JP6435160B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
シート本体を収納する機構としては、シートクッションと車体フロアとの間を連結し、車体フロアに対して回動する回動リンクが知られている。この回動リンクの回転によって、シートクッション及びシートバックを収納位置に移動させることができる(例えば、特許文献1参照)。
シート本体の収納操作時には、シートバックをシートクッション側に折り畳んだ上で、回動リンクをシート後方側へ回転させることで、シート本体を収納凹部に収納可能な構成となっている。
また、ピストンダンパは、常にシートクッション側に付勢力が付与されるように構成されており、シートクッションを下方から支持すると共に、シート収納操作をアシストする。
具体的には、ピストンダンパが略鉛直方向に延びる着座可能状態においては、上方に向かう分力が大きいためこの支持力は大きいが、収納状態になるにつれてピストンダンパが略水平方向に傾斜していき上方に向かう分力が小さくなるため、この支持力は小さくなっていた。
また、本発明の他の目的は、シートクッションが不意に回動することを防止することにある。
このため、シートクッションが第一位置から第二位置に急激に移動することを防ぐことができ、シートクッションを第二位置から第一位置に移動する際には、その移動をサポートできることで、シートクッションを円滑に移動させることが可能となる。
上記構成によれば、交線が、シートクッションよりも下方にあり、付勢部材の一端から見たときに付勢部材の付勢方向側とは反対側となる第二位置側にあることで、交線を中心とする付勢部材による第二位置に向かうモーメントがシートクッションに加わり、シートクッションが第二位置に移動しやすくなる。
上記構成によれば、シートクッションを第二位置に移動させる際に、付勢部材による作用力によって減速させつつ、シートクッションの自重によってシートクッションを円滑に回動させることができる。
上記構成によれば、第二位置にある前記シートクッションを、付勢部材によって第二位置側に付勢することによって、シートクッションに第二位置に向かうモーメントが生じることとなる。このため、不意にシートクッションが第二位置から第一位置に移動することを防ぐことができる。
上記構成によれば、走行中の上下動する場合等、通常よりも大きな荷重がかかる場合においても、シートクッションを第二位置にある状態に保持することができる。
上記構成によれば、ストラップによって、シートクッションが持ち上がることを簡単に防ぐことができる。
上記構成によれば、ロック装置によって、シートクッションが持ち上がることを確実に防ぐことができる。
また、本発明によれば、交線を中心とする付勢部材による第二位置に向かうモーメントがシートクッションに加わり、シートクッションが第二位置に移動しやすくなる。
また、本発明によれば、シートクッションを第二位置に移動させる際に、付勢部材による作用力によって減速させつつ、シートクッションの自重によってシートクッションを円滑に回動させることができる。
また、本発明によれば、不意にシートクッションが第二位置から第一位置に移動することを防ぐことができる。
また、本発明によれば、シートクッションを第二位置にある状態に保持することができる。
また、本発明によれば、シートクッションが持ち上がることを簡単に防ぐことができる。
また、本発明によれば、シートクッションが持ち上がることを確実に防ぐことができる。
なお、以下において、車両用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側とし、この前方側を基準として左右方向を定義するものとする。
車両用シートSは、図1に示すように、着座可能状態とシート収納状態(以下、単に収納状態ともいう。)とに、シートクッション2が回動可能な構成を備える。
まず、車両用シートSの着座可能状態に係る図1〜図3を参照して、各構成について説明する。ここで、図1は、本発明に係る車両用シートSの概略斜視図、図2は、車両用シートSの骨格となるシートフレームの概略斜視図、図3は、シートフレームの概略側面図である。
なお、回動リンク40及びピストンダンパ47が、本発明に係るシート移動機構に相当し、特にピストンダンパ47が、本発明に係る付勢部材に相当するものである。
車両用シートSの後方側には、図3に示すように、車体フロアに形成された凹型の収納スペースとしての収納位置が設けられている。
具体的には、車両用シートSは、着座可能状態にあるときに、乗員が図1に示す操作ストラップ4を引っ張ると、シートバック1がシートクッション2側に前倒れして折り畳まれる。その後、折り畳まれたシート本体はシート後方に跳ね上げ回転し、沈み込む方向へ移動する。そして、シート本体が収納位置に収納されるようになる。なお、車両用シートSが着座可能状態にあるときの車両用シートSの位置を着座可能位置ともいい、収納状態にあるときの車両用シートSの位置を収納位置ともいう。着座可能位置は、本発明に係る第一の位置に相当し、収納位置は、本発明に係る第二の位置に相当するものである。
シートクッション2は、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となる図2に示すクッションフレーム20と不図示のクッションパッドとを備えて構成されている。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーと不図示のクッションパッドとを備えて構成されている。
左側のサイドフレーム21には、前後方向においてサイドフレーム21に対向配置された補強サイドフレーム21aが取り付けられている。
