以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、前後上下左右の方向として、スティック型およびハンディ型として使用する場合には、図1に示す前後上下左右方向を基準として説明する。また、電気掃除機を充電台に収納して充電する場合には、図34に示す前後上下左右方向を基準として説明する。
図1は電気掃除機をスティック型として使用する際の全体を示す外観斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機100は、掃除機本体1およびダストケース2(集塵装置)を備えて構成されている。なお、図1では、電気掃除機100に吸口体3を取り付けた場合を示しているが、隙間ノズル4(図2参照)、応用吸口体5(図53参照)、ふとん吸口6(図47参照)、回転ブラシ80(図50参照)に適宜切り替えて使用できる。
掃除機本体1は、本体部10、伸縮パイプ20および回転ハンドル30を備えて構成されている。ダストケース2および吸口体3は、掃除機本体1に着脱自在に取り付けられる。吸口体3は、パワーブラシ式のものである。
本体部10は、モータケース部11、蓄電池ケース部12およびパイプケース部13を備えている。また、本体部10には、ダストケース2が着脱自在に取り付けられるとともに、吸口体3から吸い込まれた塵挨を含む空気をダストケース2に送り込む導入路14を備えている。
モータケース部11には電動送風機40(図3参照)が内包され、蓄電池ケース部12には蓄電池60(図3参照)が内包され、パイプケース部13には伸縮パイプ20が内包される。
掃除機本体1の前端には、吸口体着脱ボタン16が設けられている。この吸口体着脱ボタン16を押下することで吸口体3の取り外しが可能となる。
伸縮パイプ20は、掃除機本体1に設けられたパイプケース部13内に伸縮自在に支持されている。また、伸縮パイプ20は、本体部10の後面から後方に向けて引き出されるようになっている。本体部10の側面に設けられたプッシュボタン24eを押下することで、伸縮パイプ20を前後方向に伸縮させることができる。また、使用者が掃除機本体1を使用している際に、伸縮パイプ20が縮むことがないようにロック機構を備えている。なお、伸縮パイプ20の伸縮機構およびロック機構についての詳細は後記する。
回転ハンドル30は、使用者が手で握る部分であり、伸縮パイプ20の先端部に回動自在に支持されている。なお、回転ハンドル30の回転機構部33についての詳細は後記する。また、回転ハンドル30は、側面視において略長円形状且つ環状に形成されている。また、回転ハンドル30は、スティック型として使用する際に使用者が手で握る部分となるグリップ部30sと、ハンディ型として使用する際に使用者が手で握る部分となるグリップ部30tと、を有している。
また、回転ハンドル30は、操作ボタン31a,31b(図3参照)を備えている。操作ボタン31aは、スティック型として使用する場合に操作され、グリップ部30sの外面(図1の上面)に設けられている。操作ボタン31b(図3参照)は、ハンディ型として使用する場合に操作され、グリップ部30tの外面(図2の上面)に設けられている。
操作ボタン31aは、スティック状態で使用されるものであり、「強」、「標準」、「切」の3つのボタンで構成されている。操作ボタン31bは、ハンディ状態で使用されるものであり、ひとつのボタンで、「強」、「標準」、「切」がサイクリックに動作するように構成されている。このように、操作ボタン31bをひとつのボタンで構成することで、スティック状態で使用した場合に操作ボタン31bが間違って押される恐れを低減することができる。
図2は電気掃除機をハンディ型として使用する際の全体を示す左側面図である。なお、図2は、吸口体3(図1参照)に替えて、隙間ノズル4を装着した状態を示している。また、吸口体3や隙間ノズル4を装着せずに使用してもよい。
図2に示すように、伸縮パイプ20は、該伸縮パイプ20のほぼ全体が本体部10内に収納されるようになっている。
パイプケース部13は、前後方向に延在し、パイプケース部13の後端部から前方に向けて伸縮パイプ20が挿入され、パイプケース部13の前端部に隙間ノズル4が接続される。
モータケース部11は、パイプケース部13の長手方向の略中央部から後方且つパイプケース部13の下側に位置している。また、モータケース部11の前方には、ダストケース2が設けられている。
蓄電池ケース部12は、長手方向(前後方向)の略中央部から後方且つモータケース部11の下側に位置している。
回転ハンドル30は、伸縮パイプ20の伸縮方向(前後方向)に回動自在に構成されている。また、回転ハンドル30は、図2の側面視において、細長い形状の開口部32を有する略トラック形状を呈している。この開口部32は、伸縮パイプ20をパイプケース部13に収納し且つ回転ハンドル30を伸縮パイプ20の上側に重なるように折り畳んだときに、開口部32の長手方向が伸縮パイプ20の軸方向(伸縮方向)と平行になっている。
また、グリップ部30s,30tには、開口部32側の面に指固定凹部32a,32bが形成されている。これにより、掃除機本体1をハンディ型として、使用者がグリップ部30tを把持した場合、指固定凹部32aに指を掛けて使用できる。また掃除機本体1をスティック型として(図1参照)使用者がグリップ部30sを把持した場合、指固定凹部32bに指を掛けて使用できる。これにより、回転ハンドル30をしっかりと握ることができる。また、グリップ部30s,30t内において前後に位置を変えることができるように、指固定凹部32a,32bが前後の2ケ所に形成されている。また、回転ハンドル30の表面は、使用者が手で持ちやすいよう熱可塑性樹脂等の柔らかい素材で構成されていてもよい。
回転ハンドル30は、細長く形成された開口部32の周囲にグリップ部30s,30tを有し、伸縮パイプ20が本体部10におけるパイプケース部13に収納され且つ回転ハンドル30が伸縮パイプ20側に回動した状態で、開口部32は、電動送風機40の略上方向に位置する。また、伸縮パイプ20が本体部10におけるパイプケース部13に収納され且つ回転ハンドル30が伸縮パイプ20側に回動した状態で、開口部32は、蓄電池(蓄電装置)60(図3参照)の略上方向に位置する。
図3は図2に示す掃除機本体の中央断面図である。なお、図3は、掃除機本体1に吸口体3および隙間ノズル4が装着されていない状態を図示している。
図3に示すように、本体部10のモータケース部11には、電動送風機40が収容されている。また、モータケース部11内には、電動送風機40を固定するための固定ケース11aが設けられている。固定ケース11a内には、電動送風機40の後方に、掃除機本体1を制御する本体基板50(制御基板)が固定されている。この固定ケース11aを覆う形でモータケース部11が構成されている。
電動送風機40は、回転駆動軸40aが伸縮パイプ20の下方において伸縮パイプ20と平行となるように配置されている。また、電動送風機40から排出された空気は、電動送風機40の後方に配置された本体基板50に流れて、本体基板50を冷却するようになっている。
本体基板50は、上下に分割して配置され、対向する面に部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、各本体基板50の対向配置された部品(発熱部品)を冷却するように流れる。
また、電動送風機40は、電気掃除機100をハンディ型として使用する場合、回転ハンドル30の開口部32の長手方向(前後方向)の長さS1が、電動送風機40の長手方向(前後方向)の長さと、本体基板50の長手方向の長さと、を合わせた長さと略等しくなるように構成されている。これにより、電気掃除機100をハンディ型として使用する際に、使用者が持つグリップ部30tの下方に電動送風機40および本体基板50が位置するので、電気掃除機100の重心Ga(図2参照)がグリップ部30tに近くなり、ハンディ型の形態でも持ち易い電気掃除機100を実現できる。
本体部10の蓄電池ケース部12には、蓄電池60が収容され、蓄電池60が電動送風機40の下方に隣接するように配置されている。この蓄電池60は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池など充電可能なもので構成されている。また、蓄電池60は、電気掃除機100をハンディ型として使用する場合、回転ハンドル30の開口部32の長手方向の範囲S1が、蓄電池60の長手方向(前後方向)の長さと略等しくなるように構成されている。ここで、本実施形態における蓄電池60とは単電池を複数用いてパックした組電池である。なお、使用条件等によっては単電池でも良い。これにより、電気掃除機100をハンディ型として使用する際に、使用者が持つグリップ部30tの下方に蓄電池60が位置するので、電気掃除機100の重心Gaがグリップ部30tに近くなり、ハンディ型の形態でも持ち易い電気掃除機100を実現できる。
なお、蓄電池60は、前記したように電動送風機40の下方に配置する構成だけではなく、開口部32の下方に位置しており、長手方向の長さS1に略等しくなる構成であれば、電動送風機40の周りを囲むように配置してもよいし、また電動送風機40の下方に配置する構成と電動送風機40の周りを囲む構成とを組み合わせて配置してもよい。また、本体基板50は、蓄電池60の配置によって、固定ケース11aの上面や側面、下面に設けてもよい。
ダストケース2は、サイクロン方式のものであり、モータケース部11の前方に配置され、略円柱形状を呈している。また、ダストケース2の前端がパイプケース部13に形成されたダストケース固定突起13aと嵌合し、ダストケース2の後端がスライド自在に構成されたロックボタン119によって蓄電池ケース部12と係合してロックされる。
伸縮パイプ20は、アルミ合金など軽量の金属パイプ21と、この金属パイプ21の先端部21a(図3の後端)から挿入される樹脂パイプ22と、金属パイプ21の基端(図3の前端)から挿入される樹脂パイプ23と、を備えている。
金属パイプ21は、パイプケース部13の前後方向の長さと略等しくなる長さで形成されている。また、金属パイプ21には、軸方向(伸縮方向)に沿って、間隔を空けて複数のピン受け孔21b,21b,21b,21bが形成されている。
樹脂パイプ22は、ねじ22aを介して金属パイプ21に固定されている。また、樹脂パイプ22には、ピン受け孔21bと重なる位置に逃げ孔22bが形成されている。
樹脂パイプ23内には、らせん状に形成されたカールコード23aが挿入されている。また、樹脂パイプ23には、ピン受け孔21bと重なる位置に貫通孔23bが形成されている。カールコード23aの前端は、パイプケース部13の前端に設けられた端子(不図示)と電気的に接続され、後端が公知の方法により本体基板50および蓄電池60と電気的に接続されている。
本体部10には、モータケース部11とパイプケース部13との境界に、伸縮パイプ20の長さを段階的に固定するパイプロック機構24が設けられている。また、本体部10のパイプケース部13の上面には、電気掃除機100をハンディ型として使用する際に、回転ハンドル30の前端をクランプするハンドルクランプ25(クランプ手段)が設けられている。操作ボタン31bは、ハンディ型として使用する際に、上向きとなり、容易に電源の入り切りが可能となる。
また、本体部10には、本体基板50の後方に、本体LED51を備える。本体LED51は、赤と緑の2色を点灯することができ、掃除機本体1の運転状態や蓄電池60の充電状態の表示ができる。また、本体LED51の色数は1色や2色以上でもよく、点灯や点滅との組み合わせによって、蓄電池60の充電完了状態や掃除機本体1の運転エラー状態を表示してもよく、また意匠として点灯または点滅してもよい。
