JP6447347B2 - カーボンナノ構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノ構造体及びカーボンナノ構造体の製造方法に関する。
炭素原子がナノメートルレベル間隔で並列した線状のカーボンナノチューブやシート状のグラフェンといったカーボンナノ構造体が従来知られている。このようなカーボンナノ構造体は、例えば鉄などの微細触媒を加熱しつつ、炭素を含む原料ガスを供給することで触媒からカーボンナノ構造体を成長させる方法により得られる(例えば特開2005−330175号公報参照)。
上記従来の製造方法は、カーボンナノ構造体を構成するカーボンナノフィラメントの触媒からの成長方向の制御が難しく、成長したカーボンナノフィラメントに曲がりが発生し易い。このように曲りが発生すると、カーボンナノフィラメントに例えば五員環や七員環などの構造的な欠陥が生じ、抵抗等が局所的に増加する。また、複数のカーボンナノフィラメントを高密度で束ねることが困難となる。
そこで、触媒を酸化し、この酸化した触媒を浸炭熱処理しながら分断することで、この分断面間にカーボンナノフィラメントを成長させる方法が提案されている(特開2013−237572号公報参照)。
特開2005−330175号公報 特開2013−237572号公報
上述の酸化触媒の分断面にカーボンナノフィラメントを成長させる方法では、従来の方法に比べ、曲りの少ないカーボンナノフィラメントを得ることができる。しかし、カーボンナノフィラメントを確実に成長させるには、触媒の分断面に突起等の成長起点が必要であるが、分断面にナノサイズの突起を安定して形成することは容易ではない。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、曲り等の変形が抑制されたカーボンナノ構造体、及び変形が抑制されたカーボンナノ構造体を安定して製造可能なカーボンナノ構造体の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体は、カーボンナノフィラメントが結節点から分岐し、3次元ネットワーク構造を有する。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、上記カーボンナノ構造体の製造方法であって、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とするスポンジ状体を用意する工程と、上記スポンジ状体を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程とを備える。
本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体は形状の安定性に優れる。また、本発明の別の一態様に係るカーボンナノ構造体は、曲り等の変形が抑制されたカーボンナノ構造体を安定して製造できる。
本発明の一実施形態のカーボンナノ構造体の模式図である。 本発明の一実施形態のカーボンナノ構造体の製造方法を示すフローチャートである。 図2のカーボンナノ構造体の製造方法で用いるカーボンナノ構造体の製造装置を示す模式図である。 図2のカーボンナノ構造体の製造方法で用いるスポンジ状体を示す模式図である。 図2のカーボンナノ構造体の製造方法の一工程を示す模式図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体は、カーボンナノフィラメントが結節点から分岐し、3次元ネットワーク構造を有する。
当該カーボンナノ構造体は、カーボンナノフィラメントが結節点から分岐した3次元ネットワーク構造を有するため、形状の安定性に優れる。つまり、当該カーボンナノ構造体の3次元ネットワーク構造は、例えばスポンジ状の触媒金属を分断しつつ炭素含有ガスを供給することで、この分断により形成される粒子を起点としてカーボンナノフィラメントを成長させることで得られる。そのため、当該カーボンナノ構造体は、曲りが少なく、かつ安定して製造することができる。
