以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の電気掃除機は、掃除機本体に対して伸縮自在に設けられる伸縮パイプの伸出方向の端部に第1ハンドルが配置され、前記掃除機本体側に前記伸縮パイプを部分的に内包する筒部を把持部とする第2ハンドルが配置されている。
この電気掃除機は、掃除機本体に対して伸縮パイプの長さを伸ばした状態でスティック型として使用することができ、また伸縮パイプの長さを縮めた状態でハンディ型として使用することができる。
図1は、スティック型として使用する電気掃除機100の全体斜視図である。図2は、ハンディ型として使用する電気掃除機100の左側面図である。図3は、吸口体3を取り外した図2に示す電気掃除機100の平面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。なお、図3における伸縮パイプ20は、隠れ線(点線)で表している。また、以下の説明における電気掃除機100の前後上下左右の方向は、図1及び図2の矢印で示す前後上下左右の方向を基準とする。
図1及び図2に示すように、電気掃除機100は、吸口体3と、掃除機本体1と、伸縮パイプ20(図1参照)と、第1ハンドル30と、後に詳しく説明する伸縮パイプ20のロックアンロック装置50(図6参照)とを備えている。
≪吸口体≫
吸口体3は、掃除機本体1の前部に開口する吸込口15(図4参照)に嵌脱自在に取り付けられる。
図1に示す吸口体3は、電動機駆動の回転ブラシを内蔵するパワーブラシ式吸口体3aであり、図2に示す吸口体3は、隙間ノズル3bである。なお、電気掃除機100の吸口体3は、これらパワーブラシ式吸口体3aや隙間ノズル3bに限定されるものではなく、他の吸口体を使用することもできる。また、電気掃除機100は、吸口体3を取り付けないで使用することもできる。ちなみに、本実施形態での吸口体3は、掃除機本体1の前端に設けられた吸口体着脱ボタン16を押し下げることによって掃除機本体1から取り外すことができるようになっている。
なお、図1に示す電気掃除機100と図2に示す電気掃除機100とは、伸び出た伸縮パイプ20の長さが異なり、前記のように吸口体3がパワーブラシ式吸口体3aと隙間ノズル3bとで異なっていること以外は同じ構造となっている。
≪掃除機本体≫
掃除機本体1は、ケース10内に後記の電動送風機40(図4参照)、本体基板44(図4参照)、蓄電池60(図4参照)などを備えて構成されている。また、掃除機本体1は、ケース10に対して着脱自在に取り付けられた集塵装置2と、吸口体3から吸い込まれる塵挨を含む空気を集塵装置2に送り込む後記の空気導入管17(図5参照)とを備えている。
掃除機本体1の外形は、主にケース10と集塵装置2とがなす外形で略構成されており前後方向に長い形状となっている。また、掃除機本体1のケース10には、第2ハンドル33が形成されている。前記の第1ハンドル30及び第2ハンドル33については後に詳細に説明する。
<ケース>
ケース10は、図1に示すように、パイプケース部13と、モータケース部11と、蓄電池ケース部12と、導入管ケース部14とを有している。
パイプケース部13は、掃除機本体1の上部を前後方向に延びるように形成されている。パイプケース部13は、後記するように、掃除機本体1の後部寄りで第2ハンドル33を形成している。パイプケース部13の外形は、この第2ハンドル33部分を除いて前後方向に延びる凸状形状となっている。
パイプケース部13は、図3及び図4に示すように、電気掃除機100がハンディ型として使用される際には、後記する伸縮パイプ20(パイプ部材21)を内側に収納する。なお、電気掃除機100がスティック型として使用される際には、パイプ部材21は、図1に示すように、掃除機本体1の後端部からパイプケース部13の外側に伸び出た状態となる。
本実施形態でのモータケース部11は、図1及び図2に示すように、パイプケース部13の下側において掃除機本体1の略後半分の範囲でパイプケース部13と蓄電池ケース部12との間に配置されている。モータケース部11は、図3に示すように、パイプケース部13よりも左右方向に幅広に形成されている。
本実施形態での蓄電池ケース部12は、図1及び図2に示すように、掃除機本体1の略後半分の範囲でモータケース部11の下側に配置されている。蓄電池ケース部12は、図3に示すように、パイプケース部13よりも左右方向に幅広に形成され、モータケース部11よりも左右方向に幅狭に形成されている。
本実施形態での導入管ケース部14は、後記する空気導入管17(図5参照)を上側から覆うように配置されている。
なお、図1及び図2中、符号80は、後に説明する回転ブラシである。
導入管ケース部14は、図3に示すように、掃除機本体1の略前半分の範囲でパイプケース部13の右側に張り出すように配置されている。
<電動送風機、本体基板及び蓄電池>
図4に示すように、電動送風機40は、モータケース部11内に収容されている。具体的には、電動送風機40は、モータケース部11内に配置される固定ケース11a内にネジなどによって支持されている。
電動送風機40は、ファン41と、このファン41を回転軸42周りに駆動する電動機43と、を備えている。
本実施形態での電動送風機40は、ファン41が前方を向くように配置されることで、回転軸42が伸縮パイプ20と平行になっている。
電動送風機40は、集塵装置2側に臨む前部から吸気する。電動送風機40からの排気は、固定ケース11a内を後方に向けて流れる。
本体基板44,44は、掃除機本体1を制御する制御基板であり、電動送風機40の後方で固定ケース11a内にネジなどによって固定されている。
本実施形態での本体基板44,44は、上下に分割して配置され、対向する面に電子部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、各本体基板44,44に対向するように配置された電子部品を冷却するように流れる。そして、固定ケース11aの所定の開口部(図示を省略)から流れ出た排気は、モータケース部11の内外を貫く複数のスリットなどで形成される排気口(図示を省略)を介して機外に排出される。なお、この排気口にはフィルタを配置することもできる。
蓄電池60は、蓄電池ケース部12内に収容されている。本実施形態での蓄電池60は、上下方向に扁平の直方体で形成されている。蓄電池60は、電気掃除機100の主電源であり、本体基板44、電動送風機40などと電気的に接続されている。
蓄電池60は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの充電可能な二次電池で構成されている。本実施形態での蓄電池60は、単電池を複数用いた組電池を想定しているが、電気掃除機100の使用条件等によっては単電池を使用することもできる。
<空気導入管>
空気導入管17は、図5に示すように、吸込口15と、この吸込口15と流入口149とを繋ぐ連通管18とを備えている。この空気導入管17は、吸引した空気を集塵装置2の外筒128内に送り込む。
本実施形態での吸込口15は、前後方向に延びる略円筒体(筒体)で形成されている。この吸込口15は、前記のように、掃除機本体1の前部で前方向に向けて開口し、嵌脱自在に吸口体3(図1及び図2参照)が取り付けられるようになっている。
また、図3に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の平面視で後記する伸縮パイプ20の中心軸Ax2の前方延長上に配置されている。また、図4に示すように、吸込口15の中心軸Ax1は、掃除機本体1の側面視で、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の下方でこの中心軸Ax2と平行になるように配置されている。
<集塵装置着脱機構>
次に、本発明の実施形態の集塵装置着脱機構(ロックボタン119)の構成について説明する。
パイプケース部13の前方には、集塵装置2を固定するための集塵装置固定突起117を備え、モータケース部11には、集塵装置2を固定する集塵装置固定穴118を備える。集塵装置2には、バネ120によって付勢されたロックボタン119を備える。集塵装置固定突起117を集塵装置2底面の窪み部116に差し込み、集塵装置固定突起117を起点に前方(パイプケース部13側)に回動させて、ロックボタン119を集塵装置固定穴118に引っ掛けることにより、集塵装置2が掃除機本体1に取り付けられる。