図4は図1のA方向矢視図である。図4は、伸縮パイプ20を最大に伸ばした状態を示している。
図4に示すように、金属パイプ21には、軸方向(伸縮方向、前後方向)に沿って、間隔を空けて複数のピン受け孔21bが形成されている。このピン受け孔21bは、金属パイプ21に対して下向きに開口しているので、使用時に金属パイプ21内に水などの液体が浸入したり、塵などが侵入するのを防止できる。
図5は図2のC−C断面図を示し、伸縮パイプのロック状態、図6は図2のC−C断面図を示し、伸縮パイプのロック解除状態である。なお、パイプロック機構24は、左右対称形状であるので、以下では、右側のパイプロック機構24を参照しながら説明する。
図5および図6に示すように、パイプロック機構24は、基部24aと、この基部24a上において上下方向に動作する可動部24bと、可動部24bを上方に付勢するロックばね24c,24cと、可動部24bと一体に動作する固定用のピン24dと、可動部24bを下方に押し下げるプッシュボタン24eと、を備えて構成されている。
基部24aは、モータケース部11の上部に固定され、ピン24dを挟んで左右に、ロックばね24cの下端を支持する凸部24a1が形成されている。
可動部24bは、ロックばね24cの上端が挿入される凹部24b1が前記凸部24a1と対向する位置に形成されている。また、可動部24bには、プッシュボタン24eと対向する位置にテーパ部24b2が形成されている。
ロックばね24cは、凸部24a1と凹部24b1との間に介装され、可動部24bを常に上方に付勢している。
ピン24dの下端部は、可動部24bによって保持され、可動部24bと一体に動作するようになっている。また、ピン24dは、パイプケース部13に形成されたピン保持孔13b内を摺動しながら案内される。また、ピン24dはパイプケース部13の内部に構成されているため、外観から見えなくなり、高い意匠性を得ることができる。
プッシュボタン24eは、パイプケース部13の側面から突出している。また、プッシュボタン24eの内面には、可動部24bのテーパ部24b2と摺動するテーパ部24e1が形成されている。
このように構成されたパイプロック機構24では、図5に示すように、プッシュボタン24eが操作されていない場合には、ロックばね24cの弾性復帰力によって可動部24bが上方に押し上げられることで、ピン24dが上昇して伸縮パイプ20のピン受け孔21bに挿入されている。このため、使用者が電気掃除機100を使用している際に伸縮パイプ20の長さが変わるのを防止している。
そして、図5に示す状態において、例えば、左側(図示右側)のプッシュボタン24eを右方向(図示左方向)に押し込むと、プッシュボタン24eのテーパ部24e1が可動部24bのテーパ部24b2を摺動する。このとき、プッシュボタン24eの押し込み力によって、可動部24bがロックばね24cの付勢力に抗して押し下げられることで、図6に示すように、ピン24dがピン受け孔21bから抜け出る。これにより、伸縮パイプ20を伸縮させることが可能になる。
また、ピン24dがピン受け孔21bから抜け出ると、ピン24dがロックばね24cによって付勢されているので、伸縮パイプ20が移動して、ピン24dの位置がピン受け孔21bと一致したときに、ピン24dがピン受け孔21bに挿入され、伸縮パイプ20がロックされる。
また、プッシュボタン24eをパイプケース部13の左右両側に設けることで、使用者が右利きであっても左利きであっても、プッシュボタン24eを容易に操作でき、伸縮パイプ20の伸縮動作を容易にできる。また、プッシュボタン24eを左右両側に設けて、両側のプッシュボタン24eを押すことで、片持ちにならずにピン24dをまっすぐ下げることができる。
次に回転ハンドル30の回転機構部33について図7ないし図9を参照して説明する。図7は回転ハンドルの回転機構部を示す分解斜視図、図8は図1のB−B断面における回転ハンドルのロック状態、図9は図1のB−B断面における回転ハンドルのロック解除状態である。なお、図8および図9では、回転ハンドル30の回動軸の中心ではなく、図7に示すロックピン36bの位置で切断したときの状態を図示している。
図7に示すように、回転ハンドル30は、ハンドル本体部34a、ハンドルカバー34b、右ハンドルジョイント35a、左ハンドルジョイント35b、ロックプレート36a、ロックピン36b、ロックばね36c、ハンドルねじ37a、ハンドルねじナット37b、ロックボタン38a、ロックばね38b、ジョイントカバー38cなどで構成されている。
ハンドル本体部34aは、右ハンドルジョイント35aに回動自在に支持される回動軸部34eを有している。この回動軸部34eの径方向の中心には、ハンドルねじ37aが挿通されるハンドルねじ挿通孔34dが形成されている。
ハンドルカバー34bは、左ハンドルジョイント35bに回動自在に支持される回動軸部34eを有している。この回動軸部34eの径方向の中心には、ハンドルねじ37aが挿通されるハンドルねじ挿通孔34fが形成されている。また、回動軸部34eには、ロックピン36bと対向する位置にロック孔34gが形成されている。
右ハンドルジョイント35aは、ハンドル本体部34aを回動自在に支持する略円筒形状のハンドル固定部35cと、伸縮パイプ20に外嵌される円筒形状のパイプ固定部35dと、を有している。
ハンドル固定部35cは、ハンドルカバー34b側(図示左側)が開放した有底円筒形状を呈し、径方向の中心部に、ハンドルねじ37aが挿通されるハンドルねじ挿通部35eが形成されている。また、ハンドル固定部35cには、ハンドルねじ挿通部35eの周囲に、ネジボス35fが複数箇所に形成されている。また、ハンドル固定部35cには、ロックばね36cの一端が支持されるバネ支持部35gが形成されている。
左ハンドルジョイント35bは、右ハンドルジョイント35aに固定されるとともに、ロックピン36bと対向する位置に円形の貫通孔35iが形成されている。また、左ハンドルジョイント35bには、径方向の中心に、ハンドルねじ37aが挿通されるハンドルねじ挿通孔35jが形成されている。また、左ハンドルジョイント35bには、ネジボス35fと対向する位置にネジ挿通孔35kが形成されている。
ロックプレート36aは、円形の金属板によって構成され、径方向の中心部に孔36dが形成されている。また、ロックプレート36aには、孔36dの外周側にロックピン36bが進退自在となるロック孔36eが形成されている。また、ロックプレート36aの表裏の向きの位置決めおよび回転動作規制のための切り欠き36f,36fが形成されている。
ロックピン36bは、回動軸部34eに左右方向(回転ハンドル30の回動軸方向)に可動自在に支持されている。また、ロックピン36bは、ロックばね36cによって、ロックプレート36aのロック孔36e側に付勢されている。
ハンドルねじ37aは、ハンドル本体部34aのハンドルねじ挿通孔34d、右ハンドルジョイント35aのハンドルねじ挿通部35e、左ハンドルジョイント35bのハンドルねじ挿通孔35j、孔36dおよびハンドルねじ挿通孔34fに順に挿通された後、ハンドルねじナット37bと螺合される。
ロックボタン38aは、ハンドルカバー34bの回転軸部34eに押し下げ自在に支持されている。ロックボタン38aの内側には、ロック孔34gと対向する位置に、ロック解除ピン38d(図8参照)が形成されている。
ロックばね38bは、回動軸部34eとロックボタン38aとの間に介装され、ロックボタン38aを押し上げる方向(図示左方向)に付勢している。
ジョイントカバー38cは、ハンドルねじ37aの外側を覆うように、回動軸部34cの外面に取り付けられている。
図8に示すように、回転ハンドル30がロックしている状態では、ロックピン36bがロックばね36cによってロックプレート36a側に付勢され、ロック孔36eに挿入されている。これにより、使用者が電気掃除機100を使用している際に回転ハンドル30が回動するのを防止できる。
そして、図8に示すロック状態において、ロックボタン38aが押し下げられると、ロックボタン38aの内側に形成されたロック解除ピン38dがロックピン36bを、ロックばね36cの付勢力を受けながら押し下げる。このとき、図9に示すように、ロックピン36bがロック孔36eから抜け出る位置まで押し下げられる。これにより、図9に示すロック解除状態となり、回動軸部34c,34e、ロックプレート36aおよびロックボタン38aが、右ハンドルジョイント35aおよび左ハンドルジョイント35bに対して回動可能な状態となる。このように、ロックボタン38aを押し下げることで、回転ハンドル30を回動させることができ、スティック型とハンディ型とを容易かつ迅速に切り替えることができる。
図10(a)はスティック状態における回転ハンドル内のリード線の状態、図10(b)はハンディ状態における回転ハンドル内のリード線の状態である。
図10(a)に示すように、回転ハンドル30内には、操作ボタン31a,31bと本体基板50(図3参照)とを接続するためのリード線39が設けられている。このリード線39は、一端が操作ボタン31bと接続された後、操作ボタン31aと接続され、回転機構部33の回動軸(ハンドルねじ37a)の周囲をひと巻きして伸縮パイプ20内を通って、本体基板50(図3参照)と接続されている。
図10(a)に示すスティック状態では、回転機構部33の回動軸の周囲に位置するリード線39は、外周側に位置している。一方、回転ハンドル30が折り畳まれて、図10(b)に示すハンディ状態では、回転機構部33の回動軸の周囲に位置するリード線39は、内周側に位置している。このようにリード線39を回動軸に巻回することで、リード線39に対して屈曲箇所が1箇所に集中しないようにでき、またリード線39を回転ハンドル30の動きに追従させることでリード線39の断線を防止できる。
次に回転ハンドル30のハンドルクランプ25(クランプ機構)について図11および図12を参照して説明する。図11は回転ハンドルのクランプ状態、図12は回転ハンドルのクランプ解除状態である。
図11に示すように、ハンドルクランプ25は、回転ハンドル30をクランプするクランプ部材25aと、このクランプ部材25aをパイプケース部13(本体部10)にスライド自在に支持する取付部25bと、クランプ部材25aを、回転ハンドル30をクランプする方向(後方)に付勢するクランプバネ25cと、回転ハンドル30に設けられた引掛部30aと、を備えて構成されている。
クランプ部材25aは、前後方向(伸縮方向)に沿って形成され、前端に指を掛ける指掛部25a1が形成され、後端に回転ハンドル30と係止される係止部25a2が形成されている。
取付部25bは、ねじ25dを介して、パイプケース部13の上面に形成されたボス13dに螺合することで固定されている。
クランプバネ25cは、クランプ部材25aを後方(回転ハンドル30をクランプする方向)に付勢するものであり、例えば圧縮コイルばねによって構成されている。また、クランプバネ25cは、パイプケース部13の上面に立設された壁部13eと、クランプ部材25aとの間に配設されている。
引掛部30aは、回転ハンドル30に形成された穴内に構成されている。これにより、引掛部30aに使用者の手が触れたり、引掛部30aに服などが引っ掛かるのを防止している。
このように構成されたハンドルクランプ25では、図11に示すように、クランプ部材25aが操作されていない状態において、クランプバネ25cの弾性復帰力によってクランプ部材25aが後方に押圧される。これにより、係止部25a2が引掛部30aに係止されることで、回転ハンドル30が折り畳まれた状態でクランプ(ロック)される。
