JP5046110B2 - 金属酸化物繊維材形成体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物繊維材形成体の製造方法に係り、更に詳細には、金属酸化物繊維材の長さや径などの形態をより広い範囲で制御することが可能な金属酸化物繊維材形成体の製造方法に関する。
従来、反応炉中にターゲットとしてのタングステンフィラメントを配置し、シリコンウエハーを基板として配置し、空気雰囲気下でタングステンフィラメントを950℃〜1100℃で1時間以上加熱する酸化タングステンナノ構造物等の製造方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また、タングステンを主成分とする下地層の上に微孔形成層を形成し、微孔形成層に細孔構造を形成し、この被加工物を陽極酸化して細孔構造の底部に酸化タングステン凸構造を形成し、成長させるナノ構造体の製造方法が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2004−196628号公報 特開2005−76039号公報
しかしながら、上記特許文献1においては、長さが2μm以下、径が20〜100nmの範囲である酸化タングステンナノ構造物の製造方法は記載されているものの、このような範囲より大きなものについては、その製造方法が示されていない。
また、上記特許文献2においては、長さが数μm以下、径が数十nm以下の範囲である酸化タングステン細線構造を有するナノ構造体の製造方法は記載されているものの、このような範囲より大きなものについては、その製造方法が示されていない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属酸化物繊維材の長さや径などの形態をより広い範囲で制御することが可能な金属酸化物繊維材形成体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、次の[1]及び[2]の要件を満足する金属酸化物繊維材形成体の製造方法とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]金属酸化物繊維材形成体の製造方法は、金属酸化物繊維材の構成金属を含有する基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱する工程(1)を含む。
[2]金属酸化物繊維材形成体の製造方法は、工程(1)の後に実施され、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱した基材原料を、第1酸素濃度と異なる第2酸素濃度である第2の雰囲気下において加熱する工程(2)を含む。
即ち、本発明の金属酸化物繊維材形成体の製造方法は、基材と、この基材の表面に形成された金属酸化物繊維材と、を備える金属酸化物繊維材形成体の製造方法であって、以下の工程(1)及び(2)を含む。
(1)金属酸化物繊維材の構成金属を含有する基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱する工程
(2)酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱した基材原料を、第1酸素濃度と異なる第2酸素濃度である第2の雰囲気下において加熱する工程
本発明によれば、上述した[1]及び[2]の要件を満足する金属酸化物繊維材形成体の製造方法とすることとしたため、金属酸化物繊維材の長さや径などの形態をより広い範囲で制御することが可能な金属酸化物繊維材形成体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の金属酸化物繊維材形成体の製造方法について説明する。
上述の如く、本発明の金属酸化物繊維材形成体の製造方法は、基材と、この基材の表面に形成された金属酸化物繊維材とを備える金属酸化物繊維材形成体の製造方法であって、以下の工程(1)及び(2)を含む方法である。
(1)金属酸化物繊維材の構成金属を含有する基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱する工程
(2)工程(1)の後に実施され、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱した基材原料を、第1酸素濃度と異なる第2酸素濃度である第2の雰囲気下において加熱する工程
このような製造方法とすることにより、金属酸化物繊維材の長さや径、更には金属酸化物繊維材の密生度合いなどの形態をより広い範囲で制御することができる。
ここで、金属酸化物繊維材とは、金属酸化物ウィスカー又は金属酸化物ファイバーを意味する。
金属酸化物ウィスカーとは、長さが1〜1000μmであり、径が0.01〜10μmであり、アスペクト比が1000程度までである金属酸化物をいう。