集塵装置2を外す際は、ロックボタン119を下方にスライドさせることで集塵装置固定穴118から外し、集塵装置2の取り付け時とは逆方向に回動させることにより、集塵装置固定突起117から外すことができる。また、ロックボタン119の色相を掃除機本体1や集塵装置2の色相とコントラストの大きい色相(例えば、清潔感ある青色など)にすることで、集塵装置2の取り外す際の固定解除位置を容易に探索でき、再度取り付ける際にも固定位置の誤組み防止となり得る。
≪伸縮パイプ≫
伸縮パイプ20は、前記のように、掃除機本体1の後端部から伸び出る長さが可変となっている(図1及び図2参照)。なお、伸縮パイプ20は、掃除機本体1から伸び出ている長さが伸縮するものであり、掃除機本体1の前後方向における伸縮パイプ20の絶対長さ(全体長さ)が伸縮するものではない。ただし、以下の伸縮パイプ20の用語は、掃除機本体1から伸び出ている部分に限定して適用するものではなく、説明の便宜上、掃除機本体1に内在している部分をも含めた全体の伸縮パイプ20に適用する。
伸縮パイプ20は、図2及び図3に示すように、電気掃除機100がハンディ型として使用される場合には、伸縮パイプ20の略全長にわたってパイプケース部13内に収容される。つまり、伸縮パイプ20の前後方向の長さとパイプケース部13の前後方向の長さとは略同じに設定されている。
伸縮パイプ20は、図4に示すように、伸縮パイプ20の長さ方向(前後方向)の略全体を占めるパイプ部材21と、パイプ部材21の両端内側にそれぞれ配置される第1挿入部材22、及び第2挿入部材23と、を備えている。
パイプ部材21の後端部には、後に詳しく説明する第1ハンドル30が取り付けられている。ユーザは、この第1ハンドル30を把持することで伸縮パイプ20(パイプ部材21)を掃除機本体1から引き出すこととなる。
図6は、図4のVI部の部分拡大断面図である。
図6に示すように、パイプ部材21の前側には、伸縮パイプ20の掃除機本体1に対するロックアンロック装置50が配置されている。
パイプ部材21の前側上部には、ロックアンロック装置50をパイプ部材21の内外に臨ませる長孔25が形成されている。この長孔25は、本実施形態でのロックアンロック装置50のサイズに合わせて前後方向に長く形成されている。ロックアンロック装置50については後に詳しく説明する。
本実施形態でのパイプ部材21は、アルミニウム合金などの軽金属からなる金属パイプを想定しているがこれに限定されるものではなく、合成樹脂などの他の材料からなるものを使用することもできる。また、本実施形態でのパイプ部材21は、断面形状が円形であるものを想定しているが、楕円、多角形などの他の形状とすることもできる。
第1挿入部材22は、図6に示すように、パイプ部材21の前側に配置されている。
第1挿入部材22は、パイプ部材21に内嵌される筒部22aと、ロックアンロック装置50の基部を支持する支持部22bとを備えている。
筒部22aは、パイプ部材21の内側に収まる外径を有している。筒部22aの前端部には、パイプ部材21の前端に当接するフランジ22cが形成されている。また、筒部22aの後端上部には、長孔25の前縁部に掛る爪部22dが形成されている。第1挿入部材22は、フランジ22cと爪部22dによってパイプ部材21に対して一体になるように支持されている。
第1挿入部材22を構成する支持部22bは、筒部22aの後端部から後方に延在する板状部材で構成され、筒部22aと一体成形されている。
支持部22bは、後記のロックアンロック装置50を構成するピン54を摺動可能に保持するピン保持部22eと、ロックアンロック装置50を構成する基部56aがネジ止めされるネジ受け部22fとを有している。
本実施形態での第1挿入部材22は、合成樹脂からなるものを想定しているがこれに限定されるものではなく、金属などの他の材料からなるものを使用することもできる。
なお、図6中、符号23aは、電気系統を構成するコードである。パイプ部材21がパイプケース部13に収容された状態で、このパイプ部材21の内側を前後方向に延びている。このコード23aは、パイプ部材21内で少なくとも一部が延びる螺旋状に形成されている。この螺旋部は、掃除機本体1からの伸縮パイプ20の伸び出し量に応じて前後方向に伸縮することができる。このコード23aは、前端がパイプケース部13の前端に設けられた端子(不図示)と電気的に接続され、後端が後記するスイッチ基板36(図8参照)と電気的に接続されている。
また、コード23aは、図6において螺旋状の部分のみを図示しておりその他の部分は省略している。また、他の図面においてはコード23aの全ての記載を省略している。
図7は、図4のVII部の部分拡大断面図である。
図7に示すように、第2挿入部材23は、パイプ部材21の後部内側に配置されている。
第2挿入部材23は、後記のロックアンロック装置50を構成する伝達部材27の後端が取り付けられる後端取付部23aと、後端取付部23aから後方に延びて、パイプ部材21の内側で前後方向に摺動することによって後端取付部23aを前後方向に案内する案内部材23bとを備えている。
本実施形態での後端取付部23aは、後記する伝達部材27の後端を引っ掛ける立体構造体で形成されているが、これに限定されるものではない。後端取付部23aは、伝達部材27の後端を係止する構造を有していればよく、伝達部材27の後端形状のバリエーションに応じてその構造を適宜に変更することができる。また、後端取付部23aは、これと別体の伝達部材27に接合可能なものに限定されるものではなく、予め伝達部材27に一体に成形された一体成形体とすることもできる。
案内部材23bは、後端取付部23aの後端に接続される略円筒体で構成されている。この略円筒体は、パイプ部材21の後端内側面(内周面)に対して摺接する。
案内部材23bの後端部には、フランジ23cが形成されている。このフランジ23cは、案内部材23bがパイプ部材21の内側を前進した際に、パイプ部材21の後端に当接することで、パイプ部材21の内側における第2挿入部材23の最大前進長さを所定長さに規定している。
案内部材23bの下壁(下側周壁)には、後記するトリガー39の突出片39cが嵌入される孔部23dが形成されている。
第2挿入部材23は、後に詳しく説明するように、このトリガー39との連係によって、パイプ部材21の内側を前後方向に移動する。
本実施形態での第2挿入部材23は、合成樹脂からなるものを想定しているがこれに限定されるものではなく、金属などの他の材料からなるものを使用することもできる。
≪第1ハンドル≫
第1ハンドル30は、図1及び図2に示すように、伸縮パイプ20(パイプ部材21)の後端部に取り付けられている。
第1ハンドル30は、図2に示すように、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線上に規定される軸線Ax3に沿って延びるように形成されるベースグリップ部30aと、このベースグリップ部30aの軸線Ax3に交差する軸線Ax4に沿って延びる傾斜グリップ部30bと、を備えるピストルグリップで構成されている。さらに詳しくは、ユーザが傾斜グリップ部30bを把持した際に、ユーザの前腕が伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線に沿って略延びるように、ベースグリップ部30aの軸線Ax3と、傾斜グリップ部30bの軸線Ax4との成す角度θが、100°から130°程度に設定されている。
第1ハンドル30は、図1に示すように操作部31と、トリガー39とを備えている。
操作部31は、ユーザが第1ハンドル30を把持した際に、電気掃除機100の手元操作を可能にしている。操作部31には、複数の操作ボタン31a(本実施形態では前後方向に並ぶ2つの操作ボタン31a)が配置されている。これらの操作ボタン31aは、吸込力の切替え、電動送風機40のオンオフの切換え、パワーブラシ式吸口体3aのオンオフの切替えなどに割り当てることができる。
図8は、第1ハンドル30の分解斜視図である。
図8に示すように、第1ハンドル30は、ハンドル上半体35と、スイッチ基板36と、基板下カバー部材37と、ハンドル下半体38と、トリガー39とが上下方向に組み合わされて形成される。具体的には、図7に示すように、パイプ部材21を上下方向からそれぞれ挟み付けるようにハンドル上半体35とハンドル下半体38とが配置される。また、これらハンドル上半体35及びハンドル下半体38同士は、ネジTで締結されてパイプ部材21に固定される。
図8に示すように、ハンドル上半体35は、第1ハンドル30の略上半分の外形を形成している。ベースグリップ部30a(図2参照)を形成するハンドル上半体35部分は、掃除機本体1の後部側のパイプケース部13の外形と近似した外形を有している。したがって、図2に示すように、伸縮パイプ20の中心軸Ax2の後方延長線上に軸線Ax3が配置されるベースグリップ部30aは、ハンディ型の使用態様の電気掃除機100において、パイプケース部13からベースグリップ部30aへと外形が連なった印象を与える意匠性を有している。
