JP6436073B2 - CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法 - Google Patents

CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法 Download PDF

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本発明は、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法に関し、より詳しくは、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法により、単結晶の格子定数を安定的に所望の値にできるCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法に関するものである。
光アイソレータは、磁界を印加することにより入射光の偏光面を回転させるファラデー回転子を有しており、近年、光通信の分野だけでなくファイバーレーザー加工機にも使用されるようになってきている。
このような光アイソレータでは、ファラデー回転子が使用され、その材料として、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(Substituted GdGa12:SGGG)単結晶を基板(非磁性ガーネット単結晶基板)とし、該SGGG基板上に液相エピタキシャル(Liquid Phase Epitaxy;LPE)成長させて得られるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜(RIG:Rare−earth iron garnet)が使用されている(特許文献1および特許文献2)。この材料は、近赤外領域で高い透過率を有しかつ大きなファラデー効果を示す優れたものである。
ここで、上記CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶は、(Gd3−xCa)(Ga5−x−2yMgZrx+y)O12、(GdCa)(GaMgZr)12、(GdCaGaMgZr)12等の組成式で表わされる。
一方、前記の非磁性ガーネット単結晶基板としては、該単結晶の育成方向における結晶方位が<111>、すなわち、非磁性ガーネット単結晶基板の(111)面上にLPE法により育成された酸化物ガーネット単結晶膜の基板が利用されている(特許文献3参照)。
ところで、ビスマス置換希土類鉄ガーネット(RIG)単結晶膜は、基板上に、液相エピタキシャル(LPE)成長法を用い、300〜500μm程度の厚さに育成されるため、基板の格子定数をRIG単結晶膜に整合させる必要がある。基板とRIG単結晶膜との格子定数差が大き過ぎると、基板とRIG単結晶膜間に応力が発生し、基板ごと割れて収率の低下を引き起こすからである。
そこで、RIG単結晶膜と格子定数を整合させるため、基板用のSGGGは、格子定数12.383Åのガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶(GGG:GdGa12)に、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)を添加して12.4950〜12.4990Åの格子定数を得ている。
本出願人は、引き上げ法によって種結晶を回転させながら引き上げて、種結晶からガーネット単結晶を育成する方法を提案しており(特許文献4参照)、ここには、前記単結晶の肩部を育成する際に、肩部の結晶直径を成長距離の関数として表した曲線上に少なくとも2ヶ所の変曲点を持つように肩部形状を制御して成長させ、かつ該変曲点以降結晶回転数を増加させることを記載している。
しかし、SGGGは一致溶融結晶ではなく、添加される各元素(Ca、Mg、Zr)が僅かながら偏析を示すと共に、各添加元素の濃度に依存して格子定数が変化するため、図2に示されるように、同一結晶において結晶育成初期のトップ部11と結晶育成後期のボトム部12とでは格子定数が異なり、ボトム部の格子定数がトップ部に比べて大きくなってしまうという問題があった。
特開2003−238294号公報 特開2003−238295号公報 特開2000−89165号公報 特開2005−29400号公報