後方連結パイプ23には、その下端部に回動リンク40を回動可能に連結するための左右2つの連結ブラケット23aが取り付けられている。連結ブラケット23aは、不図示の回動ボルトをシート左右方向に締結することで回動リンク40の上端部を回動可能に支持している。
脚回動軸30aには、不図示の付勢バネが取り付けられており、フットリンク30は、付勢バネの付勢力によって車体フロア側のストライカ33に係合可能な位置に配置される。
フットリンク30は、伝達部材46を介して回動リンク40と連結されており、ロック装置31のロック解除後、回動リンク40の回転に連動して脚回動軸30aを中心としてシート後方側に回転し、シートクッション2側に折り畳まれる構成となっている。
第1回動リンク41及び第2回動リンク42は、前後方向において対向位置に配置されており、第3回動リンク43は、第1回動リンク41及び第2回動リンク42よりもやや後方に配置されている。
また、第3回動リンク43よりも左側には、長尺部材からなるピストンダンパ47が配置されている。
第2回動リンク42は、本発明に係る第一リンクに相当し、円筒のパイプ部材を略L字形状に折り曲げて形成されており、図2及び図3に示すように、その長尺部分が第1回動リンク41に沿うように配置されている。
第3回動リンク43は、本発明に係る第二リンクに相当し、上端が同様に連結ブラケット23aに回動可能に連結され、下端がリンク連結軸45として車体フロア側に連結されて構成される。具体的には、第3回動リンク43の上端は、着座可能状態において、第2回動リンク42の上端よりも後方で連結ブラケット23aに回動軸43aによって回動可能に連結されている。ここで、回動軸43aは、本発明に係る第二回動軸に相当するものである。
なお、シートクッション2を支持する第1回動リンク41及び第2回動リンク42のリンク連結軸44が、第3回動リンク43のリンク連結軸45よりも前方かつ上方に配置されていることで、シートクッション2の支持剛性が高められている。
回動リンク40は、図3に示すように、シートクッション2を介してフットリンク30と連結されている。そのため、回動リンク40は、着座可能状態のときにフットリンク30と車体フロア側のストライカ33とがロックされることから、リンク付勢バネに抗してシートクッション2を下方から支持する位置に保持される構成となる。
また、回動リンク40は、フットリンク30とストライカ33とのロック解除後、リンク付勢バネの付勢力によってシートクッション2を収納位置まで移動させるようにリンク連結軸44,45を中心として回転する構成となる。
ピストンダンパ47は、図2に示すように、上端が補強サイドフレーム21aの側面に取り付けられたダンパ回動軸47bに回動可能に取り付けられ、下端が車体フロア側に取り付けられたダンパ連結軸47aに連結されて構成される。
ダンパ連結軸47aには、不図示の付勢バネが取り付けられており、ピストンダンパ47は、回動リンク40と同様に、付勢バネによって常にダンパ連結軸47aを中心として収納位置側に付勢されている。
ピストンダンパ47は、着座可能状態にあるとき、図3に示すように、回動リンク40よりも前方に配置されており、シートクッション2の前後方向の中央部分により近い位置で支持可能な構成となり、付勢バネに抗してシートクッション2を支持する位置に保持される。
また、ピストンダンパ47及び第3回動リンク43は、第2回動リンク42と車体フロアとを連結するフロア側ベース部材42bを利用して車体フロアに連結されている。
次に、図4〜図7を参照して、シートクッション2に加わるピストンダンパ47の付勢力に関して、第2回動リンク42、第3回動リンク43及びピストンダンパ47の位置関係に応じた変化について説明する。
そして、仮想平面42cと仮想平面43cの交線50は、リンク機構に関する瞬間中心となる。
つまり、ロック装置31のロックを解除すると、シートクッション2は、ピストンダンパ47の伸長方向の付勢力によって上方に移動するとともに、上記の交線50を中心とした時計回り方向のモーメントによって後方に移動することとなる。
そして、回動軸42aと仮想平面43cとの距離が、リンク連結軸44と仮想平面43cとの距離よりも小さくなることで、交線50は、シートクッション2よりも上方に位置するようになる。換言すると、交線50が回動軸42a又は回動軸43a側の延長先に位置するか、リンク連結軸44又はリンク連結軸45側の延長先に位置するかは、仮想平面42cと仮想平面43cの傾斜が平行になる状態を境に切り替わることとなる。
つまり、中間回動状態において、車両用シートSの自重によってシートクッション2は後方に倒れようとするのに対して、上記の交線50を中心とした時計回り方向のモーメントによってシートクッション2に加わる付勢力によって前方に向かう抗力が生じることとなる。
このような力が生じることによって、シートクッション2を収納する際に急激に移動することを防止でき、シートクッション2を持ち上げる際にはその移動がサポートされることになる。
ピストンダンパ47は、交線50の下方を通ってシートクッション2を後方に付勢している。このため、交線50を中心として、円弧状の矢印で図7に示す、図面中、反時計回り方向のモーメントが生じ、このモーメントによって、交線50よりも前方にあるシートクッション2にはシート下方に向かう付勢力が加わることとなる。
つまり、収納状態において、シートクッション2には、着座可能位置から収納位置に向かう方向に付勢力が加わることとなり、収納状態からシートクッション2が不意に上方に持ち上がることを抑制することとなる。
なお、ロック装置5によらずに、図示せぬ車体フロア及び車両用シートに固定されたストラップ同士をシートベルトのように係合させること等によって、車体フロアの一部により簡単に固定するようにしてもよい。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