図9は、図8のIX−IX断面を部分的に描いた部分断面図である。図9には、仮想線(二点鎖線)でスイッチ基板36と基板下カバー部材37とを描いている。
図9に示すように、ハンドル上半体35の下面側には、前後方向(図9の紙面に対して垂直方向)に延びる一対のリブ35aが形成されている。
一対のリブ35aは、スイッチ基板36の左右幅と略同じ距離をおいて対向している。
また、リブ35aの下端には、ハンドル上半体35の中央側に向けて屈曲する爪部35bが形成されている。爪部35bは、図示を省略するが、前後方向に延びるそれぞれのリブ35aの下端辺に沿って複数形成されている。本実施形態での爪部35bは、各リブ35aにそれぞれ2つ形成されている。
これらの爪部35bは、一対のリブ35a間に配置されるスイッチ基板36の左右両縁に係止することで、操作部31に対応するように、スイッチ基板36をハンドル上半体35の下面側の所定位置に支持している。
図9中、符号31は、操作部であり、符号31aは、操作ボタンであり、符号37aは、基板下カバー部材37の台座部であり、符号37bは、基板下カバー部材37の板枠部である。
基板下カバー部材37は、図8に示すように、パイプ部材21の曲面に合わせた曲面を有する台座部37aと、スイッチ基板36を三方から囲むように台座部37aに形成される板枠部37bと、を備えている。
本実施形態での基板下カバー部材37は、電気絶縁性を有する合成樹脂で形成されている。この基板下カバー部材37は、本実施形態での金属製のパイプ部材21上で、スイッチ基板36を下方から覆うように配置されている。また、板枠部37bは、図9に示すように、ハンドル上半体35の一対のリブ35aを外側から挟持するように配置される。つまり、スイッチ基板36は、リブ35aを介して電気絶縁性の板枠部37bで覆われている。
図8に示すように、ハンドル下半体38は、第1ハンドル30の略下半分の外形を形成している。ベースグリップ部30a(図2参照)を形成するハンドル下半体38部分には、ハンドル下半体38の下面を上下方向に貫く3つのスリット38a,38b,38cが形成されている。
これらのスリット38a,38b,38cは、前後方向に延びるように形成されている。また、スリット38a,38b,38cは、ハンドル下半体38の左右幅方向に3列並ぶように形成されている。
これらのスリット38a,38b,38cのうち、スリット38aは、他のスリット38b,38cよりもやや前方にシフトしてハンドル下半体38の左右幅方向の中央に形成されている。また、スリット38b,38cは、スリット38aよりもやや後方にシフトし、スリット38aの後部を部分的に挟む位置に形成されている。
なお、図7に示すように、パイプ部材21の下側周壁において前記のスリット38aと対応する位置には、スリット38aと上下に互い重なり合うようにスリット21aが形成されている。このパイプ部材21のスリット21aについては後に説明する。
図7に示すように、スリット38aには、後記するトリガー39の突出片39cが挿通されている。また、図8に示すスリット38b,38cには、後記するトリガー39の案内リブ39d,39eがそれぞれ挿通されることとなる。
また、図8中、符号38d,38dは、ネジT(図7参照)が挿通されるボス部であり、ハンドル上半体35の下面には、図7に示すようにこれらボス部38d,38dに対応するようにボス部35d,35dが形成されている。図8中、符号21b,21bは、パイプ部材21に形成されたボス部35d,35d(図7参照)の挿通孔である。なお、図8に図示しないが、パイプ部材21の下側周壁には、ボス部38d,38dの挿通孔が形成されている。
トリガー39は、図8に示すように、スライダ39aと、指掛け部39bとを備えている。
スライダ39aは、ハンドル下半体38の下面を前後方向にスライドする部材であり、ハンドル下半体38の下面に対して摺接する略板状体で形成されている。このスライダ39aの上面には、ハンドル下半体38のスリット38a,38b,38cに対応するように、前記の突出片39cと、一対の案内リブ39d,39eとが立設されている。
突出片39cは、図7に示すように、ハンドル下半体38のスリット38aを上下方向に貫通している。また、突出片39cは、パイプ部材21のスリット21aを上下方向に貫通している。そして、スリット21aから上方に突出する突出片39cの先端部は、パイプ部材21の内側に配置される案内部材23bに係合している。
案内リブ39d,39eのそれぞれは、前記のようにスリット38b,38cに挿通される。案内リブ39d,39eは、スリット38b,38c内を前後方向に摺動する。これによりユーザが指掛け部39bに手指を掛けて引いた際には、スライダ39aは、スリット38b,38cの延びる前後方向に沿うように案内されて、がたつくことなく後方にスムーズに移動する。
なお、図示は省略するが、案内リブ39d,39eの側面には、それぞれ前後方向に延びる溝部が形成されており、この溝部には、スリット38b,38cの近傍でハンドル下半体38の下側内周面に設けられた前後方向に延びるレール部材が嵌め込まれている。これによりトリガー39は、ハンドル下半体38から下方に脱離することなく前後方向に移動自在となっている。
このような第1ハンドル30を構成するトリガー39は、後記するようにロックアンロック装置50の一部をも構成している。
≪第2ハンドル≫
図3及び図4に示すように、第2ハンドル33は、掃除機本体1の後側上部に形成されている。
第2ハンドル33は、掃除機本体1の前後方向に延在するパイプケース部13のうち、掃除機本体1の後部で伸縮パイプ20(パイプ部材21)を部分的に内包する筒部22aを把持部としている。
言い換えれば第2ハンドル33は、図2に示すように、モータケース部11とパイプケース部13とを部分的に上下に分かつように掃除機本体1を左右方向(図2の紙面に対して垂直方向)に貫くユーザの手指の挿入口33aが形成されて構成されている。
本実施形態で挿入口33aは、側面視で前後方向に長い長孔となっている。さらに具体的には、この長孔は、前後両端部に同径の円弧を備え、円弧に連なる上下二辺が互いに平行となったトラック形状(オーバル形状)となっている。つまり、この長孔は、上下二辺に対する円弧が正接円弧となっている。これにより挿入口33aに対するユーザの手指の収まりが良好となる。
また、側面視での長孔の前後方向に延びる中心軸線Ax5は、掃除機本体1の吸込口15の中心軸線Ax1の後方延長線上に位置している。つまり、長孔の上下二辺のそれぞれは、吸込口15の中心軸線Ax1に対して平行となるように形成されている。
このような第2ハンドル33は、図示は省略するが、筒部22aに対向するモータケース部11の上面S1(図1参照)を、上側に凹となるように形成することもできる。これにより掃除機本体1の上下高さを増加させることなく、挿入口33aを大きく確保することができる。
また、本実施形態での第2ハンドル33は、図4に示すように、電動送風機40の固定ケース11a上に形成されている。具体的には、第2ハンドル33の把持部としての筒部22aの下方に蓄電池60の少なくとも一部、電動送風機40の少なくとも一部、及び本体基板44の少なくとも一部が位置するように、挿入口33aの前後方向の位置が設定されている。これにより、図2に示すように、ユーザが把持する筒部22aの下方付近に電気掃除機100の重心Gaが位置する。特に吸口体3を下方に傾けた際には、筒部22aの真下に重心Gaが位置する。よって、ユーザの手指に掛る荷重の負担が軽減される。
≪ロックアンロック装置≫
ロックアンロック装置50(図6参照)は、パイプケース部13(図6参照)内を前後に移動する伸縮パイプ20(図6参照)を所定の位置にロックし又はアンロックするものである。これにより掃除機本体1(図2参照)から後方に伸び出す伸縮パイプ20(図2参照)の長さが調節される。
このロックアンロック装置50は、伸縮パイプ20とともにパイプケース部13内を前後に移動し、前後方向の所定の位置に係止される被係止部51(図6参照)と、この被係止部51を所定の位置に係止する係止部52(図6参照)と、被係止部51を係止部52に係止させ、又はこの係止を解かせる作動部53(図6及び図7参照)と、を備えている。
<被係止部>
図6に示すように、被係止部51は、前記の第1挿入部材22(支持部22b)に取り付けられることで、前記のように伸縮パイプ20とともにパイプケース部13内を前後に移動する。この被係止部51は、パイプ部材21の長孔25を介してパイプ部材21の内外に臨んでいる。
