結合分子」は、例えば、個々の結合領域各々がCD20の細胞外部分に対する1リットル当たり10−5〜10−12モルの解離定数を有する2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含むタンパク質などの、2つ又は3つ以上の高親和性CD20結合領域を含む、1つのCD20結合分子又は複数のCD20結合分子を指す。
本明細書において用いる場合、句「多価CD20結合タンパク質」は、例えば、個々の結合領域各々がCD20の細胞外部分に対する10−5〜10−12モル/リットルの解離定数を有する2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含むタンパク質などの、2つ又は3つ以上の高親和性CD20結合領域を含む、1つのCD20結合タンパク質分子又は複数のCD20結合タンパク質分子を指す。
本発明の目的では、句「〜に由来する」は、ポリペプチド領域が、タンパク質中で元来見つけられるアミノ酸配列であって、全機能及び構造が実質的に保存されることを前提に元の配列と比較して付加、欠失、短縮化、再配列又は他の改変を現在は含むこともあるアミノ酸配列を含むことを意味する。
本発明の目的では、志賀毒素エフェクター機能は、志賀毒素Aサブユニットに由来するポリペプチド領域によってもたらされる生物活性である。志賀毒素エフェクター機能の非限定的な例は、細胞内在化、細胞内経路決定、触媒活性及び細胞毒性を含む。志賀毒素触媒活性は、例えば、リボソーム不活性化、タンパク質合成阻害、N−グリコシダーゼ活性、ポリヌクレオチド:アデノシングリコシダーゼ活性、RNAase及びDNAase活性を含む。志賀毒素は、リボソーム不活性化タンパク質(RIP、ribosome inactivating protein)である。RIPは、核酸、ポリヌクレオシド、ポリヌクレオチド、rRNA、ssDNA、dsDNA、mRNA(及びポリA)、及びウイルス核酸を脱プリン化することができる(例えば、Brigotti M et al., Toxicon 39: 341-8 (2001)、Brigotti M et al., FASEB J 16: 365-72 (2002)を参照されたい)。一部のRIPは、抗ウイルス活性及びスーパーオキシドジスムターゼ活性を示す。志賀毒素触媒活性は、インビトロでもインビボでも観察されている。志賀毒素エフェクター活性についてのアッセイの非限定的な例は、タンパク質合成阻害活性、脱プリン化活性、細胞増殖の阻害、細胞毒性、スーパーコイルDNA弛緩活性、及びヌクレアーゼ活性を測定するものである。
本明細書において用いる場合、志賀毒素エフェクター機能の保持は、再現性のある適切な定量的アッセイによって測定して野生型志賀毒素エフェクター領域対照に匹敵する志賀毒素機能活性レベルを指す。リボソーム阻害については、志賀毒素エフェクター機能は、10,000ピコモーラー(pM)又はそれ未満以内のIC50を示すことになる。標的陽性細胞殺滅アッセイにおける細胞毒性については、志賀毒素エフェクター機能は、細胞型、及び適切な細胞外CD20標的生体分子のその発現に依存して、1,000ナノモーラー(nM)又はそれ未満以内のCD50を示すことになる。
本明細書において用いる場合、「有意な」志賀毒素エフェクター機能の保持は、再現性のある適切な定量的アッセイによって測定して野生型志賀毒素エフェクターポリペプチド対照に匹敵する志賀毒素機能活性レベルを指す。インビトロリボソーム阻害について、有意な志賀毒素エフェクター機能は、リボソーム源(例えば、細菌、古細菌又は真核生物(藻類、真菌、植物若しくは動物))に依存して300pM又はそれ未満以内のIC50を示すことになる。これは、触媒不活性SLT−1A 1−251二重変異体(Y77S/E167D)についての100,000pMの近似的IC50と比較して有意に大きい阻害である。実験室細胞培養での標的陽性細胞殺滅アッセイにおける細胞毒性について、有意な志賀毒素エフェクター機能は、細胞株、及び適切な細胞外CD20標的生体分子のその発現に依存して、100、50又は30nM又はそれ未満以内のCD50を示すことになる。これは、細胞標的化結合領域のない単独のSLT−1Aサブユニット(細胞株に依存して100〜10,000nMのCD50を有する)と比較して、適切な標的細胞株に対する有意に大きい細胞毒性である。
一部の試料ついては、正確な曲線フィッティングに必要なデータ点を収集することができないため、IC50又はCD50のいずれかについての正確な値を得ることができないこともあるだろう。例えば、理論的には、50%より高いリボソーム阻害又は細胞死が所与の試料の濃度系列でそれぞれ起こらない場合、IC50もCD50も決定することができない。有意な志賀毒素エフェクター機能活性を判定するとき、不正確なIC50及び/又はCD50値を考慮すべきでない。例えば下の実施例で説明するアッセイなどの例示的志賀毒素エフェクター機能アッセイからのデータの分析に関して説明するような曲線への正確なフィッティングに不十分なデータは、実際の志賀毒素エフェクター機能の代表とみなすべきではない。
志賀毒素エフェクター機能の活性を検出できないことは、細胞侵入、細胞内経路決定及び/又は酵素活性の欠如ではなく、不適切な発現、ポリペプチドフォールディング及び/又はポリペプチド安定性が原因であることもある。志賀毒素エフェクター機能についてのアッセイは、本発明の多価CD20結合分子をさほど必要とせずに有意な量の志賀毒素エフェクター機能活性を測定することができるだろう。エフェクター機能が低い又はないことの根本原因がタンパク質発現又は安定性と関係することを実験により確定されるのであれば、当業者は、当技術分野において公知のタンパク質化学及び分子工学技術を用いてそのような因子を補償することができることがあり、その結果、志賀毒素機能性エフェクター活性が回復され、測定されることもある。例として、不適切な細胞ベースの発現は、様々な発現制御配列を使用することによって補償されることがあり、不適切なポリペプチドフォールディング及び/又は安定性は、末端配列の安定化の恩恵を受けることがあり、又はタンパク質の三次元構造を安定させる非エフェクター領域の補償変異の恩恵を受けることなどがある。個々の志賀毒素機能についての新たなアッセイが利用できるようになると、志賀毒素エフェクター領域又はポリペプチドを、それらの志賀毒素エフェクター機能の任意のレベルについて、例えば、野生型志賀毒素エフェクターポリペプチドの活性の特定の倍数以内であることについて分析することができる。有意義な活性差の例は、例えば、野生型志賀毒素エフェクターポリペプチドの1000倍若しくは100倍若しくはそれ未満の活性を有する志賀毒素エフェクター領域、又は機能的ノックダウン若しくはノックアウト志賀毒素エフェクターポリペプチドと比較して3倍〜30倍、若しくは31倍以上大きい活性を有する志賀毒素エフェクター領域である。
特定の志賀毒素エフェクター機能、例えば、細胞内経路決定機能は、容易に測定できない。現在、志賀毒素エフェクターポリペプチドが細胞毒性であることができないことが、不適切な細胞内経路決定に起因するかどうかを識別するための通例の定量的アッセイはないが、試験が利用できれば、志賀毒素エフェクターポリペプチドを、適切な野生型志賀毒素エフェクター領域と比較して任意の有意な細胞内経路決定レベルについて分析することができるだろう。
志賀毒素エフェクターポリペプチドの細胞毒性が、野生型と比較して低減されたとしても、実際には、弱毒化された志賀毒素エフェクターポリペプチドを使用する応用は、野生型志賀毒素エフェクターポリペプチドを使用するもの以上に有効であることがあることに留意されたい。なぜなら、最高作用強度のバリアントは、作用強度が低減されたバリアントでは最小化又は低減される望ましくない作用を示す可能性があるからである。野生型志賀毒素エフェクターポリペプチドは非常に強力であり、たった1分子がサイトゾルに達することで、又はことによると40分子が内在化されることで殺滅することができる(Tam P, Lingwood C, Microbiology 153: 2700-10 (2007))。志賀毒素エフェクターポリペプチドは、例えば細胞内経路決定又は細胞毒性などの志賀毒素エフェクター機能が野生型志賀毒素エフェクターポリペプチドと比較してかなり低減されていたとしても、標的化細胞殺滅及び/又は特異的な細胞型の特定の細胞内区画の検出を伴う実際の応用に十分な作用強度を依然として有しうる。そしてそのようなエフェクターポリペプチドは、特定の細胞内位置又は細胞内区画へのカーゴ(例えば、追加の外因性物質)の送達にも有用でありうる。
細胞毒性多価CD20結合分子の細胞毒性活性に関して、用語「選択的細胞毒性」は、選択性の測定基準としての標的細胞型の細胞殺滅の優先性を明らかにするための、標的細胞型の半数細胞毒性濃度(CD50、half-maximal cytotoxic concentration)の非標的細胞型のCD50に対する比として表現することができる、標的細胞集団と非標的バイスタンダー細胞集団間の相対細胞毒性レベルを指す。
本明細書の明細書及び特許請求の範囲において用いる場合、句「細胞に適している生理的温度」は、その特定の細胞又は細胞型の健常な成長、増殖及び/若しくは機能に好適な範囲内である、その細胞が由来する種のコア温度に相当する、並びに/又はその細胞を含む健常生存生物に対応する、当技術分野において公知の及び/又は当業者よって特定されうる温度を指す。例えば、種に依存して37℃辺りの温度が多くの哺乳動物細胞に適している。
本発明の目的では、句「CD20と結合している多価CD20結合分子を含む分子複合体の内在化」は、内在化が、多価CD20結合分子と細胞表面CD20が細胞外位置で複合体を形成することで始まり、多価CD20結合分子とCD20分子の両方が細胞に侵入することで終わり、その後、多価CD20結合分子が結合したCD20分子からの多価CD20結合分子が解離することから、多価CD20結合分子の細胞内在化がCD20媒介型であることを意味する。
本発明の目的では、句「細胞の表面に天然に存在するCD20」は、細胞が、その固有のタンパク質合成機構を使用してCD20分子を発現し、その固有の細胞内経路決定機構を使用してCD20分子を細胞表面に局在させること、したがって、CD20分子が前記細胞に物理的に結合しており、CD20分子の少なくとも一部に細胞外空間から、すなわち細胞の表面で、到達可能であることを意味する。
本発明の特定の実施形態の目的では、細胞内在化は、同じ温度で同じ細胞型を使用する同じアッセイによって判定して、本発明の多価CD20結合分子の結合に起因して起こる内在化の時間が、同じCD20占有パーセントの先行技術参照分子の内在化の時間と比較して短縮される場合、迅速とみなされる。
本明細書の明細書及び特許請求の範囲において用いる場合、句「迅速な細胞内在化」は、当技術分野において公知の又は本明細書に記載のいくつかの細胞内在化アッセイのいずれか1つによって測定して、本発明の多価CD20結合分子が、細胞外CD20抗原又は細胞表面局在CD20分子の細胞内在化の平均時間を、細胞外CD20抗原又は細胞表面局在CD20分子の細胞内在化に必要とされる平均時間と比較して減少させることができることを指す。
本明細書の明細書及び特許請求の範囲において用いる場合、句「迅速な内在化」は、基本CD20内在化速度と比較して及び/又はCD20の細胞外部分に結合することが当技術分野において公知の免疫グロブリン型結合分子(例えばモノクローナル抗体)の投与後の分子結合誘導CD20内在化速度と比較してアッセイされうる内在化を含む。句「迅速な細胞内在化」の範囲は、CD20特異的抗体を試験したとき又はFc領域を有する免疫グロブリン由来タンパク質分子を試験したときに観察されるものより平均して速い内在化速度を包含することを意図している。一般に、内在化速度定数は、CD20陽性細胞への所望のCD20特異的結合分子の投与後、細胞表面CD20抗原、CD20分子及び/又はCD20特異的結合分子の50%が、所与の投与濃度、質量、容積モル濃度、又はCD20占有率調整濃度で特定の細胞型に特定の温度で内在化される時間と定義されうる。細胞表面CD20内在化は、基本的にであろうと、CD20結合分子の投与に応じてであろうと、当業者に公知の様々な方法によってアッセイすることができるだろう(例えば、Press O et al., Blood.83: 1390-7 (1994)、Golay J et al., Blood 98: 3383-9 (2001)、Goulet A et al., Blood 90: 2364-75 (1997)、Manches O et al., Blood 101: 949-54 (2003)、Hess G et al., Biochim Biophys Acta 1773: 1583-8 (2007)、Baskar S et al., Clin Cancer Res 14: 396-404 (2008)、Luqman M et al., Blood 112: 711-20 (2008)を参照されたい)。
本発明の特定の実施形態の目的では、本発明の多価CD20結合分子の結合に起因して起こる内在化の時間が、CD20抗原を認識する十分に特性評価されている抗体、例えばαCD20モノクローナル抗体1H4、の結合に伴う標的CD20分子の内在化の時間と比較して短縮される場合、迅速とみなされる(Haisma H et al., Blood 92: 184-90 (1999))。例えば、CD20抗原の内在化タイミングは、細胞型及び抗体型によって変わることがあるが、通常は、結合後おおよそ6時間又は7時間以上まで最大レベルに達し始めない。したがって、本明細書を通して用いる用語「迅速な」は、本発明の多価CD20結合分子が1つ又は2つ以上のCD20発現及び/又はCD20陽性細胞に6時間未満で侵入することを示すことを意図したものである。特定の実施形態において、迅速なは、約30分未満ほども急速にであることもあるが、約1時間〜約2時間、〜約3時間、〜約4時間、〜約5時間の範囲、約2時間〜約3時間、〜約4時間、〜約5時間の範囲、約3時間〜約4時間、〜約5時間の範囲、及び約4時間〜約5時間の範囲も包含しうる。
本発明の目的では、互いに連結している2つ又は3つ以上の成分を含む分子に関して、句「1つ又は2つ以上の非共有結合性連結」は、特定の分子では該分子をネイティブタンパク質フォールディング条件からタンパク質変性条件に変えたときに除去されているように観察されることもある成分を接続する(すなわち、2つ又は3つ以上の成分をもはや接続しない)連結のタイプを含む。例えば、当技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載の技術、例えば電気泳動及び/又はクロマトグラフィーアッセイなどをタンパク質性分子サイズのアッセイに使用したとき、ネイティブタンパク質フォールディング条件(例えば、真核細胞の小胞体の内腔に又は生物体内の細胞外環境に類似するように意図されたpH緩衝環境)下では単一サイズの種のように見える多成分分子は、変性条件下で、及び/又は変性条件に付した後、2つ又は3つ以上のより小さいサイズのタンパク質性分子で構成されているように観察されることもある。「タンパク質変成」条件は当業者に公知であり、例えば、高温を有する(例えば摂氏50度より高い)環境、並びに/又は化学的変性剤及び/若しくは界面活性剤(例えば、1〜10%ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、Triton(登録商標)X-100、サルコシル、並びにイオン性、非イオン性、双性イオン性及び/若しくはカオトロピックにかかわらず他の界面活性剤など)の存在を特徴とするものなどの、ネイティブタンパク質フォールディング条件とは著しく異なる条件を含む。
本明細書において用いる場合、タンパク質及び/又はタンパク質性分子の説明に関して、用語「単量体(の)」は、後に環状構造になる連続した直鎖状のポリペプチドを含む、単一ポリヌクレオチドテンプレートからリボソームによって合成されうる単一の連続したポリペプチドから(その二次構造か三次構造かにかかわらず)なる、1つのポリペプチド成分のみを含む分子を指す。対照的に、多量体分子は、多量体である単一ポリヌクレオチドテンプレートからリボソームによって合成されうる単一の連続したポリペプチドを一緒に形成しない、2つ又は3つ以上のポリペプチド(例えばサブユニット)を含むことがある。
本明細書において用いる場合、タンパク質及び/又はタンパク質性分子の説明に関して、用語「多量体(の)」は、例えば、各々が特有の連続ポリペプチドである2つの成分からなる分子などの、互いに会合している及び/又は互いに連結している2つ又は3つ以上の個々のポリペプチド成分を含む分子を指す。例えば、分子の成分間の会合又は連結は、2つ又は3つ以上のポリペプチド成分の配置に起因して、例えば分岐状若しくは環状ポリペプチド構造などの、非直鎖状ポリペプチドを含む単一分子をもたらす、1)1つ若しくは2つ以上の非共有結合性相互作用、2)1つ若しくは2つ以上の翻訳後共有結合性相互作用、3)1つ若しくは2つ以上の共有結合性化学コンジュゲーション、及び/又は4)1つ若しくは2つ以上の共有結合性相互作用を含みうる。単一ポリヌクレオチドテンプレートからリボソームによって合成される単一の連続したポリペプチド中の1つ又は2つ以上のペプチド結合のタンパク質切断の結果として2つの不連続ポリペプチドを含む分子は、「多量体」であり、「単量体」ではない。
本明細書において用いる場合、句「CD20結合分子組成物」は、少なくとも1つのタイプのCD20結合分子を含む組成物であって、各々のタイプのCD20結合分子が、例えば最も大量に存在するタイプのCD20結合分子の少なくとも1(質量)パーセントについて、組成物中で再現性よく測定可能に表示される、2つ又は3つ以上のタイプのCD20結合分子を一般に含むことができるだろう組成物を指す。他のタイプのタンパク質性分子が存在しない、1タイプのみのCD20結合分子を含む組成物(例えば、存在する全タンパク質性分子に対して100パーセントの単一タイプのCD20結合分子を含む組成物)は、句「CD20結合分子組成物」によって包含される。
序論
本発明は、細胞標的化のための複数の異種CD20結合領域と会合している志賀毒素サブユニットA由来領域を含む多価CD20結合分子を提供する。加えて、本発明は、本発明の多価CD20結合分子について強化された組成物(例えば、一価CD20結合分子と比べて相対的に大きい割合の多価CD20結合分子を含む組成物)を提供する。本発明は、CD20発現細胞に対する結合親和性及び/又はCD20結合価の違いから予測できなかった方法で、いくつかの多価CD20結合分子のCD20発現細胞に対する細胞毒性が一価CD20結合タンパク質成分よりはるかに高いことを発見したことに基づく(下の実施例を参照されたい)。
実施例においてより詳細に説明するように、特定の例示的多価CD20結合分子及びそれらの組成物は、同等の量の一価CD20結合バリアンド及びその特定の組成物を使用して測定したものと比較して予想外に大きい細胞毒性作用強度を示した。理論により拘束されないが、本発明の多価CD20結合分子及びそれらの組成物は、特定の1)一価CD20結合分子及びそれらの組成物、2)毒素エフェクター領域(例えば志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチド)を欠いている多価CD20結合分子、及び/又は志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチドを含む一価CD20結合分子を全CD20結合分子に対して高い割合で含む組成物と比較して、CD20発現細胞に内在化する能力、特定の細胞内区画に細胞内経路決定する能力、及び/又は活性毒素エフェクターポリペプチド領域(例えば志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチド)をサイトゾルに送達する能力の改善を有しうる。
I.本発明の多価CD20結合分子の一般構造
本発明は、CD20発現細胞型への標的化細胞内在化のための様々な多価CD20結合分子を提供する。本発明のCD20結合分子は、1)各々がCD20の細胞外部分に特異的に結合することができる、2つ又は3つ以上のCD20結合領域と、2)志賀毒素ファミリーの少なくとも1つのメンバーのAサブユニットのアミノ酸配列に由来するポリペプチドを含む少なくとも1つの志賀毒素エフェクター領域とを含む。複数の細胞標的化CD20結合領域と志賀毒素サブユニットA由来領域の連結は、CD20+細胞型への強力な志賀毒素細胞毒性の特異的標的化を可能にする。本発明は、CD20発現細胞型への細胞内在化の標的化を含む応用のための、大きい割合の本発明の多価CD20結合分子を含む様々な組成物も提供する。
本発明の特定の多価CD20結合分子及びそれらの組成物は細胞毒性であり、他のもの、例えば、CD20発現細胞の内部を標識するためのものなどは、細胞毒性でない。本発明の特定の多価CD20結合分子及びそれらの組成物は、追加の外因性物質をCD20発現細胞に送達することができ、志賀毒素エフェクター領域の活性に依存しない細胞毒性をもたらすこともあり、又はもたらさないこともある。
A.本発明の多価CD20結合分子のCD20結合領域
本発明の多価CD20結合分子は、各々の結合領域が、CD20分子の細胞外部分と特異的に結合することができるペプチド又はポリペプチド領域を含む、2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、各々の結合領域が、細胞と物理的に会合しているCD20分子の細胞外部分と特異的に結合することができるペプチド又はポリペプチド領域を含む、2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含む。CD20結合領域は、1つ又は2つ以上の様々なペプチド性又はポリペプチド部分、例えば、ランダムに生成されたペプチド配列、それらの天然に存在するリガンド又は誘導体、免疫グロブリン由来ドメイン、免疫グロブリンドメインの代替物としての改変足場などを含むことがある。
本発明の目的では、用語「CD20結合領域」は、例えばCD20に関して1リットル当たり10−5〜10−12モルの解離定数を有するものなどの、高い親和性でCD20分子の細胞外部分に特異的に結合することができる本発明の分子のタンパク質性(例えば、ペプチド性及び/又はポリペプチド)領域を指す。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子の結合領域は、細胞と物理的に会合している、細胞表面で発現するCD20の細胞外部分に選択的かつ特異的に結合することができるポリペプチドを含む。特定の実施形態において、CD20結合領域は、CD20の細胞外部分との結合機能性を保持する、CD20分子の天然に存在するリガンド又はその誘導体を含む。特定の他の実施形態によると、CD20結合領域は、CD20の細胞外部分と高い親和性で結合することができる合成リガンドを含む。
名称CD20は、様々な種からの関連構造及びポリペプチド配列を有する複数のタンパク質を指すものでありうるが、本発明の目的では、用語「CD20」は、その正確な配列がアイソフォームに基づいて及び個体によってわずかに異なることがある、哺乳動物に存在するBリンパ球抗原CD20タンパク質を指す。当技術分野において認知されているCD20の別名としては、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16及びBp35が挙げられる。例えば、ヒトの場合、CD20は、主ポリペプチド配列UnitProt P11836及びNCBI受託NP 690605.1によって表されるタンパク質を指すが、様々なアイソフォーム及びバリアントが存在しうる。コウモリ、ネコ、ウシ、イヌ、マウス、マーモセット及びラットからのものなどの様々な種からのCD20タンパク質のポリペプチド配列が記載されており、非常に多くの他の種において遺伝子相同性に基づいてバイオインフォマティクスによってそのようなポリペプチド配列を予測することができる(例えば、CD20は、ヒヒ、マカク、テナガザル、チンパンジー及びゴリラを含む様々な霊長類において予測されている)(NCBIタンパク質データベース(米国国立生物学情報センター)を参照されたい)。当業者は、たとえ参照配列と異なっていたとしても哺乳動物のCD20関連タンパク質を同定することができるだろう。
CD20は、非ホジキンリンパ腫(NHL)及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を引き起こすB細胞によって特定の細胞発生段階中に発現するが、CD20は、造血幹細胞又は成熟形質細胞では発現されない(van Meerten T et al., Clin Cancer Res 12: 4027-35 (2006))。CD20の魅力的特性は、それが、B細胞非ホジキンリンパ腫のおおよそ90%で発現するためリンパ腫細胞の準普遍的標的となることである(Anderson K et al., Blood 63: 2825-33 (1984)、Press O et al., Cancer Res 49: 4906-12 (1989)、Press O et al., Blood.83: 1390-7 (1994)、Manches O et al., Blood 101: 949-54 (2003))。CD20のさらなる魅力的特性は、リンパ腫細胞の細胞膜上でのその高度の発現及び細胞膜にごく近接しているその複数の細胞外CD20抗原エピトープである(Teeling J et al., J Immunol 177: 362-71 (2006)、Lim S et al., Haematologica 95: 135-43 (2010))。
CD20分子の細胞外部分は、例えば細胞表面で自然に発現するCD20分子などのCD20分子が細胞膜中に存在するときに細胞外環境に露出されているその構造の一部分を指す。この文脈で、細胞外環境に露出されているとは、CD20分子の一部に、例えば、抗体が又は少なくとも、抗体より小さい結合部分、例えば、シングルドメイン抗体ドメイン、ナノボディ、ラクダ科動物若しくは軟骨魚類に由来する重鎖抗体ドメイン、一本鎖可変断片、又は免疫グロブリンの任意の数の改変代替足場(下記参照)が到達可能であることを意味する。細胞に物理的に結合しているCD20の一部の細胞外環境への露出、又は細胞に物理的に結合しているCD20への到達可能性を、当業者は、当技術分野において周知の方法を用いて実験により判定することができるだろう。細胞外空間内の抗体に到達可能でないとCD20内のそのエピトープ位置に基づいて予測されたCD20の相当な部分にモノクローナル抗体が到達可能であることが実験によって証明された(Teeling J et al., J. Immunol.177: 362-71 (2006))。
CD20結合領域は、抗体又は抗体様構造に由来しうるが、本発明の範囲内で他の起源からの代替足場がCD20結合領域の起源として考えられる。特定の実施形態において、CD20結合領域は、抗体パラトープなどの免疫グロブリン由来結合領域に由来する。特定の他の実施形態において、CD20結合領域は、免疫グロブリンドメインに由来しない改変ポリペプチドである免疫グロブリン型結合領域を含む。
1つの特異的な、しかし非限定的な態様によると、CD20結合領域は、免疫グロブリン型結合領域を含むことがある。本明細書において用いる場合の用語「免疫グロブリン型結合領域」は、抗原又はエピトープなどの1つ又は2つ以上の標的生体分子に結合することができるポリペプチド領域を指す。免疫グロブリン型結合領域は、標的分子と結合するそれらの能力によって機能的に定義され、本発明のすべての免疫グロブリン型結合領域は、CD20に結合することができる。免疫グロブリン型結合領域は、一般に、抗体又は抗体様構造に由来するが、他の起源からの代替足場がこの用語の範囲内で考えられる。
免疫グロブリン(Ig)タンパク質は、Igドメインとして公知の構造ドメインを有する。Igドメインは、長さが約70〜110アミノ酸残基の範囲であり、典型的に7〜9本の逆平行ベータ鎖が、サンドイッチ様構造を形成する2つのベータシートになるように並んでいる、特徴的なIgフォールドを有する。Igフォールドは、サンドイッチの内面で疎水性アミノ酸相互作用及び鎖内のシステイン残基間の高度に保存されたジスルフィド結合によって安定化される。Igドメインは、可変的(IgV又はVセット)であることもあり、定常的(IgC又はCセット)であることもあり、又は中間的(IgI又はIセット)であることもある。一部のIgドメインは、相補性決定領域又は相補性決定領域(CDR,complementarity determining region又はcomplementary determining region)と会合していることがあり、CDRは、抗原結合領域(ABR,antigen binding region)と言われることもあり、抗体の、それらのエピトープへの結合の特異性にとって重要である。Ig様ドメインは、非免疫グロブリンタンパク質においても見つけられ、それに基づいてタンパク質のIgスーパーファミリーのメンバーとして分類される。HUGO遺伝子命名法委員会(HGNC,HUGO Gene Nomenclature Committee)は、Ig様ドメイン含有ファミリーのメンバーのリストを提供している。
本明細書において用いる場合、「重鎖可変(VH)ドメイン」又は「軽鎖可変(VL)ドメイン」は、それぞれ、任意の抗体VH又はVLドメイン(例えばヒトVH又はVLドメイン)はもちろん、対応するネイティブ抗体の少なくとも質的抗原結合能力を保持するそれらの任意の誘導体(例えば、ネイティブネズミVH又はVLドメインに由来するヒト化VH又はVLドメイン)も指す。VH又はVLドメインは、3つのCDR又はABRが割り込んでいる「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領域は、抗原のエピトープとの特異的結合のためCDRを整列させるのに役立つ。VH及びVLドメイン両方が、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、次のフレームワーク(FR、framework)及びCDR領域を含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3そしてFR4。ラクダ科動物VHH断片、軟骨魚類のIgNAR、VNAR断片、及びそれらの誘導体には、同じ基礎配置:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3そしてFR4を含む単一の重鎖可変ドメインがある。
免疫グロブリン型結合領域は、アミノ酸配列が、例えば分子工学又はライブラリースクリーニングによって、ネイティブ抗体のアミノ酸配列又は非免疫グロブリンタンパク質のIg様ドメインのアミノ酸配列から変更された、抗体又はその抗原結合断片のポリペプチド配列でありうる。免疫グロブリン型結合領域の作製における組換えDNA技術及びインビトロライブラリースクリーニングの妥当性のため、より小さいサイズ、細胞侵入又は他の治療上の改善などの所望の特性が得られるように抗体を再設計することができる。可能な変形形態は多く、1つだけのアミノ酸の変更から、例えば可変領域の、完全再設計まで多岐にわたりうる。典型的に、抗原結合特性を向上させるように、可変領域の安定性を向上させるように、又は免疫原性応答の可能性を低下させるように、可変領域に変更を加えることになる。
本発明によって考えられるCD20の細胞外部分に結合する免疫グロブリン型結合領域は非常に沢山ある。特定の実施形態において、免疫グロブリン型結合領域は、CD20の細胞外部分に結合することができる抗体パラトープなどの、免疫グロブリン結合領域に由来する。特定の他の実施形態において、免疫グロブリン型結合領域は、CD20の細胞外部分との高親和性結合をもたらすことによって免疫グロブリン結合領域のように機能するがいかなる免疫グロブリンドメインにも由来しない改変ポリペプチドを含む。この改変ポリペプチドは、本明細書に記載の免疫グロブリンからの相補性決定領域を含む又は本明細書に記載の免疫グロブリンからの相補性決定領域から本質的になる、ポリペプチド足場を含んでいてもよい。
CD20発現細胞への本発明の多価CD20結合分子の標的化に有用である、先行技術の免疫グロブリン由来結合領域及び非免疫グロブリン改変ポリペプチドは、非常に沢山ある。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子の免疫グロブリン型結合領域は、自律VHドメイン、シングルドメイン抗体(sdAb)ドメイン、ラクダ科動物に由来する重鎖抗体ドメイン(VHH断片又はVHドメイン断片)、ラクダ科動物VHH断片又はVHドメイン断片に由来する重鎖抗体ドメイン、軟骨魚類に由来する重鎖抗体ドメイン、免疫グロブリン新規抗原受容体(IgNAR)、VNAR断片、一本鎖可変(scFv)断片、ナノボディ、重鎖とCH1ドメインとからなるFd断片、順列変異Fv(pFv,permutated Fv)、一本鎖Fv−CH3ミニボディ、二量体CH2ドメイン断片(CH2D)、Fc抗原結合ドメイン(Fcab)、単離された相補性決定領域3(CDR3)断片、拘束フレームワーク領域3,CDR3,フレームワーク領域4(FR3−CDR3−FR4)ポリペプチド、小モジュラー免疫医薬(SMIP)ドメイン、scFv−Fc融合体、多量体化scFv断片(ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ジスルフィド安定化抗体可変(Fv)断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるジスルフィド安定化抗原結合(Fab)断片、二価ナノボディ、二価ミニボディ、二価F(ab’)2断片(Fab二量体)、二重特異性タンデムVHH断片、二重特異性タンデムscFv断片、二重特異性ナノボディ、二重特異性ミニボディ、並びにそのパラトープ及び結合機能を保持する前述のものの任意の遺伝子操作された対応物を含む群から選択される(Ward E et al., Nature 341: 544-6 (1989)、Davies J, Riechmann L, Biotechnology (NY) 13: 475-9 (1995)、Brinkmann U et al., J Mol Biol 268: 107-17 (1997)、Reiter Y et al., Mol Biol 290: 685-98 (1999)、Riechmann L, Muyldermans S, J Immunol Methods 231: 25-38 (1999)、Tanha J et al., J Immunol Methods 263: 97-109 (2002)、Vranken W et al., Biochemistry 41: 8570-9 (2002)、Jespers L et al., J Mol Biol 337: 893-903 (2004)、Jespers L et al., Nat Biotechnol 22: 1161-5 (2004)、To R et al., J Biol Chem 280: 41395-403 (2005)、Saerens D et al., Curr Opin Pharmacol 8: 600-8 (2008)、Dimitrov D, MAbs 1: 26-8 (2009)、Weiner L, Cell 148: 1081-4 (2012)、Ahmad Z et al., Clin Dev Immunol 2012: 980250 (2012)を参照されたい)。例えば、改変二量体Fcドメイン、単量体Fc(mFc,monomeric Fc)、scFv−Fc、VHH−Fc、CH2ドメイン、単量体CH3(mCH3,monomeric CH3)ドメイン、合成により再プログラムされた免疫グロブリンドメイン、及び/又は免疫グロブリンドメインとリガンドのハイブリッド融合体などの、免疫グロブリンの定常領域に由来するポリペプチドを含む様々な結合領域がある(Hofer T et al., Proc Natl Acad Sci USA 105: 12451-6 (2008)、Xiao J et al., J Am Chem Soc 131: 13616-13618 (2009)、Xiao X et al., Biochem Biophys Res Commun 387: 387-92 (2009)、Wozniak-Knopp G et al., Protein Eng Des Sel 23 289-97 (2010)、Gong R et al., PLoS ONE 7: e42288 (2012)、Wozniak-Knopp G et al., PLoS ONE 7: e30083 (2012)、Ying T et al., J Biol Chem 287: 19399-408 (2012)、Ying T et al., J Biol Chem 288: 25154-64 (2013)、Chiang M et al., J Am Chem Soc 136: 3370-3 (2014)、Rader C, Trends Biotechnol 32: 186-97 (2014)Ying T et al., Biochimica Biophys Acta 1844: 1977-82 (2014))。
特定の他の実施形態に従って、結合領域は、免疫グロブリンドメインの改変代替足場を含む。免疫グロブリン由来構造と同様の機能的特性、例えば、標的生体分子に対する高親和性及び特異的結合を示し、特定の免疫グロブリンドメインに特性向上、例えば、より高い安定性又は免疫原性低減などをもたらすこともある、改変代替足場は、当技術分野において公知である。一般に、免疫グロブリンの代替足場は、20キロダルトン(kDa)未満であり、1本のポリペプチド鎖からなり、システイン残基を欠いており、比較的高い熱力学的安定性を示す。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態について、免疫グロブリン型結合領域は、改変された、アルマジロ反復ポリペプチド(ArmRP)、改変された、フィブロネクチン由来第10フィブロネクチンIII型(10Fn3)ドメイン(モノボディ、AdNectins(商標)、又はAdNexins(商標))、改変された、テネイシン由来テネイシンIII型ドメイン(Centryns(商標))、改変された、アンキリン反復モチーフ含有ポリペプチド(DARPins(商標))、改変された、低密度リポタンパク質受容体由来Aドメイン(LDLR−A)(Avimers(商標))、リポカリン(アンチカリン)、改変された、プロテアーゼ阻害剤由来Kunitzドメイン、改変された、プロテインA由来Zドメイン(Affibodies(商標))、改変された、ガンマ−B結晶由来足場又は改変された、ユビキチン由来足場(アフィリン)、Sac7d由来ポリペプチド(Nanoffitins(登録商標)又はアフィチン)、改変された、Fyn由来SH2ドメイン(Fynomers(登録商標))、及び改変された抗体模倣物、並びにその結合機能性を保持する前述のものの任意の遺伝子操作された対応物を含む群から選択される(Worn A, Pluckthun A, J Mol Biol 305: 989-1010 (2001)、Xu L et al., Chem Biol 9: 933-42 (2002)、Wikman M et al., Protein Eng Des Sel 17: 455-62 (2004)、Binz H et al., Nat Biotechnol 23: 1257-68 (2005)、Hey T et al., Trends Biotechnol 23 :514-522 (2005)、Holliger P, Hudson P, Nat Biotechnol 23: 1126-36 (2005)、Gill D, Damle N, Curr Opin Biotech 17: 653-8 (2006)、Koide A, Koide S, Methods Mol Biol 352: 95-109 (2007)、Byla P et al., J Biol Chem 285: 12096 (2010)、Zoller F et al., Molecules 16: 2467-85 (2011)、Alfarano P et al., Protein Sci 21: 1298-314 (2012)、Madhurantakam C et al., Protein Sci 21: 1015-28 (2012)、Varadamsetty G et al., J Mol Biol 424: 68-87 (2012))。例えば、改変Fn3(CD20)は、CD20発現細胞との高親和性結合を示す、改変された代替足場CD20結合領域である(Natarajan A et al., Clin Cancer Res 19: 6820-9 (2013))。
本発明の特定の実施形態の中で、免疫グロブリン型結合領域は、ナノボディ又はシングルドメイン免疫グロブリン由来領域VHHに由来する。一般に、ナノボディは、ラクダ科動物及び軟骨魚類(軟骨魚綱)において見いだされるような天然に存在する単一の単量体性可変ドメイン抗体(sdAb)の断片から構築される。ナノボディは、例えばIgNAR、VHH及びVNAR構築物などの、より小さい、より安定性の高い分子を作製するために、これらの天然に存在する抗体からその単一の単量体性可変ドメインの短縮化によって改変される。それらの小さいサイズのため、ナノボディは、全抗体に到達できない抗原と結合することができる。本発明の特定の実施形態の中で、免疫グロブリン型結合領域は、特異的にCD20の細胞外部分との高親和性結合を示す、ナノボディ又はシングルドメイン免疫グロブリン由来領域VHHに由来する。
特定の他の実施形態に従って、本発明のCD20結合分子の免疫グロブリン型結合領域は、Fc領域も、Fc領域エフェクター機能を保持するいかなるFc領域エフェクタードメインも含まない、免疫グロブリン由来結合領域を含む。本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態について、多価CD20結合分子は、Fc領域も、Fc機能(下記のFc機能の例を参照されたい)を保持するFc領域エフェクタードメインも含まない。
本明細書において用いる場合、句「Fc領域」は、例えば免疫グロブリンアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMなどの、免疫グロブリン中に存在するポリペプチドドメインである結晶性断片領域又はFc(断片、結晶性領域)を指す。Fc領域は、例えばT細胞、好塩基球、好酸球、大食細胞(マクロファージ)、マスト細胞、好中球及びナチュラルキラー細胞(NK,natural killer,細胞)などの免疫細胞上に存在する免疫系及び/又はFc受容体の補体系と相互作用する。Fc領域エフェクター機能は、T細胞を活性化する機能、TNF−アルファのようなサイトカインなどの炎症性媒介因子の放出を刺激する機能、補体依存性細胞毒性(CDC)、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、最終的ファゴサイトーシス及び可能な免疫作用を開始させる機能を含む。Fc領域は、例えば、抗原結合断片と合成F(ab’)2及びFcab中のFc領域との融合体などの、組換えポリペプチド及びタンパク質に改変されることもある。
いかなるFc領域もFc領域エフェクター機能を保持するいかなるFc領域エフェクタードメインも含まない本発明のCD20結合分子は、免疫不全患者などのFc−FcyR依存性メカニズムが損なわれている対象において、免疫正常患者などの他の対象の場合と同様によく機能することができるだろう。
上記CD20結合領域のいずれを本発明の成分として使用してもよいが、そのCD20結合領域成分が、CD20の細胞外部分に対して、1リットル当たり10−5〜10−12モル、好ましくは200nM未満の解離定数を有することを条件とする。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば志賀毒素ファミリーの志賀毒素Aサブユニットなどの、タンパク質性毒素に由来する毒素エフェクター領域を含む。
B.本発明の多価CD20結合分子の志賀毒素エフェクター領域
本発明の目的では、句「志賀毒素エフェクター領域」は、志賀毒素ファミリーの少なくとも1つのメンバーの志賀毒素Aサブユニットに由来するポリペプチド領域を指し、該志賀毒素エフェクター領域は、少なくとも1つの志賀毒素機能を示すことができる。志賀毒素機能は、例えば、細胞侵入を促進する機能、脂質膜を変形させる機能、クラスリン媒介エンドサイトーシスを刺激する機能、逆行輸送を指示する機能、細胞内経路決定を指示する機能、細胞内分解を回避する機能、リボソームを触媒不活性化する機能、細胞毒性をもたらす機能、及び細胞分裂停止作用をもたらす機能を含む。
志賀毒素ファミリーのメンバーは、構造的に及び機能的に関連している、天然に存在するタンパク質毒素、特に、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)及び大腸菌(E. coli)から単離される毒素、のファミリーの任意のメンバーを指す(Johannes L, Romer W, Nat Rev Microbiol 8: 105-16 (2010))。例えば、志賀毒素ファミリーは、志賀赤痢菌血清型1から単離される真正志賀毒素(Stx,Shiga toxin)、腸管出血性大腸菌の血清型から単離される志賀様毒素1(SLT1又はStx1又はSLT−1又はSlt−I,Shiga-like toxin 1)バリアント、及び腸管出血性大腸菌の血清型から単離される志賀様毒素2(SLT2又はStx2又はSLT−2,Shiga-like toxin 2)バリアントを包含する。SLT1は、1残基しかStxと異ならず、両方ともベロ細胞毒素又はベロ毒素(VT,Verotoxin)と言われている(O’Brien A et al, Curr Top Microbiol Immunol 180: 65-94 (1992))。SLT1及びSLT2バリアントは、アミノ酸配列レベルでは互いの類似性が約53〜60%に過ぎないが、志賀毒素ファミリーのメンバーに共通の酵素活性メカニズム及び細胞毒性メカニズムを共有する(Johannes, Nat Rev Microbiol 8: 105-16 (2010))。39種を超える様々な志賀毒素、例えば、被定義サブタイプStx1a、Stx1c、Stx1d及びStx2a〜gが記載されている(Scheutz F et al., J Clin Microbiol 50: 2951-63 (2012))。志賀毒素ファミリーのメンバーは、志賀毒素をコードする遺伝子が遺伝子水平伝播によって細菌種間で伝播しうるので、本来、いかなる細菌種にも限定されない。種間伝播の一例として、患者から単離されたアシネトバクター・ヘモリティカス(A. haemolyticus)の株で志賀毒素が発見された(Grotiuz G et al., J Clin Microbiol 44: 3838-41 (2006))。志賀毒素をコードするポリヌクレオチドが新たな亜種又は種に侵入すると、志賀毒素アミノ酸配列は、志賀毒素ファミリーのメンバーに共通の細胞毒性メカニズムをなお維持しながら、遺伝的浮遊及び/又は選択圧に起因してわずかな配列変化を発生させうると推測される。
