JP6432718B1 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Co:3.5〜8.5質量%、B:0.2〜0.8質量%、R:33〜69質量%、T:10〜60質量%、Cu:0.8〜3質量%、Ga:1.8〜10質量%を含み、下記(1)を満足する添加合金粉末を準備する工程、B:0.91〜1.1質量%、R:28.5〜33質量%、T:64〜70質量%、Ga:0.1〜0.4質量%を含む主合金粉末を準備する工程、添加合金粉末1〜16質量%と主合金粉末82〜99質量%を含む混合合金粉末を準備する工程、混合合金粉末を成形して成形体を得る工程、成形体を焼結して焼結体を得る工程および焼結体を熱処理する工程を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2・・・(1)
[B]、[T]は添加合金粉末中のB、Tの含有量(質量%)である。

Description

本開示は、R−T−B系焼結磁石の製造方法に関する。
14B型化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素のうちの少なくとも一種でありNdを必ず含む、Tは遷移金属元素のうちの少なくとも一種でありFeを必ず含む)は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車(EV、HV、PHV)用モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品など多種多様な用途に用いられている。
R−T−B系焼結磁石は、高温で保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と記載する場合がある)が低下し、不可逆熱減磁が起こる。そのため、特に電気自動車用モータに使用される場合、高温下でも高いHcJを維持するために、室温においてさらに高いHcJが要求されている。
従来、HcJ向上のために、R−T−B系焼結磁石に重希土類元素(主としてDy)が多量に添加されていたが、残留磁束密度B(以下、単に「B」と記載する場合がある)が低下するという問題があった。そのため、近年、R−T−B系焼結磁石の表面から内部に重希土類元素を拡散させて主相結晶粒の外殻部に重希土類元素を濃化してBの低下を抑制しつつ、高いHcJを得る方法が採られている。
しかし、Dyは、産出地が限定されている等の理由から、供給が不安定である及び価格が変動するなどの問題を有している。そのため、Dyなどの重希土類元素の使用量をできるだけ少なくしてR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させる技術が求められている。
特許文献1には、通常のR−T−B系合金よりもB量を低くするとともに、Al、Ga、Cuのうちから選ばれる一種以上の金属元素Mを含有させることによりR17 相を生成させ、該R17相を原料として生成させた遷移金属リッチ相(R13M)の体積率を充分に確保することにより、Dyの含有量を抑制しつつ、保磁力の高いR−T−B系希土類焼結磁石が得られることが記載されている。
国際公開第2013/008756号
特許文献1に記載のように、通常のR−T−B系焼結磁石よりもB量を少なく(R14B型化合物の化学量論比のB量よりも少なく)し、Ga等を添加することにより製造したR−T−B系焼結磁石では、遷移金属リッチ相(R−T−Ga相)が生成され、それによりHcJをある程度高めることができる。しかし、特許文献1に開示されているR−T−B系希土類焼結磁石は、Dyの含有量を低減しつつある程度高いHcJを発揮することができるものの、近年、電気自動車用モータ等の用途において要求される十分に高いHcJを満足するには不十分であった。
そこで本発明の実施形態は、Dy等のRHをできるだけ使用することなく(すなわち、RHの使用量をできるだけ低減して)、高いBと高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
R :28.5〜33.0質量%(Rは、希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方を含む)、
Co:0.2〜0.9質量%、
B :0.85〜0.91質量%、
Cu:0.05〜0.50質量%、
Ga:0.3〜0.7質量%、および
T :63〜70質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである)を含むR−T−B系焼結磁石を製造する方法であって、
R :33〜69質量%、
Co:3.5〜8.5質量%、
B :0.2〜0.8質量%、
Cu:0.8〜3.0質量%、
Ga:1.8〜10質量%、および
T :10〜60質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである)を含み下記式(1)を満足する添加合金粉末を準備する工程と、
R :28.5〜33.0質量%、
B :0.91〜1.10質量%、
Ga:0.1〜0.4質量%、および
T :64〜70質量%(TはFeであり、Tの0〜10質量%以上をCoで置換できる)を含む主合金粉末を準備する工程と、
前記添加合金粉末を1〜16質量%と、前記主合金粉末を82〜99質量%とを含む混合合金粉末を準備する工程と、
前記混合合金粉末を成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結して焼結体を得る工程と、