一方、金属酸化物ファイバーとは、長さが1μm〜10cmであり、径が0.01〜1μmであり、アスペクト比が1000を超えるものである金属酸化物をいう。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、(1)工程について説明する。
(1)工程においては、金属酸化物繊維材の構成金属を含有する基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱して、金属酸化物繊維材の前駆体を生成することができれば、その他の条件については特に限定されるものではない。
ここで、金属酸化物繊維材の前駆体とは、後の加熱処理において金属酸化物繊維材を形成するものをいう。
このような前駆体は、例えば基材原料の表面の全面又は一部に被膜として形成される。この被膜の量は、後に形成される金属酸化物繊維材の長さや径、更には密生度合いに影響する。
例えば被膜が基材原料の表面のほぼ全面に形成される場合であって、金属酸化物繊維材の長さを20μm以上にする場合には、被膜の厚みは20μm以上であることが好ましい。
厚みが20μm未満であると、所望の長さの金属酸化物繊維材を形成することができないことがある。
上記基材原料としては、金属酸化物繊維材の構成金属を含有するものを用いることを要するが、この構成金属は、基材原料の全体に含まれていてもよく、一部に含まれていてもよい。
このような基材原料としては、例えば構成金属の単体や構成金属を含有する合金、更には構成金属を含有する窒化物や炭化物、ホウ化物などを挙げることができる。
また、その形状についても、特に限定されるものではなく、このような基材原料として、例えば金属基材表面に基材原料を含む被膜を例えばメッキなどにより形成したもの、基材原料の形状を多孔質体など使用する際の形状に成形したものなどを用いることができる。
更には、このような基材原料として、使用する際の形状に成形した多孔質体に基材原料の粉末をまぶしたものを用いることもできる。
上記金属酸化物繊維材としては、例えば、金属酸化物が金属酸化物の構成金属よりも高い蒸気圧を有する金属酸化物繊維材を挙げることができる。
このような金属酸化物繊維材は、金属酸化物が金属酸化物の構成金属より蒸発し易く、上述した金属酸化物繊維材の前駆体を容易に形成することができる。
このような金属酸化物となる金属としては、例えばタングステン(W)やモリブデン(Mo)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)などを挙げることができる。これらは、基材原料に単独で含まれていてもく、混合されて含まれていてもよい。
その中でも、複数の酸化数をとりえる元素であり、それぞれの酸化物における蒸気圧が異なる金属は特に望ましい。このような観点からは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)、バナジウム(V)などを好適例として挙げることができる。
また、得られる金属酸化物繊維材形成体を、例えばリチウム電池やキャパシタなどの電気化学セルの電極に適用する場合に、優れた電気伝導性を有するという観点からは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)、バナジウム(V)などの金属を含む基材原料を用いることが望ましい。
なお、本発明の金属酸化物繊維材形成体の製造方法においては、加熱処理において酸素濃度を途中で変化させるため、加熱処理において酸素濃度を一定とする場合と比べて低い温度で、上記各種の金属を含む金属酸化物繊維材を形成することができる。
上記第1の雰囲気としては、酸素濃度が金属酸化物繊維材の前駆体を生成することができる第1酸素濃度であることを要するが、その他の条件については特に限定されるものではない。
上記第1酸素濃度は、例えば1体積ppm〜5体積%(1atm、25℃)であることが好ましく、100体積ppm〜1体積%(1atm、25℃)であることがより好ましい。
第1酸素濃度が1体積ppm(1atm、25℃)未満の場合には、金属酸化物繊維材の前駆体を生成することができないことがある。
また、第1酸素濃度が5体積%(1atm、25℃)を超える場合には、緻密な酸化膜が基材原料の表面に形成され、後に加熱処理をしても金属酸化物繊維材が形成され難くなる場合がある。
ここで、酸素量を1atm、25℃の条件下における濃度によって規定したが、同じ酸素圧力(分圧)を示せば、他の条件であってもよいことは言うまでもない(以下同様である。)。
また、第1の雰囲気は、上述した第1酸素濃度である第1の不活性ガス雰囲気条件とすることができる。
上記不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はラドン、及びこれらの任意の組合せに係る混合ガスを用いることができる。
