JP2016086078A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、Br、HcJ、Hk/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができる−T−B系焼結磁石の製造方法を提供する。【解決手段】従来一般に用いられてきたR−T−B系合金とほぼ同様のB量からなりGaを必須元素として含有するR−T−B系の主合金と、Pr、B、TiまたはZr、およびFeを必須元素として含有する副合金とを、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%またはZrが0.19〜0.57質量%となるように混合し、成形、焼結、熱処理する。【選択図】なし

Description

本発明はR−T−B系焼結磁石の製造方法に関する。
R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)は永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品などに使用されている。
R−T−B系焼結磁石は主としてR14B化合物からなる主相とこの主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。主相であるR14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性材料でありR−T−B系焼結磁石の特性の根幹をなしている。
R−T−B系焼結磁石は高温で保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」という)が低下するため不可逆熱減磁が起こる。そのため、特に電気自動車用モータに使用される場合、高いHcJを有することが要求されている。
R−T−B系焼結磁石において、主相であるR14B化合物中のRに含まれる軽希土類元素RL(主としてNdおよび/またはPr)の一部を重希土類元素RH(主としてDyおよび/またはTb)で置換するとHcJが向上することが知られており、重希土類元素RHの置換量の増加に伴いHcJは向上する。
しかし、R14B化合物中の軽希土類元素RLを重希土類元素RHで置換するとR−T−B系焼結磁石のHcJが向上する一方、残留磁束密度B(以下、単に「B」という)が低下する。また、重希土類元素、特にDyなどは資源存在量が少ないうえ産出地が限定されているなどの理由から供給が安定しておらず、価格が大きく変動するなどの問題を有している。そのため、近年、重希土類元素RHをできるだけ使用することなくHcJを向上させることが求められている。
特許文献1には、従来一般に用いられてきたR−T−B系合金に比べB量が相対的に少ない特定の範囲に限定するとともにAl、Ga、Cuのうちから選ばれる1種以上の金属元素Mを含有させることによりR17相を生成させ、該R17相を原料として生成させた遷移金属リッチ相(R13M)の体積率を充分に確保することにより、Dyの含有量を抑制しつつ保磁力の高いR−T−B系希土類焼結磁石が得られることが記載されている。
国際公開第2013/008756号
一般に、R−T−B系焼結磁石を製造する際、B原料として、B含有量が必ずしも安定しないフェロボロン合金が用いられている。また、Bは製造工程上、含有量の変動が生じ易く、さらに、高精度に分析することが困難な元素であるため、厳密に管理することが極めて困難である。また、B量が少なくなるほど磁気特性に与える影響が大きくなり、B量の僅かな変動で磁気特性、特にHcJが大きく変動(急激に低下)することが知られている。
特許文献1に記載の発明においては、B量が相対的に少ない特定の範囲に限定されているため、前記の通り、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)するという問題がある。
また、前記の通りR−T−B系焼結磁石が最も利用される用途はモータである。R−T−B系焼結磁石の磁気特性が向上すればモータの出力向上あるいはモータの小型化を図ることができるためB、HcJの向上は大変有効であるが、それらの特性とともに角型比H/HcJ(以下、単に「H/HcJ」という場合がある)も高くなければならない。角型比が低いと限界減磁界強度が小さくなるので減磁し易くなるという問題を引き起こす。そのため、B、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにあるR−T−B系焼結磁石が求められる。なお、R−T−B系焼結磁石の分野においては、一般に、角型比を求めるために測定するパラメータであるHは、J(磁化の大きさ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のHの値が用いられている。このHを減磁曲線のHcJで除した値(H/HcJ)が角型比として定義される。
特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石は、特許文献1の表4〜表6に示されるように、角型比(特許文献1ではSq(角形性))が最高でも95%であり高いレベルにあるとは言い難い。なお、特許文献1には角形比の定義は記載されていないが、特許文献1の先行技術文献として引用されている、同一出願人による特開2007−119882号公報に「磁化が飽和磁化の90%となる外部磁場の値をiHcで割った値を%表記したもの」と記載されていることから、特許文献1の角型比の定義も同様であると思われる。つまり、特許文献1の角型比の定義は前記の一般的に用いられている定義と同様であると思われる。
本発明は、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、B、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、
微粉砕粉末における組成が、R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された主合金を準備する工程と、
微粉砕粉末における組成が、R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Ti:0.44質量%以上、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された副合金を準備する工程と、
主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備する工程と、
混合合金を微粉砕し混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
焼結体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、
R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する主合金微粉砕粉末を準備する工程と、
R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Ti:0.44質量%以上、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する副合金微粉砕粉末を準備する工程と、
主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
焼結体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、
微粉砕粉末における組成が、R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された主合金を準備する工程と、
微粉砕粉末における組成が、R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Zr:0.76質量%以上、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された副合金を準備する工程と、
主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが0.19〜0.57質量%となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備する工程と、
混合合金を微粉砕し混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
焼結体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、
R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する主合金微粉砕粉末を準備する工程と、
R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Zr:0.76質量%以上、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する副合金微粉砕粉末を準備する工程と、
主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが0.19〜0.57質量%となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
焼結体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、B、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。