前記焼結体を熱処理する工程と、を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2・・・(1)
ただし、[B]および[T]は、それぞれ、上記添加合金粉末に含まれるBおよびTの質量%で示した含有量である。
本発明の態様2は、
前記添加合金粉末は、
R :40〜60質量%、
Co:4.5〜8.1質量%、
B :0.2〜0.7質量%、
Cu:1.5〜2.6質量%、
Ga:3〜8質量%、および
T :20〜50質量%を含むことを特徴とする態様1に記載の製造方法である。
本発明の実施形態によれば、Dy等のRHをできるだけ使用することなく(すなわち、RHの使用量をできるだけ低減して)、高いBと高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施例に係る試料No.2及び4〜8のR−T−B系焼結磁石について、添加合金粉末のCo量と、焼結磁石のHcJの関係を示すグラフである。 図2は、本発明の実施例に係る試料No.13〜16のR−T−B系焼結磁石について、添加合金粉末のCo量と、焼結磁石のHcJの関係を示すグラフである。
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのR−T−B系焼結磁石の製造方法を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。
R−T−B系焼結磁石は、主相であるR14B型化合物の存在比率を高めることによりBを向上させることができる。R14B型化合物の存在比率を高めるためには、R量、T量、B量をR14B型化合物の化学量論比に近づければよいが、B量が当該化学量論比を下回ると、焼結磁石の製造工程中に、R−T−B系焼結磁石における2つの主相間に存在する第一の粒界(以下、「二粒子粒界」と記載する場合がある)と、3つ以上の主相間に存在する第二の粒界(以下、「粒界三重点」と記載する場合がある)に軟磁性のR17相が生成してしまい、得られる焼結磁石のHcJが急激に低下する。しかし、特許文献1に記載されているように、一般的なR−T−B系焼結磁石よりもB量を少なく(R14B型化合物の化学量論比のB量よりも少なく)してもGa等を添加することにより、遷移金属リッチ相(R−T−Ga相)を生成させてHcJを向上させることができる。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、R−T−Ga相は若干の磁化を有しており、特に主としてHcJに影響すると考えられるに二粒子粒界にR−T−Ga相が多く存在すると、HcJ向上の妨げになることが分かった。また、R−T−Ga相の生成とともに、二粒子粒界に、R−T−Ga相よりも磁化が低いと考えられるR−Ga相およびR−Cu−Ga相が生成されていることが分かった。そこで、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得るためには、R−T−Ga相を生成させる必要はあるものの、二粒子粒界にR−Ga相およびR−Cu−Ga相を多く生成させることが重要であると想定した。
本発明者らは、二粒子粒界にR−Ga相およびR−Cu−Ga相を多く生成させるためには、添加合金粉末と主合金粉末とを準備し、それらの合金粉末を混合する、いわゆるブレンド法によりR−T−B系焼結磁石を製造することが有効であると考えた。
ここで、「主合金粉末」とは、混合時に、混合合金粉末を100質量%としたとき、80質量%以上を占める合金粉末のことを指し、「添加合金粉末」とは、主合金粉末以外の後述する本発明の実施形態に記載するような添加合金粉末の組成範囲を有する合金粉末のことを指す。本発明者らは、検討を重ねた結果、添加合金粉末と主合金粉末の組成、特にB量、Ga量およびCo量をそれぞれ所定量に調節することにより、R17相、R−T−Ga相、R−Ga相及びR−Cu−Ga相の生成量を調整することが可能であることを知見した。
ブレンド法は、添加合金粉末と主合金粉末を所定の混合率で混合し、得られた混合合金粉末を成形、焼結し、熱処理する方法である。
R−T−Ga相、R−Ga相及びR−Cu−Ga相の生成状態をより詳細に分析した結果、二粒子粒界にR−Ga相及びR−Cu−Ga相が生成するのは主に焼結後の熱処理時であることが分かった。その一方、R−T−Ga相は焼結前の原料合金及び焼結後の熱処理時いずれでも生成し得ることが分かったが、焼結前の原料合金に存在するR−T−Ga相は、二粒子粒界のR−Ga相及びR−Cu−Ga相の生成にほとんど寄与しないことが分かった。
そのため、最終的に得られる焼結磁石の二粒子粒界に、所望量のR−Ga相及びR−Cu−Ga相を確保しつつR−T−Ga相の量を低減するためには、原料合金に存在するR−T−Ga相の量を可能な限り低減することが重要であると考えられる。このような知見に基づいて、本発明者らは、添加合金粉末および主合金粉末の組成を検討した。
主合金粉末の組成は、最終的に得られる焼結磁石の組成に比べて、B量が多く、Ga量を少なくする。これによりR−T−Ga相が生成されにくい。なお、B量が多いため、B量不足に起因するR17相の生成も抑制される。
添加合金粉末の組成は、最終的に得られる焼結磁石の組成に比べて、B量が少なく、Ga量およびCo量を多くする。そのため本来ならばR−T−Ga相が多く生成され易い。しかし、発明者らは、添加合金粉末が特定範囲のCoを含むことにより、添加合金粉末におけるR−T−Ga相の生成を抑制できることを見いだした。添加合金粉末のB量を少なく、Ga量を多くしても特定範囲のCo量を含むことによりR−T−Ga相の生成を抑制することができるため、上述したように主合金粉末の組成を最終的に得られる焼結磁石の組成と比べて、B量を多く、Ga量を少なくすることができる。