そして、図12に示すように、指を指掛部25a1に掛けて、クランプバネ25cの付勢力を受けながらクランプ部材25aを前方へスライドさせることにより、係止部25a2と回転ハンドル30の引掛部30aとの係止状態が解除される。これにより、回転ハンドル30のクランプが解除され、回転ハンドル30を上方へ回動させることができ、電気掃除機100をハンディ型からスティック型に切り替えることができる。
また、電気掃除機100をスティック型で使用している場合、クランプ部材25aは、図11に示す状態である。この状態から回転ハンドル30を折り畳み方向に回動させると、回転ハンドル30の外面に形成されたテーパ30bが係止部25a2に形成されたテーパ25a3に当接する。そして、回転ハンドル30を押し下げることで、この押し下げ力によって、クランプバネ25cの付勢力を受けながらクランプ部材25aが前方にスライドする。そして、回転ハンドル30の引掛部30aが係止部25a2を乗り越えたときに、クランプバネ25cの弾性復帰力によって係止部25a2が引掛部30aに係止され、回転ハンドル30が本体部10にクランプされる(固定される)。
このように、ハンドルクランプ25で回転ハンドル30を本体部10に固定することで、回転ハンドル30のがたつきを防止できる。また、クランプ部材25aを前方にスライドさせることでロックを解除できるので、使用中に回転ハンドル30のロックが解除されるのを防止できる。
図13は電気掃除機をハンディ型として使用する際の全体を示す右側面図である。
本体部10(モータケース部11)の右側面には、排気口10aが設けられ、この排気口10aの内側に排気フィルタ(図示せず)が設けられている。なお、図13では、左右方向の片側にのみ排気口10aを設けた場合を例に挙げて説明しているが、本体部10(モータケース部11)の左右両側に設けてもよい。
排気口10aは、モータケース部11の長手方向(前後方向)に対し、略平行に沿う格子状に形成されるとともに、円形に突出する面の下部に形成されている。これにより、格子による各開口が下向きに形成されるので、使用者がグリップ部30tを持ってハンディ型として使用している際、直接使用者に電動送風機40の排気が当たらないという効果を奏する。また、ハンディ型として使用する場合は、床などに掃除機本体1を一時的に置くこともあるが、誤って本体部10の上方から水等の液体をこぼしてしまった場合でも、本体部10の内部に液体が侵入することを防ぎ、電動送風機40や蓄電池60の故障を防止することができる。また、使用者が右利きを想定しているため、排気口10aを掃除機本体1の右側に設けることで、排気が直接使用者に当たることを防いでいる。また、左側に排気口を設けて、使用者が左利きの場合に対応してもよいし、片側のみでなく左右両側に設けて排気の風量を分散することで、排気が直接使用者に当たることを抑制してもよい。
次に、ダストケース2の構成および作用について図14ないし図33を参照して説明する。図14はダストケースの外観正面図である。なお、図14は、パイプケース部13(図2参照)側から見た状態である。また、以下の図14ないし図33の説明において、図示前後方向を上下方向と称して説明する。
図14に示すように、ダストケース2は、吸口体3(図1参照)や隙間ノズル4(図2参照)から吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能を有する。
また、ダストケース2は、導入管14(図1参照)と繋がる流入口149を有している。この流入口149に流入した塵挨を含む空気は、ダストケース2内で塵挨と空気とに分離された後、ダストケース2の上部から排出される。
図15はダストケースの分解図である。
図15に示すように、ダストケース2は、外筒128、内筒129、捕塵フィルタ130、捕塵フィルタ130を収納するフィルタケース131、上蓋132および底蓋133を備えて構成されている。
外筒128は、上下に開口部が形成された筒体であり、外筒128の下部の開口部が底蓋133によって開閉される。
内筒129は、内筒129の上部にフィルタケース131を備え、フィルタケース131と一体化された構造である。そして、内筒129と一体化したフィルタケース131は、外筒128の上部の開口部から挿入される。
フィルタケース131には捕塵フィルタ130が収められ、上蓋132を外筒128の上部に取り付けることで図14に示すように一体化したダストケース2となる。このとき、内筒129は外筒128と略同心円状になるように装着される。
図16は図14のD−D断面図である。
図16に示すように、外筒128に内筒129を装着すると、外筒128と内筒129との間に塵埃の分離・集塵のための空間が形成される。外筒128と内筒129とで形成される空間のうち、後部(図示上部)は塵埃分離部134(図16参照)となり、前部(図示下部)は塵埃収容部135(図16参照)となる。塵埃分離部134は、塵埃と塵埃を運んだ空気とを分離する空間であり、塵埃収容部135は、塵埃を集めて収容する空間である。
上蓋132は、上下が開口した略筒体であり、後記する外筒128の上部に備えるフィルタケース受け部128aを覆うように、フィルタケース受け部128aの外径よりも一回り大きく形成されている。
ダストケース2では、フィルタケース受け部128aに上蓋132を被せた状態から、回転させることで上蓋132とフィルタケース受け部128aを固定できる構造になっている。フィルタケース受け部128aには、所定の位置のみで上蓋132を被せることができるように、上蓋132の内面に切欠部(不図示)が形成され、フィルタケース受け部128aに突起部(不図示)が形成されている。切欠部と突起部を合わせた状態で上蓋132を外筒128側へ押し付け、上蓋132を回転させると、突起部が切欠部の空間に入り、上蓋132を外筒128に固定することができる。また、上蓋132には、ロックボタン119を備え、掃除機本体1との固定を行う。
捕塵フィルタ130は、枠体と、枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材147とで構成されている。フィルタ部材147の波方向は、縦方向(重力作用方向)であるのが望ましい(図15参照)。これは、フィルタ部材147に付着した細塵を落としやすくするためである。また、フィルタ部材147をプリーツ状に折ることで、フィルタ面積を大きくでき、フィルタ部材147による圧力損失を低減することができる。
フィルタ部材147は、例えば高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。
また、捕塵フィルタ130は、使用者が水洗いできるようにすることが望ましい。また、捕塵フィルタ130の前部にスポンジフィルタ(図示せず)など他のフィルタを設けてもよい。スポンジフィルタは、捕塵フィルタ130の枠体を前側に延長し、枠体にはめ込めるようにすることが望ましい。また、スポンジフィルタは使用者が水洗いできることが望ましい。これによって、捕塵フィルタ130が塵埃によって直接汚れにくくなり、お手入れ性が向上する。
また、捕塵フィルタ130は、内筒129上部に備えたフィルタケース131に収まるようになっている。したがって、捕塵フィルタ130は、前記した上蓋132とフィルタケース131との間に位置する。内筒129のメッシュ部材136を通過した空気のすべてが捕塵フィルタ130を通過するためには、上蓋132とフィルタケース131との間に捕塵フィルタ130を圧接する必要がある。よって、捕塵フィルタ130には、上蓋132とフィルタケース131との気密を保持するためのパッキング148を外周に備えている。
パッキング148は、捕塵フィルタ130の外周に設けた鍔部130aの上下面にゴム部材等で成形されている。フィルタケース131に捕塵フィルタ130を装着すると、パッキング148の下面側とフィルタケース131上部のフランジ部131aとが接する。上蓋132の上部には気密面132aを設けており、前述したように上蓋132を捕塵フィルタ130上方から被せると、パッキング148の上面側と気密面132aが接し、上蓋132を固定する動作により、上蓋132とフィルタケース131との間に捕塵フィルタ130が圧接される。このとき、前記したようにフィルタケース131下部に設けたパッキング137と外筒128との間も気密が保持できるように圧接される。
さらに、捕塵フィルタ130の上面にも気密保持のためのパッキング130bを備えている。このパッキング130bは上蓋132の天面よりも上方に出るように設けている。ダストケース2を掃除機本体1に装着した際に、このパッキング130bにより掃除機本体1とダストケース2との気密を保持する。
内筒129について、図17、図18、および図19を用いて説明する。図17は内筒の正面図、図18は内筒の分解図、図19は図17のE−E断面図である。
図17に示すように、内筒129は、上部に吸気部129cを備えた上部円筒129aと、下部に上部円筒129aよりも直径が大きい下部円筒129bと、を備えて構成されている。
上部円筒129aの側面(周面)には、吸気部129cを備え、格子状の枠体(支骨)によって形成されている。なお、前記ダストケース2では、上下方向の枠体(支骨)としているが、上下左右方向に枠体(支骨)のある格子状であってもよい。
吸気部129cは、外周面にメッシュ部材136が掛け渡されている。このメッシュ部材136は、被覆またはインサート成型などによって枠体(支骨)に保持されている。また、吸気部129cにメッシュ部材136を設けることで、上部円筒129aはフィルタ機能を有し、内筒129の内部への微細な塵埃の流入を抑制している。なお、メッシュ部材136は、ポリエステルであってもよく、金属(例えば、ステンレス)でもよい。
また、吸気部129cは、枠体(支骨)ではなく小径の貫通孔(金型で成型可能なφ2mm程度の孔)を複数設けたものでも構わない。このような貫通孔を備えたものは、枠体(支骨)にメッシュ部材136を掛け渡した場合と違い、強度やメッシュ部材136の破れに対し有効であり、二次成形が不要といった利点がある。
上部円筒129aの上側にはフィルタケース131が一体に形成されている。このフィルタケース131は、略円筒状であり、上部円筒129aと同心円状に構成されている。また、フィルタケース131は、上部が開口し、下部が略中心部に上部円筒129aの内部空間と連通する開口部131bを有している。なお、上部円筒129aとフィルタケース131とを一体に構成しているが、着脱可能な構造にしても構わない。
また、フィルタケース131の下部には、パッキング137が設けられている。このパッキング137は、後記する外筒128のフィルタケース受け部128aに、フィルタケース131を収めた際に、外筒128とフィルタケース131との気密を保持した状態で接する。
フィルタケース131に設けられたパッキング137は、リング状のゴム部材をフィルタケース131下部の窪み部に装着した構造(取り外し可能な構造)としている。しかし、ダストケース2を洗浄する際にパッキング137を取り外す場合も考えられ、パッキング137の装着を忘れることもあり得るため、フィルタケース131とパッキング137とを一体で成形(二次成形)しても構わない。
図18に示すように、内筒129の下部円筒129bは、上部円筒129a(図7参照)と同心円状に構成され、略円筒状で上面が閉塞している。言い換えると、下部円筒129bは、底面が開口して空間138(図19参照)を有した形状である。
また、内筒129は、下部円筒129bの空間138(図19参照)に内包するように下部円筒129bの形状をオフセットした傘部139と、この傘部139内に形成された空間139aの上面から下方に向けて空間139a内から突出して凸となるように形成された筒体140と、を備えて構成されている。