本発明は、特許文献1に記載の発明のように従来一般に用いられてきたR−T−B系合金に比べB量が相対的に少ない特定の範囲の合金を用いるのではなく、従来一般に用いられてきたR−T−B系合金とほぼ同様のB量からなりGaを必須元素として含有するR−T−B系の主合金(または主合金微粉砕粉末)と、Pr、B、TiまたはZr、およびFeを必須元素として含有する副合金(または副合金微粉砕粉末)とを、混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%またはZrが0.19〜0.57質量%となるように主合金(または主合金微粉砕粉末)90〜99質量部と副合金(または副合金微粉砕粉末)1〜10質量部とを混合(合計100質量部)し、焼結磁石を製造することを特徴とする。これによって、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、B、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)することなく、安定して製造することができる。
本発明により得られるR−T−B系焼結磁石がB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有する理由は定かではないが、副合金の添加によって、焼結および/または熱処理において、RとTとMとから構成される化合物(代表的にはR13−α1+α化合物、Mは主としてGa)と、Tiを含有する副合金を用いた場合はTiとBとから構成される化合物(代表的にはTiBおよび/またはTiB化合物)が、Zrを含有する副合金を用いた場合はZrとBとから構成される化合物(代表的にはZrBおよび/またはZrB化合物)が生成されることが起因していると考えられる。
以下、本発明について説明する。まず、本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は大きく二つに分かれる。主合金と副合金とを混合した後、微粉砕、成形および焼結する方法(以下、「混合後微粉砕方法」という)と、予め微粉砕した主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した後、成形および焼結する方法(以下、「微粉砕後混合方法」という)であり、いずれの方法によってもほぼ同じ効果が得られる。以下、混合後微粉砕方法と微粉砕後混合方法を分けて説明するが、重複する説明はその旨を記載の上省略する。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、副合金の組成で二つに分かれる。すなわち、副合金にTiを含有する場合と、副合金にZrを含有する場合である。TiとZrの原子量が異なるために本発明の副合金と混合合金微粉砕粉末におけるTi量とZr量(いずれも質量%換算)が異なってはいるものの原子%換算ではほぼ同じであり、Ti、Zrのいずれを含有する場合もほぼ同じ効果が得られる。従って、本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、副合金にTiを含有する場合の混合後微粉砕方法と微粉砕後混合方法ならびに副合金にZrを含有する場合の混合後微粉砕方法と微粉砕後混合方法の四つに分けられる。前記の通り、副合金にTiを含有する場合とZrを含有する場合とは、副合金と混合合金微粉砕粉末における含有量が異なるだけなので、以下においては、異なる部分のみ「(Zrの場合は)」として併記し、共通する部分は重複して説明することを省略する。
(1)混合後微粉砕方法
混合後微粉砕方法は以下の工程を含む。
微粉砕粉末における組成が、R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された主合金を準備する工程、
微粉砕粉末における組成が、R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Ti:0.44質量%以上(Zrの場合は0.76質量%以上)、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された副合金を準備する工程と、
主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備する工程、
混合合金を微粉砕し混合合金微粉砕粉末を準備する工程、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程、
焼結体を熱処理する工程。
(1−1)主合金を準備する工程
主合金を準備する工程において、主合金は微粉砕粉末(微粉砕後の粉末)における組成が以下の組成となるように調製されたものを用いる。
R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
B:0.9〜1.0質量%、
Ga:0.2〜0.6質量%、
残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
および不可避的不純物を含有する。
R1およびBの範囲は従来一般に用いられてきたR−T−B系合金とほぼ同様の範囲であり、前記範囲の下限未満あるいは上限を超えるとB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を得ることができなくなる場合がある。Gaは0.2質量%未満ではHcJの向上効果が得られず、0.6質量%を超えるとBが低下するため好ましくない。
主合金の組成を微粉砕粉末における組成で規定したのは、例えばジェットミル粉砕法により微粉砕を行った場合、R1を多量に含む超微粉末が発生し、その超微粉末は製品として回収されないため、微粉砕前後で主としてR1の量が変化するからである。主合金の組成を微粉砕粉末における組成となるように調製するには、予め実験を行ったり、過去のデータなどに基づき微粉砕粉末における組成が前記の組成となるように主合金の組成を調製すればよい。なお、微粉砕粉末における組成と焼結磁石の組成はほぼ同様である。
R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む。Nd以外の希土類元素としてはPrがあげられる。さらに少量のDy、Tb、GdおよびHoのうち少なくとも一種を含有してもよく、含有量はR−T−B系焼結磁石全体の1.0質量%以下であることが好ましい。Bの一部はCで置換することができる。Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む。Fe以外の遷移金属元素としてはCoがあげられる。さらに少量のTi、V、Cr、Mn、Ni、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wなどを含有してもよい。
前記以外の元素としてCu、Alを含有してもよい。Cu、Alは磁気特性向上などを目的として積極的に添加してもよいし、使用原料や主合金の製造過程において不可避的に導入されるものを活用してもよい(不純物としてCu、Alを含有する原料を使用してもよい)。Cu、Alともにその含有量(積極的に添加する量と不可避的に導入される量の合計)はそれぞれ0.5質量%以下であることが好ましい。
主合金を準備する工程は、微粉砕粉末における組成が前記組成となるように各元素の原料を秤量し、公知の製造方法により粗粉砕粉末となす。例えばストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕粉末となす。主合金は粗粉砕粉末であることが好ましいが、粗粉砕前の合金(例えばストリップキャスティング後の薄片状合金など)であってもよい。主合金が粗粉砕前の合金である場合は、後述の如く、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%となるように、主合金90〜99質量部と副合金(この場合は副合金も粗粉砕前の合金であることが好ましい)1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を粗粉砕し、混合合金の粗粉砕粉末を準備した後、微粉砕を行ってもよい。なお、本発明において、微粉砕粉末とは微粉砕(例えばジェットミル粉砕)後の粉末のことであり、粒径D50(気流分散式レーザー回折法による測定で得られる体積中心値(体積基準メジアン径)、以下同様)で2〜6μm以下の粉末のことをいう。また、本発明において、粗粉砕粉末とは粗粉砕(例えば水素粉砕)後、微粉砕前の粉末のことをいう。
(1−2)副合金を準備する工程
副合金を準備する工程において、副合金は微粉砕粉末(微粉砕後の粉末)における組成が以下の組成となるように調製されたものを用いる。
R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
B:0.5〜0.8質量%、
Ti:0.44質量%以上(Zrの場合は0.76質量%以上)、
残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
および不可避的不純物を含有する。
R2は29質量%未満では副合金が焼結時に溶けにくくなり、50質量%を超えると粗粉砕粉末あるいは微粉砕粉末の状態において粉末が酸化または発火する場合があるため好ましくない。R2におけるPrは5質量%未満ではHcJの向上効果が得られず、33質量%を超えると粗粉砕粉末あるいは微粉砕粉末の状態において粉末が酸化または発火する場合がある(PrはNdよりも活性であり、Pr含有量が多いほど酸化または発火の可能性が高くなる)ため好ましくない。Bは0.5質量%未満では副合金中にα−Feが析出しそれによってR−T−B系焼結磁石のH/HcJが低下する。またジェットミル粉砕によって微粉砕を行った場合、析出したα−Feに起因して副合金がジェットミル粉砕機の粉砕室内に付着してしまう可能性がある。一方、Bが0.8質量%を超えると副合金の混合量によってはBが低下する場合があるため好ましくない。Tiが0.44質量%未満(Zrの場合は0.76質量%未満)ではHcJの向上効果が得られないため好ましくない。副合金の組成を微粉砕粉末における組成で規定したのは前記主合金と同様の理由による。また、副合金の組成を微粉砕粉末における組成となるように調製する方法も主合金と同様である。
