JP4614063B2 - ウィスカー形成体及びウィスカー形成体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、Si基板上に樹脂マスクをパターニングし、その上に金を蒸着させVLS成長でウィスカーサイズや形成密度を制御してSiのウィスカーを得ることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、パターニングの手間がかかり、多くの工程が必要であった。また、粉体など基材に凹凸のある場合には適用が難しく、パターニングの精度にサイズが依存されていた。
しかし、ポリマーなので、耐熱性・耐食性などに問題があった。また、太さが0.3μm以上と大きいウィスカーの形成に留まっていた。
また、本発明によれば、原料基体に含まれる酸化物構成元素の組成比をコントロールすることにより、所望のサイズの酸化物ウィスカーを有するウィスカー形成体を提供することができる。
ここで、現時点では、かかるウィスカーが成長する原理は明らかではないが、金属は蒸気圧が高く、金属種の中では揮発し易いこと、また金属よりも同じ温度での蒸気圧が低い酸化物(但し、複数の酸化数を持つ金属の場合、全ての酸化数でこの条件を満たす必要はない)があること、によるものと推察できる。即ち、まず、原料基体の表面周辺に金属の蒸気又は酸化物の蒸気が存在している状態が形成される。次いで、原料基体の表面にウィスカーの基点となる核が形成される。更に、この核を先端としてウィスカーが成長する。このとき、原料基体表面の温度と不活性ガスの流量には最適範囲があり、その範囲から大きくても小さくても形成密度が減少すると考えられる。例えば、マンガンとインジウムを含む原料基体の表面が1000℃のときは、マンガンの蒸気圧は約3×10−2Torr(約4Pa)で酸化マンガン(MnO)の蒸気圧が約3×10−7Torr、インジウムの蒸気圧は2×10−2Torrで酸化インジウムの蒸気圧が7×10−8Torrであることが密接に関係すると考えられる。
このように、本発明のウィスカー形成体は、表面に形成させるウィスカーが微細構造を有するとともに著しく大きい表面積を有するため、フィルターや各種薬剤を担持させる担体やクッション材や防振材となどの強化材以外の用途にも適している。また、導電性を持つ酸化物材料のウィスカーを形成させることによって、燃料電池(FC)の電極材料などに利用するときは、優れた導電性を発揮し、また、その防振効果やクッション性からFCを破損から保護するのに極めて有効である。
更に、上記ウィスカーを構成する酸化物構成元素としては、マンガン、アルミニウム、クロム、インジウム、銀、ガリウム、錫、銅、スカンジウム、ゲルマニウム又は亜鉛、及びこれらを任意に組合わせた合金などが挙げられる。
ウィスカー製造の際に、原料基材中の酸化物構成元素の含有比率を3〜50%に制御するときは、太さが10nm〜1μm、長さが50nm〜50μmのウィスカーが得られる。即ち、酸化物構成元素の含有比率が多いほど太くて長いヒゲ状のウィスカーが形成され、含有比率が低いほど細かいヒゲ状のウィスカーが形成される。
例えば、フィルターや触媒などに用いる場合は、対象物の大きさに合ったサイズのウィスカーを適宜選択して設計できるので効率がよい。
上記ウィスカーと従来例を拡大概略図により比較してみると、図4に示すように、本発明例1及び2は著しく小さい。このように、本発明品は、同じ体積(重さ)では、従来のウィスカーよりも約11〜48倍の表面積を有し、電極材料等に好適であることがわかる。
本発明の製造方法は、まず、原料基体として、酸化物構成元素を含む金属、合金又はセラミックス、及びこれらを任意に組合わせたもの(例えば、マンガン含有合金やマンガン含有セラミックスなど)を反応炉内に設置する。次いで、不活性ガス雰囲気中且つ微量酸素の存在下で加熱処理することにより、原料基体の表面にウィスカーが得られる。
具体的には、例えば、図5に示すように、原料基体として、酸化物構成元素から成る粉末をまぶした(又は混合した)多孔質基材、又は酸化物構成元素を含有する合金(又はセラミックス)を用意する。この原料基体を密閉可能な反応炉に設置し、Arを導入して1000℃前後で加熱すると、粉末を中心としてウィスカーが周囲へ成長する。得られたウィスカー形成体の拡大写真を図6に示す。
更に、加熱処理においては、これら不活性ガスとともに、微量の酸素が存在することを要する。これは、原料から形成されるウィスカーは、酸化物として成長するからである。但し、当該酸素は、反応炉内に不活性ガスを送入する前の大気に残存する程度(1〜1000ppm程度)で足りる。
