JP7017072B2 - 非磁性ガーネット単結晶の育成方法 - Google Patents
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Cs = kC0(1-g)k-1 ・・・・式(1)
Cs:固化組成比、C0:出発組成比、g:固化率、k:偏析係数
(1-1)「ガリウムの偏析係数1.008融解回数2回」(追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数が「1.008」に設定されかつ追加用原料のチャージ操作と加熱融解操作が2回である図3の符号◇に示す条件)のとき0.00072Å、
(1-2)「ガリウムの偏析係数1.009融解回数2回」(追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数が「1.009」に設定されかつ追加用原料のチャージ操作と加熱融解操作が2回である図3の符号□に示す条件)のときが0.00052Å、
(1-3)「ガリウムの偏析係数1.009融解回数1回」(追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数が「1.009」に設定されかつ追加用原料のチャージ操作と加熱融解操作が1回である図3の符号△に示す条件)のとき0.00025Åとなった。
育成炉内に配置された坩堝に単結晶用原料を収容し、該原料を加熱して融解させた後、得られた所定量の原料融液に種結晶を接触させかつ種結晶を回転させながら上方へ引き上げる回転引上げ法により組成式(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yZrx+yMgy)O12(但し、0≦x<3、0≦y<2.5)で表される非磁性ガーネット単結晶を育成する方法であって、
1回の単結晶育成で消費された分の原料を単結晶育成後の坩堝内に追加し、消費されずに坩堝内に残った原料残渣と追加した原料を加熱融解させて格子定数が12.4945~12.4982Åである非磁性ガーネット単結晶の育成を繰り返す非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数を1.009として見積もった第一の追加用原料と、ガリウムの偏析係数を1.011として見積もった第二の追加用原料を準備し、
直前に育成した単結晶の格子定数が12.4976Å以上の場合には上記第二の追加用原料を選択し、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Å以下の場合には上記第一の追加用原料を選択すると共に、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Åを超え12.4976Å未満の場合には上記第一の追加用原料または第二の追加用原料を選択し、かつ、選択された追加用原料の坩堝内への1回の追加操作と加熱融解操作により所定量の原料融液を調製することを特徴とするものである。
[但し、上記偏析係数は下記式(1)のkで定義される。
Cs = kC0(1-g)k-1 ・・・・式(1)
Cs:固化組成比、C0:出発組成比、g:固化率、k:偏析係数]
第1の発明に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
育成する単結晶の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]が40.5%以下であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
直径150mm、高さ150mmの坩堝が用いられ、かつ、界面反転操作を伴う肩部の育成工程と直胴部の育成工程を含む回転引上げ法により上記非磁性ガーネット単結晶が育成されると共に、肩部の直径が70mmで長さが75mm、直胴部の長さが110mm、直胴部の界面反転位置から有効部上端までの距離が40mm、および、有効部の直径が80mmで長さが70mmであることを特徴とする。
(1-1)SGGG単結晶の構成
図2に示すようにSGGG単結晶は肩部と直胴部とで構成され、「肩部」は原料融液に種結晶を接触させて引上げを開始した時から界面反転終了までとし、界面反転が実施された後、結晶の引上げを再開し、引上げが終了し融液面より結晶を切り離した結晶最下端から10mm上側までが一般に「直胴部」である。また、直胴部の「有効部」はSGGG基板(種基板)に用いられる部分であり、「トップ基板」は有効部上端を切断して得られたSGGG基板、「ボトム基板」は有効部下端を切断して得られたSGGG基板を意味する。
SGGG基板の生産コスト削減を目的として、図2に示す有効部の長さを従来の55mmから70mmに伸長させるSGGG単結晶の育成方法(特許文献5参照)が本発明者により提案されている。
SGGG単結晶は、通常、「繰り返しチャージ育成法」で育成されるため、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(育成されたSGGG単結晶の総重量)を単結晶育成後の坩堝内に追加する必要があり、その際、原料残渣(単結晶育成後に消費されずに坩堝内に残った原料)が存在する坩堝内へ単結晶用原料を1回でチャージできるか否かが課題となる。すなわち、単結晶用原料の成分中に蒸発し易い成分(ガリウム)が存在する場合、チャージ回数が複数になると、蒸発により原料融液の組成変動を引き起こす問題がある。このため、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用固形(あるいは粉末状)原料が1回のチャージ操作で坩堝内に収容できるようにSGGG単結晶の重量を減少させることが要請される。
