JP2018174077A - 電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】自己放電の少ないリチウムイオン二次電池の得られる電池用セパレータを提供する。【解決手段】アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む捕捉層1を有する電池用セパレータ12とする。一方または両方の表面上の少なくとも一部に、絶縁層4を有することが好ましい。【選択図】図4

Description

本発明は、電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の応用分野として、モバイル機器の他、ロボットやドローン、自動荷物搬送車などの産業機器が挙げられる。産業機器の分野でリチウムイオン二次電池を用いる場合、モーター駆動に利用できるように、出力電圧を高くしなければならない。そのため、複数のリチウムイオン二次電池を直列で組み合わせて、パック化する必要がある。
複数のリチウムイオン二次電池(セル)を直列でパック化した電池パックでは、最も容量の小さいセルによってパック容量が決まる。電池パックの各セルを形成しているリチウムイオン二次電池の充電率(SOC)にバラツキがあると、セル毎に充放電深度が変わるため、セルの容量劣化速度にバラつきが生じる。そして、最も容量劣化したセルによってパック容量が決まるため、電池パックの寿命が短くなる。したがって、複数のリチウムイオン二次電池を直列でパック化する場合には、容量やSOCの近いものを組み合わせている。
しかしながら、SOCの近いリチウムイオン二次電池同士を組み合わせて電池パックを形成しても、電池パック内でセルの自己放電が起こると、セルのSOCにバラツキが生じるため、電池パックの寿命の低下につながってしまう。したがって、電池パックのセルには、自己放電の少ないリチウムイオン二次電池を使用することが望ましい。
電池の自己放電を抑制する技術として、正極および負極のいずれとも接しない位置に、酸化剤含有層を有するセパレータを有する非水電解質二次電池がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−149200号公報
従来のリチウムイオン二次電池は、自己放電が十分に抑制されたものではなかった。このため、リチウムイオン二次電池の自己放電を、より一層小さくすることが求められている。特に、電池パックのセルに使用するリチウムイオン二次電池では、パック容量の劣化を抑制するために、自己放電を小さくすることが望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、自己放電の少ないリチウムイオン二次電池の得られる電池用セパレータを提供することを課題とする。
また、本発明は、自己放電の少ないリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、以下に示すように鋭意検討を重ねた。
その結果、遷移金属イオンと配位結合するヘテロ原子を含む繰り返し単位を有する重合体を用いて、電池用セパレータを形成すればよいことを見出した。このような電池用セパレータを有するリチウムイオン二次電池では、電池用セパレータが遷移金属イオンを捕捉するので、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが負極に到達するのを防止できる。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わる。
(1)アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む捕捉層を有することを特徴とする電池用セパレータ。
(2)前記アミノ基が、電子供与性の官能基を有することを特徴とする(1)に記載の電池用セパレータ。
(3)前記スルフィド構造の硫黄原子に電子供与性の官能基が結合していることを特徴とする(1)に記載の電池用セパレータ。
(4)ポリオレフィン系微多孔膜からなる基材層の一方の面上または両面上の少なくとも一部に、前記捕捉層が形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電池用セパレータ。
(5)一方または両方の表面上の少なくとも一部に、絶縁層を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電池用セパレータ。
(6)前記絶縁層が金属酸化物粒子を含有することを特徴とする(5)に記載の電池用セパレータ。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の電池用セパレータは、アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む捕捉層を有する。このため、本発明の電池用セパレータを有するリチウムイオン二次電池では、電池用セパレータによって、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが捕捉される。その結果、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが負極に到達しにくくなり、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが負極上で還元されることによる自己放電が抑制される。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示した断面模式図である。 本発明の電池用セパレータの一例を示した断面模式図である。 本発明の電池用セパレータの他の例を示した断面模式図である。 本発明の電池用セパレータの他の例を示した断面模式図である。 本発明の電池用セパレータの他の例を示した断面模式図である。