更にまた、加熱処理においては、焼成温度は使用する反応炉や試料の大きさ形状などにも依存するが、例えば、反応炉の容積が3Lの場合には、不活性ガスを0.1〜5L/minで供給し、900〜1100℃で30〜1000分間焼成することができる。
例えば、酸化物構成元素がマンガンの場合、図9〜11に示すように、同一の熱処理条件下において、マンガン含有量を10〜80%の範囲で増大させる場合には、平均太さが10nm〜5μm及び平均長さが2〜50μmまでの範囲でウィスカーのサイズを選択的に設計できる。これより、フィルターや触媒などとしてウィスカー形成体を用いる場合は、対象物の大きさに合ったサイズにウィスカーを成長させ得る。
マンガンを10%含むNiの多孔質焼結体金属を原料基体として使用した。この多孔質焼結体金属を、不活性ガスとしてアルゴン1l/minを供給しながら1050℃で1時間焼成し冷却して、多孔質焼結体金属表面にウィスカーを形成させた。EDXでウィスカーの組成分析を行ったところMnとOのみ検出された。図7にウィスカーの拡大写真を示す。
マンガン粉末を混合させたNi−Fe(50%−50%)合金粉末の多孔質焼結体金属を原料基体として使用した。この多孔質焼結体金属を、不活性ガスとしてアルゴンを1l/minで供給しながら1000℃で1時間焼成し冷却して、多孔質焼結体金属表面にウィスカーを形成させた。EDXでウィスカーの組成分析を行ったところMnとOのみ検出された。図8にウィスカーの拡大写真を示す。
従来技術で得られる平均的なウィスカーとして太さ5μm、長さ50μmの四角柱状ウィスカー(水酸化マンガン)を用意した。
上記実施例で得られたウィスカーと参考例のウィスカーの大きさを比較した結果を表1に示す。
マンガンを10%含むNiMnの合金粉末を原料基体として使用した。この合金粉末を、不活性ガスとしてアルゴン1l/minを供給しながら1000℃/hで昇温させ、1000℃で2時間焼成し冷却して、ウィスカーを形成させた。得られたウィスカーの平均太さは10〜50nm、平均長さは2〜3μm程度であった。図9にウィスカー形成体の拡大写真を示す。
マンガンの含有量比を50%とした以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、ウィスカーを形成させた。得られたウィスカーの平均太さは100〜1000nm、平均長さは10μm程度であった。図10にウィスカー形成体の拡大写真を示す。
マンガンの含有量比を80%とした以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、ウィスカーを形成させた。得られたウィスカーの平均太さは1〜5μm、平均長さは50μm程度であった。図11にウィスカー形成体の拡大写真を示す。
また、実施例1で得られたウィスカー形成体のウィスカーは、幹部の周囲に枝部が成長した構造であり、単位長さあたりに複数の枝部を有することにより、湿式法などで触媒等の機能性物質をより多く担持できる。更に、実施例2で得られたウィスカー形成体のウィスカーのように、貴金属基体に直接ウィスカーが形成されるので、基体と一体のまま電極等として使用できるので有効である。
更に、実施例3〜5では、図9〜11に示すように、原料基体中のマンガン含有比率を増大すると、ウィスカーのサイズも増大していることがわかる。
例えば、原料基体としてはインコネルなども使用できる。
Claims (5)
- 原料基体の表面上にウィスカーを形成させたウィスカー形成体であって、
該原料基体は、金属、合金及びセラミックスから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含んで成り、該ウィスカーは、その原料基体に10〜80%含まれるマンガンの酸化物から成ることを特徴とするウィスカー形成体。 - 上記原料基体が、ニッケルを含むことを特徴とする請求項1に記載のウィスカー形成体。
- 上記原料基体の表面部と内部の組成が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のウィスカー形成体。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のウィスカー形成体を製造する方法であって、
金属、合金及びセラミックスから成る群より選ばれた少なくとも1種のもの含む原料基体を、不活性ガス雰囲気中且つ1〜1000ppmの微量酸素の存在下で加熱処理し、該原料基体に10〜80%含まれるマンガンの酸化物から成るウィスカーを原料基体の表面に形成させることを特徴とするウィスカー形成体の製造方法。 - 上記原料基体にニッケルを含めることを特徴とする請求項4に記載のウィスカー形成体の製造方法。
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