JP6190209B2 - 光触媒繊維構造体、及び光触媒繊維構造体の製造方法 - Google Patents

光触媒繊維構造体、及び光触媒繊維構造体の製造方法 Download PDF

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本発明は、光触媒繊維構造体、及び光触媒繊維構造体の製造方法に関し、より具体的には可視光応答型の光触媒繊維構造体、及び光触媒繊維構造体の製造方法に関する。
近年、健康志向の高まりや生活での安全性についての意識が向上していることもあり、日々の生活における、臭いや有害物質に対応する技術開発が進んでいる。その中でも日本発の光触媒技術は、光を照射するだけで臭いの元である臭気物質や有害物質の分解が可能であることから、広く利用が進んでいる。
光触媒によって臭気物質や有害物質を分解する技術では、分解対象物への接触面積を増大させるために、繊維状の構造体を利用することが多い。この繊維状の構造体は、フィルタなどに加工されることによって、実用的な利用が可能となる。このフィルタは、空気清浄機や水処理装置などで利用されており、分解対象物を含む高速な流体に曝されることになる。このため、光触媒は、繊維状の構造体に対する高い付着性が必要となる。また、繊維状の構造体自体についても、高い強度が必要となっている。
また、光触媒の材料として、一般に、光触媒効果を奏する酸化チタンが用いられることが多い。しかし、酸化チタンは、バンドギャップが紫外光に対応しており、紫外光しか吸収できない。このため、酸化チタンが光触媒として活性化するためには、紫外光を利用するしかなかった。それゆえ、光触媒技術に対して例えば省エネ照明であるLEDを利用した場合などには、酸化チタンを利用することができない。
可視光に対して活性化する光触媒として、酸化チタンに窒素や硫黄をドープしたものや金属元素をドープしたもの、白金化合物や鉄化合物、銅化合物を酸化チタンの表面に担持したものなどが利用されている。
酸化チタンに窒素や硫黄をドープしたものや金属元素をドープしたものは、酸化チタン中に不純物が高濃度に添加されてしまうために、酸化チタン中に欠陥が発生する。そして、この欠陥が分解に寄与する正孔や電子が再結合センターとなってしまう。そのため、可視光に対して活性な光触媒は形成されるものの、十分な可視光応答性が得られないという問題があった。
一方、白金化合物や鉄化合物、銅化合物を酸化チタンの表面に担持したものは、酸化チタン表面と該表面に担持されたそれら化合物との接触箇所にて光の吸収がおこるため、光の吸収量が小さく、光触媒として高い活性が得られないという問題があった。
そこで、近年、酸化チタンよりも小さなバンドギャップを有する酸化タングステン系の材料に対して、光触媒の検討が進んでいる。酸化タングステン系の光触媒は、不純物を添加しなくても可視光に対して活性であり、それ自体が光を吸収するため、欠陥による再結合の抑制や高い光吸収量を見込むことができる。
光触媒繊維構造体を形成する技術として、例えば特許文献1及び2の技術が挙げられる。特許文献1の技術では、まず、ディップコート法を用いて繊維状シリカガラス担体にチタンアルコキシド溶液を被膜し、その後、焼成することによって、シリカガラス担体表面に酸化チタンの被膜を形成している。
また、特許文献2には、可視光活性を有するシリカ基光触媒繊維の製造方法が開示されている。特許文献2の技術は、紡糸剤の原料となる有機ケイ素重合体中に、低分子量の有機金属化合物或いは低分子量有機ケイ素重合体との反応物が共存している場合、紡糸後の熱処理過程において、上記有機金属化合物成分を含む低分子量物が繊維表面に選択的に移行(ブリードアウト)し、熱処理後の空気中焼成により、同低分子量物に由来する酸化物層が繊維表面に生成する点に着目している。特許文献2の方法では、緻密なシリカ繊維とその表面に酸化チタンが形成されることによって、高強度な光触媒繊維を形成することが可能になる。
特開2013−121592号公報(2013年 6月20日公開) 特許3465706号公報(2003年11月10日発行)
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、以下の問題がある。
まず、特許文献1の技術によって形成された光触媒繊維構造体は、高負荷環境である、高速な流体中などで利用すると、酸化チタンの被膜がシリカガラス担体から剥離してしまうおそれがある。
また、特許文献2の技術では、可視光に対して活性化する光触媒を得るために、異種の金属元素をドープしている。このため、光触媒として、高い活性を得ることができないという問題がある。
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、可視光に対し高い光触媒活性を有し、また繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い光触媒繊維構造体、及び光触媒繊維構造体の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光触媒繊維構造体は、繊維状のタングステンからなる金属相と、上記金属相を覆うように形成された、酸化タングステンからなる酸化物相と、を有することを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る光触媒繊維構造体の製造方法は、繊維状のタングステン材料を酸化雰囲気にて焼成することによって、タングステン材料の表面に、酸化タングステンからなる酸化物相を形成する焼成工程を含むことを特徴としている。