筒体140は、傘部139と同心円状に構成され、底面140aが閉塞し略半球状を呈している。また、筒体140は、底面140aに向かって先細りになるようなテーパ形状である。筒体140を先細りになるようなテーパ形状にすることで、後記する外筒128下部の先太りのテーパ部と合わせて下向きに拡大する容器形状となるため、ごみ捨ての際にごみが落下しやすくなる。なお、集塵容積を拡大するために筒体140の径を小さくしても構わない。
前記したように、傘部139を下部円筒129bに内包し、上下方向に摺動する摺動機構を設けることにより、ごみ捨て時に塵埃を排出し易くなる。傘部139は、吸引時などのごみ捨て時以外は下部円筒129b内に収まっており、ごみ捨て時に下方へ摺動することで、ダストケース2内の塵埃を押し出すようになっている。
摺動機構は、傘部139内の略中央に有底円筒状のバネケース141と、ピストン部142と、ストッパ143と、ネジ144と、バネ145と、を備えて構成されている。
図19に示すように、バネケース141は、バネ座141aおよびバネ軸141bを備え、バネケース141の外周は、前記した筒体140で覆われた構造となっている。
ピストン部142は、バネケース141に入れ子状となるように構成されている。バネ軸141bにはストッパ143を固定できるようにネジ144で締結する構造となっている。バネケース141に上方からバネ145を挿入し、下部円筒129bと一体になった入れ子状のピストン部142を装着した後、ストッパ143をバネ軸141bにネジ144等で締結する。
このような構造により、傘部139の摺動機構が構成される。ストッパ143は、下部円筒129bの上面に備えたストッパ受け部129dまで摺動する。よって、前記したように摺動距離は下部円筒129bの空間138の高さ未満であり、ストッパ143の高さは摺動距離と略同等となっている。
前記ダストケース2では、バネケース141を別部品で形成しており、傘部139は取り外し可能となっている。傘部139とバネケース141の固定は双方に備えたロック機構(図示せず)によって行い、傘部139を回転させることで着脱を行う。また、バネケース141の側面には切欠部141cを設けており、切欠部141cにはピストン部142に設けた突出部(図示せず)が嵌合し、傘部139着脱の際の回り止めとなっている。このような傘部139の着脱構造を設けることで、下部円筒129b内に塵埃が進入した場合でも、傘部139を取り外すことで塵埃の除去が可能となる。また、内筒129を洗う際にも、分解できることで水分を除去しやすく、手入れが容易になる。なお、傘部139とバネケース141を別部品としているが、傘部139とバネケース141を一体で成形しても構わない。その際は、筒体140を別部品にすることで金型での成形が可能となる。
外筒128について、図20ないし図26を参照して説明する。図20は外筒の底蓋を開いた状態を示す正面図、図21は外筒の底蓋を開いた状態を示す側面図、図22は図21のF−F断面図、図23は図21のG−G断面図、図24は塵埃舞い戻り防止面の別の形態を示す断面図、図25は塵埃舞い戻り防止面のさらに別の形態を示す断面図、図26は図16のH−H断面図、図27はごみ捨て時の動作を示す断面図である。
図20および図21に示すように、外筒128は、上下が開口した略筒体であり、上部にフィルタケース131(図15参照)を内包するようにフィルタケース131の外径よりも一回り大きいフィルタケース受け部128aを備えている。
フィルタケース受け部128aには、外面側と内面側に突出したフランジ部128bが形成されている。フランジ部128bの外面側は、前記した上蓋132(図15参照)の底面が接し、フランジ部128bの外径が上蓋132の外径と略同等となっている。
また、フィルタケース受け部128aには、詳細については省略するが、切欠部を一箇所に設けられ、フィルタケース131の外周に設けた突起部を避ける大きさに切り欠いている。よって、この切欠部とフィルタケース131の突起部の位置を合わせることで外筒128に挿入する内筒129の位置決めを行う。
また、フィルタケース受け部128aの高さは、先述した内筒129の摺動距離よりも高くしている。これは、後記する底蓋133を閉じた状態で内筒129を装着する際に(傘部139(図17参照)が突出した状態で)、フィルタケース131がフィルタケース受け部128a内に収まる高さであり、フィルタケース131がこの高さを超えると、内筒129が安定せず装着が難しくなる。
フランジ部128bの内径は、フィルタケース131(図15参照)の下部に設けられるパッキング137(図15参照)の外径よりも小さく、フィルタケース131(図15参照)を固定した際、フランジ部128bの上部にパッキング137が圧接し、気密を保持する。
フィルタケース受け部128aの対面側(外筒128下部)の開口には、底蓋133が開閉可能に設けられている。なお、底蓋133の形状についての詳細について後記する。
外筒128の側面には、流入口149および蓋ロック機構150が設けられている。流入口149は、図23に示すように、横軸中心線(イ)と並行になる面(ロ)に設けられ、流入口外壁面149aは、外筒128の外壁面128cよりも外側に位置し、外筒128と接線S2で繋がるように構成されている。また、流入口149の開口は略四角形状である。したがって、流入口外壁面149aは、縦軸中心線(ハ)と並行ではない。言い換えると、流入口149は外筒128の外径より外側に突出している。これは、外筒128と同心軸上に備えた内筒129と流入口149が、流入口149の面から見てオーバーラップしないようにするためである。
ところで、流入口149の正面(開口側の面)から内筒129が臨める構成となっている場合、流入した塵埃を含む空気が内筒129に衝突し、塵埃の分離性能が低下する。また、内筒129の側面は前記したようにメッシュ部材136(図15参照)を掛け渡したフィルタ構造となっているため、メッシュ部材136に塵埃が貼り付くなどの不具合が発生し、吸引力が低下する恐れもある。
そこで、前記のように流入口149を配置すると、圧力損失や騒音の低減にも有効である。ちなみに、前記ダストケース2と同じ開口面積の流入口149を外筒128の外径内に収めると、流入口149から内筒129が臨めるため、前記した不具合が発生する。したがって、流入口149の幅方向を小さくする必要があり、流速が増加し圧力損失や騒音の増加となる。圧力損失や騒音が増加しないようにするためには、流入口149のアスペクト比を変えて、縦長の流入口149にして開口面積を確保することも考えられるが、縦長(図20の上下方向)の流入口149にするとダストケース2の高さが増し、ダストケース2が大型化する。電気掃除機100は、スティック型・ハンディ型両用の掃除機であり、コンパクトな掃除機本体1が望まれ、ダストケース2においてもコンパクト化が必要である。したがって、前記したダストケース2を採用することにより、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
また、流入口149は、図23に示す横軸中心線(イ)と並行になる面(ロ面)に設けられ、さらに、流入口149の面は外筒128の外径よりも内側(横軸中心線(イ)側)に位置している。外筒128には後記する導入管14(図1参照)が流体的に連結するため、前記したように流入口149の面を外筒128の外径よりも内側にすることで、高さ(上下方向の高さ)を小さくすることができ、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
なお、流入口149は、図20の図示において左側に設けた場合を例に挙げて説明しているが、右側に設けてもよい。流入口149を右側に設けた場合であっても、流入した空気の旋回方向が反対方向になるだけで、塵埃の分離性能などへの影響はない。
外筒128の上部は、円筒形状を呈している。外筒128には、図22において破線190で囲んでいるように、略中央部において外筒128の中心軸に対して略垂直方向外側に略水平に塵埃舞い戻り防止面151が設けられている。また、外筒128は、塵埃舞い戻り防止面151から下方に向けてテーパ状に拡径する形状を有している。また、塵埃舞い戻り防止面151は、外筒128の上部円筒状の内周面から約2.5mm拡大されている。
図26に示すように、外筒128に内筒129を装着した状態において、内筒129の傘部139の下面は外筒128上方の円筒内にあり、内筒129の傘部139の下面(鍔部146(図17参照)より下方に塵埃が堆積する。よって、塵埃舞い戻り防止面151によって、外筒128のテーパ部の下部に堆積した塵埃や、塵埃収容部135(図16参照)から戻る空気に含まれる塵埃が外筒128内面に沿って舞い戻ることを防止する。これにより、内筒128の側面のメッシュ部材136(図15参照)への塵埃の貼り付きや、メッシュ部材136からの微細な塵埃の吹き抜けを抑制することができるため、吸引力の低下を抑えたダストケース2を有する電気掃除機100を提供することができる。
また、塵埃舞い戻り防止面151を設け、塵埃舞い戻り防止面151から下方をテーパ状とすることで外筒128の容積を拡大し、より多くの塵埃を蓄積できる。なお、ダストケース2の中心軸を鉛直方向にした状態で約8度傾斜している。
なお、図22の破線190で囲んだ部分は、図24に示すように、塵埃舞い戻り防止面151の下方略垂直方向に円環状リブ152を設けてもよい。この円環状リブ152は、上方の円筒部を延伸してテーパ部の内側に突出しており、より塵埃が外筒128の内壁に沿って舞い戻ることを防止することが可能である。
また、図22の破線190で囲んだ部分は、図25に示すように、上方は円筒形状であり、略中央部からダストケース2の中心軸に対する垂直方向よりも上方に傾斜した塵埃舞い戻り防止面151Aが設けられ、塵埃舞い戻り防止面151Aから下方がテーパ状に拡大していく形状でもよい。このような傾斜した塵埃舞い戻り防止面151Aを設けることで、内筒129の側面のメッシュ部材136への塵埃の貼り付きや、メッシュ部材136からの微細な塵埃の吹き抜けを抑制することができるため、吸引力の低下を抑えたダストケース2を有する電気掃除機100を提供することができる。
図26に示すように、底蓋133は、深さをもった皿状で、上面の外周にパッキング157を備え、底蓋133を閉じた際、外筒128の底部との気密を保持できるようになっている。また、底蓋133は皿状にすることで強度を増している。また、底蓋133の外周の一部には、前記した外筒128に底蓋133を係止させる掛かり部155(図21参照)が設けられている。外筒128には、掛かり部155の対面に回転軸158a(図21参照)を備えたヒンジ部158(図21参照)が設けられている。
前記したように、掃除機本体1にダストケース2を装着する際は、底蓋133の底面の窪み部159(図33参照)を掃除機本体1のダストケース固定突起13a(図33参照)に嵌合させて、ダストケース固定突起13aを起点にダストケース2を掃除機本体1側に押し付ける。そして、前記した上蓋132の上部のロックボタン119(図16参照)によってロックされることにより、ダストケース2が掃除機本体1と一体になる。したがって、ダストケース2を掃除機本体1に装着すると、蓋ロック機構150が掃除機本体1側に隠れる。これは、蓋ロック機構150を反対側(外側)に設けた場合、掃除中に蓋ロック機構150が解除される恐れがあるが、蓋ロック機構150が掃除機本体1側に隠れるようにすることで、誤動作を防止することができる。例えば、スティック状態でソファやベッドの下を掃除するときなど、掃除機本体1を床面に対して水平に近づける場合があるが、このとき、蓋ロック機構150を表側に設けた場合、床面と接触して蓋ロック機構150が解除される可能性がある。蓋ロック機構150とヒンジ部158の位置はこの限りでなく、掃除機本体1に対し左右に設けても構わない。左右に設けることで、先述した誤動作を防止することができるとともに、ヒンジ部158の突出が無くなるため、前後方向の高さを短くでき、コンパクト化が可能となる。