本発明の多価CD20結合分子の志賀毒素エフェクター領域は、そのネイティブ志賀毒素Bサブユニットのいかなる形態からも解離されている志賀毒素Aサブユニットに由来するポリペプチドを含む、又はそのようなポリペプチドから本質的になる。加えて、本発明の多価CD20結合分子は、ネイティブ志賀毒素Bサブユニットの機能性結合ドメインを含む又はネイティブ志賀毒素Bサブユニットの機能性結合ドメインから本質的になる、いかなるポリペプチドも含まない。むしろ、多価CD20結合分子の志賀毒素Aサブユニット由来領域は、細胞標的化を果たすために異種結合領域と機能的に会合している。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子の志賀毒素エフェクター領域は、完全長志賀毒素Aサブユニット(例えば、SLT−1A(配列番号1)、StxA(配列番号2)若しくはSLT−2A(配列番号3))を含む又は完全長志賀毒素Aサブユニットから本質的なることもあるが、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットが、成熟志賀毒素Aサブユニットを生産するために除去される、及び当業者には認識できる、約22アミノ酸のシグナル配列を含有する前駆形態をそのアミノ末端に含むことがあることに言及しておく。他の実施形態において、本発明の志賀毒素エフェクター領域は、完全長志賀毒素Aサブユニットより短い短縮型志賀毒素Aサブユニットを含む、又はそのような短縮型志賀毒素Aサブユニットから本質的になる。
志賀様毒素1Aサブユニット短縮形は、触媒活性であり、インビトロでリボソームを触媒不活性化することができ、細胞内で発現したとき細胞毒性である。完全触媒活性を示す最小志賀毒素Aサブユニット断片は、Slt1Aの残基1〜239で構成されているポリペプチドであることが証明された。実質的な触媒活性を保持すると報告された志賀毒素Aサブユニットの最小断片は、StxAの残基75〜247であったが、真核細胞内で新規に発現するStxA短縮形は、サイトゾルに達してリボソーム触媒不活性化を発揮するために240以下の残基しか必要としない。
志賀毒素エフェクター領域は、一般に、完全長志賀毒素Aサブユニットより小さいだろう。志賀毒素エフェクター領域は、アミノ酸位置77〜239(SLT−1A(配列番号1)若しくはStxA(配列番号2))のポリペプチド領域、又は志賀毒素ファミリーのメンバーの他のAサブユニット内の同等の領域(例えば(配列番号3)の77〜238)を維持することが好ましい。例えば、本発明の特定の実施形態において、SLT−1Aに由来する志賀毒素エフェクター領域は、配列番号1のアミノ酸75〜251、配列番号1のアミノ酸1〜241、配列番号1のアミノ酸1〜251、若しくは配列番号1のアミノ酸1〜261を含む又はこれらのアミノ酸から本質的になることがある。特定の他の実施形態において、StxAに由来する志賀毒素エフェクター領域は、配列番号2のアミノ酸75〜251、配列番号2のアミノ酸1〜241、配列番号2のアミノ酸1〜251、若しくは配列番号2のアミノ酸1〜261を含む又はこれらのアミノ酸から本質的になることがある。特定の他の実施形態の中で、SLT−2に由来する志賀毒素エフェクター領域は、配列番号3のアミノ酸75〜251、配列番号3のアミノ酸1〜241、配列番号3のアミノ酸1〜251、若しくは配列番号3のアミノ酸1〜261を含む又はこれらのアミノ酸から本質的になることがある。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、志賀毒素エフェクター領域は、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットと、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40又は41以上までのアミノ酸残基が(しかし、少なくとも85%、90%、95%、99%又はそれより高いアミノ酸配列同一性を保持するもの以下が)異なる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、志賀毒素以外のタンパク質性毒素に由来する毒素エフェクター領域を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、非機能性志賀毒素エフェクター領域を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、志賀毒素エフェクター領域を含まない。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば、志賀毒素以外のABx毒素、志賀毒素以外のリボソーム不活性化タンパク質毒素、アブリン、炭疽毒素、Aspf1、ブーゲニン、ブリオジン、コリックス毒素、クローディン、ジフテリア毒素、ゲロニン、易熱性エンテロトキシン、ミトギリン、百日咳毒素、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、プルケリン、緑膿菌外毒素A、レストリクトシン、リシン、サポリン、サルシン、及びスブチラーゼ細胞毒素に由来するものなど、志賀毒素ファミリーのメンバー以外の毒素に由来する毒素エフェクター領域を、触媒活性であるか触媒不活性であるかにかかわらず、含む(例えば、国際公開第2015/113005号パンフレット、国際公開第2015/120058号パンフレットを参照されたい)。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、毒素エフェクター領域も、毒素に由来するいかなるポリペプチドも含まない。
本発明の多価CD20結合分子の上記実施形態において、(細胞毒性であることもあり、並びに/又は触媒活性及び/若しくは細胞毒性を変える、低減させる、若しくは除去する1つ若しくは2つ以上の変異を内部に持つこともある)CD20結合領域及び毒素エフェクターポリペプチド領域は、互いに直接連結されることもあり、並びに/又は当技術分野において周知の及び/若しくは本明細書に記載の1つ若しくは2つ以上のリンカー、例えば、本発明の多価CD20結合分子の他のタンパク質性成分間で遺伝子融合されうるタンパク質性リンカーなどによって互いに好適に連結されることもある。
本発明の多価CD20結合分子は、例えば、該多価CD20結合分子のタンパク質性成分(例えば、タンパク質成分)のカルボキシ末端のアミノ酸KDELなどの、カルボキシ末端小胞体保留/回収シグナルモチーフをさらに含んでいてもよい。
C.本発明の多価CD20結合分子の成分を接続する連結
本発明の多価CD20結合分子の個々のペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質成分、例えば、CD20結合領域及び志賀毒素エフェクター領域は、当技術分野において周知の及び/又は本明細書に記載の1つ又は2つ以上のリンカーによって互いに好適に連結させることができるだろう。本発明の多価CD20結合分子のタンパク質及びポリペプチド成分、例えば、多鎖結合領域は、当技術分野において周知の1つ又は2つ以上のリンカーによって互いに又は本発明の多価CD20結合分子の他のポリペプチド成分と好適に連結させることができるだろう。本発明の多価CD20結合分子のペプチド成分、例えば、抗原性ペプチド及びKDELファミリー小胞体保留/回収シグナルモチーフは、当技術分野において周知である1つ又は2つ以上のリンカー、例えばタンパク質性リンカー、によって本発明の別の成分に好適に連結させることができるだろう。
好適なリンカーは、一般に、いかなるリンカーも他の成分も用いずに個々に生産されたポリペプチド成分と非常に類似している三次元構造での、本発明の多価CD20結合分子の各ポリペプチド成分のフォールディングを可能にするものである。好適なリンカーは、単一のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、及び前述のものを一切欠いているリンカー、例えば、分岐状か環状かにかかわらず様々な非タンパク質性炭素鎖を含む(例えば、Alley S et al., Bioconjug Chem 19: 759-65 (2008)、Ducry L, Stump B, Bioconjug Chem 21: 5-13 (2010)を参照されたい)。
好適なリンカーは、タンパク質性であることがあり、1つ又は2つ以上のアミノ酸、ペプチド及び/又はポリペプチドを含むことがある。タンパク質性リンカーは、組換え融合タンパク質にも化学的に連結されたコンジュゲートにも好適である。タンパク質性リンカーは、例えば約5〜約30、又は約6〜約25アミノ酸残基などの、約2〜約50アミノ酸残基を概して有する。選択されるリンカーの長さは、例えば、所望の特性、又はリンカーが選択される理由となる特性などの、様々な因子に依存することになる。
好適なリンカーは、例えば化学的リンカーなどの、非タンパク質性のものであることもある。当技術分野において公知の様々な非タンパク質性リンカー、例えば、免疫グロブリンポリペプチドを異種ポリペプチドにコンジュゲートさせるために一般に使用されるリンカーを使用して、CD20結合領域を志賀毒素エフェクター領域に結合させてもよい。例えば、本発明の多価CD20結合分子の成分を、それらのアミノ酸残基及び炭水化物部分の官能性側鎖、例えば、カルボキシ、アミン、スルフヒドリル、カルボン酸、カルボニル、ヒドロキシル及び/又は環式環基などを使用して互いに連結させてもよい。例えば、ジスルフィド結合及びチオエーテル結合を使用して、2つ又は3つ以上のタンパク質を連結させてもよい。加えて、非天然アミノ酸残基を他の官能性側鎖、例えばケトン基と併用してもよい(例えば、Axup J et al., Proc Natl Acad Sci USA 109: 16101-6 (2012)を参照されたい)。非タンパク質性化学的リンカーの例は、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)−アミノベンゾエート、S−(N−スクシンイミジル)チオアセテート(SATA,S-(N-succinimidyl) thioacetate)、N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−cu−メチル−a−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT,N-succinimidyl-oxycarbonyl-cu-methyl-a-(2-pyridyldithio) toluene)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)−ペンタノエート(SPP,N-succinimidyl 4-(2-pyridyldithio)-pentanoate)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC又はMCC,succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl) cyclohexane carboxylate)、スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)−アミノベンゾエート、4−スクシンイミジル−オキシカルボニル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン、スルホスクシンイミジル−6−(α−メチル−α−(ピリジルジチオール)−トルアミド)ヘキサノエート、N−スクシンイミジル−3−(−2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP,N-succinimidyl-3-(-2-pyridyldithio)-proprionate)、スクシンイミジル6(3(−(−2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド)ヘキサノエート、スルホスクシンイミジル6(3(−(−2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド)ヘキサノエート、マレイミドカプロイル(MC,maleimidocaproyl)、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(MC−vc−PAB,maleimidocaproyl-valine-citrulline-p-aminobenzyloxycarbonyl)、3−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS,3-maleimidobenzoic acid N-hydroxysuccinimide ester)、アルファ−アルキル誘導体、スルホNHS−ATMBA(スルホスクシンイミジルN−[3−(アセチルチオ)−3−メチルブチリル−ベータ−アラニン])、スルホジクロロフェノール、2−イミノチオラン、3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオニルヒドラジド、エルマン試薬、ジクロロトリアジン酸、及びS−(2−ジピリジル)−L−システインを含むが、これらに限定されない。
タンパク質性か非タンパク性かにかかわらず、好適なリンカーは、例えば、プロテアーゼ感受性、環境酸化還元電位感受性、pH感受性、酸切断性、光切断性及び/又は熱感受性リンカーを含むことができるだろう。
組換え融合タンパク質である本発明の多価CD20結合分子の実施形態への組み込みにタンパク質性リンカーが選択されることもある。例えば、本発明の多価CD20結合タンパク質のタンパク質性成分を、1つ又は2つ以上のアミノ酸、ペプチド及び/又はポリペプチドを含む1つ又は2つ以上のリンカーによって連結させてもよい。本発明の組換え融合多価CD20結合タンパク質について、リンカーは、約1〜50アミノ酸残基、好ましくは約5〜30アミノ酸残基を概して含む。一般に、タンパク質性リンカーは、例えばトレオニン、プロリン、グルタミン、グリシン及びアラニンなどの極性、非荷電及び/又は荷電残基とともにアミノ酸残基の大多数を含む。タンパク質性リンカーの非限定的な例は、アラニン−セリン−グリシン−グリシン−プロリン−グルタメート(ASGGPE)、バリン−メチオニン(VM)、アラニン−メチオニン(AM)、AM(G2〜4S)XAM(この場合、Gはグリシンであり、Sはセリンであり、xは1〜10の整数である)を含む。
所望の特性に基づいてタンパク質性リンカーを選択してもよい。当業者は、特異的特徴を念頭に置いて、例えば、融合タンパク質のフォールディング、安定性、発現、可溶性、薬物動態特性、薬力学的特性、及び/又は融合構築物に関連して同じドメイン単独での活性と比較した融合ドメインの活性のうちの1つ又は2つ以上を最適化するように、タンパク質性リンカーを選択することができるだろう。例えば、タンパク質性リンカーは、可動性、剛性及び/又は切断性に基づいて選択されることもある。当業者は、リンカーを選択する際にデータベース及びリンカー設計ソフトウェアツールを利用することができるだろう。発現を最適化するために特定のリンカーが選択されることもある。ホモ多量体を形成するために同一のCD20結合分子間の又はヘテロ多量体を形成するために異なるCD20結合分子間の分子間相互作用を促進するために、特定のリンカーが選択されることもある(例えば、図1を参照されたい)。例えば、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質性成分間の所望の非共有結合性相互作用、例えば、二量体及び他のより高次の多量体の形成に関連した相互作用などを可能にする、タンパク質性リンカーを選択してもよい(例えば、図1を参照されたい)。
可動性タンパク質性リンカーは、多くの場合、12アミノ酸残基長より長く、小さい非極性アミノ酸残基、極性アミノ酸残基及び/又は親水性アミノ酸残基、例えばグリシン、セリン及びトレオニンなどに富んでいる。可動性タンパク質性リンカーは、成分間の空間的分離を増すために選択されることもあり、及び/又は成分間の分子間相互作用を可能にするために選択されることもある。例えば、様々な「GS」リンカーが当業者に公知であり、複数のグリシン及び/又は1つ若しくは2つ以上のセリンで構成されており、例えば(GxS)n、(SxG)n、(GGGGS)n及び(G)n(この場合、xは1〜6であり、nは1〜30である)などの反復単位で構成されていることもある(例えば、国際公開第96/06641号パンフレットを参照されたい)。可動性タンパク質性リンカーの非限定的な例は、GKSSGSGSESKS、EGKSSGSGSESKEF、GSTSGSGKSSEGKG、GSTSGSGKSSEGSGSTKG、GSTSGSGKPGSGEGSTKG、SRSSG及びSGSSCを含む。
剛性タンパク質性リンカーは、多くの場合、堅いアルファヘリックス構造であり、プロリン残基及び/又は1つ若しくは2つ以上の戦略的に配置されたプロリンに富んでいる。剛性リンカーは、連結された成分間の分子間相互作用を防止するために選択されることもある。
好適なリンカーは、成分のインビボ分離、例えば、切断及び/又は環境特異的不安定性に起因する成分のインビボ分離などを可能にするように選択されることもある。インビボ切断性タンパク質性リンカーは、タンパク質プロセッシングによって結合解除することができ、及び/又は環境を、多くの場合、生物体内の若しくは特定の細胞型の内部の特異的部位の環境を、削減することができる。インビボ切断性タンパク質性リンカーは、1つ又は2つ以上のシステイン対によって形成される、プロテアーゼ感受性モチーフ及び/又はジスルフィド結合を含むことが多い。インビボ切断性タンパク質性リンカーは、生物体内の特定の位置、細胞内の区画、のみに存在する及び/又は(例えば、異常に高レベルのプロテアーゼ、特定の疾患部位で過剰発現するプロテアーゼ、及び病原性微生物によって特異的に発現するプロテアーゼに関わるものなどの)特定の生理若しくは病的条件下でのみ活性になるプロテアーゼに対して感受性であるように設計することができるだろう。例えば、細胞内のみに存在するプロテアーゼ、特異的な細胞型内にのみ存在するプロテアーゼ、及びがん若しくは炎症のような病的条件下でのみ存在するプロテアーゼなどによって切断されるタンパク質性リンカー、例えば、R−x−x−Rモチーフ及びAMGRSGGGCAGNRVGSSLSCGGLNLQAMは、当技術分野において公知である。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態では、標的細胞内に存在するプロテアーゼによって切断されるように1つ又は2つ以上のプロテアーゼ感受性部位を含むリンカーを使用することがある。本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態では、脊椎動物生物への投与後の望ましくない毒性を低減させるために切断性でないリンカーを使用することもある。
好適なリンカーは、タンパク質性か非タンパク質性かにかかわらず、例えば、プロテアーゼ感受性、環境酸化還元電位感受性、pH感受性、酸切断性、光切断性及び/又は熱感受性リンカーを含むことができるだろう。
好適な切断性リンカーは、例えば、Zarling D et al., J Immunol 124: 913-20 (1980)、Jung S, Moroi M, Biochem Biophys Acta 761: 152-62 (1983)、Bouizar Z et al., Eur J Biochem 155: 141-7 (1986)、Park L et al., J Biol Chem 261: 205-10 (1986)、Browning J, Ribolini A, J Immunol 143: 1859-67 (1989)、Joshi S, Burrows R, J Biol Chem 265: 14518-25 (1990)によって述べられているリンカーなどの、当技術分野において公知である切断性基を含むリンカーを含むことができるだろう。
好適なリンカーは、pH感受性リンカーを含むことができるだろう。例えば、特定の好適なリンカーは、標的細胞の細胞内区画内部で解離させるために、より低いpH環境でのそれらの不安定性により選択されることもある。例えば、1つ又は2つ以上のトリチル基、誘導体化トリチル基、ビスマレイミドエトキシプロパン基、アジピン酸ジヒドラジド基及び/又は酸不安定性トランスフェリン基を含むリンカーは、特異的pH範囲を有する環境で本発明の多価CD20結合分子の成分、例えばポリペプチド成分、を放出させることができるだろう。例えば健常組織の場合より低い腫瘍組織のpHなどの、組織間の生理的pH差に対応するpH範囲で切断される特定のリンカーを選択してもよい。
光切断性リンカーは、可視領域の光などの特定の波長領域の電磁放射線への曝露に基づいて切断されるリンカーである。光切断性リンカーを使用して、本発明の多価CD20結合分子の成分、例えばポリペプチド成分を特定の波長の光への曝露に基づいて放出させることができるだろう。光切断性リンカーの非限定的な例は、システインの光切断性保護基のようなニトロベンジル基、ニトロベンジルオキシカルボニルクロリド架橋剤、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド共重合体、グリシン共重合体、フルオレセイン共重合体及びメチルローダミン共重合体を含む。光切断性リンカーは、ファイバーオプティクスを使用して光に曝露することができる疾患、障害及び状態を治療するために設計された本発明の多価CD20結合分子を形成するための成分の連結に、特に使用されうる。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、CD20結合領域は、共有結合性連結及び非共有結合性連結のいずれか又は両方を含む当業者に公知の任意の数の手段を使用して、志賀毒素エフェクター領域に連結される。CD20結合領域の個々のポリペプチド小成分、例えば、免疫グロブリンCDR、ABR、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、及び/又はVHH領域を、当技術分野において周知の及び/又は本明細書に記載の1つ又は2つ以上のリンカーによって好適に互いに連結させることができるだろう。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、分子は、重鎖可変(VH)ドメインと軽鎖可変(VL)ドメインを接続するリンカーを有するscFvであるCD20結合領域を含む。例えば15残基(Gly4Ser)3ペプチドなどの、この目的に好適な非常に多くのリンカーが当技術分野において公知である。非共有結合性多価構造の形成に使用することができるだろう好適なscFvリンカーは、GGS、GGGS(Gly3Ser又はG3S)、GGGGS(Gly4Ser又はG4S)、GGGGSGGG、GGSGGGG、GSTSGGGSGGGSGGGGSS、及びGSTSGSGKPGSSEGSTKGを含む。
本発明の多価CD20結合分子の成分の連結に好適な方法は、そのような連結を果たすための当技術分野において現在公知のいずれの方法によるものであってもよいが、ただし、本明細書に記載するアッセイを含む適切なアッセイによって測定して、その結合が、CD20結合領域の結合能力、多価CD20結合分子の細胞内在化、及び/又は志賀毒素エフェクター領域の所望の志賀毒素エフェクター機能を実質的に妨げないことを条件とする。
D.多価CD20結合分子の構造例
本発明の多価CD20結合分子の一般構造は、様々な多様なCD20発現細胞型への細胞毒性、細胞分裂停止、診断薬及び/又は外因性物質送達の細胞標的化をもたらすために様々な多様なCD20結合領域が同じ又は異なる志賀毒素エフェクター領域とともに使用されうることから、モジュラーである。各々がCD20の細胞外部分に結合することができる2つ又は3つ以上のいかなるCD20結合領域を志賀毒素エフェクター領域と会合させて本発明の多価CD20結合分子を生産してもよいことは、当業者には理解されるであろう。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は22の個々のCD20結合領域を含む。
本発明の多価CD20結合分子は、様々な多価構造を含むことがある(例えば図1を参照されたい)。例えば、共有結合性及び/又は非共有結合性相互作用を用いて、本発明の多価CD20結合分子を形成するように様々な成分を互いに会合させることによって、多価構造を作製することができる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば二量体、三量体、四量体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディなどのような、2つ又は3つ以上のタンパク質性サブユニットの多量体複合体である。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、該多価CD20結合分子の2つ又は3つ以上の成分が互いに化学的に連結又はコンジュゲートされているので、2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含む。例えば、2つ又は3つ以上のCD20結合タンパク質を互いにコンジュゲートさせて多価CD20結合分子を形成するために化学的リンカーが使用されることもある(例えば、Wolff E et al., Cancer Res 53: 2560-5 (1993)、Ghetie M et al., Proc Natl Acad Sci USA 94: 7509-14 (1997)、Ghetie M et al., Blood 97: 1392-8 (2001)を参照されたい)。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態は、同一であってもよく、又は同一でなくてもよい、2つ又は3つ以上の成分分子を含む多量体構造を含む。本明細書において用いる場合、用語(X)nは、成分(X)の整数(n)個のコピーを含む、又は成分(X)の整数(n)個のコピーからなる分子を指す。例えば、2つの同一の一価CD20結合ポリペプチドサブユニットを含む二量体タンパク質をホモ二量体又は(CD20結合単量体)2と言うこともある。別の例は、各々のタンパク質が3つ又は4つ以上の同一のポリペプチド「X」サブユニットを含む、多価タンパク質の混合物であり、これを本明細書では(X)2+nと言い、この場合の「n」は正の整数を指し、「2+n」の値は、存在するタンパク質分子のタンパク質1個当たりのCD20結合領域の数を表し、このように単一のタンパク質組成物中に存在する複数の異なる多価タンパク質種を記述する。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態は、例えばホモ二量体、ホモ三量体及びホモ四量体などのような、2つ又は3つ以上のCD20結合分子からなる多量体である。例えば、2つ又は3つ以上の一価CD20結合ポリペプチドを組み合わせて、本発明の多価CD20結合分子を形成することもある(例えば、図1を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、多量体構造を有する多価CD20結合分子をもたらす2つ又は3つ以上の成分間のドメイン交換の結果として生ずる非共有結合性分子間会合のため、各々が少なくとも1つのCD20結合領域を含む2つ又は3つ以上の成分を含む(例えば図1Bを参照されたい)。例えば、免疫グロブリンドメイン間のタンパク質ドメイン交換を、正確な多量体構造を生産するメカニズムに従って改変し、最適化することができる(例えば、Arndt K et al., Biochemistry 37: 12918-26 (1998)、Holliger P et al., Proc Natl Acad Sci USA90: 6444-8 (1993)を参照されたい)。
当業者は、様々なscFvベースのポリペプチド相互作用を使用して、例えばscFvベースの二量体、三量体、四量体、複合体などのような本発明の多量体多価CD20結合分子を改変することができる。例えば、scFv中のリンカーの長さは、非共有結合に基づく多量体多価構造の自然発生的な構築に影響を与えることがある。一般に、一切のリンカー不在を含めて12アミノ酸又はそれ未満以内のリンカーは、鎖間ドメイン対合より好都合な分子間ドメイン交換による、scFvを含むポリペプチド又はタンパク質のより高分子量種への多量体化を促進する(例えば、Huston J et al., Methods Enzymol 203: 46-88 (1991)、Holliger P et al., Proc Natl Acad Sci USA 90: 6444-8 (1993)、Stemmer W et al., Biotechniques 14: 256-65 (1993)、Whitlow M et al., Protein Eng 6: 989-95 (1993)、Desplancq D et al., Protein Eng 7: 1027-33 (1994)、Whitlow M et al., Protein Eng 7: 1017-26 (1994)、Alfthan K et al., Protein Eng 8: 725-31 (1995)、Iliades P et al., FEBS Lett 409: 437-41 (1997)、Kortt A et al., Biomol Eng 18: 95-108 (2001)、Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)、Tomlinson I, Holliger P et al., Methods Enzymol 326: 461-79 (2001)、Dolezal O et al., Protein Eng 16: 47-56 (2003)を参照されたい)。しかし、リンカーを全く有さない又は例示的15アミノ酸残基長のリンカーを有するscFvが多量体化することもある(Whitlow M et al., Protein Eng 6: 989-95 (1993)、Desplancq D et al., Protein Eng 7: 1027-33 (1994)、Whitlow M et al., Protein Eng 7, 1017-26 (1994)、Alfthan K et al., Protein Eng 8: 725-31 (1995))。当業者は、当技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載の技術を使用して作製及び/又は精製される多量体構造を同定することができる。
加えて、追加の共有結合を有する改変構造を使用して、自然発生的に構築する多量体構造を安定させることができる(例えば、Glockshuber R et al., Biochemistry 29: 1362-7 (1990)を参照されたい)。例えば、特異的位置でのシステイン残基導入を使用して、例えばアミノ酸残基:GGGGC及びSGGGGCを付加させることなどによって、Cys−ダイアボディ、scFv’多量体、VHH多量体、VNAR多量体及びIgNAR多量体のようなジスルフィド安定化構造を作製することができるだろう(Tai M et al., Biochemistry 29: 8024-30 (1990)、Caron P et al., J Exp Med 176: 1191-5 (1992)、Shopes B, J Immunol 148: 2918-22 (1992)、Adams G et al., Cancer Res 53: 4026-34 (1993)、McCartney J et al., Protein Eng 18: 301-14 (1994)、Perisic O et al., Structure 2: 1217-26 (1994)、George A et al., Proc Natl Acad Sci USA 92: 8358-62 (1995)、Tai M et al., Cancer Res (Suppl) 55: 5983-9 (1995)、Olafsen T et al., Protein Eng Des Sel 17: 21-7 (2004))。したがって、当業者は、ジスルフィド架橋を使用して、及び/又は特定のジスルフィド架橋の位置を制御するための特定の位置でのシステイン残基の付加若しくは除去によって、本発明の多価CD20結合分子を作製又は安定させることができる。
特定の実施形態において、本発明のCD20結合分子の多価構造は、CD20の細胞外部分に結合する2つ又は3つ以上の免疫グロブリンドメインを含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、単一の連続したポリペプチド鎖を含む又は単一の連続したポリペプチド鎖からなることがある。例えば、タンデムscFv(taFv,tandem scFv)、一本鎖ダイアボディ(scDb,single chain diabody)及びタンデムダイアボディ(tanDb,tandem diabody又はTandab)と言われることもある、一本鎖二価scFvは、単一の連続したポリペプチドから作製される多価結合タンパク質の代表である(例えば、Mack M et al., Proc Natl Acad Sci USA 92: 7021-5 (1995)、Kipriyanov S et al., J Mol Biol 293: 41-56 (1999)、Cochlovius, B et al., Cancer Res 60: 4336-41 (2000)、Volkel T et al., Protein Eng 14: 815-23 (2001)、Jendreyko N et al., J Biol Chem 278: 47812-9 (2003)、Kipriyanov S et al., J Mol Biol 330: 99-111 (2003)、Miller K et al., J Immunol 170: 4854-61 (2003)、Meng R et al., Clin Cancer Res 10: 1274-81 (2004)、Schlereth B et al., Cancer Res 65: 2882-9 (2005)、Huang T, Morrison S, J Pharmacol Exp Ther 316: 983-91 (2006)、Liu X et al., Int Immunopharmacol 6: 791-9 (2006)、Shen J et al., J Biol Chem 281: 10706-14 (2006)、Shen J et al., J Immunol Methods 318: 65-74 (2007)、Wu C et al., Nat Biotech 25: 1290-7 (2007)、Li B et al., Cancer Res 68: 2400-8 (2008)を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、2つ又は3つ以上のCD20結合領域間のリンカーと、該リンカーの遠位か近位かにかかわらず、CD20結合領域の成分間の1つ又は2つ以上のジスルフィド結合、例えば、2つの免疫グロブリン領域間の、それら2つの免疫グロブリン領域間の免疫グロブリンドメイン交換会合を必要とする、ジスルフィド結合とを両方とも含む(例えば、Glockshuber R et al., Biochemistry.29: 1362-7 (1990)を参照されたい)。
あるいは、2本又は3本以上のポリペプチド鎖を、互いに自己会合又は多量体化するポリペプチドドメインを使用して、互いに連結させることができるだろう(例えば、米国特許第6,329,507号明細書を参照されたい)。例えば、カルボキシ末端多量体化ドメインの付加が、例えばscFv、自律VHドメイン、VHH、VNAR及びIgNARなどの、免疫グロブリンドメインを含む多価タンパク質を構築するために使用されている。当業者に公知の自己会合性ドメインの例は、免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、ノブイントゥーホール(knobs-into-holes)、静電ステアリング、及びIgG/IgA鎖交換)、免疫グロブリンFab鎖(例えば、(Fab−scFv)2及び(Fab’scFv)2)、免疫グロブリンFcドメイン(例えば、(scダイアボディ−Fc)2、(scFv−Fc)2及びscFv−Fc−scFv)、免疫グロブリンCHXドメイン、免疫グロブリンCH1−3領域、免疫グロブリンCH3ドメイン(例えば、(scダイアボディ−CH3)2、LDミニボディ、及びFlex−ミニボディ)、免疫グロブリンCH4ドメイン、CHCLドメイン、両親媒性ヘリックスバンドル(例えば、scFv−HLX)、ヘリックス・ターン・ヘリックスドメイン(例えば、scFv−dHlx)、ロイシンジッパーと軟骨オリゴマー基質タンパク質を含むコイルドコイル構造(例えば、scZIP)、Aキナーゼアンカータンパク質(AKAP,A kinase anchor protein)アンカードメイン(AD,anchoring domain)と組み合わされたcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)二量体化及びドッキングドメイン(DDD,dimerization and docking domain)(「ドック・アンド・ロック」又は「DNL」とも言われる)、ストレプトアビジン、ベロ毒素B多量体化ドメイン、p53からの四量体化領域、並びにバルナーゼ−バルスター相互作用ドメインを含む(Pack P, Pluckthun A, Biochemistry 31: 1579-84 (1992)、Holliger P et al., Proc Natl Acad Sci USA 90: 6444-8 (1993)、Kipriyanov S et al., Hum Antibodies Hybridomas 6: 93-101 (1995)、de Kruif J, Logtenberg T, J Biol Chem 271: 7630-4 (1996)、Hu S et al., Cancer Res 56: 3055-61 (1996)、Kipriyanov S et al., Protein Eng 9: 203-11 (1996)、Rheinnecker M et al., J Immunol 157: 2989-97 (1996)、Tershkikh A et al., Proc Natl Acad Sci USA 94: 1663-8 (1997)、Muller K et al., FEBS Lett 422: 259-64 (1998)、Cloutier S et al., Mol Immunol 37: 1067-77 (2000)、Li S et al., Cancer Immunol Immunother 49: 243-52 (2000)、Schmiedl A et al., Protein Eng 13: 725-34 (2000)、Schoonjans R et al., J Immunol 165: 7050-7 (2000)、Borsi L et al., Int J Cancer 102: 75-85 (2002)、Deyev S et al., Nat Biotechnol 21: 1486-92 (2003)、Wong W, Scott J, Nat Rev Mol Cell Biol 5: 959-70 (2004)、Zhang J et al., J Mol Biol 335: 49-56 (2004)、Baillie G et al., FEBS Letters 579: 3264-70 (2005)、Rossi E et al., Proc Natl Acad Sci USA 103: 6841-6 (2006)、Simmons D et al., J Immunol Methods 315: 171-84 (2006)、Braren I et al., Biotechnol Appl Biochem 47: 205-14 (2007)、Chang C et al., Clin Cancer Res 13: 5586-91s (2007)、Liu M et al., Biochem J 406: 237-46 (2007)、Zhang J et al., Protein Expr Purif 65: 77-82 (2009)、Bell A et al., Cancer Lett 289: 81-90 (2010)、Iqbal U et al., Br J Pharmacol 160: 1016-28 (2010)、Asano R et al., FEBS J 280: 4816-26 (2013)、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013))。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子の構造は、抗体又はFab断片から改変される。例えば、当業者に公知のアプローチを使用して多価CD20結合分子を改変することができるだろう(例えば、Shuford W et al., Science 252: 724-7 (1991)、Caron P et al., J Exp Med 176: 1191-5 (1992)、Shopes B, J Immunol 148: 2918-22 (1992)、Wolff E et al., Cancer Res 53: 2560-5 (1993)を参照されたい)。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、多価CD20結合分子のすべての細胞標的化結合領域は同一であり、及び/又は同じ結合特異性を共有する。そのような実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は単一特異性である−これは、本発明の多価CD20結合分子が、同じ細胞外CD20標的生体分子、同じCD20標的生体分子中の重複している細胞外エピトープ、及び/又はCD20標的生体分子中の同じ細胞外エピトープと高い親和性で結合するCD20結合領域を含むことを意味する。2つの結合領域がCD20標的生体分子の同じ細胞外部分と結合するかどうかを、当業者は、例えば、競合結合アッセイを用いて実験的に判定すること、又は既知エピトープ及び/若しくは免疫化ペプチド配列の重複に基づいて予測的になど、利用可能な方法で判定することができるだろう。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、非重複か重複かにかかわらず、非同一エピトープと高い親和性で結合する結合領域を含むことがある。本発明の多価CD20結合分子は、非重複エピトープとの高い結合親和性を有する結合領域を含むこともある。本発明の多重特異性多価CD20結合分子は、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、タンデム形式での2つの異なるscFv、VHH、VNAR及び/又はIgNAR(タンデムジscFv、タンデムトリscFv及びscFv−Fcタンデムを含む)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、タンデムFv、二重特異性scFv(ビスscFv)、scFv2、(Fab’)3、四量体(scFv2)2、scFv2−Fc、並びに異なる特異性を有するscFv、VHH、VNAR及び/又はIgNARの組合せなどの、2つ又は3つ以上の異なる結合領域を使用して作製することができるだろう(Adams G et al., Cancer Res 53: 4026-34 (1993)、Mallender W et al., J Biol Chem 269: 199-206 (1994)、Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)、Korn T et al., J Gene Med 6: 642-51 (2004)、Lu D et al., J Biol Chem 280: 19665-72 (2005)、Schneider M et al., Eur J Immunol 35: 987-95 (2005)、Wittel U et al., Nucl Med Biol 32: 157-64 (2005)、Semenyuk E et al., Biochimie 89: 31-8 (2007))。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、それ自体と又は別のタンパク質と多量体化して多量体構造を形成する、単一の連続したポリペプチド成分を含むこともある。例えば、タンデムscFv(taFv,tandem scFv)、一本鎖ダイアボディ(scDB)、及びタンデムダイアボディ(tanDb又はTandab)と言われることもある、一本鎖二価scFvは、単一の連続したポリペプチド鎖と表現することができる(Mack M et al., Proc Natl Acad Sci USA 92: 7021-5 (1995)、Kipriyanov S et al., J Mol Biol 293: 41-56 (1999)、Cochlovius, B et al., Cancer Res 60: 4336-41 (2000)、Volkel T et al., Protein Eng 14: 815-23 (2001)、Kipriyanov S et al., J Mol Biol 330: 99-111 (2003)、Schlereth B et al., Cancer Res 65: 2882-9 (2005))。これらの多価構造は、例えば四価F(ab’)2、(taFv)2及び(scDb)2構造などの、より高次の、より高価の構造に多量体化するように改変されることもある(Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)を参照されたい)。