本発明の一態様によれば、可視光に対し高い光触媒活性を有し、また繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い、可視光応答型の光触媒繊維構造体を実現できるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る光触媒繊維構造体の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態2に係る光触媒繊維構造体の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態3に係る光触媒繊維構造体の概略構成を示す斜視図である。
本発明者は、可視光に対する高い光触媒活性を有する光触媒材料として酸化タングステンを採用し、繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い材料を開発するべく鋭意検討した結果、タングステンワイヤーを酸化雰囲気で焼成し、表面に形成される酸化タングステンを光触媒として利用することに着目した。そして、これによって、可視光に対し高い光触媒活性を有し、また繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い光触媒繊維構造体を形成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の光触媒繊維構造体は、可視光応答型の光触媒繊維構造体であって、タングステンからなる金属相と、上記金属相を覆うように形成された、酸化タングステンからなる酸化物相と、を有することを特徴としている。
上記光触媒繊維構造体の製造方法は、例えば、タングステンワイヤーを酸化雰囲気で焼成することによって、タングステンワイヤーの表面に、酸化物相としての、可視光に対し光触媒活性を有するWO(三酸化タングステン)を含む相を形成する焼成工程を含む構成である。
本発明者は、このような方法によって得られた光触媒繊維構造体は、タングステンと酸化タングステンとの密着性が高く、タングステンワイヤーの表面のみを酸化することによって、タングステンからなる金属相については高い耐久性を維持していることを見出した。また、この光触媒繊維構造体は、フィルタに応用しても、可視光に対する高い光触媒活性を有しており、さらに、高速な流体や水流といった環境下においても、光触媒繊維構造体表面の光触媒層が剥がれず、また光触媒繊維構造体自体の耐久性が高いことを見出した。
上記光触媒繊維構造体における金属相としては、例えば、上述のように、一般に市販されているタングステンワイヤー等が利用できる。タングステンワイヤーの径は、特に限定されるものではないが、耐久性を維持するために、20μm以上であることが好ましい。
また、上記光触媒繊維構造体における酸化物相の構成材料である酸化タングステンは、タングステンを酸化雰囲気で焼成することによって形成される。酸化タングステンとしてWOを形成する場合、焼成工程では、空気中で600〜1000℃という焼成条件で焼成する、あるいは水蒸気雰囲気下で400〜1000℃という焼成条件で焼成することが好ましい。しかし、焼成条件は、WOが形成される条件であれば良く、上記焼成条件に制限されるものではない。
また、本発明者は、光触媒繊維構造体について、タングステンワイヤーの焼成時の酸化条件を変えることによって、上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素数を増加させることが可能であることを見出した。そして、このように上記金属相から上記酸化物相へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素数が増加していることによって、繊維状の担体(金属相)に対する酸化タングステン(酸化物相)の密着性が向上していることを見出した。
すなわち、本発明の一態様に係る光触媒繊維構造体は、上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素が増加していることが好ましい。
ここで、タングステン、WO(二酸化タングステン)、及びWOの密度はそれぞれ、19.3、10.8、7.2[g/cm]であり、分子内に存在する酸素数が少ないほど密度が大きくなる。上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素数が増加していることによって、酸化による密度変化が小さくなるため、酸化物相で構成される膜の金属相に対する密着性が向上したと考えられる。
酸化タングステンとしてWOを形成する場合、焼成工程では、空気中で300〜600℃という焼成条件で焼成することが好ましい。しかし、焼成条件は、WOが形成される条件であれば良く、上記焼成条件に制限されるものではない。
また、WOは、光触媒効果が高いので、上記酸化物相の表層を構成する材料は、WOであることが好ましい。ここでいう「酸化物相の表層」は、光触媒繊維構造体の酸化物相における外気に曝されている層状部分のことをいう。
また、上記酸化物相を構成する酸化タングステンがWO及びWOである場合、上述のWO及びWOの焼成条件に基づいて、上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって、WO、WOがこの順に形成されていることが好ましい。なお、上記酸化物相を構成する酸化タングステンは、上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素数が増加していればよく、WO及びWOとは異なる割合で酸素が存在するように焼成されたものでもよい。例えば、上記酸化物相を構成する酸化タングステンは、WO及びWO以外に、WO2.72、WO2.9等を含んでいてもよい。