また、底蓋133は、皿状の中央が突出し、中央には突出した部分から凹み形状となる窪み部170を備えている。この窪み部170は、前記した筒体140の底面140aの球形状の球半径よりも大きくしており、窪み部170は、底蓋133が開状態(外筒128の底面に対して垂直状態)で窪み部170に水平面ができないようにしている。また、窪み部170は極力浅くしており、ごみ排出の際に窪み部170に塵埃が残らないようにしている。
また、窪み部170は、別体で形成されており、底蓋133の開閉での筒体140との摩擦による部材の磨耗を低減するようにPOM(ポリオキシメチレン)などの材料を用いて形成されえいる。なお、窪み部170は、一体で成形しても構わない。
蓋ロック機構150は、蓋ロックカバー153、ボタン154、バネ(不図示)で構成されている。
蓋ロックカバー153は、回転軸とバネ座(いずれも不図示)を備え、側面の一部と底面の一部に切欠きを設けて構成されている。
ボタン154は、摘み部、爪部、軸穴およびバネ軸(いずれも不図示)を備えている。蓋ロックカバー153の回転軸には、ボタン154の軸穴が嵌合している。ボタン154のバネ軸にバネ(不図示)の一端を挿入し、他端を蓋ロックカバー153のバネ座に固定すると、蓋ロックカバー153の側面の切欠きからボタン154の摘み部、底面の切欠きから爪部が突出する。外筒128は、蓋ロックカバー153の位置を合わせる突起とネジボスを備えており(図示せず)、蓋ロックカバー153を外筒128にネジで締結することで蓋ロック機構150が構成されている。
蓋ロックカバー153の側面(摘み部の対面)を支点に、摘み部を摘むことでバネ(不図示)が縮み、爪部が可動範囲内で回転し、摘む力を緩めるとバネ(不図示)は自然長に戻り摘み部は蓋ロックカバー153から突出した状態に戻る。底蓋133を閉じた状態で蓋ロック機構150を動作すると、底蓋133に設けた掛かり部156からボタン154の爪部が外れ、底蓋133が開く。爪部および掛かり部156は、互いに斜面を備えており、底蓋133を閉める動作で斜面同士が接触し、さらに底蓋133を押し上げることで、ボタン154が回転力を得てバネ(不図示)が縮み、爪部は掛かり部156を乗り越え再び底蓋133が閉じられる。
以上のような外筒128および内筒129を備えたダストケース2の構造において、外筒128に内筒129を装着することで、内筒129に設けた摺動機構は、外筒128の下端に設けた底蓋133の開閉によって行われる。図27に示すように、底蓋133を開けた状態では、傘部139が下方に突出しており、底蓋133を閉じるとバネ145が縮み、傘部139が下部円筒129b内に収まる。したがって、ごみ捨て時に底蓋133の蓋ロック機構150を解除すると、傘部139が下向きに飛び出し塵埃を押し出す。
このような摺動機構において、バネ145が自然長に近い状態が、傘部139が最も飛び出した状態である。傘部139の上下の摺動距離は、前記したように下部円筒129bの空間138の高さ未満としている。言い換えると、傘部139の上面139c(図18参照)は、下部円筒129bの底面129e(図18参照)を越えないようにしている。これは、ごみ捨て時の下部円筒129bの底面129eと傘部139の上面139cとの間に隙間を極力なくすことで、底面129eと上面139cとの間への塵埃の挟まりを抑制するためである。また、傘部139は、下部円筒129b内の空間138を容易に摺動できる必要最小限のギャップを設けている。また、傘部139は塵埃収容部135内にあるため、傘部139の外周と下部円筒129bとのギャップ(隙間)が小さ過ぎると隙間に塵埃が噛み込み、摺動しにくくなることも考えられる。前記ダストケース2では、塵埃の噛み込みを考慮したギャップを設け、傘部139の外周に複数のリブ139b(図18参照)を設けることで、ギャップを大きくしたことによる摺動時のガタつきを低減している。さらに、傘部139は段差部139d(図18参照)を設けており、段差部139dと下部円筒129bの底面129e(図18参照)が合わさった状態(傘部139が下部円筒129bの空間138に収まった状態)で、下部円筒129bと傘部139との隙間がなくなる。これにより、塵埃吸引時の下部円筒129bと傘部139内との隙間への塵埃の入り込みを抑制している。また、傘部139の底部には、鍔部146(図18参照)を設けており、この鍔部146によって塵埃収容部135(図16参照)から塵埃分離部134(図16参照)への塵埃の戻りを抑制している。また、塵埃は鍔部146の下方に堆積するため、塵埃が鍔部146を超える前を塵埃排出のタイミングとするとよい。
次に、ごみ捨て時の動作を図26および図27を参照して説明する。
図26に示すように、底蓋133は、ダストケース2の側面に設けた蓋ロック機構150のボタン154(図20参照)を摘まむことで解除される。すなわち、底蓋133は、蓋ロック機構150の反対側にヒンジ部158(図21参照)を備え、ヒンジ部158の回転軸158a(図21参照)を軸に回転し、図27に示すように、底蓋133が略垂直(底蓋133の上面が垂直)状態になる。
また、底蓋133が開くと同時に、バネ145の付勢力によって傘部139および筒体140が外筒128の下端の開口から下向きに飛び出す。これにより、傘部139は、底蓋133が閉じた状態よりも底蓋133が開いた状態の方が、外筒128の下面の開口寄りの位置となる。この傘部139の摺動動作により、捕集した塵埃を下方に押し出す。
ごみ捨て後、底蓋133を閉じる際、下方に飛び出した筒体140の底面140aと、底蓋133の中央に設けた窪み部170が接触し、傘部139および筒体140は上方へ押される。筒体140の底面140aと窪み部170は球状に接するため、底蓋133を閉じる動作で底蓋133の角度が変わっても、筒体140の底面140aと窪み部170との接触面積を一定に保つことができ、また、曲面同士を接触させることで常に垂直方向に力が加わるため、傘部139は下部円筒129b内にスムーズに収まる。ちなみに、底蓋133に窪み部170を設けずに平面で接触させる場合は力が加わる方向が平面に対し垂直になるため傘部139が垂直に戻り難く、底蓋133が閉め難くなる。そして、底蓋133を略水平状態まで閉じると、掛かり部156が掛かり部155(図21参照)と係合し、底蓋133に設けたパッキング157で気密を保持した状態でロックされる。
次に、電気掃除機100において、ダストケース2の上流側である、ダストケース2に塵埃を含む空気を導く導入管14の形状および構造、空気の流れについて図28ないし図33を参照して説明する。図28はダストケースと導入管の位置関係を示す斜視図、図29はパイプケース部内の空気の流れを示す図、図30は図29のI−I断面図、図31はダストケースと導入管の位置関係を示す正面図、図32はダストケース内部の空気の流れを示す図、図33はダストケースと掃除機本体の気密構造を示す断面図である。なお、図中に示す符号171は塵埃、矢印Aは空気の流れを示す。
図28に示すように、スティック型・ハンディ型両用の電気掃除機100は、掃除機本体1の先端部の吸込口15から、ダストケース2(外筒128)の流入口149へ至る流路である導入管14を備えている。図28には、図1に示す掃除機本体1にダストケース2を装着した状態から各部品を省き、導入管14とダストケース2のみで示したものである。
導入管14は、前後が開口し、前方に前記した吸込口15、後方にダストケース2(外筒128)の流入口149へと接続される導入管出口161を備えている。また、導入管14は、直線配管160a,160bを有し、直線配管160aがダストケース2の側面に位置し、直線配管160bが底蓋133の前方に位置している。
図29に示すように、ダストケース2の中心軸(ニ)は、掃除機本体1の中心軸(図示せず)と上方から見て同一線上(平行)である。前記したように、ダストケース2は、直線部(直線配管160a)の下方に位置している。
導入管14の直線部(直線配管160a)の中心軸(ホ)は、ダストケース2の中心軸(ニ)と平行である。導入管14は、略S字形状を呈しており、先端(前方)の吸込口15には吸口体3(図1参照)等が接続される。また、導入管14は、外筒128の流入口149(図20参照)から、外筒128の底部までの長さに形成された直線配管160aと、底蓋133の外面に沿って底蓋133の中央に向かう方向に屈曲した斜め配管160cと、前方へ向かって延在する直線配管160bと、を備えている。
直線配管160bの中心軸(へ)は、ダストケース2の中心軸(ニ)と上方から見て同一線上に位置している。言い換えると、導入管14は、直線配管160aの中心軸と吸込口15のある直線配管160bの中心軸(ヘ)は平行で、両直線配管160a,160bを斜め下方に繋いだ配管形状である。両直線配管160a,160bを斜め下方に繋ぐ斜め配管160cの傾斜角度は、吸込口15の位置によって異なるが、吸込口15の位置(範囲)はダストケース2の底面内(底蓋133外径内)に位置するような形状としている。
また、導入管14は、掃除機本体1のパイプケース部13内に収まっており、パイプケース部13は、上方から見て左側が膨らんだ形状となっている。ダストケース2の流入口149と接続する導入管出口161には、パッキング162が設けられており、ダストケース2を掃除機本体1に装着すると、パッキング162と流入口149とが圧接され気密を保持するようになっている。
パッキング162は、ゴム製の部材や、通気性のないスポンジ状の部材などを用い、導入管出口161と一体になるような成形(二次成形)や、導入管出口161とパイプケース部13との間に挟みこむように固定するなどして、導入管出口161とパッキング162の気密は保持される構造となっている。また、パッキング162は、導入管出口161ではなく、ダストケース2の流入口149に設けても構わないが、ダストケース2を水洗い可能とした際、パッキング162が別部品の場合はパッキング162の付け忘れなどが発生する恐れがあるため、前記したように導入管出口161に設ける方が好ましい。
吸込口15から吸い込んだ空気は、導入管14の形状に沿って矢印Aのように流れる。このとき、空気よりも密度が大きく重量のある塵埃171は、斜め配管160cにより、慣性力180で直線配管160aの右内壁面側(図示左内壁面側)に押しやられ、右内壁面側(図示左内壁面側)に沿ってダストケース2に向けて搬送される。直線配管160aの右内壁面側は、外筒128に設けた流入口149の右内壁面と繋がるため、外筒128の内壁面に対して接線方向に繋がっている。したがって、直線配管160aの右内壁面に沿って搬送された塵埃171は、内筒129の外周から最も離れた外筒128の内壁面を旋回するため、遠心分離性能が向上する。
図31に示すように、吸込口15側(前方)から見た図より、直線配管160aは、吸込口15を有する直線配管160bよりも上方に位置するため、前記した流れと同様に、塵埃171は慣性力180で直線配管160aの内壁面の上側へ搬送されるため、塵埃171は外筒128の上方へ搬送される。これにより、流入口149の高さ方向を有効に使うことができ、塵埃分離部134(図16参照)の長さを有効に使うことができる。
塵埃分離部134は、高いほど(前後方向に長いほど)塵埃の遠心分離性能が高まる。よって、前記のような屈曲した導入管14にすることで、塵埃分離部134の高さを抑えつつ(コンパクト化しつつ)遠心分離性能を確保したダストケース2を有する電気掃除機100を提供することができる。