また、添加合金粉末はBを含むことによりR14B相を生成し、R17相の生成を抑制する。但し、添加合金粉末におけるB量が多すぎると、主合金粉末のB量を多くすることが出来なくなる。そのため、添加合金粉末のB量は、R17相の生成を抑制するために最低限必要な特定範囲にする必要がある。このように、CoによるR−T−Ga相の生成抑制と、BによるR17相の生成抑制とを共に達成できるように、B量とCo量を特定範囲に制御することが重要である。これにより、添加合金粉末(原料合金)中にR17相およびR−T−Ga相が生成するのを抑制することができると考えられる。
このように、主合金粉末と添加合金粉末のいずれにおいても、R17相の生成を抑制し、かつR−T−Ga相の生成を抑制することができる。その結果、最終的に得られる焼結磁石におけるR−T−Ga相を低減し、二粒子粒界にR−Ga相及びR−Ga−Cu相を生成させることができるため、高いHcJを得ることができると考えられる。
以下に本発明の実施形態に係る製造方法により得られるR−T−B系焼結磁石と、本発明に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法について詳述する。
[1]R−T−B系焼結磁石
本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石(単に「焼結磁石」と記載する場合がある)は、
R :28.5〜33.0質量%(Rは、希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方を含む)、
Co:0.2〜0.9質量%、
B :0.85〜0.91質量%、
Cu:0.05〜0.50質量%、
Ga:0.3〜0.7質量%、および
T :63〜70質量%、
を含むR−T−B系焼結磁石である。
上記組成により、一般的なR−T−B系焼結磁石よりもB量を少なくするとともに、Ga等を含有させている。そのため、粒界(二粒子粒界および三重点粒界)にR−T−Ga相を生成することができ、さらに、二粒子粒界にR−Ga相及びR−Ga−Cu相が生成されて、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石となる。ここで、R−T−Ga相とは、代表的にはNdFe13Ga化合物から成る相である。R13Ga化合物は、LaCo11Ga型結晶構造を有する。また、R13Ga化合物は、その状態によっては、R13−δGa1+δ化合物(δは典型的には2以下)になっている場合がある。例えば、R−T−B系焼結磁石中に比較的多くCu、Alが含有される場合、R13−δ(Ga1−x−yCuAl1+δになっている場合がある。また、R−Cu−Ga相とは、R−Ga相のGaの一部がCuで置換されたものであって、R:70質量%以上95質量%以下、Ga:5質量%以上30質量%以下、T(Fe):20質量%以下(0を含む)を含むものであって、例えばR(Ga,Cu)化合物が挙げられる。
R−T−B系焼結磁石に含まれる各組成について詳述する。
(R:28.5〜33.0質量%(Rは、希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方を含む))
焼結磁石のRは希土類元素を意味する。ここでは、一種以上の希土類元素を含み、NdおよびPrの少なくとも一方を含む。Rの含有量(R量)は、28.5〜33.0質量%である。Rが28.5質量%未満であると焼結時の緻密化が困難となるおそれがあり、33.0質量%を超えると主相比率が低下して高いBを得られないおそれがある。
R量は、好ましくは29.0〜31.5質量%である。Rがこのような範囲であれば、より高いBを得ることができる。
(Co:0.2〜0.9質量%)
焼結磁石のCoの含有量(Co量)は、0.2〜0.9質量%である。Co量が0.2質量%未満及び0.9質量%を超えると、焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
(B:0.85〜0.91質量%)
焼結磁石のBの含有量(B量)は、0.85〜0.91質量%である。B量が0.85質量%未満であるとR17相が生成されて高いHcJが得られないおそれがあり、0.91質量%を超えるとR−T−Ga相の生成量が少なすぎて高いHcJが得られないおそれがある。
(Cu:0.05〜0.50質量%)
焼結磁石のCuの含有量(Cu量)は、0.05〜0.50質量%である。Cu量が0.05質量%未満であると高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.50質量%を超えると焼結性が悪化して高いHcJが得られないおそれがある。
Cu量は、好ましくは0.1〜0.3質量%である。
(Ga:0.3〜0.7質量%)
焼結磁石のGaの含有量(Ga量)は、0.3〜0.7質量%である。Ga量が0.3質量%未満であると、R−T−Ga相の生成量が少なすぎて、R17相を消失させることができず、高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.7質量%を超えると不要なGaが存在することになり、主相比率が低下してBが低下するおそれがある。