本実施形態に係る電気掃除機100における被係止部51は、パイプ部材21の先端側のみに形成されている。
被係止部51は、上下移動するピン54と、ピン54を下方に付勢するばね55と、後記する作動部53の引張動作を受けてばね55の付勢力に抗してピン54を引き上げるピン引上げ機構56と、を備えて構成されている。
ピン54は、略円柱形状を呈しており、ピン54の中心軸が上下方向に向くようにピン引上げ機構56に支持されている。
ピン引上げ機構56は、伸縮パイプ20の第1挿入部材22(支持部22b)にネジTで取り付けられる基部56aと、ピン54を支持する上下移動自在な可動部56bと、後記する作動部53による引張力を受けて後方に移動することで可動部56bを上方に移動させるスライダ部56cと、を備えて構成されている。
なお、ばね55の上下端のそれぞれは、基部56aと可動部56bとに支持され、ばね55は、可動部56bを基部56aから離反させるように付勢している。これによってピン54は、下方に向けて付勢される。
図10(a)は、ロックアンロック装置50の分解斜視図である。図10(a)は、作図の便宜上、掃除機本体1から分離した伸縮パイプ20にロックアンロック装置50が取り付けられる様子を示している。図10(b)は、図10(a)のX−X断面図である。
図10(a)に示すように、基部56aは、可動部56bの左右両側部と後部とを覆う壁板を有する枠体で構成されている。
図10(a)に示すように、可動部56bは、前後方向に長い枠体で形成され、前後のにはそれぞれテーパ面S2,S2が形成されている。このテーパ面S2,S2は、前方から後方に向けて下り勾配となるように傾斜している。
この可動部56bの内側には、前記のピン54及びばね55が配置されるとともに、可動部56bは、基部56aを構成する枠体の内側に基部56aの下方から組み付けられる。
図10(a)に示すように、スライダ部56cは、基部56aの上側に配置される略板体からなるベース部56dと、このベース部56dから下方に突出する前後一対の可動部当接突起56e,56eと、を備えている。可動部当接突起56e,56eには、図6に示すように、可動部56bのテーパ面S2,S2にそれぞれ当接する湾曲部56f,56fが形成されている。
スライダ部56c(図10(a)参照)は、基部56a(図10(a)参照)に対して前後移動可能に基部56aの上側に組み付けられる。
図10(a)に示すように、スライダ部56cの後部には、後記する伝達部材27の前端が取り付けられる前端取付部56gが形成されている。本実施形態での前端取付部56gは、伝達部材27の前端が差し込まれる孔で構成されている。この前端取付部56gは、伝達部材27の前端を係止する構造を有していればよく、伝達部材27の前端形状のバリエーションに応じてその構造を適宜に変更することができる。また、前端取付部56gは、これと別体の伝達部材27に接合可能なものに限定されるものではなく、予め伝達部材27に一体に成形された一体成形体とすることもできる。
このようなピン引上げ機構56は、図10(a)に示すように、その下側部分がパイプ部材21の長孔25を介してパイプ部材21内に収められる。
なお、図10(a)中、符号56はピン引上げ機構を示している。
そして、図6に示すように、基部56aが第1挿入部材22の支持部22bを構成するネジ受け部22fにネジTで締結されるとともに、ピン54がピン保持部22eに挿通される。
また、ピン引上げ機構56は、図6に示すように、パイプ部材21とともにパイプケース部13内に収められる。
なお、図6中、符号56hは、スライダ部56cの上面で前後方向に延びるリブである。このリブ56hは、パイプケース部13の上側内周面の前後方向に延びるように形成された溝部(図示を省略)に嵌り込むようになっている。これによりピン引上げ機構56がパイプ部材21とともにパイプケース部13内を前後方向に移動する際にがたつきがより確実に防止される。
また、図6中、符号21cは、ピン54の下方でパイプ部材21に形成されたピン挿通孔である。符号34aは、次に説明する係止部52を構成するロックプレート34に形成されたピン嵌入孔である。
<係止部>
係止部52は、図6に示すように、パイプ部材21の下方に配置されるロックプレート34を備えて構成されている。このロックプレート34は、掃除機本体1を構成するケース10に固定されている。
ロックプレート34は、前後方向に細長い板体で形成されている。ロックプレート34には、前後方向にそって所定の間隔で複数の前記ピン嵌入孔34a(穴)が形成されている。本実施形態では4つのピン嵌入孔34aが形成されている。
このピン嵌入孔34aに被係止部51を構成するピン54が嵌り込むことによって、ロックアンロック装置50は、伸縮パイプ20のロック状態を維持することとなる。
図10(b)に示すように、ロックプレート34の上面に形成されるピン嵌入孔34aの内径D1は、ピン54の外径D3よりも大きく、ロックプレート34の下面に形成されるピン嵌入孔34aの内径D2は、ピン54の外径D3と同径になっている。
つまり、このピン嵌入孔34aは、ピン54の受け入れ側開口部であるロックプレート34の上面側に、呼込み径を広げるR形状が施されている。
また、ピン54の受け入れ側開口部には、このR形状に代えて面取り形状を施すこともできる。
<作動部>
作動部53は、図7に示すように、トリガー39と、第2挿入部材23と、伝達部材27と、を備えている。なお、トリガー39は、前記の第1ハンドル30をも構成し、第2挿入部材23は、前記の伸縮パイプ20をも構成している。
この作動部53は、被係止部51(ピン引上げ機構56)のスライダ部56cに引張力を加えるものである。トリガー39と第2挿入部材23については、前記のとおりであり、詳細な説明は省略する。
本実施形態での伝達部材27は、図4に示すように、前後方向に長いロッド部材で構成されている。この伝達部材27としては、引張力をスライダ部56cに伝達できるものであれば、多少の撓み性を有するワイヤなどを使用することもできる。
<ロックアンロック装置の動作>
次に、図2に示すハンディ型から図1に示すスティック型に電気掃除機100の使用態様を変更する際のロックアンロック装置50の動作について説明する。
図2に示すハンディ型の使用態様では、掃除機本体1から後方に伸び出す伸縮パイプ20の長さは縮められて、伸縮パイプ20は略全長にわたってパイプケース部13内に収容されている。
この際、主に図6を参照して説明すると、ロックアンロック装置50は、図示は省略するが、ロック状態にあってはピン54の先端がパイプ部材21のピン挿通孔21cを介してロックプレート34のピン嵌入孔34aに嵌り込んでいる。また、ピン54は、ばね55によって下方に付勢されており、ピン嵌入孔34aに嵌り込んだピン54のロック状態は維持される。
これによりパイプケース部13内における伸縮パイプ20の前後方向の移動が禁止されることで掃除機本体1に対する伸縮パイプ20の伸び出し長さは一定長さに固定される。
次に、図7を主に参照して、ユーザの手指が、トリガー39を後方に引くと、トリガー39の突出片39cの先端部は、係合する第2挿入部材23の案内部材23bを後方に移動させる。ちなみに、ユーザはばね55(図6参照)の付勢力に抗する力でトリガー39を後方に引くことになる。
これにより、案内部材23bの後端と接続される第2挿入部材23の後端取付部23aは、伝達部材27を後方に引く。伝達部材27の先端と接続される被係止部51(スライダ部56c)の先端取付部56g(図10(a)参照)は、この引張力を受けて後方に移動する。
後方に移動するスライダ部56cの湾曲部56f(図6参照)は、可動部56b(図6参照)のテーパ面S2(図6参照)を後方に押しやる。これにより湾曲部56fは、テーパ面S2の下方に位置するようにテーパ面S2上を摺動する。ピン54を支持する可動部56bは、上方に移動する。ピン54は、図6に示すように、ロックプレート34のピン嵌入孔34aから脱することで前記のロック状態は解かれる。伸縮パイプ20は、パイプケース部13内で前後方向に移動可能となる。
次に、図7を主に参照して、ユーザは、トリガー39を引いた状態で第1ハンドル30を把持してパイプケース部13内で前後方向に移動可能となった伸縮パイプ20を掃除機本体1から引き出す。そして、ユーザは、引き出された伸縮パイプ20の長さが、スティック型としての使用に好適な伸縮パイプ20に近づいたときに、トリガー39を開放するとともに、さらに伸縮パイプ20を引き出していく。
