JP6435986B2 - カーボンナノ構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノ構造体の製造方法に関する。
炭素原子がナノメートルレベル間隔で並列した線状のカーボンナノチューブやシート状のグラフェンといったカーボンナノ構造体が従来知られている。このようなカーボンナノ構造体は、例えば鉄などの微細触媒を加熱しつつ、炭素を含む原料ガスを供給することで触媒からカーボンナノ構造体を成長させる方法により得られる(例えば特開2005−330175号公報参照)。
上記従来の製造方法は、カーボンナノ構造体を構成するカーボンナノフィラメントの触媒からの成長方向の制御が難しく、成長したカーボンナノフィラメントに曲がりが発生し易い。このように曲りが発生すると、カーボンナノフィラメントに例えば五員環や七員環などの構造的な欠陥が生じ、抵抗等が局所的に増加する。また、複数のカーボンナノフィラメントを高密度で束ねることが困難となる。
そこで、触媒を酸化し、この酸化した触媒を浸炭熱処理しながら分断することで、この分断面間にカーボンナノフィラメントを成長させる方法が提案されている(特開2013−237572号公報参照)。
特開2005−330175号公報 特開2013−237572号公報
上述の酸化触媒の分断面にカーボンナノフィラメントを成長させる方法では、酸化した触媒の分断面を一定出力のレーザー照射により一定温度に加熱することで浸炭熱処理を行う。しかしながら、浸炭熱処理の初期に起きる酸化触媒から酸素が抜ける還元反応は発熱反応であるため、この発熱により触媒が過加熱されて溶融し、カーボンナノ構造体が得られない場合がある。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、触媒の溶融を抑えつつ、効率よくカーボンナノ構造体を製造できるカーボンナノ構造体の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とする基材を用意する工程と、上記基材を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程とを備えるカーボンナノ構造体の製造方法であって、上記供給工程で、加熱源としてレーザーを用い、このレーザーの出力を定常状態より加熱初期に小さく制御する。
本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、触媒の溶融を抑えつつ、効率よくカーボンナノ構造体を製造できる。
本発明の一実施形態のカーボンナノ構造体の製造方法を示すフローチャートである。 図1のカーボンナノ構造体の製造方法で用いるカーボンナノ構造体の製造装置を示す模式図である。 図1のカーボンナノ構造体の製造方法の供給工程のレーザーの出力制御の概略を示すグラフである。 実施例における金属触媒の温度の時間変化を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とする基材を用意する工程と上記基材を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程とを備えるカーボンナノ構造体の製造方法であって、上記供給工程で、加熱源としてレーザーを用い、このレーザーの出力を定常状態より加熱初期に小さく制御する。
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、金属触媒(酸化物)の加熱初期にカーボンナノフィラメントを成長させる定常状態よりも低い出力でレーザーを照射することで、金属触媒の過加熱を防止してその溶融を抑制できる。また、当該カーボンナノ構造体の製造方法は、カーボンナノフィラメントを成長させる定常状態では出力を抑える必要がないため、カーボンナノフィラメントの成長が停滞しない。つまり、当該カーボンナノ構造体の製造方法は、カーボンナノ構造体を効率よく製造できる。なお、「主成分」とは、含有量の最も多い成分を意味し、例えば50質量%以上含まれる成分を意味する。「定常状態」とは、カーボンナノ構造体が連続的に成長する状態を意味する。
上記供給工程で、レーザーの出力を上記酸化物の還元反応開始から終了までのいずれかのタイミングで上昇させるとよい。このように酸化物の還元反応が開始してからレーザー出力を上昇させることで、金属触媒の溶融を抑制しつつ、カーボンナノフィラメントの成長タイミングを早めて生産性を向上できる。
上記供給工程で上記基材に対して分断するような張力を付加するとよい。このように張力を付加することで、カーボンナノフィラメントの成長をより確実に行うことができる。