本発明者は、鋭意検討した結果、以下に示す知見を得た。
リチウムイオン二次電池の自己放電は、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンの負極上での還元が、原因の一つであると推定される。そこで、本発明者は、電池用セパレータに着目し、電池用セパレータに正極活物質などから溶出した遷移金属イオンを捕捉させて、遷移金属イオンが負極に到達するのを妨げるべく、検討を重ねた。その結果、遷移金属イオンと配位結合するヘテロ原子を含む繰り返し単位を有する重合体を用いて電池用セパレータを形成すればよいとの知見を得た。
本発明者は、さらに検討を重ね、遷移金属イオンと配位結合するヘテロ原子を含む繰り返し単位を有する重合体として、アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を用いることで、遷移金属イオンを十分に捕捉でき、電池用セパレータとして使用できる微多孔膜が得られることが分かった。また、この電池用セパレータを有するリチウムイオン二次電池は、自己放電が少ないことを確認し、本発明を想到した。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、図面に記載の各構成要素の寸法比率などは、実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示した断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、積層体40と、積層体40を密閉した状態で収容するケース50と、積層体40に接続された一対のリード60、62とを備えている。また、図示されていないが、ケース50内には、積層体40とともに電解液が収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されている。リード60、62の端部は、ケース50の外部に延びている。
図1では、ケース50内に積層体40が一つのみ収容されている場合を例示したが、複数の積層体40が積層して収容されていてもよい。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銅、ニッケル、鉄およびチタンなどの金属からなる薄板を用いることができる。これらの中でも、アルミニウムおよびSUSからなる金属薄膜が、正極集電体22として好ましく用いられる。
(正極活物質層)
正極活物質層24は、正極活物質と正極バインダーとを有し、必要に応じて正極導電材を有する。
(正極活物質)
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、正極活物質として、スピネル系正極活物質であるLiMn、LiNi0.5Mn1.5、層状酸化物系であるLiMnO、LiCoO、LiNiO、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.8Co0.15Al0.05、オリビン系正極活物質であるLiFePO、LiCoPO、LiNiPO等を用いることができる。
(正極導電材)
正極導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などの炭素材料を用いることができる。
(正極バインダー)
正極バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。
「負極」
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32上に設けられた負極活物質層34とを有する。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銅、ニッケル、鉄およびチタンなどの金属からなる薄板を用いることができる。これらの中でも、アルミニウムおよびSUSからなる金属薄膜が、負極集電体32として好ましく用いられる。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
(負極活物質)
負極活物質層34に用いる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、負極活物質として、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、および黒鉛、グラファイトなどの炭素材料等を用いることができる。
(負極導電材)
負極導電材としては、正極導電剤と同様のものを用いることができる。
(負極バインダー)
負極バインダーとしては、正極バインダーと同様のものの他、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロースやスチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。
「セパレータ」
本実施形態のリチウムイオン二次電池100では、セパレータ10として、本発明の電池用セパレータを用いる。
図2は、本発明の電池用セパレータの一例を示した断面模式図である。図2に示すセパレータ10は、捕捉層1からなる。捕捉層1は、重合体(高分子)の微多孔膜である。
捕捉層1を形成している重合体は、アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体から選ばれる少なくとも1種を含む。捕捉層1は、上記の重合体の他に、必要に応じて可塑剤などの添加剤を含有していてもよい。