可変領域の分子間対合に起因する非共有結合性相互作用によって連結されている2つのscFvを含む構造、例えば、ダイアボディ、ミニ抗体及び二価ミニ抗体(これらのすべては単一特異性であることもあり、又は二重特異性であることもある)などは、当業者に公知である(Holliger, P et al., Proc Natl Acad Sci USA 90: 6444-8 (1993)、Pack P et al., Biotechnology (NY) 11: 1217-7 (1993)、Tai M et al., Cancer Res (Suppl) 55: 5983-9 (1995)、Atwell J et al., Mol Immunol 33: 1301-12 (1996)、Rheinnecker M et al., J Immunol 157: 2989-97 (1996)、Schier R et al., J Mol Biol 255: 28-43 (1996)、Adams G et al., Br J Cancer 77: 1405-12 (1998)、Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)、Buhler P et al., Cancer Immunol Immunother 57: 43-52 (2008))。非常に多くのscFv単量体は自己会合に起因して多量体又はオリゴマー(例えば、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディ)を自然に形成し、3〜12アミノ酸残基のリンカーを含むscFv構造についてはその大多数の形態が二量体であることが観察されている(Essig N et al., J Mol Biol 234: 897-901 (1993)、Griffiths A et al., EMBO J 12: 725-34 (1993)、Holliger P et al., Proc Natl Acad Sci USA 90: 6444-8 (1993)、Whitlow M et al., Protein Eng 6: 989-95 (1993)、Desplancq D et al., Protein Eng 7: 1027-33 (1994)、Whitlow M et al., Protein Eng 7, 1017-26 (1994)、Kortt A et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997)、Arndt K et al., Biochemistry 37: 12918-26 (1998)、Atwell J et al., Protein Eng 12: 597-604 (1999))。
一般に、5〜10アミノ酸残基又はそれ未満の比較的短いリンカーを有するscFv構造は、ホモ二量体化する傾向が非常に高い(Arndt K et al., Biochemistry 37: 12918-26 (1988)、Holliger P et al., Proc Natl Acad Sci USA 90: 6444-8 (1993)、Perisic O et al., Structure 2: 1217-26 (1994)、Atwell J et al., Mol Immunol 33: 1301-12 (1996)、Iliades P et al., FEBS Lett 409: 437-41 (1997)、Kortt A et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997)、Metzger D et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997)、Pei X et al., Proc Natl Acad Sci USA 94: 9637-42 (1997)、Atwell J et al., Protein Eng 12: 597-604 (1999)、Denton G et al., Cancer Immunol Immunother 48: 29-38 (1999)、Le Gall F et al., FEBS Lett 453: 164-8 (1999)、Atwell J et al., Protein Eng 12: 597-604 (1999)、Dolezal, O et al., Protein Eng 13: 565-74 (2000)、Nielsen U et al., Cancer Res 60: 6434-40 (2000)、Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)、Wu A et al., Protein Eng 14: 1025-33 (2001)、Arndt M et al., FEBS Lett 578: 257-61 (2004)、Le Gall F et al., J Immunol Methods 285: 111-27 (2004))。対照的に、少なくとも12アミノ酸残基を含むリンカーを有するscFvは、ほんのわずかな割合しか自然発生的に多量体化しない単量体を主として形成する(Nielsen U et al., Cancer Res 60: 6434-40 (2000)、Denton G et al., Cancer Immunol Immunother 48: 29-38 (1999)、Kortt A et al., Biomol Eng 18: 95-108 (2001)、Volkel T et al., Protein Eng 14: 815-23 (2001))。
3アミノ酸残基又はそれ未満のリンカーの使用は、二量体形態より大きい、より高次の構造への多量体化を促進しうる。scFvが3残基未満のリンカーを有する場合には三量体化に有利でありうる(Iliades P et al., FEBS Lett 409: 437-41 (1997)、Kortt A et al., Biomol Eng 18: 95-108 (2001)、Todorovska A et al., J Immunol Methods 248: 47-66 (2001)、Arndt M et al., FEBS Lett 578: 257-61 (2004))。さらに、非常に短いリンカー、例えば2アミノ酸残基又はそれ未満のリンカーは、三量体、及び/又は三量体と四量体の混合物を形成することが多い(Pei X et al., Proc Natl Acad Sci USA94: 9637-42 (1997)、Hudson P, Kortt A, J Immunol Methods 231: 177-89 (1999)、Dolezal, O et al., Protein Eng 13: 565-74 (2000)、Power B et al., Protein Sci 12: 734-47 (2003)、Le Gall F et al., J Immunol Methods 285: 111-27 (2004))。短いリンカーを有する特定の配置では、四量体に有利でありうる(Dolezal O et al., Protein Eng 13: 565-74 (2003)、Arndt M et al., FEBS Lett 578: 257-61 (2004))。多量体構造は、一切のリンカーを欠いている、すなわち0アミノ酸残基のリンカー長を有する、scFvによって形成されることもある。例えば、VHの前のVLと可変ドメインの直接連結は、テトラボディの形成に有利である(Iliades P et al., FEBS Lett 409: 437-41 (1997))が、VLの前のVHは、三量体に有利でありうる(Kortt A et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997))。
リンカー長に加えて、可変ドメインの配向が多量体化特性に影響を与えることもある(Huston J et al., Proc Natl Acad Sci USA 85, 5879-83 (1988)、Padlan E, Mol Immunol 31: 169-217 (1994)、Kortt A et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997)、Dolezal, O et al., Protein Eng 13: 565-74 (2000)、Carmichael J et al., J Mol Biol 326: 341-51 (2003)、Arndt M et al., FEBS Lett 578: 257-61 (2004))。VL−VH配向のほうが拘束されているので、VL−VH配向のほうが逆配向より高分子量のオリゴマーを形成しやすい傾向を示すことが示唆されている(Kortt A et al., Protein Eng 10: 423-33 (1997)、Dolezal, O et al., Protein Eng 13: 565-74 (2000)、Pluckthun A, Pack P, Immunotechnology 3: 83-105 (1997))。
VH及びVL配向に依存して、同じリンカーがscFv多量体化に対するその影響、例えば、二量体形態の三量体形態に対する相対的割合に与える影響などにばらつきを見せた(Le Gall F et al., FEBS Lett 453: 164-8 (1999)、Arndt M et al., FEBS Lett 578: 257-61 (2004)、Le Gall F et al., J Immunol Methods 285: 111-27 (2004))。
ラクダ科動物VHH免疫グロブリンドメインは、特定のヒンジ及び共有結合で連結された複数のVHH鎖(タンデム)を使用して多量体化された(Fraile S et al., Mol Microbiol 53: 1109-21 (2004)、Zhang J et al., J Mol Biol 335: 49-56 (2004))。軟骨魚綱からの免疫グロブリンドメイン、例えばIgNARは、特定のヒンジ又はシステイン媒介ジスルフィド結合安定化を使用して多量体化された(例えば、Simmons et al., J Immunol Methods 315: 171-84 (2006)を参照されたい)。
このように、様々な免疫グロブリンドメインを含む多価CD20結合分子の生成を、共有結合性又は非共有結合性のいずれかである分子工学戦略、例えば、一本鎖タンデム配置を含む共有結合性戦略、システイン媒介ジスルフィド結合安定化多量体を含む共有結合性戦略、並びに/又は二量体化ドメイン、リンカー選択及び/若しくは可変ドメイン順序を含む非共有結合性戦略などによって制御することができるだろう。本発明の多価CD20結合分子である構造を作製するときに複数の戦略(例えば、リンカー関連非共有結合性多量体化及び共有結合性ジスルフィド結合安定化)を併用してもよい(例えば、Lu D et al., J Immunol Methods 279: 219-32 (2003)を参照されたい)。
本発明の目的では、毒素エフェクター領域及び2つ又は3つ以上のCD20結合領域についての互いに対する又は本発明の多価CD20結合分子全体に対する特定の順序又は配向を固定しない。本発明の多価CD20結合分子の成分をいかなる順序で配置してもよいが、ただし、CD20結合領域及び毒素エフェクター領域の所望の活性が除去されないことを条件とする。所望の活性は、例えば、CD20発現細胞に結合する能力、細胞内在化を迅速に誘導する能力、効率的に内在化させる能力、所望の細胞内区画に細胞内経路決定する能力、細胞分裂停止を引き起こす能力、細胞毒性を引き起こす能力、CD20発現細胞を選択的に殺滅する能力、細胞の内部に外因性物質を送達する能力、疾患、障害若しくは状態を診断する能力、及び/又はそれを必要とする患者の疾患、障害若しくは状態を治療する能力を、多価CD20結合分子に持たせるものを含む。
E.本発明の組成物中に存在する1つ又は2つ以上の他のCD20結合分子に対する多価CD20結合分子の相対的割合の決定
本発明の組成物中の異なる分子種の比、百分率及び/又は相対的割合を、当業者は、例えばクロマトグラフィー、電気泳動、エレクトロクロマトグラフィー、キャピラリー、遠心分離、等電点電気泳動及びタンパク質性分子の分析のための微少流体技術などの、当技術分野において周知の及び/又は本明細書に記載の技術を使用して決定することができるだろう。例えば、上述の方法のいずれかにタンパク質試料を付した結果として得られる異なる「ピーク」又は「バンド」のサイズ及び/又は強度を使用して、組成物中の異なるサイズのCD20結合分子の相対比を計算することができる。
本発明のすべての組成物は、少なくとも1つのタンパク質性成分を含む少なくとも1つの多価CD20結合分子を含むので、当業者は、当技術分野において公知の技術を使用してタンパク質性分子の相対的割合を決定することができるだろう。例えば、本発明の組成物中の異なるタンパク質性分子種の割合を、当業者に公知のアミノ酸分析/アミノ酸定量技術(例えば、Bio-Synthesis社、Lewisville、TX、U.S.を参照されたい)によって決定することができるだろう。別の例では、本発明の組成物中の異なるサイズのタンパク質性分子の相対的割合を、当業者に公知の及び/又は本明細書に記載のクロマトグラフィー、電気泳動、エレクトロクロマトグラフィー及び/又は密度勾配超遠心分離技術を使用して、例えば、ゲル電気泳動及びその結果の濃度測定分析などによって決定することができるだろう。
当業者は、当技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載のソフトウェア方法を使用して、なかんずく、アミノ酸定量、クロマトグラフィー、電気泳動、エレクトロクロマトグラフィー及び密度勾配超遠心分離アッセイから得たデータの分析を行って、本発明の組成物中に存在する異なる分子種の割合を決定することができるだろう。例えば、当業者は、当技術分野において公知のソフトウェア方法を使用して、クロマトグラフィー、電気泳動及び/又はエレクトロクロマトグラフィーデータ、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC,size-exclusion chromatographic)データなどのピーク強度分析を行って、本発明の組成物中に存在する異なる分子種の相対的割合を比較することができるだろう。分子サイズ移動標準物質(例えば、ゲル濾過及びイオン交換標準物質)、及び本発明の組成物中に存在する可能性のある分子種の知識を使用することによって、ピーク中の分子種のサイズを推定することができるだろうし、ピーク中の分子種の正体を推測することができるだろう。あるいは、又は加えて、当業者に公知の及び/又は本明細書に記載の補足的方法(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE,sodium dodecyl sulfate, polyacrylamide gel electrophoresis)又は質量分析)を使用して、特定のピークの構成分子を決定することができるだろう。
ピーク積分計算を使用して、ピーク面積、滞留時間、ピークの高さ、ピーク幅、及び全ピーク面積に対するピーク面積の百分率を含む、様々な曲線特性を決定することができる。いかなるピーク積分分析についても、例えば、ブランク曲線(例えば、溶媒若しくは移動相ブランク試験から収集したデータ)、ブランク曲線減法又はゼロベースラインと組み合わせた自動計算などを使用して、先ずベースラインを計算することができるだろう。特定の状況で、特定の設定、例えば、構造の幅、ベースラインノイズパラメータ、ベースライン勾配限界若しくは閾値勾配設定、最大ベースライン限界及び/又はデータ点間の最小距離などを調整することができるだろう。いかなるクロマトグラフィー、電気泳動及び/又はエレクトロクロマトグラフィーデータ分析についても、(例えば、カラム包含体積を回避するために、及び/又は排除限界を超える滞留時間からのデータを回避するために)分析範囲を特定の滞留時間範囲に限定することができる。必要に応じて、又は最小面積及び/若しくは最小の高さのような設定を変更することによって、ピークウィンドウ限界及びピーク指定拒否のユーザー編集を行ってもよい。
当業者に公知の及び/又は本明細書に記載のアミノ酸定量、クロマトグラフィー、電気泳動、エレクトロクロマトグラフィー及び/又は密度勾配超遠心分離方法を使用して、1)本発明の組成物中の異なるCD20結合分子の相対濃度比、2)本発明の組成物中の異なるCD20結合分子の相対モル比、3)本発明の組成物中の異なるCD20結合分子の相対質量比、及び/又は4)本発明の組成物中の異なるCD20結合分子の相対モル濃度比を決定することができるだろう。例えば、本発明の組成物中の多価CD20結合分子の相対的割合は、(濃度、容積モル濃度、質量又は重量モル濃度にかかわらず)全多価CD20結合分子を全タンパク質性種で割って100を掛けて計算した百分率として表すことができる。あるいは、本発明の組成物中の多価CD20結合分子の相対的割合は、全多価CD20結合分子種の測定値対別の分子種の測定値を、それが異なる多価CD20結合分子種であるのか、非CD20結合分子種であるのかに関係なく用いて、濃度、容積モル濃度、質量又は重量モル濃度の比として表すことができる。
下記実施例では、CD20結合分子組成物の高速タンパク質液体クロマトグラフィーサイズ排除(FPLC−SEC,fast protein liquid chromatography size exclusion)分析又は高速液体クロマトグラフィーサイズ排除(HPLC−SEC,high performance liquid chromatography size exclusion)分析を使用して、組成物中に存在する異なるサイズの多価CD20結合分子の相対量はもちろん、一価CD20結合分子のような他の分子に対する多価CD20結合分子の相対量、例えば、組成物中に存在する一価、二価及びより高い結合価のCD20結合タンパク質性種間の比も決定した。
当業者が本発明の組成物中の異なる分子種の比及び/又は百分率を決定するために使用することができるだろう、当技術分野において公知の方法の一例は、動的光散乱又は光子相関分光法である(例えば、Lamkemeyer T et al., FEBS J 273: 3393-410 (2006)、Rousselot M et al., FEBS J 273: 4055-71 (2006)、Bruneaux M et al., Curr Protein Pept Sci 9: 15-80 (2008)を参照されたい)。
当業者が本発明の組成物中の異なる分子種の比及び/又は百分率を決定するために使用することができるだろう、当技術分野において公知の方法の別の例は、Agilent Bioanalyzerを使用してAgilent 2100 Expertソフトウェアを実行するProtein 230 Assay(Agilent Technologies社、Santa Clara、CA、U.S.)である。Protein 230 Assayを使用して、本発明の多価CD20結合分子組成物の量、分子量及び純度を推定することができる。Protein 230 Assayは、「バンド」を有するゲル様画像及び/又は「ピーク」を有する電気泳動図として提示されるデータを生成する。マーカーサイズが分かっている標準ラダーを使用して、分析ごとに標準ゲル様及び電気泳動図プロファイルを作成してもよい。次いで、そのアッセイでの試料の泳動挙動を使用して、なかんずく、そのサイズを予測する。レーザー誘導蛍光強度を使用して、試料中のタンパク質量、個々のバンド及び/又はピークを推定することができるだろう。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、本発明の多価CD20結合分子を含み、この組成物は、1対3より小さい一価CD20結合タンパク質濃度の全CD20結合分子濃度に対する比を含み、各々の一価CD20結合タンパク質は、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができるCD20結合領域を1つだけ含み、志賀毒素エフェクターポリペプチドを少なくとも1つ含む。特定のさらなる実施形態において、多価CD20結合分子組成物は、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、及び1:11から選択される比より小さい、一価CD20結合タンパク質濃度の全CD20結合分子濃度に対する比を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、2対3より大きい、多価CD20結合タンパク質濃度の全CD20結合タンパク質濃度に対する比を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:4、1:7、1:11、1:21、1:41、1:71、1:111、及び1:161から選択される比より小さい、結合価が相対的に大きいCD20結合タンパク質濃度の、全CD20結合タンパク質濃度に対する比を含み、結合価が相対的に大きいCD20結合タンパク質の各々が、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる3つ又は4つ以上のCD20結合領域を含み、少なくとも1つの志賀毒素エフェクターポリペプチドを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:2、2:3、3:4、4:5、5:6、7:8、8:9、9:10、10:11、11:12、12:13、13:14、及び14:15から選択される比より大きい、二価CD20結合分子濃度の全CD20結合分子濃度に対する比を含み、各々の二価CD20結合分子は、(1)CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる2つだけのCD20結合領域と、(2)1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクターポリペプチドとを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、本発明の多価CD20結合分子を含み、この組成物は、1対3より小さい一価CD20結合分子質量の全CD20結合分子質量に対する比を含み、各々の一価CD20結合分子は、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができるCD20結合領域を1つだけ含み、志賀毒素エフェクターポリペプチドを少なくとも1つ含む。特定のさらなる実施形態において、多価CD20結合分子組成物は、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、及び1:11から選択される比より小さい、一価CD20結合分子質量の全CD20結合タンパク質質量に対する比を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、2対3より大きい、多価CD20結合分子質量の全CD20結合分子質量に対する比を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:4、1:7、1:11、1:21、1:41、1:71、1:111、及び1:161から選択される比より小さい、結合価が相対的に大きいCD20結合分子質量の、全CD20結合分子質量に対する比を含み、結合価が相対的に大きいCD20結合分子の各々が、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる3つ又は4つ以上のCD20結合領域を含み、少なくとも1つの志賀毒素エフェクターポリペプチドを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:2、2:3、3:4、4:5、5:6、7:8、8:9、9:10、10:11、11:12、12:13、13:14、及び14:15から選択される比より大きい、二価CD20結合分子質量の全CD20結合分子質量に対する比を含み、各々の二価CD20結合分子は、(1)CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる2つだけのCD20結合領域と、(2)1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクターポリペプチドとを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、本発明の多価CD20結合分子を含み、この組成物は、1対1.5より小さい一価CD20結合分子容積モル濃度の全CD20結合分子容積モル濃度に対する比を含み、各々の一価CD20結合分子は、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができるCD20結合領域を1つだけ含み、志賀毒素エフェクターポリペプチドを少なくとも1つ含む。特定のさらなる実施形態において、多価CD20結合分子組成物は、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、及び1:8から選択される比より小さい、一価CD20結合分子容積モル濃度の全CD20結合タンパク質容積モル濃度に対する比を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1対1.5より大きい、多価CD20結合分子容積モル濃度の全CD20結合分子容積モル濃度に対する比を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:2、1:3.5、1:5、1:11、1:21、1:36、1:55、及び1:59から選択される比より小さい、結合価が相対的に大きいCD20結合分子容積モル濃度の、全CD20結合分子容積モル濃度に対する比を含み、結合価が相対的に大きいCD20結合分子の各々が、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる3つ又は4つ以上のCD20領域を含み、少なくとも1つの志賀毒素エフェクターポリペプチドを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:1.5、2:3、3:4、4:5、5:6、7:8、8:9、9:10、10:11、11:12、12:13、13:14、及び14:15から選択される比より大きい、二価CD20結合分子容積モル濃度の全CD20結合分子容積モル濃度に対する比を含み、各々の二価CD20結合分子は、(1)CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる2つだけのCD20結合領域と、(2)1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクターポリペプチドとを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、本発明の多価CD20結合分子を含み、この組成物は、1対1.5より小さい一価CD20結合分子重量モル濃度の全CD20結合分子重量モル濃度に対する比を含み、各々の一価CD20結合分子は、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができるCD20結合領域を1つだけ含み、志賀毒素エフェクターポリペプチドを少なくとも1つ含む。特定のさらなる実施形態において、多価CD20結合分子組成物は、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、及び1:8から選択される比より小さい、一価CD20結合分子重量モル濃度の全CD20結合タンパク質重量モル濃度に対する比を含む。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1対1.5より大きい、多価CD20結合分子重量モル濃度の全CD20結合分子重量モル濃度に対する比を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:2、1:3.5、1:5、1:11、1:21、1:36、1:55、及び1:59から選択される比より小さい、結合価が相対的に大きいCD20結合分子重量モル濃度の、全CD20結合分子重量モル濃度に対する比を含み、結合価が相対的に大きいCD20結合分子の各々が、CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる3つ又は4つ以上のCD20結合領域を含み、少なくとも1つの志賀毒素エフェクターポリペプチドを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、1:1.5、2:3、3:4、4:5、5:6、7:8、8:9、9:10、10:11、11:12、12:13、13:14、及び14:15から選択される比より大きい、二価CD20結合分子重量モル濃度の全CD20結合分子重量モル濃度に対する比を含み、各々の二価CD20結合分子は、(1)CD20の細胞外部分に特異的に結合することができる2つだけのCD20結合領域と、(2)1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクターポリペプチドとを含む。
F.分子安定性、組成物安定性、多量体化の制御、及び凝集の最小化
特定の応用については、本発明の組成物中の多価CD20結合分子の全CD20結合分子に対する相対的割合の安定性が組成物の有効性にとって重要でありうる。例えば、特定の医学的応用では、本発明の多価CD20結合分子の一価CD20結合分子に対する相対的割合の安定性が重要でありうる。特定の応用では、二価CD20結合分子のより高い結合価のCD20結合分子に対する相対的割合の安定性が重要でありうる。特定の応用では、二価CD20結合分子の非二価CD20結合分子に対する相対的割合の安定性が重要でありうる。
特定の実施形態については、本発明の多価CD20結合分子の成分の一部又はすべてを、1ステップ又は2ステップ以上の制御された多量体化ステップを使用して本発明の組成物を生産することができるだろう。
特定の応用については、CD20結合分子の望ましくない凝集及び/又は多量体化の最小化又は別様の制御が本発明の特定の組成物にとって重要でありうる。例えば、特定のタンパク質性治療薬の場合、治療用分子の凝集及び/又は多量体化は、特定の状況ではそのタンパク質性治療薬のレシピエントの望ましくない免疫応答のリスクを増大させることがある。特に、より高分子量の複合体へのCD20結合分子の凝集及び/又は多量体化は、特定のレシピエントへの特定のCD20結合分子組成物の投与後に望ましくない免疫応答のリスクを増大させることがある。加えて、ミスフォールドしたタンパク質、及びタンパク質分解生成物は、それらの正しくフォールドした対応物と比較して免疫原性増加を示すことがある。
これらのすべての理由のため、及び特定の応用に依存して、1)本発明の組成物の多価CD20結合分子の安定性及び2)本発明の組成物中に存在する異なるCD20結合分子の比の安定性を考慮する必要があるかどうかが当業者には分かるであろう。例えば、特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、制御された多量体化及び/又は特定の精製ステップの結果である。同様に、特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、特定の多量体化の可能性を除去又は低減するように改変されることになる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば、水溶液中、8、4、2、−4、−10、−20又は−25℃でのような特定の保存条件下などでの、望ましくない凝集体の形成を回避するように設計されることになる。
本発明の組成物の特定の応用については、本発明の組成物中の、1)高分子量、多価CD20結合分子(例えば、175kDa、180kDa、190kDa、200kDa、又は250kDaより大きい若しくはそれより大きい分子)、2)非常に多価のCD20結合分子(すなわち、5つ又は6つ以上のCD20結合領域を含む分子)、3)#1を代表する高分子量、多価CD20結合分子及び/若しくは#2を代表する非常に多価のCD20結合分子であるCD20結合分子の多量体(例えば、CD20結合分子の特定の大きい非共有結合性多量体)、3)ミスフォールドしたタンパク質(例えば、ミスフォールドしたCD20結合タンパク質又はそのタンパク質成分)、並びに/又は4)分解生成物(例えば、多価CD20結合分子のタンパク質性成分の望ましくないタンパク質断片、例えば、志賀毒素エフェクター領域又はCD20結合領域のポリペプチド断片)の量を最小化することが望ましいこともある。例えば、上記#1〜#4として列挙したタイプの分子のいずれかの量を最小化する理論的根拠は、これらの分子の特定の量の存在が、例えば、新たなエピトープを明らかにするこれらの分子の存在、又はレシピエントの免疫系によってより容易に異物と識別される反復モチーフの形成などによって、本発明の組成物のレシピエントにおける望ましくない抗原性及び/又は免疫原性反応の可能性を増すことがある、医学的応用のためでありうる。
当業者は、通例の方法を使用して、本発明の多価CD20結合分子及び/又は本発明の組成物中に存在する分子の多量体化状態を評価することができるだろう。当業者は、通例の方法を使用して、本発明の組成物中のCD20結合分子凝集体、高分子量CD20結合タンパク質多量体、ミスフォールドしたCD20結合タンパク質、及びCD20結合タンパク質分解生成物の存在又は相対的割合を最小化することができるだろう。
本発明の組成物の特定の実施形態において、二価、三価及び/又は四価形態の多価CD20結合分子の相対的割合は、例えば、一価CD20結合タンパク質、より高分子量のCD20結合分子、ミスフォールドしたCD20結合タンパク質、及び/又はタンパク質分解生成物からのさらなる精製除去によって最大化される。
当業者は、通例の方法を使用して、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物を作製することができるだろう。当業者は、通例の方法を使用して、例えば、共有結合で連結された多量体の多価CD20結合分子の、非共有結合で連結された多量体の多価CD20結合分子に対する割合などの、異なる多量体形態のCD20結合分子の割合を含む、本発明の組成物中の特定の多価CD20結合分子の他の分子に対する相対的割合を安定させることができるだろう(例えば、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013)、国際公開第2005/000898号パンフレットを参照されたい)。例えば、本発明の組成物中のCD20結合分子の多量体化は、例えば、本発明の組成物中に存在するCD20結合分子の異なる成分及び/又はサブユニットを連結及び/又は会合させるための特定のリンカーを選択することなどによって、制御及び/又は最小化することができるだろう。例えば、特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子のCD20結合領域は、例えば、ジスルフィド安定化scFv、Fv断片又はFab(例えば、Reiter Y et al., J Biol Chem 269: 18327-31 (1994)、Kuan C, Pastan I, Biochemistry 35: 2872-7 (1996)、Almog O et al., Proteins 31: 128-38 (1998)、Schoonjans R et al., J Immunol 165: 7050-7 (2000)、Olafsen T et al., Protein Eng Des Sel 17: 21-7 (2004)、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013)、米国特許出願公開第2012/02834318号明細書を参照されたい)、塩基ループ結合(例えば、Brinkmann U et al., J Mol Biol 268: 107-17 (1997)を参照されたい)、並びに/又は他の修飾、例えば、荷電残基の付加、グリカン、及び/若しくは免疫グロブリンドメイン短縮化(例えば、Gong R et al., Mol Pharm 10: 2642-52 (2013)、Lee C et al., Trends Biotechnol 31: 612-20 (2013)を参照されたい)を使用することなどによって、望ましくない分子間会合、多量体及び/又は凝集体の形成を最小化するように改変される。
本発明の特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば、より短いリンカー(概して12アミノ酸残基未満)並びに/又はscFvの重鎖及び軽鎖領域を連結するジスルフィド安定化リンカーを使用することなどによって、凝集しないように改変されたscFvであるCD20結合領域を含む(例えば、Brinkmann U et al., Proc Natl Acad Sci USA90: 7538-42 (1993)、Whitlow M et al., Protein Engineering 6: 989-95 (1993)、Reiter Y et al., Biochemistry 33: 5451-9 (1994)、Gong R et al., Molecular Pharmaceutics 10: 2642-52 (2013)を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、2より大きい結合価を有する特定の多価CD20結合分子の他のCD20結合分子に対する割合を最小化する。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、該組成物中の全CD20結合分子の15%、10%、7.5%、5%、2%、1%又はそれ未満である、4より大きい結合価を有する多価CD20結合分子の相対百分率を有する。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、該組成物中の全CD20結合分子の15%、10%、7.5%、5%、2%、1%又はそれ未満である、3より大きい結合価を有するCD20結合分子の他のCD20結合分子に対する相対百分率を有する。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、該組成物中の全CD20結合分子の15%、10%、7.5%、5%、2%、1%又はそれ未満以内である、2より大きい結合価を有するCD20結合分子の百分率を有する。
特定の実施形態において、本発明の組成物は、厳密に2つのCD20結合領域を有する多価CD20結合分子の全CD20結合分子に対する相対割合を最大にする。したがって、特定の実施形態において、本発明の組成物は、該組成物中の全CD20結合分子の80%、85%、88%、90%、92%、93%又は94%以上である、CD20結合領域を2つだけ有するCD20結合分子の割合を有する。
特定の応用については、本発明の多価組成物中の多価CD20結合分子の安定性(例えば、多価CD20結合分子の成分及び/又はサブユニット間の会合及び/又は連結の安定性)を維持すること、例えば、形成中、保管(例えば、水溶液中、8、4、2、−4、−10、−20若しくは−25℃での保管)中、及び/又はレシピエントへの投与後の分解を最小化することなどが望ましいことがある。当業者は、周知の方法を使用して、例えば、志賀毒素エフェクターポリペプチドと結合領域間の高安定性連結の使用、及び/又は多価CD20結合分子の成分、領域若しくは小領域間のジスルフィド連結の改変、又は本発明の多価CD20結合タンパク質を生成するための一価CD20結合タンパク質間のジスルフィド連結の改変などによって、本発明の多価CD20結合分子の成分又はサブユニット分離を最小化することができるだろう(例えば、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013)を参照されたい)。当業者は、分子間ジスルフィド結合の付加又は維持を用いて、本発明の多価CD20結合分子の特定のCD20結合領域を安定させることができるだろう(例えば、Glockshuber R et al., Biochemistry 29: 1362-7 (1990)、Stanfield R et al., Science 305: 1770-3 (2004)、Hagihara Y et al., J Biol Chem 282: 36489-95 (2007)、Chan P et al., Biochemistry 47: 11041-54 (2008)、Saerens D et al., J Mol Biol 478-88 (2008)、Hussack G et al., PLoS One 6: e28218 (2011)、Govaert J et al., J Biol Chem 287: 1970-9 (2012)、Kim D et al., Protein Eng Des Sel 25: 581-9 (2012)、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013)、McConnell A et al., Protein Eng Des Sel 25: 581-9 (2013)、Feige M et al., Proc Natl Acad Sci USA 111: 8155-60 (2014)、Hagihara Y, Saerens D, Biochim Biophys Acta 1844: 2016-2023 (2014)、Kim D et al., Mabs 6: 219-35 (2014)を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、例えば、特定の免疫グロブリンのB鎖とFβ鎖間に天然に見いだされるジスルフィド結合、及び/又は免疫グロブリンの若しくは免疫グロブリンドに由来する重鎖と軽鎖間のジスルフィド結合などの、ドメイン間ジスルフィド結合を有する免疫グロブリンドメイン及び/又はIgフォールド構造を含む、CD20結合領域を含む。しかし、本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、分子は、ドメイン間ジスルフィド結合を含まなくても、1つ若しくは2つ以上のCD20結合領域内にいかなるドメイン間ジスルフィド結合も含まなくても、非常に安定している(例えば、Proba K et al., Biochemistry 37: 13120-7 (1998)、Worn A, Pluckthun A, Biochemistry 37: 13120-7 (1998)、Worn A, Pluckthun A, FEBS Lett 427: 357-61 (1998)、Ramm K et al., J Mol Biol 290: 535-46 (1999)、Tanaka T, Rabbitts T, J Mol Biol 376: 749-57 (2008)を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の組成物は、異なるポリペプチド鎖の志賀毒素エフェクター領域内に含まれている2つ又は3つ以上のシステイン残基間の1つ又は2つ以上のジスルフィド結合を有する多価CD20結合分子を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、5つのジスルフィド結合を有するタンパク質性二量体多価CD20結合分子、例えば、1)免疫グロブリン由来CD20結合領域1つ当たり2つのジスルフィド結合に相当する4つの分子間ジスルフィド結合であって、各々のジスルフィド結合が1対のシステイン残基を含み、各対の一方のシステイン残基が免疫グロブリン重鎖由来ドメイン内にあり、その対の他方のシステイン残基が免疫グロブリン軽鎖由来ドメイン内にある、4つのジスルフィド結合と、2)2つの志賀毒素エフェクター領域を架橋する1つの分子間ジスルフィド結合であって、1対のシステイン残基間に存在し、その対の各々のシステイン残基が志賀毒素エフェクター領域内にあるが、その志賀毒素エフェクター領域が、本発明の多価CD20結合タンパク質の異なるサブユニットに相当する異なるポリペプチド鎖内にある、1つのジスルフィド結合とを含む二量体多価CD20結合分子などを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、免疫グロブリンに由来するCD20結合領域であって、可溶性を向上させるために、安定性を向上させるために、及び/又は該結合領域を別様に「ラクダ化」するために、特定のラクダ科動物VHH「四分子」変異を用いて改変された、CD20結合領域を含む(例えば、Vincke C et al., J Biol Chem 284: 3273-84 (2009)、Perchiacca J et al., Proteins 79: 2637-47 (2011)、Gil D, Schrum A, Adv Biosci Biotechnol 4: 73-84 (2013)を参照されたい)。
II.本発明の多価CD20結合分子の特異的構造変化の例