本発明の目的は、上記チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法による従来技術の問題点に鑑み、特定の原料粉末の物性に着目し、SGGG単結晶の格子定数を安定的に所望の値にできるCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、従来からジルコニウムの組成が、育成される結晶の格子定数と相関が高いと言われてきたものの、それよりも、ガリウム組成の方が格子定数との相関が高いことを究明し、かつ、結晶育成の原料である酸化ガリウム(Ga)には強熱減量(Ignition loss:Ig−loss)成分が多く含まれ、結晶育成開始前の出発原料の組成変動が大きいことが、格子定数が安定しない原因であることを見出し、該強熱減量成分を低減することで、育成される結晶の格子定数の変化を抑制できることを確認して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、原料粉末の酸化ガドリニウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化マグネシウム粉末、及び酸化ジルコニウム粉末を混合して、得られる混合物を加熱溶融した後、チョクラルスキー法によって種結晶を回転させながら引き上げて、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶を育成する方法において、
前記酸化ガリウム粉末は、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃、かつ1時間の加熱試験によって測定される強熱減量(Ig−loss)成分を含有しているが、
前記混合の前に、予め300℃以上1000℃以下の温度、30分以上120分以下の時間、かつ酸素を含む不活性ガス雰囲気下で加熱処理することで、前記強熱減量(Ig−loss)成分が0.16質量%以下に低減していることを特徴とするCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記不活性ガス雰囲気中の酸素含有量が、0.1〜5体積%であることを特徴とするCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、ネオン、又はアルゴンから選ばれる1種以上であることを特徴とするCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法が提供される。
本発明に係るSGGG単結晶の育成方法によれば、結晶育成開始前の出発原料の組成変動を安定させることができるので生産性が向上し、SGGG単結晶の製造コストを下げることも可能である。
また、これにより得られた単結晶を用いれば、基板の格子定数を所望の範囲に収めることができる。
本発明に係るSGGG単結晶の育成方法において、用いられる製造装置の概略構成を模式的に示す説明図である。 本発明において、引き上げられるSGGG単結晶の直胴部におけるトップ部とボトム部の位置を模式的に示す説明図である。 SGGG単結晶において、Ga組成と格子定数の関係を示すグラフである。 SGGG単結晶の育成方法に用いられる酸化ガリウム粉末において、強熱減量成分量とSGGG単結晶の格子定数の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明は、原料粉末の酸化ガドリニウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化マグネシウム粉末、及び酸化ジルコニウム粉末を混合して、得られる混合物を加熱溶融した後、チョクラルスキー法によって種結晶を回転させながら引き上げて、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶を育成する方法において、
前記酸化ガリウム粉末は、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃、かつ1時間の加熱試験によって測定される強熱減量(Ig−loss)成分を含有しているが、
前記混合の前に、予め300℃以上1000℃以下の温度、30分以上120分以下の時間、かつ酸素を含む不活性ガス雰囲気下で加熱処理することで、前記強熱減量(Ig−loss)成分が0.16質量%以下に低減していることを特徴とする。
(1)製造装置
本発明に係るCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法では、図1に示すような製造装置を用いる。
この製造装置は、公知のチョクラルスキー法によりSGGG単結晶を育成する育成炉1を備えている。育成炉1の構造を簡単に説明すると、育成炉1は、筒状のチャンバー2と、このチャンバー2の内側に設置された高周波コイル10と、この高周波コイル10の内側に配置された断熱材3およびイリジウム製坩堝8を有している。
また、上記育成炉1には酸素を含有する不活性ガスが給排される開口部(図示せず)が2箇所設けられている。これら開口部を介して、結晶育成時のチャンバー2内は酸素を0.1〜5%含有する不活性ガスで満たされる。尚、育成炉1内には、上記坩堝8底部の下側に、図示しないが温度計(熱電対)が設置されている。
