JP6439369B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
これは温度上昇によるシャットダウン機能によりポリオレフィン多孔膜の孔が閉塞されて電流が一旦遮断されても、電池温度が多孔膜を構成する樹脂の融点を超え、その多孔膜自体が溶融し、シャットダウン機能が失われる可能性を考慮したものである。
コート層を設けることにより、たとえポリオレフィン多孔膜が溶融してシャットダウン機能が失われることがあっても電極間の短絡を防止することができ、
ポリオレフィンの融点を超える高温時でも絶縁性を維持できるセパレータとすることができる。
コート層の部材が分解した場合、分解反応そのものによる蓄電エネルギーの消費や、分解物による他の部材への影響(例えばガス発生、分解物の電極表面への堆積)などが発生する可能性もあることから、これを極力防止する必要がある。
本発明はこれらコート層の分解を抑制し、電池のサイクル特性を向上させることを目的とする。
本発明の目的は、これらコート層を設けたセパレータを用いたリチウムイオン二次電池について、サイクル特性を向上させた電池を提供することである。
正極と、負極と、セパレータと、非水電解液からなるリチウムイオン二次電池から成り、
前記セパレータが多孔膜と、多孔膜の少なくとも片面に粒子状物質と結着剤からなるコート層をもち、
前記非水電解液が非水溶媒と、電解質と、下記化学式(1)で表されるチオール(式中、R1、R2、R3は水素であるか、あるいはアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)、アルコキシカルボニル基(−COOR4、但しR4は−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基を持つアルキル基(−CnH2nCOOH,n=1〜4)、カルボキシレート基を持つアルキル基(−CnH2nCOO−,n=1〜4)、アミノ基(−NH2、−NHR5、−NR5R6,R5、R6はアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)である)、スルファニル基である。また、式中、R1、R2、R3のうちいずれか一つはカルボキシ基、カルボキシレート基、アミノ基である。)を含有することを特徴とする。
この特性向上の機構については詳細は不明だが、次のように推察している。コート層中の粒子状物質と、前記チオールの官能基、特にスルファニル基が、粒子状物質に接触している正極活物質あるいは負極活物質の電位によって粒子状物質と反応することによって粒子状物質の表面が改質される。前述の方法で粒子状物質の表面を改質することにより、粒子状物質の表面にはアルキル基、カルボキシ基、カルボキシレート基、アミノ基などによって修飾されることになる。これらの官能基が電解液の主に溶媒成分と反応することにより各活物質表面と粒子状物質間に良好なSEI膜を生成することができる。このSEI膜により、各電極とコート層が隔てられるため、コート層の部材の分解が抑えられるためであると推察される。
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図1を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに非水電解液をケース50に収容している。
本実施形態に係る非水電解液は、非水溶媒と、支持塩となる各種電解質と、化学式(1)で表されるチオール(式中、R1、R2、R3は水素であるか、あるいはアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)、アルコキシカルボニル基(−COOR4、但しR4は−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基を持つアルキル基(−CnH2nCOOH,n=1〜4)、カルボキシレート基を持つアルキル基(−CnH2nCOO−,n=1〜4)、アミノ基(−NH2、−NHR5、−NR5R6,R5、R6はアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)である)、スルファニル基である。)を含有する非水電解液であって、
前記チオールはカルボキシ基あるいは前記カルボキシレート基あるいは前記アミノ基のいずれかを一つ以上有する化合物から成る。
非水溶媒としては、公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
電解質としてはリチウム二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2、LiN(CF3CF2CO)2等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電解質としてはLiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPF6がより好ましい。電解質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
また、添加剤として、前述の化学式(1)で表されるチオールの他に、さらに公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
本実施形態に係るセパレータ10について具体的に説明する。セパレータ10は、多孔膜14と、多孔膜14の少なくとも片側の表面に形成された粒子状物質及び結着剤を含むコート層12と、を備える。
本実施形態の多孔膜14は、特に限定されるものではなく、公知のものならば、いかなる材質の、いかなる製法によるものであってもよい。
好ましくは、重量平均分子量50万〜150万のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマーおよびグラフトコポリマーからなる群より選ばれる1種以上の樹脂からなるものが用いられる。
例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態のコート層12は、粒子状物質間の間隙により通気性を有する膜であり、粒子状物質同士を結着させるための結着剤を含有している。粒子状物質の含有量は、特に限定はないが、コート層100質量%に対し、10質量%以上、99質量%以下が好ましく、更に好ましくは80質量%以上、98質量%以下である。10質量%以上であれば、リチウムイオン伝導度が高くなる傾向にあり、98質量%以下であれば、多孔膜の機械的強度が高い傾向にある観点から好ましい。
粒子状物質同士を結着させるための結着剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、寒天、カラギナン、ファーセラン、ペクチン、スターチ、マンナン、カードラン、アーネストガム、澱粉、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等多糖類;ゼラチン等のタンパク質;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、又はこれらの金属塩等の水溶性高分子や、合成重合体エマルジョンの例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリスチレン系重合体ラテックス、ポリブタジェン系重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート系重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリアクリレート系重合体ラテックス、塩化ビニル系重合体ラテックス、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン系共重合体エマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンなどが挙げられる。その他、電極の説明の際に挙げたバインダーを使用してもよい。このなかでも、水溶性高分子がコストや結着性向上の点で好ましい。