(2-1)1回の原料追加と加熱融解操作で所定量の原料融液が調製できるようにするため、伸長化されたSGGG単結晶の重量を減少させる方法が上述したように本発明者により提案されている。すなわち、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用固形(あるいは粉末状)原料が1回のチャージ操作で坩堝内に収容可能となるようにSGGG単結晶重量を減少させる方法が本発明者により既に提案されている。
上記特許文献5に記載された方法で伸長化されたSGGG単結晶を育成する場合、界面反転による内部歪が残留する界面反転位置から有効部上端までの距離は「45mm」に設定されている。
本発明は1回の原料追加と加熱融解操作で所定量の原料融液が調製される方法を前提として構成されるものである。
育成炉内に配置された坩堝に単結晶用原料を収容し、該原料を加熱して融解させた後、得られた所定量の原料融液に種結晶を接触させかつ種結晶を回転させながら上方へ引き上げる回転引上げ法により組成式(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yZrx+yMgy)O12(但し、0≦x<3、0≦y<2.5)で表される非磁性ガーネット単結晶を育成する方法であって、
1回の単結晶育成で消費された分の原料を単結晶育成後の坩堝内に追加し、消費されずに坩堝内に残った原料残渣と追加した原料を加熱融解させて格子定数が12.4945~12.4982Åである非磁性ガーネット単結晶の育成を繰り返す非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数を1.009として見積もった第一の追加用原料と、ガリウムの偏析係数を1.011として見積もった第二の追加用原料を準備し、
直前に育成した単結晶の格子定数が12.4976Å以上の場合には上記第二の追加用原料を選択し、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Å以下の場合には上記第一の追加用原料を選択すると共に、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Åを超え12.4976Å未満の場合には上記第一の追加用原料または第二の追加用原料を選択し、かつ、選択された追加用原料の坩堝内への1回の追加操作と加熱融解操作により所定量の原料融液を調製することを特徴とするものである。
[但し、上記偏析係数は下記式(1)のkで定義される。
Cs = kC0(1-g)k-1 ・・・・式(1)
Cs:固化組成比、C0:出発組成比、g:固化率、k:偏析係数]
直径150mm、高さ150mmのイリジウム製坩堝に、原子比がGd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.714:0.326:4.024:0.305:0.631となるように予め混合したGd2O3、Ga2O3、MgO、ZrO2、CaCO3を所定量(原料重量:12,593g)仕込み、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)の単結晶の育成を試みた。
まず、種結晶を1分間に5回転(回転速度:5rpm)させながら1時間に3mmの速度(引上速度:3mm/時間)で引き上げて、長さ75mmで直径70mmである結晶肩部を育成した後、種結晶の回転数を1分間に20回に増やして界面反転操作を行い、その後、結晶直胴部の有効部直径が80mmでかつ有効部長が70mmとなるようにSGGG単結晶を育成し、SGGG単結晶の直胴部長が110mmとなった時点で結晶を融液から切り離した。
原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(5100g)を一度にチャージし、かつ、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、1回目の育成条件と同様にして、全長が195mm、重量5100gであるSGGG単結晶の育成を10回目まで行った。
育成10回目に得られたSGGG単結晶の格子定数が12.4976Å以上であったため、追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数[前記式(1)のkで定義される偏析係数]を「1.011」とした組成の追加用原料を用いて、育成11回目以降の単結晶育成を行った。
育成されたSGGG単結晶の格子定数は育成回数15回まで全て規格(12.4945~12.4982Å)内に入っていることが確認された。
直径150mm、高さ150mmのイリジウム製坩堝に、実施例1と同様に予め混合したGd2O3、Ga2O3、MgO、ZrO2、CaCO3を所定量(原料重量:12,593g)仕込み、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)の単結晶の育成を試みた。
まず、種結晶を1分間に5回転(回転速度:5rpm)させながら1時間に3mmの速度(引上速度:3mm/時間)で引き上げて、長さ75mmで直径70mmである結晶肩部を育成した後、種結晶の回転数を1分間に20回に増やして界面反転操作を行い、その後、結晶直胴部の有効部直径が80mmでかつ有効部長が70mmとなるようにSGGG単結晶を育成し、SGGG単結晶の直胴部長が110mmとなった時点で結晶を融液から切り離した。