更に、第1の雰囲気は、上述した第1酸素濃度である第1の不活性ガス雰囲気の第1ガス流れ条件とすることができる。
上記第1ガス流れは、例えば容積1Lの電気炉を用いた場合には、1〜1000cm/分(1atm、25℃)とすることが好ましく、1〜100cm/分(1atm、25℃)とすることがより好ましい。
第1ガス流れが1cm/分(1atm、25℃)未満の場合には、十分に酸素が供給されずに前駆体が形成されなかったり、緻密な酸化膜が基材原料の表面に形成され、後に加熱処理をしても金属酸化物繊維材が形成され難くなる場合がある。
また、第1ガス流れが1000cm/分(1atm、25℃)を超える場合には、金属酸化物繊維材の前駆体が基材原料の表面に生成されず、後に加熱処理をしても金属酸化物繊維材が形成され難くなることがある。
ここで、ガス流れを1atm、25℃の条件下における流量によって規定したが、他の条件であっても換算して規定することができることは言うまでもない(以下、同様である。)。
なお、第1ガス流れ条件は、経時的に変化してもよい。
更にまた、第1の雰囲気は、上述した第1酸素濃度であり、温度が第1温度である第1の不活性ガス雰囲気の第1ガス流れ条件とすることができる。
上記第1温度は、例えばタングステンの場合、700℃以下とすることが好ましく、500℃以下とすることがより好ましい。また、熱処理を行う前段階での酸素濃度を第1酸素濃度とすることも可能で、その場合には第1温度は室温でも構わない。
また、第1温度が700℃を超える場合には、急激にタングステンの酸化が進むことにより、後に加熱処理をしても金属酸化物繊維材が形成され難くなる場合がある。
なお、第1温度は、経時的に変化してもよい。また、例えば昇温速度1〜50℃/分で加熱処理をしてもよい。この場合、第1温度は昇温目標温度である最高温度で規定する。
更に、(1)工程の加熱時間は、上述した酸素濃度やガス流れ、温度の条件によって若干のズレは生じるが、1〜5時間程度とすればよい。
次に、(2)工程について説明する。
(2)工程においては、(1)工程の後に実施され、(1)工程で加熱した基材原料を、第1酸素濃度と異なる第2酸素濃度である第2の雰囲気下において加熱して、基材の表面に所望の金属酸化物繊維材を形成することができれば、特に限定されるものではない。
ここで、所望の金属酸化物繊維材は、上述した金属酸化物ウィスカーや金属酸化物ファイバーである。
また、基材の表面には、上述した金属酸化物繊維材の前駆体を含む被膜が形成されている場合もある。
上記第2の雰囲気としては、酸素濃度が上述した第1酸素濃度と異なり、且つ上述した金属酸化物繊維材を形成することができる第2酸素濃度であることを要するが、その他の条件については特に限定されるものではない。第1酸素濃度中での加熱が上述した金属酸化物繊維材の前駆体形成を促進するのに対して、第2酸素濃度中での加熱は前駆体からの金属酸化物繊維材形成を促進する濃度でなければならない。そのため、金属酸化物繊維材の酸化数とその前駆体の組成の酸化数により、第1酸素濃度と第2酸素濃度のどちらを高くするかが決まる。今回は一例としてタングステンを挙げることとする。
上記第2酸素濃度は、例えばタングステンの場合、1体積%以下(1atm、25℃)であることが好ましく、100体積ppm以下(1atm、25℃)であることがより好ましく、10体積ppm以下(1atm、25℃)であることが更に好ましい。
第2酸素濃度が1体積%を超える場合には、緻密な酸化膜が基材原料に形成され、金属酸化物繊維材が形成され難くなる。
ここで、第2酸素濃度を0体積ppmとする場合も、本発明の範囲に含まれる。
例えばタングステンにおいては、長い金属酸化物繊維材を得ようとする場合、第2酸素濃度をできる限り低くすることが好ましい。第2酸素濃度が高くなってしまうと、金属酸化物繊維材の前駆体の形成が促進されるため、金属酸化物繊維材の形成が促進され難くなり、長い金属酸化物繊維材を得られない場合がある。
また、第2の雰囲気は、上述した第2酸素濃度である第2の不活性ガス雰囲気条件とすることができる。
上記不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はラドン、及びこれらの任意の組合せに係る混合ガスを用いることができる。
更に、第2の雰囲気は、上述した第2酸素濃度である第2の不活性ガス雰囲気の第2ガス流れ条件とすることができる。
上記第2ガス流れは、1〜1000cm/分(1atm、25℃)とすることが好ましく、1〜100cm/分(1atm、25℃)とすることがより好ましい。
第2ガス流れが1cm/分(1atm、25℃)未満の場合には、金属酸化物繊維材の前駆体からの金属酸化物繊維材形成が促進されず、金属酸化物繊維材を得られない場合がある。