上記金属が鉄、ニッケル又はコバルトであるとよい。金属触媒としてこれらの金属を用いることで、カーボンナノフィラメントをより確実に成長させることができる。
上記供給工程における上記基材の最大温度としては、1200℃以下が好ましい。このように基材の最大温度を1200℃以下に調整することで、より確実に金属触媒の溶融を抑制できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
[カーボンナノ構造体の製造方法]
当該カーボンナノ構造体は、図1に示すように、以下の工程を備える製造方法により得ることができる。
(1)炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とする基材を用意する工程S1
(2)上記基材を加熱しつつ、上記基材に炭素含有ガスを供給する工程S2
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、上記供給工程で、加熱源としてレーザーを用い、このレーザーの出力を定常状態より加熱初期に小さく制御する。このように金属触媒(酸化物)の加熱初期にカーボンナノフィラメントを成長させる定常状態よりも低い出力でレーザーを照射することで、金属触媒の過加熱を防止してその溶融を抑制できる。また、当該カーボンナノ構造体の製造方法は、カーボンナノフィラメントを成長させる定常状態では出力を抑える必要がないため、カーボンナノフィラメントの成長が停滞しない。つまり、当該カーボンナノ構造体の製造方法は、カーボンナノ構造体を効率よく製造できる。
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、例えば図2に示す製造装置を用いて好適に行うことができる。
(カーボンナノ構造体の製造装置)
図2に示すカーボンナノ構造体の製造装置は、反応室11と、反応室11の内部に配置された加熱器12と、加熱器12と対向配置され、シート状の基材Xを保持する一対の固定ブロック13a,13bと、固定ブロック13a,13bを支持するためのベース台14と、固定ブロック13a,13bと連結棒15により連結された駆動部16と、反応室11に原料ガスなどを供給するためのガス供給部17と、反応室11からガスを排気するための排気部18とを主に備える。また、図3の製造装置10は、基材Xを局所的に加熱するためのレーザー光発振器19と、基材Xを局所的に冷却するための冷却器20a,20bと、加熱器12、駆動部16、ガス供給部17、排気部18、レーザー光発振器19及び冷却器20a,20bを制御するための制御部21とをさらに備える。
反応室11の内部において、一対の固定ブロック13a,13bはベース台14の上面に配置されている。固定ブロック13a,13bにより、基材Xの一方端部及び他方端部が把持される。基材Xの一方端部及び他方端部は、それぞれ固定ブロック13a,13bを介して一対の冷却器20a,20bにより局所的に冷却可能となっている。基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13b及び他方端部を冷却する冷却器20bは、ベース台14の上面を移動可能に構成される。一方、基材Xの一方端部を固定する固定ブロック13a及び一方端部を冷却する冷却器20aは、ベース台14に固定されている。
加熱器12は、固定ブロック13a,13bにより固定される基材Xの上面と対向するよう反応室11内に配置される。なお、反応室11の壁を石英などの透光性部材により構成することで、反応室11の外部に加熱器12を配置してもよい。加熱器12としては、例えば電熱ヒータなど任意の加熱装置を用いることができる。この加熱器12は、基材Xの酸化等に用いられる。
駆動部16は、基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13bに接続され、この固定ブロック13b及び他方端部を冷却する冷却器20bを連結棒15の軸と平行に水平方向に移動させる。
レーザー光発振器19は、基材Xの一部(具体的にはガス供給工程S2で分断する領域)を局所的に加熱する加熱源である。具体的には、反応室11の上壁面に開口が形成され、この開口に筒状のレーザー光導入部19aが接続されている。レーザー光発振器19から発振されたレーザー光は、レーザー光導入部19aを介して、反応室11の内部の基材Xに照射される。
基材Xに照射するレーザー光としては、赤外線が好ましく、具体的には900nm以上1000nm以下の波長のレーザー光が好ましい。
冷却器20a,20bの構成は、従来周知の任意の構成を採用することができ、例えばペルチェ素子などの熱電素子を用いてもよいし、水やその他の冷却媒体を流通させる構成としてもよい。なお、冷却媒体を用いる場合、冷却媒体を冷却器20a,20bから反応室11の外部まで導出し、外部において熱交換器などにより冷却した後、再度冷却器20a,20bに還流する構成としてもよい。