(T:63〜70質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである))
焼結磁石のTは、遷移金属元素のうち少なくとも1種であり、FeとCoを必ず含む。Tの含有量(T量)は、63.0質量%〜70質量%である。Tの含有量が63.0質量%未満又は70質量%を超えると、大幅にBが低下する恐れがある。
なお、上述の通り、T量のうち0.2〜0.9質量%はCoであるので、Fe量の下限は62.1質量%(63−0.9質量%)であり、上限は69.8質量%(70−0.2質量%)である。
(不可避的不純物およびその他の元素)
さらに、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、ジジム合金(Nd−Pr)、電解鉄、フェロボロンなどに通常含有される不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中に混入する不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、R,Co、B、Cu、Gaを上述する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物としてもよい。すなわち、Co、B、R、Cu、Ga、Feおよび不可避不純物のみを含み、その他の意図的に加えた元素を含まないR−T−B系焼結磁石とすることができる。なお、この場合にも、CoとFeの合計量が63〜70質量%となるように、CoおよびFeの含有量を調整すべきことに留意する。
[2]R−T−B系焼結磁石の製造方法
上述した本実施形態に係る組成を有するR−T−B系焼結磁石は、主合金粉末と添加合金粉末とを用いて、ブレンド法により製造することができる。具体的には、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)添加合金粉末を準備する工程
(2)主合金粉末を準備する工程
(3)混合合金粉末を準備する工程
(4)混合合金粉末を成形して成形体を得る工程
(5)成形体を焼結して焼結体を得る工程
(6)焼結体を熱処理する工程
各工程について詳述する。
(1)添加合金粉末を準備する工程
この工程では、焼結磁石の製造に使用する添加合金粉末を準備する。
後述する所定の組成からなる添加合金粉末を、既知のR−T−B系焼結磁石の製造方法と同様の方法により製造することができる。例えば、金型鋳造によるインゴット法や、冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法等により、フレーク状の合金鋳片を作製する。得られたフレーク状の合金鋳片を水素粉砕し、粗粉砕粉(添加合金の粗粉末)のサイズを例えば1.0mm以下とする。次に、添加合金の粗粉末をジェットミル等により微粉砕することで、例えば粒径D50(気流分散式によるレーザー回折法で得られた体積基準メジアン径)が3〜10μmの微粉砕粉(添加合金粉末)を得る。なお、ジェットミル粉砕前の粗粉砕粉、ジェットミル粉砕中及びジェットミル粉砕後の合金粉末に助剤として公知の潤滑剤を使用してもよい。
添加合金粉末の組成は、R、Co、B、Cu、Ga、Tを以下の範囲内で含有し、かつ下記(1)を満足するように調製される。
R :33〜69質量%、
Co:3.5〜8.5質量%、
B :0.2〜0.8質量%、
Cu:0.8〜3.0質量%、
Ga:1.8〜10質量%、および
T :10〜60質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである)
14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2・・・(1)
ただし、[B]および[T]は、それぞれ、上記添加合金粉末に含まれるBおよびTの質量%で示した含有量である。
以下に、添加合金粉末に含まれる各元素の限定理由を記載する。
(R:33〜69質量%)
添加合金粉末のRの含有量(R量)は、33〜69質量%である。R量が33質量%未満であると、R14B化学量論組成に対して相対的にR量が少なすぎるため、R−Ga相及びR−Ga−Cu相が生成され難くなる恐れがある。R量が69質量%を超えると、R量が多すぎるため、Rの酸化の問題が発生して、磁気特性の低下や発火の危険等を招き、生産上問題となるおそれがある。
R量は、好ましくは40〜60質量%である。
(Co:3.5〜8.5質量%)
添加合金粉末のCoの含有量(Co量)は3.5〜8.5質量%である。添加合金粉末に含まれるCoを3.5〜8.5質量%にすることにより、添加合金粉末におけるR−T−Ga相の生成を抑制することができる。添加合金粉末のCo量が3.5質量%未満又は8.5質量%を超えると添加合金におけるR−T−Ga相が多く生成され、最終的に得られた焼結磁石のHcJが低下する。 Coの含有量は、好ましくは4.5〜8.1質量%である。
(B:0.2〜0.8質量%)
添加合金粉末のBの含有量(B量)は、0.2〜0.8質量%であり、且つ式(1)満足する。Bは、RおよびTと反応して、主相であるR14B型化合物を生成するのに必要な元素である。B量が0.2質量%未満であると、R14B型化合物の生成量が少なく、添加合金粉末中にR17相が生成される。そのため、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下する。B量が0.8質量%を超えると、主合金粉末中のB量を低減させなくてはならず、主合金粉末中にR17相が生成されて、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