本実施形態の粒子状物質としては、具体的にはアルミナ、ベーマイト、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、セルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの高分子化合物などが好適に用いられる。無機粒子が好ましく、特にアルミナやベーマイトが好ましい。
粒子状物質の平均粒子径は0.01〜2μmの範囲が好ましい。粒子状物質の平均粒子径が2μmを超えると、コート層を適切な厚みで成形する上で支障をきたすといった不具合が発生しやすい。
また、粒子状物質の平均粒子径が0.01μm未満であると、塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じる可能性がある。
次に、本実施形態に係るセパレータ10の製造方法について説明する。
電極20、30について具体的に説明する。電極20、30は、集電体22、32と、集電体22、32の表面に形成された活物質及びバインダーを含む活物質層24、34と、を備える。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li(CoxNiyMnz)O2、Li(NixCoyAlz)O2、Li(MnxAly)2O4、Li(LiwMnxNiyCoz)O2、LiVOPO4、LiFePO4等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。単位質量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
負極活物質層34のバインダー、導電材は、それぞれ正極と同様のものを使用できる。
次に、電極20,30の製造方法について説明する。
上記塗料を、集電体22、32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
以上、本発明の非水電解液、電極、ならびに、当該電解液及び電極を備えるリチウムイオン二次電池およびそれらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(電解液の作製)
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この電解質を溶解させた溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させた。このようにして非水電解液を作製した。
コート層の粒子状物質としてアルミナ、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースを、水を溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料をポリオレフィンを主体とする多孔膜の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースを、水を溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料を集電体である銅箔(厚さ15μm)にドクターブレード法で塗布し、80℃で乾燥させた後、圧延し、銅箔表面に正極活物質層を形成した。銅箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、ニッケル箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このニッケル箔と上記塗料を塗布し乾燥した後の銅箔とを超音波溶接した。
正極活物質としてLiCoO2、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛を、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として混合し、塗料を作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法で塗布し、100℃で乾燥させた後、圧延し、アルミニウム箔表面に正極活物質層を形成した。なお、アルミニウム箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、アルミニウム箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このアルミニウム箔と上記塗料を塗布し乾燥した後のアルミニウム箔とを超音波溶接した。
上述のようにして作製した正極、負極、並びにセパレータを所定の寸法に切断した。切断した正極、負極、セパレータを負極、セパレータ(多孔膜、コート層)、正極、セパレータ(コート層、多孔膜)、負極の順序で積層し、フルセル用積層体を作製した。セパレータのコート層は、正極側と対向するように積層した。外装体の中に前記積層体を入れ、上述のようにして作製した電解液を適当量添加し外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池セル(以下、セルという。)を作製した。
上述のようにして作製したセルを充放電試験機で、正極活物質に対する電流密度が8mA/gとなる電流値で3時間充電を行った。その後セルの内部に発生したガスを取除いたあと、再び充放電試験機を用いて正極活物質に対する電流密度が16mA/gとなる電流値でセルの電位が4.35Vになるまで充電し、そのあと正極活物質に対する電流密度が16mA/gとなる電流値でセルの電位が2.8Vになるまで放電を行った。
上述のようにして作製したセルを充放電試験機で、充放電レートを0.5C(25℃で定電流放電を行ったときに2時間で放電終了となる電流値)でセル電圧が4.35Vとなるまで充電したあとセル電圧が2.8Vとなるまで放電した場合の放電容量(単位:mAh)を測定した。これを1サイクルとして、400回(400サイクル)繰り返した。初回の放電容量と400サイクル後の放電容量を比較し、初回の放電容量に対しての400サイクル後の放電容量の割合を百分率として計算し、高温保存後の容量維持率(%)として表1に示す。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.4質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.6質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して1.0質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して3.0質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.01質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.05質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.1質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.002質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