酸化物相の厚さは、酸化タングステンが形成されることにより減少するタングステンワイヤーの径が、タングステンワイヤーの耐久性を維持できるような厚さであればよく、その酸化物相の厚さは10nm〜5μmであることが好ましい。
また、上記酸化物相の表面には、金属、貴金属化合物、及び銅化合物からなる群から少なくとも1つ選択される担持物が担持されていることが好ましい。ここでいう「酸化物相の表面」は、光触媒繊維構造体の酸化物相における外気に曝されている面のことをいう。
酸化物相の表面に担持される金属としては、例えば、Pt、Au、Pd、Cu、Fe、Nb、Ruなどが挙げられる。また、貴金属化合物としては、例えば、HPtClやPtO、PtClなどが挙げられる。また、銅化合物としては、例えば、CuO、CuO、CuSO、CuClなどが挙げられる。これら担持物は、それぞれ単独で用いられてもいいし、2種以上を併用されていてもよい。
また、上記担持物として金属を担持する方法としては、例えば、金属自体を乳鉢などで混錬することによって担持する方法、金属の前駆体溶液中に繊維を含浸し、それを引上げ、乾燥、焼成することによって担持する方法、金属の前駆体溶液中に繊維を含浸し、バンドギャップ以上の光を照射し、金属を坦持する方法などが挙げられる。しかし、金属を担持する方法は、これらの方法に制限されるものではない。
また、上記担持物として貴金属化合物や銅化合物を担持する方法としては、例えば、金属の前駆体溶液中に繊維を含浸し、それを引上げ、乾燥することで担持する方法が挙げられる。しかし、貴金属化合物や銅化合物を担持する方法は、これらの方法に制限されるものではない。
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Aの概略構成を示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Aは、上記金属相としてのタングステンワイヤー部2と、タングステンワイヤー部2を覆うように形成された酸化物相3と、を有する。酸化物相3は、WO(三酸化タングステン)から構成されている。
酸化物相3は、タングステンワイヤーを、例えば、空気中で600〜1000℃という焼成条件で焼成する、あるいは水蒸気雰囲気下で400〜1000℃という焼成条件で焼成することによって形成される。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図2は、本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Bの概略構成を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Bは、酸化物相3の構成が、実施形態1に係る光触媒繊維構造体と異なる。具体的には、図2に示されるように、酸化物相3は、WOからなる相3a及びWOからなる相3bから構成されている。すなわち、本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Bは、タングステンワイヤー部2(金属相)から酸化物相3の表層へ向かって、相3a、相3bがこの順に形成されており、タングステンワイヤー部2(金属相)から酸化物相3の表層へ向かって、酸化物相3の分子内に存在する酸素数が増加している。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図3は、本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Cの概略構成を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る光触媒繊維構造体1Cは、担持物4を備えた点が、実施形態1に係る光触媒繊維構造体と異なる。具体的には、図3に示されるように、担持物4は、酸化物相3の表面に担持されており、金属、貴金属化合物、及び銅化合物からなる群から少なくとも1つ選択される材料から構成されている。これによって、光触媒繊維構造体1Cの光触媒効果をさらに向上させることが可能になる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光触媒繊維構造体1Aは、繊維状のタングステンからなる金属相(タングステンワイヤー部2)と、上記金属相を覆うように形成された、酸化タングステンからなる酸化物相3と、を有する可視光応答型の光触媒繊維構造体である。
上記の構成によれば、酸化タングステンからなる酸化物相3は、焼成等によってタングステンからなる金属相の表面のみを酸化することにより形成されたものである。それゆえ、タングステンと酸化タングステンとの密着性が高く、金属相については高い耐久性を維持する。したがって、上記の構成によれば、水処理装置や空気清浄装置のフィルタに応用しても、可視光に対する高い光触媒活性を有しており、さらに、高速な流体や水流といった環境下においても、光触媒層として酸化物相は、繊維状の担体としての金属相表面から剥がれず、光触媒繊維構造体自体の耐久性が高くなる。
以上のことから、上記の構成によれば、可視光に対し高い光触媒活性を有し、また繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い光触媒繊維構造体を実現できる。