アミノ基は、窒素原子上に立体的に張りだした非共有電子対を有している。このため、アミノ基を含む化合物の重合体およびアミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体は、遷移金属イオンと配位結合しやすい。したがって、図2に示すセパレータ10(捕捉層1)が、アミノ基を含む化合物の重合体および/またはアミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体を含む場合、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンを捕捉できる。
上記重合体に含まれるアミノ基は、電子供与性の官能基を有することが好ましい。電子供与性の官能基としては、メチル基などのアルキル基、メチレン基などのアルキレン基、メトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。アミノ基が電子供与性の官能基を有する場合、窒素原子の非共有電子対のドナー性が高くなり、より一層アミノ基が遷移金属イオンと配位結合しやすくなる。その結果、より効果的に遷移金属イオンを捕捉できるセパレータ10となる。
上記重合体に含まれるアミノ基は、具体的には、下記一般式(1)に示されるものであることが好ましい。
Figure 2018174077
(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、メチレン基、メトキシ基、フェニル基のいずれかである。)
一般式(1)に示されるアミノ基のR及びRは、いずれか一方または両方が水素であることが好ましい。R及びRのうちいずれか一方が水素である場合、他方がメチレン基であることが好ましい。
一般式(1)に示されるアミノ基を含む化合物の重合体としては、例えば、下記一般式(3)〜(6)に示される重合体が挙げられる。これらの重合体の中でも特に、効果的に遷移金属イオンを捕捉できるため、一般式(3)に示されるポリアリルアミンまたは一般式(4)に示されるポリジアリルアミンが好ましい。
Figure 2018174077
(一般式(3)〜(6)中、nは、2000〜5000である。)
スルフィド構造は、硫黄原子上に立体的に張りだした非共有電子対を有している。このため、スルフィド構造により連結された重合体およびアミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体は、遷移金属イオンと配位結合しやすい。したがって、図2に示すセパレータ10(捕捉層1)が、スルフィド構造により連結された重合体および/またはアミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体を含む場合、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンを捕捉できる。
上記重合体に含まれるスルフィド構造の硫黄原子には、電子供与性の官能基が結合していることが好ましい。電子供与性の官能基としては、メチレン基などのアルキレン基、フェニレン基などが挙げられる。スルフィド構造の硫黄原子に電子供与性の官能基が結合している場合、スルフィド構造を形成している硫黄原子の非共有電子対のドナー性が高くなり、より一層スルフィド構造が遷移金属イオンと配位結合しやすくなる。その結果、より効果的に遷移金属イオンを捕捉できるセパレータ10となる。
上記重合体に含まれるスルフィド構造は、例えば、下記一般式(2)に示されるものであることが好ましい。
Figure 2018174077
(一般式(2)中、Rは、アルキレン基、フェニレン基、2つのメチレン基の間にフェニレン基が配置された構造のいずれかである。)
一般式(2)に示されるスルフィド構造により連結された重合体としては、例えば、下記一般式(7)または(8)で示される重合体が挙げられる。これらの重合体の中でも特に、効果的に遷移金属イオンを捕捉できるため、一般式(7)に示されるポリフェニレンスルフィドが好ましい。
Figure 2018174077
(一般式(7)〜(8)中、mは、2000〜5000である。)
図2に示すセパレータ10の厚み(捕捉層1の厚み)は、用途等に応じて適宜決定でき、特に限定されないが、例えば、15〜30μmとすることができる。セパレータ10の厚みが15μm以上であると、正極20と負極30とが直接接触する短絡現象を、より確実に防止できる。セパレータ10の厚みが30μm以下であると、セパレータ10が厚いことによるリチウムイオン二次電池100のエネルギー密度の低下を抑制できる。
図2に示すセパレータ10(捕捉層1)を形成している重合体がアミノ基を含む場合、補足層1中に含まれる窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数は、4.0〜10mmol/cmであることが好ましい。遷移金属イオンを効果的に捕捉できる窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数は0.05mmol/cm以上であり、1.0mmol/cmを超えても上記効果は向上しない。しかし、窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数を小さくすると、セパレータ10の厚みを確保しにくくなる。窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数が4.0mmol/cm以上であると、捕捉層1を形成している重合体がアミノ基を含む場合に十分な厚みを有する捕捉層1が得られやすく、好ましい。窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数が、10mmol/cm以下であると、セパレータ10の厚みが厚くなりすぎることを防止できる。