R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む(不可避的不純物は許容できる)。例えば、R2が29質量%でありPrが5質量%の場合はNdが24質量%となり、R2が50質量%でありPrが33質量%の場合はNdが17質量%となる。また、R2が29〜33質量%であるときはR2をPrのみで構成することができる。Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む。Fe以外の遷移金属元素としてはCoがあげられる。さらに少量のV、Cr、Mn、Ni、Nb、Mo、Hf、Ta、Wなどを含有してもよい。
前記以外の元素としてCu、Alを含有してもよい。Cu、Alは磁気特性向上などを目的として積極的に添加してもよいし、使用原料や主合金の製造過程において不可避的に導入されるものを活用してもよい(不純物としてCu、Alを含有する原料を使用してもよい)。Cu、Alともにその含有量(積極的に添加する量と不可避的に導入される量の合計)はそれぞれ0.5質量%以下であることが好ましい。
副合金は主合金を準備する工程と同様の設備を用いて同様の製造条件で準備することができる。すなわち、微粉砕粉末における組成が前記組成となるように各元素の原料を秤量し、公知の製造方法により粗粉砕粉末となす。例えばストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕粉末となす。副合金は粗粉砕粉末であることが好ましいが、粗粉砕前の合金(例えばストリップキャスティング後の薄片状合金など)であってもよい。後述の如く、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金(この場合は主合金も粗粉砕前の合金であることが好ましい)90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を粗粉砕し、混合合金の粗粉砕粉末を準備した後、微粉砕を行ってもよい。
(1−3)混合合金を準備する工程
前記によって準備した主合金(粗粉砕粉末)と副合金(粗粉砕粉末)は、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し、合計100質量部とした混合合金(混合合金微粉砕粉末)となす。主合金および副合金が粗粉砕前の合金である場合は、前記の通り、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を粗粉砕し、混合合金の粗粉砕粉末を準備する。混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1質量%未満および0.3質量%を超えると(Zrの場合は0.19質量%未満および0.57質量%を超えると)HcJが低下しB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を得ることができなくなる。また、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備するに際して、副合金の混合量が1質量部未満の場合(主合金の混合量が99質量部を超える場合)および副合金の混合量が10質量部を超える場合(主合金の混合量が90質量部未満の場合)HcJが低下しB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を得ることができなくなる。
(1−4)混合合金微粉砕粉末を準備する工程
前記によって準備した混合合金(混合合金粗粉砕粉末)を微粉砕することによって混合合金微粉砕粉末となす。微粉砕は公知の方法(例えばジェットミル粉砕)によって行えばよい。
(1−5)成形体を準備する工程
前記によって準備した混合合金微粉砕粉末を成形し成形体となす。成形は公知の成形手段で行えばよい。
(1−6)焼結体を準備する工程
前記によって準備した成形体を焼結し焼結体となす。焼結は公知の焼結手段で行えばよい。
(1−7)焼結体を熱処理する工程
前記によって準備した焼結体に熱処理を施し、R−T−B系焼結磁石となす。熱処理の温度、時間、雰囲気などは公知の条件を適用することができる。
(2)微粉砕後混合方法
微粉砕後混合方法は以下の工程を含む。
R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、B:0.9〜1.0質量%、Ga:0.2〜0.6質量%、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する主合金微粉砕粉末を準備する工程、
R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、B:0.5〜0.8質量%、Ti:0.44質量%以上(Zrの場合は0.76質量%以上)、残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)および不可避的不純物を含有する副合金微粉砕粉末を準備する工程、
主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備する工程、
混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程、
成形体を焼結し焼結体を準備する工程、
焼結体を熱処理する工程。
(2−1)主合金微粉砕粉末を準備する工程
主合金微粉砕粉末の組成は以下の通りである。
R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
B:0.9〜1.0質量%、
Ga:0.2〜0.6質量%、
残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
および不可避的不純物を含有する。
R1、BおよびGaの限定理由ならびに各元素(R1、B、T、CuおよびAl)の説明は前記(1−1)と同様であるため省略する。
主合金微粉砕粉末を準備する工程は、微粉砕粉末における組成が前記組成となるように各元素の原料を秤量し、公知の製造方法により微粉砕粉末となす。例えばストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕粉末となし、粗粉砕粉末をジェットミル粉砕により微粉砕し微粉砕粉末となす。
(2−2)副合金微粉砕粉末を準備する工程
副合金微粉砕粉末の組成は以下の通りである。
R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
B:0.5〜0.8質量%、
Ti:0.44質量%以上(Zrの場合は0.76質量%以上)、
残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
および不可避的不純物を含有する。
R2、Pr、BおよびTi(Zr)の限定理由ならびに各元素(R2、T、CuおよびAl)の説明は前記(1−2)と同様であるため省略する。
副合金微粉砕粉末は主合金微粉砕粉末を準備する工程と同様の設備を用いて同様の製造条件で準備することができる。すなわち、微粉砕粉末における組成が前記組成となるように各元素の原料を秤量し、公知の製造方法により微粉砕粉末となす。例えばストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕粉末となし、粗粉砕粉末をジェットミル粉砕により微粉砕し微粉砕粉末となす。
(2−3)混合合金微粉砕粉末を準備する工程
前記によって準備した主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末は、主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%(Zrの場合は0.19〜0.57質量%)となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末となす。混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1質量%未満および0.3質量%を超えると(Zrの場合は0.19質量%未満および0.57質量%を超えると)HcJが低下しB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を得ることができなくなる。また、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備するに際して、副合金微粉砕粉末の混合量が1質量部未満の場合(主合金微粉砕粉末の混合量が99質量部を超える場合)および副合金微粉砕粉末の混合量が10質量部を超える場合(主合金微粉砕粉末の混合量が90質量部未満の場合)HcJが低下しB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を得ることができなくなる。混合は公知の方法(例えばV型混合機など)で行えばよい。混合は乾式でも湿式でもよい。
(2−4)成形体を準備する工程
前記によって準備した混合合金微粉砕粉末を成形し成形体となす。成形は公知の成形手段で行えばよい。
(2−5)焼結体を準備する工程
前記によって準備した成形体を焼結し焼結体となす。焼結は公知の焼結手段で行えばよい。
(2−6)焼結体を熱処理する工程
前記によって準備した焼結体に熱処理を施し、R−T−B系焼結磁石となす。熱処理の温度、時間、雰囲気などは公知の条件を適用することができる。
前記(1−1)から(1−7)に示す混合後微粉砕方法および(2−1)から(2−6)に示す微粉砕後混合方法によって、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、B、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を製造することができる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