このとき図6に示すピン54は、ばね55によって下方に付勢されつつ、パイプケース部13内を後方に移動する。そして、ピン54がロックプレート34のピン嵌入孔34aに到達すると、ばね55の付勢力によってピン54は、ピン嵌入孔34aに嵌り込む。これにより伸縮パイプ20は、図1に示すスティック型での使用態様の長さに固定される。
<回転ブラシ80>
図1及び図2に示すように掃除機本体1の先端部(下側)には、先端部に対して回動可能な回転ブラシ80を備える。回転ブラシ80は3方向に刷毛部を有している。回転ブラシ80を用いるために回動させて両刷毛部を清掃面側にすることで清掃面との隙間を減らして吸込み性能を上げ、また清掃面を傷つけることなく掃除することができる。
≪集塵装置≫
集塵装置2は、吸口体3または吸込口15から前記空気導入管17を介して、吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能をもつ。
この集塵装置2は、図1に示すように、パイプケース部13の下方であって、モータケース部11の前方に配置されている。また、集塵装置2は、図4に示すように、掃除機本体1の吸込口15の後方に位置している。
図5は、図4の集塵装置2周りの部分拡大断面図である。図5は、空気導入管17を表すために作図の便宜上、図4のケース10、伸縮パイプ20などを省略し、吸込口15、空気導入管17及び集塵装置2のみを表している。また、図11から図19においては、本実施形態での集塵装置2の各構成を示す。
本実施形態での集塵装置2は、サイクロン方式のものであり、略円柱状の外形を有している。
この集塵装置2は概ね、外筒128、内筒129、捕塵スポンジフィルタ171、捕塵フィルタ130で形成されている。外筒128は上下が開口した筒体である。外筒128の上部には所定のロック装置によって前記開口部に対する開閉動作を行うことができる上蓋132、下部に底蓋133を備えている。そして、この外筒128には、図5に示すように、吸込口15を介して吸引した空気を取り込むための流入口149と、この外筒128と一体化したフィルタ受け部131と、この外筒128内の同心状に配置される内筒129を備えている。
内筒129の中部は、上部円筒129aとメッシュ部材136、下部は下部円筒129bと筒体140と、を備えている。
フィルタ受け部131内には、吸引した空気流の流れから見た上流側に粗い塵埃を捕集する捕塵スポンジフィルタ171が配置されている。この下流側には細かい塵埃を捕集する捕塵フィルタ130が配置されている。外筒128と内筒129との間には、塵埃の分離・収容のための空間が形成される。外筒128と内筒129とで形成される空間のうち、上部は塵埃分離部134、下部は塵埃収容部135となる。塵埃分離部134は、塵埃を運んだ空気から塵埃を分離する空間であり、塵埃収容部135は、塵埃を集めて収容する空間である。
<捕塵スポンジフィルタ>
捕塵スポンジフィルタ171の部材は、例えばモルトフィルターMF50である。ウレタンフォームが有する三次元構造と高い空孔率、さらに完全なオープンセル構造のため、低い圧力損失で高い粉塵捕集率を得ることができ、優れた濾過性、耐油性を有する(密度:30±5 kg/m3、セル数:50±5 個/25mm)。
捕塵フィルタ130の上流側に位置することで体積が大きい粗い塵埃を捕集することが可能となり、捕塵フィルタ130への負担を低減することができる。捕塵スポンジフィルタ171は使用者が水洗いできることが望ましい。これによって、捕塵フィルタ130が塵埃によって直接汚れにくくなり、お手入れ性を向上することができる。また、本実施例では捕塵スポンジフィルタ171と後述する捕塵フィルタ130を個々で配置する構成としているが、捕塵フィルタ130の枠体をフィルタ面よりも延長し、延長した枠体内側にはめ込む構造とすることで水洗いする際に個々に取り外す手間を省くこともできる。
<捕塵フィルタ>
捕塵フィルタ130は、図11及び図12に示すように、枠体130aと、枠体内にプリーツ状(山折状)に折られたフィルタ部材147とで形成される。捕塵フィルタ130のフィルタ面は略水平方向であるのが望ましい。これは、フィルタ部材147に付着した細塵に重力作用方向の力が働くことで、塵埃を落としやすくするためである。また、フィルタ部材147をプリーツ状に折ることで、フィルタ面積が大きくなるため、フィルタ部材147による圧力損失を低減することができる。フィルタ部材147は、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などの高密度フィルタがある。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。また、捕塵フィルタ130は使用者が水洗いするための撥水効果、付着した匂いの消臭や菌の繁殖を抑制できる抗菌効果があることが望ましい。捕塵フィルタ130は、その外周に径方向に突出した鍔部130bを有している。鍔部130bの上下面には、後述するフィルタ受け部131と上蓋132との間に位置し、気密を保持するためのパッキング130c、パッキング130dがゴム部材等で形成されている。
ここで、フィルタ受け部131に捕塵フィルタ130を装着すると、パッキング130cとフィルタ受け部131上部のフィルタ当接部131aとが接する。また、上蓋132の下部には気密面132aを設けており、上蓋132を捕塵フィルタ130上方から被せると、パッキング130dと気密面132aが接し、上蓋132を後述するロック機構にて固定する動作により、上蓋132とフィルタ受け部131との間に捕塵フィルタ130が圧接される。こうして、フィルタ受け部131、上蓋132と捕塵フィルタ130とが外部空間に対して気密に封止される。
図11に示すように、捕塵フィルタ130の枠体130aと鍔部130bは、外筒128のフィルタ受け部131と同様に円形状の両端を平面にした小判形状となっており、捕塵フィルタ130をユーザがお手入れし、再装着する際にも容易に位置決め可能な構成としている。また、鍔部130bの平面部から位置決めリブ130eが対向する位置に対で2ヶ所形成されている。この、位置決めリブ130eが後述するフィルタ受け部131の背面に設けられたクランプ122の内側に嵌合することで、上蓋132が開いた状態で集塵装置2を上下逆にしても捕塵フィルタ130が脱落することを防止し、且つ、捕塵フィルタ130の回転方向へのガタつきを抑制することができる。
<外筒>
図11から図15及び図17(a)に示すように、外筒128は、上下が開口した略筒体で、上部側の上開口131aに捕塵スポンジフィルタ171と捕塵フィルタ130を収納するためのフィルタ受け部131が一体に形成されている。フィルタ受け部131の上部は、外側に突出したフランジ状のフィルタ当接部131bを備えており、先述した捕塵フィルタ130を装着した際、捕塵フィルタ130の外周に備えたパッキング130cと当接し、フィルタ受け部131と捕塵フィルタ130は気密を保持した状態となる。
フィルタ受け部131の下部は、塵埃分離部134と区画するため、区画壁128aが形成されている。区画壁128aの略中心部は開口128bが設けられており、後述する内筒129と流体的に連通している。区画壁128aの上面には、前述の捕塵スポンジフィルタ171を内包する収納リブ128cが開口128bと同心円上に設けられている。収納リブ128cの高さは、上部から捕塵フィルタ130が装着された際に捕塵フィルタ130のフィルタ部材147が当接する位置とすることで捕塵フィルタ130が押され過ぎて変形することを防止することもできる。また、捕塵スポンジフィルタ171を内包する収納リブ128cは、複数個のリブで構成することにより、同心円上の開口128bから流れ込む風の流れを捕塵スポンジフィルタ171の上面と側面側から捕塵フィルタ130に通過させることができ、通気損失の抑制を図ることができる。
外筒128の区画壁128aの下面には、後述する内筒129の外径よりも一回り大きい細塵防壁リブ127が開口128bの同心円上に設けられている。この、細塵防壁リブ127の内側側面には、対向する2箇所の位置にレール受けリブ127aと、このレール受けリブ127aの略中央に固定突起部127bを備えている。
外筒128のフィルタ受け部131の背面には、上蓋ロック機構121を備えている。上蓋ロック機構121は、上蓋132の爪部132bとフィルタ受け部131に備えるクランプ122で構成されている。フィルタ受け部131に備えるクランプ122は、側面の略中央に軸122bを設けており、外観から見えない裏側に爪部122aとバネ座122cを設けている。バネ座122cはクランプ122最下部の略中央に設け、爪部122aはクランプ122の最上部に備えている。フィルタ受け部131には、先述したクランプ122が収まるクランプ受け部131cとバネ受け部131dを備えており、クランプ受け部131cの側面にはクランプ122の軸122bが挿入される軸穴(図示せず)を備えている。