図2に示すセパレータ10(捕捉層1)を形成している重合体がスルフィド構造を含む場合、補足層1中に含まれる硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数は、5.0〜15mmol/cmであることが好ましい。遷移金属イオンを効果的に捕捉できる硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数は0.05mmol/cm以上であり、1.0mmol/cmを超えても上記効果は向上しない。しかし、硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数を小さくすると、セパレータ10の厚みを確保しにくくなる。硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数が5.0mmol/cm以上であると、捕捉層1を形成している重合体がスルフィド構造を含む場合に十分な厚みを有する捕捉層1が得られやすく、好ましい。硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数が、15mmol/cm以下であると、セパレータ10の厚みが厚くなりすぎることを防止できる。
図2に示すセパレータ10は、従来公知の方法により、アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む微多孔膜を形成し、これを捕捉層1として用いる方法により製造できる。
上記の重合体を含む微多孔膜(捕捉層1)の製造方法としては、例えば、以下に示す湿式法により微多孔膜を製造する方法などが挙げられる。
上記の重合体(ポリマー)から選ばれる少なくとも1種と、可塑剤および/または溶媒とを混合し、二軸押出機などを用いて溶融させて混練し、Tダイから押し出して冷却ロールで引き取り、所定の厚さのシートとする。次いで、得られたシートを、二軸延伸機を用いて二軸延伸し、所定の厚さのフィルムとする。続いて、得られたフィルムから可塑剤および/または溶媒を除去して、乾燥することにより微多孔膜とする。次に、微多孔膜を、テンターを用いて所定の延伸温度で幅方向に延伸する。その後、延伸した微多孔膜における幅方向の延伸を緩和しつつ熱処理する。以上の工程により、所定の厚さの微多孔膜からなる捕捉層1(セパレータ10)が得られる。
捕捉層1を製造する際に使用する可塑剤としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、可塑剤として、ジオクチルフタレート、プロピレングリコールジオレート、プロピレングリコールジカプレート、ブチルステアレート、トリオクチルフォスフェート、ベンジルベンゾエート、グリセリントリオレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルマレエートなどを用いることができる。これらは、可塑剤としてだけでなく、溶媒としても機能する。
本発明の電池用セパレータは、図2に示す例に限定されるものではない。例えば、図3に示すセパレータ11のように、基材層3の両面にそれぞれ、図2に示す捕捉層1が形成されている3層構造を有するものであってもよい。
図3に示すセパレータ11を形成している基材層3としては、ポリオレフィン系微多孔膜を用いることが好ましい。ポリオレフィン系微多孔膜としては、ポリプロピレンとポリエチレンのうちの少なくとも一方を含むものなどが挙げられる。
図3に示すセパレータ11を形成している基材層3の厚みは、用途等に応じて適宜決定でき、特に限定されないが、例えば、15〜30μmとすることができる。基材層3の厚みが15μm以上であると、正極20と負極30とが直接接触する短絡現象を、より確実に防止できる。基材層3の厚みが30μm以下であると、セパレータ10が厚いことによるリチウムイオン二次電池100のエネルギー密度の低下を抑制できる。
図3に示す捕捉層1は、上記の重合体(ポリマー)から選ばれる少なくとも1種を含む。捕捉層1は、必要に応じてバインダーおよび/または可塑剤などの添加剤を含有していてもよい。捕捉層1がバインダーを含む場合、バインダーとして、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。これらバインダーは複数種を混合して用いても良い。
図3に示すセパレータ11は、基材層3を有するため、セパレータ11の短絡防止機能に影響を与えることなく、捕捉層1の厚みを変化させることができる。よって、図3に示すセパレータ11を形成している捕捉層1の厚みは、図2に示す捕捉層1と比較して薄くすることが好ましい。具体的には、捕捉層1の厚みは、例えば、1μm以上15μm未満とすることが好ましい。捕捉層1の厚みが1μm以上であると、捕捉層1による遷移金属イオンを捕捉する効果が顕著となる。捕捉層1の厚みが15μm未満であると、捕捉層1を有することにより、セパレータ11の厚みが厚くなりすぎることがない。
図3に示すセパレータ11中の捕捉層1を形成している重合体がアミノ基を含む場合、補足層1中に含まれる窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数は、0.05〜1.0mmol/cmであることが好ましい。窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数が、0.05mmol/cm以上であると、捕捉層1による遷移金属イオンを捕捉する効果が顕著となる。窒素原子(N)の単位面積当たりのモル数が、1.0mmol/cm以下であると、セパレータ11の厚みが厚くなりすぎることを防止できる。
図3に示すセパレータ11中の捕捉層1を形成している重合体がスルフィド構造を含む場合、補足層1中に含まれる硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数は、0.05〜1.0mmol/cmであることが好ましい。硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数が、0.05mmol/cm以上であると、捕捉層1による遷移金属イオンを捕捉する効果が顕著となる。硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数が、1.0mmol/cm以下であると、セパレータ11の厚みが厚くなりすぎることを防止できる。