微粉砕粉末における組成が表1の合金No.a1-1に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、主合金の粗粉砕粉末を得た。また、微粉砕粉末における組成が表1の合金No.a1-2に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、副合金の粗粉砕粉末を得た。主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表1の合金No.Aに示す組成となるように、主合金95質量部と副合金5質量部とを混合し、混合合金を得た。得られた混合合金をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50(気流分散式レーザー回折法による測定で得られる体積中心値、以下同様)が4.2μmの混合合金微粉砕粉末を得た。得られた混合合金微粉砕粉末を直角磁界成形装置(横磁界成形装置)にて磁界強度0.8MA/m、圧力49MPa(0.5ton/cm)で厚み12mm×幅26mm×長さ55mm(幅方向が磁界印加方向)で成形し成形体を得た。得られた成形体を1030℃で4時間焼結した後、500℃で2.5時間熱処理した。熱処理後のR−T−B系焼結磁石を切断および研削し厚み7.0mm×幅7.0mm×長さ7.0mmに加工した。加工後のR−T−B系焼結磁石の磁気特性をB−Hループトレーサによって測定した。測定結果を表2の試料No.1に示す。なお、H/HcJにおいて、HはJ(磁化の大きさ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のHの値(以下同様)である。
比較例1
微粉砕粉末の組成が表1の合金No.Aに示す組成となるように、原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、得られた粗粉砕粉末をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50が4.2μmの微粉砕粉末を得た。得られた微粉砕粉末を実施例1と同様にして成形、焼結、熱処理および加工し、磁気特性を測定した。測定結果を表2の試料No.2に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
表2の試料No.1は主合金と副合金を混合する本発明の方法により製造されたR−T−B系焼結磁石(本発明例)であり、試料No.2は単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石(比較例)である。ともに微粉砕粉末における組成は同じである。すなわち、試料No.1と試料No.2のR−T−B系焼結磁石の組成は同じである。表2の通り、R−T−B系焼結磁石の組成は同じではあるが、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もない。
実施例2
表1の合金No.a1−1に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、得られた粗粉砕粉末をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50が4.2μmの主合金微粉砕粉末を得た。また、表1の合金No.a1−2に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、得られた粗粉砕粉末をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50が4.2μmの副合金微粉砕粉末を得た。主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末の組成が表1の合金No.Aに示す組成となるように、主合金微粉砕粉末95質量部と副合金微粉砕粉末5質量部とを混合し、混合合金微粉砕粉末を得た。得られた混合合金微粉砕粉末を実施例1と同様にして成形、焼結、熱処理および加工し、磁気特性を測定したところ、実施例1による本発明のR−T−B系焼結磁石とほぼ同じ測定結果が得られた。すなわち、混合後微粉砕方法(実施例1)および微粉砕後混合方法(実施例2)のいずれであってもほぼ同じ効果が得られる。
実施例3
微粉砕粉末における主合金の組成を表3の合金No.b1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表3の合金No.b1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表3の合金No.Bに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表4の試料No.3に示す。
比較例2
微粉砕粉末の組成が表3の合金No.Bに示す組成となるようにする以外は比較例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表4の試料No.4に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例3は実施例1に対して主合金のCo量とB量および副合金のTi量を変化させた例である。表4の通り、試料No.3と試料No.4とはR−T−B系焼結磁石の組成は同じではあるが、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もほとんどない。
実施例4
微粉砕粉末における主合金の組成を表5の合金No.c1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表5の合金No.c1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表5の合金No.Cに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表6の試料No.5に示す。
比較例3
微粉砕粉末の組成が表5の合金No.Cに示す組成となるようする以外は比較例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表6の試料No.6に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例4は実施例3に対して主として主合金のGa量を変化(0.4から0.5)させた例である。表6の通り、試料No.5と試料No.6とはR−T−B系焼結磁石の組成は同じではあるが、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もない。
実施例5
微粉砕粉末における主合金の組成を表7の合金No.d1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表7の合金No.d1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表7の合金No.Dに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表8の試料No.7に示す。
比較例4
微粉砕粉末の組成が表7の合金No.Dに示す組成となるようする以外は比較例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表8の試料No.8に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例5は実施例4に対して主として主合金のB量と副合金のTi量を変化させた例である。表8の通り、試料No.7と試料No.8とはR−T−B系焼結磁石の組成は同じではあるが、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もない。
前記実施例1〜5に示す通り、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、特許文献1に記載の発明のように従来一般に用いられてきたR−T−B系合金に比べB量が相対的に少ない特定の範囲の合金を用いるのではなく、従来一般に用いられてきたR−T−B系合金とほぼ同様のB量からなるR−T−B系の主合金を用いるため、特許文献1に記載の発明のように、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)するという問題を解消することができ、また、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石と同等以上のBおよびHcJならびにH/HcJが0.96以上(96%以上)の優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができる。さらに、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された同様な組成のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もない。これは、副合金の添加に起因するものと考えられる。
なお、以下の実施例6〜15においては、単一合金法により製造されたR−T−B系焼結磁石との対比は省略するが、以下の実施例6〜15の本発明によるR−T−B系焼結磁石は、前記実施例1〜5による本発明のR−T−B系焼結磁石と同様に、単一合金法により製造された実施例と同様な組成のR−T−B系焼結磁石に比べ、優れた磁気特性を有することを確認している。また、以下の実施例6〜15の本発明によるR−T−B系焼結磁石は、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石のように、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)するということがなく、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石と同等以上のBおよびHcJならびにH/HcJが0.96以上(96%以上)の優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができることも確認している。