つまり、上記実施形態においては、第1回動リンク41がシート右側に配置されており、第2回動リンク42、第3回動リンク43及びピストンダンパ47がシート左側に配置されているものとして説明したが、これらは逆に配置されていてもよい。
さらには、第2回動リンク42、第3回動リンク43及びピストンダンパ47のシート幅方向における位置関係についても任意である。
そして、第2回動リンク42と第3回動リンク43とは、連結ブラケット23aに共通して回動可能に支持されているものとして説明したが、別部品に回動可能に支持されていてもよい。
例えば、シートクッション2をシート前方又は側方に形成した収納位置に収納可能な構成としてもよい。このような構成においても、第1回動リンク41及び第2回動リンク42に相当する回動リンクにおける仮想平面の交線50の位置と、ピストンダンパ47の付勢力の方向との関係性を上記実施形態の構成と同様にすることで、同様の効果を奏し得る。
このようにすることで、シートクッション2の収納時に、シートクッション2を減速する方向の作用力が生じさせ、使用者に不快感を与えることなく、シートクッション2を収納状態に円滑に移行することができる。
さらには、収納状態においてシートクッション2が不意に回動しないようにする構成についても上記実施形態の構成と同様の構成にすることで同様の効果を奏し得る。
1 シートバック
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
4 操作ストラップ
5 ロック装置(保持部材)
5a 係合フック
5b ストライカ
10 バックフレーム
20 クッションフレーム
21 サイドフレーム
21a 補強サイドフレーム
22 前方連結パイプ
22a 連結ブラケット
23 後方連結パイプ
23a 連結ブラケット
24 パンフレーム
30 フットリンク
30a 脚回動軸
31 ロック装置
32 係合フック
33 ストライカ
40 回動リンク(シート移動機構)
41 第1回動リンク
42 第2回動リンク(第一リンク)
42a 回動軸(第一回動軸)
42b フロア側ベース部材
42c 仮想平面(第一平面)
43 第3回動リンク(第二リンク)
43a 回動軸(第二回動軸)
43c 仮想平面(第二平面)
44 リンク連結軸(第一連結軸)
45 リンク連結軸(第二連結軸)
46 伝達部材
47 ピストンダンパ(付勢部材,シート移動機構)
47a ダンパ連結軸
47b ダンパ回動軸
50 交線
Claims (7)
- シートクッションと、所定方向において異なる第一位置及び第二位置の間で前記シートクッションを往復移動させるシート移動機構と、を備える車両用シートであって、
前記シート移動機構は、
前記シートクッションを前記第一位置と前記第二位置との間で移動させる際に、車体フロアに対して相対回動するとともに、前記シートクッションに対して相対回動する第一リンク及び第二リンクと、
前記車体フロアに固定された一端から前記シートクッションに取り付けられた他端への向きの付勢力を、前記シートクッションに付与する付勢部材と、を備え、
前記第一リンクを前記シートクッションに対して回動自在に支持する第一回動軸の中心線と、前記第一リンクを前記車体フロア側に連結するために設けられた第一連結軸の中心線と、を通る仮想平面を第一平面とし、
前記第二リンクを前記シートクッションに対して回動自在に支持する第二回動軸の中心線と、前記第二リンクを前記車体フロア側に連結するために設けられた第二連結軸の中心線と、を通る仮想平面を第二平面とし、
前記シート移動機構が、前記シートクッションを前記第一位置と前記第二位置との間で移動させる区間において、前記車体フロアに対して相対回動している前記第一リンク及び前記第二リンクの双方が前記シートクッションに対して相対回動することで、前記区間のうち、前記双方が前記第二位置側に傾いている間に、前記第一平面と前記第二平面との交線が前記シートクッションよりも上方に位置し、前記付勢部材が前記交線よりも前記第一位置側を通る方向に前記シートクッションを付勢していることを特徴とする車両用シート。 - 前記交線は、前記第一位置において前記シートクッションよりも下方に位置し、且つ、前記付勢部材の前記一端から見たときに前記付勢部材が前記シートクッションを付勢している上方向の側とは反対側となる前記第二位置側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記シートクッションよりも上方にある前記交線を中心とする前記付勢部材による作用力は、前記シートクッションの自重による力における前記作用力に平行な分力よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シート。
- 前記第二位置において、前記交線が前記第一連結軸よりも前記第一回動軸側の延長線上に位置し、前記付勢部材が、前記第二位置側に前記シートクッションを付勢していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記車両用シートには、車体に固定して、前記第二位置にある前記シートクッションの状態を保持する保持部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記保持部材は、前記車両用シートと前記車体とを繋ぐストラップであることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。
- 前記保持部材は、前記車両用シートと前記車体とをロックするロック装置であることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。
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