また、導入管14に屈曲部を設けることは、掃除機本体1のコンパクト化にも繋がる。例えば、スティック型の形態においてソファやベッドの下を掃除する際、掃除機本体1を床面に近づけて、狭い隙間に吸口体3を入れるような動作となる。このとき、導入管が真っ直ぐに延びた形状では、導入管を長くしなければ掃除機本体1を床面に近づけることができない。従って、導入管14を前記のように屈曲させることで掃除機本体1の前後長さを短くすることができ、コンパクトな電気掃除機100を提供することができる。ちなみに、掃除機本体1の前後長さを短くする方法として、ダストケース2の径を小さくすることで導入管を長くし過ぎずに床面に近づけることが可能だが、ダストケース2の径を小さくすることで、分離性能、集塵量が低下、圧力損失までもが悪化する恐れがある。したがって、前記のように導入管14を屈曲させることで、分離性能を高め、集塵量が多く、また圧力損失が低いダストケース2にすることができ、且つ、コンパクトな電気掃除機100を提供することができる。
また、導入管14が真っ直ぐに延びた形状でも、前記電気掃除機100と違い、ダストケース2を掃除機本体1の上部(パイプケース部13の上方)に備えることで、前記した掃除機本体1を床面に近づけて、狭い隙間に吸口体3を入れるような動作が可能となる。しかし、ダストケース2の流入口149が上方を向くため、掃除機本体1を床面に近づけての掃除や、ハンディ型の状態で掃除機本体1の体勢がダストケース2の上部(捕塵フィルタ130側)が下向きになる掃除で、運転を停止した際、導入管14内に塵埃が残留する恐れがある。これを解決するために、流入口149に逆止弁を設ける製品もあるが、逆止弁による圧力損失の増加や逆止弁に塵埃が挟まるなどの恐れもある。したがって、前記のように、ダストケース2を掃除機本体1の下側に設け、導入管14を屈曲させることで、様々な掃除体勢においても、流入口149側に塵埃が残留し難くいため、逆止弁などを設けることによる圧力損失の増加や、逆止弁への塵埃の挟まりなどを抑制し、且つコンパクトな電気掃除機100を提供することができる。
また、前記したように、掃除機本体1を上方から見るとパイプケース部4の左側が膨らんだ形状となっている。言い換えると、ダストケース2の中心軸と掃除機本体1の中心軸は平行(同一線上)であるが、導入管14の直線配管160aの軸は、両軸の同一線上にはない。このように、導入管14を掃除機本体1(ダストケース2)から左右方向にずらしたアシンメトリーの配置にすることで、スティック型の形態において掃除機本体1が使用者の体に当たり難くできる。前記のように前方向から見て右側(図示左側)に導入管14を配置した場合は、掃除機本体1の左側の出っ張りが少ないため右利きの使用者が使いやすく、左側に導入管14を配置した場合は、左利きの使用者が使いやすくなる。右側と左側の切り替えは、外筒128と導入管14とパイプケース部13を交換するだけで良いため、少ない部品交換でユニバーサルデザインを実現する電気掃除機100を提供することができる。
図32に示すように、回転ハンドル30(図1および図2参照)に設けられた操作ボタン31aまたは操作ボタン31bにより使用者が運転を開始すると、電動送風機40には蓄電池60から給電される。そして、電動送風機40が駆動し空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、導入管14の吸込口15から導入管出口161を経て、流入口149よりダストケース2内に流入する(流れ200)。このとき、導入管14の屈曲部により、塵埃は導入管14の右内壁面に押しやられながら(図29参照)ダストケース2内に、外筒128の接線S2方向(図23参照)から搬送される。流入した塵埃を含む空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される(流れ201)。つまり、塵埃収容部135内の上部である塵埃分離部134にて、塵埃と空気とは分離される。分離された空気の多くは上部円筒129aに設けた吸気部129cから内筒129の内部に流入する(流れ202)。そして、空気は捕塵フィルタ130を通過し、上蓋132の上部開口を経て、電動送風機40へ至る(流れ203)。このとき、吸気部129cのメッシュ部材136を通過した微細な塵埃は、捕塵フィルタ130で捕集される。
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒128と下部円筒129bとの間を通り、塵埃収容部135内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、塵埃収容部135内で旋回する(流れ204)。そして、電気掃除機100の使用を続けると、徐々に塵埃が堆積し塵埃収容部135が満杯になった状態(ドーナツ状)でごみ捨てのタイミングとなる。
ところで、塵埃収容部135内に流入した空気は、筒体140、傘部139の空間139aの形状に沿って、下部円筒129bの外周付近から上部円筒129a側へ流れることがある(流れ205)。この空気の流れによる、塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制するためには傘部139の深さが必要である。ダストケース2では、下部円筒129bに塵埃を押し出す摺動機構を設けているため、傘部139には十分な深さを設けている。また、外筒128のテーパ部上端に設けた塵埃舞い戻り防止面151(図22参照)により、さらに塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制している。
塵埃収容部135に塵埃が満杯になったらごみ捨てを行うが、ごみ排出機構は前記した通りであり、吸引した塵埃の量が少ない場合でも、傘部139の摺動機構、および外筒128のテーパ形状により、塵埃の排出は可能である。
また、このようにダストケース2の下方から塵埃を排出する機構を備えることは、ダストケース2の後方に本体端子12dを備える電気掃除機(充電式電気掃除機)に有効であり、ダストケース2の後方(上蓋132側)に塵埃が付着することを抑制できる。
次に、ダストケース着脱機構(ロックボタン)の構成について説明する。
図33に示すように、パイプケース部13には、ダストケース2を固定するためのダストケース固定突起13aを備え、モータケース部11には、ダストケース2を固定するダストケース固定穴118を備えている。ダストケース2には、ロックボタンばね120によって付勢されたロックボタン119が設けられている。ダストケース固定突起13aをダストケース2の底面の窪み部159に差し込み、ダストケース固定突起13aを起点にパイプケース部13側に回動させることで、ロックボタン119がダストケース固定穴118に引っ掛かり、ダストケース2が掃除機本体1と一体化される。
ダストケース2を外す際は、ロックボタン119を前側にスライドさせることで、ロックボタン119がダストケース固定穴118から外れ、ダストケース2を取付時とは逆方向に回動させることにより、窪み部159をダストケース固定突起13aから外すことができる。
図33に示すように、底蓋133の底面(裏側面)には、掃除機本体1のパイプケース部13側に窪み部159が備えられており、掃除機本体1のダストケース固定突起13aと底蓋133の底面の窪み部159(図3参照)が嵌合する形状となっている。なお、ダストケース固定突起13aおよび窪み部159は、左右方向(図33の紙面垂直方向)に幅を持って形成されている。これにより、ダストケース2を掃除機本体1に装着する際に、ダストケース2が回転方向に動作することを抑制している。
本体部10に配置された電動送風機40とダストケース2とを区画形成する気密面112には、電動送風機40とダストケース2とを連通する吸込部113が設けられている。この吸込部113の通気流路内には保護フィルタ115が設けられ、ダストケース2を取り外した状態で運転してしまったときなどに、塵埃が電動送風機40の内部へ侵入するのを防止することができる。
また、保護フィルタ115は、汚れたときに清掃できるよう、本体部10から着脱自在に構成され、水洗いできる素材で構成されていることが望ましい。また、保護フィルタ115は、保護フィルタカバー114によって本体部10に固定されている。この保護フィルタカバー114は、使用者の指が電動送風機40に触れないよう指が入らない大きさの孔で構成された格子状であることが望ましい。
本体部10には、電動送風機40の上流側に、ゴムなど弾性体シール部材で構成された防振気密ゴム116を備え、防振気密ゴム116が保護フィルタカバー114の外周の平坦面と密着することにより、気密を確保することができる。また、防振気密ゴム116は、固定ケース11a内に電動送風機40と共に固定されるため、電動送風機40の駆動により発生する回転振動を吸収する役割も果たしている。
ところで、ダストケース2を本体部10に装着する場合、下方(水平方向)から平行移動しながら押し入れると、パッキング120bがめくれ上がり、ダストケース2と吸込部113との気密を確保できない恐れがある。そこで、ダストケース2に窪み部159を設け、パイプケース部13(本体部10)に、窪み部159に嵌合するダストケース固定突起13aを設けることで、ダストケース固定突起13aを支点Pとして回動させる。さらに、ダストケース2の上端面2sの回動の接線S3よりも後方(図示上側)に気密面112が位置している。そして、ダストケース2が最大まで押し込まれたときに、ダストケース2の上端面2sと、気密面112とが平行になり、吸込部113の開口縁部の全周にパッキング130bが接触する。なお、本体部10の気密面112は、上下方向(図示水平方向)に対して所定角度α(例えば、5度)傾斜している。
また、パッキング130bは、図33に示す断面視において、後方(図示上方)に向けて拡径する形状であり、さらに後端部において前方(図示下方)に向けて折り返す形状である。このような形状とすることにより、ダストケース2の着脱の際にパッキング130bがめくれ難くなっている。また、パッキング130bを吸込部113に強く押しつけなくても、電動送風機40が駆動されるときの吸い込み力によって負圧になることで、パッキング130bが吸込部113に吸い付けられ、ダストケース2と吸込部113との気密が確実に確保される。
このように、前記した電気掃除機100では、電動送風機40を備えた本体部10と、本体部10に対して伸縮自在に取り付けられた伸縮パイプ20と、伸縮パイプ20の先端部に該伸縮パイプ20の伸縮方向(前後方向)に向けて回動可能に取り付けられた回転ハンドル30と、を有する掃除機本体1を備えている。これにより、回転ハンドル30の位置が本体部10の電動送風機40に近づくので、電気掃除機100をハンディ状態で使用する際に、回転ハンドル30を電気掃除機100の重心Ga(図2参照)に近づけることができ、使用者の手に大きな負担がかかることがない。また、電気掃除機100をスティック状態で使用する際に、電気掃除機100の重心Gaを床面に近い位置にできるので、使用者の手に大きな負担がかかることがない。
また、電気掃除機100では、回転ハンドル30が細長く形成された開口部32の周囲にグリップ部30s,30tを有し、伸縮パイプ20を本体部10に収納し且つ回転ハンドル30を伸縮パイプ20側に回動させて折り畳んだ状態において(ハンディ状態において)、開口部32が電動送風機40の上方向に位置している。これにより、前後方向においてグリップ部30tの位置と電気掃除機100の重心Ga(図2参照)とを一致させることができるので、ハンディ状態で使用する際に、使用者の手に大きな負担がかかることがない。