図3に示すセパレータ11は、例えば、以下に示す方法により、製造できる。
まず、従来公知の方法により基材層3を製造する。また、捕捉層1となる上記の重合体(ポリマー)から選ばれる少なくとも1種の重合体の粉末と、必要に応じて含有されるバインダーおよび/または可塑剤などの添加剤とを、溶媒中に分散または溶解して塗料とする。そして、得られた塗料を、基材層3の両面にそれぞれグラビア塗布し、乾燥させて溶媒を除去する。このことにより、基材層3の両面に微多孔膜からなる補足層1が形成され、セパレータ11が得られる。
捕捉層1を形成する際に用いる溶媒としては、例えば、水やエタノールなどの極性溶媒を用いることができ、揮発性、粘度の観点から水を用いることが好ましい。
また、セパレータ11は、従来公知の方法により製造した基材層3の両面にそれぞれ、図2に示す捕捉層1を積層して熱圧着(ラミネート)する方法を用いて製造してもよいし、基材層3となる膜と、補足層1となる膜とを、共押出する方法により製造してもよい。
なお、図3に示すセパレータ11では、基材層3の両面全面に捕捉層1が形成されている場合を例に挙げて説明したが、基材層3の一方の面上または両面上の少なくとも一部に、捕捉層1が形成されているものであってもよい。具体的には、基材層3の一方の面上にのみ捕捉層1が形成されていてもよい。この場合であっても、捕捉層1によって遷移金属イオンを捕捉できる。
本発明の電池用セパレータは、例えば、図4に示すセパレータ12のように、絶縁層4を有するものであってもよい。図4に示すセパレータ12は、図3に示すセパレータ11の両面にそれぞれ絶縁層4を有するものである。
図4に示すセパレータ12は、正極と接触する側の表面と、負極と接触する側の表面の両面全面に絶縁層4を有しているので、捕捉層1の耐酸化還元性が向上する。その結果、セパレータ12を有するリチウムイオン二次電池は、より一層自己放電の少ないものとなる。
絶縁層4は、絶縁性の金属酸化物粒子を含有することが好ましい。絶縁層4が金属酸化物粒子を含有する場合、捕捉層1の耐酸化還元性がより一層向上する。また、金属酸化物粒子の表面に形成される電気二重層には、遷移金属イオンが集まる性質がある。このため、絶縁層4が金属酸化物粒子を含有する場合、セパレータ12によって、より効果的に遷移金属イオンを捕捉できる。したがって、セパレータ12を有するリチウムイオン二次電池は、より一層自己放電の少ないものとなる。
金属酸化物粒子としては、Al(アルミナ)、シリカ(SiO)、ZrO(ジルコニア)などを用いることができる。特に、電気化学的安定性の観点から、Al(アルミナ)を用いることが好ましい。
絶縁層4は、従来公知のバインダーを含有していてもよい。具体的には、バインダーとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)などを用いることができる。
図4に示すセパレータ12を形成している絶縁層4の厚みは、例えば、1〜10μmとすることができる。絶縁層4の厚みが1μm以上であると、絶縁層4による絶縁効果が十分に得られ、捕捉層1の耐酸化還元性向上効果が顕著となる。絶縁層4の厚みが10μm以下であると、絶縁層4を有することにより、セパレータ12の厚みが厚くなりすぎることがない。
図4に示すセパレータ12は、例えば、図3に示すセパレータ11の両面に、金属酸化物粒子とバインダーとを、水または有機溶媒に分散または溶解させた塗液を塗布し、乾燥させて絶縁層4を形成する方法により形成できる。
この場合、塗液の塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、グラビア塗布、メタルマスク印刷、静電塗装、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、ドクターブレード、スクリーン印刷などの塗布方法を用いることが好ましい。
また、本発明の電池用セパレータは、例えば、図5に示すセパレータ13のように、図2に示すセパレータ10の両面にそれぞれ絶縁層4を有するものであってもよい。
図5に示すセパレータ13は、例えば、図2に示すセパレータ10の両面に、金属酸化物粒子とバインダーとを、水または有機溶媒に分散または溶解させた塗液を塗布し、乾燥させて絶縁層4を形成する方法により形成できる。
なお、図4および図5に示すセパレータ12、13では、両方の表面全面に絶縁層4が形成されている場合を例に挙げて説明したが、一方または両方の表面上の少なくとも一部に、絶縁層4を有するものであってもよい。具体的には、基材層3の一方の面上にのみ捕捉層1と絶縁層4とが形成されているセパレータであってもよいし、捕捉層1の一方の面上にのみ絶縁層4が形成されているセパレータであってもよい。これらのセパレータにおいても、絶縁層4を有することにより、捕捉層1の耐酸化還元性が向上する。
「電解液」
電解液としては、例えば、有機電解液、ポリマー電解質、ゲル電解質などが挙げられる。
有機電解液としては、リチウム塩および非水系溶媒を含有する非水電解液が使用される。
非水系溶媒としては、上記リチウム塩を溶解できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、非水系溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1、3−ジオキソラン、ニトロメタン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ―ブチロラクトンなどを用いることができる。これらの非水系溶媒は、一種のみ用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。また、非水系溶媒として、イオン液体を用いることもできる。