アルミナの代わりに、炭酸カルシウムをセパレータの粒子状物質として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
アルミナの代わりに、ベーマイトをセパレータの粒子状物質として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、ペニシラミンエチルを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、β−ホモペニシラミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、N−メチルペニシラミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、3−メチル−3−スルファニルブタン酸を溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、2−アミノ−1,1−ジメチルエタンチオールを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、プロピレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを40体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを40体積%、ジエチルカーボネートを50体積%、エチルメチルカーボネートを10体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。この溶液に、D−(−)−ペニシラミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
セパレータのコート層が負極と対向するように積層し、セルを作製した。それ以外は実施例1と同様である。
多孔膜の両面にコート層を塗布し、セルを作製した。それ以外は実施例1と同様である。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させたものをそのまま非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、カルボキシ基のみを有するブタン酸を溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、アミノ基のみを有するブチルアミンを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
D−(−)−ペニシラミンの替わりに、スルファニル基のみを有する1−ブタンチオールを溶液量に対して0.2質量%となるよう添加して溶解させたものを非水電解液として使用した。それ以外は実施例1と同様である。
表1に示すとおり、実施例は400サイクル後の容量維持率が比較例と比べて改善されていることがわかった。
またコート層に対抗する電極面は、負極よりも正極の方が効果があることがわかった。
Claims (7)
- 正極と、負極と、セパレータと、非水電解液からなるリチウムイオン二次電池において、前記セパレータが多孔膜と、前記多孔膜の少なくとも片面に粒子状物質と結着剤からなるコート層をもち、
前記正極または/かつ前記負極と、前記コート層の粒子状物質とがSEI膜によって隔てられており、
前記非水電解液が非水溶媒と、電解質と、下記化学式(1)で表されるチオール(式中、R1、R2、R3は水素であるか、あるいはアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)、アルコキシカルボニル基(−COOR4、但しR4は−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基を持つアルキル基(−CnH2nCOOH,n=1〜4)、カルボキシレート基を持つアルキル基(−CnH2nCOO−,n=1〜4)、アミノ基(−NH2、−NHR5、−NR5R6,R5、R6はアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)である)、スルファニル基である。また、式中、R1、R2、R3のうちいずれか一つはカルボキシ基、カルボキシレート基、アミノ基である。)を含有し、
前記化学式(1)で表されるチオールの前記非水電解液中の濃度が0.001〜3.0質量%
であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 前記化学式(1)で表されるチオールがカルボキシ基もしくは前記カルボキシレート基を一つ以上と、前記アミノ基を一つ以上有する化合物である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記化学式(1)で表されるチオールがペニシラミン及びその誘導体である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記粒子状物質が無機粒子である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記粒子状物質がアルミナあるいはベーマイトである請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記コート層が少なくとも前記正極と前記多孔膜の間にある請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 非水溶媒と、電解質と、化学式(1)で表されるチオール(式中、R1、R2、R3は水素であるか、あるいはアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)、アルコキシカルボニル基(−COOR4、但しR4は−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基を持つアルキル基(−CnH2nCOOH,n=1〜4)、カルボキシレート基を持つアルキル基(−CnH2nCOO−,n=1〜4)、アミノ基(−NH2、−NHR5、−NR5R6,R5、R6はアルキル基(−CnH2n+1,n=1〜4)、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO−)である)、スルファニル基である。また、式中、R1、R2、R3のうちいずれか一つはカルボキシ基、カルボキシレート基、アミノ基である。)を含有する非水電解液であって、前記化学式(1)で表されるチオールの非水電解液中の濃度が0.001〜3.0質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用非水電解液。
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