また、上記高周波コイル10は、銅管で構成され、制御部(図示せず)を通じ投入電力が制御されて、坩堝8が高周波加熱されると共に温度調節がなされる。また、上記チャンバー2の内側で高周波コイル10内には断熱材3が配置されており、複数の断熱材3により囲まれた雰囲気によりホットゾーン5が形成される。
上記ホットゾーン5の上下方向における温度勾配は、高周波コイル10への投入電力量を制御することによって変化させることができ、かつ、断熱材3の形状と構成(材質)によっても広範囲に変化させることができる。更に、高周波コイル10の坩堝8に対する相対位置を調整することにより、ホットゾーン5の温度勾配を微調整することができる。尚、上記断熱材3は、高融点の耐火物により構成されている。
また、上記坩堝8はカップ状に形成され、その底部が断熱材3上に配置され、かつ周囲も断熱材3により保持されている。また、坩堝8の上方側には、種結晶6と原料融液9から成長したSGGG単結晶7を保持し、かつ引き上げるための引き上げ軸4が設置されており、引き上げ軸4は軸線を中心に回転させることができる。
(2)酸化ガリウム粉末
本発明では原料の酸化ガリウム(Ga)粉末として、強熱減量(Ig−loss)成分が、0.16質量%以下であるものを使用する。ここで、強熱減量(Ig−loss)成分とは、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃、かつ1時間の加熱試験によって測定されるものである。
前記のとおり、SGGG単結晶を育成する際は、原料融液組成を調整し、トップ部の格子定数が所望の格子定数範囲の下限である12.4950〜12.4960Åの範囲に入るようにし、ボトム部においても格子定数が12.4990Åを超えないように調整するのであるが、このような工夫をしても、格子定数が所望の範囲を逸脱する場合が多かった。
本出願人は、格子定数の異なるSGGG結晶基板のガリウム(Ga)組成を蛍光X線分析で求めるとともに、格子定数との間の相関係数を調べた結果、図3の傾向を把握することができた。このグラフから、Ga組成と格子定数の相関係数は0.89であり、Ga組成が単位組成式当り0.01増えると格子定数は0.0015Å減少することが分かる。
従来から、ジルコニウム(Zr)については、格子定数との相関が高いと言われており、これも同様に組成と格子定数との相関係数を求めると、相関係数はガリウムよりも低い0.63であった。そして、Zr組成が単位組成式当り0.01増えると格子定数は0.0015Å増加し、組成と格子定数の関係はGaとは逆という結果であった(図示せず)。
また、Ga、Zr以外の元素についても、同様に組成と格子定数との相関係数を求めると、その結果は下記表1のようになった。この表1から明らかなように、格子定数を安定化するには相関係数が高い、Ga、Zrに注意する必要があるといえる。
なお、組成変動に対する格子定数の変化量は、GaでもZrでもほぼ同等であるが、代表的なSGGG結晶では、単位組成式当りの含有量は、Gaが4程度、Zrが0.63程度なので、組成変動0.01は、Gaに対しては約0.25%、Zrに対しては約1.6%に相当する。これは、単位組成式当りに含まれる量が多いGaの影響が大きいことを意味している。
Figure 0006436073
さらに本出願人は、原料に用いるGa及びZrO粉末の純度が99.99%であると、グロー放電質量分析(GD−MS)による不純物分析でも不純物は0.01質量%以内であって、不純物が格子定数の不安定化に影響していないことを確認している。
そして、Ga粉末及びZrO粉末に対して、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃で1時間加熱して強熱減量(Ig−loss)試験を行ったところ、ZrO粉末の重量変動は0.1質量%以内であったが、Ga粉末は、重量変動が大きい場合には0.3質量%を超すこともあった。
さらに、強熱減量(Ig−loss)成分量の異なる4種類のGa粉末を用いて、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃で1時間加熱する強熱減量(Ig−loss)試験により、強熱減量(Ig−loss)成分量を測定しながら、SGGG単結晶を育成した際の、単結晶トップ部の格子定数との関係を調べた結果が図4である。これによれば、強熱減量(Ig−loss)成分を0.16質量%以内にすることで、単結晶トップ部の育成ロット間での格子定数ばらつきを、0.001Å以内に抑制でき安定な育成が可能になることが分かる。
言い換えれば、Ga粉末に含まれる強熱減量(Ig−loss)成分の変動が、実際に原料に含まれるGa量を変動させ、格子定数に大きく影響するといえる。強熱減量(Ig−loss)成分の詳細は、まだ十分には明確になっていないが、300℃、30分程度の加熱処理であっても、かなり数値が低減することから、主として水分からなる物質と推察される。