ポリマー電解質は、リチウム塩およびポリマーを含有するものである。
ポリマーとしては、ゲル化が可能なものであればよく、特に限定されるものではない。ポリマーとして、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロプレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリウレタン、ポリアクリレート、セルロースなどが挙げられる。
電解液に用いるリチウム塩としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるリチウム塩であればよく、特に限定されるものではない。リチウム塩として、例えば、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiCFSO、LiC(CFSO、LiN(SOCF、LiN(SOF)およびLiClO等が挙げられる。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であればよく、特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムからなるものを利用できる。金属箔52としては、例えばアルミ箔を用いることができる。高分子膜54としては、ポリプロピレン等の膜を利用できる。外側の高分子膜54の材料としては、融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましい。内側の高分子膜54の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。リード60、62は、公知の方法により、正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接されている。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について説明する。
まず、正極20と負極30をそれぞれ形成する。
負極30を形成するには、負極活物質、負極バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ負極導電材を更に加えても良い。溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
次に、上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
正極についても、同様にして作成した塗料を正極集電体22上に塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体32上にそれぞれ塗布された塗料中から、溶媒を除去する。以上の工程により、正極集電体22上に正極活物質層24が形成される。また、負極集電体32上に負極活物質層34が形成される。
次に、正極活物質層24が形成された正極集電体22及び負極活物質層34が形成された負極集電体32に、必要に応じてロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
以上の工程により、正極20と負極30が得られる。
次いで、正極20と負極30との間にセパレータ10を挟み、ケース50内に挿入する。具体的には、例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層して積層体40とし、予め作製した袋状のケース50に入れる。
最後に、ケース50内に電解液を注入し、ケース50の入り口をシールする。
以上の工程により、リチウムイオン二次電池100が作製される。
なお、ケース50に電解液を注入する工程を行わず、積層体40を電解液に含浸させてからケース50内に挿入してもよい。
本実施形態のセパレータ10は、アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む捕捉層1を有する。このため、本実施形態のリチウムイオン二次電池100では、セパレータ10によって、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが捕捉される。その結果、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが負極30に到達しにくくなり、正極活物質などから溶出した遷移金属イオンが負極30上で還元されることによる自己放電が抑制される。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
一般式(3)に示されるポリアリルアミン49質量%と、可塑剤および溶媒としてのジオクチルフタレート51質量%とを混合し、二軸押出機を用いて220℃で溶融させて混練し、Tダイから押し出して冷却ロールで引き取り、厚さ2mmのシートとした。次いで、得られたシートを、二軸延伸機を用いて延伸温度130℃で7×7倍に二軸延伸し、所定の厚さのフィルムとした。続いて、得られたフィルムを塩化メチレン中に浸漬して、フィルムからジオクチルフタレートを除去し、乾燥することにより微多孔膜を得た。次に、微多孔膜を、テンターを用いて延伸温度125℃で幅方向に1.8倍に延伸した。その後、延伸した微多孔膜における幅方向の延伸を17%緩和しつつ熱処理した。以上の工程により、厚さ15μmの微多孔膜(捕捉層)からなる実施例1のセパレータを得た。
「実施例2」
