JP2014237557A - カーボンナノチューブ成長方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度のカーボンナノチューブを得ることができるカーボンナノチューブ成長方法を提供する。
【解決手段】レーザ光加熱装置10において、載置台12に載置されたウエハWの触媒金属層38へレーザ光照射部13から赤外線レーザ光Lを照射し、その後、触媒金属層38への赤外線レーザ光Lの照射を停止して触媒金属層38から微細な触媒金属微粒子39を形成し、さらに、触媒金属微粒子39へ赤外線レーザ光Lを照射するとともに、触媒金属微粒子39へ向けて炭素含有ガスを含む混合ガスを供給してカーボンナノチューブ40を触媒金属微粒子39から成長させる。
【選択図】図4
【解決手段】レーザ光加熱装置10において、載置台12に載置されたウエハWの触媒金属層38へレーザ光照射部13から赤外線レーザ光Lを照射し、その後、触媒金属層38への赤外線レーザ光Lの照射を停止して触媒金属層38から微細な触媒金属微粒子39を形成し、さらに、触媒金属微粒子39へ赤外線レーザ光Lを照射するとともに、触媒金属微粒子39へ向けて炭素含有ガスを含む混合ガスを供給してカーボンナノチューブ40を触媒金属微粒子39から成長させる。
【選択図】図4
Description
本発明は、カーボンナノチューブ成長方法に関する。
カーボンナノチューブは優れた電気伝導性(低電気抵抗)、熱伝導性(高放熱性)、電流密度耐性(高エレクトロマイグレーション耐性)を有するという特徴から、半導体デバイスにおいて配線材料として主に用いられるCuに代わる次世代の配線材料として期待されている。特に上述した特徴はカーボンナノチューブを高密度化すれば顕在化するため、カーボンナノチューブを高密度に配置することが強く求められている。
カーボンナノチューブの成長方法としては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、液相法、化学気相堆積法等が知られているが、生産性、制御性、半導体プロセス整合性の観点からCVD法が好適に用いられる。CVD法としては、基板上にFe、Co、Ni等の触媒金属微粒子を形成し、該触媒金属微粒子を核としてカーボンナノチューブを成長させる触媒CVD法が一般的に用いられる。
触媒CVD法では、触媒金属微粒子の形成に、スパッタ法、アークプラズマガンのように微粒子を直接基板上に堆積させる方法、若しくは、触媒金属層にプラズマ処理を施して触媒金属微粒子を得る方法が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。カーボンナノチューブは触媒金属微粒子の大きさに従って成長するため、高密度に配置されたカーボンナノチューブを得るには、微細な触媒金属微粒子、例えば、大きさ(直径)がナノオーダーサイズの触媒金属微粒子を形成する必要がある。
ところで、触媒金属層にプラズマ処理を施して触媒金属微粒子を得る場合、触媒金属層へプラズマによって熱エネルギーを付与し、該熱エネルギーに起因するマイグレーションによって触媒金属の原子を凝集させる。
しかしながら、プラズマの密度の制御は容易ではないため、プラズマが触媒金属層へ付与する熱エネルギーの量を正確に制御するのは困難であり、微細な触媒金属微粒子を形成するのは困難である。
例えば、プラズマが付与する熱エネルギーが少なすぎると、触媒金属の原子の凝集が進展しにくいために微細な触媒金属微粒子が形成されず、プラズマが付与する熱エネルギーが多すぎると、凝集が過度に進行して必要以上の大きさの触媒金属微粒子が形成される。その結果、高密度のカーボンナノチューブを得るのは容易でないという問題がある。
本発明の目的は、高密度のカーボンナノチューブを得ることができるカーボンナノチューブ成長方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載のカーボンナノチューブ成長方法は、触媒金属層から触媒金属微粒子を形成する触媒金属微粒子形成ステップを有し、前記触媒金属微粒子形成ステップは、触媒金属層へレーザ光を照射するレーザ光照射ステップと、前記触媒金属層への前記レーザ光の照射を停止するレーザ光照射停止ステップと、前記触媒金属微粒子へ向けて炭素含有ガスを供給してカーボンナノチューブを前記触媒金属微粒子から成長させるカーボンナノチューブ成長ステップとを有することを特徴とする。