強熱減量(Ig−loss)成分を0.16質量%以内にするには、Ga粉末を加熱処理する条件により制御可能であり、前記の通り、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、300℃以上1000℃以下の温度で、30分以上120分以下の時間、加熱処理する必要がある。
加熱処理が300℃未満、かつ30分未満では強熱減量(Ig−loss)成分が0.16質量%以下にならず、一方、1000℃を超えるか、120分を超える様な長時間での加熱処理は、強熱減量(Ig−loss)成分を十分に低減できるが経済的に無駄であり好ましくない。本発明において、好ましいのは、300〜500℃、30〜60分の加熱処理条件である。
なお、酸化ガリウム粉末を700℃以上1000℃以下で加熱処理する場合は、雰囲気の酸素濃度が低過ぎると酸化ガリウムが一部還元されて、原料中のガリウムが液化する恐れがある。ガリウムが液化すると、酸化ガリウム粉末を収納している容器にガリウムが付着したり、容器とガリウムが反応して酸化ガリウム粉末に不純物が混入したりするため、加熱処理雰囲気の酸素濃度は0.1体積%以上であることが好ましい。より好ましいのは0.5〜5体積%である。
なお、他の元素の重量変動であるが、格子定数との相関が低いガドリニウム(Gd)、カルシウム(Ca)は、格子定数に対する影響が少ない。また、相関が高いZrや相関が比較的高いMgは、強熱減量(Ig−loss)成分による組成変動の可能性がない。そのため、Ga粉末に対してのみ強熱減量(Ig−loss)成分を基準内に管理できれば、格子定数を安定化しうることになる。
(3)単結晶の育成
本発明では、まず、図1に示すような装置の坩堝8内に原料を充填し、育成炉1のチャンバー2内に上記坩堝8を配置し、引き続き高周波コイル10により、加熱して原料を融解させる。
本発明では、純度99.99%以上の酸化ガドリニウム(Gd)粉末、炭酸カルシウム(CaCO)粉末、酸化ガリウム(Ga)粉末、酸化マグネシウム(MgO)粉末、酸化ジルコニウム(ZrO)粉末を、下記組成式(1)で示される所定の比率に混合し原料として使用する。
(GdCaGaMgZr)O12 (1)
[但し、組成式(1)中において、a+b+c+d+e=8である。]
前記のように、チョクラルスキー法により育成されるSGGG単結晶においては、原料融液9から単結晶化する際に添加元素(Ca、Mg、Zr)が偏析するため、育成初期のトップ部11と育成後期のボトム部12とで格子定数は同じではなく、ボトム部の格子定数がトップ部に比べて大きくなってしまう。
そこで、従来は、結晶を育成する際は、原料融液組成を調整し、トップ部の格子定数が所望の格子定数範囲の下限である12.4950〜12.4960Åの範囲に入るようにし、ボトム部においても格子定数が12.4990Åを超えないように調整していたが、このような工夫をしても、格子定数が所望の範囲を逸脱する場合があった。
しかし、本発明では、前記のとおり、原料の酸化ガリウム(Ga)粉末として、特定の温度、特定の時間加熱処理することで強熱減量(Ig−loss)成分が低減したものを用いる。すなわち、原料である酸化ガリウムとして、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃、かつ1時間の加熱試験によって測定される強熱減量(Ig−loss)成分が、0.16質量%以下のものを用いるので、単結晶の格子定数が所望の範囲に入るようになる。
次に、原料粉末の混合物は、酸素を0.1〜5体積%含有する不活性ガス雰囲気下、1700〜1900℃に加熱して原料を溶融させる。不活性ガスは、前記窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどであり、好適には窒素ガスが使用される。また、加熱開始から溶融までの時間は、5〜15時間とするのが好ましい。
その後、原料融液9に種結晶6を接触させて徐々に温度を降下させ、同時に引き上げ軸4を2〜10rpmで回転させながら、徐々に引き上げる。これにより種結晶6の下部側において原料融液9を順次結晶化させる。そして、育成条件に従い高周波コイル10への投入電力を調整し、所望とする直径のSGGG単結晶7を育成する。なお、種結晶6としては、育成されると同じSGGG単結晶を用いるのが好ましい。
また、SGGG単結晶の肩部を育成するとき、ファセット成長に伴う歪の発生を抑制するため、「界面反転操作」を行って界面形状を凸から平坦にすることが望ましい。また、単結晶育成に係る一連の温度モニタは上記温度計(熱電対)により行われる。
育成されたSGGG単結晶7は、図2に示すように、直胴部7を有したものとなるが、便宜上、上方に結晶トップ部11、また、下方に結晶ボトム部12をそれぞれ示している。
