JP6922521B2 - 非磁性ガーネット単結晶の育成方法 - Google Patents
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Description
「繰り返しチャージ育成法」で有効部長が伸長されたSGGG単結晶を育成した場合に育成回数が低下する原因(すなわち、育成回数を増やした場合に基板の格子定数が上昇して冷却時クラックを発生させる原因)は上述した原料融液の組成ずれと考えられる。
そこで、原料残渣が存在する坩堝内への1回の原料補充操作と加熱融解操作で所定量の原料融液を調製できる方法(すなわち、1回の単結晶育成で消費される分の単結晶用原料を減少させる方法)を見出すため、有効部長70mmのSGGG単結晶について上記有効部以外の部位を短縮させる手法を検討した。
育成炉内に配置された坩堝に単結晶用原料を収容し、該原料を加熱して融解させた後、得られた所定量の原料融液に種結晶を接触させかつ種結晶を回転させながら上方へ引き上げる回転引上げ法により組成式(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yZrx+yMgy)O12(但し、0≦x<3、0≦y<2.5)で表される非磁性ガーネット単結晶を育成する方法であって、
1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料を単結晶育成後の坩堝内に補充し、単結晶育成後に消費されずに坩堝内に残った原料残渣と補充した単結晶用原料を加熱融解させて上記所定量の原料融液を調製し、非磁性ガーネット単結晶の育成を繰り返す非磁性ガーネット単結晶の育成方法であると共に、
上記原料残渣を含む坩堝内への1回の原料補充操作と加熱融解操作で上記所定量の原料融液が調製される非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
直径150mm、高さ150mmの坩堝を用い、界面反転操作を伴う肩部の育成工程と直胴部の育成工程を含む回転引上げ法により、肩部下端の直径が70mmで肩部の長さが75mm、直胴部の長さが110mm、直胴部の界面反転位置から有効部上端までの距離が40mm、および、有効部の直径が80mmで長さが70mmである非磁性ガーネット単結晶を育成することを特徴とする。
第1の発明に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
育成する単結晶の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]が40.5%以下であることを特徴とする。
図1は、本実施の形態に係る非磁性ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法に用いられる育成炉の概略構成を示す説明図である。
(2-1)SGGG単結晶の構成
図3に示したようにSGGG単結晶は肩部と直胴部とで構成され、「肩部」は原料融液に種結晶を接触させて引上げを開始した時から界面反転終了までとし、界面反転が実施された後、結晶の引上げを再開し、引上げが終了し融液面より結晶を切り離した結晶最下端から10mm上側までが一般に「直胴部」である。また、直胴部の「有効部」はSGGG基板に用いられる部分であり、「トップ基板」は有効部上端を切断して得られたSGGG基板、「ボトム基板」は有効部下端を切断して得られたSGGG基板を意味する。
SGGG基板の生産コスト削減を目的として、図3に示す有効部の長さを従来の55mmから70mmに伸長させるSGGG単結晶の育成方法(特許文献2)が本発明者により提案されている。
SGGG単結晶は、通常、「繰り返しチャージ育成法」で育成されるため、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(育成されたSGGG単結晶の総重量)を単結晶育成後の坩堝内に補充する必要があり、その際、原料残渣(単結晶育成後に消費されずに坩堝内に残った原料)が存在する坩堝内へ単結晶用原料を1回でチャージできるか否かが課題となる。すなわち、単結晶用原料の成分中に蒸発し易い成分が存在する場合、チャージ回数が複数になると、蒸発により原料融液の組成変動を引き起こす問題がある。
(3-1)1回の原料補充と加熱融解操作で所定量の原料融液が調製できるようにするため、伸長化されたSGGG単結晶の重量を減少させる検討が本発明者によりなされた。
伸長化された上記SGGG単結晶を特許文献2に記載の方法で育成する場合、界面反転による内部歪が残留する界面反転位置から有効部上端までの距離は上述したように従前の「45mm」に設定されている。
直径150mm、高さ150mmのイリジウム製坩堝に、予め混合したGd2O3、Ga2O3、MgO、ZrO2、CaCO3を所定量(原料重量:12,593g)仕込み、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)の単結晶の育成を試みた。
まず、種結晶を1分間に5回転(回転速度:5rpm)させながら1時間に3mmの速度(引上速度:3mm/時間)で引き上げて、長さ75mmで直径70mmである結晶肩部を育成した後、種結晶の回転数を1分間に20回に増やして界面反転操作を行い、その後、結晶直胴部の有効部直径が80mmでかつ有効部長が70mmとなるようにSGGG単結晶を育成し、SGGG単結晶の直胴部長が110mmとなった時点で結晶を融液から切り離した。
原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(5100g)を一度にチャージし、かつ、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、1回目の育成条件と同様にして、全長が195mm、重量5100gのSGGG単結晶を育成した。