本発明の態様2に係る光触媒繊維構造体1Aは、上記態様1において、上記酸化物相3の表層を構成する材料は、WO(三酸化タングステン)であることが好ましい。
上記の構成によれば、WOは、光触媒効果が高いので、可視光に対し高い光触媒活性を有する光触媒繊維構造体を実現できる。
本発明の態様3に係る光触媒繊維構造体1Bは、上記態様1または2において、上記金属相(タングステンワイヤー部2)から酸化物相3の表層へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素が増加していることが好ましい。
上記の構成によれば、上記金属相から酸化物相3へ向かって、上記酸化タングステンの分子内に存在する酸素数が増加しているので、繊維状の担体としての上記金属相に対する酸化タングステン(酸化物相3)の密着性が向上する。
本発明の態様4に係る光触媒繊維構造体1Cは、上記態様1〜3において、酸化物相3の表面には、金属、貴金属化合物、及び銅化合物からなる群から少なくとも1つ選択される担持物4が担持されていることが好ましい。これによって、光触媒効果をさらに向上させることが可能になる。
本発明の態様5に係る光触媒繊維構造体1Cは、上記態様4において、上記金属は、Pt、Au、Pd、Cu、Fe、Nb、及びRuからなる群から少なくとも1つ選択され、上記貴金属化合物は、HPtCl、PtO、及びPtClからなる群から少なくとも1つ選択され、上記銅化合物は、CuO、CuO、CuSO、及びCuClからなる群から少なくとも1つ選択されることが好ましい。
本発明の態様6に係る光触媒繊維構造体1Aの製造方法は、繊維状のタングステン材料を酸化雰囲気にて焼成することによって、タングステン材料の表面に、酸化タングステンからなる酸化物相3を形成する焼成工程を含む構成である。これによって、態様1と同様の効果を奏する。
また、本発明の態様7に係る光触媒繊維構造体1Aの製造方法は、上記態様6において、上記焼成工程は、上記タングステン材料を、空気中で600〜1000℃という焼成条件で焼成する、あるいは水蒸気雰囲気下で400〜1000℃という焼成条件で焼成する第1段階を含むことが好ましい。これによって、酸化物相3として、光触媒効果が高いWOからなる相を形成することができる。
また、本発明の態様8に係る光触媒繊維構造体1Bの製造方法は、上記態様7において、上記焼成工程は、上記第1段階の前に、上記タングステン材料を、空気中で300〜600℃という焼成条件で焼成する第2段階を含むことが好ましい。この方法によって形成された酸化物相3は、金属相(タングステンワイヤー部2)から酸化物相3の表層へ向かって、WOからなる相3a、WOからなる相3bがこの順に形成されているので、繊維状の担体としての上記金属相に対する酸化タングステン(酸化物相3)の密着性が向上する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
<実験例1>
タングステンワイヤーを、800℃の空気中雰囲気のマッフル炉にて30分焼成し、タングステンワイヤーの表面にWOを形成させた。タングステンワイヤー(日本タングステン)は、その径が20μmであるものを用いた。作製された光触媒繊維構造体の色は黄色味を帯びていた。
光触媒の性能の評価として、ガスバッグ法にてアセトアルデヒドガスの分解速度の検討を行った。具体的には、ガスバッグ(ジーエルサイエンス:テドラーバッグ5L)の中に、光触媒繊維構造体(3g)を設置し、アセトアルデヒドガス(500ppm)を供給した。そして、上方から、青色LED(波長:450nm、照射強度:7mW/cm)を用いて、紫外線を含まない可視光を光触媒繊維構造体に照射し、1時間間隔でガスの一部を北川式ガス検知管(光明理化学工業)でサンプリングして、アセトアルデヒドの濃度を計測した。計測したアセトアルデヒド濃度と計測時間とから反応速度係数を算出した。具体的には、アセトアルデヒド濃度の対数を縦軸とし計測時間を横軸として、プロットして得られた直線の傾きから反応速度係数を算出した。得られた反応速度定数は、0.5[1/h]であった。
また、光触媒繊維構造体の耐久性の評価を行った。具体的には、作製した光触媒繊維構造体を、円筒形のパイプ中に固定し、パイプに水を流しながら、水流に1ヶ月間曝した。その後、光触媒繊維構造体について、ガスバッグ法によって光触媒性能の評価を行った。得られた反応速度定数は、0.45[1/h]であった。
<実験例2>
タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)を、600℃の水蒸気雰囲気の管状炉にて30分焼成し、タングステンワイヤーの表面にWOを形成させた。作製された光触媒繊維構造体の色は黄色味を帯びていた。
作製した光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、0.7[1/h]であった。
<実験例3>
タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)を、マッフル炉にて500℃、30分焼成し、タングステンワイヤーの表面にWOを形成させた。その後、マッフル炉にて800℃、30分の焼成を行い、最表面にWOを形成させた(図2)。作製された光触媒繊維構造体の色は黄色味を帯びていた。
作製した光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、0.5[1/h]であった。