前記のとおり、光アイソレータに使用されるファラデー回転子の材料として、単結晶の育成方向における結晶方位が<111>である非磁性ガーネット単結晶基板が広く用いられている。そのため、育成されるSGGG単結晶7の育成方向における結晶方位は<111>であることが好ましい。
本発明では、原料の酸化ガリウム(Ga)粉末として、特定の条件で加熱処理し強熱減量(Ig−loss)成分が低減した粉末を用いるために、直胴部7の上下に位置する結晶トップ部11、結晶ボトム部12の格子定数を測定すると、トップ部の格子定数が所望の格子定数範囲の下限である12.4950〜12.4960Åの範囲に入り、しかもボトム部においても格子定数が12.4990Åを超えないように調整することができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は実施例によってのみ限定されるものではない。
育成したSGGG単結晶のトップ部の格子定数は、エックス線回折装置(Philips社製PANalytical X’pert PRO MRD)を用いて測定した。
なお、実施例に記載した組成式(GdCaGaMgZr)12は、Gd、Ca、Ga、Mg、Zrの各原子のモル数の合計とO原子のモル数との比が「8:12」となることを意味するものとする。
(実施例1)
まず、Ga粉末を、酸素濃度が1体積%の窒素ガス雰囲気下、900℃、60分の加熱処理により、強熱減量(Ig−loss)成分をほぼゼロにした。その後、このGa粉末と、他の原料粉末であるGd粉末、CaCO粉末、MgO粉末、ZrO粉末とを、組成式(GdCaGaMgZr)12で示される原料の原子比がGd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.714:0.326:4.024:0.305:0.631となるように秤量し、混合した。なお、この組成は、SGGG単結晶の直胴部におけるトップ部の格子定数が12.4950Åになることを狙って設定したものである。
また、上記原料については冷間等方圧加圧法により嵩密度を増加させた後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、チャンバーを閉めた後、高周波コイルに電力を投入して、原料を1750℃、酸素を2体積%含有する窒素ガス雰囲気中、10時間加熱して融解させた。続いて、結晶方位が<111>である棒状種結晶(SGGG)の先端を原料融液に浸け、5rpmで回転させながら、直胴直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶(4.7kg)を育成した。
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部におけるトップ部(直胴部の上端)から基板(ウェハ)を切り出し、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、SGGG単結晶基板の格子定数を測定した。
測定の結果、トップ部から得られたSGGG単結晶基板の格子定数は12.4950Åであり、所望の格子定数を得ることができた。
(実施例2)
Ga粉末に対する加熱処理の条件を変えて、窒素ガス雰囲気下、300℃、30分加熱を行った以外は、実施例1と同様にして、SGGG単結晶を育成した。
その後、育成されたSGGG単結晶の直胴部におけるトップ部(直胴部の上端)から基板(ウェハ)を切り出し、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、SGGG単結晶基板の格子定数を測定した。
測定の結果、トップ部から得られたSGGG単結晶基板の格子定数は12.4959Åであった。
実施例2で用いた300℃、30分の加熱処理後のGa粉末に対し、酸素濃度が1体積%の窒素ガス雰囲気下、900℃、1時間の強熱減量(Ig−loss)試験を行ったところ、0.15質量%の強熱減量(Ig−loss)成分の存在が確認された。
この加熱条件は、実施例1よりも穏やかであるため、強熱減量(Ig−loss)成分が若干量存在したが、格子定数ばらつきを0.0009Åにすることができた。
(比較例1)
Ga粉末に対する加熱処理の条件を変えて、Ga粉末に対し、窒素ガス雰囲気下、300℃、20分の加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして、SGGG単結晶を育成した。その後、育成されたSGGG単結晶の直胴部におけるトップ部(直胴部の上端)から基板(ウェハ)を切り出し、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、SGGG単結晶基板の格子定数を測定した。
測定の結果、トップ部から得られたSGGG単結晶基板の格子定数は12.4961Åであった。