請求項2記載のカーボンナノチューブ成長方法は、請求項1記載のカーボンナノチューブ成長方法において、前記レーザ光照射ステップでは、前記レーザ光によって前記触媒金属層を走査することを特徴とする。
請求項3記載のカーボンナノチューブ成長方法は、請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ成長方法において、前記カーボンナノチューブ成長ステップにおいて、前記炭素含有ガスが供給されている空間を介して前記触媒金属微粒子へ前記レーザ光を照射することを特徴とする。
請求項4記載のカーボンナノチューブ成長方法は、請求項3記載のカーボンナノチューブ成長方法において、前記カーボンナノチューブ成長ステップでは、前記レーザ光によって前記触媒金属微粒子が形成された基板の表面を走査することを特徴とする。
本発明によれば、触媒金属層へレーザ光が照射されて触媒金属層が加熱されるが、レーザ光は出力、照射時間を正確に調整することができるので、触媒金属層へ付与する熱エネルギーの量を正確に制御することができ、触媒金属の原子の凝集の程度を正確に制御することができる。また、触媒金属層へのレーザ光の照射が停止されて触媒金属層が冷却されるが、レーザ光の照射の停止によって触媒金属層への熱エネルギーの付与を直ちに停止することができ、適切な程度まで進行した凝集を維持したまま、触媒金属を凝固させることができる。その結果、触媒金属層から微細な触媒金属微粒子を形成することができ、もって、当該触媒金属微粒子へ向けて炭素含有ガスを供給することによって高密度のカーボンナノチューブを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るカーボンナノチューブ成長方法に用いられるレーザ光加熱装置の構成を概略的に示す断面図である。
図1において、レーザ光加熱装置10は、気密に構成された略円筒状のチャンバ11と、チャンバ11の内部に設けられ、被処理基板である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wを載置する載置台12と、載置されたウエハWの表面へ向けて赤外線レーザ光を照射するレーザ光照射部13と、チャンバ11の内部へガスを噴出するガス供給部14と、チャンバ11の内部を排気する排気部15と、レーザ光加熱装置10の各構成要素を制御する制御部16とを備える。
チャンバ11の底壁11aの略中央部には円形の開口部17が形成され、底壁11aには開口部17を介してチャンバ11の内部と連通し、且つ図中下方に向けて突出する排気室18が設けられる。チャンバ11の側壁11bには、チャンバ11へウエハWを搬出入するための搬出入口19と、該搬出入口19を開閉するゲートバルブ20とが設けられる。
載置台12は、例えば、AlNのセラミックスから構成され、排気室18の底部中央から上方に延出された円筒状のセラミックス製の支柱21によって支持される。載置台12の内部にはウエハWを昇降するための昇降ピン(図示せず)が格納され、該昇降ピンは載置台12の表面から突出してウエハWを載置台12から離間させる。
レーザ光照射部13は、チャンバ11の天井壁11cに嵌め込まれたレーザ光透過窓41と、該レーザ光透過窓41を介して載置台12に載置されたウエハWの表面へ対向するようにチャンバ11の外部に配置されるレーザ光源42と、該レーザ光源42及びレーザ光透過窓41の間に配置されるレーザ光走査部43とによって構成される。レーザ光走査部43はレーザ光源42からレーザ光透過窓41を介してウエハWへ照射される赤外線レーザ光Lの照射角を変更し、赤外線レーザ光LによってウエハWの表面を走査する。
また、レーザ光照射部13は、例えば、波長が700〜11000nmの赤外線レーザ光Lを照射可能であり、赤外線レーザ光Lの照射時間をミリ秒(msec)単位で制御することができる。例えば、レーザ光照射部13は、図3に示すように、数ミリ秒だけ赤外線レーザ光Lを照射し、その後、直ちに赤外線レーザ光Lの照射を停止することにより、ウエハWへ瞬間的な熱処理(スパイクアニール)を施すことができる。
ガス供給部14は、チャンバ11の天井壁11cに配置されるガスノズル44と、チャンバ11の外部に配置されるガス供給源24とを有する。