(1)用意工程S1
本工程では、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とする基材Xを用意する。本工程は、炭素と固溶体を形成可能な金属を主成分とする基材Xの少なくとも一部を酸化する工程により基材Xを用意してもよいし、あらかじめ酸化した基材Xを入手してもよい。
基材Xが主成分とする金属としては、鉄、ニッケル及びコバルトが好ましく、浸炭を行い易い鉄が好ましい。さらに、鉄の中でも純度が4N以上の純鉄が好ましい。なお、基材Xは、本発明の効果を損なわない範囲で上記金属以外の添加物等を含んでもよい。
基材Xはシート状のものが好ましい。また、基材Xの平均厚さとしては、例えば10μm以上1mm以下とできる。なお、基材Xとして、例えば多孔質ウスタイトや酸化鉄の圧粉体等の多孔質体を用いてもよい。
上記基材Xの酸化方法としては、酸素存在下での熱処理が挙げられる。この熱処理としては、例えば大気雰囲気中で500℃以上1000℃以下、0.1時間以上2時間以下加熱する方法が用いられる。
なお、基材Xの酸化後、ガス供給部17より窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを反応室11に供給し、反応室11内から酸素を排出することが好ましい。
(2)ガス供給工程S2
本工程では、酸化した基材Xを加熱しつつ、この基材Xに炭素含有ガスを供給する。このとき基材Xに対して分断するような張力を付加するとよい。具体的には、駆動部16により基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13bを対向する固定ブロック13aから離間する方向に移動させることで、基材Xを分断するような張力を付加する。これにより、基材Xは1対の固定ブロック13a,13b間で分断される。また、上記分断と共に同時にレーザー光発振器19から発振されるレーザー光の照射により、基材Xの分断部分を加熱する。さらに、この状態の基材Xにガス供給部17より炭素含有ガスを供給する。
本工程では、レーザー光発振器19の出力を定常状態より加熱初期に小さく制御する。つまり、加熱初期のレーザー光発振器19の出力をP1[W]とし、定常状態のレーザー光発振器19の出力をP2[W]としたとき、P1<P2となるように出力を制御する。具体的には、図3に示すように、加熱初期では出力P1で基材Xを加熱し、その後出力をP2に上昇させる。
レーザー光発振器19の出力を上昇させるタイミングとしては、基材Xの酸化物の還元反応開始から終了までのいずれかのタイミングが好ましく、還元反応の終了時から上昇させることがより好ましい。このように少なくとも酸化物の還元が開始してから出力を上昇させることで、金属触媒の溶融を抑制しつつ、カーボンナノフィラメントの成長タイミングを早めて生産性を向上できる。なお、レーザー光発振器19による基材Xの加熱開始時点から、レーザー光発振器19の出力を上昇させるタイミングまでの時間としては、例えば10秒以上3分以下である。
レーザー光発振器19の出力上昇の制御方法としては特に限定されず、図3に示すように直線(一次関数)的に連続的に上昇させてもよく、曲線(二次関数、指数関数等)的に連続的に上昇させてもよく、ステップ状に上昇させてもよい。また、複数回に分けて出力を上昇させてもよい。
加熱初期のレーザー光発振器19の出力P1と定常状態のレーザー光発振器19の出力P2との差(P2−P1)の下限としては、1Wが好ましく、3Wがより好ましい。一方、上記差(P2−P1)の上限としては、20Wが好ましく、10Wがより好ましい。上記差(P2−P1)が上記下限より小さい場合、触媒の溶融の抑制が不十分となるおそれや、定常状態におけるカーボンナノフィラメントの成長効率が低下するおそれがある。逆に、上記差(P2−P1)が上記上限を超える場合、触媒の還元が不十分となるおそれがある。
また、加熱初期のレーザー光発振器19の出力P1としては、例えば1W以上15W以下とすることができる。定常状態のレーザー光発振器19の出力P2としては、例えば5W以上20W以下とすることができる。なお、出力P1及び出力P2の大きさ、及びこれらの出力の切替のタイミングは、基材Xの温度変化の測定値によるフィードバック制御により調整してもよい。また、レーザー光の直径としては、例えば1mm以上10mm以下とできる。