育成2回目と同様の条件にて、全長が195mm、重量が5100gであるSGGG単結晶の育成を9回目まで行った。
育成1回目から9回目まで繰り返してSGGG単結晶を育成したが、冷却時におけるクラックの発生は皆無であった。
直径150mm、高さ150mmのイリジウム製坩堝に、予め混合したGd2O3、Ga2O3、MgO、ZrO2、CaCO3を所定量(原料重量:12,593g)仕込み、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)の単結晶の育成を試みた。
まず、種結晶を1分間に5回転(回転速度:5rpm)させながら1時間に3mmの速度(引上速度:3mm/時間)で引き上げて、長さ75mmで直径70mmである結晶肩部を育成した後、種結晶の回転数を1分間に20回に増やして界面反転操作を行い、その後、結晶直胴部の有効部直径が80mmでかつ有効部長が70mmとなるようにSGGG単結晶を育成し、SGGG単結晶の直胴部長が115mmとなった時点で結晶を融液から切り離した。
原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(5300g)を2回に分けてチャージした。すなわち、原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ単結晶用原料(4000g)をチャージしかつ高周波加熱炉で加熱溶融して1回目のチャージを終了し、次いで、上記イリジウム製坩堝内へ残りの単結晶用原料(1300g)をチャージしかつ高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、1回目の育成条件と同様にして、全長が200mm、重量5300gのSGGG単結晶を育成した。
育成2回目と同様の条件にて、全長が200mm、重量が5300gであるSGGG単結晶の育成を8回目まで試みた。
育成1回目から8回目まで繰り返してSGGG単結晶を育成したところ、育成1回目から6回目までは冷却時におけるクラックの発生はなかったが、育成7回目と育成8回目においてSGGG単結晶に冷却時クラックが発生した。
2 チャンバー
3 断熱材
4 引き上げ軸
5 ホットゾーン
6 種結晶
7 SGGG単結晶
8 坩堝
9 原料融液
10 高周波コイル
Claims (2)
- 育成炉内に配置された坩堝に単結晶用原料を収容し、該原料を加熱して融解させた後、得られた所定量の原料融液に種結晶を接触させかつ種結晶を回転させながら上方へ引き上げる回転引上げ法により組成式(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yZrx+yMgy)O12(但し、0≦x<3、0≦y<2.5)で表される非磁性ガーネット単結晶を育成する方法であって、
1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料を単結晶育成後の坩堝内に補充し、単結晶育成後に消費されずに坩堝内に残った原料残渣と補充した単結晶用原料を加熱融解させて上記所定量の原料融液を調製し、非磁性ガーネット単結晶の育成を繰り返す非磁性ガーネット単結晶の育成方法であると共に、
上記原料残渣を含む坩堝内への1回の原料補充操作と加熱融解操作で上記所定量の原料融液が調製される非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
直径150mm、高さ150mmの坩堝を用い、界面反転操作を伴う肩部の育成工程と直胴部の育成工程を含む回転引上げ法により、肩部下端の直径が70mmで肩部の長さが75mm、直胴部の長さが110mm、直胴部の界面反転位置から有効部上端までの距離が40mm、および、有効部の直径が80mmで長さが70mmである非磁性ガーネット単結晶を育成することを特徴とする非磁性ガーネット単結晶の育成方法。 - 育成する単結晶の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]が40.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法。
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JP2017145520A JP6922521B2 (ja) | 2017-07-27 | 2017-07-27 | 非磁性ガーネット単結晶の育成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017145520A JP6922521B2 (ja) | 2017-07-27 | 2017-07-27 | 非磁性ガーネット単結晶の育成方法 |
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JP2019026496A JP2019026496A (ja) | 2019-02-21 |
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JP6922521B2 true JP6922521B2 (ja) | 2021-08-18 |
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Family Applications (1)
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JP2017145520A Active JP6922521B2 (ja) | 2017-07-27 | 2017-07-27 | 非磁性ガーネット単結晶の育成方法 |
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