B量は、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
(Cu:0.8〜3.0質量%)
添加合金粉末のCuの含有量(Cu量)は、0.8〜3.0質量%である。Cu量が0.8質量%未満であると、最終的に得られる焼結磁石のCu量が不足して、HcJが低下するおそれがある。Cu量が3.0質量%を超えると、添加合金粉末と主合金粉末とを含む混合合金粉末の焼結性が悪化して、焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
Cuの含有量は、好ましくは1.5〜2.6質量%である。
(Ga:1.8〜10質量%)
添加合金粉末のGaの含有量は、1.8〜10質量%である。Ga量が1.8質量%未満であると、主合金粉末中のGa量を増加させなくてはならず、主合金粉末中にR−T−Ga相が生成されて、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。10質量%を超えると、添加合金粉末中にR−T−Ga相が生成されて、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
Gaの含有量は、好ましくは3〜8質量%である。
(T:10〜60質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである))
添加合金粉末のTの含有量は10〜60質量%であり、且つ式(1)を満足する。なお、上述の通り、添加合金粉末のT量のうち3.5〜8.5質量%はCoであるので、Fe量の下限は1.5質量%(10−8.5質量%)であり、上限は56.5質量%(60−3.5質量%)である。
T量は、好ましくは20〜50質量%である。
さらに、T量とB量は、以下の式(1)の関係を満たすように制御される。

14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2・・・(1)
ただし、[B]および[T]は、それぞれ、上記添加合金粉末に含まれるBおよびTの質量%で示した含有量である。

ここで、「14×[B]/10.8=[T]/55.85」であると、BとTのモル比がほぼ1:14となり、主相であるR14B相におけるBとTの化学量論比に一致する。このような状態では、Feのほぼ全量が、R14B型化合物を形成していると考えられる。
また、「[T]/55.85=14×[B]/10.8×2」であると、BとTのモル比がほぼ1:28となり、R14B相におけるBとTの化学量論比(1:14)に対して、B量が半量となっているといえる。このような状態では、Tのほぼ半量が、R14B型化合物を形成していると考えられる。
つまり、式(1)のように「14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2」と規定することにより、T量の半量〜全量が、R14B型化合物を形成することとなる。これにより、添加合金粉末中にR17相およびR−T−Ga相の形成を抑制することができる。
なお、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石におけるTの主成分はFeであるため、Tのモル比を求める際に、Feの原子量(55.85)を用いた。
(不可避的不純物およびその他の元素)
添加合金粉末は、不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中に混入する不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
添加合金粉末は、R、Co、B、Cu、Gaを上述する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物としてもよい。なお、この場合にも、T量(CoとFeの合計量)が10〜60質量%となるように、CoおよびFeの含有量を調整すべきことに留意する。
なお、添加合金粉末は上述した添加合金粉末の組成範囲内であれば複数種類の添加金粉末を準備してもよい。この場合、複数種類の添加合金粉末の合計が混合合金粉末を100質量%としたとき、1〜16質量%となるようにする。
(2)主合金粉末を準備する工程
この工程では、焼結磁石の製造に使用する主合金粉末を準備する。
主合金粉末は、添加合金粉末と同様の方法により製造することができる。例えば、金型鋳造によるインゴット法や、冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法等により、フレーク状の合金鋳片を作製する。得られたフレーク状の合金鋳片を水素粉砕し、粗粉砕粉(主合金の粗粉末)のサイズを例えば1.0mm以下とする。次に、主合金の粗粉末をジェットミル等により微粉砕することで、例えば粒径D50(気流分散式によるレーザー回折法で得られた体積基準メジアン径)が3〜10μmの微粉砕粉(主合金粉末)を得る。なお、ジェットミル粉砕前の粗粉砕粉、ジェットミル粉砕中及びジェットミル粉砕後の合金粉末に助剤として公知の潤滑剤を使用してもよい。
主合金粉末の組成は、R、B、Ga、Tを以下の範囲内で含有するように調製される。
R :28.5〜33.0質量%、
B :0.91〜1.10質量%、
Ga:0.1〜0.4質量%、および
T :64〜70質量%(TはFeであり、Tの0〜10質量%以上をCoで置換できる)