ガス供給源24は、ガス供給管26を介してチャンバ11に設けられたガスノズル44へ接続されるとともに、水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給源24aと、炭素含有ガスを供給する炭素含有ガス供給源24bと、不活性ガスを供給する不活性ガス供給源24cとを有する。ガス供給管26は3本の分岐路26a、26b、26cへ分岐し、分岐路26aは水素含有ガス供給源24aへ接続され、分岐路26bは炭素含有ガス供給源24bへ接続され、分岐路26cは不活性ガス供給源24cへ接続される。分岐路26a、26b、26cには、図示しないマスフローコントローラやバルブが設けられる。
ガスノズル44は、ガス供給管26を介してガス供給源24から供給される水素含有ガス、炭素含有ガスや不活性ガスの混合ガスをチャンバ11の内部に導入する。
ガス供給部14では、水素含有ガスとして、例えば、H2、NH3の各ガスが用いられ、炭素含有ガスとして、炭化水素ガス、例えば、エチレン(C2H4)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、プロピレン(C3H6)やアセチレン(C2H2)、アルコール類、例えば、メタノール(CH3OH)やエタノール(C2H5OH)、エタノール類、又は、芳香族炭化水素の各ガスが用いられ、不活性ガスとしては、例えば、Arガス、Heガス、N2ガスが用いられる。不活性ガス供給源24cから供給される不活性ガスは、例えば、パージガスやチャンバ11内の圧力調整用ガスとして用いられる。
排気部15は、排気室18と、該排気室18の側面に開口する排気管29と、該排気管29に接続された排気装置30とを有する。排気装置30はターボ分子ポンプ等の高速真空ポンプを備えている。排気部15は、排気装置30を作動させることにより、チャンバ11の内部のガスを排気室18の内部空間へ均一に流し込み、さらに該ガスを当該内部空間から排気管29を介して外部へ排気する。これにより、チャンバ11の内部を、例えば、0.133Paまで迅速に減圧することができる。
制御部16は、レーザ光加熱装置10の各構成要素の動作を制御するモジュールコントローラである。制御部16は、典型的にはコンピュータであり、例えば、図2に示すように、CPUを備えたコントローラ31と、該コントローラ31に接続されたユーザーインターフェース32と、記憶部33とを備える。
コントローラ31は、レーザ光加熱装置10において、温度、圧力、ガス流量、赤外線レーザ光の出力や照射時間等の各種処理条件に関係する各構成要素(例えば、レーザ光照射部13、ガス供給部14、排気装置30等)を制御する。
ユーザーインターフェース32は、操作者がレーザ光加熱装置10を操作するためにコマンドの入力等を行うキーボードやタッチパネル、並びに、レーザ光加熱装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有する。また、記憶部33は、レーザ光加熱装置10において実行される各種処理をコントローラ31の制御を通じて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピ等を保存する。
制御部16は、ユーザーインターフェース32からの指示等に応じて任意のレシピを記憶部33から呼び出し、該レシピをコントローラ31に実行させる。このとき、レーザ光加熱装置10のチャンバ11の内部では、所望の処理、例えば、後述する図4のカーボンナノチューブ成長方法に対応する処理が実行される。
なお、制御プログラムや処理条件データ等が記録されたレシピは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体34に格納された状態のものであってもよい。記録媒体34としては、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリを用いることができる。さらに、レシピは、他の装置から専用回線等を介して伝送されてきたものを用いてもよい。
上述したレーザ光加熱装置10では、ウエハWの表面に形成された触媒金属層へ赤外線レーザ光を照射して微細な金属微粒子を形成し、赤外線レーザ光によって炭素含有ガスを炭素原子に分解し、微細な金属微粒子を核として炭素原子を再結晶させてカーボンナノチューブを成長させる。
図4は、本実施の形態に係るカーボンナノチューブ成長方法を示す工程図である。
図4において、まず、シリコン基部35の上に酸化珪素(例えば、SiO2)層36、窒化膜(例えば、TiN)層37及び触媒金属層38がこの順で積層されたウエハWを準備し(図4(A))、レーザ光加熱装置10のゲートバルブ20を開弁して搬出入口19からウエハWをチャンバ11の内部に搬入し、載置台12上に載置する。ウエハWの触媒金属層38を構成する金属としては、Cu、Fe、Co、Ni、Ru、Au等の遷移金属、又はこれらの遷移金属を含む合金が該当する。触媒金属層38は、スパッタリング、蒸着法、CVD法、めっき等の公知の成膜技術によって形成される。なお、ウエハWは、シリコン基板ではなく、ガラス基板やプラスチック(高分子)基板等であってもよい。