少なくとも上記結節点近傍に金属ナノ粒子が存在するとよい。このように上記結節点近傍にカーボンナノフィラメントの成長触媒である金属ナノ粒子が存在することで、当該カーボンナノ構造体の形状安定性が促進される。また、金属ナノ粒子により、カーボンナノ構造体の磁性等の特性を調整することができる。
上記金属ナノ粒子の主金属が、鉄、ニッケル又はコバルトであるとよい。金属ナノ粒子の主金属としてこれらの金属を用いることで、カーボンナノフィラメントをより確実に成長させることができる。なお、「主金属」とは、含有量の最も多い金属元素を意味し、例えば50質量%以上含まれる金属元素を意味する。
上記カーボンナノフィラメントのC軸が上記金属ナノ粒子の表面と略垂直方向に向くとよい。このようにカーボンナノフィラメントが配向していることで、カーボンナノフィラメントの安定成長が促進される。なお、「略垂直」とは、成す角度が85°以上95°以下であることを意味する。
上記金属ナノ粒子がカーボンナノフィラメントに包含されているとよい。このように金属ナノ粒子がカーボンナノフィラメントに包含されていることで、抵抗値等の特性を均質なものとすることができる。
上記カーボンナノフィラメントが、線状、チューブ状又はフィルム状であるとよい。このようにカーボンナノフィラメントを上記形状とすることで、種々の用途に適用できる。
本発明の別の一態様に係るカーボンナノ構造体の製造方法は、上記カーボンナノ構造体の製造方法であって、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とするスポンジ状体を用意する工程と、上記スポンジ状体を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程とを備える。なお、「主成分」とは、含有量の最も多い成分を意味し、例えば50質量%以上含まれる成分を意味する。
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物のスポンジ状体を用いてカーボンナノフィラメントを成長させることで、形状の安定したカーボンナノ構造体を容易かつ確実に得ることができる。なお、「スポンジ状体」とは、複数のフィラメント(線状体)が複数の結節点を介し3次元状にネットワークを形成した多孔質体をいう。
上記供給工程で、上記スポンジ状体に対して分断するような張力を付加するとよい。このように張力を付加することで、カーボンナノフィラメントの成長をより確実に行うことができる。
上記用意工程が、上記金属を主成分とする基材を酸化する工程と、上記酸化工程後の基材を還元する工程と、上記還元工程後の基材を再酸化する工程とを備えるとよい。このような工程により、上記スポンジ状体を容易かつ確実に形成することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
[カーボンナノ構造体]
図1に示すカーボンナノ構造体は、複数のカーボンナノフィラメント1が複数の結節点1aから分岐し、3次元ネットワーク構造を有する。当該カーボンナノ構造体は、カーボンナノフィラメント1が結節点1aから分岐した3次元ネットワーク構造を有することで、曲りが少なく、かつ安定して製造することができる。
カーボンナノフィラメント1は炭素からなる。カーボンナノフィラメント1の形状は、その用途に応じて適宜選択することができ、具体的には線状、チューブ状又はフィルム状とすることができる。なお、「フィルム状」とは、C軸方向に対するフィラメントの最大幅(C軸と垂直方向の最大長さ)が例えば5倍以上の板状を指す。
カーボンナノフィラメント1の長さ(結節点間距離)は、その用途に応じて適宜選択できるが、例えば1mm以上とすることができる。
カーボンナノフィラメント1が線状又はチューブ状の場合、その外径としては例えば10nm以上1μm以下とすることができる。
結節点1aは、3次元に延伸する複数のカーボンナノフィラメント1を結節する部分である。この結節点1aには金属ナノ粒子2が存在する。具体的には、金属ナノ粒子2が、結節点1aにおいてカーボンナノフィラメント1に包含されている。
金属ナノ粒子2は、当該カーボンナノ構造体を製造する際に用いられる金属触媒の一部である。従って、金属ナノ粒子2の主金属としては、鉄、ニッケル及びコバルトが好ましい。これらの中でも、後述するカーボンナノ構造体の製造方法でその酸化物のスポンジ状体を形成し易い鉄が好ましい。さらに、鉄の中でも純度が4N以上の純鉄が好ましい。また、金属ナノ粒子2は、酸素等の金属以外の成分を含んでもよい。つまり、金属ナノ粒子2は酸化された金属を含んでもよい。