また、第2ガス流れが1000cm/分(1atm、25℃)を超える場合には、金属酸化物繊維材の前駆体が蒸発・拡散して金属酸化物繊維材を形成できないことがある。
金属酸化物繊維材の径は、第2ガス流れの流量が小さいと大きく、流量が大きいと小さくなる傾向がある。なお、第2ガス流れによる金属酸化物繊維材の径の調整は、長さの調整と連動しており、第2ガス流れの調整により径を小さくしようとすると、長さが短くなる傾向があり、径を大きくしようとすると、長さが長くなる傾向がある。
また、第2ガス流れは、第1ガス流れと同じでもよく、異なってもよい。更に、第2ガス流れは、経時的に変化してもよい。
更にまた、第2の雰囲気は、上述した第2酸素濃度であり、温度が第2温度である第2の不活性ガス雰囲気の第2ガス流れ条件とすることができる。
上記第2温度は、例えばタングステンの場合、1600℃以下とすることが好ましく、600〜1200℃とすることがより好ましい。
第2温度が600℃未満の場合には、金属酸化物繊維材の前駆体がそのまま残ってしまうことがある。
また、第2温度が一定温度(例えばタングステンの場合には1600℃)を超える場合には、金属酸化物繊維材の前駆体が蒸発してしまい、金属酸化物繊維材が形成されないことがある。
例えばタングステンの場合、金属酸化物繊維材の長さを2μm以上にする場合には、第2温度は、900〜1600℃であることが好ましい。
一方、金属酸化物繊維材の長さを2μm未満にする場合には、第2温度は700〜900℃であることが好ましい。
第2温度が700℃未満であると、金属酸化物繊維材を形成することができないことがある。第2温度が900℃を超える場合にも、第2ガス流量を増加させることで所望のウィスカーを得ることが可能であるが、製造コストの面で好ましくない。
また、第2温度は、第1温度と同じでもよく、異なってもよい。
また、第2温度は、経時的に変化してもよい。更に、(2)工程の加熱時間は、特に限定されるものではないが、1〜100時間とすればよい。
なお、第2温度を調整することにより、密生度合いを制御することもできる。例えば第2温度を高い温度域(900℃以上)に設定すると、密生度合いを高くすることができる。
このようにして得られた金属酸化物繊維材形成体は、例えばリチウム電池やキャパシタなどの電気化学セルの電極に適用することができる。
そして、金属酸化物繊維材は、その長さが長いほど電極表面積が増えて、電気化学セルの電気的な容量を増加させることができる。また、金属酸化物繊維材は、その長さが短いほど電気抵抗が小さくなるので、電気化学セルの応答性を速くすることができる。
以上に説明した金属酸化物繊維材形成体の製造方法では、加熱処理における酸素濃度を途中で変化させることなどによって、金属酸化物繊維材の長さや径、更には密生度合いなどが広い範囲で異なる金属酸化物繊維材形成体を得ることができる。
更に言えば、加熱処理といった単一の処理手段により、上述した所望の性能を有する電気化学セルの電極を作製することができる。
また、このような製造方法は、低コストで信頼性が高く、簡便で高いスループットを実現でき、工業生産に適している。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
基材原料としてタングステン金属平板(高純度化学研究所製)を用いた。
次いで、密閉可能な炉内に、このタングステン金属平板を配置し、0.33体積%の酸素を含むアルゴンを炉内に導入し、酸素含有アルゴンの流量が30cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で400℃まで昇温した。
更に、引き続き、酸素濃度0体積%であるアルゴンを炉内に導入し、アルゴンの流量が30cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で1100℃まで昇温した。
しかる後、1100℃で2時間保持し、1時間で室温まで温度を降下させて、本例の金属酸化物繊維材形成体を得た。
得られた金属酸化物繊維材形成体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図1は、得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。その結果、金属酸化物繊維材においては、長さ:20μm、径:0.5μmであった。また、基材表面の膜においては、厚み:10μmであった。
また、得られた金属酸化物繊維材形成体をX線結晶構造解析(XRD)で評価した。その結果、金属酸化物繊維材においては、W1849の構造を主成分としていることを確認した。
これらから、酸化タングステン膜を表面に有するタングステン金属平板基材と、この表面に形成された酸化タングステンから成るウィスカーとを備える酸化タングステンウィスカー形成体が得られたことが分かった。
(実施例2)