次いで、レーザ光照射部13がウエハWの触媒金属層38へ向けて赤外線レーザ光Lを照射する。赤外線レーザ光Lは触媒金属層38へ熱エネルギーを付与し、熱エネルギーが付与された触媒金属層38の表面ではマイグレーションが発生し、触媒金属層38の触媒金属の原子の凝集が生じて触媒金属微粒子39が形成される(図4(B))。なお、本実施の形態では、触媒金属層38において赤外線レーザ光Lによって照射される箇所を照射箇所という。
一般に、赤外線レーザ光Lは出力、照射時間を正確に調整することができるので、触媒金属層38における照射箇所へ付与する熱エネルギーの量を正確に制御することができる。したがって、図4のカーボンナノチューブ成長方法では、上述した赤外線レーザ光Lの特性を利用して触媒金属層38へ付与する熱エネルギーの量を調整する。具体的には、出力が100〜10000Wの赤外線レーザ光Lの照射箇所への照射を数ミリ秒、例えば、0.001〜1000msecだけ継続することにより、照射箇所の温度を300〜900℃、好ましくは、400〜600℃へ昇温させて触媒金属層38の表面に発生するマイグレーションの程度を制御し、触媒金属の原子の凝集の程度を所望の値に制御する。これにより、所望の大きさの触媒金属微粒子39を形成することができる。
赤外線レーザ光Lを触媒金属層38における照射箇所へ照射する際、ガス供給部14はチャンバ11の内部へ混合ガスを噴出する。混合ガスはガス供給源24から供給されるが、混合ガスは不活性ガス、例えば、N2ガス、Heガス、若しくはArガスのみを含んでもよく、不活性ガスに加えて水素含有ガス、例えば、H2ガスやNH3ガスを含んでいてもよい。特に、水素含有ガスを含む場合、赤外線レーザ光Lによる加熱によって水素含有ガスから生じる水素原子は触媒金属微粒子39の表面を還元し、触媒金属微粒子39の活性化を行う。
このとき、チャンバ11の内部の圧力は、溶融した触媒金属層38の蒸発を抑制する観点から、例えば、13〜1333Paとすることが好ましく、66〜666Paがより好ましい。
また、混合ガス中の水素含有ガスの流量は、水素原子を多く供給して形成された触媒金属微粒子39を確実に活性化させる観点から、例えば、1〜100mL/分(sccm)とすることが好ましく、5〜50mL/分(sccm)がより好ましい。
ところで、赤外線レーザ光Lの触媒金属層38における照射箇所への照射を無期限に継続すると、付与される熱エネルギーの量が増大してマイグレーションが促進されて触媒金属の原子の凝集が過度に進行し、その結果、触媒金属微粒子39の大きさが所望値を超えるおそれがある。
これに対して、図4のカーボンナノチューブ成長方法では、触媒金属微粒子39の大きさが所望値に達した時点で、赤外線レーザ光Lの触媒金属層38への照射を停止する。赤外線レーザ光Lの照射の停止によって触媒金属層38への熱エネルギーの付与を直ちに停止することができ、もって、触媒金属の原子の凝集を直ちに停止することができる。その結果、触媒金属微粒子39の成長を直ちに停止して触媒金属微粒子39の大きさが所望値を超えるのを防止することができる。
触媒金属微粒子39の大きさが所望値に達した否かの判定は、予め触媒金属微粒子39の大きさが所望値に達するまでの時間を計測し、該時間が経過したか否かに基いて行われるが、判定の方法はこれに限られず、例えば、SEMで触媒金属微粒子39の大きさを直接確認して判定を行ってもよい。
このとき、触媒金属微粒子39の大きさとしては、例えば、1〜50nm程度が好ましい。触媒金属層38の最初の膜厚が薄いほど、凝集される触媒金属の原子の量も減少し、形成される触媒金属微粒子39の直径も小さくなる。例えば、触媒金属層38の膜厚が1nmの場合、形成される触媒金属微粒子39の直径は10nm程度であり、触媒金属層38の膜厚が2nmの場合、形成される触媒金属微粒子39の直径は20nm程度である。
ところで、触媒金属層38における照射箇所は赤外線レーザ光Lのスポットに対応するため、上述した赤外線レーザ光Lの照射及び照射の停止を行うと、触媒金属層38において赤外線レーザ光Lのスポットに対応する面積だけ触媒金属微粒子39が生成される。