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、1)各々が独自にCD20の細胞外部分に特異的に結合することができる、2つ又は3つ以上のタンパク質性CD20結合領域と、2)志賀毒素ファミリーの少なくとも1つのメンバーのAサブユニットのアミノ酸配列に由来するポリペプチドを含む1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクター領域とを含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、CD20+細胞の細胞表面との特異的な高親和性結合のために選択された免疫グロブリン型ポリペプチドを含む2つ又は3つ以上のCD20結合領域を含む(例えば、下記の表9を参照されたい)。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、CD20結合領域は、a)i)配列番号5、配列番号11、配列番号17、配列番号23、配列番号29若しくは配列番号35で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるHCDR1と、ii)配列番号6、配列番号12、配列番号18、配列番号24、配列番号30若しくは配列番号36で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるHCDR2と、iii)配列番号7、配列番号13、配列番号19、配列番号25、配列番号31若しくは配列番号37で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるHCDR3とを含む重鎖可変(VH)ドメイン、及びb)i)配列番号8、配列番号14、配列番号20、配列番号26、配列番号32若しくは配列番号38で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるLCDR1と、ii)配列番号9、配列番号15、配列番号21、配列番号27、配列番号33若しくは配列番号39で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるLCDR2と、iii)配列番号10、配列番号16、配列番号22、配列番号28、配列番号34若しくは配列番号40で示されるアミノ酸配列を含む又はこのアミノ酸配列から本質的になるLCDR3とを含む軽鎖可変(VL)ドメイン、からなる群から選択されるポリペプチドを含む。特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、配列番号47〜119及び176〜248のいずれか1つのアミノ酸1〜232、1〜233、1〜234、1〜235、1〜236、1〜242、1〜243、1〜244、1〜245、1〜246、1〜252、1〜253、1〜254、1〜255若しくは1〜256を含む又はこのアミノ酸から本質的になるCD20結合領域を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、(a)配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3のアミノ酸75〜251、(b)配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3のアミノ酸1〜241、(c)配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3のアミノ酸1〜251、及び(d)配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3のアミノ酸1〜261からなる群から選択されるポリペプチドを各々が含む、又はこのポリペプチドから各々が本質的になる、1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクター領域を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び/又は配列番号4で示されるポリペプチド中に位置するようなA231E、R75A、Y77S、Y114S、E167D、R170A、R176K及びW203Aの少なくとも1つから選択される置換を含む、1つ又は2つ以上の志賀毒素エフェクター領域を含む。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、2つのタンパク質を含み、又は2つのタンパク質から本質的になり、及び少なくとも1つのジスルフィド結合を含む。特定のさらなる実施形態において、ジスルフィド結合は1対のシステイン残基間にあり、この対の第1のシステイン残基は、第1の志賀毒素エフェクターポリペプチド領域内の配列番号1若しくは配列番号2で示されるポリペプチドのアミノ酸残基242若しくは261に又は配列番号3で示されるポリペプチドのアミノ酸残基位置241若しくは260に位置し、この対の第2のシステイン残基は、第2の志賀毒素エフェクターポリペプチド領域の配列番号1若しくは配列番号2で示されるポリペプチドのアミノ酸残基242若しくは261に又は配列番号3で示されるポリペプチドのアミノ酸残基位置241若しくは260に位置する(例えば図1を参照されたい)。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、配列番号47〜304のいずれか1つで示されるタンパク質を含み、このタンパク質は、アミノ末端メチオニン残基をさらに含んでいてもよい。特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、各々のタンパク質が配列番号47〜304で示されるポリペプチドのいずれか1つから選択され、各々のタンパク質がアミノ末端メチオニン残基をさらに含んでいてもよい、2つのタンパク質を含む、又はこの2つのタンパク質から本質的になる。特定のさらなる実施形態において、2つのタンパク質の各々は、配列番号47〜175で示されるタンパク質のいずれか1つから選択され、多価CD20結合分子は、1対のシステイン残基のスルフヒドリル基を各々が連結している5つのジスルフィド結合をさらに含み、この5つのジスルフィド結合のうちの4つは、同じCD20結合領域の免疫グロブリンドメイン内の別のシステイン残基に連結されているタンパク質のCD20結合領域の免疫グロブリンドメイン内にあるシステイン残基を含み、この5つのジスルフィド結合の残りのジスルフィド結合は、配列番号47〜175で示される2つのタンパク質の第2のタンパク質からの242、482、483、484、490、491、492、493、494、495、499、500、501、502、503、504、505、510、511、512、513及び521からなる群から選択される位置のシステイン残基に連結されている、配列番号47〜175で示される2つのタンパク質の第1のタンパク質の242、482、483、484、490、491、492、493、494、495、499、500、501、502、503、504、505、510、511、512、513及び521からなる群から選択される位置のシステイン残基を含む。
例えば、2つ又は3つ以上の機能性CD20結合領域を含有するタンパク質、さらにいっそう好ましくは、(例えば、CD20発現細胞を用いて又はインビトロでCD20標的分子を用いて実験により測定されたCD20結合領域のKDを使用して判定して)高い親和性でCD20の細胞外部分に結合することができる2つのCD20結合領域を含有するタンパク質などの、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質の断片、バリアント及び/又は誘導体を使用することは、本発明の範囲内である。例えば、本発明は、CD20と結合することができるポリペプチドを提供するが、1リットル当たり10−5〜10−12モルの、好ましくは200nm未満の、解離定数でCD20の細胞外部分と結合するいかなる結合領域も、本発明の多価CD20結合分子の製造並びに本発明の関連組成物及び方法での使用に好適でありうる。
III.本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の一般構造
本発明は、様々な多価CD20結合分子及びその組成物を提供し、それぞれの多価CD20結合分子は、1)細胞標的化のための2又は3以上のCD20結合領域、及び2)少なくとも1つの志賀毒素エフェクターポリペプチド領域を含む。多数の細胞標的化CD20結合領域を志賀毒素サブユニットA由来領域に連結させることにより、強力な志賀毒素細胞毒性及び/又は細胞分裂停止の細胞型特異的標的化が可能となり、並びに外因性物質、例えば細胞内細胞毒性薬剤をCD20+細胞型の内部に送達することができる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、強力な志賀毒素細胞毒性、細胞分裂停止、カーゴの迅速な細胞内送達、又は他の細胞内在化機能を様々なCD20発現細胞型に標的化するために使用されうる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、特定の細胞型の細胞表面に会合する細胞外CD20分子に結合して、それらの細胞に急速に侵入することができる。本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態は、標的化された細胞内に内在化されたら、標的細胞のサイトゾルに細胞毒性の志賀毒素エフェクターポリペプチドフラグメントの経路を定めることが可能である。本発明の細胞毒性多価CD20結合分子の特定の実施形態は、標的化された細胞のサイトゾル中に入れば、リボソームを酵素的に不活化し、細胞の恒常性に干渉し、最終的に細胞を殺滅することが可能である。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、追加の外因性物質、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、及び診断上有用な情報を収集するために標的細胞の内部を標識するための検出促進剤をCD20発現細胞に送達するために使用されうる。
A.標的化志賀毒素細胞毒性を介したCD20+細胞の殺滅
志賀毒素ファミリーのメンバーは、真核細胞を殺滅するように適合されていることから、志賀毒素エフェクター領域を含む多価CD20結合分子は、強力な細胞殺滅活性を示すことができる。志賀毒素ファミリーメンバーのAサブユニットは、細胞のサイトゾルに入ると真核細胞を殺滅することができる酵素ドメインを含む。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態は、この細胞毒性機構を利用している。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態は、その志賀毒素エフェクター領域を介して細胞標的化細胞毒性を示す。
本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態は、本発明の多価CD20結合分子の結合領域が結合する細胞外部分を有する細胞外CD20に物理的に結合している細胞に、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を接触させると、細胞を死滅させることができる。特定のさらなる実施形態において、細胞を死滅させることができるためには、例えば毒素エフェクター領域の触媒活性などの細胞内機構を必要とする。
CD20発現細胞の殺滅は、CD20発現標的細胞、例えばエクスビボで操作された標的細胞、インビトロで培養された標的細胞、インビトロで培養された組織試料内の標的細胞、及び/又はインビボでの標的細胞の様々な条件下で、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して達成することができる。
細胞表面でのCD20の発現は、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子及び/又はその組成物による標的化細胞殺滅を達成するために、ネイティブである必要はない。標的細胞によるCD20の細胞表面発現は、感染、病原体の存在、及び/又は細胞内微生物病原体の存在の結果であってもよい。標的細胞によるCD20の発現は、人工的又は改変であってもよく、例えばウイルス発現ベクター、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びレトロウイルス系による感染後の強制的又は誘導型発現であってもよい。CD20の発現誘導の一例は、細胞を電離放射線に曝露することによって誘導されるCD20のアップレギュレーションである。
特定の細胞型又は細胞集団が細胞表面にCD20を発現するかどうかは、当業界で周知の方法によって決定することができる。例えば、抗CD20抗体を使用するFACS法及び免疫組織化学法はいずれも、当業界で公知であり、細胞表面にCD20を発現する細胞(CD20+細胞)を決定するため、したがって、特定の細胞外CD20標的生体分子がどの細胞に物理的に結合しているかを決定するためのアッセイとして使用することができる。さらに、CD20+細胞型の細胞表面でのCD20発現の密度は、限定されないが、本明細書において言及した方法を含む、当業界で公知の方法を使用してアッセイすることができる。
異なる標的細胞に対する本発明の多価CD20結合分子の有効性及び作用強度は、標的細胞表面上のそのCD20標的抗原の密度、CD20とのそのエピトープ結合相互作用の位置、異なる標的細胞の細胞表面結合CD20のCD20細胞内在化の速度、及び異なる標的細胞の細胞内アイテナリーによって影響を受けうる。
細胞外CD20標的の細胞表面提示及び/又は密度は、本発明の特定の多価CD20結合分子又はその組成物が最も好適に使用されうる適用に影響を及ぼしうる。特定の細胞外CD20標的の細胞表面提示及び/又は密度が細胞により差があることにより、本発明の所定の多価CD20結合分子又はその組成物の細胞内在化及び/又は細胞毒性は定量的及び定性的に変化しうる。特定の細胞又は細胞集団上のCD20及び/又は特定のCD20エピトープの全細胞表面提示は、当業者に公知の方法、例えば蛍光活性化細胞ソーティング(FACS、fluorescence-activated cell sorting)、フローサイトメトリー技術を使用して決定することができる。
特定の細胞型に関する細胞外CD20抗原の細胞表面提示を決定するためのFACSに基づくアッセイの一例は、以下の通りである。抗CD20抗体を、蛍光体、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC、fluorescein isothiocyanate)のようなフルオレセイン誘導体、Alexa488のようなAlexa Fluor(登録商標)色素、又はいくつかの他の蛍光タグによって標識する。所望の細胞型の細胞集団を増殖させて、1×106細胞/mLの密度で採取して、0.1〜1.0ミリグラム(mg)/mL(mg/mL)の標識抗CD20抗体で、氷中で30分間処理した。次に、処理した冷細胞を2回洗浄して、非結合抗体を除去する。あるいは、非標識抗CD20抗体を使用して、二次抗体、例えば蛍光体、例えばAlexa488又はFITCとコンジュゲートした抗マウスIgGで検出する。直接免疫蛍光を使用して、例えばFACSデバイスの使用により細胞外CD20の量を定量する。
例えば、細胞表面CD20は通常、他の細胞表面標的と比較してB細胞によって高レベルで、例えば250,000細胞表面CD20分子/細胞のレベルで発現され、これは本発明の多価CD20結合分子に関して高密度の細胞外CD20標的を提供する。
多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態に関して、多価CD20結合分子の結合領域が結合する細胞外部分を有する細胞外CD20に物理的に結合している細胞に接触させることによる、細胞を殺滅する能力は、多価CD20結合分子の1又は2以上の志賀毒素エフェクター領域の触媒活性に依存してもしなくてもよい。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態において、多価CD20結合分子の結合領域が結合する細胞外部分を有する細胞外CD20に物理的に結合している細胞に接触させることにより、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、細胞を死滅させることができる。特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、(1)触媒活性を欠如する及び/又は志賀毒素エフェクター媒介リボソーム不活化機構を通して細胞を死滅させることができない志賀毒素エフェクター領域を含む、又は(2)いかなる志賀毒素エフェクター領域も含まない、のいずれかである。
本発明の多価CD20結合分子及びその強化組成物の特定の実施形態は、本発明の多価CD20結合分子を欠如する、又は総CD20結合分子に対する本発明の多価CD20結合分子の割合が本発明の強化組成物(すなわち、本発明の多価CD20結合分子組成物)より低い、一価CD20結合分子及び/又はその組成物と比較して、予想外に大きい細胞標的化細胞毒性作用強度を示す。理論に拘束されたくはないが、一価CD20結合分子と本発明の多価CD20結合分子の間のCD20の結合価に関連する機能の改善は、単なるCD20結合価の効果の結果を上回ると考えられるという点では多価CD20結合構造に起因するが、むしろ一価CD20結合バリアントには存在しない本発明の多価CD20結合構造のデノボ特性に起因するように思われる。理論に拘束されたくはないが、一価CD20結合バリアントと比較して定性的及び/又は定量的に予想外に大きい細胞毒性作用強度を示す本発明の多価CD20結合分子及びその強化組成物は、改善の結果として、例えば分子の1)CD20発現細胞への細胞内在化、2)特定の細胞内区画への細胞内在化後の細胞内経路決定、及び/又は3)志賀毒素エフェクターポリペプチドのサイトゾルへの送達、に関する分子の有効性が改善した結果として、そのようなレベルの細胞毒性作用強度を示しうる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、1又は2以上の一価CD20結合分子成分を含み、本発明の多価CD20結合分子又はその組成物を、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している細胞集団(例えば、CD20+細胞)に投与すると、多価CD20結合分子は、同じ条件(例えば、同じ温度、細胞密度、及びアッセイ持続時間)で同じ型のCD20陽性細胞集団に対して、多価CD20結合分子のいずれか1つの一価CD20結合分子成分の同等の量、質量、又はモル濃度の投与に起因する細胞毒性効果より、1.33、1.5、1.75、2、3、5、7.5、10、20、100倍大きい細胞毒性効果、又は(1)一価CD20結合成分と多価CD20結合分子の間のCD20結合価の変化、(2)CD20又はCD20発現細胞に対する結合に関する多価CD20結合分子と一価CD20結合成分との間の平衡結合定数(KD)の変化、及び/若しくは(3)CD20又はCD20発現細胞に対する結合に関する多価CD20結合分子と一価CD20結合成分との間の親和性定数(1/KD)の変化より大きい細胞毒性効果を示す。特定のさらなる実施形態において、細胞集団のメンバーは、(1)それぞれのCD20結合領域が多価CD20結合分子から単離されて試験される、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通ドメインを有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままである、CD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態において、細胞集団のメンバーは、CD20陽性細胞である。特定の実施形態において、細胞集団のメンバーは、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定のさらなる実施形態において、細胞集団のメンバーは、B細胞系列の子孫又はメンバーである。特定のさらなる実施形態において、細胞集団のメンバーは、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病、健康なB細胞系列細胞、及び/又は健康なT細胞からなる群から選択される。
B.異なる細胞混合物間の選択的細胞毒性
本発明の細胞毒性多価CD20結合分子及びその組成物は、非標的化細胞又は「バイスタンダー」細胞の存在下での特異的な細胞型の集団の除去にとって有用である。例えば、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子及びその組成物は、1又は2以上の細胞表面で高レベルのCD20を発現するCD20発現細胞を除去することによって、特定の腫瘍、がん、及び/又は増殖異常を治療するために有用である。多数の高親和性CD20結合領域を使用して、酵素的に活性な志賀毒素領域のCD20発現細胞への送達を標的化することにより、志賀毒素の細胞殺滅活性を、少なくとも1つの細胞型集団が少なくとも1つの他の細胞型集団より多くのCD20を発現する2又は3以上の細胞型の存在下で、細胞表面にCD20を発現するCD20発現細胞型(例えば、CD20+細胞)、例えば特定の新生物細胞又は悪性形質細胞を優先的に殺滅することに限定することができる。
特定の実施形態において、本発明の細胞毒性CD20結合分子は、2又は3以上の異なる細胞型の混合物中の特異的な細胞型を選択的又は優先的に死滅させることができる。これは、細胞外CD20を発現しない「バイスタンダー」細胞型と比較して高い優先性、例えば3倍の細胞毒性効果で、特異的な細胞型に対する標的化細胞毒性活性を可能にする。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子を細胞型混合物に投与すると、多価CD20結合分子は、多価CD20結合分子の結合領域の細胞外CD20標的を欠如する細胞型と比較して、細胞外CD20標的を示すCD20発現細胞を選択的に殺滅することができる。
特定の実施形態において、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子を細胞型混合物に投与すると、細胞毒性多価CD20結合分子は、細胞外CD20標的生体分子のいかなる細胞表面発現も欠如する細胞と比較して、細胞外CD20標的生体分子を発現するCD20+細胞を選択的に殺滅することができる。
特定のCD20陽性細胞型は、他のCD20陽性細胞を含む他の細胞の存在下で、標的細胞と非標的細胞の細胞外CD20標的の発現レベルが異なることに基づいて、本発明の多価CD20結合分子又はその組成物によって殺滅することができる。例えば、CD20を過剰発現する細胞は、健康な細胞がCD20を発現するかどうかとは無関係に、健康な細胞に囲まれていても殺滅することができる。
標的生体分子を「過剰発現する」細胞は、同じ組織型の健康な細胞と比較してその細胞表面上で有意に高レベルの標的生体分子に物理的に結合している細胞を含む。過剰発現は、様々な状況、例えば遺伝子増幅、転写の増加、翻訳の増加、CD20遊離の減少、及び/又はCD20標的生体分子の除去の減少によって引き起こされうる。当業者は、当業界で公知の方法を使用して特定の標的生体分子の過剰発現を決定することができる。
細胞表面上の細胞外CD20標的生体分子のレベルは、当業者に公知の様々な方法、例えばFACS法を使用して決定することができる。本明細書において使用される、細胞表面に発現する細胞外CD20の有意な量は、細胞型に依存してFACS分析により、10,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000平均蛍光強度(MFI,mean fluorescence intensity)より大きい。
本発明の細胞毒性多価CD20結合分子は、特異的な細胞型の集団を低減又は除去するために有用である。例えば、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子は、1又は2以上の細胞表面で高レベルのCD20を発現するCD20+細胞(例えば、CD20を過剰発現するものとして特徴付けられる細胞)を除去することによって、特定の腫瘍、がん、及び/又は増殖異常を治療するために有用である。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、CD20+であるが標的細胞より低い細胞表面の量又は密度で細胞表面CD20を発現する「バイスタンダー」細胞型と比較して、高い優先性で、例えば少なくとも3倍高い細胞毒性効果で特異的な細胞型に細胞毒性活性を標的化するために使用することができる。CD20の発現は、細胞型による細胞外CD20の発現量が十分に低く、そのため標的化されない場合、1つの細胞型に対して非排他的でありうる。したがって、1つのCD20陽性細胞型の優先的殺滅は、いくつかのCD20+細胞型がバイスタンダー細胞である多数のCD20+の混合物、例えば任意でCD20陰性細胞の存在下で様々なCD20発現レベルを有するCD20+細胞型の混合物において達成することができる。これにより、有意な量のCD20を発現しない又は細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的を露出しない「バイスタンダー」細胞型と比較して、高発現性のCD20細胞型の優先的細胞殺滅、例えば3倍の細胞毒性効果が可能となる。
特定の実施形態において、細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞型集団に対する本発明の多価CD20結合分子の細胞毒性活性は、その多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域が特異的に結合する有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型集団に対する細胞毒性活性より少なくとも3倍高い。本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)本発明の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞集団に対する細胞毒性、対(b)本発明の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型の細胞集団に対する細胞毒性の比(a/b)に関して定量されうる。
特定の実施形態において、細胞毒性比は、細胞外CD20標的を発現しない、又は本発明の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域が特異的に結合する有意な量の細胞外CD20に物理的に結合していない細胞又は細胞型集団と比較して、本発明の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の細胞外CD20標的を発現する又は物理的に結合している細胞又は細胞型集団に関して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、1000倍、又はそれより高い選択的細胞毒性を示す。例えば、細胞外CD20標的生体分子の存在及び/又はポリペプチド配列が異なる2つの異なる細胞集団に、本発明の特定の多価CD20結合分子を投与すると、多価CD20結合分子は、多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域が結合する細胞外CD20標的生体分子に物理的に結合している細胞型に対して、例えば多価CD20結合分子のCD20結合領域の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型に対する結合のCD50より少なくとも3倍低いCD50で細胞を死滅させることができる。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、多価CD20結合分子を2つの異なる細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子は、その半数細胞毒性濃度(CD50)によって定義して、そのメンバーが細胞表面にCD20を発現する第1の細胞集団に対して、そのメンバーがCD20を発現しない、有意な量のCD20を発現しない、又は多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的を露出していない第2の細胞集団に対する同じ多価CD20結合分子のCD50量より少なくとも3倍低い用量で、細胞死をもたらすことができる。
本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)CD20+細胞集団に対する細胞毒性、対(b)CD20陰性細胞集団に対する細胞毒性の比率(a/b)に関して定量化されうる。特定の実施形態において、細胞毒性比は、CD20−細胞又はCD20−細胞集団と比較してCD20+細胞又はCD20+細胞集団に関して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、又は1000倍高い選択的細胞毒性を示す。例えば、細胞外CD20標的生体分子の存在が異なる2つの細胞型集団に、多価CD20結合分子の特定の実施形態を投与すると、多価CD20結合分子は、CD20標的生体分子陰性細胞に対するCD50より少なくとも3倍低いCD50でCD20標的生体分子陽性細胞に対して細胞死をもたらすことができる。
生物内の特定のCD20発現レベルは、ユニークな細胞、組織、細胞型、状態、疾患状態、障害、及び/又は細胞の状況に限定されうる。CD20は、多くの疾患状態に関係する細胞、例えば悪性免疫細胞、腫瘍細胞、及びがん細胞によって過剰発現されうる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物を細胞型混合物に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、本発明の組成物の多価CD20結合分子の細胞外CD20標的を欠如する細胞型と比較して、細胞外CD20標的を示すCD20発現細胞を選択的に殺滅することができる。
特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物を、細胞外CD20標的の存在及び/又はポリペプチド配列が異なる2つの細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、CD20+標的細胞集団に対して半数細胞毒性濃度(CD50)によって定義して、例えばCD20−細胞集団に対する同じ多価CD20結合分子組成物のCD50用量より少なくとも3倍低い用量で細胞死をもたらすことができる。
本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)CD20+細胞集団に対する細胞毒性、対(b)CD20−細胞集団に対する細胞毒性の比率(a/b)に関して定量化されうる。特定の実施形態において、細胞毒性比は、CD20−細胞又はCD20−細胞集団と比較してCD20+細胞又はCD20+細胞集団に関して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、又は1000倍高い選択的細胞毒性を示す。例えば、本発明の多価CD20結合分子組成物の特定の実施形態を、細胞外CD20標的生体分子の存在が異なる2つの細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、CD20標的生体分子陰性細胞に対するCD50より少なくとも3倍低いCD50でCD20標的生体分子陽性細胞に対して細胞を死滅させることができる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子組成物は、2又は3以上の異なる細胞型の混合物中の特異的な細胞型の死滅を選択的又は優先的にもたらすことができる。これによって、いかなる有意な量の適切な細胞外CD20標的も発現しない「バイスタンダー」細胞型、例えばCD20陰性細胞と比較して、高い優先性で、例えば少なくとも3倍の細胞毒性効果で、特異的な細胞型に細胞毒性活性を標的化することが可能となる。これによって、有意な量の適切なCD20標的を発現しない、又は細胞表面に有意な量の適切なCD20標的を露出していない「バイスタンダー」細胞型と比較して、高い優先性、例えば少なくとも3倍の細胞毒性効果で、細胞表面にCD20を発現する特異的な細胞型の標的化細胞殺滅が可能となる。
細胞又は細胞集団の表面で発現する細胞外CD20のレベルは、当業者に公知の様々な方法、例えばFACS法を使用して決定されうる。本明細書において使用される、細胞表面で発現する有意な量の細胞外CD20は、細胞型に応じてFACS分析によって10,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000平均蛍光強度(MFI)より大きい。
あるいは、本発明の特定の多価CD20結合分子及びその組成物は、CD20+であるが、標的細胞より低い細胞表面量又は密度でCD20を発現する「バイスタンダー」細胞型と比較して、高い優先性で、例えば少なくとも3倍の細胞毒性効果での特異的な細胞型への細胞毒性活性の標的化を可能にする。このように、いくつかのCD20+細胞型がバイスタンダー細胞である多数のCD20+細胞型の混合物、例えば様々なCD20発現レベルを有するCD20+細胞型の混合物中で、及び同様に任意でCD20陰性細胞の存在下で、1つのCD20陽性細胞型の優先的殺滅を達成することができる。
特定の実施形態において、細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞型集団に対する細胞毒性活性は、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型集団に対する細胞毒性活性より少なくとも3倍高い。本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞集団に対する細胞毒性、対(b)細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型の細胞集団に対する細胞毒性の比(a/b)に関して定量化されうる。特定の実施形態において、細胞毒性比は、細胞外CD20標的を発現していない、又は細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞又は細胞型集団と比較して、細胞外CD20標的を発現している、又は細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞又は細胞型集団に対して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、又は1000倍高い選択的細胞毒性を示す。例えば、本発明の多価CD20結合分子組成物の特定の実施形態を、細胞外CD20標的生体分子の存在が異なる2つの細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、そのCD20結合領域の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型に対するCD50より少なくとも3倍低いCD50で、1又は2以上のそのCD20結合領域の細胞外CD20標的生体分子に物理的に結合している細胞型に対して細胞死をもたらすことができる。
本発明の多価CD20結合分子組成物の特定の実施形態において、多価CD20結合分子組成物を異なる2つの細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、半数細胞毒性濃度(CD50)によって定義して、そのメンバーが細胞表面にCD20を発現する第1の細胞集団に対して、そのメンバーがCD20を発現しない、有意な量のCD20を発現しない、又は多価CD20結合分子組成物の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的を露出していない第2の細胞集団に対する同じ多価CD20結合分子組成物のCD50量より少なくとも3倍低い用量で細胞死をもたらすことができる。
特定の実施形態において、細胞表面にCD20を発現する細胞型集団に対する本発明の多価CD20結合分子組成物の細胞毒性活性は、多価CD20結合分子組成物の多価CD20結合分子が特異的に結合する任意の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型集団に対する細胞毒性活性より少なくとも3倍高い。
本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)実施形態のCD20結合領域の細胞外CD20標的を発現している細胞集団に対する細胞毒性、対(b)実施形態のCD20結合領域のいかなる細胞外CD20標的にも物理的に結合していない細胞型の細胞集団に対する細胞毒性の比(a/b)に関して定量化されうる。特定の実施形態において、細胞毒性比は、CD20を発現していない細胞又は細胞型集団と比較して、CD20を発現している細胞又は細胞型集団に対して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、又は1000倍高い選択的細胞毒性を示す。
特定の実施形態において、細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞型集団に対する本発明の多価CD20結合分子組成物の細胞毒性活性は、多価CD20結合分子組成物の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域が特異的に結合する有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型集団に対する細胞毒性活性より少なくとも3倍高い。本発明によれば、選択的細胞毒性は、(a)本発明の細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞集団に対する細胞毒性、対(b)細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型の細胞集団に対する細胞毒性の比(a/b)に関して定量化されうる。特定の実施形態において、細胞毒性比は、細胞外CD20標的を発現していない、又は本発明の組成物の細胞毒性多価CD20結合分子のいずれかのCD20結合領域が特異的に結合する有意な量の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞又は細胞型集団と比較して、細胞外CD20標的を発現している、又は本発明の組成物の細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の細胞外CD20標的に物理的に結合している細胞又は細胞型集団に対して、少なくとも3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、250倍、500倍、750倍、又は1000倍高い選択的細胞毒性を示している。例えば、本発明の特定の多価CD20結合分子組成物を、細胞外CD20標的生体分子の存在及び/又はポリペプチド配列が異なる2つの異なる細胞集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、組成物の多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域が結合する細胞外CD20標的生体分子に物理的に結合している細胞型に対して、例えば組成物のいずれかの多価CD20結合分子の細胞外CD20標的に物理的に結合していない細胞型に対する結合のCD50より少なくとも3倍低いCD50で、細胞死をもたらすことができる。
本発明の多価CD20結合分子組成物の特定の実施形態において、多価CD20結合分子組成物を2つの異なる細胞型集団に投与すると、多価CD20結合分子組成物は、半数細胞毒性濃度(CD50)によって定義して、そのメンバーが細胞表面にCD20を発現する第1の細胞集団に対して、そのメンバーがCD20を発現しない、有意な量のCD20を発現しない、又は多価CD20結合分子組成物のいずれかの細胞毒性多価CD20結合分子の少なくとも1つのCD20結合領域の有意な量の細胞外CD20標的を露出していない第2の細胞集団に対する同じ多価CD20結合分子のCD50量より少なくとも3倍低い用量で、細胞死をもたらすことができる。
この優先的細胞殺滅機能により、本発明の特定の多価CD20結合分子及びその組成物によって、様々な条件及び非標的化CD20−バイスタンダー細胞の存在下で、例えばエクスビボで操作された細胞型混合物、細胞型混合物を有するインビトロ培養組織、又はインビボでの多数の細胞型の存在下(例えば、インサイチュー、多細胞生物内の本来の位置で、又は多細胞生物内の疾患部位)で、標的化CD20+細胞を殺滅することができる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を、細胞型混合物に投与すると、多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、細胞外CD20標的生体分子のいかなる細胞表面発現も欠如する細胞と比較して、細胞外CD20標的生体分子を発現するCD20+細胞を選択的に殺滅することができる。高親和性CD20結合領域を使用して、酵素的に活性な志賀毒素領域の特異的な細胞型への送達を標的化することによって、この強力で選択的な細胞殺滅活性を、生物内でCD20発現細胞のみを殺滅することに制限することができる。
本発明の特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、異常に高いCD20発現及び/又は異所性CD20発現を有する細胞を伴う疾患、障害、又は状態においてCD20+細胞を殺滅するために適用を有する。CD20を発現する様々な細胞型が、細胞殺滅及び/又は細胞分裂停止のために本発明の多価CD20結合分子及びその組成物によって標的化されうる。例えば、自己免疫状態、B細胞新生物の増殖、及び過敏反応を含む様々な生物学的プロセスにおいて機能する様々な型のCD20+細胞が存在する。
C.追加の外因性物質の標的細胞の内部への送達
直接細胞殺滅に加えて、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、追加の外因性物質を標的細胞の内部に送達するために使用されてもよい。追加の外因性物質の送達を、例えば細胞毒性、細胞分裂停止、情報の収集、及び/又は診断機能のために使用してもよい。本発明の細胞毒性多価CD20結合分子の非毒性バリアント、又は毒性であってもよいバリアントを使用して、細胞外CD20分子に物理的に結合している細胞の内部に追加の外因性物質を送達してもよく、及び/又は細胞の内部を標識してもよい。1又は2以上の細胞表面でCD20を発現する様々な型の細胞及び/又は細胞集団が、外因性物質を受容するために本発明の多価CD20結合分子によって標的化されうる。本発明の機能的成分は、様々な適用、例えば腫瘍細胞の非侵襲性のインビボでのイメージングにおいて使用するために好適な本発明の様々な多価CD20結合分子をもたらすために、様々な志賀毒素エフェクター領域及び追加の外因性物質が様々なCD20結合領域に連結されうるという点で、モジュラーである。
細胞毒性又は非毒性の多価CD20結合分子、及びその触媒的に不活性形態は、CD20分子に物理的に結合している細胞に侵入することができることから、本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態を使用して、追加の外因性物質を標的化CD20+細胞型の内部に送達してもよい。ある意味において、多価CD20結合分子全体が、標的細胞に侵入する外因性物質であり、したがって、「さらなる」外因性物質は、迅速な細胞内在化及び/又は所望の細胞内区画への効率的な細胞内経路決定を達成するために必要最少の成分で単に構成されているコアの多価CD20結合分子そのもの以外に連結される異種物質である。
本明細書において使用される「追加の外因性物質」は、本発明の多価CD20結合分子を使用してそのような材料を細胞の内部に特異的に輸送することができる、ネイティブCD20+標的細胞内にしばしば一般的に存在しない1又は2以上の分子を指す。
追加の外因性物質の非制限的な例は、細胞毒性薬剤、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、小分子化学療法薬、放射性核種、及び検出促進剤である。
本発明の細胞毒性CD20結合分子の非毒性バリアント及びその組成物、又は任意で毒性バリアントを、本発明の多価CD20結合分子が結合するCD20分子に物理的に結合している細胞に追加の外因性物質を送達するため及び/又は細胞の内部を標識するために使用してもよい。細胞表面にCD20を発現する様々な型の細胞及び/又は細胞集団は、殺滅するため及び/又は外因性物質、例えば検出促進剤を受容するために、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物によって標的化されうる。本発明のシステムは、様々な志賀毒素エフェクター領域及び追加の外因性物質を同じ結合領域に連結させて、様々な適用、例えば腫瘍細胞及び/又は免疫細胞の内部のインビボでの非侵襲性イメージングが提供されうるという点で、モジュラーである。
追加の外因性物質の細胞の内部への送達に使用するための、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態において、追加の外因性物質は、細胞毒性薬剤、例えば、小分子化学療法薬、細胞毒性の抗生物質、アルキル化剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼ阻害剤、及び/又はチューブリン阻害剤である。細胞毒性薬剤の非制限的な例としては、アジリジン、シスプラチン、テトラジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ビンカアルカロイド、タキサン、カンプトテシン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、アクラルビシン、アントラサイクリン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ドラスタチン、メイタンシン、ドセタキセル、アドリアマイシン、カリチアマイシン、オーリスタチン、ピロロベンゾジアゼピン、カルボプラチン、5−フルオロウラシル(5−FU,5-fluorouracil)、カペシタビン、マイトマイシンC、パクリタキセル、1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素(BCNU,1,3-Bis(2-chloroethyl)-1-nitrosourea)、リファンピシン、シスプラチン、メトトレキサート、及びゲムシタビンが挙げられる。
特定の実施形態において、追加の外因性物質は、酵素を含むタンパク質又はポリペプチドを含む。特定の他の実施形態において、追加の外因性物質は、核酸であり、例えば低分子阻害RNA(siRNA,small inhibiting RNA)又はマイクロRNA(miRNA,microRNA)として機能するリボ核酸である。特定の実施形態において、追加の外因性物質は、抗原であり、例えば細菌タンパク質、ウイルスタンパク質、がんにおいて変異したタンパク質、がんにおいて異常に発現したタンパク質、又はT細胞相補性決定領域に由来する抗原などである。例えば、外因性物質としては、抗原、例えば細菌感染した抗原提示細胞に特徴的な抗原、及び外因性抗原として機能することが可能なT細胞相補性決定領域が挙げられる。特定の実施形態において、追加の外因性物質は、アポトーシス促進性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質、例えばBCL−2、カスパーゼ、チトクローム、グランザイムB、アポトーシス誘導因子(AIF, apoptosis-inducing factor)、BAX、tBid(短縮型Bid)、及びアポトーシス促進性フラグメント又はその誘導体を含む(例えば、Ellerby H et al., Nat Med 5: 1032-8 (1999); Mai J et al., Cancer Res 61: 7709-12 (2001); Liu Y et al., Mol Cancer Ther 2: 1341-50 (2003); Perea S et al., Cancer Res 64: 7127-9 (2004); Dalken B et al., Cell Death Differ 13: 576-85 (2006); Kwon M et al., Mol Cancer Ther 7: 1514-22 (2008); Wang F et al., Clin Cancer Res 16: 2284-94 (2010); Kim J et al., J Virol 85: 1507-16 (2011)を参照されたい)。外因性物質のさらなる例には、抗原性ペプチドより大きいタンパク質、例えば酵素が挙げられる。タンパク質を含む外因性物質は、当業者に公知であるか未知であるかによらず、1又は2以上の抗原を含んでもよい。