実施例6
微粉砕粉末における組成が表9の合金No.e3−1、e4−1、e5−1に示す組成からなる3種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表9の合金No.e3−2、e4−2、e5−2に示す組成からなる3種類の副合金を準備すること、合金No.e3−1とe3−2、e4−1とe4−2、e5−1とe5−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表9の合金No.Eに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表10の試料No.11、12、13に示す。試料No.11がe3−1とe3−2を混合したもの、試料No.12がe4−1とe4−2を混合したもの、No.13がe5−1とe5−2を混合したものである。
比較例5
微粉砕粉末における組成が表9の合金No.e1−1、e2−1、e6−1に示す組成からなる3種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表9の合金No.e1−2、e2−2、e6−2に示す組成からなる3種類の副合金を準備すること、合金No.e1−1とe1−2、e2−1とe2−2、e6−1とe6−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表9の合金No.Eに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表10の試料No.9、10、14に示す。試料No.9がe1−1とe1−2を混合したもの、試料No.10がe2−1とe2−2を混合したもの、No.14がe6−1とe6−2を混合したものである。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例6と比較例5は副合金のB量の限定理由の根拠を示す例である。表10の本発明例である試料No.11〜13のように副合金のB量が本発明の範囲内(0.5質量%、0.65質量%、0.8質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.10のように副合金のB量が本発明の範囲よりも少ない場合(0.40質量%)、あるいは試料No.9のように副合金にBが含まれない場合、本発明例に比べHcJ、HおよびH/HcJが低下している。特に副合金にBが含まれないとH/HcJが著しく低下する。H/HcJが低下する理由は、ジェットミル粉砕後の混合合金微粉砕粉末(あるいはR−T−B系焼結磁石)にα−Feが存在するためであると考えられる。また、試料No.14のように副合金のB量が本発明の範囲よりも多い場合(1.00質量%)、本発明例に比べBおよびHcJが低下している。
実施例7
微粉砕粉末における主合金の組成を表11の合金No.f1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表11の合金No.f1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表11の合金No.Fに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表12の試料No.15に示す。
比較例6
微粉砕粉末における主合金の組成を表11の合金No.f2−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表11の合金No.f2−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表11の合金No.Fに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表12の試料No.16に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例7および比較例6は副合金のTi量の限定理由の根拠を示す例である。表12の本発明例である試料No.15のように副合金のTi量が本発明の範囲内(0.44質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.16のように副合金にTiが含まれない場合、本発明例に比べHcJ、HおよびH/HcJが低下している。なお、Ti量が0.44質量%以上であるという限定は、主合金95質量部と副合金5質量部とを混合した場合を想定している。副合金の混合量を5質量部より大きくすれば(主合金の混合量を95質量部より小さくすれば)、Ti量の限定を小さくする(例えば0.3質量%以上)ことが可能である。しかしながら、副合金の混合量を大きくすると、副合金に含まれる他の元素(PrやBなど)の量も増えるため、主合金の組成を調製する必要がある。また、実施例7に示すように、主合金には少量のTiが含まれていてもよい。
実施例8
微粉砕粉末における主合金の組成を表13の合金No.g1−1に示す組成とすること、微粉砕粉末における組成が表13の合金No.g1−2、g1−3、g1−4に示す組成からなる3種類の副合金を準備すること、合金No.g1−1とg1−2、g1−1とg1−3、g1−1とg1−4をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表13の合金No.G1(g1−1とg1−2)、G2(g1−1とg1−3)、G3(g1−1とg1−4)に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表14の試料No.17〜19に示す。試料No.17がG1に示す組成、試料No.18がG2に示す組成、試料No.19がG3に示す組成である。
比較例7
微粉砕粉末における主合金の組成を表13の合金No.g1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表13の合金No.g1−5に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表13の合金No.G4に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表14の試料No.20に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例8および比較例7は混合合金微粉砕粉末(R−T−B系焼結磁石の組成も同じ)におけるTiの下限の限定理由の根拠を示す例である。表10の本発明例である試料No.17〜19のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが本発明の範囲内(0.24質量%、0.12質量%、0.10質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.20のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが本発明の範囲よりも少ない場合(0.09質量%)、本発明例に比べHcJが低下している。
実施例9
微粉砕粉末における主合金の組成を表15の合金No.h1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表15の合金No.h1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表15の合金No.H1に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表16の試料No.21に示す。
比較例8
微粉砕粉末における主合金の組成を表15の合金No.h1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表15の合金No.h1−3に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表15の合金No.H2に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表16の試料No.22に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例9および比較例8は混合合金微粉砕粉末(R−T−B系焼結磁石の組成も同じ)におけるTiの上限の限定理由の根拠を示す例である。表16の本発明例である試料No.21のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが本発明の範囲内(0.30質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.22のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが本発明の範囲よりも多い場合(0.35質量%)、本発明例に比べHcJが低下している。
実施例10
微粉砕粉末における組成が表17の合金No.i2−1、i3−1に示す組成からなる2種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表17の合金No.i2−2、i3−2に示す組成からなる2種類の副合金を準備すること、合金No.i2−1とi2−2、i3−1とi3−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表17の合金No.Iに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表18の試料No.24、25に示す。試料No.24がi2−1とi2−2を混合したもの、試料No.25がi3−1とi3−2を混合したものである。
比較例9