また、電気掃除機100では、伸縮パイプ20を本体部10に収納し且つ回転ハンドル30を折り畳んだときに、電動送風機40の長手方向(前後方向)の長さと本体基板50の長手方向(前後方向)の長さとを合わせた長さ(蓄電池60の長手方向(前後方向)の長さ)が、回転ハンドル30の開口部32の長手方向の長さと略等しくなるように構成されている。これにより、回転ハンドル30の下方(近く)に電気掃除機100の重心Ga(図2参照)が位置することになるので、電気掃除機100をハンディ型の形態としたときでも持ち易くなり、また掃除もし易くなり、使い勝手が向上する。また、電気掃除機100をスティック型の形態で使用した場合、電気掃除機100の重心が手元ではなく床面側になるので、手に大きな負担をかけることなく、掃除が可能になり、使い勝手が向上する。このように、ハンディ型でもスティック型でも使い易い電気掃除機100を実現できる。また、電気掃除機100を収納する際はハンディ型にすることで、高さの低い場所に収納することができる。
また、ダストケース2に設けられた蓋ロック機構150は、ダストケース2を掃除機本体1に装着したときに、蓋ロック機構150が隠れる位置に配置されているので、運転中に蓋ロック機構150が解除されて、ダストケース2内に集塵されたごみが誤って排出されるのを防止できる。また、ダストケース2には、お手入れブラシ172が着脱自在に設けられているが、このお手入れブラシ172についても、ダストケース2が掃除機本体1に装着されたときに隠れるので、運転中に外れることもなく、また、お手入れブラシ172を電気掃除機100とは別の場所に保管しておく必要もない。
また、ダストケース2を掃除機本体1から取り外す際のロックボタン119の操作方向が、前向き(図33の下向き)であるので、運転中にダストケース2が掃除機本体1から外れるのを防止できる。
次に、充電台70の構成について図34ないし図40を参照して説明する。図34は充電台の外観斜視図、図35は充電台を示す分解斜視図、図36は充電台の充電端子を示す斜視図、図37は電気掃除機の本体端子を示す斜視図、図38は充電端子と本体端子の接続状態を示す断面図、図39は電気掃除機をハンディ状態で充電台に取り付けたときの斜視図、図40は電気掃除機をスティック状態で充電台に取り付けたときの斜視図である。
図34に示すように、充電台70は、ベース部71とスタンド部72と充電台端子部73とを含んで構成されている。
ベース部71は、吸口体3(図1参照)が載置される略矩形状の載置面71aを有している。また、ベース部71は、幅方向(左右方向)の中央に、後方に延びる延出部71bを有している。この延出部71bの左右の側方には、応用吸口体5(図53参照)などを着脱自在に取り付ける応用吸口体固定突起71c,71cが設けられている。応用吸口体5を付属した場合、応用吸口体固定突起71cに差し込むことによって保管することができる。
スタンド部72は、延出部71bの後端部から鉛直方向(上下方向)上向きに延在している。また、スタンド部72は、上下方向の中央より上部が下部よりも前後方向に厚みを持って形成されている。
充電端子73cは、掃除機本体1と電気的に接続されることで、蓄電池60を充電する端子であり、上面72aから上方に突出して形成されている。
図35に示すように、スタンド部72は、ベース部71に対し着脱自在となっている。なお、ベース部71とスタンド部72は着脱自在でなくてもよいが、収納性・梱包性を高めるため、着脱自在であることが望ましい。
ベース部71は、後面には電源コード76を備え、内部に充電基板74を有する。また、ベース部71の内部には、おもり75が設けられ、充電台70に電気掃除機100を装着したときに充電台70が倒れにくくなっている。
スタンド部72の上面72aには、充電台端子部73が設けられ、後記する掃除機本体1の蓄電池ケース部12に設けた本体端子部12aと導通することにより、蓄電池60へ充電ができるようになっている。
スタンド部72には接続ピン72bが設けられ、ベース部71には接続ピン72bを受ける接続端子71dが設けられ、ベース部71とスタンド部72とを接続した際に導通する。また、スタンド部72の上端前面には、ロックボタン119の突出部分を逃げるための凹部72cが形成されている。
図36に示すように、充電台端子部73は、スタンド部72の上面72aから上方に突出する略直方体形状の端子台73aを有している。この端子台73aは、左右方向に細長く形成されている。また、端子台73aには、左右両端において、前面および上面が開放するように切り欠かれた略直方体形状の凹部73b、73bが形成されている。各凹部73b内には、充電端子73cが設けられている。充電端子73cは、スタンド部72内においてねじ固定されている。
端子台73aには、充電端子73cと充電端子73cとの間に、前面および上面が開放するように切り欠かれた略直方体形状の凹み部73d,73dが形成されている。
充電端子73cは、細長い金属板を折り曲げることで構成され、凹部73b内において前後方向に撓み変形するように配置されている。また、充電端子73cは、前記した接続ピン72bとリード線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
一方、図37に示すように、掃除機本体1の蓄電池ケース部12には、本体端子部12aが設けられている。図37は、本体端子部12aをダストケース2側から見上げた状態を図示している。本体端子部12aは、端子ケース12bを備え、端子ケース12bが蓄電池ケース部12から突出し且つ左右方向に長く形成されている。
端子ケース12bの下面には、充電台70の端子台73aが嵌合される嵌合凹部12cが形成されている。嵌合凹部12c内には、充電台70の充電端子73cと接続される本体端子12dが配置されている。この本体端子12dは、蓄電池ケース部12内において蓄電池60とリード線を介して電気的に接続されている。また、嵌合凹部12c内には、充電台70の凹み部73d(図36参照)と嵌合する嵌合突起12eが形成されている。
掃除機本体1の蓄電池60を充電する場合には、掃除機本体1を充電台70の上方の位置から下方に向けて下ろすことにより、スタンド部72の上面72aに設けられた充電台端子部73が掃除機本体1の嵌合凹部12cと嵌合する。
図38に示すように、充電台端子部73に本体端子部12が嵌合する際に、本体端子12dが充電端子73cに接触し、さらに本体端子12dの縁部12fが下降することで充電端子73cが後方に撓み変形する。充電端子73cは、前方に向けて付勢するばね性を有しているので、掃除機本体1が充電台70に装着されている間は、本体端子12dと充電端子73cとは接触した状態を維持し、蓄電池60への充電が継続される。
また、充電台端子部73は、本体端子部12と凹凸嵌合しているので、例えば、充電中にユーザが掃除機本体1に接触したとしても、本体端子12dと充電端子73cとの導通状態(接触状態)が解除されることはない。
このように構成された充電台70では、充電台端子部73がスタンド部72の上面72aに形成されているので、充電台端子部73と本体端子部12とを合わせるときに、ユーザの目線に近い位置となり、充電台端子部73に本体端子部12を挿入し易くなり、掃除機本体1を充電台70にセットし易くなる。
また、充電台70では、充電台端子部73がスタンド部72の上面72aに形成されている。つまり、充電台端子部73が床面から高い位置に形成されているので、充電台端子部73にごみが堆積し難くなり、また床面から埃が上がってきて付着することも低減できる。
また、充電台70にセットした電気掃除機100では、電気掃除機100の重心Ga(図2参照)に近い位置(電動送風機40および蓄電池60の位置)に充電台端子部73が位置するので、重心Ga付近を充電台端子部73が受けることで、充電中において充電台70に掃除機本体1を安定して保持できる。
また、充電台70では、電気掃除機100に吸口体3を接続した状態で充電する場合、ベース部71の載置面71aで支持できるので、電気掃除機100を、充電台端子部73と吸口体3の2箇所で支持することができ、充電台70に電気掃除機100を安定して保持させることができる。
また、充電台70に電気掃除機100を適用することにより、ダストケース2を取り外した状態で充電できるので、ダストケース2を洗浄、乾燥させている最中であっても充電することができる。
図39に示すように、電気掃除機100をハンディ状態で充電することができ、図40に示すように、電気掃除機100をスティック状態でも充電することができる。このように、ハンディ状態とスティック状態のいずれの状態でも電気掃除機100を充電台70にセットすることができる。このとき、吸口体3を装着して電気掃除機100をセットすることで、吸口体3の下面がベース部71の載置面71aに支持されるので、電気掃除機100をより安定して支持することができる。
また、充電台端子部73がスタンド部72の上面72aの床面から高い位置に形成されているので、図39に示すように、充電台70に応用吸口体5が保持されている状態で、電気掃除機100を充電台70に取り付ける際に、電気掃除機100が応用吸口体5に接触するのを抑制、つまり電気掃除機100がまずスタンド部72に接触するようになり、応用吸口体5が応用吸口体固定突起71cから脱落するのを抑制することができる。
また、充電台70は、電源コード76を接続せず、蓄電池60の充電を行わない場合でも、掃除機本体1を収納する際のスタンドとして使用することができる。
掃除機本体1には、吸口体3、充電台70が着脱可能に設けられている。また、電気掃除機100は、充電台70にて蓄電池60に充電して電源として使用する充電式掃除機であるが、掃除機本体1に電源コードを備え、AC式の電気掃除機として使用してもよい。
次に、電気掃除機100の自立構造について図41および図42を参照して説明する。図41は吸口体を示す断面図、図42は電気掃除機をハンディ状態で自立させたときの側面図である。
図41に示すように、吸口体3は、吸口ケース3aと、吸口継手3bと、を備えて構成されている。
吸口ケース3aは、下面(清掃面に対峙する面)に、開口部を有する吸込室Qが形成されている。また、この吸込室Qには、第1回転清掃体3c、第2回転清掃体3dが設けられている。
第1回転清掃体3cは、モータ(不図示)の駆動力によって回転するものであり、吸口ケース3aに回転可能に支持されている。第2回転清掃体3dは、第1回転清掃体3cの直径よりも小径のブラシを有し、第1回転清掃体3cの後方に配置される。また、吸口ケース3aには、第2回転清掃体3dの後方に、吸口ケース3aを床面に平行に支持するためのローラ3e,3fが設けられている。
吸口継手3bは、吸口ケース3aに対して前後方向に回動自在に連結される第1接続管3gと、この第1接続管3gに対して左右方向に回動自在に連結される第2接続管3hと、を備えている。
第1接続管3gは、床面(清掃面)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで(上下方向に)回動可能となるように構成されている。すなわち、第1接続管3gを吸口ケース3aに対して軸3iを支点として回動させることによって、第2接続管3hを床面に略平行な状態と略垂直な状態との間において回動させることができる。
第2接続管3hは、第1接続管3gに対して左右方向(図41の紙面垂直方向)に回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、本体部10を床面に対して略垂直にした状態から、本体部10を床面に略平行な状態に向けて倒すことができる。
また、第2接続管3hには、蓄電池60から給電が行われる給電端子3jが設けられている。また、第2接続管3hには、掃除機本体1の吸込口15と連結される連結管3kが形成されている。