追加の外因性物質の細胞の内部への送達に使用するための本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態において、追加の外因性物質は、1又は2以上の放射性核種、例えば、211At、131I、125I、90Y、111In、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、60C、及び/又はLuの放射活性同位体である。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、細胞に送達するための追加の外因性物質を含み、多価CD20結合分子は、配列番号51〜52、59〜61、64〜65、71〜73、76〜77、82〜83、88〜89、94、100、106、109〜112、115〜118、124、132、140、145、150、156、162、168、171、174、180〜181、189〜190、193〜194、200〜202、205〜206、211〜212、217〜218、223、229、235、238〜241、244〜247、253、261、269、274、279、及び285のいずれか1つに示されるタンパク質を含み、並びにタンパク質はアミノ末端メチオニン残基をさらに含んでもよい。特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、2つのタンパク質を含む又は2つのタンパク質から本質的になり、それぞれのタンパク質は、配列番号51〜52、59〜61、64〜65、71〜73、76〜77、82〜83、88〜89、94、100、106、109〜112、115〜118、124、132、140、145、150、156、162、168、171、174、180〜181、189〜190、193〜194、200〜202、205〜206、211〜212、217〜218、223、229、235、238〜241、244〜247、253、261、269、274、279、及び285に示されるポリペプチドのいずれか1つから選択され;並びに各タンパク質は、アミノ末端メチオニン残基をさらに含んでもよい。特定のさらなる実施形態において、タンパク質は、配列番号51〜52、59〜61、64〜65、71〜73、76〜77、82〜83、88〜89、94、100、106、109〜112、115〜118、124、132、140、145、150、156、162、168、171、及び174に示されるタンパク質のいずれか1つから選択され、242、482、483、484、490、491、492、493、494、495、499、500、501、502、503、504、505、510、511、512、513、及び521からなる群からなる群から選択される位置でシステイン残基を含むジスルフィド結合をさらに含む。
特定の実施形態に関して、多価CD20結合分子及び/又はその組成物を、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している1又は2以上の細胞に投与すると、多価CD20結合分子は、1又は2以上の細胞に細胞内在化して、追加の外因性物質を細胞又は少なくともいくつかの細胞の内部に送達する。
本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態に関して、細胞内在化速度は、本発明の多価CD20結合分子が、多価CD20結合分子及び/又はその組成物に接触した細胞及び/又は大部分の細胞の内部で観察される、投与後の時間(平均値)として測定されうる。例えば、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブは、典型的には、37℃で約16〜18時間後に最大の細胞内在化に達し、したがって、本発明の内容において、「急速な細胞内在化」は、同じ温度及び受容体占有レベルでリツキシマブに関して観察された平均速度より数時間速い細胞内在化速度を示すであろう。
特定の実施形態において、多価CD20結合分子及び/又はその組成物を、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している1又は2以上の細胞に投与すると、多価CD20結合分子は、1又は2以上の細胞に細胞内在化して、細胞にとって適切な生理的温度及び/又は約37℃で約5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又はそれ未満以内で追加の外因性物質を細胞の内部に送達する。特定のさらなる実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通ドメインを有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままであるCD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態に関して、細胞は、CD20陽性細胞である。特定の実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定の実施形態に関して、細胞は、B細胞系列の子孫又はメンバーである。特定の実施形態に関して、細胞は、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病、健康なB細胞系列細胞、及び/又は健康なT細胞からなる群から選択される。
本発明の特定の実施形態の目的に関して、成句「約30分未満で」は、細胞内在化アッセイの時間経過において細胞内CD20、CD20抗原、及び/又は多価CD20結合分子に関して観察される最大(又は特定の内容において半数)量が、37℃及び50nM多価CD20結合分子と類似の条件での適切なアッセイによって決定した場合に、CD20陽性細胞に本発明の多価CD20結合分子を接触させるステップから30分で又は30分までに観察されることを意味する。最大又は半数細胞内蓄積の時間は、ピーク又はプラトーを発見するために異なる時間で細胞内蓄積を比較することによって決定されうる。プラトーが観察される場合、最大細胞内蓄積は、プラトーがその最高点に達する最初の時間であると決定されうる。
細胞外CD20細胞表面密度及びCD20結合分子のKDを使用して、CD20結合分子、例えば本発明のCD20結合分子又は当業者に公知の参照CD20結合分子(例えば、モノクローナル抗体)の所定の濃度に関して占有率を計算することができる。例えば、CD20受容体の占有率は、1)細胞外CD20受容体とCD20結合分子の間の結合相互作用、2)結合に利用できる細胞外CD20受容体の量(例えば、濃度又は有効濃度)、及び3)所定の状況に存在するCD20結合分子の量(例えば、質量、濃度、又はモル濃度)の関数として決定されうる。
特定の実施形態において、当業界で公知のCD20抗体と比較して、本発明の多価CD20結合分子の細胞内在化速度は、投与されたCD20結合分子(すなわち、本発明の多価CD20結合分子及び先行技術の参照の抗CD20抗体)の比較可能な濃度で行われたアッセイを使用して決定されるのではなく、比較可能な細胞外CD20受容体占有率で行われるアッセイを使用して決定されうる。%CD20受容体占有率(ROCD20)は、モデル及び式、例えば
(式中、ROは、細胞内在化アッセイにおける細胞外CD20の受容体占有率であり、KDは、細胞外CD20受容体に対する所望のCD20結合分子の解離定数であり、Atotは、アッセイにおけるCD20結合分子の総数であり、及びCD20totは、アッセイにおける細胞表面CD20分子の総数である)(例えば、Muller P, Brennan F, Clin Pharmacol Ther 85: 247-58 (2009); 米国特許出願第14/965,882号明細書を参照されたい)を使用して決定されうる。
追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態に関して、多価CD20結合分子又はその組成物を、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している複数の細胞に、5又は38%〜50%細胞表面占有率に等しい多価CD20結合分子の濃度で投与すると、多価CD20結合分子の大部分が、複数の細胞内に内在化して、細胞にとって適切な生理的温度及び/又は約37℃で約5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又はそれ未満以内で、追加の外因性物質を大部分の複数の細胞の内部に送達する。特定のさらなる実施形態に関して、複数の細胞のメンバーは、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通ドメインを有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままである、CD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態に関して、複数の細胞のメンバーは、CD20陽性細胞である。特定の実施形態に関して、複数の細胞のメンバーは、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定の実施形態に関して、複数の細胞のメンバーは、B細胞系列の子孫又はメンバーである。特定の実施形態に関して、複数の細胞のメンバーは、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病、健康なB細胞系列細胞、及び/又は健康なT細胞からなる群から選択される。
本発明の特定の多価CD20結合分子及びその組成物は、選択的細胞標的化及び効率的な細胞内在化(例えば、投与後30分以内での)を示すことから、本発明の多価CD20結合分子にコンジュゲートした細胞毒性のカーゴ(例えば、細胞毒性薬剤、リボ核酸、抗原、及び/又はアポトーシス促進性ペプチドなど)を、細胞を殺滅する目的のためにCD20発現細胞に効率よく送達することができる。本発明の特定の多価CD20結合分子及びその組成物は、選択的な細胞標的化及び効率的な細胞内在化(例えば、投与後30分以内)を示すことから、本発明の多価CD20結合分子にコンジュゲートした細胞毒性のカーゴ(例えば、細胞毒性薬剤、リボ核酸、抗原、及び/又はアポトーシス促進性ペプチドなど)は、標的化細胞より低レベルのCD20を発現する他のCD20発現細胞を含む、他の細胞の存在下で細胞を殺滅する目的のためにCD20発現細胞に選択的及び効率よく送達することができる。
D.診断機能に関する情報の収集
本発明の特定の多価CD20結合分子、及びその組成物は、特異的細胞、細胞型、細胞集団、及び/又は前述のいずれかの細胞内区画のインビトロ及び/又はインビボでの検出において用途を有する。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、診断及び治療又は診断単独のために使用される。診断及び治療の両方のために、同じ細胞毒性多価CD20結合分子を使用する場合、診断のために検出促進剤を組み込んだ細胞毒性多価CD20結合分子バリアントを、1又は2以上のアミノ酸置換、例えば本明細書に記述される例示的な置換を介したその志賀毒素エフェクター領域の触媒不活化により非毒性にしてもよい。検出促進剤にコンジュゲートされる本発明の細胞毒性多価CD20結合分子の非毒性形態を、診断機能に、例えば細胞標的化のための同じ又は関連するCD20結合領域を含む治療レジメンと共に使用されるコンパニオン診断のために使用してもよい。
当業界で公知の検出促進剤を、本発明の様々な細胞毒性多価CD20結合分子にコンジュゲートする能力は、がん、腫瘍、及び免疫細胞、並びに前述の細胞内区画の検出に有用な組成物を提供する。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物のこれらの診断の実施形態は、当業界で公知の様々なイメージング技術及びアッセイを介して情報を収集するために使用されうる。例えば、本発明の多価CD20結合分子の診断の実施形態は、患者又は生検試料中の個々のがん細胞、新生物細胞、悪性腫瘍細胞、非悪性腫瘍細胞、免疫細胞、及び/又は血液細胞の細胞内オルガネラ(例えば、エンドサイトーシス、ゴルジ、小胞体、及びサイトゾル区画)のイメージングを介して情報収集のために使用されうる。
診断での使用のためか又は他の使用のためかにかかわらず、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の診断の実施形態を使用して、様々な型の情報が収集されうる。この情報は、例えば、CD20陽性新生物細胞型を診断すること、患者の疾患の治療感受性を決定すること、経時的に抗新生物療法の進行をアッセイすること、経時的に免疫調節療法の進行をアッセイすること、経時的に抗菌療法の進行をアッセイすること、移植材料中の不要なCD20+細胞型の存在を評価すること、及び/又は腫瘤の外科的切除後に残留した腫瘍細胞の存在を評価することにおいて有用でありうる。
例えば、本発明の多価CD20結合分子の診断用バリアント及びその組成物を使用して収集された情報を使用して患者の部分集団を確認し、次いで、個々の患者をそのような診断の実施形態を使用して解明されたそれらの固有の特徴に基づき部分集団にさらに類別することができる。例えば、具体的な医薬品又は療法の有効性は、患者の部分集団を定義するために使用される1つの型の基準でありうる。例えば、本発明の特定の細胞毒性多価CD20結合分子の非毒性の診断用バリアント及び/又はその組成物は、どの患者が、同じ細胞毒性多価CD20結合分子又は他の関連分子の細胞毒性バリアントに陽性に応答すると予測される患者のクラス又は部分集団に属するのかを識別するために使用することができる。したがって、患者を同定するための方法に関連して、細胞毒性多価CD20結合分子及びその非毒性バリアント、並びにその組成物を使用する患者の層別化及び診断は、本発明の範囲内であるとみなされる。
IV.本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分の変化
当業者は、例えば所定の多価CD20結合分子の全体構造及び機能を維持することによって、その生物活性を減少させることなく、本発明の多価CD20結合分子(及びそれらをコードするポリヌクレオチド及び/又はその成分)に対して変更を行ってもよいと認識するであろう。例えば、いくつかの改変は、発現を容易にし、精製を容易にし、薬物動態特性を改善し、タンパク質の安定性を改善し、及び/又は免疫原性を改善しうる。そのような改変は、当業者に周知であり、例えば開始部位を提供するためにアミノ末端に付加されるメチオニン、都合のよい位置の制限部位又は終止コドンを作製するためにいずれかの末端に配置されるさらなるアミノ酸、及び都合のよい検出及び/又は精製を提供するためにいずれかの末端に融合される生化学的アフィニティタグが挙げられる。ポリペプチドの免疫原性を改善するための一般的な改変は、例えばアミノ末端のホルミルメチオニン(fMet)の存在が脊索動物において望ましくない免疫応答を誘導しうることから、細菌宿主系において産生時にホルミル化されうる開始メチオニン残基をポリペプチドの産生後に除去することである。
同様に、本明細書において、アミノ及び/又はカルボキシ末端で追加のアミノ酸残基、例えばエピトープタグ又は他の部分の配列を包含させることが企図される。さらなるアミノ酸残基は、例えば、クローニング、発現、翻訳後修飾、合成、精製、検出、及び/又は投与を容易にすることを含む様々な目的のために使用されうる。エピトープタグ及び部分の非制限的な例は、キチン結合タンパク質ドメイン、エンテロペプチダーゼ切断部位、Xa因子切断部位、FIAsHタグ、FLAGタグ、緑色蛍光タンパク質(GFP,green fluorescent protein)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ部分、HAタグ、マルトース結合タンパク質ドメイン、mycタグ、ポリヒスチジンタグ、ReAsHタグ、strepタグ、strepタグII、TEVプロテアーゼ部位、チオレドキシンドメイン、トロンビン切断部位、及びV5エピトープタグである。
上記の特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、タンパク質様領域に導入された1又は2以上の保存的アミノ酸置換が存在するバリアントである。本明細書において使用される用語「保存的置換」は、1又は2以上のアミノ酸が別の生物学的に類似のアミノ酸残基で置き換えられることを指す。例としては、類似の特徴を有するアミノ酸残基の置換、例えば小さいアミノ酸、酸性アミノ酸、極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、疎水性アミノ酸、及び芳香族アミノ酸(例えば、以下の表Bを参照されたい)が挙げられる。内因性の哺乳動物ペプチド及びタンパク質に通常見出されない残基との保存的置換の例は、アルギニン又はリジン残基と、例えばオルニチン、カナバニン、アミノエチルシステイン、又は別の塩基性アミノ酸との保存的置換である。ペプチド及びタンパク質における表現型ではサイレントな置換に関するさらなる情報に関しては、例えばBowie J et al., Science 247: 1306-10 (1990)を参照されたい。
表Bにおける保存的置換のスキームでは、例示的なアミノ酸の保存的置換は、物理化学的な特性によって、I:中性、親水性;II:酸及びアミド;III:塩基性;IV:疎水性;V:芳香族、嵩高なアミノ酸;VI:親水性で非荷電性;VII:脂肪族で非荷電性:VIII:非極性で非荷電性;IX:シクロアルケニル結合;X:疎水性;XI:極性;XII:小さい;XIII:ターン許容性;及びXIV:フレキシブルにグループ分けされる。例えば、保存的アミノ酸置換としては、以下:1)Sは、Cで置換されていてもよい;2)M又はLは、Fで置換されていてもよい;3)Yは、Mで置換されていてもよい;4)Q又はEは、Kで置換されていてもよい;5)N又はQは、Hで置換されていてもよい;及び6)Hは、Nで置換されていてもよいことが挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子又は本発明の多価CD20結合分子組成物は、多価CD20結合分子が必須の生物活性を保持することを条件として、本明細書において列挙されるタンパク質配列と比較して最大で20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸置換を有するタンパク質を含むことができる。
本明細書において提供される多価CD20結合分子のバリアントは、所望の特性、例えば細胞毒性の変化、細胞分裂停止効果の変化、免疫原性の変化、及び/又は血清中半減期の変化を達成するために、例えばCD20結合領域又は志賀毒素エフェクター領域内で1若しくは2以上のアミノ酸を変化させる、又は1若しくは2以上のアミノ酸を欠失若しくは挿入することにより、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分を変化させた結果として、本発明の範囲に含まれる。本発明の多価CD20結合分子のポリペプチド成分又は本発明の多価CD20結合分子組成物は、さらにシグナル配列を有してもよく、有しなくてもよい。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分又は本発明の多価CD20結合分子組成物は、タンパク質様成分が、単独及び/又は本発明の多価CD20結合分子の成分として、測定可能な生物活性、例えば細胞毒性、細胞外CD20標的生体分子結合、酵素触媒、又は細胞内経路決定を保持していることを条件として、本明細書において列挙した分子のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれより高いアミノ酸配列同一性を共有する。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分は、置換されたタンパク質が、単独及び/又は本発明の多価CD20結合分子の成分として、測定可能な生物活性を保持していることを条件として、本明細書において列挙されたポリペプチド配列と比較して最大で20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸置換を有する本発明のポリペプチド領域の機能的フラグメント又はバリアントを含みうる。
特定の実施形態において、本発明の組成物の多価CD20結合分子のタンパク質様成分は、タンパク質が、測定可能な生物活性、例えば細胞毒性、細胞外CD20標的生体分子結合、酵素触媒、又は細胞内経路決定を保持していることを条件として、本明細書において列挙したタンパク質のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれより高いアミノ酸配列同一性を共有する。多価CD20結合分子のCD20結合領域は、CD20結合領域がCD20の細胞外部分に対する結合機能性を保持していることを条件として、本明細書において列挙したCD20結合領域のアミノ酸配列とは異なりうる。結合機能性は、CDR又はABRのアミノ酸配列が同一であれば、保持される可能性が最も高い。例えばCD20結合領域が、アミノ酸の同一性の程度を決定する目的のためにCDR又はABRを形成するアミノ酸残基が無視されている本明細書において列挙したCD20結合領域に対して85%のアミノ酸同一性を含む、又は本質的にからなる1又は2以上のCD20結合領域を含む多価CD20結合分子は、特許請求の範囲に含まれる。細胞外CD20結合機能性は、標準的な技術を使用して当業者が決定することができる。
本発明は、志賀毒素エフェクター領域が、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットと1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40まで又はそれより多くのアミノ酸残基(しかし、少なくとも85%、90%、95%、99%又はそれより高いアミノ酸配列同一性を保持するもの以下)が異なる、本発明の多価CD20結合分子のバリアントをさらに提供する。したがって、志賀毒素ファミリーメンバーのAサブユニットに由来するポリペプチド領域は、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットに対して85%、90%、95%、99%又はそれより高いアミノ酸配列同一性が維持されることを条件として、元の配列からの付加、欠失、切断、又は他の変化を含みうる。
したがって、特定の実施形態において、志賀毒素エフェクター領域は、天然に存在する志賀毒素Aサブユニット、例えばSLT−1A(配列番号1)、StxA(配列番号2)、及び/又はSLT−2A(配列番号3)と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.7%の全配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は本質的にからなる。
完全長又は短縮型志賀毒素Aサブユニットのいずれも、1又は2以上の変異(例えば、置換、欠失、挿入、又は転位)を含んでもよい。本発明の特定の実施形態において、志賀毒素エフェクター領域は、宿主細胞形質転換、トランスフェクション、感染、若しくは誘導に関する周知の方法によって、又は志賀毒素エフェクター領域に連結したCD20結合領域を標的とする細胞によって媒介される細胞内在化によって、細胞内に侵入後でも細胞毒性を保持するために、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットと十分な配列同一性を有することが好ましい。志賀毒素Aサブユニットにおける酵素活性及び/又は細胞毒性にとって最も重要な残基は、中でも以下の残基位置:アスパラギン−75、チロシン−77、グルタミン酸塩−167、アルギニン−170、及びアルギニン−176にマッピングされた(Di R et al., Toxicon 57: 525-39 (2011))。本発明の実施形態のいずれか1つにおいて、志賀毒素エフェクター領域は、細胞毒性活性にとって典型的に必要である位置、例えばStxA、SLT−1Aにおける77、167、170、及び176位、又は志賀毒素ファミリーの他のメンバーにおける同等の保存された位置で見出される1又は2以上の保存されたアミノ酸を、好ましくは維持しうるが必ずしもその必要はない。本発明の細胞毒性多価CD20結合分子が細胞死をもたらす能力、例えばその細胞毒性は、当業界で周知の多数のアッセイのいずれかの1又は2以上を使用して測定してもよい。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、1又は2以上の分子の志賀毒素エフェクター領域の酵素活性を増加させるために、1又は2以上のアミノ酸残基を変異、挿入、又は欠失させてもよい。例えば、Stx1における残基−位置アラニン−231をグルタミン酸塩に変異させると、インビトロでのStx1Aの酵素活性が増加した(Suhan M, Hovde C, Infect Immun 66: 5252-9 (1998))。
本発明の多価CD20結合分子の特定の実施形態において、1又は2以上のアミノ酸残基を、分子の志賀毒素エフェクター領域の1又は2以上の触媒活性及び/又は細胞毒性活性を低減又は除去するために変異又は欠失させてもよい。志賀毒素ファミリーメンバーのAサブユニットの触媒活性及び/又は細胞毒性活性を、変異又は切断によって低減又は除去してもよい。チロシン−77、グルタミン酸塩−167、アルギニン−170、チロシン−114、及びトリプトファン−203で表される位置は、Stx、Stx1、及びStx2の触媒活性にとって重要であることが示されている。グルタミン酸塩−167及びアルギニン−170の両方を変異させると、無細胞系リボソーム不活化アッセイにおいてSlt−IA1の酵素活性を除去した。小胞体におけるSlt−IA1のデノボ発現を使用する別のアプローチにおいて、グルタミン酸塩−167及びアルギニン−170の両方を変異させるか、又は残基1〜239となるように切断すると、その発現レベルでSlt−IA1フラグメントの細胞毒性は除去された。
特定の実施形態において、志賀毒素エフェクター領域は、志賀毒素エフェクター領域が1又は2以上の他の志賀毒素エフェクター機能を保持することを条件として、その酵素活性及び/又は細胞毒性を変化させるように変更されてもよい。この変化によって、変更された志賀毒素エフェクター領域が成分である分子の細胞毒性の変化が起こってもよく、起こらなくてもよい。可能性がある変更は、切断、欠失、転位、挿入、再配列、及び置換からなる群より選択される志賀毒素エフェクター領域に対する変異を含む。
志賀毒素ファミリーのメンバーのAサブユニットの細胞毒性は、変異又は切断によって変更、低減、又は除去されてもよい。チロシン−77、グルタミン酸塩−167、アルギニン−170、チロシン−114、及びトリプトファン−203で表される位置は、Stx、Stx1、及びStx2の触媒活性にとって重要であることが示されている。グルタミン酸塩−167及びアルギニン−170の両方を変異させると、無細胞系リボソーム不活化アッセイにおいてSlt−IA1の酵素活性を除去した。小胞体においてSlt−IA1のデノボ発現を使用する別のアプローチにおいて、グルタミン酸塩−167及びアルギニン−170の両方を変異させると、その発現レベルでSlt−IA1フラグメントの細胞毒性を除去した。切断分析により、残基75〜268のStxAのフラグメントが、なおもインビトロで有意な酵素活性を保持していることが実証された。残基1〜239を含むSlt−IA1の短縮型フラグメントは、インビトロで有意な酵素活性を示し、サイトゾルにおけるデノボ発現によって細胞毒性を示した。小胞体における残基1〜239となるように短縮されたSLT−IA1フラグメントの発現は、Slt−IA1の短縮型が、サイトゾルに逆転位することができなかったことから、細胞毒性ではなかった。
志賀毒素Aサブユニットにおける酵素活性及び/又は細胞毒性にとって最も重要な残基は、なかでも以下の残基位置:アスパラギン−75、チロシン−77、グルタミン酸塩−167、アルギニン−170、及びアルギニン−176にマッピングされた。特に、グルタミン酸−E167からリジンへの変異及びアルギニン−176からリジンへの変異を含むStx2Aの二重変異体構築物は、完全に不活化されたが、Stx1及びStx2における多くの単変異は、細胞毒性の10倍低減を示した。さらに、Stx1Aの1−239又は1−240への切断は、その細胞毒性を低減させ、同様に、Stx2Aの保存された疎水性残基への切断は、その細胞毒性を低減させた。
志賀毒素Aサブユニットにおける真核細胞リボソーム結合及び/又は真核細胞リボソーム阻害にとって最も重要な残基は、なかでも以下の残基位置:アルギニン−172、アルギニン−176、アルギニン−179、アルギニン−188、チロシン−189、バリン−191、及びロイシン−233にマッピングされた。
志賀様毒素1Aサブユニットの短縮型は、触媒的に活性であり、インビトロでリボソームを酵素的に不活化することができ、細胞内で発現すると細胞毒性である。完全な酵素活性を示す最小の志賀毒素Aサブユニットフラグメントは、Slt1Aの残基1〜239で構成されるポリペプチドである。実質的な触媒活性を保持することが報告されている志賀毒素Aサブユニットの最小のフラグメントは、StxAの残基75〜247であったが、真核細胞内でデノボで発現するStxA短縮型は、小胞体からサイトゾルに達してリボソームの触媒不活化を発揮するためには、単に残基240までが必要であればよい。
SLT−1A(配列番号1)又はStxA(配列番号2)に由来する志賀毒素エフェクター領域を含む本発明の特定の多価CD20結合分子において、これらの変異による変化としては、75位のアスパラギン、77位のチロシン、114位のチロシン、167位のグルタミン酸塩、170位のアルギニン、176位のアルギニンの置換、及び/又は203位のトリプトファンの置換が挙げられる。そのような置換の例は、先行技術に基づいて当業者に公知であり、例えば75位のアスパラギンのアラニンへの置換、77位のチロシンのセリンへの置換、114位のチロシンのセリンへの置換、167位のグルタミン酸塩のアスパラギン酸塩への置換、170位のアルギニンのアラニンへの置換、176位のアルギニンのリジンへの置換、及び/又は203位のトリプトファンのアラニンへの置換である。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、脱免疫化される(例えば、国際公開第2015/113005号パンフレット及び国際公開第2015/113007号パンフレットを参照されたい)。特定の実施形態において、脱免疫化された本発明の多価CD20結合分子は、配列番号49〜51、63〜64、75〜76、81〜82、87〜88、93〜94、99〜100、105〜106、111〜112、117〜118、122〜124、131〜132、139〜140、144〜145、149〜150、155〜156、161〜162、167〜168、171、174、178〜180、192〜193、204〜205、210〜211、216〜217、222〜223、228〜229、234〜235、240〜241、246〜247、251〜253、260〜261、268〜269、273〜274、278〜279、284〜285、290、及び296のいずれかに示されるタンパク質を含み、タンパク質はアミノ末端メチオニン残基をさらに含んでもよい。特定のさらなる実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、2つのタンパク質を含み、又は本質的にからなり、それぞれのタンパク質は、配列番号49〜51、63〜64、75〜76、81〜82、87〜88、93〜94、99〜100、105〜106、111〜112、117〜118、122〜124、131〜132、139〜140、144〜145、149〜150、155〜156、161〜162、167〜168、171、174、178〜180、192〜193、204〜205、210〜211、216〜217、222〜223、228〜229、234〜235、240〜241、246〜247、251〜253、260〜261、268〜269、273〜274、278〜279、284〜285、290、及び296に示されるポリペプチドのいずれか1つから選択され、各タンパク質は、アミノ末端メチオニン残基をさらに含んでもよい。特定のさらなる実施形態において、タンパク質は、配列番号49〜51、63〜64、75〜76、81〜82、87〜88、93〜94、99〜100、105〜106、111〜112、117〜118、122〜124、131〜132、139〜140、144〜145、149〜150、155〜156、161〜162、167〜168、171、及び174に示されるタンパク質のいずれか1つから選択され、242、482、483、484、490、491、492、493、494、495、499、500、501、502、503、504、505、510、511、512、513、及び521からなる群より選択される位置でシステイン残基を伴うジスルフィド結合をさらに含む。
本発明の多価CD20結合分子は、1又は2以上の追加の薬剤、例えば本明細書に記載する薬剤を含む、当業界で公知の治療剤及び/又は診断剤とコンジュゲートされてもよい。
V.本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の産生、製造、及び精製
本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、当業者に周知の生化学的改変技術を使用して産生されてもよい。例えば、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、標準的な合成方法によって、組み換え発現系を使用して、又は任意の他の好適な方法によって製造されてもよい。本発明の多価CD20結合分子は、融合タンパク質、化学的に結合したコンジュゲート、及び/又はその組合せ、例えば本発明の多価CD20結合分子の1又は2以上の他の成分に共有結合した融合タンパク質成分として産生されてもよい。このため、本発明の多価CD20結合分子は、例えば、(1)標準的な固相又は液相方法論を使用して本発明の多価CD20結合分子のポリペプチド若しくはポリペプチド成分を、段階的に若しくはフラグメントのアセンブリによって合成して、最終のタンパク質様化合物生成物を単離して精製するステップ、(2)宿主細胞において本発明の多価CD20結合分子のポリペプチド若しくはポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチドを発現させて、宿主細胞若しくは宿主細胞培養から発現生成物を回収するステップ;又は(3)本発明の多価CD20結合分子のポリペプチド若しくはポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチドをインビトロで無細胞で発現させて、発現生成物を回収するステップ、又は本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分のフラグメントを得るために(1)、(2)、若しくは(3)の方法を任意に組み合わせて、次にフラグメントを連結させて(例えば、ライゲートして)本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分を得て、そのタンパク質様成分を精製若しくは採取するステップを含む方法を含む様々な方法で合成されてもよい。例えば、ポリペプチド及び/又はペプチド成分は、カップリング試薬、例えばN,N’−ジシクロヘキシカルボジイミド及びN−エチル−5−フェニル−イソオキサゾリウム−3’−スルホネート(ウッドワード試薬K)を使用して共にライゲートしてもよい。
本発明の多価CD20結合分子のポリペプチド又はポリペプチド成分は、固相合成又は液相ペプチド合成によって合成することが好ましいであろう。本発明の多価CD20結合分子は、標準的な合成方法によって好適に製造されうる。したがって、標準的な固相又は液相方法論によってポリペプチドを段階的又はフラグメントのアセンブリによって合成するステップと、最終のポリペプチド生成物を単離して精製するステップとを含む方法によって、ポリペプチドを合成してもよい。この内容において、国際公開第1998/11125号パンフレット、又はとりわけ、Fields G et al., Principles and Practice of Solid-Phase Peptide Synthesis (Synthetic Peptides, Grant G, ed., Oxford University Press, U.K., 2nd ed., 2002)及びそこに記載された合成の実施例を参照してもよい。
本発明の多価CD20結合分子は、当業界で周知の組み換え技術を使用して調製(産生及び精製)されうる。一般的に、コードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換した、又はベクターをトランスフェクトした宿主細胞を培養すること、及び細胞培養からタンパク質を回収することによってタンパク質を調製する方法は、例えばSambrook J et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, U.S., 1989); Dieffenbach C et al., PCR Primer: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y., U.S., 1995)に記載されている。あらゆる好適な宿主細胞を使用して、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分及び/又は本発明の多価CD20結合タンパク質を産生してもよい。宿主細胞は、本発明の多価CD20結合タンパク質及び/又は本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分の発現を促進する1又は2以上の発現ベクターを安定又は一過性にトランスフェクトさせた、形質転換された、形質導入された、又は感染させた細胞でありうる。さらに、本発明の多価CD20結合タンパク質は、所望の特性、例えば細胞毒性の変化、細胞分裂停止効果の変化、免疫原性の変化、及び/又は血清中半減期の変化を得るために、本発明の多価CD20結合分子又は本明細書に記述されるそのタンパク質様成分をコードするポリヌクレオチドを改変して、それによって1又は2以上のアミノ酸を変化させる、又は1若しくは2以上のアミノ酸を欠失若しくは挿入することによって産生されうる。
本発明の多価CD20結合タンパク質及び/又は本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分を産生するために選択されうる広く様々な発現系が存在する。例えば、本発明の多価CD20結合タンパク質及び/又は本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分を発現させるための宿主生物としては、原核生物、例えば大腸菌及び枯草菌(B.subtilis)など、真核細胞、例えば酵母及び糸状菌(S.セレビジエ(S. cerevisiae,)、P.パストリス(P. pastoris)、A.アワモリ(A. awamori)、及びK.ラクチス(K. lactis)など)、藻類(コナミドリムシ(C. reinhardtii)など)、昆虫細胞株、哺乳動物細胞(CHO細胞など)、植物細胞株など、並びに真核生物、例えばトランスジェニック植物など(シロイヌナズナ(A. thaliana)及びベンサミアナタバコ(N. benthamiana))が挙げられる(例えば、Pack P, Pluckthun A, Biochemistry (Mosc) 31: 1579-84 (1992); Blanco B et al., J Immunol 171: 1070-7 (2003); Sanchez-Arevalo Lobo V et al., Int J Cancer 119: 455-62 (2006); Mazor Y et al., Nat Biotechnol 25: 563-5 (2007); Schoonooghe S et al., BMC Biotechnol 9: 70 (2009); Chan C et al., PLoS One 5: e10261 (2010); Cuesta M et al., Trends Biotechnol 28: 355-62 (2010); Gershenson A, Gierasch L, Curr Opin Struct Biol 21: 32-41 (2011); Hutchins B et al., J Mol Biol 406: 595-603 (2011); Powers G et al., Methods Mol Biol 907: 699-712 (2012); Wang L et al., Protein Eng Des Sel 26: 417-23 (2013); Blanco-Toribio A et al., Microb Cell Fact 13: 116 (2014); Spadiut O et al., Trends Biotechnol 32: 54-60 (2014); Turki I et al., Mol Immunol 57: 66-73 (2014); Blanco-Toribio A et al., AMB Expr 5: 45 (2015)); Nunez-Prado N et al., Drug Discov Today 20: 588-94 (2015))を参照されたい)。
したがって、本発明は、上記に列挙した方法に従って、並びに(i)本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分及び/又は本発明の多価CD20結合タンパク質の一部又は全てをコードするポリヌクレオチド、(ii)好適な宿主細胞又は無細胞発現系に導入された場合に、本発明の多価CD20結合分子及び/又は本発明の多価CD20結合タンパク質の一部又は全てをコードすることができる本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び/又は(iii)本発明のポリヌクレオチド又は発現ベクターを含む宿主細胞を使用して、本発明の多価CD20結合分子を産生する方法も提供する。
宿主細胞又は無細胞系において組み換え技術を使用してタンパク質を発現させる場合、高純度又は実質的に均一である調製物を得るために、他の成分から所望のタンパク質、例えば宿主細胞因子を分離(又は精製)することが有利である。精製は、当業界で周知の方法、例えば遠心分離技術、抽出技術、クロマトグラフィー及び画分化技術(例えば、ゲルろ過によるサイズ分離、イオン交換カラムによる電荷の分離、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばジエチルアミノエチル(DEAE)樹脂でのクロマトグラフィー等、クロマトフォーカシング、及び汚染物質を除去するためのプロテインAセファロースクロマトグラフィー)、並びに沈殿技術(例えば、エタノール沈殿、又は硫酸アンモニウム沈殿)によって達成することができる。本発明の多価CD20結合分子の純度を増加させるために、任意の数の生化学精製技術を使用してもよい。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子は、ホモ多量体形態(例えば、2又は3以上の同一のCD20結合タンパク質のタンパク質複合体)、又はヘテロ多量体形態(例えば、2又は3以上の非同一のCD20結合タンパク質のタンパク質複合体)で精製されてもよい。
以下の実施例は、本発明の多価CD20結合分子及びその組成物を産生するための方法の非制限的な例、並びに本発明の特定の開示された例示的な、細胞毒性多価CD20結合分子の産生の特異的であるが非制限的な態様の記載である。
VI.固体基材に固定化された本発明の分子
本発明の特定の実施形態は、固体基材上に固定化された本発明の分子(例えば、多価CD20結合分子又はそのいずれかのエフェクターフラグメント)を含む。本明細書において企図される固体基材には、マイクロビーズ、ナノ粒子、ポリマー、マトリックス材料、マイクロアレイ、マイクロタイタープレート、又は当業界で公知の他のいずれかの固体表面(例えば、米国特許第7,771,955号明細書を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。これらの実施形態に従って、本発明の分子は、当業者に公知の技術を使用して、固体基材、例えばビーズ、粒子、又はプレート上に共有結合又は非共有結合させてもよい(例えば、Jung Y et al., Analyst 133: 697-701 (2008)を参照されたい)。本発明の固定化分子は、当業界で公知の技術を使用してスクリーニング応用のために使用してもよい(例えば、Bradbury A et al., Nat Biotechnol 29: 245-54 (2011); Sutton C, Br J Pharmacol 166: 457-75 (2012); Diamante L et al., Protein Eng Des Sel 26: 713-24 (2013); Houlihan G et al., J Immunol Methods 405: 47-56 (2014)を参照されたい)。