また、供給工程における基材Xの最大温度、つまり基材Xの還元反応時の最大温度の上限としては、1200℃が好ましく、1100℃がより好ましい。基材Xの最大温度が上記上限を超える場合、触媒としての基材Xが溶融するおそれがある。なお、定常状態における基材Xの加熱温度としては、例えば800℃以上1050℃以下である。
定常状態におけるレーザー光発振器19による加熱時間としては、例えば1分以上30分以下とすることができる。
上記炭素含有ガスとしては、炭化水素ガス等の還元性を有するガスが用いられ、例えばアセチレンと窒素又はアルゴンとの混合ガスを用いることができる。この混合ガス中のアセチレン濃度としては1体積%以上20体積%以下とすることができる。
なお、基材Xに対して分断するような張力を付加するタイミングは、還元反応終了後又はレーザー光発振器19の出力上昇後が好ましい。このようなタイミングで張力を付加することで、より確実かつ効率的にカーボンナノフィラメントを成長させることができる。
このような作業により、基材Xの分断面にカーボンナノフィラメントが成長する。換言すれば、離間した基材Xの分断面間をカーボンナノフィラメントが連結した構造が得られる。このとき、分断界面領域において、局所的に還元、浸炭、及びカーボンナノフィラメントの成長というプロセスが連続的に行なわれる。また、上記張力の付加により、成長したカーボンナノフィラメントに対して一定の張力が加えられた状態となるため、曲がりなどの変形が抑制されたカーボンナノフィラメントを容易に成長させることができる。
このカーボンナノフィラメントの成長過程を以下に詳述する。当該カーボンナノ構造体の製造方法では、例えば酸化鉄を含む基材Xの分断端面を主に浸炭しながら、この端面より基材Xを構成する例えば鉄等の部材を主成分とする微粒子を分離しつつ、カーボンナノフィラメントを連続的に成長させている。具体的には、まず、基材Xを加熱し、原料ガスを供給することで、基材Xの表面から順次浸炭を進行させる。次に、基材Xが分断端面から浸炭された触媒(鉄)をナノサイズで分離し、端面と分離した触媒とを繋ぐカーボンナノフィラメントを端面から略垂直に引き出す。この引出方向はカーボンナノフィラメントのC軸となる。その後、さらに浸炭が進んで、より微細なサイズの浸炭された触媒が、例えばナノ粒子やナノフィラメントとして、順次基材Xから分離してカーボンナノフィラメントの内部に保持された(引き込まれた)状態でカーボンナノフィラメントが成長する。さらにその後、触媒が分離することで、基材Xの分断端面には新生面が表出し、この新生面において浸炭が進行し、カーボンナノフィラメントの成長が持続する。このとき分離した触媒がカーボンナノフィラメントの内部に保持されることにより、分離した触媒がカーボンナノフィラメントの成長を阻害する可能性を低減できる。引き出されたカーボンナノフィラメントの中にはこの分離触媒(金属ナノ粒子)等が包含されるが、外周のグラフェン層は維持される。この結果、長尺のカーボンナノフィラメントが形成される。
なお、冷却器20で基材Xのカーボンナノ構造体の成長に寄与しない部分を冷却することが好ましい。さらに、基材Xの近傍に炭素含有ガスを供給する供給管等を用いて、基材Xの分断部分に局所的に炭素含有ガスを供給してもよい。これらにより、カーボンナノ構造体の製造を効率的に行うことができる。
また、反応室11内にキャリアガスとして窒素ガス等の不活性ガスを供給することで、カーボンナノ構造体の形成に伴って炭素含有ガスから生成される反応ガス(一酸化炭素、、二酸化炭素、水等)をカーボンナノ構造体に接触させずに反応室11から排出することができる。
[カーボンナノ構造体]
当該カーボンナノ構造体の製造方法から得られるカーボンナノ構造体は、炭素からなるカーボンナノフィラメントと、上述の金属触媒に由来する金属ナノ粒子とを有する。ただし、当該カーボンナノ構造体の製造方法で得られるカーボンナノ構造体において、金属ナノ粒子は必ずしも存在しなくてもよい。つまり、当該カーボンナノ構造体の製造方法において、触媒金属が必ずしもカーボンナノフィラメントに引き込まれなくてもよい。
カーボンナノフィラメントの形状は、その用途に応じて適宜選択することができ、具体的には線状、チューブ状又はフィルム状とすることができる。なお、「フィルム状」とは、C軸方向に対するフィラメントの最大幅(C軸と垂直方向の最大長さ)が例えば5倍以上の板状を指す。
カーボンナノフィラメントの長さは、その用途に応じて適宜選択できるが、例えば1mm以上とすることができる。
カーボンナノフィラメントが線状又はチューブ状の場合、その外径としては例えば10nm以上1μm以下とすることができる。