また、第2接続管3hには、先端部に、連結管3kの軸方向の前方に向けて突出する突起部3mが形成されている。また、吸口ケース3aの上面には、突起部3mの先端部が当接する当接面3nが形成されている。
図41の仮想線で示すように、吸口継手3bが前方に向けて立ち上がったときに、突起部3mの先端が当接面3nに突き当たることで、吸口継手3bの前方への回動動作が規制される。
図42に示すように、電気掃除機100では、吸口継手3bの回動が規制されたときに、吸口継手3b(第1接続管3g)の軸3iを通る鉛直線(ト)上に掃除機本体1の重心Gaが位置している。これにより、電気掃除機100を自立させることができる。
なお、電気掃除機100を自立させることができるか否かは、吸口体3の吸口ケース3aの前後方向の幅においても変わるので、軸3iと重心Gaの位置によって限定されるものではない。
次に、ふとん吸口について図43ないし図48を参照して説明する。図43はふとん吸口を示す側面図、図44はふとん吸口を示す底面図、図45は継手を寝かせたときのふとん吸口を示す断面図、図46は継手を立てたときのふとん吸口を示す断面図、図47はふとん吸口を取付けたハンディ状態の電気掃除機を示す側面図、図48はふとん吸口を取付けたスティック状態の電気掃除機を示す側面図である。
図43に示すように、ふとん吸口6は、吸口本体6a、回転体6bおよび継手6cを備えて構成されている。
吸口本体6aは、回転体6bが収容される本体ケース6dと、この本体ケース6dの上面に継手6cが回動自在に連結される連結部6eと、を有している。また、本体ケース6dは、前後方向に直線状に延在する中間部6fと、この中間部6fの前方に位置して上向きに湾曲する前湾曲部6gと、中間部6fの後方に位置して上向きに湾曲する後湾曲部6hと、を有している。また、本体ケース6dは、前後方向の中央部ST1を境にして前後対称に形成されている。
回転体6bは、本体ケース6dの下面6iに対して、回転体6bの一部(半円よりも小さい領域)が下方に向けて突出している。また、回転体6bは、前後方向に複数形成されている。なお、3本の回転体6bを設けた場合を例に挙げて説明しているが、3本に限定されるものではなく、4本以上であっても、2本以下であってもよい。また、3本の回転体6bは、中央部ST1に対して、後ろ寄りに配置されている。
図44に示すように、本体ケース6dは、平面視において横長の略矩形状を呈し、本体ケース6dの下面6iに本体ケース6dよりも一回り小さい横長の略矩形状の開口6jが形成されている。
回転体6bは、開口6jの左右方向の一端から他端まで延在して配置されている。また、回転体6bには、板状の羽根部6kが複数方向に突出して形成されるとともに、軸方向に所定長さごとに羽根の向きを変えて配置されている。
なお、ふとん吸口6では、全体を丸洗いできるように、構成されている。このため、本体ケース6dの下面には、水抜き用としての孔6vが開口6jの周囲の複数箇所に形成されている。
図45に示すように、本体ケース6dの前湾曲部6gの下面6m(吸口本体6aの下面における前部)は、開口6j(中間部6fの下面)よりも上側に反るように形成されている。また、下面6mの先端(前端)P10は、回転体6bの上端よりも上側に位置している。
本体ケース6dの後湾曲部6hの下面6n(吸口本体6aの下面における後部)は、開口6j(中間部6fの下面)よりも上側に反るように形成されている。また、下面6nの先端(後端)P20は、回転体6bの上端よりも上側に位置している。
吸口本体6aの連結部6eには、継手6cの回動軸6pを回動自在に支持する軸受部6qが形成されている。回動軸6pには、継手6cを上方へ回動させたときに、連結部6eの開口縁6tに当接する当接部6uが形成されている。また、回動軸6pには、継手6cを下方に回動させたときに、連結部6eの開口縁6rに当接する当接部6sが形成されている。
水抜き用の孔6vは、水抜けが良好となるように、前湾曲部6gの下端および後湾曲部6hの下端に形成されている。
これにより、ふとん吸口6では、継手6cを床面(被清掃面)側に寝かせたときに、図45に示すように、吸口本体6aの下面(開口6jが形成されている面)に対してγ1(例えば、15度)となるように構成されている。なお、角度がγ1より小さいと(例えば、15度未満であると)、ふとん吸口6を後退させたときに、吸口本体6aの前部が浮き上がり易くなる。
図46に示すように、ふとん吸口6では、継手6cを床面(被清掃面)から最も離れるように立てたときに、吸口本体6aの下面(開口6jが形成されている面)に対してγ2(例えば、50度)となるように構成されている。なお、角度がγ2よりも大きいと(例えば、50度を超えていると)、ふとんにもぐり込み易くなり、ふとん吸口6の円滑な動作が阻害される。
図47に示すように、吸口本体6aの下面に対する角度をγ1に設定することにより、掃除機本体1をハンディ型として使用する際に、ダストケース2や本体部10がふとんに接触することがなくなり、掃除機本体1を前後に円滑に移動させることが可能になる。
図48に示すように、吸口本体6aの下面に対する角度をγ2に設定することにより、ふとんにもぐり込む力が強く作用するのを防止でき、ふとん吸口6を前後に円滑に移動させることが可能になる。
このように、ふとん吸口6では、吸口本体6aの下面6mが、開口6jよりも上向きに反っているので、ふとん吸口6を前進させる際に、下面6mによってふとんの表面のしわをならし、ふとんの表面の凹凸を乗り越えることができる。また、吸口本体6aの下面6nも、開口6jよりも上向きに反っているので、ふとん吸口6を後退させる際でも、下面6nによってふとんの表面のしわをならし、ふとんの表面の凹凸を乗り越えることができる。これにより、ふとん吸口6がふとんに引っ掛かるのを抑制することができる。また、吸い込み力の弱い充電式の電気掃除機100に適用したとしても、しっかりと吸い込むことができる。
また、ふとん吸口6では、吸口本体6aの上面に前後方向に回動する継手6cが設けられているので、ふとん吸口6の吸込口である開口6jを確実にふとんに向けることができる。
また、ふとん吸口6では、継手6cが下面に対して15度から50度までの範囲で回動することで、ふとん吸口6の吸込口である開口6jを確実にふとんに向けることができる。
また、ふとん吸口6では、継手6cの回動軸6pが吸口本体6aの前後方向の中央部ST1(図43参照)よりも後寄りに配置されているので、ふとん吸口6を前進させたときに、ふとん吸口6がふとんにのめり込みにくくなり、ふとん吸口6をスムーズに移動させることができる。
次に、掃除機本体1に回動自在に取り付けられる回転ブラシ80について図49ないし図51を参照して説明する。図49は回転ブラシの収納状態を示す斜視図、図50は回転ブラシの使用状態を示す斜視図、図51は回転ブラシ使用時のハンディ状態の電気掃除機を示す側面図である。
図49に示すように、回転ブラシ80は、掃除機本体1の前端の吸込口15に回動自在に支持される回転ブラシ部81と、固定ブラシ部82と、を備えて構成されている。
回転ブラシ部81は、回転ベース81aと、この回転ベース81aに植設される刷毛部81bとを有して構成されている。
回転ベース81aは、収納状態において、吸込口15の右側方に位置する右辺部81a1、吸込口15の左側方に位置する左辺部81a2、および吸込口15の下方に位置する下辺部81a3を有している。そして、右辺部81a1と左辺部81a2の各端部は、パイプケース部13の外面に回動自在に支持されている。また、右辺部81a1および左辺部81a2は、下辺部81a3に向けて、前後方向の幅が広がるように形成されている。
刷毛部81bは、右辺部81a1、左辺部81a2および下辺部81a3に後ろ向きに形成されている。また、刷毛部81bの植設方向は、吸込口15の軸方向と平行である。
固定ブラシ部82は、パイプケース部13に固定される固定ベース82aと、この固定ベース82aに植設される刷毛部82bとを有して構成されている。また、固定ブラシ部82は、パイプケース部13と回転ブラシ部81との間に配置されている。刷毛部82bは、固定ベース82aに対して前方かつ下向きに形成されている。
図50に示すように、回転ブラシ部81を回動させると、刷毛部81bが後ろ向きから前方側に回動して斜め下向きとなる。このとき、下辺部81a3に形成された板状部81a4が吸込口15の上方に形成された当接面15a(図49参照)に当接することで、回転ブラシ部81の回動動作が規制される。
このように、回転ブラシ80を使用状態にすることにより、吸込口15の周囲全体を4辺の刷毛部81b,82bによって囲むことで、閉鎖された空間を構成できるので、吸い込み性能を向上できる。
図51に示すように、掃除機本体1をハンディ型として使用する際、回転ブラシ80を回動させてブラシを清掃面側にすることで、刷毛部81b,82bの先端を平らな清掃面に接触できるようになっている。これにより、清掃面との隙間を減らして吸込み性能を上げ、また清掃面を傷つけることなく掃除することができる。
また、図52に示すように、吸口体3を備えた電気掃除機100では、スティック状態の使用にして、掃除機本体1を寝かした状態にすることで、ベッドやソファの下の床面を掃除することが可能になる。
また、図53に示すように、吸口体3とは別に、応用吸口体5を付属してもよい。応用吸口体5は、吸込口15に装着して使用し、吸口体3が入らない狭い場所の清掃をすることができるように、応用吸口体5の先端は吸口体3の先端よりも小さい形状が望ましい。また、ハンディ型では届かない高い場所の清掃をするために、伸縮できる構造であることが望ましい。
ところで、パイプケース部の上側にダストケースが配置されたものでは、ダストケースの上部(手元側)が下向きとなったときに運転を停止した場合、ダストケース内のごみがパイプケース部に逆流する虞がある。このような構成の電気掃除機では、逆流を防止するためにダストケースとパイプケース部の境界部に逆流防止弁を設ける必要がある。これに対して、電気掃除機100に応用吸口体5を装着して使用し、ダストケース2の上部(捕塵フィルタ130側)が下向きになった場合、パイプケース部13の下側にダストケース2が配置されているので、図53に示すような状態で運転が停止されたとしてもダストケース2内に集塵されたごみがパイプケース部13側に逆流することがない。また、ダストケース2の下部を下向きにした状態で運転が停止されたとしても、ダストケース2内に集塵されたごみがパイプケース部13側に逆流することがない。このように、逆流防止弁を設けることなく、ダストケース2からパイプケース部13への逆流を防止できる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。例えば、回転ハンドル30の回転機構部33において、図1に示すスティック状態と図2に示すハンディ状態の2形態に限定されるものではなく、ハンディ状態とスティック状態の中間の状態で使用できるようにしてもよい。このような構成にするには、図7に示すロックプレート36aに形成するロック孔36eの数を増やすことで対応できる。
また、伸縮パイプ20は、回転ハンドル30の操作ボタン31a、31bと本体基板50との接続のためのリード線を内部に収納しているため中空のパイプ形状としているが、この限りでない。リード線を外に位置する、または本体部10に操作ボタンを配置することで、伸縮パイプ20をパイプ形状とする必要がなく、パイプケース部13との組み合わせで伸縮するものであれば良く、例えば単に棒形状であってもよい。また、本体部10、伸縮パイプ20、回転機構部33、回転ハンドル30がこの順番で記載されているが、この限りでない。例えば、本体部、回転機構部、伸縮パイプ、回転ハンドルの順とし、伸縮パイプ20を回転ハンドル内に収納、本体部に対して回転とする機構でも良い。