<上蓋>
上蓋132は、上下が開口した略筒体である。上蓋132の下方は先述した外筒128のフィルタ受け部131を覆うように、フィルタ受け部131の外径よりも一回り大きく形成されており、略中央部から集塵装置2の中心軸に対して略垂直方向外側に略水平に気密面132aを備えている。先述したように、捕塵フィルタ130を外筒128のフィルタ受け部131内に収めて、上蓋132を上方から被せることで捕塵フィルタ130のパッキング130dと上蓋132の気密面132aが接っして、外部空間に対して気密に封止される。
また、上蓋132天面にも気密保持のためのパッキング132cを備えている。このパッキング132cは上蓋132の天面よりも上方に出るように設けている。集塵装置2を掃除機本体1に装着した際に、このパッキング132cにより掃除機本体1と集塵装置2との気密を保持する。
上蓋132の正面下部には、外筒128のフィルタ受け部131と軸支される上部ヒンジ機構132dが構成される。また、上蓋132の正面上部には、先述した集塵装置着脱機構のロックボタン119と、ロックボタン119を上スライド方向に付勢するバネ(図示せず)が設けられている。
上蓋132の背面下部には、爪部132bが一体で形成されており、先述した上部ヒンジ機構132dにより、上蓋132の回転動作により、開いた状態から閉じる際に上蓋132の爪部132bが、外筒128に設けられたクランプ122の爪部122aと当接する。このとき、上蓋132に備えた爪部132bの底面は傾斜しているため、クランプ122の爪部122aを乗り越えてクランプ122内側に収まり、上蓋132とフィルタ受け部131が一体となる。また、捕塵フィルタ130を装着しない状態においては、クランプ122は軸122bを支点に上蓋132の気密面132aと干渉する位置まで回動する。捕塵フィルタ130を装着すると、位置決めリブ130eがクランプ122の内側に収まり、クランプ122は軸122bを支点に上蓋132の気密面132aと干渉しない位置まで押し戻されるため、上蓋132が閉じることが可能となる。このような構造とすることで、捕塵フィルタ130を手入れした後の取り付け忘れを防止することができる。
<内筒>
内筒129について、図16及び図17(b)を用いて説明する。
内筒129は、上部は吸気部129cを備えた上部円筒129aとメッシュ部材136、下部は上部円筒129aよりも直径が大きい下部円筒129bと筒体140と、を備え構成されている。上部円筒の129a側面には吸気部129cを備え、格子状の枠体(支骨)によって形成されている。本実施形態例では上下方向の枠体(支骨)としているが、格子状でも構わない。吸気部129cは、外周面にメッシュ部材136が掛け渡されており、メッシュ部材136は被覆またはインサート成型などによって枠体(支骨)に保持されている。吸気部129cにメッシュ部材136を設けることで、上部円筒129aはフィルタ機能を有し、内筒129内部への微細な塵埃の流入を抑制する。本実施形態例では、メッシュ部材136は、ポリエステルを使用しているが、金属(例えば、ステンレス)でも良く、枠体(支骨)ではなく小径の貫通孔(金型で成型可能なφ2mm程度の孔)を複数設けた吸気部129cでも構わない。貫通孔は、枠体(支骨)にメッシュ部材136を掛け渡した場合と違い、強度やメッシュ部材136の破れに対し有効であり、二次成形が不要といった利点がある。しかし、貫通孔の径は、メッシュ部材136の目開きよりも大きくなるため、内筒129の内部への微細な塵埃の流入を防ぐために成形機を考慮しつつ可能な限り微小孔とするのが好ましい。
上部円筒129aは、上方向に開口129dを備えており、先述した外筒128の区画壁128aが形成する開口128bと流体的に連通している。
上部円筒129aの最上部には、固定凹レール部129eを備えている。また上部円筒129aにおいては、吸気部129cよりも外径に出張る形状はない。これにより、吸気部129cに巻き付いた髪の毛を上部円筒129aの上方へ滑らせるように移動することができて、簡単に内筒129から髪の毛を取り除くことができ、手入れが容易に行える。
ここで、図6に示すように、本実施形態において、集塵装置2の上部に位置する塵埃分離部134は、流入口から流れ込まれた塵埃を運んだ空気から塵埃を分離する空間であり、比較的に質量の重い塵埃は、集塵装置2の下部に位置する塵埃収容部135に搬送されて堆積していく。しかしながら、質量の軽い細塵や髪の毛などは、塵埃分離室134を旋回し続ける傾向があり、内筒129に強く巻き付く恐れがある。本実施形態のように、上部円筒129aの上方へ髪の毛を滑らせるように移動することができる構造にすることで、簡単に内筒129から髪の毛を取り除くことができ、手入れが容易に行える。
先述したように、上部円筒129aの開口129dには、上方に隣接する外筒128の区画壁128aが形成する開口128bと連通するため、固定凹レール部129eが一体で形成されており、上部円筒129aの上側面部に対向する位置でレール突起部129fを二箇所備えている。このレール突起部129fは、外筒128の細塵防壁リブ127に設けられたレール受けリブ127bの固定突起部127aと対向する位置にある。ここで、内筒129の上面を外筒128の区画壁128aの下面に当接した状態から、垂直軸を中心に時計回りに回転させることで、固定凹レール部129eのレール突起部129fが、レール受けリブ127bの固定突起部127aを乗り越えて固定される。
従って、本実施形態では、集塵装置2から内筒129のみを取り外すことが可能となっており、内筒129のみを掃除(手入れ)する際に有用である。内筒129を取り外す際は、内筒129の垂直軸を中心に反時計回りに回転させることで、固定凹レール部129eのレール突起部129fがレール受けリブ127bの固定突起部127aから外れる。また、詳細は後述するが、上部円筒129aの下面部には下部円筒129bを有し、下部円筒129bは傘部139を内包し、傘部139は垂直方向に摺動する機構を備えている。
内筒129の下部円筒129bは、上部円筒129aと同心円状に設けており、略円筒状で上面が閉塞している。言い換えると、底面が開口し空間138を有した形状である。そして、下部円筒129bの空間138に、内包するように下部円筒129bの形状をオフセットした傘部139を設け、傘部139には、上面から下方に凸になるような筒体140を設けている。筒体140は、傘部139と同心円状に設けており、底面140aが閉塞し略半球状となっており、底面140aに向かって先細りになるような略円錐形状である。筒体140を先細りになるような略円錐形状にすることで、後述する外筒128下部の先太りの略円錐部と合わせて拡大する容器形状となるため、ごみ捨ての際にごみが落下しやすくなる。この筒体140は、集塵容積を拡大するために略円錐部の径を小さくしても構わない。
先述したように、傘部139を下部円筒129bに内包し、上下方向に摺動する摺動機構を設けることにより、ごみ捨て時に塵埃を排出し易くなる。傘部139は、吸引時などのごみ捨て時以外は下部円筒129b内に収まっており、ごみ捨て時に下方へ摺動することで、集塵装置2内の塵埃を押し出す。摺動機構は、次の通りである。
図16に示すように、傘部139の摺動機構は、上部円筒129aの下面の凸部141にバネ座を形成し、傘部139中央の筒体(凹部139a)内の底面139bが圧縮ばね142の受けとなり、圧縮ばね142の下方への弾性力を、傘部139に伝達する。従って、圧縮ばね142は、傘部139中央の筒体(凹部139a)に覆われた状態となる。上部円筒129aの下面に有する凸部141は、傘部139の筒体(凹部139a)の形状をオフセットした略相似形状で、凸部141の下部に爪部を有し、凹部139aの上部にも爪部を有している。圧縮ばね142を凹部139aに挿入し、更に上部円筒129aの下面に有する凸部141を挿入する。その際、圧縮ばね142の上部を凸部141の下面に設けたバネ座で覆い、凸部141の下部の爪部が、凹部139a上部の爪部を乗り越えていることで、上部円筒129aと傘部139は一体化される。このような構造で、内筒129は構成されている。従って、傘部139の摺動距離は、傘部139の凹部139aの深さに依存し、上部円筒129aの凸部141の高さが摺動距離となる。本実施形態においては、摺動距離を凸部141の高さとしているが、集塵装置2の高さや、内筒129、傘部139の高さが変わると変化するため、適宜変更されるものである。