金属ナノ粒子は、カーボンナノ構造体を製造する際に用いられる金属触媒の一部である。金属ナノ粒子の主金属としては、鉄、ニッケル、コバルト等が挙げられる。また、金属ナノ粒子は、酸素等の金属以外の成分を含んでもよい。さらに、金属ナノ粒子は金属酸化物を主体としてもよい。つまり、金属ナノ粒子は酸化された金属を含んでもよい。なお、「主金属」とは、含有量の最も多い金属元素を意味し、例えば50質量%以上含まれる金属元素を意味する。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、上記供給工程の前に、酸化した基材を還元する工程と、還元工程後の基材を再酸化する工程とを備えてもよい。つまり、当該カーボンナノ構造体の製造方法は、これらの工程を経て得られるスポンジ状の基体を用いてカーボンナノ構造を製造してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
平均厚さ20μmの純鉄シート(純度5N)を基材として準備し、反応室内において大気中で850℃、1時間熱処理して酸化鉄シートにした。その後、反応室内に窒素ガスを供給し、酸素を反応室内から排出した。
次に、酸化鉄シートをアセチレンの濃度が5体積%のアセチレン及び窒素含有ガスフロー中で、まず波長940nm、直径3mmの赤外線レーザー光を10Wの出力で1分間照射し酸化鉄シートを還元した。なお、還元反応自体は10秒程度で完了すると考えられる。上記照射開始から1分後、上記レーザー光の出力を15Wに上昇すると共に酸化鉄シートに張力を加えて破断したところ、破断面にファイバー状のカーボンナノフィラメントが得られた。このカーボンナノフィラメントの長さは200μm以上であった。
(比較例1)
平均厚さ20μmの純鉄シート(純度5N)を基材として準備し、反応室内において大気中で850℃、1時間熱処理して酸化鉄シートにした。その後、反応室内にアルゴンガスを供給し、酸素を反応室内から排出した。
次に、酸化鉄シートをアセチレンの濃度が5体積%のアセチレン及びアルゴン含有ガスフロー中で、波長940nm、直径3mmの赤外線レーザー光を15Wの出力で照射しながら酸化鉄シートに張力を加えて破断したところ、酸化鉄シートの温度が1250℃まで上昇し、酸化鉄シートが溶融した。そのため、カーボンナノフィラメントが得られなかった。
図4に、上記実施例1及び比較例1の酸化鉄シートの温度変化を示す。実施例1では、酸化鉄シートの還元時のピーク温度が比較例1に対して抑えられており、さらに定常状態における加熱温度も比較例1よりも高い。つまり、実施例1は、触媒である酸化鉄シートの溶融を抑えつつ、効率よくカーボンナノフィラメントを成長できている。
以上のように、本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、触媒の溶融を抑えつつ、効率よくカーボンナノ構造体を製造できる。このようにして得られるカーボンナノ構造体は、種々の用途に好適に用いることができる。
11 反応室
12 加熱器
13a、13b 固定ブロック
14 ベース台
15 連結棒
16 駆動部
17 ガス供給部
18 排気部
19 レーザー光発振器
19a レーザー光導入部
20a、20b 冷却器
21 制御部
X 基材
S1 用意工程
S2 ガス供給工程

Claims (5)

  1. 炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とする基材を用意する工程と、
    上記基材を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程と
    を備えるカーボンナノ構造体の製造方法であって、
    上記供給工程で、加熱源としてレーザーを用い、このレーザーの出力を定常状態より加熱初期に小さく制御するカーボンナノ構造体の製造方法。
  2. 上記供給工程で、レーザーの出力を上記酸化物の還元反応開始から終了までのいずれかのタイミングで上昇させる請求項1に記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
  3. 上記供給工程で、上記基材に対して分断するような張力を付加する請求項1又は請求項2に記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
  4. 上記金属が鉄、ニッケル又はコバルトである請求項1、請求項2又は請求項3に記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
  5. 上記供給工程における上記基材の最大温度が1200℃以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
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