これに対応して、本実施の形態では、一の照射箇所において触媒金属微粒子39が生成された後、赤外線レーザ光Lを赤外線レーザ光Lのスポット径分だけウエハWの表面と平行(図4(B)中の黒矢印方向)に移動させて赤外線レーザ光Lの照射及び照射の停止を繰り返す。すなわち、赤外線レーザ光Lによって触媒金属層38を走査するので、触媒金属層38の広範囲において触媒金属微粒子39を生成することができる。特に、赤外線レーザ光Lの出力、照射時間を均一にすることによって各照射箇所へ付与する熱エネルギーの量を均一にすることにより、各照射箇所における触媒金属の原子の凝集の程度を同じにすることができ、触媒金属層38の広範囲において均一な大きさの触媒金属微粒子39を生成することができる。
次いで、レーザ光照射部13が各照射箇所へ向けて赤外線レーザ光Lを再度照射するとともに、ガス供給部14がチャンバ11の内部へ混合ガスを噴出して各触媒金属微粒子39へ向けて混合ガスを供給する。ここで、赤外線レーザ光Lは、混合ガスが供給されているチャンバ11の内部である処理空間を介して各照射箇所へ照射される。このとき、混合ガスは、炭素含有ガス、例えば、C2H4ガスと、不活性ガス、例えば、Arガスとを含む。このとき、不活性ガスはキャリアガスとして作用する。
混合ガス中のC2H4ガスは、各照射箇所へ向けて照射された赤外線レーザ光Lによって炭素原子に熱分解される。本実施の形態では、熱分解によって生じた炭素原子を用い、各触媒金属微粒子39を核として炭素原子を再結晶させてカーボンナノチューブ40を形成する(図4B(C))。
カーボンナノチューブ40を形成する際も、照射箇所へ付与する熱エネルギーの量を調整する。具体的には、出力が100〜10000Wの赤外線レーザ光Lを照射することにより、照射箇所の温度を300〜900℃、好ましくは、400〜600℃へ昇温させ、さらに、赤外線レーザ光Lの照射箇所への照射を数分、例えば、1〜60分に亘って維持することにより、C2H4ガスの炭素原子への熱分解を継続し、炭素原子の供給を継続させてカーボンナノチューブ40の成長を継続させる。
チャンバ11の内部の圧力は、カーボンナノチューブの十分な成長速度を維持する観点から、例えば、13〜1333Pa(0.1〜10Torr)とすることが好ましく、66Pa〜667Paがより好ましい。
混合ガス中のC2H4ガスの流量は、効率的にカーボンナノチューブ40を成長させる観点から、例えば、1〜100mL/分(sccm)とすることが好ましく、5〜50mL/分(sccm)がより好ましい。
また、混合ガス中の炭素含有ガスとしては、C2H4ガスに限らず、CH4、C2H6、C3H8、C3H6、C2H2等の炭化水素ガスや、CH3OH、C2H5OH等の炭素含有ガスを代わりに用いることができる。また、Arガスに代えて、他の希ガス、例えば、He、Ne、Kr、Xeの各ガスやN2ガスを用いることもできる。特に、不活性ガスとして、ArガスだけでなくN2ガスをチャンバ11の内部に導入することにより、カーボンナノチューブ40の成長速度を速め、かつ品質を向上させることができる。但し、不活性ガスの使用は必須ではない。
不活性ガスとして、Arガスを導入する場合、その流量は、効率的にカーボンナノチューブ40を成長させる観点から、例えば、100〜2000mL/分(sccm)とすることが好ましく、300〜1000mL/分(sccm)がより好ましい。また、N2ガスを導入する場合、その流量は、効率的にカーボンナノチューブ40を成長させる観点から、例えば、100〜1000mL/分(sccm)とすることが好ましく、100〜300mL/分(sccm)がより好ましい。
さらに、混合ガスは、炭素含有ガスや不活性ガスに加えて水素含有ガス、例えば、H2ガスやNH3ガスを含んでいてもよい。水素含有ガスを含む場合、赤外線レーザ光Lによる加熱によって水素含有ガスから生じる水素原子は触媒金属微粒子39の表面を還元し、触媒金属微粒子39の活性化を行う。これにより、触媒金属微粒子39を核とするカーボンナノチューブ40の成長を促進することができる。
また、混合ガスには、例えば、O2、O3、H2O、N2O等の酸化ガスを加えてもよい。この場合、カーボンナノチューブ40の品質を向上させることができる。
カーボンナノチューブ40は触媒金属微粒子39の性状を保ったまま成長するため、上述した赤外線レーザ光Lの照射及び照射の停止の繰り返しを利用して広範囲において微細であって均一な大きさの触媒金属微粒子39を生成し、ウエハWにおいて高密度な触媒金属微粒子39の分布を実現することにより、高密度のカーボンナノチューブ40を得ることができる。