傘部139は段差部139cを設けており、段差部139cと下部円筒129bの底面129b1が合わさった状態(傘部139が下部円筒129bの空間138に収まった状態)で、下部円筒129bと傘部139との隙間がなくなる。これにより、塵埃吸引時の下部円筒129bと傘部139内との隙間への塵埃の入り込みを抑制している。また、下部円筒129bの側面部には、鍔部129b2を設けており、この鍔部129b2によって塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りを抑制している。また、塵埃は鍔部129b2以下に堆積するため、塵埃が鍔部129b2を超える前を塵埃排出のタイミングとすると良い。
<流入口>
図18に示すように外筒128の背面には、流入口149および底蓋ロック機構150を備えている。流入口149は、図19のC−C断面図に示すように、中心線(イ)と並行になる面(ロ)に設けており、流入口外壁面149aは、外筒128の外径よりも外側にあり、中心線(ハ)と並行になる面から外筒128の側面と周方向で交わる曲面で形成されている。流入口149の開口は略四角形状で外筒128の外径より外に出ている。これは、外筒128と同心軸上に備えた内筒129と流入口149が、流入口149の面から見てオーバーラップしないようにするためである。流入口149の面から内筒129が臨める場合、流入した塵埃を含む空気が内筒129に衝突し、塵埃の分離性能が低下する。また、内筒129の側面はメッシュ部材136を掛け渡したフィルタ構造となっているため、メッシュ部材136に塵埃が貼り付くなどの不具合が発生し、吸引力が低下する恐れもある。また、本実施形態例のような流入口149配置は、圧力損失や騒音の低減にも有効である。本実施形態例と同じ開口面積の流入口149を外筒128の外径内に収めると、流入口149から内筒129が臨めるため、前述した不具合が発生する。従って、流入口149の幅方向を小さくする必要があり、流速が増加し圧力損失や騒音の増加となる。圧力損失や騒音が増加しないためには、流入口149のアスペクト比を変えて、上下方向に長い流入口149にして開口面積を確保することも考えられるが、流入口149の開口を上下方向に長くすると外筒128の上下方向が長くなるため、集塵装置2が大きくなる。本実施形態例は、スティック型・ハンディ型両用の掃除機であり、コンパクトな掃除機本体1が望まれ、集塵装置2においてもコンパクト化が必要である。従って、本実施形態例の集塵装置2により、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
また、先述したように、流入口149は図19のC−C断面図に示す中心線(イ)と並行になる面(ロ面)に開口を設けている。その上、流入口149の開口を有する面(ロ面)は、外筒128の外径よりも内側(中心線(イ)側)に位置している。外筒128には後述する空気導入管17が流体的に連結するため、流入口149の面(ロ面)を外筒128の最大外径よりも小さくなる面(ロ面)にすることで、空気導入管17を含めた掃除機本体1の前後高さを小さくすることができる。言い換えると、空気導入管17を外筒128の中心軸(ハ)の同一線上に設けずオフセットさせることで、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
また、本実施形態例では、流入口149は右側に設けているが、左側に設けても良く、流入した空気の旋回方向が反対方向になるが塵埃の分離性能などへの影響を考慮する必要はない。
<舞い戻り防止面>
本実施形態例の外筒128は、図15のB−B断面図に示すように、上方は円筒状の形状である。また、略中央部から集塵装置2の中心軸に対して略垂直方向外側に略水平に塵埃舞い戻り防止面151が設けられ、塵埃舞い戻り防止面151から下方が略円錐状に拡大していく形状である。塵埃舞い戻り防止面151は、外筒128上方の円筒状の内周面から約2.5mm外径側へ拡大されている。外筒128に内筒129を装着した状態において、内筒129の傘部139の下面は外筒128上方の円筒内にあり、内筒129の傘部139の下面(鍔部139c以下)に塵埃が堆積する。よって、塵埃舞い戻り防止面151によって、下部の塵埃収容部135に堆積した塵埃や、塵埃収容部135から戻る空気に含まれる塵埃が外筒128内面に沿って舞い戻ることを防止する。これにより、内筒128側面のメッシュ部材136への塵埃の貼り付きや、メッシュ部材136からの微細な塵埃の吹き抜けを抑制することができるため、吸引力の低下を抑えた集塵装置2を有する電気掃除機100を提供することができる。
また、塵埃舞い戻り防止面151を設け、塵埃舞い戻り防止面151から下方を略円錐状とすることで外筒128の容積を拡大し、より多くの塵埃を堆積できる。本実施形態例では集塵装置2の中心軸を鉛直方向にした状態で約8度傾斜している。
また、本実施形態例の電気掃除機100は、スティック型・ハンディ型両用の構造であり、ハンディ型の状態では、掃除機本体1の体勢が様々で、集塵装置2の上部(捕塵フィルタ130側)が下向きになる場合がある。その際、前述したような塵埃舞い戻り防止面151を設けることで塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りの抑制に有効である。
本実施形態例では、スティック型・ハンディ型両用の電気掃除機100の集塵装置2について述べたが、床移動タイプのサイクロン掃除機においても、前述したような塵埃舞い戻り防止面151を設けることで、塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りを抑制することができるため、微細塵埃の吹抜けや塵埃の圧縮に効果がある。
<蓋ロック機構>
図18に示すように外筒128のフィルタ受け部131の対面側(外筒128下部側)の下開口128dには、底蓋133を開閉可能に設ける。底蓋133形状についての詳細は後述する。
また、外筒128下部の背面には底蓋133を係止する底蓋ロック機構150を備えている。底蓋ロック機構150は、蓋ロックカバー153、ボタン154、バネ(図示せず)で構成されている。詳細は省略するが、ボタン154はバネで付勢されており、ボタン154を押すことで、ボタン154と一体になった爪部(図示せず)が回動し、底蓋133に設けた掛かり部156からボタン154の爪部(図示せず)が外れ、底蓋133が開く。爪部および掛かり部156には、互いに斜面を形成しており(図示せず)、底蓋133を閉める動作で斜面同士が接触し、さらに底蓋133を押し上げることで、ボタン154が回転力を得てバネが縮み、爪部は掛かり部156を乗り越え再び底蓋133が閉じられる。
<底蓋>
底蓋133は深さをもった皿状で、上面の外周にはパッキング157を備えており、底蓋133を閉じた際、外筒128底部との気密を保持できる。底蓋133は皿状にすることで強度を増している。また、外周の一部には先述した外筒128と底蓋133を係止する掛かり部156を、対面には外筒128下部と軸支されるヒンジ部158を備えている。
底蓋133の底面(裏側面)には、掃除機本体1のパイプケース部13側に窪み部116を備えており、掃除機本体1の集塵装置固定突起117と底蓋133底面の窪み部116が嵌合する形状となっている。先述したように、掃除機本体1に集塵装置2を装着する際は、底蓋133底面の窪み部116を掃除機本体1の集塵装置固定突起117に嵌合させて、突起部を起点に集塵装置2を掃除機本体1側へ押し付ける。そして、先述した上蓋132上部のロックボタン119により、集塵装置2は掃除機本体1と一体になる。従って、集塵装置2を掃除機本体1に装着すると、底蓋ロック機構150は掃除機本体1側に隠れる。これは、底蓋ロック機構150を反対側(外側)に設けた場合、掃除の際に底蓋ロック機構150を解除する恐れがあり誤動作を防止するためである。たとえば、スティック型の状態でソファーやベッドの下を掃除するときなど、掃除機本体1を床面に対して水平に近づける場合があるが、このとき、底蓋ロック機構150を後方に設けた場合は、床面と接触して底蓋ロック機構150が解除される可能性がある。底蓋ロック機構150とヒンジ部158の位置はこの限りでなく、掃除機本体1に対し左右に設けても構わない。左右に設けることで、先述した誤動作を防止することができるとともに、ヒンジ部158の突出が無くなるため、掃除機本体1の前後方向の高さを小さくでき、コンパクト化が可能となる。