基材原料としてタングステン金属平板(高純度化学研究所製)を用いた。
次いで、密閉可能な炉内に、このタングステン金属平板を配置し、0.33体積%の酸素を含むアルゴンを炉内に導入し、酸素含有アルゴンの流量が30cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温した。
更に、引き続き、酸素濃度0体積%であるアルゴンを炉内に導入し、アルゴンの流量が20cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で1100℃まで昇温した。
しかる後、1100℃で5時間保持し、1時間で室温まで温度を降下させて、本例の金属酸化物繊維材形成体を得た。
得られた金属酸化物繊維材形成体をSEMにより観察した。図2は、得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。その結果、金属酸化物繊維材においては、長さ:20μm、径:3μmであった。また、基材表面の膜においては、厚み:50μmであった。
また、得られた金属酸化物繊維材形成体をXRDで評価した。その結果、金属酸化物繊維材においては、W1849の構造を主成分としていることを確認した。
(実施例3)
基材原料としてタングステン金属平板(高純度化学研究所製)を用いた。
次いで、密閉可能な炉内に、このタングステン金属平板を配置し、1体積%の酸素を含むアルゴンを炉内に導入し、酸素含有アルゴンの流量が15cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で400℃まで昇温した。
更に、引き続き、酸素濃度0体積%であるアルゴンを炉内に導入し、アルゴンの流量が15cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で1100℃まで昇温した。
しかる後、1100℃で5時間保持し、1時間で室温まで温度を降下させて、本例の金属酸化物繊維材形成体を得た。
得られた金属酸化物繊維材形成体をSEMにより観察した。図3は、得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。その結果、金属酸化物繊維材においては、長さ:25μm、径:0.7μmであった。また、基材表面の膜においては、厚み:5μmであった。
また、得られた金属酸化物繊維材形成体をXRDで評価した。その結果、金属酸化物繊維材においては、W1849の構造を主成分としていることを確認した。
(比較例1)
基材原料としてタングステン金属平板(高純度化学研究所製)を用いた。
次いで、密閉可能な炉内に、このタングステン金属平板を配置し、500体積ppmの酸素を含むアルゴンを炉内に導入し、酸素含有アルゴンの流量が60cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で1100℃まで昇温した。
しかる後、1100℃で2時間保持し、1時間で室温まで温度を降下させて、本例の金属酸化物繊維材形成体を得た。
得られた金属酸化物繊維材形成体をSEMにより観察した。図4は、得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。その結果、金属酸化物繊維材においては、長さ:1μm、径:0.3μmであった。
また、得られた金属酸化物繊維材形成体をXRDで評価した。その結果、金属酸化物繊維材においては、W1849の構造を主成分としていることを確認した。
これらから、タングステン金属平板基材と、この表面に形成された酸化タングステンから成るウィスカーとを備える酸化タングステンウィスカー形成体が得られたことが分かった。
(比較例2)
基材原料としてタングステン金属平板(高純度化学研究所製)を用いた。
次いで、密閉可能な炉内に、このタングステン金属平板を配置し、1000体積ppmの酸素を含むアルゴンを炉内に導入し、酸素含有アルゴンの流量が200cm/分(1atm、25℃)の条件下、10℃/分の昇温速度で900℃まで昇温した。
しかる後、900℃で2時間保持し、1時間で室温まで温度を降下させて、本例の金属酸化物繊維材形成体を得た。
得られた金属酸化物繊維材形成体をSEMにより観察した。図5は、得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。その結果、金属酸化物繊維材においては、長さ:0.4μm、径:0.2μmであった。
また、得られた金属酸化物繊維材形成体をXRDで評価した。その結果、金属酸化物繊維材においては、W1849の構造を主成分としていることを確認した。
上述したように、加熱処理における酸素濃度を途中で変化させることによって得られた実施例1〜3の酸化タングステンウィスカー形成体は、金属酸化物繊維材の長さや径などが広い範囲で異なるものとなっている。