比較例1で用いた300℃、20分の加熱処理後のGa粉末に対し、酸素濃度が1体積%の窒素ガス雰囲気下、900℃、1時間の強熱減量(Ig−loss)試験を行ったところ、0.17質量%の強熱減量(Ig−loss)成分の存在が確認された。
比較例1の加熱条件では、強熱減量(Ig−loss)成分を格子定数ばらつきが0.001Å以内に抑制できる0.16質量%以内にすることができなかったため、狙い値からのずれが0.0011Åとなり0.001Å以内にすることができなかった。
(比較例2)
Ga粉末に対する加熱処理の条件を変えて、Ga粉末に対し、窒素ガス雰囲気下、280℃、30分の加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして、SGGG単結晶を育成した後、育成されたSGGG単結晶の直胴部におけるトップ部(直胴部の上端)から基板(ウェハ)を切り出し、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、SGGG単結晶基板の格子定数を測定した。
測定の結果、トップ部から得られたSGGG単結晶基板の格子定数は12.4964Åであった。
比較例2で用いた窒素ガス雰囲気下、280℃、30分の加熱処理後のGa粉末に対し、酸素濃度が1体積%の窒素ガス雰囲気下、900℃、1時間の強熱減量(Ig−loss)試験を行ったところ、0.17質量%の強熱減量(Ig−loss)成分の存在が確認された。
この加熱条件では、強熱減量(Ig−loss)成分を格子定数ばらつきが0.16質量%を超えたため、所望値からのずれが0.0012Åと大きくなってしまった。
「評価」
実施例1は、Ga粉末に対して、酸素濃度が1%の窒素ガス雰囲気下、900℃、1時間の加熱処理を行っており、この条件は強熱減量(Ig−loss )試験の条件と同じであり、強熱減量(Ig−loss)成分量をほぼ完全に低減できている。また、実施例2の加熱条件は、300℃、30分と実施例1に対して比較的緩い処理条件であるため、強熱減量(Ig−loss)成分が0.15質量%存在したが、格子定数ばらつきが0.001Å以内に抑制できる0.16質量%以内となり、所望値からのずれを0.001Å以内の0.0009Åにすることができた。
これに対して、比較例1、2の加熱条件では、強熱減量(Ig−loss)成分を格子定数ばらつきが0.001Å以内に抑制できる0.16%質量以下にすることができなかったため、所望値からのずれが大きく、0.001Åを超えてしまった。
本発明に係るSGGG単結晶の育成方法によれば、結晶育成開始前の出発原料の組成変動を安定させることができるため、結晶トップ部の格子定数を意図した値に制御することができる。結晶トップ部の格子定数が所定の範囲に入るため、ボトム部にかけて徐々に格子定数が大きくなったとしても、ボトム部においても所望の格子定数の範囲に収められるため、SGGG単結晶基板の収率が向上する。
そのため、光アイソレータ用ファラデー回転子に用いられるRIG単結晶膜を低コストで提供できる。
1 育成炉
2 チャンバー
3 断熱材
4 引き上げ軸
5 ホットゾーン
6 種結晶
7 SGGG単結晶
8 坩堝
9 原料融液
10 高周波コイル
11 結晶トップ部
12 結晶ボトム部

Claims (3)

  1. 原料粉末の酸化ガドリニウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化マグネシウム粉末、及び酸化ジルコニウム粉末を混合して、得られる混合物を加熱溶融した後、チョクラルスキー法によって種結晶を回転させながら引き上げて、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶を育成する方法において、
    前記酸化ガリウム粉末は、酸素を含む不活性ガス雰囲気下、900℃、かつ1時間の加熱試験によって測定される強熱減量(Ig−loss)成分を含有しているが、
    前記混合の前に、予め300℃以上1000℃以下の温度、30分以上120分以下の時間、かつ酸素を含む不活性ガス雰囲気下で加熱処理することで、前記強熱減量(Ig−loss)成分が0.16質量%以下に低減していることを特徴とするCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法。
  2. 前記不活性ガス雰囲気中の酸素含有量が、0.1〜5体積%であることを特徴とする請求項1に記載のCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法。
  3. 前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、ネオン、又はアルゴンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶の育成方法。
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