微粉砕粉末における主合金の組成を表17の合金No.i1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表17の合金No.i1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表17の合金No.Iに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表18の試料No.23に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例10および比較例9は副合金のPr量の限定理由の根拠を示す例である。
表18の本発明例である試料No.24および25のように副合金のPr量が本発明の範囲内(5.0質量%、33.0質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.23のように副合金のPr量が本発明の範囲よりも少ない場合(4.0質量%)、本発明例に比べHcJが低下している。
実施例11
微粉砕粉末における組成が表19の合金No.j1−1、j2−1、j3−1に示す組成からなる3種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表19の合金No.j1−2、j2−2、j3−2に示す組成からなる3種類の副合金を準備すること、合金No.j1−1とj1−2、j2−1とj2−2、j3−1とj3−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表19の合金No.Jに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表20の試料No.27、28、29に示す。試料No.27がNo.j1−1とj1−2を混合したもの、試料No.28がj2−1とj2−2を混合したもの、No.29がj3−1とj3−2を混合したものである。
比較例10
微粉砕粉末の組成が表19の合金No.Jに示す組成となるようする以外は比較例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表20の試料No.26に示す。
比較例11
微粉砕粉末における組成が表19の合金No.j4−1、j5−1に示す組成からなる2種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表19の合金No.j4−2、j5−2に示す組成からなる2種類の副合金を準備すること、合金No.j4−1とj4−2、j5−1とj5−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表19の合金No.Jに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表20の試料No.30、31に示す。試料No.30がj4−1とj4−2を混合したもの、試料No.31がj5−1とj5−2を混合したものである。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例11、比較例10および比較例11は副合金の混合量の好ましい範囲を示す例である。表20の本発明例である試料No.27、28、29のように副合金の混合量が1〜10質量部のときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有する。一方、試料No.26のように副合金を混合しない場合あるいは試料No.30および31のように副合金の混合量が多過ぎる場合、本発明例に比べHcJが低下している。
実施例12
微粉砕粉末における組成が表21の合金No.k2−1からk6−1に示す組成からなる5種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表21の合金No.k1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.k2−1からk6−1とk1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表21の合金No.K2からK6に示す組成(k2−1とk1−2を混合したものがK2、k3−1とk1−2を混合したものがK3、以下同様)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表22の試料No.33から37に示す。試料No.33がNo.k2−1とk1−2を混合したもの(合金No.K2)、試料No.34がk3−1とk1−2を混合したもの(合金No.K3)、試料No.35がNo.k4−1とk1−2を混合したもの(合金No.K4)、試料No.36がNo.k5−1とk1−2を混合したもの(合金No.K5)、試料No.37がNo.k6−1とk1−2を混合したもの(合金No.K6)である。
比較例12
微粉砕粉末における組成が表21の合金No.k1−1、k7−1に示す組成からなる2種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表21の合金No.k1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.k1−1とk1−2、k7−1とk1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表21の合金No.K1およびK7に示す組成(k1−1とk1−2を混合したものがK1、k7−1とk1−2を混合したものがK7)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表22の試料No.32、38に示す。試料No.32がk1−1とk1−2を混合したもの(合金No.K1)、試料No.38がk7−1とk1−2を混合したもの(合金No.K7)である。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例12および比較例12は主合金のB量の限定理由の根拠を示す例である。表22の本発明例である試料No.33から37のように主合金のB量が本発明の範囲内(0.90〜1.00質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.32のように主合金のB量が本発明の範囲よりも少ない場合(0.89質量%)、本発明例に比べBおよびHcJならびにH/HcJが低下しており、特にH/HcJの低下が著しい。また試料No.38のように主合金のB量が本発明の範囲よりも多い場合(1.19質量%)、本発明例に比べHcJの低下が著しい。
実施例13
微粉砕粉末における組成が表23の合金No.m2−1、m3−1、m4−1に示す組成からなる3種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表23の合金No.m1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.m2−1、m3−1、m4−1とm1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表23の合金No.M2からM4に示す組成(m2−1とm1−2を混合したものがM2、m3−1とm1−2を混合したものがM3、m4−1とm1−2を混合したものがM4)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表24の試料No.40、41、42に示す。試料No.40がNo.m2−1とm1−2を混合したもの(合金No.M2)、試料No.41がm3−1とm1−2を混合したもの(合金No.M3)、試料No.42がNo.m4−1とm1−2を混合したもの(合金No.M4)である。
比較例13
微粉砕粉末における組成が表23の合金No.m1−1、m5−1に示す組成からなる2種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表23の合金No.m1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.m1−1とm1−2、m5−1とm1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表23の合金No.M1およびM5に示す組成(m1−1とm1−2を混合したものがM1、m5−1とm1−2を混合したものがM5)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表24の試料No.39、43に示す。試料No.39がm1−1とm1−2を混合したもの(合金No.M1)、試料No.43がm5−1とm1−2を混合したもの(合金No.M5)である。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例13および比較例13は主合金のGa量の限定理由の根拠を示す例である。表24の本発明例である試料No.40から42のように主合金のGa量が本発明の範囲内(0.20〜0.60質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.39のように主合金のGa量が本発明の範囲よりも少ない場合(0.10質量%)、本発明例に比べBは若干高いもののHcJの低下が著しい。また試料No.43のように主合金のGa量が本発明の範囲よりも多い場合(0.70質量%)、本発明例に比べBの低下が著しい。
実施例14
微粉砕粉末における組成が表25の合金No.n1−1、n2−1、n3−1に示す組成からなる3種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表25の合金No.n1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.n1−1、n2−1、n3−1とn1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表25の合金No.N1、N2、N3に示す組成(n1−1とn1−2を混合したものがN1、n2−1とn1−2を混合したものがN2、n3−1とn1−2を混合したものがN3)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表26の試料No.44、45、46に示す。試料No.44がNo.n1−1とn1−2を混合したもの(合金No.N1)、試料No.45がn2−1とn1−2を混合したもの(合金No.N2)、試料No.46がNo.n3−1とn1−2を混合したもの(合金No.N3)である。