上述したカーボンナノチューブ40の成長は赤外線レーザ光Lが照射される照射箇所及びその近傍のみで実現されるため、本実施の形態では、一の照射箇所においてカーボンナノチューブ40を成長させた後、レーザ光照射部13及びガス供給部14を赤外線レーザ光Lのスポット径分だけウエハWの表面と平行(図4(C)中の黒矢印方向)に移動させて他の照射箇所でもカーボンナノチューブ40を成長させる。すなわち、赤外線レーザ光Lによって微細な触媒金属微粒子39が高密度に形成されたウエハWの表面を走査するので、ウエハWの表面の広範囲において微細なカーボンナノチューブ40を成長させることができる。特に、赤外線レーザ光Lの出力、照射時間を均一にすることによって各照射箇所へ付与する熱エネルギーの量を均一にすることにより、各照射箇所において供給される炭素原子の量を同じにすることができ、触媒金属層38の広範囲において均一な長さのカーボンナノチューブ40を成長させることができる。
以上、図4のカーボンナノチューブ成長方法によれば、触媒金属層38へ赤外線レーザ光Lが照射されて触媒金属層38が加熱されるが、赤外線レーザ光Lは出力、照射時間を正確に調整することができるので、触媒金属層38へ付与する熱エネルギーの量を正確に制御することができ、もって、触媒金属の原子の凝集の程度を正確に制御することができる。また、触媒金属層38への赤外線レーザ光Lの照射が停止されて触媒金属層38が冷却されるが、赤外線レーザ光Lの照射の停止によって触媒金属層38への熱エネルギーの付与を直ちに停止することができ、もって、適切な程度まで進行した凝集を維持したまま、触媒金属を凝固させることができる。その結果、触媒金属層38から微細な触媒金属微粒子39を形成することができ、もって、高密度のカーボンナノチューブ40を得ることができる。
上述した図4のカーボンナノチューブ成長方法では、触媒金属微粒子39の形成及びカーボンナノチューブ40の成長のいずれも赤外線レーザ光Lの照射によって行うことができるため、触媒金属微粒子39の形成及びカーボンナノチューブ40の成長を同じレーザ光加熱装置10で行うことができ、スループットを向上するとともに、設備コストも下げることができる。なお、カーボンナノチューブ40の成長は、炭素含有ガスをプラズマによって分解して炭素原子を生じさせるプラズマ処理装置を用いてもよい。
また、上述した図4のカーボンナノチューブ成長方法では、プラズマを生じさせないため、カーボンナノチューブ40にプラズマ中の電子やイオンに因るダメージを与えることがなく、結晶欠陥や不純物の導入を抑制して不純物が少ないカーボンナノチューブ40を形成することができる。
以上、本発明について、上述した各実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではない。
L 赤外線レーザ光
W ウエハ
10 レーザ光加熱装置
13 レーザ光照射部
14 ガス供給部
38 触媒金属層
39 触媒金属微粒子
40 カーボンナノチューブ
W ウエハ
10 レーザ光加熱装置
13 レーザ光照射部
14 ガス供給部
38 触媒金属層
39 触媒金属微粒子
40 カーボンナノチューブ
Claims (4)
- 触媒金属層から触媒金属微粒子を形成する触媒金属微粒子形成ステップを有し、
前記触媒金属微粒子形成ステップは、触媒金属層へレーザ光を照射するレーザ光照射ステップと、前記触媒金属層への前記レーザ光の照射を停止するレーザ光照射停止ステップと、
前記触媒金属微粒子へ向けて炭素含有ガスを供給してカーボンナノチューブを前記触媒金属微粒子から成長させるカーボンナノチューブ成長ステップとを有することを特徴とするカーボンナノチューブ成長方法。 - 前記レーザ光照射ステップでは、前記レーザ光によって前記触媒金属層を走査することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ成長方法。
- 前記カーボンナノチューブ成長ステップにおいて、前記炭素含有ガスが供給されている空間を介して前記触媒金属微粒子へ前記レーザ光を照射することを特徴とする請求項1又は2記載のカーボンナノチューブ成長方法。
- 前記カーボンナノチューブ成長ステップでは、前記レーザ光によって前記触媒金属微粒子が形成された基板の表面を走査することを特徴とする請求項3記載のカーボンナノチューブ成長方法。
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