本発明の分子を固定化することができる固体基材の非制限的な例としては、マイクロビーズ、ナノ粒子、ポリマー、ナノポリマー、ナノチューブ、磁性ビーズ、常磁性ビーズ、超常磁性ビーズ、ストレプトアビジン被覆ビーズ、逆相磁性ビーズ、カルボキシ末端を有するビーズ、ヒドラジン末端を有するビーズ、シリカ(ナトリウムシリカ)ビーズ、及びイミノ二酢酸(IDA,iminodiacetic acid)修飾ビーズ、アルデヒド修飾ビーズ、エポキシ活性化ビーズ、ジアミノジプロピルアミン(DADPA,diaminodipropylamine)修飾ビーズ(第一級アミン表面基を有するビーズ)、生分解性ポリマービーズ、ポリスチレン基材、アミノ−ポリスチレン粒子、カルボキシル−ポリスチレン粒子、エポキシ−ポリスチレン粒子、ジメチルアミノ−ポリスチレン粒子、ヒドロキシ−ポリスチレン粒子、着色粒子、フローサイトメトリー粒子、スルホネート−ポリスチレン粒子、ニトロセルロース表面、強化ニトロセルロース膜、ナイロン膜、ガラス表面、活性化ガラス表面、活性化石英表面、ポリフッ化ビニリデン(PVDF,polyvinylidene difluoride)膜、ポリアクリルアミド系基材、ポリ塩化ビニル基材、ポリメチルメタクリレート基材、ポリ(ジメチルシロキサン)基材、及び共有結合を形成することができる光活性種(例えば、ニトレン、カルベン、及びケチルラジカルなど)を含むフォトポリマーが挙げられる。本発明の分子を固定化することができる固体基材の他の例、例えば細胞表面、ファージ、及びウイルス粒子は、分子ディスプレイシステムにおいて一般的に使用される。
VII.本発明の多価CD20結合分子を含む医薬組成物及び診断用組成物
本発明は、以下に詳細に説明される状態、疾患、障害、又は症状(例えば、がん、悪性腫瘍、非悪性腫瘍、増殖異常、及び免疫障害)を治療又は予防するために、単独で、又は1若しくは2以上の治療剤と併用して、医薬組成物において使用するための多価CD20結合分子を提供する。本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤、又は媒体と共に、本発明に係る本発明の多価CD20結合分子、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物をさらに提供する。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ホモ多量体及び/又はヘテロ多量体である多価CD20結合分子を含みうる。本発明の医薬組成物は、以下に詳細に記載される疾患、状態、障害、又は症状を治療、改善、又は予防する方法において有用である。それぞれのそのような疾患、状態、障害、又は症状は、本発明に係る医薬組成物の使用に関して異なる実施形態であると想像される。本発明は、以下により詳細に記載される本発明に係る少なくとも1つの治療方法において使用するための医薬組成物をさらに提供する。
本明細書において使用される、用語「患者」及び「対象」は、互換的に使用されて、少なくとも1つの疾患、障害、又は状態の症状、兆候、及び/又は指標を示すいずれかの生物、一般的に脊椎動物、例えばヒト及び動物を指す。これらの用語は、哺乳動物を包含し、例えばその非制限的な例は霊長類、家畜動物(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)、コンパニオン動物(例えば、ネコ、イヌ等)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット等)である。
本明細書において使用される「治療する」、「治療すること」、又は「治療」及びそれらの文法上の変化形は、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチを指す。用語は、状態、障害、又は疾患の発症又は進行速度を遅延させること、それに関連する症状を低減若しくは軽減すること、状態の完全若しくは部分的退縮をもたらすこと、又は上記のいずれかのいくつかの組合せを指す場合もある。本発明の目的に関して、有益な又は所望の臨床結果としては、これらに限定されないが、検出可能又は検出不能であるかにかかわらず、症状の低減若しくは軽減、疾患の程度の減少、疾患の状況の安定化(例えば、悪化しないこと)、疾患の進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は完全にかかわらず)が挙げられる。「治療する」、「治療すること」、又は「治療」はまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存の延長を指す場合もある。したがって、治療を必要とする対象(例えば、ヒト)は、問題の疾患又は障害に既に罹患している対象でありうる。用語「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は治療しない場合と比較して病的な状態又は症状の重症度の増加の阻害又は低減を包含し、関連する疾患、障害、又は状態の完全な停止を暗示することを必ずしも意味するわけではない。腫瘍及び/又はがんに関して、治療は、全腫瘍量及び/又は個々の腫瘍サイズの低減を含む。
本明細書において使用される用語「予防する」、「予防すること」、「予防」、及びその文法上の変化形は、状態、疾患、又は障害の発生を予防する、又はそれらの病状を変化させるアプローチを指す。したがって、「予防」は、予防的(prophylactic)又は予防的(preventive)措置を指す場合もある。本発明の目的に関して、有益な又は所望の臨床結果としては、これらに限定されないが、疾患の症状、進行、又は発生の予防又は遅延が挙げられる。したがって、予防を必要とする対象(例えば、ヒト)は、問題の疾患又は障害にまだ罹患していない対象でありうる。用語「予防」は、治療しない場合と比較して疾患の発症を遅らせることを包含し、関連する疾患、障害、又は状態の永続的な予防を暗示することを必ずしも意味するわけではない。したがって、状態を「予防すること」又は「予防」は、状態を発症するリスクを低減させること、又は状態に関連する症状の発症を予防若しくは遅延することを指す場合がある。
本明細書において使用される「有効量」又は「治療有効量」は、対象における少なくとも1つの所望の治療効果を生じる、例えば標的の状態を予防若しくは治療する、又は状態に関連する症状を有益に軽減する組成物(例えば、治療組成物、化合物、又は薬剤)の量又は用量である。最も望ましい治療有効量は、それを必要とする所定の対象に関して当業者によって選択される特定の治療の所望の有効性を生じる量である。この量は、これらに限定されないが、治療組成物の特徴(活性、薬物動態、薬力学、及び生物学的利用率を含む)、対象の生理状態(年齢、性別、疾患の型、疾患の進行期、全身健康状態、所定の投薬量に対する応答性、及び薬物療法の型を含む)、製剤中の薬学的に許容される担体又は複数の担体の性質、並びに投与経路を含む、当業者によって理解される様々な要因に応じて変化する。臨床及び薬理学分野の当業者は、慣例的な実験を通して、すなわち組成物の投与に対する対象の応答をモニターして、それに従って投薬量を調整することによって、治療有効量を決定することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro A, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, U.S., 19th ed., 1995)を参照されたい)。
診断用組成物は、本発明の多価CD20結合分子と1若しくは2以上の検出促進剤とを含む。本発明の診断用組成物を産生又は製造する場合、本発明の多価CD20結合分子を、1又は2以上の検出促進剤に直接又は間接的に連結してもよい。様々な検出促進剤を分子のタンパク質又はタンパク質様成分、特に免疫グロブリン及び免疫グロブリン由来ドメインに組み込む、固定する、及び/又はコンジュゲートすることに関して当業者に公知の多数の標準的な技術が存在する。
本発明の診断用組成物は、本発明の多価CD20結合分子と1又は2以上の検出促進剤とを含む。様々な検出促進剤、例えば同位体、色素、比色分析用の薬剤、コントラスト増強剤、蛍光剤、生物発光剤、及び磁性薬剤が当業界で公知である。これらの薬剤は、いかなる好適な位置で多価CD20結合分子に会合され、連結され、及び/又は取り込まれてもよい。例えば、検出促進剤の連結又は取り込みは、本発明の多価CD20結合分子のアミノ酸残基を介して、又はリンカー及び/若しくはキレーターを含む当業界で公知のいずれかの型の連結を介して行われてもよい。検出促進剤と本発明の診断用組成物の多価CD20結合分子との会合は、スクリーニング、アッセイ、診断手順、及び/又はイメージング技術において、多価CD20結合分子の存在及びその診断用組成物の検出を可能にするように行われる。
情報収集方法のために、例えば生物の疾患、障害、又は状態に対する診断及び/又は予後の適用のために、本発明の多価CD20結合分子に機能的に会合又は連結させることができる当業者に公知の多数の検出促進剤が存在する。例えば、検出促進剤としては、画像を強調する造影剤、例えば蛍光色素(例えば、Alexa680、インドシアニングリーン、及びCy5.5)、同位体及び放射性核種、例えば11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52mMn、52Fe、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、73Se、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、177Lu、186Re、188Re、及び223R;常磁性イオン、例えばクロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、又はエルビウム(III);金属、例えばランタン(III)、金(III)、鉛(II)、及びビスマス(III);超音波コントラスト増強剤、例えばリポソーム;放射線不透物質、例えばバリウム、ガリウム、及びタリウム化合物が挙げられる。検出促進剤は、中間官能基、例えば2−ベンジルDTPA、PAMAM、NOTA、DOTA、TETA、そのアナログ、及び前述のいずれかの機能的な均等物のようなキレート化剤を使用することによって直接的又は間接的に取り込まれてもよい。
医学領域で一般的に使用される非侵襲性のインビボでのイメージング技術などの当業者に公知の多数のイメージングアプローチが存在し、例えばコンピューター断層撮影(CTスキャン)、光学イメージング(直接、蛍光、及び生物発光イメージングを含む)、磁気共鳴映像法(MRI,magnetic resonance imaging)、陽電子放射断層撮影(PET,positron emission tomography)、単光子放射コンピューター断層撮影(SPECT,single-photon emission computed tomography)、超音波、及びX線コンピューター断層撮影イメージングがある。
成句「診断に十分な量」は、利用される特定のアッセイ又は診断技術によって情報収集目的で適切な検出及び正確な測定がもたらされる量を指す。一般的に、インビボでの診断での使用における生物全体にとって診断に十分な量は、対象1キログラム(kg)あたり0.001mg〜1mgの非累積的用量の、検出促進剤が連結された多価CD20結合分子であろう。典型的には、これらの情報収集方法で使用される本発明の多価CD20結合分子の量は、なお診断に十分な量であるという条件で、可能な限り低いであろう。例えば、生物におけるインビボでの検出のために対象に投与される本発明の多価CD20結合分子又は診断用組成物の量は、実行可能にできる限り低いであろう。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を含む医薬組成物及び/又は診断用組成物の産生又は製造
本発明の多価CD20結合分子のいずれかの薬学的に許容される塩又は溶媒和物は本発明の範囲内にある。
本発明の内容における用語「溶媒和物」は、溶質(この場合、本発明のタンパク質様化合物又は本発明に係るそれらの薬学的に許容される塩)と溶媒との間に形成された規定の化学量論の複合体を指す。それに関して、溶媒は、例えば水、エタノール、又は別の薬学的に許容される、典型的には小分子の有機種、例えばこれらに限定されないが、酢酸又は乳酸でありうる。問題の溶媒が水である場合、このような溶媒和物は通常、水和物と称される。
本発明の多価CD20結合分子又はその塩は、典型的に薬学的に許容される担体中に、本発明の分子又は組成物、又はその塩の治療有効量を含む、貯蔵又は投与のために調製された医薬組成物として製剤化されてもよい。用語「薬学的に許容される担体」は、あらゆる標準的な医薬用担体を包含する。治療的使用のための薬学的に許容される担体は、薬学分野において周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co. (A. Gennaro, ed., 1985))で説明される。本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」としては、ありとあらゆる生理的に許容される、すなわち適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体又は希釈剤としては、経口、直腸、経鼻、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、及び経皮を含む)投与に好適な製剤で使用されるものが挙げられる。例示的な薬学的に許容される担体としては、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液を即時調製するための滅菌粉末が挙げられる。本発明の医薬組成物において使用されうる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びその好適な混合物が挙げられる。適切な流動性は、例えば、分散液のケースで求められる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。特定の実施形態において、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非蛍光、脊髄内、又は皮内投与(例えば、注射又は注入による)に好適である。選択された投与経路に応じて、本発明の多価CD20結合分子又は他の医薬成分は、特定の投与経路によって患者に投与した場合に本発明の多価CD20結合分子が遭遇しうる低いpH及び他の天然の不活化条件の作用から多価CD20結合分子及び/又はその化合物を保護することを意図する材料でコーティングされてもよい。
本発明の医薬組成物の製剤は、単位剤形で便利なように提供されてもよく、薬学分野において周知のいずれかの方法によって調製されてもよい。このような形態において、組成物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージされた調製物、別々の量の調製物を含有するパッケージ、例えば個包装の錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤でありうる。単位剤形はまた、カプセル剤、カシェ剤、若しくは錠剤そのものでありうるか、又は適切な数のこれらのパッケージ化された形態のいずれかであってもよい。単位剤形は、単回容量の注射可能な形態で、例えばペンの形態で提供されてもよい。組成物は、あらゆる好適な経路及び投与手段に合わせて製剤化されてもよい、皮下又は経皮投与様式は、本明細書に記載する医薬組成物及び治療用分子に特に好適でありうる。
本発明の医薬組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含有していてもよい。微生物の存在の防止は、滅菌手順と、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを包含させることの両方によって確実にすることができる。組成物に、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを入れることもまた望ましい場合がある。さらに、注射可能な剤形の持続吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる物質を包含させることによって達成することができる。
本発明の医薬組成物はまた、任意で、薬学的に許容される抗酸化剤を含む。例示的な薬学的に許容される抗酸化剤は、水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA,butylated hydroxyanisole)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT,butylated hydroxytoluene)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;及び金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA,ethylenediamine tetraacetic acid)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などである。
別の態様において、本発明は、本発明の異なる多価CD20結合分子又は前述のもののいずれかのエステル、塩、若しくはアミドの1つ又は組合せと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
治療組成物は、典型的には滅菌されており、製造及び貯蔵条件下で安定である。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高い薬物濃度に好適な他の秩序ある構造として製剤化されうる。担体は、例えば水、アルコール、例えばエタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、又はあらゆる好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒でありうる。適切な流動性は、当業界で周知の調合の化学に従って、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液のケースで求められる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。特定の実施形態において、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムが組成物において望ましい可能性がある。注射用組成物の持続吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを包含させることによって達成することができる。
皮内又は皮下適用のために使用される溶液又は懸濁液は、典型的には、滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩;及び張度調節剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースの1又は2以上を包含する。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸若しくは水酸化ナトリウム、又はクエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩などを含む緩衝剤で調整することができる。そのような調製物は、ガラス製若しくはプラスチック製の、アンプル、使い捨てのシリンジ、及び複数回用量用のバイアルに封入されていてもよい。
滅菌注射用溶液は、必要に応じて上述した成分の1つ又は組合せを含む適切な溶媒中に本発明の多価CD20結合分子を必要な量で取り込み、続いて滅菌精密ろ過することによって調製されてもよい。分散液は、分散媒及び上述したものなどの他の成分を含有する滅菌媒体に活性化合物を取り込むことによって調製されてもよい。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末のケースにおいて、調製方法は、それらの滅菌ろ過溶液からいずれかのさらなる所望の成分に加えて活性成分の粉末を生じる真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
本発明の多価CD20結合分子の治療有効量が、例えば静脈内、皮膚、又は皮下注射によって投与するために設計される場合、結合剤は、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態であろう。適切なpH、等張性、安定性などを検討して非経口的に許容できるタンパク質溶液を調製するための方法は、当業界における能力の範囲内である。静脈内、皮膚、又は皮下注射にとって好ましい医薬組成物は、結合剤に加えて、等張の媒体、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル注射液、又は当業界で公知の他の媒体を含有するであろう。また本発明の医薬組成物は、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、又は当業者に周知の他の添加剤を含有していてもよい。
本明細書の他の箇所に記載するように、本発明の多価CD20結合分子又はその組成物(例えば、医薬組成物又は診断用組成物)を、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化された送達系を含む放出制御製剤などの、本発明の多価CD20結合分子の急速な放出を防ぐことになる担体を用いて調製してもよい。生分解性の生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法は特許化されているか、又は一般的に当業者に公知である(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems (Robinson J, ed., Marcel Dekker, Inc., NY, U.S., 1978を参照されたい)。
特定の実施形態において、望ましいインビボでの分布を確実にするように本発明の組成物(例えば、医薬組成物又は診断用組成物)を製剤化することができる。例えば、血液脳関門は多くの大きい及び/又は親水性化合物を除去する。特定のインビボにおける配置に本発明の治療分子又は組成物を標的化するために、それを例えばリポソーム中に製剤化してもよく、ここでリポソームは、特定の細胞又は臓器に選択的に輸送されることにより標的化された薬物送達を強化する1又は2以上の部分を含んでいてもよい。例示的な標的化部分は、葉酸塩又はビオチン;マンノシド;抗体;界面活性剤プロテインA受容体;p120カテニンなどを包含する。
医薬組成物は、インプラント又は微粒子系として使用するように設計された非経口製剤を包含する。インプラントの例は、高分子又は疎水性成分、例えばエマルジョン、イオン交換樹脂、及び可用性塩溶液で構成されるデポ製剤である。微粒子系の例は、マイクロスフェア、微粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、及びナノ粒子である。放出制御製剤は、イオンに対する感受性を有するポリマー、例えば、リポソーム、ポロキサマー407、及びヒドロキシアパタイトなどを使用して調製されてもよい。
当業界で公知の技術を使用して本発明の医薬組成物を産生してもよく、したがって産生される組成物は、エマルジョン、リポソーム、ニオソーム、高分子ナノ粒子及び/又は固体脂質ナノ粒子(SLN,solid lipid nanoparticle)を含む(例えば、Lakshmi P et al., Venereal Leprol 73: 157-161 (2007); A Revolution in Dosage Form Design and Development, Recent Advances in Novel Drug Carrier Systems (Sezer A, ed., InTech, 2012)を参照されたい)。
VIII.本発明のポリヌクレオチド、発現ベクター、及び宿主細胞
本発明の多価CD20結合分子及びその組成物のほかにも、そのような多価CD20結合分子、そのような多価CD20結合分子のタンパク質様成分、又はその機能的部分をコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲内にある。用語「ポリヌクレオチド」は、用語「核酸」と同等であり、そのそれぞれが、デオキシリボ核酸(DNA,deoxyribonucleic acid)のポリマー、リボ核酸(RNA)のポリマー、ヌクレオチドアナログを使用して生成されたこれらDNA又はRNAのアナログ、並びにその誘導体、フラグメント、及びホモログの1又は2以上を包含する。本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖でありうる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、RNAコドンの第3の位置で認容されるが異なるRNAコドンとして同じアミノ酸をコードすることが公知のゆらぎを考慮に入れて、例示的なタンパク質をコードすることが可能な全てのポリヌクレオチドを包含するように具体的に開示される(Stothard P, Biotechniques 28: 1102-4 (2000))。
1つの態様において、本発明は、本発明の多価CD20結合分子(例えば、本発明の多価CD20結合タンパク質)、又はその成分、フラグメント、若しくは誘導体をコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、例えば、本発明の多価CD20結合分子の全て又は一部のアミノ酸配列の1つを含むポリペプチドに対して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれより高い同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を包含しうる。本発明はまた、本発明の多価CD20結合分子、又はそのフラグメント、若しくは誘導体の全て又は一部をコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列、又はいずれかのこのような配列のアンチセンス若しくは相補物を含むポリヌクレオチドも包含する。
本発明のポリヌクレオチド(又は多価CD20結合タンパク質)の誘導体又はアナログは、同じサイズのポリヌクレオチド若しくはポリペプチド配列に対して、又は当業界において公知のコンピューター相同性プログラムによってアラインメントが行われる並べられた配列と比較した場合に、例えば少なくとも約45%、50%、70%、80%、95%、98%、又は99%もの同一性で(好ましい同一性は80〜99%)、本発明のポリヌクレオチド又は多価CD20結合タンパク質に実質的に相同な領域を有するポリヌクレオチド(又はポリペプチド)分子を包含する。例示的なプログラムはSmith T, Waterman M, Adv Appl Math 2: 482-9 (1981)のアルゴリズムを使用するデフォルト設定を使用した、GAPプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, UNIX用バージョン8、Genetics Computer Group, University Research Park, Madison, WI, U.S.)である。同様に、ストリンジェントな条件及びそれより低い条件で、本発明の多価CD20結合タンパク質をコードする配列の相補物にハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドも包含される(例えば、Ausubel F et al., Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York, NY, U.S., 1993)を参照されたい)。ストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, NY, U.S., Ch. Sec. 6.3.1-6.3.6 (1989)で見出すことができる。
本発明はさらに、本発明の範囲内のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。本発明の多価CD20結合タンパク質をコードすることが可能なポリヌクレオチドは、発現ベクターを産生するための当業界において周知の材料及び方法を使用して、細菌プラスミド、ウイルスベクター、及びファージベクターを含む公知のベクターに挿入されてもよい。このような発現ベクターは、いずれかの選択された宿主細胞内又は無細胞発現系(例えば、pTxb1及びpIVEX2.3)内で本発明の企図される多価CD20結合タンパク質の産生を維持するのに必要なポリヌクレオチドを包含するであろう。特定の型の宿主細胞又は無細胞発現系と共に使用するための発現ベクターを含む特異的ポリヌクレオチドは、当業者に周知であり、それらを慣例的な実験を使用して決定してもよく、又は購入してもよい。
本明細書において使用される用語「発現ベクター」は、1又は2以上の発現単位を含む直鎖状又は環状のポリヌクレオチドを指す。用語「発現単位」は、所望のポリペプチドをコードして、宿主細胞において核酸セグメントの発現をもたらすことが可能なポリヌクレオチドセグメントを指す。発現単位は、典型的には、転写プロモーター、所望のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、及び転写ターミネーターを含み、全て機能できるように配置される。発現ベクターは、1又は2以上の発現単位を含有する。したがって、本発明の内容において、単一のポリペプチド鎖(例えば、志賀毒素エフェクター領域が遺伝子組み換えされたscFv)を含むタンパク質をコードする発現ベクターは、単一のポリペプチド鎖のための少なくとも1つの発現単位を包含するが、2又は3以上のポリペプチド鎖(例えば、VLドメインを含む1つの鎖と、毒素エフェクター領域に連結したVHドメインを含む第2の鎖)を含むタンパク質は、そのタンパク質の2つのポリペプチド鎖それぞれにつき1つずつの少なくとも2つの発現単位を包含する。本発明の多重鎖のタンパク質を発現させるために、各ポリペプチド鎖のための発現単位が、異なる発現ベクターに別々に含有されていてもよい(例えば、発現は、各ポリペプチド鎖のための発現ベクターが導入された単一の宿主細胞で達成されうる)。
ポリペプチド及びタンパク質の一過性又は安定な発現を指示することができる発現ベクターは、当業界において周知である。発現ベクターは一般的に、これらに限定されないが、そのそれぞれが当業界において周知である、異種シグナル配列又はペプチド、複製起点、1又は2以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終止配列の1又は2以上を包含する。任意で、調節制御配列、組み込み配列、及び採用されうる有用なマーカーは、当業界において周知である。
用語「宿主細胞」は、発現ベクターの複製又は発現を維持することができる細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞、例えば大腸菌、又は真核細胞(例えば、酵母、昆虫、両生類、鳥類、又は哺乳動物細胞)でありうる。本発明のポリヌクレオチドを含む、又は本発明の多価CD20結合タンパク質を産生することが可能な宿主細胞株の作製及び単離は、当業界において公知の標準的な技術を使用して達成することができる。
本発明の範囲内の分子及び組成物は、所望の特性、例えば宿主細胞でのより最適な発現を達成するためにより好適にすることができる、1若しくは2以上のアミノ酸の変更、又は1若しくは2以上のアミノ酸の欠失若しくは挿入によって、本発明の多価CD20結合分子のタンパク質様成分及び/又は本発明の多価CD20結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを改変することによって産生される、本明細書に記載する多価CD20結合分子のバリアント又は誘導体を含みうる。
IX.送達デバイス及びキット
特定の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象に送達するための本発明の1又は2以上の物の組成物、例えば医薬組成物を含むデバイスに関する。したがって、1又は2以上の本発明のタンパク質様組成物(例えば、本発明の多価CD20結合分子)を含む送達デバイスを使用して、静脈内、皮下、筋肉内、又は腹腔内注射;経口投与;経皮投与;肺又は経粘膜投与;インプラント、浸透圧ポンプ、カートリッジ、又はマイクロポンプによる投与;又は当業者に認識される他の手段を含む様々な送達方法によって本発明の物の組成物を患者に投与してもよい。
また、少なくとも1つの本発明の物の組成物を含み、包装及び使用説明書を含んでいてもよいキットも本発明の範囲内である。キットは、薬物投与及び/又は診断の情報収集に有用でありうる。本発明のキットは、少なくとも1つのさらなる試薬(例えば、標準物質、マーカーなど)を含んでいてもよい。キットは、典型的には、キットの内容物の意図した使用を表示するラベルを包含する。キットは、試料又は対象中で細胞型(例えば、腫瘍細胞)を検出するための、又は患者が、本明細書で説明されるような本発明の多価CD20結合分子、組成物、又は関連する方法を利用する治療方策に応答するグループに属するかどうかを診断するための試薬及び他のツールをさらに含んでいてもよい。
X.本発明の物の組成物を使用する例示的な方法
一般的に、本発明の目的は、疾患、障害、及び状態、例えば特定のがん、腫瘍、増殖異常、免疫障害、又は本明細書において言及したさらに病的な状態の予防及び/又は治療において使用することができる薬理活性薬剤、並びにそれを含む組成物を提供することである。したがって、本発明は、本発明の多価CD20結合分子及び本発明の医薬組成物などのその組成物を、CD20発現細胞の標的化殺滅のために、追加の外因性物質を特定のCD20発現細胞に送達するために、特定のCD20発現細胞の内部を標識するために、診断情報を収集するために、並びに本明細書に記載する様々な疾患、障害、及び状態を治療するために使用する方法を提供する。
特に、本発明の目的は、現在のところ当業界において公知の薬剤、組成物、及び/又は方法と比較して一定の利点を有するこのような薬理活性薬剤、組成物、及び/又は方法を提供することである。したがって、本発明は、特定のタンパク質様成分を特徴とする本発明の多価CD20結合分子及びその組成物を使用する方法を提供する。例えば、配列番号1〜304に示される分子のいかなるものも、以下の方法で使用される多価CD20結合分子又は組成物の成分として具体的に利用することができる。
本発明は、細胞を殺滅する方法であって、細胞に、インビトロ又はインビボのいずれかで多価CD20結合分子及び/又はその組成物を接触させるステップを含む方法を提供する。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物を使用して、1又は複数の細胞に、特許請求された物の組成物の1つを接触させたときに、特異的な細胞型を殺滅することができる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して、異なる細胞型の混合物、例えばCD20+がん、腫瘍、血液細胞、免疫細胞、及び/又は感染細胞を含む混合物中の特異的CD20+細胞型を殺滅することができる。
本発明は、細胞を殺滅する方法であって、細胞に、本発明の多価CD20結合分子、本発明の多価CD20結合分子組成物、及び/又は本発明の医薬組成物を接触させるステップであって、細胞が本発明の多価CD20結合分子又は本発明の組成物の多価CD20結合分子の2又は3以上の結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合しているステップを含む方法を提供する。特定の実施形態において、細胞に接触させるステップは、インビトロで行われる。特定の他の実施形態において、細胞に接触させるステップは、インビボで行われる。特定のさらなる実施形態において、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通ドメインを有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままである、CD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態において、細胞は、CD20陽性細胞である。特定のさらなる実施形態において、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定の実施形態において、細胞は、B細胞系列の子孫又はメンバーである。特定の実施形態において、細胞は、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病細胞、健康なB細胞系列、及び/又は健康なT細胞からなる群から選択される。
本発明の多価CD20結合分子及びその組成物は、例えば不要なCD20+細胞型をインビトロ又はインビボのいずれかで組織から枯渇させることにおける使用、移植片対宿主病を治療するために免疫応答をモジュレートすることにおける使用、及び不要なCD20+細胞型を移植組織から取り除くことにおける使用を含む、様々な適用を有する。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子、及び/又はその組成物を使用して、異なる細胞型の混合物におけるCD20+がん細胞を殺滅することができる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して、異なる細胞型の混合物、例えば移植前組織の細胞における特異的CD20+細胞型を殺滅することができる。特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して、細胞型の混合物、例えば、治療目的のための投与前組織材料の細胞における特異的CD20+細胞型を殺滅することができる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、単独で、又は他の化合物又は医薬組成物と併用して、対象、例えば治療を必要とする患者における細胞集団にインビトロ又はインビボで投与する場合に、強力な細胞殺滅活性を示すことができる。高親和性結合領域を使用して酵素的に活性な志賀毒素領域のCD20への送達を標的化することによって、この強力な細胞殺滅活性を、生物内の特定の細胞型、例えば特定のCD20陽性がん細胞、新生物細胞、悪性腫瘍細胞、非悪性腫瘍細胞、及び/又は免疫細胞を特異的及び選択的に殺滅することに制限することができる。
ヒトにおいて、CD20は、特定の細胞発達段階の正常なB細胞系列の細胞並びに多数の成熟B細胞新生物、例えばNHL及びCLLによって発現する。さらに、CD20は、成熟T細胞及びNK細胞新生物によって発現する。CD20は、正常なT細胞のサブセット、並びに悪性T細胞、例えば菌状息肉症(MF,mycosis fungoides)、ナチュラルキラー細胞リンパ腫(NK細胞リンパ腫)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL,peripheral T-cell lymphomas)、及び皮膚T細胞リンパ腫を含むT細胞リンパ腫(TCL,T-cell lymphomas)によって発現する。CD20は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病(T−LGLL,T-cell large granular lymphocyte leukemia)中の悪性T細胞によって発現する。
本発明は、それを必要とする患者におけるCD20+細胞を殺滅する方法であって、少なくとも1つの本発明の多価CD20結合分子又はその組成物、例えば本発明の多価CD20結合分子を含む医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、細胞表面に高レベルのCD20を発現する悪性細胞を殺滅するために有用である。本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、細胞表面に高レベルのCD20を発現する新生物細胞を殺滅するために特に有用である。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の特定の実施形態を使用して、患者におけるCD20発現がん及び/又は腫瘍細胞、例えばB細胞又はT細胞がんを殺滅することができる。用語「がん細胞」又は「がん様細胞」は、異常に速い速度及び/又は調節されない様式で増殖及び分裂する様々な新生細胞を指し、当業者には明らかである。用語「腫瘍細胞」は、悪性及び非悪性細胞(例えば、非がん様、良性腫瘍細胞、及び非がん様「がん」幹細胞、腫瘍幹細胞、前悪性がん始原細胞、腫瘍始原細胞、又は腫瘍形成細胞)、これらの全てが悪性腫瘍及び/又はがん細胞になる娘細胞を生じることができるが、それ自身は転移することができない(例えば、Martinez-Climent J et al., Haematologica 95: 293-302 (2010)を参照されたい)の両方を包含する。一般的に、がん及び/又は腫瘍は、治療及び/又は予防を受けることが可能な疾患、障害、又は状態と定義することができる。新生物細胞は、制御不能な増殖、分化の欠如、局所的な組織浸潤、血管新生、及び転移の1又は2以上に関連することが多い。本発明の方法及び組成物の恩恵を受けることができるがん細胞及び/又は腫瘍細胞からなるがん及び腫瘍(悪性又は非悪性のいずれか)は、当業者に明らかであろう。一般的にゆっくり分裂しており、化学療法及び放射線のようながん治療に耐性である、がん幹細胞、腫瘍幹細胞、前悪性がん始原細胞、及びがん始原細胞を殺滅するために、本発明を使用してもよい。例えば、悪性の可能性が限定的な細胞を伴う状態の以下の非制限的な例は、本発明の多価CD20結合分子を使用して診断及び/又は治療されうる:モノクローナルB細胞リンパ球症(MBL,monoclonal B-cell lymphocytosis)、局所濾胞性リンパ腫(局在型FL,localized follicular lymphoma)、胃節外性辺縁帯(MALT,gastric extranodal marginal zone)リンパ腫、及び濾胞内新生物(Limpens J et al., Oncogene 6: 2271-6 (1991); Liu H et al., Lancet 357: 39-40 (2001); Richard P et al., J Clin Pathol 59: 995-6 (2006); Roulland S et al., J Exp Med 203: 2425-31 (2006); Marti G et al., Br J Haematol 139:701-8 (2007); Aqel N et al., Histopathology 52: 256-60 (2008); Rawstron A et al., N Engl J Med 359: 575-83 (2008))。同様に、がん始原細胞及び/又はがん幹細胞、例えば、急性骨髄性白血病(AML,acute myeloid leukemia)幹細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL,B-cell non-Hodgkin’s lymphoma)始原細胞、慢性骨髄性白血病(CML,chronic myeloid leukemia)幹細胞、ホジキンリンパ腫(HL,Hodgkin’s lymphoma又はHD)幹様細胞、及びマントル細胞リンパ腫(MCL,mantle cell lymphoma)始原細胞は、本発明の多価CD20結合分子を使用して検出及び/又は治療されうる(例えば、Hope K et al., Nat Immunol 5: 738-43 (2004); Wang J, Dick J, Trends Cell Biol 15: 494-501 (2005); Ishikawa F et al., Nat Biotechnol 25: 1315-21 (2007); Jones R et al., Blood 113: 5920-6 (2009); Chen Z et al., Stem Cell Res 5: 212-225 (2010); Chomel J et al., Blood 118: 3657-60 (2011); Druker B, J Clin Invest 121: 396-409 (2011); Gerber J et al., Blood 119: 3571-7 (2012)を参照されたい)。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の特定の実施形態を使用して、免疫細胞に物理的に結合して見出されたCD20の細胞外部分を標的化することによって、患者における免疫細胞(健康又は悪性であるかによらず)を殺滅することができる。本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の特定の実施形態を使用して、患者における健康なCD20+免疫細胞を殺滅させてもよい。CD20は、特定の細胞発達段階における正常なB細胞系列の細胞によって発現する(van Meerten T et al., Clin Cancer Res 12: 4027-35 (2006))。CD20は、正常なT細胞のサブセットによって発現する(Martin B et al., J Cutan Pathol 38: 663-9 (2011))。
悪性の新生物細胞、又は別様に不要なB細胞及び/又はT細胞の患者細胞集団(例えば、骨髄)を取り除いた後、B細胞及び/又はT細胞枯渇材料を患者に再度注入する目的のために、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を利用することは、本発明の範囲内にある。
患者から採取した単離細胞集団からB細胞及び/又はT細胞のエクスビボ枯渇の目的のために、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を利用することは、本発明の範囲内にある。1つの非制限的な例において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、臓器から不要なドナーB細胞及び/又はT細胞を取り除くために、ドナー臓器又は組織を移植前に、本発明の細胞毒性多価CD20結合分子及び/又はその組成物で還流する、臓器及び/又は組織移植片の拒絶を予防する方法において使用されうる。
骨髄移植及び/又は幹細胞移植を受ける患者における、移植片対宿主病の予防、及び寛容の誘導としてドナー細胞集団からB細胞及び/又はT細胞を枯渇させる目的のために、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を利用することもまた、本発明の範囲内にある。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して、宿主B細胞及び/又はT細胞の標的化細胞殺滅を介して、骨髄レシピエントに宿主対移植片病の予防又は治療を提供することは、本発明の範囲内にある(例えば、Sarantopoulos S et al., Biol Blood Marrow Transplant 21: 16-23 (2015)を参照されたい)。