金属ナノ粒子2には、一次粒子のほかに、複数のナノ粒子が集合した二次粒子も含まれる。
結節点1aに存在する金属ナノ粒子2の粒径の下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、金属ナノ粒子2の粒径の上限としては、500nmが好ましく、200nmがより好ましい。金属ナノ粒子2の粒径が上記下限より小さい場合、カーボンナノフィラメント1の成長起点が小さくなるため、カーボンナノフィラメント1の大きさ(C軸方向と垂直方向の寸法)を十分なものにできないおそれがある。逆に、金属ナノ粒子2の粒径が上記上限を超える場合、カーボンナノフィラメント1の成長起点が一定にならないため、カーボンナノフィラメント1の形状の安定性が低下するおそれがある。なお、金属ナノ粒子の粒径とは、金属ナノ粒子を顕微鏡観察し、平面視での最大径とこの最大径に直交する方向の径との平均から算出される値を指す。
また、カーボンナノフィラメント1のC軸は、上記金属ナノ粒子2の表面と略垂直方向に向いている。つまり、カーボンナノフィラメント1は、金属ナノ粒子2の表面からその法線方向に成長した構造を有する。
なお、当該カーボンナノ構造体は、カーボンナノフィラメント1の結節点1a以外の場所に製造時の触媒に由来する金属のナノ粒子を含んでいてもよい。
[カーボンナノ構造体の製造方法]
当該カーボンナノ構造体は、図2に示すように、以下の工程を備える製造方法により得ることができる。
(1)炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とするスポンジ状体を用意する工程S1
(2)上記スポンジ状体を加熱しつつ、上記スポンジ状体に炭素含有ガスを供給する工程S2
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物のスポンジ状体を用いてカーボンナノフィラメントを成長させることで、形状の安定したカーボンナノ構造体を容易かつ確実に得ることができる。
また、上記用意工程は、以下の工程を備える。
(1−1)上記金属を主成分とする基材を酸化する工程S11
(1−2)上記酸化工程後の基材を還元する工程S12
(1−3)上記還元工程後の基材を再酸化する工程S13
当該カーボンナノ構造体の製造方法は、例えば図3に示す製造装置を用いて好適に行うことができる。
(カーボンナノ構造体の製造装置)
図3に示すカーボンナノ構造体の製造装置は、反応室11と、反応室11の内部に配置された加熱器12と、加熱器12と対向配置され、シート状の基材Xを保持する一対の固定ブロック13a,13bと、固定ブロック13a,13bを支持するためのベース台14と、固定ブロック13a,13bと連結棒15により連結された駆動部16と、反応室11に原料ガスなどを供給するためのガス供給部17と、反応室11からガスを排気するための排気部18とを主に備える。また、図3の製造装置は、基材Xを局所的に加熱するためのレーザー光発振器19と、基材Xを局所的に冷却するための冷却器20a,20bと、加熱器12、駆動部16、ガス供給部17、排気部18、レーザー光発振器19及び冷却器20a,20bを制御するための制御部21とをさらに備える。
反応室11の内部において、一対の固定ブロック13a,13bはベース台14の上面に配置されている。固定ブロック13a,13bにより、基材Xの一方端部及び他方端部が把持される。基材Xの一方端部及び他方端部は、それぞれ固定ブロック13a,13bを介して一対の冷却器20a,20bにより局所的に冷却可能となっている。基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13b及び他方端部を冷却する冷却器20bは、ベース台14の上面を移動可能に構成される。一方、基材Xの一方端部を固定する固定ブロック13a及び一方端部を冷却する冷却器20aは、ベース台14に固定されている。