また、皿状の底蓋133は中央が突出し、中央には突出した部分から凹みとなる窪み部170を備えている。また、窪み部170は、先述した筒体140の底面140aの球形状の球半径よりも大きくしており、窪み部170の深さは、底蓋133が開状態(外筒128の底面に対して垂直状態)で窪み部170に水平面ができないようにしている。また、窪み部170は極力浅くしており、ごみ排出の際に窪み部170に塵埃が残らないようにしている。
本実施形態例では、窪み部170を別体で形成しており、底蓋133開閉での筒体140との摩擦による部材の磨耗を低減するようにPOM(ポリオキシメチレン)などの材料を用いているが、一体で成形しても構わない。
以上のような外筒128および内筒129の構造において、外筒128に内筒129を装着することで、内筒129に設けた摺動機構は、外筒128下部に設けた底蓋133の開閉によって行われる。底蓋133を開けた状態は傘部139が下方に突出しており、底蓋133を閉じるとバネ142が縮み、傘部139が下部円筒129b内に収まる。従って、ごみ捨て時に底蓋133の底蓋ロック機構150を解除すると、傘部139が下向きに飛び出し塵埃を押し出す。
<掃除機本体内に吸い込まれた塵埃を含む空気の流路>
以上のような、外筒128、内筒129、捕塵フィルタ130、捕集スポンジフィルタ171、上蓋132、底蓋133を組み合わせた集塵装置2を掃除機本体1に装着した状態での空気の流れを、説明する。
ハンドル2に設けられた操作ボタン31aにより使用者が運転を開始すると、駆動する電動送風機40(図4参照)によって例えば吸口体3から塵挨とともに吸込んだ空気流を、空気導入管17を介して流入口149に受け入れる。なお、空気導入管17の連通管18の後端部は、外筒128の内周に沿って流れる旋回流201を形成するように流入口149に接続されている。流入した塵埃を含む空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される。つまり、塵埃分離部134にて、塵埃と空気とは分離される。分離された空気の多くは上部円筒129aに設けた吸気口129cより内筒129の内部に流入する。そして、空気は捕塵スポンジフィルタ171、捕塵フィルタ130を通過し、上蓋132の上部開口を経て、電動送風機40へ至る。このとき、吸気口129cのメッシュ部材136を通過した微細な塵埃は、捕塵スポンジフィルタ171及び捕塵フィルタ130で捕集される。
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒128と下部円筒129bとの間を通り、塵埃収容部135内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、塵埃収容部135内で旋回する。そして、掃除機の使用を続けると、徐々に塵埃が堆積し塵埃収容部135が満杯になった状態でごみ捨てのタイミングとなる。塵埃収容部135内に流入した空気は、筒体140、傘部139の空間139a形状に沿って、下部円筒129bの外周付近から上部円筒129a側へ流れる。この空気の流れによる、塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制するためには傘部139の深さが必要である。本実施形態例では、下部円筒129bに塵埃を押し出す摺動機構を設けているため、傘部139には十分な深さを設けている。また、外筒128のテーパ部上端に設けた塵埃舞い戻り防止面151により、さらに塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制している。 塵埃収容部135に塵埃が満杯になったらごみ捨てを行うが、ごみ排出機構は前述した通りであり、吸引した塵埃の量が少ない場合でも、傘部139の摺動機構、及び外筒128の略円錐形状により、塵埃の排出は可能である。
<ごみ捨て時の動作>
以上のような外筒128、内筒129、ごみ排出の摺動機構において、ごみ捨て時の動作を説明する。 底蓋133は、集塵装置2側面に設けた底蓋ロック機構150のボタン154を押すことで解除される。底蓋133は底蓋ロック機構150の反対側にヒンジ部158を備え、ヒンジ部158の回動動作により、底蓋133が略垂直(底蓋133の上面が垂直)状態になる。
底蓋133が開くと同時に、バネ142によって傘部139及び筒体140が下向きに飛び出す。これにより、傘部139は、底蓋133が閉じた状態よりも底蓋133が開いた状態の方が、外筒128の下面の開口寄りの位置となる。この傘部139の摺動により、捕集した塵埃を下方に押し出す。
ごみ捨て後、底蓋133を閉じる際、下方に飛び出した筒体140の底面140aと、底蓋133の中央に設けた窪み部170が接触し、傘部139及び筒体140は上方へ押される。筒体140の底面140aと窪み部170は球状に接するため、底蓋133を閉じる動作で底蓋133の角度が変わっても、筒体140の底面140aと窪み部170との接触面積を一定に保つことができ、また、曲面同士を接触させることで常に垂直方向に力が加わるため、傘部139は下部円筒129b内にスムーズに収まる。底蓋133に窪み部170を設けず平面で接触させる場合は力が加わる方向が平面に対し垂直になるため傘部139が垂直に戻り難く、底蓋133が閉め難くなる。そして、底蓋133を略水平状態まで閉じると、掛かり部156が爪部(図示せず)と接触し、底蓋133に設けたパッキング157で気密を保持した状態でロックされる。
また、このように集塵装置2の下方から塵埃を排出する機構を備えることは、本実施形態例のような集塵装置2上方に本体端子部9を備える電気掃除機100(充電式電気掃除機)に有効であり、集塵装置2上方(上蓋132側)に塵埃が付着することを抑制できるため、本体端子部9への塵埃の付着を防止でき安全である。
<集塵装置のお手入れ>
ごみ捨て後、集塵装置2内に塵埃が残留した場合、特に内筒129の上部円筒129aに長い髪の毛などが巻き付いた場合、本実施形態の集塵装置2は、集塵装置2下方から内筒129のみを取り外すことが可能である。また、取り外した内筒129の上部は上部円筒129aの吸気部129cよりも出張る形状がないため、内筒129に長い髪などが巻き付いた際は、鋏などを用いて髪の毛を切り取り除くといった対応ではなく、巻き付いた髪の毛を内筒129の上方へ滑らせるように移動させることで簡単に取り除くことができ、お手入れが容易に行える。また、捕塵フィルタ130と捕塵スポンジフィルタ171のメンテナンスが必要な際は、上蓋132を開ける必要がある。上蓋132は上部ヒンジ部132dにより外筒128と回動可能に軸支されており、外筒128のフィルタ受け部131の背面の上蓋ロック機構121を解除することにより、上蓋132を略90度近くまで開くことができる。また、捕塵フィルタ130を手入れした後の取り付け忘れを防止するため、捕塵フィルタ130を装着しない状態においては、上蓋ロック機構121のクランプ122は軸122bを支点に上蓋132の気密面132aと干渉する位置まで回動し、捕塵フィルタ130を装着すると、位置決めリブ130eがクランプ122の内側に収まり、クランプ122は軸122bを支点に上蓋132の気密面132aと干渉しない位置まで押し戻されるため、上蓋132が閉じることが可能となる。
<集塵装置の掃除機本体への装着状態>
集塵装置2を掃除機本体1に取り付ける際は、集塵装置2の上蓋ロック機構121がパイプケース部13側と対向する配置となる。すなわち、集塵装置2における上蓋ロック機構121と対向位置にある上部ヒンジ機構132dは、集塵装置2を掃除機本体1に取り付けた状態においては、掃除機本体1とは逆側(外観側)を向く構成となっている。このような集塵装置2が掃除機本体1に取り付けられた状態においては、掃除機使用中などに、集塵装置2の上蓋ロック機構121が使用者や家具などに接触し、不用意に集塵装置2が分解、落下することを防止することができる。また、上蓋ロック機構121と対向位置にある上部ヒンジ部132dと同配列上に集塵装置2が掃除機本体1に固定するためのロックボタン119を設けることにより、集塵装置2を掃除機本体1から取り外す際にも、使用者が間違えて上蓋ロック機構121を解除することを防止することができる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、様々な実施形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分り易く説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、説明した構成の一部を含むものであっても良い。