金属酸化物粒子であるAl(平均粒径0.7μm、(株)アドマテックス製)を30重量%となるように水に分散させ、さらにバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5重量%となるように添加して分散させ、十分に撹拌して塗料を得た。得られた塗料を、実施例1のセパレータの両面にグラビア塗布し、室温で乾燥して水を除去することで厚さ5μmの絶縁層を形成し、実施例2のセパレータを得た。
「実施例3」
ポリアリルアミンに代えて、一般式(7)に示されるポリフェニレンスルフィドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ15μmの微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の両面に、実施例2と同様にして絶縁層を形成し、実施例3のセパレータを得た。
「実施例4」
一般式(3)に示されるポリアリルアミンを10重量%となるように水に溶解し、バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5重量%となるように添加して十分に撹拌し、塗料を得た。得られた塗料を、基材層としてのポリエチレン微多孔膜(厚み25μm、セルガード社製)の両面にそれぞれグラビア塗布し、室温で乾燥して水を除去することにより、微多孔膜からなる厚み3μmの補足層を形成した。
次に、両面に補足層の形成された基材層の両面に、実施例2と同様にして絶縁層を形成し、実施例4のセパレータを得た。
「実施例5」
ポリアリルアミンに代えて、一般式(4)に示されるポリジアリルアミンを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5のセパレータを得た。
「実施例6」
ポリアリルアミンに代えて、一般式(7)に示されるポリフェニレンスルフィドを用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例6のセパレータを得た。
「比較例1」
実施例4で用いたポリエチレン微多孔膜をセパレータとして用いた。
「比較例2」
ポリプロピレン微多孔膜(厚み25μm、セルガード社製)をセパレータとして用いた。
「比較例3」
ポリイミド粉末(和光純薬製)を20重量%となるように水に分散させ、バインダとしてPTFEを5重量%となるよう添加して分散させ、十分に撹拌して塗料を得た。得られた塗料を、実施例4で用いたポリエチレン微多孔膜の両面にそれぞれグラビア塗布し、室温で乾燥して水を除去することでポリイミド層を形成し、比較例3のセパレータを得た。
「比較例4、5」
塗料の塗布量を変化させたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4、5のセパレータを得た。
「比較例6」
ポリスルホン粉末(和光純薬製)を15重量%となるように水に分散させ、エタノールを5重量%、バインダとしてのPTFEを5重量%となるよう添加して分散させ、十分に撹拌して塗料を得た。得られた塗料を用いて、比較例3と同様にしてポリスルホン層を形成し、比較例6のセパレータを得た。
「比較例7、8」
塗料の塗布量を変化させたこと以外は、比較例6と同様にして、比較例7、8のセパレータを得た。
実施例1〜6、比較例1〜8のセパレータを形成している材料を表1に示す。
実施例1〜6のセパレータにおける捕捉層の単位面積当たりの質量(表1における捕捉層の担持量)と、補足層中に含まれる窒素原子(N)または硫黄原子(S)の単位面積当たりのモル数(表1におけるNまたはSの担持量)とを表1に示す。
また、比較例3〜5のセパレータにおけるポリイミド層の単位面積当たりの質量(担持量)と、ポリイミド層中に含まれる窒素原子(N)の単位面積当たりの担持量とを表1に示す。
比較例6〜8のセパレータにおけるポリスルホン層の単位面積当たりの質量(担持量)と、ポリスルホン層中に含まれる硫黄原子(S)の単位面積当たりの担持量とを表1に示す。
Figure 2018174077
実施例1〜6、比較例1〜8のセパレータを用いて、以下に示す方法により、実施例1〜6、比較例1〜8のリチウムイオン二次電池を製造した。
「正極の作成」
正極活物質であるLiCoOと、正極導電材としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリビニリデンフルオライド(PVDF)と、溶媒であるn−メチルピロリドン(NMP)とを混合し、塗料を作製した。塗料中の正極活物質とアセチレンブラックとPVDFとの混合割合は、97.5:1.0:1.5(重量比)とした。この塗料をAlからなる正極集電体に塗布し、乾燥後、プレス処理を行うことにより正極を作製した。
「負極の作成」
負極活物質である黒鉛と、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)とを水中で混合し、十分に混練して塗料を作製した。塗料中の黒鉛とCMCとSBRの混合割合は、98:1:1(重量比)とした。この塗料をCuからなる負極集電体に塗布し、乾燥後、プレス処理を行うことにより負極を作製した。
「リチウムイオン二次電池の作成」
このようにして得られた正極と負極をそれぞれ所定の寸法に切断した。そして、正極に、アルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)からなるリードを超音波溶接した。また、負極に、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)からなるリードを超音波溶接した。
次に、正極と負極との間に所定の寸法に切断した実施例1〜6、比較例1〜8のセパレータを挟み、積層体とした。次いで、積層体を、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状のケースに入れ、熱圧着(ヒートシール)により固定した。アルミニウムラミネートフィルムとしては、厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)層と、厚み40μmのAl層と、厚み50μmのポリプロピレン(PP)層からなるものを用い、PP層をケースの内側に配置した。