比較例14
微粉砕粉末における主合金の組成を表25の合金No.n4−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表25の合金No.n1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表25の合金No.N4に示す組成とし、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表26の試料No.47に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例14および比較例14は主合金のCo量の好ましい範囲を示す例である。試料No.44〜46のように主合金のCo量が0.5〜2質量%の範囲でB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。Co量が2質量%を超えてもBはほとんど低下せず、HcJは急減に低下することはないものの徐々に低下する傾向にある。従って、Bを重視する場合は2質量%を超えるCoを主合金に含有させることが可能であるが、HcJを重視する場合は主合金のCo量は0.5〜2質量%が好ましい。もちろん、実施例12および13に示すように主合金にCoが含まれなくてもB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石は得られる。
実施例15
微粉砕粉末における組成が表27の合金No.p2−1からp7−1に示す組成からなる6種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表27の合金No.p1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.p2−1からp7−1とp1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表27の合金No.P2からP7に示す組成(p2−1とp1−2を混合したものがP2、p3−1とp1−2を混合したものがP3、以下同様)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表28の試料No.48から53に示す。試料No.48がNo.p2−1とp1−2を混合したもの(合金No.P2)、試料No.49がNo.p3−1とp1−2を混合したもの(合金No.P3)、試料No.50がNo.p4−1とp1−2を混合したもの(合金No.P4)、試料No.51がNo.p5−1とp1−2を混合したもの(合金No.P5)、試料No.52がNo.p6−1とp1−2を混合したもの(合金No.P6)、試料No.53がNo.p7−1とp1−2を混合したもの(合金No.P7)である。
比較例15
微粉砕粉末における組成が表27の合金No.p1−1、p8−1に示す組成からなる2種類の主合金を準備すること、微粉砕粉末における組成が表27の合金No.p1−2に示す組成からなる副合金を準備すること、合金No.p1−1とp1−2、p8−1とp1−2をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表27の合金No.P1およびP8に示す組成(p1−1とp1−2を混合したものがP1、p8−1とp1−2を混合したものがP8)となるようにすること、主合金98質量部と副合金2質量部とを混合すること以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表28の試料No.47、54に示す。試料No.47がp1−1とp1−2を混合したもの(合金No.P1)、試料No.54がp8−1とp1−2を混合したもの(合金No.P8)である。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例15および比較例15は主合金のR1(実施例15及び比較例15においてはNdとPrの合計量)の限定理由の根拠を示す例である。表28の本発明例である試料No.48から53のように主合金のR1量が本発明の範囲内(29.0〜33.0質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.47のように主合金のR1量が本発明の範囲よりも少ない場合(28.0質量%)、本発明例に比べBは若干高いもののHcJの低下が著しく、H/HcJも低下している。また試料No.54のように主合金のR1量が本発明の範囲よりも多い場合(34.0質量%)、本発明例に比べBが低下しており、H/HcJも低下している。
実施例16
微粉砕粉末における主合金の組成を表29の合金No.q1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表29の合金No.q1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表29の合金No.Qに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表30の試料No.55に示す。
比較例16
微粉砕粉末の組成が表29の合金No.Qに示す組成となるようにする以外は比較例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表30の試料No.56に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例16は副合金にZrを含有する例である。表30の試料No.55は主合金と副合金を混合する本発明の方法により製造されたR−T−B系焼結磁石(本発明例)であり、試料No.56は単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石(比較例)である。試料No.55と試料No.56のR−T−B系焼結磁石の組成は同じであるが、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、単一合金法で製造された従来のR−T−B系焼結磁石に比べ、BおよびHcJが向上し、H/HcJの低下もない。このように、副合金にZrを含有する場合も、実施例1などの副合金にTiを含有する場合とほぼ同じ効果が得られる。もちろん、副合金にZrを含有する場合においても、特許文献1に記載の発明のように従来一般に用いられてきたR−T−B系合金に比べB量が相対的に少ない特定の範囲の合金を用いるのではなく、従来一般に用いられてきたR−T−B系合金とほぼ同様のB量からなるR−T−B系の主合金を用いるため、特許文献1に記載の発明のように、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)するという問題を解消することができ、重希土類元素RHをできるだけ使用することなく、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石と同等以上のBおよびHcJならびにH/HcJが0.96以上(96%以上)の優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができる。
実施例17
表29の合金No.q1−1に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、得られた粗粉砕粉末をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50が4.2μmの主合金微粉砕粉末を得た。また、表29の合金No.q1−2に示す組成となるように原料を秤量し、ストリップキャスティング法により合金を作製し、得られた合金を水素粉砕法により粗粉砕し、得られた粗粉砕粉末をジェットミル粉砕法により微粉砕し、粒径D50が4.2μmの副合金微粉砕粉末を得た。主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末の組成が表29の合金No.Qに示す組成となるように、主合金95質量部と副合金5質量部とを混合し、混合合金微粉砕粉末を得た。得られた混合合金微粉砕粉末を実施例1と同様にして成形、焼結、熱処理および加工し、磁気特性を測定したところ、実施例16による本発明のR−T−B系焼結磁石とほぼ同じ測定結果が得られた。すなわち、混合後微粉砕方法(実施例16)および微粉砕後混合方法(実施例17)のいずれであってもほぼ同じ効果が得られる。
なお、以下の実施例18〜20においては、単一合金法により製造されたR−T−B系焼結磁石との対比は省略するが、以下の実施例18〜20の本発明によるR−T−B系焼結磁石は、前記実施例16、17による本発明のR−T−B系焼結磁石と同様に、単一合金法により製造された実施例と同様な組成のR−T−B系焼結磁石に比べ、優れた磁気特性を有することを確認している。また、以下の実施例18〜20の本発明によるR−T−B系焼結磁石は、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石のように、使用原料や製造過程に起因するB量の僅かな変動によりHcJが大きく変動(急激に低下)するということがなく、特許文献1に記載の発明によって得られるR−T−B系焼結磁石と同等以上のBおよびHcJならびにH/HcJが0.96以上(96%以上)の優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石を安定して製造することができることも確認している。