加熱器12は、固定ブロック13a,13bにより固定される基材Xの上面と対向するよう反応室11内に配置される。なお、反応室11の壁を石英などの透光性部材により構成することで、反応室11の外部に加熱器12を配置してもよい。加熱器12としては、例えば電熱ヒータなど任意の加熱装置を用いることができる。この加熱器12は、基材Xの酸化等に用いられる。
駆動部16は、基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13bに接続され、この固定ブロック13b及び他方端部を冷却する冷却器20bを連結棒15の軸と平行に水平方向に移動させる。
レーザー光発振器19は、基材Xの一部(具体的にはガス供給工程S2で分断する領域)を局所的に加熱する加熱源である。具体的には、反応室11の上壁面に開口が形成され、この開口に筒状のレーザー光導入部19aが接続されている。レーザー光発振器19から発振されたレーザー光は、レーザー光導入部19aを介して、反応室11の内部の基材Xに照射される。
基材Xに照射するレーザー光としては、赤外線が好ましく、具体的には900nm以上1000nm以下の波長のレーザー光が好ましい。
冷却器20a,20bの構成は、従来周知の任意の構成を採用することができ、例えばペルチェ素子などの熱電素子を用いてもよいし、水やその他の冷却媒体を流通させる構成としてもよい。なお、冷却媒体を用いる場合、冷却媒体を冷却器20a,20bから反応室11の外部まで導出し、外部において熱交換器などにより冷却した後、再度冷却器20a,20bに還流する構成としてもよい。
(1)用意工程S1
(1−1)酸化工程S11
本工程では、炭素と固溶体を形成可能な金属を主成分とする基材Xの少なくとも一部を酸化する。このような金属としては、鉄、ニッケル及びコバルトが好ましく、酸化物のスポンジ状体を形成し易い鉄が好ましい。さらに、鉄の中でも純度が4N以上の純鉄が好ましい。なお、基材Xは、本発明の効果を損なわない範囲で上記金属以外の添加物等を含んでもよい。
基材Xはシート状のものが好ましい。また、基材Xの平均厚さとしては、例えば10μm以上1mm以下とできる。なお、基材Xとして、例えば多孔質ウスタイトや酸化鉄の圧粉体等の多孔質体を用いてもよい。
上記基材Xの酸化方法としては、酸素存在下での熱処理が挙げられる。この熱処理としては、例えば大気雰囲気中で800℃以上900℃以下、0.5時間以上2時間以下加熱する方法が用いられる。
(1−2)還元工程S12
本工程では、上記基材Xの酸化部分を還元する。この還元時の浸炭により、基材Xは膨張する。基材Xの膨張倍率としては、例えば2倍以上である。
基材Xの還元方法としては、還元性ガス存在下での熱処理が挙げられる。この還元性ガスとしては、浸炭を行う観点から炭素を含むガスが用いられ、例えば一酸化炭素ガスが好適に用いられる。また、上記熱処理としては、例えば還元性ガスをガス供給部17より反応室11内に供給しつつ、850℃以上1000℃以下、0.5時間以上2時間以下加熱する方法が用いられる。なお、還元工程の加熱温度は、還元を確実に行う観点から酸化工程S11の加熱温度よりも高いことが好ましい。
(1−3)再酸化工程S13
本工程では、上記基材Xの還元部分を再酸化する。この再酸化により、基材X中の炭素が放出され、図4に示すような炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とするスポンジ状体Yが得られる。この酸化物は、例えばFeO、Fe、Fe等である。
基材Xの再酸化方法としては、酸素存在下での熱処理が挙げられる。この熱処理としては、例えば大気雰囲気中で600℃以上800℃以下、1分以上30分以下加熱する方法が用いられる。なお、スポンジ状体Yを確実に得る観点から、再酸化工程の加熱温度は酸化工程S11の加熱温度よりも低いことが好ましく、再酸化工程の加熱時間は酸化工程S11の加熱時間よりも短いことが好ましい。
スポンジ状体Yは、図4に示すように、複数の金属ナノ粒子が集合した金属フィラメント(線状体)が複数の結節点を介し3次元状にネットワークを形成した構成を有する。
なお、基材Xの再酸化後、ガス供給部17より窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを反応室11に供給し、反応室11内から酸素を排出することが好ましい。