従って、本発明の金属酸化物繊維材形成体の製造方法は、金属酸化物繊維材の長さや径などの形態をより広い範囲で制御することができる金属酸化物繊維材形成体の製造方法であることが分かる。
一方、上述したように、加熱処理における酸素濃度を一定とすることによって得られた比較例1〜2の酸化タングステンウィスカー形成体は、金属酸化物繊維材の長さが1μm以下、径が0.3μm程度のものとなっていることが分かる。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
上記実施形態等において、(1)工程においては、所定の基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気(不活性ガス雰囲気)下において加熱する場合について説明したが、例えば微量酸素を含む減圧条件下において加熱する場合も、本発明を適用することができる。
なお、この場合は、圧力条件に応じて、酸素濃度を適宜調整すればよい。また、減圧条件下で加熱した場合には、上述した前駆体は、大気圧条件と比較して多い割合で雰囲気中にガスとして存在することとなる。
また、上記実施形態等においては、(1)工程と(2)工程の2段階の加熱処理によって所望の金属酸化物繊維材形成体を製造する場合について説明したが、例えば更に他の加熱処理の工程を付加して行う場合についても、本発明を適用することができる。
例えば、(2)工程の後に実施され、酸化や還元、表面改質などの工程を付加して行うことができる。
また、例えば、(1)工程と(2)工程との間において、酸素濃度やガス流れ、温度などの条件を段階的又は連続的に変化させる場合についても、本発明を適用することができる。
更に、上記実施形態においては、金属酸化物繊維材形成体の用途としてリチウム電池やキャパシタなどの電気化学セルの電極を例示して説明したが、触媒及び触媒担体やフィルター、放熱部材などとして好適に用いることもできる。
実施例1において得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。 実施例2において得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。 実施例3において得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。 比較例1において得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。 比較例2において得られた金属酸化物繊維材形成体の断面状態を示すSEM写真である。

Claims (5)

  1. 基材と、この基材の表面に形成された金属酸化物繊維材と、を備える金属酸化物繊維材形成体の製造方法であって、以下の工程(1)及び(2)
    (1)金属酸化物繊維材の構成金属を含有する基材原料を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱する工程、
    (2)酸素濃度が第1酸素濃度である第1の雰囲気下において加熱した基材原料を、第1酸素濃度と異なる第2酸素濃度である第2の雰囲気下において加熱する工程、
    を含むことを特徴とする金属酸化物繊維材形成体の製造方法。
  2. 上記金属酸化物繊維材は、金属酸化物が金属酸化物の構成金属よりも高い蒸気圧を有することを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物繊維材形成体の製造方法。
  3. 上記(1)工程を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の不活性ガス雰囲気下で行い、且つ上記(2)工程を、酸素濃度が第2酸素濃度である第2の不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属酸化物繊維材形成体の製造方法。
  4. 上記(1)工程を、酸素濃度が第1酸素濃度である第1の不活性ガス雰囲気の第1ガス流れ下で行い、且つ上記(2)工程を、酸素濃度が第2酸素濃度である第2の不活性ガス雰囲気の第2ガス流れ下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の金属酸化物繊維材形成体の製造方法。
  5. 上記(1)工程を、酸素濃度が第1酸素濃度であり、温度が第1温度である第1の不活性ガス雰囲気の第1ガス流れ下で行い、且つ上記(2)工程を、酸素濃度が第2酸素濃度であり、温度が第2温度である第2の不活性ガス雰囲気の第2ガス流れ下で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の金属酸化物繊維材形成体の製造方法。
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