以下に、主合金粉末に含まれる各元素の限定理由を記載する。
(R :28.5〜33.0質量%)
主合金粉末のRの含有量(R量)は、28.5〜33.0質量%である。R量が28.5質量%未満であると、HcJが低下するおそれがある。R量が33.0質量%を超えると、Bが低下するおそれがある。
(B :0.91〜1.10質量%)
主合金粉末のBの含有量(B量)は、0.91〜1.10質量%である。Bは、RおよびTと反応して、主相であるR14B型化合物を生成するのに必要な元素である。B量が0.91質量%未満であると、R14B型化合物の生成量が少なく、添加合金粉末中にR17相が生成されやすくなる。そのため、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。B量が1.10質量%を超えると、添加合金粉末中のB量を低減させなくてはならず、添加合金粉末中にR17相が生成されて、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
(Ga:0.1〜0.4質量%)
主合金粉末のGaの含有量(Ga量)は0.1〜0.4質量%である。Ga量が0.1質量%未満であると、R−Ga相及びR−Ga−Cu相の生成量が少なすぎてHcJが低下するおそれがある。Ga量が0.4質量%を超えると、主合金粉末中にR−T−Ga相が生成されて、最終的に得られる焼結磁石のHcJが低下するおそれがある。
(T :64〜70質量%(TはFeであり、Tの0〜10質量%以上をCoで置換できる))
主合金粉末のTの含有量(T量)は64〜70質量%である。T量が64質量%未満であるとHcJが急激に低下するおそれがある。T量が70質量%を超えると、R17相が生成してHcJが低下するおそれがある。
なお、Tの全量を100質量%としたときに、Tの0〜10質量%をCoで置換してもよい。つまり、Tの全量のうち90〜100質量%がFeであり、0〜10質量%がCoである。
(不可避的不純物およびその他の元素)
主合金粉末は、不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中に混入する不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明の実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
主合金粉末は、R、B、Ga(およびFeの一部をCoで置換した場合にはCo)を上述する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物としてもよい。なお、この場合にも、T量(CoとFeの合計量)が64〜70質量%となるように、CoおよびFeの含有量を調整すべきことに留意する。
また、主合金粉末は、上述した主合金粉末の組成範囲内であれば複数種類の主合金粉末を準備してもよい。この場合、一つの種類の主合金粉末が混合合金粉末の全質量の80質量%以上を占める必要はなく、複数種類の主合金粉末の合計が混合合金粉末を100質量%としたとき、82〜99質量%となるようにする。
(3)混合合金粉末を準備する工程
添加合金粉末と主合金粉末とを混合し、混合合金粉末を準備する。添加合金粉末と主合金粉末は、所望の焼結磁石の組成となるように混合される。例えば、混合合金粉末を100質量%としたとき、添加合金粉末を1〜16質量%と、主合金粉末を82〜99質量%とを含むように混合される。好ましくは、混合合金粉末を100質量%としたとき、添加合金粉末を1〜16質量%と、主合金粉末を84〜99質量%とを混合する。
添加合金粉末の混合量が1質量%未満であると、添加合金粉末が少なすぎて、R−T−Ga相の生成を抑制できずHcJが低下するおそれがある。添加合金粉末の混合量が16質量%を超えると、Bが低下するおそれがある。混合合金粉末は、添加合金の粗粉末と主合金の粗粉末を混合した混合合金粗粉末を粉砕(微粉砕)することにより準備してもよいし、添加合金の粗粉末と主合金の粗粉末を別々に粉砕(微粉砕)して得た添加合金粉末と主合金粉末を混合することにより準備してもよい。
なお、混合合金粉末は、添加合金粉末と主合金粉末だけでなく、別組成の合金粉末を2質量%程度まで含有してもよい。
(4)混合合金粉末を成形して成形体を得る工程
得られた混合合金粉末を用いて磁界中成形を行い、成形体を得る。磁界中成形は、金型のキャビティー内に乾燥した合金粉末を挿入し、磁界を印加しながら成形する乾式成形法、金型のキャビティー内にスラリー(分散媒中に合金粉末が分散している)を注入し、スラリーの分散媒を排出しながら成形する湿式成形法を含む既知の任意の磁界中成形方法を用いてよい。
(5)成形体を焼結して焼結体を得る工程
成形体を焼結することにより焼結体(焼結磁石)を得る。成形体の焼結は公知の方法を用いることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、焼結は真空雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン等を用いることが好ましい。
(6)焼結体を熱処理する工程