また、用意工程S1は、予め酸化した基材Xを用いて、還元工程S12及び再酸化工程S13のみを行ってもよい。
(2)ガス供給工程S2
本工程では、スポンジ状となった基材Xを加熱しつつ、スポンジ状体Yに炭素含有ガスを供給する。このときスポンジ状体Yに対して分断するような張力を付加するとよい。具体的には、駆動部16により基材Xの他方端部を固定する固定ブロック13bを対向する固定ブロック13aから離間する方向に移動させることで、基材Xを分断するような張力を付加する。これにより、基材Xはスポンジ状体Yを構成する結節点間が分断されていく。また、上記分断と共に同時にレーザー光発振器19から発振されるレーザー光の照射により、基材Xの分断部分を加熱する。さらに、この状態の基材Xにガス供給部17より炭素含有ガスを供給する。
上記レーザー加熱の出力としては、例えば1W以上50W以下とすることができる。加熱時間としては、例えば1分以上30分以下とすることができる。また、加熱温度としては、例えば800℃以上1200℃以下である。
上記炭素含有ガスとしては、炭化水素ガス等の還元性を有するガスが用いられ、例えばアセチレンと窒素又はアルゴンとの混合ガスを用いることができる。この混合ガス中のアセチレン濃度としては1体積%以上20体積%以下とすることができる。
このような作業により、図5に示すようにスポンジ状体Yを構成する金属ナノ粒子が離間した領域、つまり、フィラメントの切断面にカーボンナノフィラメント1が成長する。換言すれば、離間した金属ナノ粒子間をカーボンナノフィラメント1が連結した構造が得られる。このとき、スポンジ状体Yの分断界面領域において、局所的に還元、浸炭、及びカーボンナノフィラメント1の成長というプロセスが連続的に行なわれる。また、上記張力の付加により、成長したカーボンナノフィラメント1に対して一定の張力が加えられた状態となるため、曲がりなどの変形が抑制されたカーボンナノフィラメント1を容易に成長させることができる。
このカーボンナノフィラメント1の成長過程を以下に詳述する。当該カーボンナノ構造体の製造方法では、例えば酸化鉄を含むスポンジ状体Yの分断端面(金属ナノ粒子の表面)を主に浸炭しながら、この端面より基材Xを構成する例えば鉄等の部材を主成分とする微粒子を分離しつつ、カーボンナノフィラメント1を連続的に成長させている。具体的には、まず、スポンジ状体Yを加熱し、原料ガスを供給することで、スポンジ状体Yの表面から順次浸炭を進行させる。次に、スポンジ状体Yの分断端面から浸炭された触媒(鉄)をナノサイズで分離し、端面と分離した触媒とを繋ぐカーボンナノフィラメント1を端面から略垂直に引き出す。この引出方向はカーボンナノフィラメント1のC軸となる。その後、さらに浸炭が進んで、より微細なサイズの浸炭された触媒が、例えばナノ粒子やナノフィラメントとして、順次スポンジ状体Yから分離してカーボンナノフィラメント1の内部に保持された(引き込まれた)状態でカーボンナノフィラメント1が成長する。換言すれば、分離された金属ナノ粒子や金属ナノフィラメントを繋ぐ様にカーボンナノフィラメント1が成長する。さらにその後、触媒が分離することで、スポンジ状体Yの分断端面には新生面が表出し、この新生面において浸炭が進行し、カーボンナノフィラメント1の成長が持続する。このとき分離した触媒がカーボンナノフィラメント1の内部に保持されることにより、分離した触媒がカーボンナノフィラメント1の成長を阻害する可能性を低減できる。引き出されたカーボンナノフィラメント1の中にはこの分離触媒(金属ナノ粒子)等が包含されるが、外周のグラフェン層は維持される。この結果、長尺のカーボンナノフィラメント1が形成される。
なお、スポンジ状体Yの結節点を構成していた金属ナノ粒子又は金属ナノ粒子群の少なくとも一部は、カーボンナノフィラメント1の成長に伴い、カーボンナノフィラメント1の結節点を構成する。この金属ナノ粒子又は金属ナノ粒子群は、冷却により炭素を放出して収縮し、その結果、カーボンナノフィラメント1に包含される。
当該カーボンナノ構造体の製造方法では、スポンジ状体Yに複数の方向の張力を付加すると良い。これにより、スポンジ状体Yのフィラメントを複数個所でより確実に分断し、カーボンナノフィラメント1を3次元的に成長させることができる。