さらに、本発明は、少なくとも1つの本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、患者における疾患、障害、又は状態を治療する方法を提供する。この方法を使用して治療することができる企図される疾患、障害、及び状態としては、がん、悪性腫瘍、非悪性腫瘍、増殖異常、及び免疫障害が挙げられる。本発明の組成物の「治療上有効な投薬量」の投与によって、疾患症状の重症度の減少、疾患の無症状期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の罹患による障害又は無能力の予防が起こりうる。
本発明の組成物の治療有効量は、投与経路、治療される哺乳動物の型、及び検討される特定の患者の身体的特徴に依存する。これらの要因及びこの量の決定に対するその関係は、医療分野の当業者に周知である。この量及び投与方法は、最適な有効性を達成するように調節することができ、体重、食事、並行して行われる薬物療法、及び医療分野の当業者に周知である他の要因などの要因に依存しうる。ヒトで使用するために最も適切な投薬量及び投与レジメンは、本発明によって得られた結果から導くことができ、適切に設計された臨床試験で確認してもよい。有効な投薬量及び治療プロトコールは、実験動物において低用量で開始して、次いで効果をモニターしながら投薬量を増加させ、同様に投薬レジメンを系統的に変更するという、従来の手段によって決定してもよい。所定の対象に関して最適な用量を決定する場合には、臨床医により多数の要因が考慮されうる。そのような検討は当業者に公知である。
許容できる投与経路は、これらに限定されないが、エアロゾル、経腸、経鼻、眼、経口、非経口、直腸、経膣、又は経皮(例えばクリーム、ゲル、若しくは軟膏、又は経皮パッチによって)を含む、当業界において公知のいかなる投与経路を指してもよい。「非経口投与」は、典型的には、作用が意図される部位での注射又はそのような部位と連通する注射に関連し、眼窩下、点滴、動脈内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、クモ膜下、被膜下、皮下、経粘膜、又は経気管投与が挙げられる。
本発明の医薬組成物の投与のために、投薬量範囲は、一般的には、対象の体重に対して約0.0001〜100ミリグラム/キログラム(mg/kg)及びそれより多く、通常は0.01〜5mg/kgであろう。例示的な投薬量は、体重1kg当たり0.25mg、体重1kg当たり1mg、体重1kg当たり3mg、体重1kg当たり5mg、又は体重1kg当たり10mg、又は1〜10mg/kgの範囲内でありうる。例示的な治療レジメンは、1日1回若しくは2回の投与、又は1週間に1回若しくは2回の投与、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、月1回、2若しくは3か月毎に1回、又は3〜6か月毎に1回である。投薬量は、特定の患者毎に治療的有用性を最大化するために必要に応じて、熟練した健康管理の専門家によって選択及び再調整が可能である。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、典型的には、同じ患者に複数の機会で投与されるであろう。1回の投薬間の間隔は、例えば1〜4日、1週間、1か月、2若しくは3か月、6か月、又は1年でありうる。投与間の間隔はまた、活性化合物の血中レベルの調節に基づいて、又は対象若しくは患者に存在する他のマーカー、指標、又は兆候に基づいて、不規則であってもよい。本発明の化合物(例えば、本発明の多価CD20結合分子組成物)の投薬レジメンは、化合物を2週間〜4週間毎に6回投与する体重1kg当たり1mg又は体重1kg当たり3mgの静脈内投与、次いで体重1kg当たり3mg又は体重1kg当たり1mgの3か月毎に1回の投与を包含する。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、当業界で公知の様々な方法の1又は2以上を使用する1又は2以上の投与経路を介して投与してもよい。当業者に認識されるように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化する。本発明の多価CD20結合分子組成物、医薬組成物、及び診断用組成物の投与経路としては、例えば静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄内、又は他の非経口投与経路、例えば注射又は点滴による投与経路が挙げられる。他の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、非経口投与、例えば局所、表皮、又は粘膜の投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下、又は局所によって投与されうる。
本発明の治療的多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、当業界で公知の様々な1又は2以上の医療デバイスと共に投与されうる。例えば、一実施形態において、本発明の医薬組成物は、無針皮下注射デバイスによって投与されてもよい。本発明において有用な周知のインプラント及びモジュールの例は、当業界にあり、例えば、制御された速度で送達するための埋め込み型マイクロ点滴ポンプ、経皮投与するためのデバイス;正確な点滴速度で送達するための点滴ポンプ、連続的な薬物送達のための流量可変の埋め込み型点滴デバイス、及び浸透圧薬物送達系が挙げられる。これら及び他のこのようなインプラント、送達系、及びモジュールは、当業者に公知である。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、単独で、又は1若しくは2以上の他の治療剤若しくは診断剤と併用して投与されてもよい。併用治療は、治療しようとする特定の患者、疾患、又は状態に基づき選択された少なくとも1つの他の治療剤と併用される、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその医薬組成物を包含していてもよい。他のこのような薬剤の例としては、とりわけ細胞毒性の抗がん剤又は化学療法剤、抗炎症剤若しくは増殖抑制剤、抗菌剤若しくは抗ウイルス剤、増殖因子、サイトカイン、鎮痛剤、治療活性を有する小分子若しくはポリペプチド、一本鎖抗体、古典的な抗体若しくはそれらのフラグメント、又は1若しくは2以上のシグナル伝達経路をモジュレートする核酸分子、及び治療的若しくは予防的治療レジメンにおいて補う又は別様で有益でありうる類似のモジュレートする治療剤が挙げられる。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物による患者の治療によって、好ましくは標的化CD20+細胞の細胞死及び/又は標的化CD20+細胞の増殖阻害が起こる。そのため、本発明の特定の多価CD20結合分子及びそれらを含む医薬組成物は、CD20+標的細胞を殺滅又は枯渇することが有益でありうる様々な病的な障害、例えばとりわけ、がん、腫瘍、免疫障害、及びCD20+細胞を伴う増殖異常を治療する方法において有用であろう。本発明は、腫瘍、過剰反応性B細胞、及び過剰反応性T細胞を含む、細胞増殖を抑制するための、及び細胞障害を治療するための方法を提供する。
CD20は、様々な悪性疾患、例えば血液疾患、リウマチ疾患、血液のがん、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL)、バーキットリンパ腫(BL,Burkitt’s lymphomas)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B細胞CLL,chronic lymphocytic leukemias)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL,diffuse large B-cell lymphomas又はDLBL)、濾胞性リンパ腫(FL,follicular lymphomas)、ヘアリーセル白血病(HCL,hairy cell leukemias),ホジキンリンパ腫(HD,Hodgkins lymphomas)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL,mantle cell lymphomas)、黒色腫、非ホジキンリンパ腫(NHL,non-Hodgkins lymphomas)、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫(B−LBL,precursor B-lymphoblastic lymphomas)、小リンパ球性リンパ腫(SLL,small lymphocytic lymphoma)、及びT細胞リンパ腫(TCL)、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、喘息、クローン病、糖尿病、移植片の拒絶、移植片対宿主病、橋本甲状腺炎、溶血性尿毒症症候群、HIV関連疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、結節性多発動脈炎、多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、強皮症、敗血性ショック、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、及び/又は血管炎に関係する細胞によって発現する。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、がん、腫瘍(悪性及び非悪性)、増殖異常、及び免疫障害を治療又は予防するために使用することができる。さらなる態様において、上記のエクスビボでの方法を上記のインビボでの方法と組み合わせて、骨髄移植レシピエントにおける拒絶を治療又は予防する方法、及び免疫寛容を達成する方法を提供することができる。
特定の実施形態において、本発明は、哺乳動物対象、例えばヒトにおける悪性疾患又は新生物及び他の血液細胞関連がんを治療する方法であって、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、例えば不要なB細胞及び/又はT細胞を除去することにおける使用、移植片対宿主病を治療するために免疫応答をモジュレートすることにおける使用、抗ウイルス剤としての使用、抗菌剤としての使用、及び移植組織から不要な細胞型を取り除くことにおける使用を含む、様々な適用を有する。本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、一般的には抗新生物剤であり、このことは、それらが、CD20+がん、新生物細胞、又は腫瘍細胞の増殖を阻害する及び/又は死滅をもたらすことによって、新生物細胞又は悪性細胞の発生、成熟、又は伝播を治療及び/又は予防することが可能であることを意味する。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、B細胞、形質細胞、T細胞、又は抗体が媒介する疾患又は障害、例えば血液疾患、リウマチ疾患、血液のがん、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B細胞CLL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL又はDLBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヘアリーセル白血病(HCL),ホジキンリンパ腫(HD)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、黒色腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫(B−LBL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、及びT細胞リンパ腫(TCL)、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、喘息、クローン病、糖尿病、移植片の拒絶、移植片対宿主病、橋本甲状腺炎、溶血性尿毒症症候群、HIV関連疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、結節性多発動脈炎、多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、強皮症、敗血性ショック、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、及び/又は血管炎を治療するために使用される。
患者におけるB細胞及び/又はT細胞を殺滅する目的で、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を患者に投与することによって、B細胞及び/又はT細胞によって媒介される疾患又は状態の予防又は治療を提供することは本発明の範囲内にある。この使用は、移植される材料の起源、例えばヒト又は非ヒトの起源であるかどうかに関係なく、骨髄移植、幹細胞移植、組織移植、又は臓器移植のために患者を準備する又は条件を整えることに適合する。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用して宿主T細胞の標的化CD20+細胞殺滅を介して、骨髄レシピエントに宿主対移植片病の予防又は治療を提供することは、本発明の範囲内である。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、本発明のタンパク質組成物又は医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを治療する方法において利用されうる。本発明の方法の特定の実施形態において、治療される状態、疾患、又は障害は、血液疾患、リウマチ疾患、血液のがん、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B細胞CLL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL又はDLBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヘアリーセル白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HD)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、黒色腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫(B−LBL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、及びT細胞リンパ腫(TCL)、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、喘息、クローン病、糖尿病、移植片の拒絶、移植片対宿主病、橋本甲状腺炎、溶血性尿毒症症候群、HIV関連疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、結節性多発動脈炎、多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、強皮症、敗血性ショック、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、及び/又は血管炎に関連する。
本発明の多価CD20結合分子及び組成物によって治療されうる血液のがん(例えば、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫)のサブタイプの非制限的な例としては、急性骨髄性白血病(急性骨髄性白血病又はAML,acute myelogenous leukemia)、急性非リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL又はBCP−ALL,B-cell acute lymphoblastic leukemias)、B細胞前リンパ球性白血病(B−PLL,B-cell prolymphocytic leukemias)、Bリンパ芽球性リンパ腫(B−LBL)、バーキットリンパ腫(BL)、異型バーキットリンパ腫(異型BL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML,chronic myeloid leukemias)、皮膚B細胞リンパ腫(CBCL,cutaneous B-cell lymphomas)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL又はDLBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヘアリーセル白血病(HCL)、重鎖病、ホジキンリンパ腫(HL又はHD)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症(LG又はLYG)、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、結節性リンパ球優性ホジキンリンパ腫(NLPHL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質芽球性リンパ腫(PBL)、多中心性キャッスルマン病に関連する形質芽球性リンパ腫、形質細胞新生物、形質細胞骨髄腫、原発性滲出性リンパ腫(PEL,primary effusion lymphomas)、小リンパ球性リンパ腫(SLL,small lymphocytic lymphomas)、T細胞大顆粒リンパ球性白血病(T−LGLL,T-cell large granular lymphocyte leukemias)、T細胞リンパ腫(TCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T−PLL,T-cell prolymphocytic leukemias)、菌状息肉症(MF,mycosis fungiodes)、及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(WM,Waldenstrom’s macroglobulinemias)が挙げられる。
本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、免疫障害を治療する方法において利用されうる。本発明の方法の特定の実施形態において免疫障害は、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、喘息、クローン病、糖尿病、移植片の拒絶、移植片対宿主病、グレーブス病、グレーブス眼症、橋本甲状腺炎、重鎖病、溶血性尿毒症症候群、HIV関連疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患、N−メチルD−アスパラギン酸(NMDA,N-methyl D-aspartate)受容体脳炎、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS,opsoclonus myoclonus syndrome)、発作性夜間ヘモグロビン尿症、結節性多発動脈炎、多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、強膜炎、強皮症、敗血症ショック、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、及び血管炎からなる群より選択される疾患に関連する炎症に関連する。
本発明の特定の実施形態は、CD20+細胞を伴うがん、腫瘍、免疫障害、及び/又は増殖異常の治療又は予防のために、医薬組成物又は医薬品の成分として本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用することである。例えば、患者の皮膚上に現れる免疫障害は、炎症を低減させようとする努力において、このような医薬品で治療されうる。別の例において、皮膚の腫瘍は、腫瘍サイズを低減させる又は腫瘍を完全に除去しようとする努力において、このような医薬品で治療されうる。
あるがんに関して、B細胞の枯渇及び/又は阻害は、一般的に、例えばがんの逃避を促進する制御性B細胞を枯渇させることによって疾患の転帰を改善しうる(例えば、Olkhanud P et al., Cancer Res 69: 5996-6004 (2009); Olkhanud P et al., Cancer Res 71: 3505-15 (2011)を参照されたい)。
本発明の特定の実施形態は、多価CD20結合分子の細胞への細胞内在化を誘導する、及び/又は本発明の多価CD20結合分子が結合する細胞表面に局在するCD20を細胞内在化させる方法であって、細胞に、本発明の多価CD20結合分子、本発明の多価CD20結合分子組成物、本発明の医薬組成物、及び/又は本発明の診断用組成物を接触させるステップを含む方法である。この細胞内在化の誘導方法の特定の実施形態に関して、細胞は、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している。細胞内在化の誘導方法の特定のさらなる実施形態に関して、細胞に接触させるステップはインビトロで行われる。特定の他の実施形態に関して、細胞に接触させるステップは、インビボで、例えば患者内で行われる。細胞内在化の誘導方法の特定のさらなる実施形態に関して、多価CD20結合分子の細胞内在化は、細胞にとって適切な生理的温度及び/又は約37℃で約5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、又はそれ未満以内で起こる。特定のさらなる実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通ドメインを有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままである、CD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態に関して、細胞はCD20陽性細胞である。特定の実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3つ以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定の実施形態に関して、細胞は、B細胞系列の子孫又はメンバーである。特定の実施形態に関して、細胞は、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病、健康なB細胞系列細胞、及び/又は健康なT細胞からなる群より選択される。
特定の実施形態に関して、本発明の方法は、患者における多価CD20結合分子が結合する細胞表面局在CD20の細胞内在化を誘導する方法であって、本発明の多価CD20結合分子、本発明の多価CD20結合分子組成物、本発明の医薬組成物、及び/又は本発明の診断用組成物を、患者に投与するステップを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、細胞内部に外因性物質を送達する方法であって、インビトロ又はインビボのいずれかで、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の多価CD20結合分子組成物、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の医薬組成物、及び/又は追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の診断用組成物を細胞に接触させるステップを含む方法を提供する。特定のさらなる実施形態に関して、細胞は、多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有するCD20に物理的に結合している。特定のさらなる実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、(2)膜貫通領域を有する、及び(3)細胞に物理的に結合したままである、CD20を細胞表面に発現する。特定のさらなる実施形態に関して、細胞はCD20陽性細胞である。特定の実施形態に関して、細胞は、(1)多価CD20結合分子の2又は3以上のCD20結合領域が結合する細胞外部分を有する、有意な量の細胞外CD20に物理的に結合している。特定の実施形態において、細胞はB細胞系列の子孫又はメンバーである。特定の実施形態に関して、細胞は、悪性B細胞、B細胞白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞骨髄腫細胞、急性骨髄性白血病細胞、急性非リンパ球性白血病細胞、B細胞慢性リンパ球性白血病細胞、B細胞リンパ腫細胞、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞、前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞、B細胞前リンパ球性白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、濾胞性リンパ腫細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、免疫芽球性大細胞型リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、黒色腫細胞、多発性骨髄腫細胞、形質細胞新生物細胞、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、形質芽球性リンパ腫細胞、形質細胞骨髄腫細胞、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫細胞、小リンパ球性リンパ腫細胞、悪性T細胞、T細胞白血病細胞、T細胞リンパ腫細胞、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病細胞、T細胞前リンパ球性白血病、健康なB細胞系列細胞、及び/又は健康なT細胞からなる群より選択される。
特定の実施形態に関して、本発明は、患者における細胞の内部に外因性物質(例えば、診断情報を収集するための検出促進剤)を送達する方法であって、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の多価CD20結合分子組成物、追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の医薬組成物、及び/又は追加の外因性物質を含む本発明の多価CD20結合分子を含む本発明の診断用組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
本発明の特定の実施形態は、CD20細胞表面発現を特徴とする、細胞表面で接近しやすいCD20の量の変化を特徴とする、及び/又はCD20細胞表面発現の変化に関連する、疾患、状態、及び/又は障害に関する情報収集の目的のために、細胞(例えば、CD20発現細胞、CD20陽性細胞、CD20+細胞型、及び/又は有意な量の細胞表面CD20に物理的に結合している細胞)の存在を検出するために、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物(例えば、本発明の診断用組成物)を使用する方法である。方法は、アッセイ又は診断技術によって多価CD20結合分子を検出するために、細胞に、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物の診断に十分な量を接触させることを含む。
用語「診断に十分な量」は、利用される特定のアッセイ又は診断技術によって情報収集目的で適切な検出及び正確な測定がもたらされる量を指す。一般的に、インビボでの診断での使用における生物全体にとって診断に十分な量は、対象の体重1kgあたり0.1mg〜100mgの非累積用量の、検出促進剤が連結された多価CD20結合分子であろう。典型的には、これらの情報収集方法において使用される多価CD20結合分子の量は、なお診断に十分な量であるという条件で、可能な限り低いであろう。例えば、生物におけるインビボでの検出のために対象に投与される多価CD20結合分子の量は、可能な限り低いであろう。
検出促進剤と併用される本発明の多価CD20結合分子の細胞型特異的標的化は、細胞外CD20標的生体分子と物理的に結合している細胞の検出及びイメージング方法をもたらす。本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物を使用するCD20+細胞のイメージングは、当業界で公知のあらゆる好適な技術によってインビトロ又はインビボで行ってもよい。診断情報は、生物の全身イメージングを含む当業界で公知の様々な方法又は生物から採取したエクスビボ試料を使用して収集してもよい。本明細書において使用される用語「試料」は、流体、例えば血液、尿、血清、リンパ、唾液、肛門分泌物、膣分泌物、及び精液、並びに生検手順によって得られた組織に限定されないいかなるものも指す。例えば、様々な検出促進剤は、磁気共鳴映像法(MRI)、光学的方法(直接の、蛍光による、及び生物発光によるイメージング)、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)、超音波、x線コンピューター断層撮影、及び上述のものの組合せなどの技術による、非侵襲的なインビボでの腫瘍イメージングのために利用することができる。
本発明の特定の実施形態は、CD20+腫瘍細胞及び/又は免疫細胞型の内部を標識又は検出するために、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物(例えば、本発明の医薬組成物及び/又は診断用組成物)を使用する方法である。本発明の多価CD20結合分子の、逆行性細胞内輸送を介して特異的な細胞型及び経路に侵入する能力に基づいて、特異的な細胞型の内部区画が、検出のために標識される。これは、インビボでその場の細胞で、患者内の疾患部位で行うことができ、又は生物から採取した細胞及び組織、例えば生検材料においてエクスビボの状況でインビトロで行うことができる。CD20+細胞、細胞型、及び細胞集団の検出を、高レベルのCD20を発現する腫瘍及び免疫細胞の診断及びイメージングに使用してもよい。本発明の特定の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、哺乳動物においてCD20+細胞の可能性がある蓄積部位をイメージング又は可視化するために使用してもよい。これらの方法は、治療的介入後、腫瘍の発生部位又は残留腫瘍細胞の部位を同定するために使用されてもよい。
本発明の診断用組成物は、疾患、障害、又は状態を、本発明の関連する医薬組成物によって潜在的に治療可能であると特徴付けるのに使用することができる。本発明の特定の物の組成物は、患者が本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物、又は本明細書に記載する本発明の関連する方法を利用する治療方策に応答するグループに属するかどうか、又は本発明の送達デバイスの使用に十分に好適であるかどうかを決定するのに使用することができる。
本発明の診断用組成物は、疾患、例えばがんが検出された後に、その疾患をより良好に特徴付けるために、例えば遠隔転移、不均一性、及びがん進行のステージをモニターするために使用することができる。疾患、障害、又は感染症の表現型の評価は、治療の決定を行う際の予後及び予測を助けることができる。疾患の再発において、本発明の特定の方法は、局所的な問題か又は全身性の問題を識別するのに使用することができる。
本発明の診断用組成物は、治療剤の型、例えば小分子薬若しくは生物学的薬物、又は細胞療法に関係なく、治療剤に対する応答を評価するのに使用することができる。例えば、本発明の診断用組成物の特定の実施形態は、腫瘍サイズの変化、数及び分布を含むCD20+細胞集団の変化を測定するため、又は患者に既に投与された療法によって標的とされる抗原とは異なるマーカーをモニターするために使用することができる。
CD20+細胞型の存在を検出する方法の特定の実施形態は、疾患、障害、及び状態に関連する情報、例えば、血液疾患、リウマチ疾患、血液のがん、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫(B細胞NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(B細胞CLL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL又はDLBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヘアリーセル白血病(HCL),ホジキンリンパ腫(HD)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、黒色腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、前駆B細胞性リンパ芽球性リンパ腫(B−LBL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、及びT細胞リンパ腫(TCL)、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、喘息、クローン病、糖尿病、移植片の拒絶、移植片対宿主病、橋本甲状腺炎、溶血性尿毒症症候群、HIV関連疾患、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、結節性多発動脈炎、多発動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎、強皮症、敗血性ショック、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎、及び/又は血管炎に関連する悪性細胞、腫瘍細胞、がん細胞、及び/又は免疫細胞に関連する細胞に関する情報を収集するのに使用することができる。
特定の実施形態において、本発明の多価CD20結合分子及び/又はその組成物は、診断と治療の両方、又は診断単独のために使用される。
本発明を、志賀毒素ファミリーのメンバーのAサブユニットに由来する志賀毒素エフェクター領域と、特異的CD20発現細胞型に物理的に結合しているCD20の細胞外部分に結合することができる2又は3以上のCD20結合領域とを有する選択的に細胞毒性の多価CD20結合分子を含む組成物の以下の非制限的な実施例によってさらに説明する。
[実施例]
以下の実施例は、志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチド領域を含む異なる多価CD20結合分子を説明する。本発明の例示的な多価CD20結合分子は、1)標的細胞型、例えばヒトリンパ腫細胞の表面に発現したCD20に結合する、2)標的細胞に侵入し、及び触媒的に活性な志賀毒素エフェクターポリペプチドを標的細胞のサイトゾルへと有効に経路決定し、これらのCD20発現細胞の死滅をもたらす。
一価CD20結合分子と比較して多価CD20結合分子の割合が高くなるように強化された本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物は、実施例1に示される本発明の例示的な多価CD20結合分子の成分である一価CD20結合タンパク質で主に構成されるタンパク質組成物と比較して細胞毒性活性の大きい改善を示した。本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物の細胞毒性効果の改善は、一価CD20結合分子と比較して多価CD20結合分子バリアントのCD20結合価数の増加に起因して予想される細胞毒性の増加によって説明できなかった。
実施例を通して、用語「CD20結合タンパク質」は、1又は2以上の組み換え型融合ポリペプチドを含む、志賀毒素Aサブユニット由来の免疫毒素を指すために使用され、それぞれのポリペプチドは、1)高い親和性でCD20の細胞外部分に結合することができる1又は2以上の免疫グロブリン型CD20結合領域と、2)1又は2以上の志賀毒素エフェクターポリペプチド領域とを含む。以下の実施例に示される本発明の特定の多価CD20結合タンパク質は、多量体、例えば、共に連結された2つの同一の一価CD20結合タンパク質から本質的になるホモ二量体であった。
本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質及びその強化組成物
本発明の例示的な多価CD20結合分子は、当業者に公知の試薬及び技術を使用して、多数のCD20結合一本鎖可変フラグメント(scFv)ポリペプチドを、多数の志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチドに連結させることによって作製された。本実施例において、本発明の例示的な多価CD20結合分子は、それぞれが2)2又は3以上の志賀毒素Aサブユニット由来毒素エフェクター領域に連結された、1)細胞外CD20に高い親和性で結合することができる、2又は3以上の一本鎖可変フラグメント(scFv)結合領域を含む、多価CD20結合タンパク質であった。
多価CD20結合タンパク質は、組成物中の主なタンパク質が本発明の多価CD20結合タンパク質であるタンパク質組成物を作製するために、当業者に公知の技術を使用して設計、産生、及び精製された。例えば、例示的な組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2+nは、本発明の多価CD20結合タンパク質であるタンパク質で主に構成された。以下に示すように、本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質組成物は、その多価CD20結合タンパク質構成成分の活性を介して、毒素エフェクター領域を細胞内在化させて、サイトゾルに経路決定し、リボソームを不活化することによって、その表面上にCD20を発現する細胞を選択的に殺滅することができた。
しかし、本実施例の多価CD20結合タンパク質の成分を表す一価CD20結合タンパク質で主に構成された、タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aは、広範囲のタンパク質濃度にわたって強力なCD20標的化細胞毒性を示さなかった。一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aは、これらの例示的な多価CD20結合タンパク質組成物がCD20発現細胞に対して強力な標的化細胞毒性を示す濃度の本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質組成物と類似の総分子結合レベルを有する濃度で、CD20発現細胞に対して予想外に不活性であることが見出された。このことは、一価CD20結合タンパク質が1)例示的な多価CD20結合タンパク質と同じCD20結合領域及び志賀毒素エフェクター領域を有したこと、並びに2)例示的な多価CD20結合タンパク質と類似の触媒活性をインビトロで示したことから、意外であった。
A.組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)nを産生するための細胞毒性の多価CD20結合タンパク質の構築、産生、及び精製
本実施例において、志賀毒素エフェクター領域を、志賀様毒素1のAサブユニット(SLT−1A)から誘導した。SLT−1Aのアミノ酸1〜251をコードするポリヌクレオチドを得た(Cheung M et al., Mol Cancer 9: 28 (2010))。一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む免疫グロブリン型結合領域αCD20−scFvを、ヒトCD20に結合するように作製したモノクローナル抗体から誘導して、当業界で公知のリンカーによって2つの免疫グロブリン可変領域(VL及びVH)が隔てられた一本鎖可変フラグメントを作製した。免疫グロブリン型結合領域及び志賀毒素エフェクター領域をインフレームでクローニングして、遺伝子融合タンパク質を形成した。
配列番号4に示されるポリペプチド(配列番号1のアミノ酸1〜251に対応する)を含む志賀毒素エフェクター領域をコードするポリヌクレオチドを、免疫グロブリン型結合領域αCD20−scFvをコードするポリヌクレオチドとインフレームでクローニングした。特定の実験において、本実施例の多価細胞毒性タンパク質のサブユニットの完全長のコード配列は、検出及び/又は精製を容易にするためにmycタグ又はStrep−tag(登録商標)IIをコードするポリヌクレオチドを包含した。例示的なタンパク質組成物「(αCD20−scFv::SLT−1A)n」の多価CD20結合タンパク質のαCD20−scFv::SLT−1A融合タンパク質サブユニットをコードするポリヌクレオチド(配列番号54)を、DNA2.0,Inc(Menlo Park, CA, U.S.)社のサービスを使用して合成したか、又は標準的な技術を使用してクローニングした。
タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)nの構成成分を含むCD20結合タンパク質は、当業界で公知の細菌系又は無細胞発現系を使用して、タンパク質αCD20−scFv::SLT−1A(配列番号54)をコードするポリヌクレオチド鋳型からのタンパク質発現によって産生した。タンパク質精製は、カプト−L及びキチンアフィニティクロマトグラフィーを含む、当業界で公知の標準的な技術を使用して行われた。特定の精製に関して、多価CD20結合タンパク質を細菌において産生して、IMPACT(商標)(アフィニティキチン結合タグによるインテイン媒介精製)系(New England Biolabs, Ipswich, MA, U.S.)で精製した。キチンアフィニティ精製は、特定の精製において、プロテインLカラムクロマトグラフィーステップを実施した後にインテインを切断したことを除き、製造業者の説明書に従って実施した。キチン樹脂を通してのフロースルーモードでのクロマトグラフィーにより非切断材料を除去した。
精製後、(αCD20−scFv::SLT−1A)nタンパク質組成物を、触媒として硫酸銅を使用して酸化した。次いで、酸化した(αCD20−scFv::SLT−1A)n組成物を、ヒドロキシアパタイト(ヒドロキシルアパタイト)クロマトグラフィーを使用して3つの異なるCD20結合タンパク質組成物に精製した。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを使用して、(αCD20−scFv::SLT−1A)n組成物のCD20結合タンパク質の異なる単量体及び多量体型を異なるクロマトグラフィー分画に分離して、次いで特定の分画をプールした−「αCD20−scFv::SLT−1A組成物」と称される1つのタンパク質プールは、主に一価のCD20結合タンパク質αCD20−scFv::SLT−1A(n=1)を主に含み、「(αCD20−scFv::SLT−1A)n組成物」と称される別のタンパク質プールは、単特異的の二価CD20結合タンパク質(n=2)を主に含み、本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物を表すが、第3のタンパク質プールは、様々なサイズの単特異的多価CD20結合タンパク質(n=2、3、4、5、6など)を主に含み、二価CD20結合タンパク質のサイズをごく微量含む。第3のタンパク質プールを、第2のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー精製ステップの後にサイズ排除クロマトグラフィーステップを使用して、クロマトグラフィー分画を採取することによりさらに精製し、一価CD20結合タンパク質αCD20−scFv::SLT−1A及び二価CD20結合タンパク質の量を低減させた。二価CD20結合タンパク質より大きいと推定される分子サイズを含む特定の分画をプールして、「(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2組成物」(すなわち、n+2は3以上)と称される本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物を作製した。3つのタンパク質プール(CD20結合タンパク質組成物)を、別々に濃縮した。
3つのCD20結合タンパク質組成物(1)αCD20−scFv::SLT−1A、(2)(αCD20−scFv::SLT−1A)2、及び(3)(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のそれぞれのタンパク質構成を、Superdex200 30/300カラム(GE Healthcare社製、Little Chalfont, Buckinghamshire, U.K.)を使用して、ベッド体積24mLのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した(図2;表1)。SECクロマトグラフィー分析に関して、各試料をロードした後、少なくとも24mLの緩衝液をカラムの中に流れさせて、その間に、紫外(uv)光検出器により、溶出した材料の280ナノメートル(nm)での吸光度をモニターして、ミリ吸光単位(mAU)で報告した(図2、表1)。一般的に、サイズ排除クロマトグラフィーに使用されるマトリックスの中を小さいサイズの分子が流れる場合には、より大きいサイズの分子と比較して遅くなり、そのため、より小さいサイズの分子は、大きいサイズの分子より長いSEC保持時間を示す。このように、SEC保持時間の測定により、組成物内の異なるサイズの分子構成要素の相対的比率の推定値をもたらすことができ、したがって、特定のサイズの分子構成要素に関する組成物の純度をもたらすことができる。