得られた焼結磁石に対し、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などは既知の条件を用いることができる。例えば、比較的低い温度(400℃以上600℃以下)のみでの熱処理(一段熱処理)をしてもよく、あるいは比較的高い温度(700℃以上焼結温度以下(例えば1050℃以下))で熱処理を行った後比較的低い温度(400℃以上600℃以下)で熱処理(二段熱処理)をしてもよい。好ましい条件は、730℃以上1020℃以下で5分から500分程度の熱処理を施し、冷却後(室温まで冷却後、または440℃以上550℃以下まで冷却後)、さらに440℃以上550℃以下で5分から500分程度熱処理をすることが挙げられる。熱処理雰囲気は、真空雰囲気あるいは不活性ガス(ヘリウムやアルゴンなど)で行うことが好ましい。
最終的な製品形状にするなどの目的で、得られた焼結磁石に研削などの機械加工を施してもよい。その場合、熱処理は機械加工前でも機械加工後でもよい。さらに、得られた焼結磁石に、表面処理を施してもよい。表面処理は、既知の表面処理であってもよく、例えばAl蒸着や電気Niめっきや樹脂塗料などの表面処理を行うことができる。
本開示を実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はそれらに限定されるものではない。
・実施例1
およそ表1の試料No.1に示すR−T−B系焼結磁石の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製した。得られた各合金を水素粉砕法により粗粉砕し粗粉砕粉を得た。前記粗粉砕粉をジェットミルにより微粉砕し、粒径D50(気流分散法によるレーザー回折法で得られる体積中心値)が4.5μmの微粉砕粉を作製した。前記微粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を微粉砕粉100質量部に対して0.05質量部添加、混合した後、磁界中で成形し、成形体を得た。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、真空中1050℃(焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)で4時間焼結し、R−T−B系焼結磁石を得た。焼結磁石の密度は7.5Mg/m以上であった。焼結後のR−T−B系焼結磁石に、真空中で900℃で2時間保持した後室温まで急冷し、次いで真空中で500℃で2時間保持した後、室温まで冷却する熱処理を施した。得られたR−T−B系焼結磁石の成分の分析結果を表1に示す。
表1におけるFe、Nd、Pr、B、Co、Al、Cu、Ga及びZrは、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)を使用して測定した。また、O(酸素量)は、ガス融解−赤外線吸収法、N(窒素量)は、ガス融解−熱伝導法、C(炭素量)は、燃焼−赤外線吸収法、によるガス分析装置を使用して測定した。以下、表2及び表3も同様である。
Figure 0006432718
更に、およそ表2及び表3の試料No.2〜26に示す主合金粉末および添加合金粉末の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により合金を作製した。得られた各合金を水素粉砕法により粗粉砕し粗粉砕粉を得た。得られた主合金の粗粉末(粗粉砕粉)および添加合金の粗粉末(粗粉砕粉)の一部についてそれぞれジェットミルにより微粉砕し、粒径D50が4.5μmの主合金粉末及び添加合金粉末を得た。主合金粉末及び添加合金粉末の成分の分析結果を表2及び表3に示す。また、添加合金粉末の組成が本開示の式(1)を満たす場合は「〇」と満たさない場合は「×」と表2及び表3に示す。 得られた主合金の粗粉末と添加合金の粗粉末を表2及び表3の「混合比率」に示す条件でそれぞれV型混合機に投入して混合し、ジェットミルにより微粉砕し、粒径D50(気流分散法によるレーザー回折法で得られる体積中心値)が4.5μmの微粉砕粉(主合金粉末及び添加合金粉末が混合された混合合金粉末)を作製した。前記微粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を微粉砕粉100質量部に対して0.05質量部添加、混合した後、磁界中で成形し、成形体を得た。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、真空中で組成に応じて1030〜1070℃(それぞれ焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)で4時間焼結し、R−T−B系焼結磁石を得た。焼結磁石の密度は7.5Mg/m以上であった。焼結後のR−T−B系焼結磁石に、真空中で900℃で2時間保持した後室温まで急冷し、次いで真空中で500℃で2時間保持した後、室温まで冷却する熱処理を施した。得られたR−T−B系焼結磁石(焼結磁石)の成分の分析結果を表2及び表3に示す。
なお、表2の備考欄に記載された「本発明例」とは、本発明の実施形態に規定する要件を満たす実施例であることを意味する。
Figure 0006432718
Figure 0006432718
熱処理後の焼結磁石(試料No.1〜26)に機械加工を施し、縦7mm、横7mm、厚み7mmの試料を作製し、B−Hトレーサによって各試料のB及びHcJを測定した。測定結果を表4に示す。
なお、表4の備考欄に記載された「本発明例」とは、本発明の実施形態に規定する要件を満たす実施例であることを意味する。
Figure 0006432718