なお、冷却器20で基材Xのカーボンナノフィラメント1の成長に寄与しない部分を冷却することが好ましい。さらに、基材Xの近傍に炭素含有ガスを供給する供給管等を用いて、スポンジ状体Yの分断部分に局所的に炭素含有ガスを供給してもよい。これらにより、カーボンナノ構造体の製造を効率的に行うことができる。
また、反応室11内にキャリアガスとして窒素ガス等の不活性ガスを供給することで、カーボンナノ構造体の形成に伴って炭素含有ガスから生成される反応ガス(一酸化炭素、、二酸化炭素、水等)をカーボンナノ構造体に接触させずに反応室11から排出することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該カーボンナノ構造体において、金属ナノ粒子は必ずしも存在しなくてもよい。つまり、当該カーボンナノ構造体の製造方法において、触媒金属が必ずしもカーボンナノフィラメントに引き込まれなくてもよく、かつ結節点に残留しなくてもよい。また、結節点に存在する金属ナノ粒子はカーボンナノフィラメントに包含されていなくてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
平均厚さ50μmの純鉄シート(純度4N)を基材として準備し、大気中で850℃、1時間熱処理して酸化鉄シートにした。次に、この酸化鉄シートを一酸化炭素ガスフロー中で900℃、1時間熱処理したところ、酸化鉄シートが還元され、サイズが約2倍に膨張した。その後、還元したシートを大気中で700℃、10分間熱処理したところ、酸化鉄フィラメントがスポンジ状にネットワークを組んだスポンジ状体が得られた。この酸化鉄フィラメントは、100〜数100nm径の酸化鉄ナノ粒子の結合体として形成されていた。
次に、上記スポンジ状体をアセチレンの濃度が5体積%のアセチレン及び窒素含有ガスフロー中でレーザー加熱により熱処理したところ、カーボンナノフィラメント(カーボンナノファイバー)が3次元ネットワーク状に形成されると共に、主に結節点の内部に鉄のナノ粒子が分散したカーボンナノ構造体が得られた。なお、レーザー加熱は11Wで5分間行った。
得られたカーボンナノ構造体をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、鉄ナノ粒子間をカーボンナノファイバーが連結した3次元ネットワーク構造が観察された。
以上のように、本発明の一態様に係るカーボンナノ構造体は形状の安定性に優れる。また、本発明の別の一態様に係るカーボンナノ構造体は、曲り等の変形が抑制されたカーボンナノ構造体を安定して製造できる。当該カーボンナノ構造体は、種々の用途に好適に用いることができる。
1 カーボンナノフィラメント
1a 結節点
2 金属ナノ粒子
11 反応室
12 加熱器
13a、13b 固定ブロック
14 ベース台
15 連結棒
16 駆動部
17 ガス供給部
18 排気部
19 レーザー光発振器
19a レーザー光導入部
20a、20b 冷却器
21 制御部
X 基材
Y スポンジ状体
S1 用意工程
S11 酸化工程
S12 還元工程
S13 再酸化工程
S2 ガス供給工程

Claims (2)

  1. カーボンナノフィラメントが結節点から分岐し、3次元ネットワーク構造を有するカーボンナノ構造体の製造方法であって、
    炭素と固溶体を形成可能な金属の酸化物を主成分とするスポンジ状体を用意する工程と、
    上記スポンジ状体を加熱しつつ炭素含有ガスを供給する工程と
    を備え
    上記供給工程で、上記スポンジ状体に対して分断するような張力を付加するカーボンナノ構造体の製造方法。
  2. 上記用意工程が、
    上記金属を主成分とする基材を酸化する工程と、
    上記酸化工程後の基材を還元する工程と、
    上記還元工程後の基材を再酸化する工程と
    を備える請求項に記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
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