表1は、サイズによって識別されるタンパク質組成物に存在する3つの異なるクラスのCD20結合タンパク質の相対的割合を示す:(1)αCD20−scFv::SLT−1Aクラス、(2)(αCD20−scFv::SLT−1A)2クラス、及び(3)(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2クラス。αCD20−scFv::SLT−1A組成物は、存在する総タンパク質の95%の単量体CD20結合タンパク質を含み、これらの単量体CD20結合タンパク質のそれぞれがCD20結合に関して一価であった。(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物は、いかなる測定可能な量の単量体CD20結合タンパク質も含まなかったが、その代わりに存在する総タンパク質の100%の多価CD20結合タンパク質を含んだ。(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物に関して、存在するタンパク質の79%が二量体であり、存在するタンパク質の21%がいかなる二量体形態のサイズよりも大きい多量体形態のサイズであった。最後に、分析により、(αCD20−scFv::SLT−1A)2+n組成物の大部分が、二量体形態のサイズより大きい分子サイズの多価CD20結合タンパク質を含んだ(総タンパク質の88%が二量体のサイズより大きいサイズであった)が、この組成物はまた、微量の二量体形態の多価CD20結合タンパク質を含み、さらには少量の単量体CD20結合タンパク質を含むことが示された。これらの3つの組成物に存在するCD20結合タンパク質の二量体形態は、二価及び多量体の両方である本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質を表す。
3つのCD20結合タンパク質組成物:(1)αCD20−scFv::SLT−1A、(2)(αCD20−scFv::SLT−1A)2、及び(3)(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によっても分析した。3つの精製タンパク質組成物のそれぞれからの試料を、42ミリモル濃度(mM)のジジオスレイトール(DTT)の還元条件に供して、95℃で5分間変性させて、組成物に存在する多価CD20結合タンパク質のタンパク質様成分を連結する還元可能な共有結合、例えば、システインジスルフィド結合の存在を調べた。試料を3×SDS Blueローディング緩衝液(187.5mMトリス−HCl(pH6.8)、6%質量/体積パーセント(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、30%グリセロール及び0.03%(w/v)ブロモフェノールブルー(カタログ番号B7703S、New England BioLabs, Inc.社製、Ipswich, MA, U.S.)、又は3×SDS還元Blueローディング緩衝液(187.5mMトリス−HCl(pH6.8)、6%(w/v)SDS、30%グリセロール、0.03%(w/v)ブロモフェノールブルー、及び125mM DTT(カタログ番号B7703S、New England BioLabs, Inc.社製、Ipswich, MA, U.S.)で、1×緩衝液の最終組成物となるように希釈して十分に混合した。試料を95℃で5分間加熱して、次いでウェル当たりタンパク質試料5マイクログラム(μg)を4〜20%SDSポリアクリルアミドゲルのウェルにロードして、電気泳動に供した。
還元及び非還元の精製タンパク質プールの試料を、SDS−PAGEによって変性条件で分析した(図3)。図3は、ゲルのレーンに番号が振られた4〜20%のSDS−PAGEゲルのクーマシー染色画像を示し、図の説明文は、同じそれぞれの番号付けによって、どの試料を各レーンにロードしたかを示している。そのサブユニットが非共有相互作用のみにより会合する、試料中に存在する多量体形態の多価CD20結合タンパク質は、実施されるSDS−PAGE技術の性質により、酸化還元状態とは関係なくこの変性ゲル分析においてその成分である一価タンパク質に解離すると予想された。これに対し、還元可能な共有結合から生じる試料中に存在する多量体形態の多価CD20結合タンパク質、例えばシステインジスルフィド架橋依存型形態は、還元試料中ではタンパク質様成分に解離することが観察されうるが、非還元試料中では解離しない。しかし、いずれの状況においても、不完全なジスルフィド結合の還元及び/又はタンパク質変性は、多量体構造の持続を許容することができる。
電気泳動分析により、αCD20−scFv::SLT−1A組成物中の大部分のタンパク質様種が、約55kDaの分子量で移動することが示され、これは志賀毒素AサブユニットエフェクターポリペプチドSLT−1Aの1〜251に融合した抗CD20 scFvを有する、配列番号54に関して予想されるおおよそのサイズであった。この種のサイズは、非還元条件及び還元条件で不変であった(図3)。これらの結果は、αCD20−scFv::SLT−1A組成物中の大部分のタンパク質種が、本実施例の例示的な多価CD20結合タンパク質組成物の単量体の多価CD20結合タンパク質成分であることと一貫した。
電気泳動分析により、(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物中の大部分のタンパク質様種が、約110kDaの分子量で移動することが示されたが(図3、レーン5)、これはαCD20−scFv::SLT−1A組成物の単量体の一価CD20結合タンパク質のまさに2つからなる二量体型に関して予想されるおおよそのサイズであった。(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物にはまた、微量のタンパク質様種も存在し、これは非還元条件で約55kDaの分子量で移動し、1又は2以上の非共有的会合から生じるが、いかなる共有結合、例えばシステインジスルフィド結合からも生じない、二量体形態の変性後の単量体の一価CD20結合タンパク質成分αCD20−scFv::SLT−1Aを表しうる。この大部分の種の大半のサイズは、還元条件で約55kDaへと変化し(図3、レーン5)、このことは、(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物に存在する大部分のタンパク質種に関して、非還元条件での、2つの単量体の一価CD20結合タンパク質分子を二量体形態に連結する1又は2以上のジスルフィド結合の存在と一貫した。
電気泳動分析により、(αCD20−scFv::SLT−1A)2+n組成物中の大部分のタンパク質様種が約55kDa又は110kDa(図3、レーン7)の分子量で移動することが示されたが、これは単量体の一価CD20結合タンパク質成分αCD20−scFv::SLT−1A、又は正確に2つの一価CD20結合タンパク質成分からなる二量体形態のいずれかに関して予想されるおおよそのサイズであった。二量体タンパク質種の大半のサイズは、還元条件で約55kDaに変化し(図3、レーン6)、これは、非還元条件での、(αCD20−scFv::SLT−1A)2+n組成物中で2つの一価CD20結合タンパク質分子を二量体形態に連結する1又は2以上のジスルフィド結合の存在と一貫した。
変性条件でSDS−PAGEゲルを通して電気泳動によって分離した還元及び非還元試料の比較により、組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2+nが、共有結合及び非共有結合多量体の両方を包含することが示された(図3、レーン4〜7)。本発明の多価CD20結合タンパク質のこれらの例示的な組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2+nは、共有結合したタンパク質サブユニット及び/又は非共有結合タンパク質サブユニットを有する多価CD20結合タンパク質を含む。
B.本発明の例示的な組成物に存在する多価CD20結合タンパク質の細胞結合特徴の決定
多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2+nのヒト腫瘍由来細胞株に対する結合特徴を、蛍光に基づくフローサイトメトリーアッセイを使用して調べた。上記のように産生されたタンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2+nを、志賀毒素エフェクター領域を有するその多量体の多価CD20結合タンパク質が、細胞表面にヒトCD20を発現するヒト腫瘍由来細胞株に結合する能力に関して分析した。
CD20陽性(CD20+)Raji細胞又はCD20陰性(CD20−)U266細胞を含む試料を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)(Calbiochem社製、San Diego, CA, U.S.)を含む1×PBS(本明細書において以降「1×PBS+1%BSA」と称する)に浮遊させて、アッセイされる多価CD20結合タンパク質組成物の様々な希釈液100マイクロリットル(μL)と共に4℃で1時間インキュベートした。1時間インキュベーション後、細胞と多価CD20結合タンパク質組成物との混合物を含む試料を、1×PBS+1%BSAで2回洗浄した。次に、試料を、各試料中に存在する総タンパク質濃度より高い抗体濃度でマウスモノクローナル抗体抗SLT−1A(BEI NR-867、BEI Resources社製、Manassas, VA, U.S.:志賀毒素及び志賀様毒素1Aサブユニットと交叉反応性)を含む1×PBS+1%BSA溶液100μLと共に、4℃で1時間インキュベートした。試料を1×PBS+1%BSAで洗浄した後、FITCとコンジュゲートした抗マウスIgG二次抗体を、各試料中に存在する総タンパク質濃度より高い抗体濃度で同様にインキュベートした。次に、試料を1×PBS+1%BSAで2回洗浄して、1×PBS200μLに浮遊させて、細胞に結合するタンパク質を測定するために、蛍光に基づくフローサイトメトリーに供した。
ヒト腫瘍由来の細胞株に対する、αCD20−scFv::SLT−1A、(αCD20−scFv::SLT−1A)2、及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2試料の最大特異的結合(Bmax)及び平衡結合定数(KD)を以下のように決定した。全ての試料に関する蛍光に基づくフローサイトメトリーからの平均蛍光強度(MFI)データを、陰性対照として二次抗体のみと共にインキュベートした細胞試料を使用してデータのゲートを設定することによって得た。Prismソフトウェア(GraphPad Software社製、San Diego, CA, U.S.)を使用してMFIデータ対「タンパク質濃度」のグラフをプロットした(図4)。結合−飽和の見出しの下にある一部位結合のPrismソフトウェア関数[Y = Bmax*X / (KD+ X)]を使用して、ベースライン補正データを使用してBmax及びKDを計算した。吸光度(Ab)値は、PBSのみを含むウェルに関して測定されたAb値を差し引くことによって、バックグラウンドに関して補正した。Bmaxは、MFIにおいて報告された最大特異的結合である。KDは、ナノグラム/ミリリットル(ng/mL)で報告される平衡結合定数である。組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のKD及びBmax値を、表2に報告し、図4に示す。
CD20+Raji細胞に対する(αCD20−scFv::SLT−1A)2結合のBmaxは、約180ng/mLのKDで約170,000MFIであると測定された(表2;図4)。CD20+Raji細胞に対する(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2結合のBmaxは、約180ng/mLのKDで約150,000MFIであると測定された(表2;図4)。したがって、本発明の例示的なタンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2(主に多量体の多価CD20結合タンパク質で構成された)はいずれも、細胞表面にCD20を発現するヒトCD20発現ヒト細胞(例えば、CD20+ヒト細胞)に対して高親和性結合を示した。(αCD20−scFv::SLT−1A)2又は(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2の組成物のいずれかに存在するいかなる多量体形態のCD20−scFv::SLT−1Aも、1つのCD20発現細胞の細胞表面に存在する2つの異なるCD20標的生体分子に同時に結合できるかどうかは不明である。
C.インビトロで真核細胞リボソームに対するタンパク質(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2の半数阻害濃度(IC50)の決定
(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2タンパク質組成物のリボソーム不活化能を、TNT(登録商標)Quick Coupled Transcription/Translationキット(L1170、Promega社製、Madison, WI, U.S.)を使用して無細胞のインビトロタンパク質翻訳アッセイにおいて決定した。キットは、ルシフェラーゼT7コントロールDNA及びTNT(登録商標)Quick Masterミクスを包含する。リボソーム活性反応を、製造業者の説明書に従って調製し、「TNT」反応混合物を作製した。試料中に存在するCD20結合タンパク質の濃度を、SLT−1A成分のモル濃度に基づいて計算した(以下を参照されたい)。分析されるCD20結合タンパク質組成物の一連の10倍希釈液を適切な緩衝液で調製して、一連の同一のTNT反応混合物成分をそれぞれの試料希釈液に関して作製した。
一連の希釈液におけるそれぞれの試料を、ルシフェラーゼT7コントロールDNAと共にTNT反応混合物のそれぞれと混合した。被検試料を30℃で1.5時間インキュベートした。インキュベーション後、ルシフェラーゼアッセイ試薬(E1483、Promega社製、Madison, WI, U.S.)を全ての被検試料に添加して、ルシフェラーゼタンパク質の翻訳量を、製造業者の説明書に従って発光によって測定した。翻訳阻害レベルを、志賀毒素タンパク質の標準化モル濃度対相対的発光単位に基づいて推定した総タンパク質の対数変換モル濃度の非線形回帰分析によって決定した。統計処理ソフトウェア(GraphPad Prism, San Diego, CA, U.S.)を使用して、ピコモル濃度(pM)値で表す半数阻害濃度(IC50)を、試験したそれぞれのCD20結合タンパク質組成物に関して計算した(図5;表3)。
無細胞タンパク質合成に及ぼす例示的な多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2の阻害効果は強力であった(図5;表3)。用量依存性実験から、この無細胞アッセイにおけるタンパク質合成に対する(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2に存在する多価CD20結合分子のIC50値がそれぞれ、約5.3pM及び11pMであることが決定された(図5;表3)。
D.CD20+細胞殺滅アッセイを使用した、多価CD20結合タンパク質(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2の半数細胞毒性濃度(CD50)の決定
用量依存性実験を使用して、本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のCD50値を決定した。(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2組成物の細胞毒性特徴を、以下のCD20+細胞殺滅アッセイによって決定した。このアッセイは、多価CD20結合タンパク質の結合領域のCD20標的生体分子を細胞表面に発現する細胞を殺滅するタンパク質試料の能力を決定する。CD20+Raji細胞及びCD20+ST486細胞を、384ウェルプレートにおいて細胞培養培地20μLに播種した(7.5×103細胞/ウェル)。試験される多価CD20結合タンパク質組成物を1×PBS中で10倍希釈して、希釈液5μLを、384ウェルプレートにおいてCD20+及びCD20−細胞試料に添加した。細胞培養培地のみを含む対照ウェルを、ベースライン補正のために使用した。細胞試料をタンパク質試料と共に、又は緩衝液のみと共に、5%二酸化炭素(CO2)の大気中、37℃で3日間インキュベートした。総細胞生存又は生存率パーセントは、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(G7573、Promega社製、Madison, WI, U.S.)を製造業者の説明書に従って使用して、発光の読み出しを使用して決定した。実験ウェルの生存率パーセントを、以下の式を使用して計算した:(試験RLU−平均培地RLU)/(平均細胞RLU−平均培地RLU)×100。Logポリペプチド濃度対生存率パーセントを、Prism(GraphPad Prism, San Diego, CA, U.S.)においてプロットし、log(阻害剤)対反応(3パラメータ)分析を使用して、CD20+細胞に対する多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2の半数細胞毒性濃度(CD50)値を決定した。
CD20+Raji細胞に対する(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物のCD50値は250ng/mLであった(表4;図6)。CD20+Raji細胞に対する組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のCD50値は、約220ng/mLであった(表4;図6)。これに対し、単量体の一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1AのCD50値は、かなり高く(すなわちより強力ではなく)、試験した濃度では、曲線の形状からCD50を正確に決定することができなかった(表4;「NC」は計算不能を示す;図6)。このアッセイにおいて試験したタンパク質濃度及び細胞密度に関して、試験したタンパク質の特定の濃度では、存在する利用可能な細胞表面CD20を、CD20結合タンパク質によって飽和することができなかったと推定された(占有率を推定するために使用される例示的な「ROモデル」に関しては、Muller P, Brennan F, Clin Pharmacol Ther 85: 247-58 (2009)を参照されたい)。
同じ細胞殺滅アッセイを使用して、(αCD20−scFv::SLT−1A)2タンパク質組成物は、他の実験において、類似の細胞密度及び40,000ng/mLもの高いタンパク質濃度を含むCD20結合タンパク質濃度で試験した場合に、CD20陰性細胞株、例えばBC−1、U266、及びH929細胞に対して非毒性であることが示された。同様に、同じ細胞殺滅アッセイを使用して、SLT−1A(1〜251)成分単独及び単量体の一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aはいずれも、24,000ng/mLもの高いタンパク質濃度でCD20+Raji細胞に対して特異的細胞毒性を示さなかった。
一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aの細胞毒性測定により、αCD20−scFv::SLT−1Aが、細胞表面受容体結合領域のような、いかなる細胞標的化部分も欠如するSLT−1A(1〜251)「のみの」陰性対照試料の細胞毒性と比較して、試験した細胞密度及びタンパク質濃度でCD20+Raji細胞に対してより大きい細胞毒性を示さないことが示された。したがって、一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aは、細胞表面マーカーの発現とは関係なく、単なる非特異的細胞毒性のみを示した。結論すると、一価CD20結合タンパク質αCD20−scFv::SLT−1Aは、試験したタンパク質濃度でCD20+細胞を殺滅することができなかったが、本発明の例示的な多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2は、CD20発現細胞に対して特異的に強力な細胞標的化細胞毒性を示した。
これらの予想外の結果をさらに調べるために、タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1A及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2を共に混合して、新規組成物を形成し、CD20結合タンパク質構成成分の比率の関数としてその構成成分CD20結合タンパク質の細胞毒性作用強度を試験した。存在する総タンパク質の100%の多価CD20結合タンパク質を含み、79%のその多価CD20結合タンパク質を含む(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物は、二価CD20結合タンパク質であった(上記の表1を参照されたい)。αCD20−scFv::SLT−1A組成物は、存在する総タンパク質の95%の一価CD20結合タンパク質を含んだ(上記の表1を参照されたい)。興味深いことに、多価CD20結合分子組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2の量を増加させた試料を、一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aの試料に添加して、(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物対αCD20−scFv::SLT−1A組成物の総タンパク質濃度比が1:3、1:1、及び3:1の一連の混合試料を作製した。固定比の混合試料の試料を、元の非混合αCD20−scFv::SLT−1A及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物の試料と共に、上記のCD20+細胞殺滅アッセイを使用して試験して、CD20発現細胞(ST486)に対するそれぞれの試料のCD50値を決定した。結果を、非混合のαCD20−scFv::SLT−1A及び(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物の結果と共に、図7、図8、及び表5に示す。さらに、これらの試料はいずれも、試験した濃度でこのアッセイを使用してCD20陰性細胞に対して細胞毒性を示さなかった(図9)。
図7は、本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2、一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1A、及びいずれかの硫酸銅酸化ステップの前の上記の「非精製」タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)nのCD20+細胞殺滅アッセイの結果を示す。
図8は、元の多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2と共に、1:3のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1A、1:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1A、及び3:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの固定比混合物のCD20+細胞殺滅アッセイの結果を示す。
表5は、精製(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物、1:3のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物、1:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物、3:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物、及び「非精製」(αCD20−scFv::SLT−1A)nの試料のCD50値を報告する。表5は、精製した多価CD20結合分子組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2のCD20発現細胞に対する細胞毒性が、精製した一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1AのCD20発現細胞に対する細胞毒性より約16倍高かったことを示している。表5は、(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物が、そこから(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物が精製された「非精製」(αCD20−scFv::SLT−1A)n組成物より約2.3倍細胞毒性が強かったことを示している。
表5のCD50値を、試験した試料中の総タンパク質の(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物タンパク質のパーセントの関数としてグラフにして、単純線形回帰統計モデルを使用してデータ点に直線をフィットさせた(図10)。直線フィットの決定係数(「R二乗」)は、0.8424であった。図11では、表5で表されるCD50値を試料中の総タンパク質の(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物タンパク質のパーセントの関数としてグラフを作成した。
表5、図10、及び図11に報告した結果は、多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2を一価のCD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aで希釈すると、混合したCD20結合タンパク質試料の細胞毒性は、CD20+細胞殺滅アッセイによって測定されるCD50値によってアッセイした場合、例えば4倍又はそれより大きく低減されたことを示している。図10及び11は、多価CD20結合タンパク質組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2の相対的タンパク質濃度が、総CD20結合タンパク質濃度と比較して増加すると、CD20+細胞に対する混合物の細胞毒性作用強度が増加することを示している(より低いCD50値によって表される)。CD20+細胞に対する(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物の細胞毒性は、より多くの一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aを添加することにより直線的に希釈された(図8、10、及び11を参照されたい)。したがって、一価CD20結合タンパク質が、例えば成分としてそれを含む多価CD20結合分子より有意に低い細胞毒性を有する非毒性の不純物又は構成成分として機能することにより、組成物の細胞毒性を低下させる構成成分となることから、本発明の多価CD20結合タンパク質組成物のより最大の細胞毒性を達成するためには、いかなる一価CD20結合タンパク質(例えば、αCD20−scFv::SLT−1A、又はnが1である(αCD20−scFv::SLT−1A)n)の量も、又は総CD20結合タンパク質に対する一価CD20結合タンパク質の相対的割合も、最小限にするか又は除去すべきである。
CD20結合タンパク質組成物の一価及び多価バリアントの両方のインビトロのリボソーム阻害活性が類似であったことを考慮すると(表3を参照されたい)、CD20結合価数の差によって引き起こされるCD20発現細胞の結合の変化によって、一価及び多価CD20結合タンパク質の間の細胞毒性作用強度のいかなる差も説明されると予想された。しかし、(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物と比較して、一価CD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aの細胞毒性作用強度がないことは、αCD20−scFv::SLT−1A組成物と(αCD20−scFv::SLT−1A)2組成物との間のCD20+細胞の結合の差によって単に説明できない(表2及び図4を参照されたい)。
同じ細胞殺滅アッセイを使用して、CD20結合タンパク質組成物の固定比混合物を、CD20陰性H929細胞に対する細胞毒性に関して分析した(図9)。1:3のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物、1:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物、及び3:1のタンパク質濃度比の(αCD20−scFv::SLT−1A)2対αCD20−scFv::SLT−1Aの混合物の、標的陰性細胞に対するCD50値は、一連の希釈液によって作成された曲線の形状のために計算不能であった。したがって、固定比混合物は試験した濃度でCD20陰性細胞に対して細胞毒性ではなかったが、試験したそれぞれの比率は、CD20+細胞に対して何らかのレベルの標的化細胞毒性を示した(表5;図9)。
さらに、CD20+細胞殺滅アッセイを上記のように実施して、精製された触媒的に不活性な二価CD20結合タンパク質を含むタンパク質組成物の細胞毒性を試験した。多価CD20結合タンパク質を含むタンパク質組成物を、組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2の精製及び産生に関して上記で説明したように産生した。これらの組成物のCD20結合タンパク質の志賀毒素エフェクターポリペプチド領域は、その志賀毒素エフェクター領域における変異E167D、Y77S、Y77S/E167Dの存在により、触媒的に不活性であるか、又は触媒的に損なわれていた。これらの組成物の多価CD20結合タンパク質は、触媒活性の役割を調べるために上記の変異の少なくとも1つを有する一価CD20結合タンパク質αCD20−scFv::SLT−1A(配列番号54)を含んだ。多価CD20結合分子CD20結合タンパク質の触媒的に不活性なバリアントは、試験した濃度で細胞毒性ではなかった。理論に拘束されないが、本実施例の多価CD20結合分子による細胞殺滅のために触媒的に活性な志賀毒素エフェクター領域が必要であることは、本発明の特定の多価CD20結合分子及びその組成物の細胞毒性の機構が、1)志賀毒素エフェクター領域依存的である、2)標的細胞内でリボソームを不活化する志賀毒素活性を必要とする、及び3)志賀毒素エフェクター触媒活性に非依存的な多価CD20結合分子のいかなる他の細胞毒性効果も伴わない(すなわち、多価CD20結合分子の他の細胞毒性効果(例えば、志賀毒素エフェクター領域非依存的な細胞外細胞毒性効果)が、本実施例のアッセイにおいて志賀毒素エフェクター領域触媒活性の非存在下で試験したタンパク質濃度では観察されなかった)ことを示した。
E.本発明の例示的な組成物における多価CD20結合分子の相対的割合の決定
当業者に公知のクロマトグラフィー及び/又は電気泳動法を使用して、1)本発明の例示的な組成物における異なるCD20結合タンパク質の相対的タンパク質濃度比を決定した。
本実施例において、SEC分析を使用して、本発明の例示的な組成物に存在する異なるサイズのタンパク質様種の量を分析し、例えば一価、二価、及び高次の多価CD20結合種の比率及び/又はパーセントを計算した。
SEC分析を、以下のアッセイを使用して実施した。試料を高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)カラムにロードして緩衝液をカラムの中に流れさせ、その間に溶出した材料の280nmでの吸光度をmAUで記録した。どの保持時間が、分析される組成物中に存在するそれぞれの一価CD20結合タンパク質単量体のアミノ酸組成物からタンパク質のサイズ及び/又はタンパク質のサイズが予測される保持時間に対応するかを検量するために、同じカラム及び設定を使用して、サイズ及び移動特徴が公知の分子(標準物質)を分析した。市販のサイズの標準物質から収集したクロマトグラフィーデータを使用して、試料中の分子種のサイズの推定を助けるため、及び特異的保持時間範囲の分析に重点を置くために、検量線を作成した。高純度の特定の例において、所定の組成物に関する総タンパク質の量を、SEC分析からの280nmでの吸光度測定、存在する大部分の分子種の予測分子量、及び大部分の種の吸光係数を使用して推定した。
さらに、還元及び非還元試料のSDS−PAGE及び/又はキャピラリーゲル電気泳動分析を使用して、サイズを確認し、相対量を推定し、及び所定のサイズ又はピークの分子種に存在するいかなるジスルフィド結合、多量体会合も検出した(例えば、図3を参照されたい)。例えば、SECピークにおける分子のサイズは、そのピークの保持時間の持続の範囲内の保持時間で採取されたクロマトグラフィー分画の非還元SDS−PAGE分析に基づいて推定することができる。
本実施例において、本発明の例示的な組成物における全ての多価CD20結合タンパク質は、多量体形態の一価CD20結合タンパク質から本質的になった。したがって、種に対応するピーク及びバンドは、1)一価CD20結合タンパク質と同じサイズのものは一価CD20結合分子で構成された、2)一価CD20結合タンパク質の2倍の大きさのものは、二価CD20結合分子で構成された、3)一価CD20結合タンパク質の3倍の大きさのものは三価CD20結合分子で構成された等であった。
一部のSEC分析は、AKTAシステム(GE Healthcare社製、Little Chalfont, Buckinghamshire, U.K.)によって行われるアッセイを伴った。UNICORN(商標)コントロールソフトウェア(GE Healthcare社製、Little Chalfont, Buckinghamshire, U.K.)を使用して、ベースライン計算、ピークの開始及び終了の決定、保持時間、及び曲線下面積を包含するソフトウェアのピーク積分機能を使用して、異なるサイズの種のタンパク質濃度のパーセントを計算した。クロマトグラフィー分析からの280nm軌跡におけるピークによって表されるCD20結合タンパク質種の同一性を、較正標準物質(例えば、GE Healthcare Life Science’社の製品、28-4038-42 Gel Filtration HMW Calibration Kitのようなゲルろ過標準物質)を使用して決定された予想保持時間に基づいて手作業で割付した。
他のSEC分析は、Watersシステム(Waters Corp社製、Milford, MA, U.S.)によって行われる類似のアッセイを伴った。SEC分析を、Water Empower 2ソフトウェア(Waters Corp.社製、Milford, MA, U.S.)で作動させるWaters Alliance HPLCシステムを使用して行った。HPLCシステムは、分析的TSKゲルG3000SWXLサイズ排除カラム及びTSKゲルガードSWXLサイズ排除ガードカラム(Tosoh Bioscience LLC社製、King of Prussia, PA, U.S.)を包含した。使用前に、カラムを移動相(20mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH7.4)で、流速0.5mL/分(ml/分)で少なくとも30分間平衡にした。移動相の100μLのブランク試料をカラムに流れさせてシステムがきれいで適切に作動することをチェックした。次に、タンパク質サイズが公知の標準物質(例えば、GE Healthcare Life Science社の製品、28-4038-42 Gel Filtration HMW Calibration Kitのような市販のゲルろ過標準物質)の試料を含む組成物試料を分析した。それぞれの組成物試料に関して、タンパク質50μgを注入して、アイソクラティックポンプを、温度22℃、流速0.5mL/分で30分間作動させてカラムの中に流れさせた。
本発明の3つの異なる例示的組成物に存在する多価CD20結合分子のパーセントを、Watersシステムを使用してSECによって分析し(図12、パネルA、パネルB及びパネルCを参照されたい)、これらの分析のそれぞれの結果を表6〜8に示す。Watersシステムのこの実施例において、(1)約19〜20分の保持時間は、二量体の二価CD20結合タンパク質(αCD20−scFv::SLT−1A)2と同等の分子サイズを表し、(2)約20〜22分の保持時間は、単量体の一価CD20結合タンパク質αCD20−scFv::SLT−1Aと同等の分子サイズを表し、(3)約17〜17.5分の保持時間は、三価又は四価である多量体CD20結合タンパク質分子と同等の分子サイズを表し、及び4)約17分の保持時間は、多量体の六価CD20結合タンパク質と同等の分子サイズを表した。二量体の二価CD20結合タンパク質(αCD20−scFv::SLT−1A)2の純度パーセントを、14〜27分の全てのピークの総ピーク面積で除したそのピーク面積から計算した。それぞれのピーク対全てのピークのパーセント(総面積パーセント)は、以下の式で示される分母として全てのピーク面積の合計を使用して決定した:(所望のピークの曲線下面積)/(全てのピーク下の全ての面積の合計)×100。
表6〜8に示される総面積のパーセントの計算結果は、図12、パネルA〜Cに示されるSECプロファイルデータに基づく。表6は、総タンパク質の約78%の二価CD20結合タンパク質パーセントを有し、総タンパク質の約8%の一価CD20結合タンパク質及び14%の比較的大きい価数のCD20結合タンパク質を含む本発明の1つの例示的な多価CD20結合分子組成物の結果を示す。表7は、総タンパク質のおよそ88%の二価CD20結合タンパク質のパーセントを有し、総タンパク質の約4.5%の一価CD20結合タンパク質及び総タンパク質の7.5%の相対的に大きい価数のCD20結合タンパク質を含む、本発明の第2の例示的な多価CD20結合分子組成物の結果を示す。表8は、総タンパク質のおよそ90%の二価CD20結合タンパク質のパーセントを有し、総タンパク質の約5%の一価CD20結合タンパク質及び総タンパク質の5%の相対的に大きい価数のCD20結合タンパク質を含む本発明の例示的な多価CD20結合分子組成物の結果を示す。
本発明の1つの例示的な多価CD20結合分子組成物(「多価CD20結合分子組成物#1」)を、上記のSEC−HPLC、Watersシステムアッセイを使用して18か月の間で59の異なる時間で分析した。上記のソフトウェア分析を使用して、ピーク面積及び総ピーク面積を決定し、最小保持時間は約14分に設定して(分子が分画ゲルに浸透するいかなる有意な可能性も有するには大きすぎる除外限度付近)、並びにゲルろ過標準マーカー及び多価CD20結合分子組成物の溶媒の較正測定に応じて、ポリペプチドより小さいサイズの分子がカラムから流出する時間にほぼ等しい約22〜27分に最大保持時間を設定した。得られた実証的測定から、ピーク#3(本発明の二価CD20結合タンパク質)の面積対総ピーク(総タンパク質)面積(総面積パーセント)を説明するデータセット(n=59)が得られ、平均値は77.40(%)、中央値は77.72(%)、モードは76.10(%)、標準偏差は1.533、及び相対的標準偏差は1.982であった。例示的な多価CD20結合分子組成物#1の例示的な個々の分析を、表6及び図12、パネルAに示す。
F.動物モデルを使用した、多価CD20結合分子組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のインビボでの効果の決定
当業者に公知の方法を使用して、動物モデルを使用して、CD20+新生物及び/又は免疫細胞に及ぼす例示的な組成物(αCD20−scFv::SLT−1A)2及び(αCD20−scFv::SLT−1A)n+2のインビボでの効果を決定する(例えば、国際公開第2014/164680号パンフレットを参照されたい)。様々なマウス系統を使用して、その細胞表面の少なくとも1つにCD20を発現するヒト新生物細胞をそれらのマウスに注射することに起因するマウスの異種移植片腫瘍に及ぼす、静脈内投与後の本発明の多価CD20結合分子及びその組成物の効果を試験した。非ヒト霊長類を使用して、静脈内投与後のCD20+B細胞集団に及ぼす多価CD20結合分子組成物の効果を試験する。
要約
意外にも、それぞれが、細胞標的化CD20結合領域及び志賀毒素Aサブユニットエフェクターポリペプチド領域を含む本発明の多価CD20結合分子は、その一価のタンパク質成分と比較してCD20発現細胞殺滅活性の予想外の改善を示す。
一価バリアントと多価バリアントの間の細胞毒性作用強度の差は、それらのリボソーム不活化活性が類似であることを考慮すると、バリアントのCD20発現細胞の結合能の差によって主に又は完全には説明されないと予想された。本実施例の二価CD20結合分子組成物(CD20−scFv::SLT−1A)2と、一価のCD20結合タンパク質組成物αCD20−scFv::SLT−1Aの間のCD20発現細胞結合のKD値の差は、より低いKD値を示す二価CD20結合分子組成物の約3倍、又は約3倍大きい結合親和性であった(表2;図4)。したがって、CD20結合分子の細胞毒性作用強度が細胞結合のKDに直接関連する場合、一価CD20結合タンパク質組成物の細胞毒性は、例示的な二価CD20結合分子組成物よりCD20+細胞に対して細胞毒性が最大で3倍低いと予想され、このことは、一価CD20結合タンパク質について予想されるCD50値が、例示的な二価のCD20結合分子組成物のCD50値の約3倍以下であるはずであることを意味する。
しかし、むしろ一価CD20結合タンパク質組成物は、その唯一の成分として同じ一価CD20結合タンパク質を有する多価CD20結合分子の組成物の細胞毒性の10倍以内の細胞毒性を示さないことが発見された。意外にも、細胞毒性の差は、上記のアッセイでは定性的に増加しており、10倍を超えるこの細胞毒性の差は、なおも正確に定量されなければならない。理論に拘束されないが、本実施例の多価CD20結合タンパク質組成物の細胞毒性の増加は、一価のCD20結合分子と比較して多価CD20結合分子が以下の1又は2以上を行う能力の定性的変化によって引き起こされうる:1)例えば比較的大きい効率で、CD20発現細胞に細胞内在化する、2)例えば比較的大きい効率で、志賀毒素エフェクターポリペプチド媒介細胞毒性をもたらすために都合の良い細胞内分画への細胞内経路決定;及び/又は3)例えば比較的大きい効率で、多価CD20結合分子が存在する細胞のサイトゾルへの志賀毒素エフェクターポリペプチドの送達。
志賀毒素及び様々な免疫グロブリン型結合領域に由来する多価CD20結合分子、及びその強化組成物
本実施例において、本発明の例示的な組成物は、志賀毒素に由来する多価CD20結合タンパク質によって作製される。志賀毒素エフェクター領域は、志賀様毒素1のAサブユニット(SLT−1A)(配列番号1)、志賀毒素(StxA)(配列番号2)、及び/若しくは志賀様毒素2(SLT−2A)(配列番号3)に由来するか、又は当業界で公知の志賀毒素エフェクターから選択される(例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2005/092917号パンフレット、国際公開第2007/033497号パンフレット、米国特許出願公開第2013/196928号明細書、国際公開第2014/164680号パンフレット、国際公開第2014/164693号パンフレット、国際公開第2015/113005号パンフレット、国際公開第2015/113007号パンフレット、国際公開第2015/138435号パンフレット、国際公開第2015/138452号パンフレット、米国特許出願公開第2015/259428号明細書、国際公開第2015/191764号パンフレット、及び米国特許出願第14/965882号明細書を参照されたい)。免疫グロブリン型結合領域は、表9から選択されるCD20結合分子に由来し、CD20の細胞外部分に結合する。本実施例の例示的な多価CD20結合分子は、当業界で公知の技術を使用して、及び/又は先の実施例に記載されるように作製される。さらに、これらの例示的な多価CD20結合分子が一価CD20結合分子と比較して強化された例示的な組成物は、組成物が1〜3未満の一価CD20結合分子対総CD20結合分子濃度の濃度比を有するように、当業界で公知の技術を使用して、及び/又は先の実施例に記載されるように作製される。本実施例の例示的な多価CD20結合分子及びその組成物は、先の実施例に記述されるように及び/又は当業者に公知のアッセイを使用して試験される。
本発明のいくつかの実施形態を、例示によって説明してきたが、本発明は、多くの改変、変更、及び適合化と共に実行することができ、本発明の精神から逸脱することなく、又は特許請求の範囲を超えることなく、いくつかの等価物又は代替的な解決法の使用が当業者の範囲内にあることは明白である。
全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願の全体が参照により組み込まれると具体的及び個別に示されたのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特許出願刊行物、国際公開第2005/092917号パンフレット、国際公開第2007/033497号パンフレット、米国特許出願公開第2013/196928号明細書、国際公開第2014/164680号パンフレット、国際公開第2014/164693号パンフレット、国際公開第2015/113005号パンフレット、国際公開第2015/113007号パンフレット、国際公開第2015/138435号パンフレット、国際公開第2015/138452号パンフレット、米国特許出願公開第2015/0259428号明細書、及び国際公開第2015/191764号パンフレットは、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願第14/965,882号明細書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許仮出願第61/777,130号明細書、第62/112,314号明細書、及び第62/249,193号明細書は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において引用したアミノ酸及びヌクレオチド配列に関するGenBank(National Center for Biotechnology Information, U.S.)から電子的に利用可能な全ての生物学的配列情報の完全な開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。