原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(5100g)を一度にチャージし、かつ、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、1回目の育成条件と同様にして、全長が195mm、重量5100gであるSGGG単結晶の育成を4回目まで行った。
育成4回目に得られたSGGG単結晶の格子定数が12.4950Å以下であったため、追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数[前記式(1)のkで定義される偏析係数]を「1.009」とした組成の追加用原料を用いて、育成5回目以降の単結晶育成を行った。
育成14回目に得られたSGGG単結晶の格子定数が12.4976Å以上となったため、追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数[前記式(1)のkで定義される偏析係数]を「1.011」とした組成の追加用原料を用いて、育成15回目の単結晶育成を行った。
育成されたSGGG単結晶の格子定数は育成回数15回まで全て規格(12.4945~12.4982Å)内に入っていることが確認された。
直径150mm、高さ150mmのイリジウム製坩堝に、実施例1と同様に予め混合したGd2O3、Ga2O3、MgO、ZrO2、CaCO3を所定量(原料重量:12,593g)仕込み、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)の単結晶の育成を試みた。
まず、種結晶を1分間に5回転(回転速度:5rpm)させながら1時間に3mmの速度(引上速度:3mm/時間)で引き上げて、長さ75mmで直径70mmである結晶肩部を育成した後、種結晶の回転数を1分間に20回に増やして界面反転操作を行い、その後、結晶直胴部の有効部直径が80mmでかつ有効部長が70mmとなるようにSGGG単結晶を育成し、SGGG単結晶の直胴部長が110mmとなった時点で結晶を融液から切り離した。
原料残渣を含む上記イリジウム製坩堝内へ、1回の単結晶育成で消費された分の単結晶用原料(5100g)を一度にチャージし、かつ、高周波加熱炉で加熱溶融して所定量の原料融液を得た後、1回目の育成条件と同様にして、全長が195mm、重量5100gであるSGGG単結晶の育成を11回目まで行った。
育成されたSGGG単結晶の格子定数は育成回数10回まで全て規格(12.4945~12.4982Å)内に入っていることが確認された。
Claims (3)
- 育成炉内に配置された坩堝に単結晶用原料を収容し、該原料を加熱して融解させた後、得られた所定量の原料融液に種結晶を接触させかつ種結晶を回転させながら上方へ引き上げる回転引上げ法により組成式(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yZrx+yMgy)O12(但し、0≦x<3、0≦y<2.5)で表される非磁性ガーネット単結晶を育成する方法であって、
1回の単結晶育成で消費された分の原料を単結晶育成後の坩堝内に追加し、消費されずに坩堝内に残った原料残渣と追加した原料を加熱融解させて格子定数が12.4945~12.4982Åである非磁性ガーネット単結晶の育成を繰り返す非磁性ガーネット単結晶の育成方法において、
追加用原料の組成を算出する際に見積もるガリウムの偏析係数を1.009として見積もった第一の追加用原料と、ガリウムの偏析係数を1.011として見積もった第二の追加用原料を準備し、
直前に育成した単結晶の格子定数が12.4976Å以上の場合には上記第二の追加用原料を選択し、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Å以下の場合には上記第一の追加用原料を選択すると共に、直前に育成した単結晶の格子定数が12.4950Åを超え12.4976Å未満の場合には上記第一の追加用原料または第二の追加用原料を選択し、かつ、選択された追加用原料の坩堝内への1回の追加操作と加熱融解操作により所定量の原料融液を調製することを特徴とする非磁性ガーネット単結晶の育成方法。
[但し、上記偏析係数は下記式(1)のkで定義される。
Cs = kC0(1-g)k-1 ・・・・式(1)
Cs:固化組成比、C0:出発組成比、g:固化率、k:偏析係数] - 育成する単結晶の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]が40.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法。
- 直径150mm、高さ150mmの坩堝が用いられ、かつ、界面反転操作を伴う肩部の育成工程と直胴部の育成工程を含む回転引上げ法により上記非磁性ガーネット単結晶が育成されると共に、肩部の直径が70mmで長さが75mm、直胴部の長さが110mm、直胴部の界面反転位置から有効部上端までの距離が40mm、および、有効部の直径が80mmで長さが70mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の非磁性ガーネット単結晶の育成方法。
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