表1〜表4に示すように、単一合金より作製した試料No.1(比較例)のR−T−B系焼結磁石と、その組成が試料No.1とほぼ同じである試料No.2(本発明例)のR−T−B系焼結磁石とを比較すると、試料No.2(本発明例)のR−T−B系焼結磁石の方が高いB及び高いHcJが得られた。また、試料No.2(本発明例)と試料No.3(比較例)は、主合金粉末及び添加合金粉末を用いてR−T−B系焼結磁石を作製し、R−T−B系焼結磁石の組成もほぼ同じであるが、添加合金粉末が本開示の範囲内にあるNo.2(本発明例)のR−T−B系焼結磁石の方が高いHcJが得られた。更に、表4に示す様に、本発明例のR−T−B系焼結磁石は、いずれも、B≧1.385とHcJ≧1570kA/mとを共に達成しており、高いB及び高いHcJが得られた。
これに対し、添加合金粉末におけるCo量が本開示の範囲外であるNo.3〜5及びNo.8〜10、添加合金におけるCo量及びR−T−B系焼結磁石におけるB量が本開示の範囲外であるNo.13及び17〜19、R−T−B系焼結磁石におけるB量が本開示の範囲外であるNo.14〜16、混合量が本開示の範囲外であるNo.20、添加合金粉末におけるCu量が本開示の範囲外であるNo.21、添加合金粉末におけるGa量が本開示の範囲外であるNo.22、添加合金粉末における式(1)の値が本開示の範囲外であるNo.23及び25、添加合金粉末におけるB量及び式(1)の値が本開示の範囲外であるNo.24、主合金粉末のB量及びR−T−B系焼結磁石のB量が本開示の範囲外であるNo.26の比較例の焼結磁石は、いずれも、B≧1.385とHcJ≧1570kA/mとを共に達成できず、高いB及び高いHcJが得られなかった。
図1は、Co量以外はほぼ同じ組成のR−T−B系焼結磁石(試料No.2及び4〜8)における、添加合金粉末のCo量とR−T−B系焼結磁石のHcJの関係を示した説明図(グラフ)である。試料No.2及び4〜8のR−T−B系焼結磁石は、B量が本開示の範囲内、つまり、B量が少ない(低B焼結磁石)。図1に示す様に、R−T−B系焼結磁石のB量が本開示の範囲内の場合には、添加合金粉末のCo量が本開示の範囲(3.5質量%以上8.5質量%以下)であると、極めて高いHcJが得られることがわかる。また、図1に示すように、添加合金粉末のCo量は、4.5質量%以上(No.6)8.1質量%以下(No.7)が好ましい。
図2は、Co量以外はほぼ同じ組成R−T−B系焼結磁石(試料No.13〜16)における、添加合金粉末のCo量とR−T−B系焼結磁石のHcJの関係を示した説明図(グラフ)である。試料No.13〜16は、R−T−B系焼結磁石は、B量が0.94質量%であり、本開示のB量の範囲を超えている(高B焼結磁石)。図2に示す様に、R−T−B系焼結磁石のB量が本開示の範囲外であると、添加合金粉末のCo量が本開示の範囲内であっても、高いHcJが得られていない。
本出願は、出願日が2017年3月29日である日本国特許出願、特願第2017−065035号を基礎出願とする優先権主張を伴う。特願第2017−065035号は参照することにより本明細書に取り込まれる。

Claims (2)

  1. R :28.5〜33.0質量%(Rは、希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方を含む)、
    Co:0.2〜0.9質量%、
    B :0.85〜0.91質量%、
    Cu:0.05〜0.50質量%、
    Ga:0.3〜0.7質量%、および
    T :63〜70質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである)を含むR−T−B系焼結磁石を製造する方法であって、
    R :33〜69質量%、
    Co:3.5〜8.5質量%、
    B :0.2〜0.8質量%、
    Cu:0.8〜3.0質量%、
    Ga:1.8〜10質量%、および
    T :10〜60質量%(Tは、FeとCoであり、上記規定したCo以外はFeである)を含み下記式(1)を満足する添加合金粉末を準備する工程と、

    R :28.5〜33.0質量%、
    B :0.91〜1.10質量%、
    Ga:0.1〜0.4質量%、および
    T :64〜70質量%(TはFeであり、Tの0〜10質量%以上をCoで置換できる)を含む主合金粉末を準備する工程と、

    前記添加合金粉末を1〜16質量%と、前記主合金粉末を82〜99質量%とを含む混合合金粉末を準備する工程と、
    前記混合合金粉末を成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結して焼結体を得る工程と、
    前記焼結体を熱処理する工程と、を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法。

    14×[B]/10.8≦[T]/55.85≦14×[B]/10.8×2・・・(1)
    ただし、[B]および[T]は、それぞれ、上記添加合金粉末に含まれるBおよびTの質量%で示した含有量である。
  2. 前記添加合金粉末は、
    R :40〜60質量%、
    Co:4.5〜8.1質量%、
    B :0.2〜0.7質量%、
    Cu:1.5〜2.6質量%、
    Ga:3〜8質量%、および
    T :20〜50質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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