また、作製した光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に耐久性の評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、0.5[1/h]であった。
<実験例4>
実験例1と同様の方法によって、タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)にWOを形成し、光触媒繊維構造体を作製した。そして、作製した光触媒繊維構造体を濃度0.05mol/Lのヘキサクロロ白金水溶液(HPtCl:キシダ化学製)に含浸した。そして、引上げ、乾燥(100℃、1時間)、焼成(400℃、1時間)を行い、光触媒繊維構造体の表面にPt金属を析出させた(図3)。
このように表面にPt金属を析出させた光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、1.5[1/h]であった。
<実験例5>
実験例3と同様の方法によって、タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)にWO及びWOを形成し、光触媒繊維構造体を作製した。作製した光触媒繊維構造体の表面に、実験例4と同様の方法でPt金属を析出させた。
このように表面にPt金属を析出させた光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、1.6[1/h]であった。
<比較実験例1>
タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)を、真空炉にて焼成した(800℃、30分)。得られたワイヤーについて、色に変化なく、金属光沢が見られた。
このように焼成したタングステンワイヤーについて、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、アセトアルデヒドガスの分解は見られず、光触媒効果は見られなかった。
<比較実験例2>
タングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)を、マッフル炉にて焼成し(500℃、30分)、タングステンワイヤーの表面にWOを形成させた。作製された光触媒繊維構造体の色は、金色味を帯びていた。
作製された光触媒繊維構造体について、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、0.02[1/h]であったが、アセトアルデヒドの分解性能が低かった。
<比較実験例3>
光触媒用酸化タングステン粉末を含むスラリー(固形分濃度20%、溶媒:エタノール)を、シロキサン系のSiO塗布液中に1:1で混合し、光触媒用酸化タングステン塗布液(固形分濃度10%)を調合した。調合した光触媒用酸化タングステン塗布液中にタングステンワイヤー(日本タングステン:20μm)を含浸し、引上げた。そして、乾燥(200℃、30分)、焼成(300℃、60分)を行い、タングステンワイヤーに光触媒用酸化タングステン粉末を固定化させた。
このように光触媒用酸化タングステン粉末が固定化されたタングステンワイヤーについて、実験例1と同様に光触媒の性能評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、1.7[1/h]であった。また、実験例1と同様に耐久性の評価を行ったところ、得られた反応速度定数は、0.2[1/h]であった。
本発明は、可視光に対し高い光触媒活性を有し、また繊維状の担体に対する光触媒の密着性が高い光触媒繊維構造体を実現できるので、例えば、水処理装置や空気清浄装置に利用することができる。
1A、1B、1C 光触媒繊維構造体
2 タングステンワイヤー部(金属相)
3 酸化物相
3a 相(酸化物相)
3b 相(酸化物相)
4 担持物

Claims (4)

  1. 繊維状のタングステンからなる金属相と、
    上記金属相を覆うように形成された、酸化タングステンからなる酸化物相と、を有し、
    上記酸化物相において、上記金属相から上記酸化物相の表層へ向かって、WO の相、WO の相がこの順に形成されていることを特徴とする光触媒繊維構造体。
  2. 上記酸化物相の表層を構成する材料は、WOであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒繊維構造体。
  3. 上記酸化物相の表面には、金属、貴金属化合物、及び銅化合物からなる群から少なくとも1つ選択される担持物が担持され、
    上記金属は、Pt、Au、Pd、Cu、Fe、Nb、Ruからなる群から選択され、
    上記貴金属化合物は、H PtCl 、PtO 、PtCl からなる群から選択され、
    上記銅化合物は、CuO、Cu O、CuSO 、CuCl からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒繊維構造体。
  4. 繊維状のタングステン材料を酸化雰囲気にて焼成することによって、タングステン材料の表面に、酸化タングステンからなる酸化物相を形成する焼成工程を含み、
    上記焼成工程は、
    上記タングステン材料を、空気中で300〜600℃という焼成条件で焼成する段階と、
    上記段階の後、上記タングステン材料を、空気中で600〜1000℃という焼成条件で焼成する、あるいは水蒸気雰囲気下で400〜1000℃という焼成条件で焼成する段階と、を含むことを特徴とする光触媒繊維構造体の製造方法。
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