次に、ケース内に電解液を注入し、ケースの入り口をシールして真空密封した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度1mol/Lで含んだものを用いた。
以上の工程により、実施例1〜6、比較例1〜8のリチウムイオン二次電池を得た。
次に、得られた各リチウムイオン二次電池について、以下に示す方法により、60日後の電圧降下量を調べた。リチウムイオン二次電池の自己放電が少ないほど、60日後の電圧降下量が少なくなる。
「60日後の電圧降下量」
リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内で、電流密度として0.1Cに相当する電流値で4.2Vまで定電流で充電し、4.2Vで定電圧充電を行った。定電圧充電は、電流密度が0.01Cに相当する値に低下するまで続けた。
その後、25℃で24時間待機した後のリチウムイオン二次電池の電圧をV1とし、さらに25℃で60日間保管した後の電圧をV2として記録した。60日後の電圧降下量をV1−V2により計算し、これをリチウムイオン二次電池の60日後の電圧降下量とした。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池では、比較例1〜8のリチウムイオン二次電池と比較して、60日後の電圧降下量が少なく、自己放電が少なかった。
「実施例7」
「疑似電池体の作製」
次に、正極に代えてAl箔を用い、負極に代えてCu箔を用い、電解液に代えて以下に示す評価溶液を用いたこと以外は、実施例5のリチウムイオン二次電池と同様にして、実施例7の疑似電池体を作製した。
評価溶液としては、Cu2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+それぞれの金属硫酸塩を、純水に対し100ppmとなるように溶解したものを用いた。
「実施例8」
実施例6のセパレータを用いたこと以外は、実施例7の疑似電池体と同様にして、実施例8の疑似電池体を作製した。
「比較例9」
比較例1のセパレータを用いたこと以外は、実施例7の疑似電池体と同様にして、比較例9の疑似電池体を作製した。
次に、得られた実施例7、8、比較例9の疑似電池体について、それぞれ以下に示す方法により、金属イオン吸着能を評価した。
「金属イオン吸着能評価」
疑似電池体を作製した後、室温で5日間静置し、ケース内から評価溶液を取り出して、評価溶液に含まれる金属イオン濃度を、ICP発光分光分析(ICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製))にて定量した。その結果を表2に示す。
Figure 2018174077
表2に示すように、実施例5のセパレータを用いた実施例7、および実施例6のセパレータを用いた実施例8の疑似電池体では、5日間静置することにより、Cu2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+のイオン濃度が低下している。これは、セパレータ中に含まれる窒素原子(N)または硫黄原子(S)が、評価溶液中の金属イオンを捕捉したためであると推定される。
これに対し、比較例1のセパレータを用いた比較例9の疑似電池体では、5日間静置しても、Cu2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+のイオン濃度に変化は見られなかった。
1…捕捉層、3…基材層、4…絶縁層、10、11、12、13…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…積層体、50…ケース、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。

Claims (7)

  1. アミノ基を含む化合物の重合体と、スルフィド構造により連結された重合体と、アミノ基を含みスルフィド構造により連結された重合体とから選ばれる少なくとも1種を含む捕捉層を有することを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 前記アミノ基が、電子供与性の官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 前記スルフィド構造の硫黄原子に電子供与性の官能基が結合していることを特徴とする請求項1に記載の電池用セパレータ。
  4. ポリオレフィン系微多孔膜からなる基材層の一方の面上または両面上の少なくとも一部に、前記捕捉層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  5. 一方または両方の表面上の少なくとも一部に、絶縁層を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  6. 前記絶縁層が金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項5に記載の電池用セパレータ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111403664A (zh) * 2020-03-24 2020-07-10 珠海冠宇动力电池有限公司 一种聚苯脲隔膜及其制备方法和锂离子电池
CN114094282A (zh) * 2021-11-15 2022-02-25 珠海冠宇电池股份有限公司 一种隔膜及包括该隔膜的锂离子电池

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