実施例18
微粉砕粉末における主合金の組成を表31の合金No.r1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表31の合金No.r1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表31の合金No.Rに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表32の試料No.57に示す。
比較例17
微粉砕粉末における主合金の組成を表31の合金No.r2−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表31の合金No.r2−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表31の合金No.Rに示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表32の試料No.58に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例18および比較例17は副合金のZr量の限定理由の根拠を示す例である。表32の本発明例である試料No.57のように副合金のZr量が本発明の範囲内(0.76質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.58のように副合金にZrが含まれない場合、本発明例に比べHcJ、HおよびH/HcJが低下している。なお、Zr量が0.76質量%以上であるという限定は、主合金95質量部と副合金5質量部とを混合した場合を想定している。副合金の混合量を5質量部より大きくすれば(主合金の混合量を95質量部より小さくすれば)、Zr量の限定を小さくする(例えば0.6質量%以上)ことが可能である。しかしながら、副合金の混合量を大きくすると、副合金に含まれる他の元素(PrやBなど)の量も増えるため、主合金の組成を調製する必要がある。また、実施例18に示すように、主合金には少量のZrが含まれていてもよい。
実施例19
微粉砕粉末における主合金の組成を表33の合金No.s1−1に示す組成とすること、微粉砕粉末における組成が表33の合金No.s1−2、s1−3に示す組成からなる2種類の副合金を準備すること、合金No.s1−1とs1−2、s1−1とs1−3をそれぞれ混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表33の合金No.S1(s1−1とs1−2)、S2(s1−1とs1−3)に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表34の試料No.59、60に示す。試料No.59がS1に示す組成、試料No.60がS2に示す組成である。
比較例18
微粉砕粉末における主合金の組成を表33の合金No.s1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表33の合金No.s1−4に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表33の合金No.S3に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表34の試料No.61に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例19および比較例18は混合合金微粉砕粉末(R−T−B系焼結磁石の組成も同じ)におけるZrの下限の限定理由の根拠を示す例である。表34の本発明例である試料No.59、60のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが本発明の範囲内(0.23質量%、0.19質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.61のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが本発明の範囲よりも少ない場合(0.17質量%)、本発明例に比べHcJが低下している。
実施例20
微粉砕粉末における主合金の組成を表35の合金No.t1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表35の合金No.t1−2に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表35の合金No.T1に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表36の試料No.62に示す。
比較例19
微粉砕粉末における主合金の組成を表35の合金No.t1−1に示す組成とし、微粉砕粉末における副合金の組成を表35の合金No.t1−3に示す組成とし、主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末の組成が表35の合金No.T2に示す組成となるようにする以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得た。得られたR−T−B系焼結磁石の磁気特性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表36の試料No.63に示す。
Figure 2016086078
Figure 2016086078
実施例20および比較例19は混合合金微粉砕粉末(R−T−B系焼結磁石の組成も同じ)におけるZrの上限の限定理由の根拠を示す例である。表36の本発明例である試料No.62のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが本発明の範囲内(0.57質量%)にあるときB、HcJ、H/HcJの全てが高いレベルにある優れた磁気特性を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。一方、試料No.63のように混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが本発明の範囲よりも多い場合(0.65質量%)、本発明例に比べBおよびHcJが低下している。
本発明により得られたR−T−B系焼結磁石は、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用モータなどの各種モータ、家電製品などに好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 微粉砕粉末における組成が、
    R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
    B:0.9〜1.0質量%、
    Ga:0.2〜0.6質量%、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された主合金を準備する工程と、
    微粉砕粉末における組成が、
    R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
    B:0.5〜0.8質量%、
    Ti:0.44質量%以上、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された副合金を準備する工程と、
    主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備する工程と、
    混合合金を微粉砕し混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
    成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
    焼結体を熱処理する工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
    B:0.9〜1.0質量%、
    Ga:0.2〜0.6質量%、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する主合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
    B:0.5〜0.8質量%、
    Ti:0.44質量%以上、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する副合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるTiが0.1〜0.3質量%となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
    成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
    焼結体を熱処理する工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 微粉砕粉末における組成が、
    R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
    B:0.9〜1.0質量%、
    Ga:0.2〜0.6質量%、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された主合金を準備する工程と、
    微粉砕粉末における組成が、
    R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
    B:0.5〜0.8質量%、
    Zr:0.76質量%以上、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する組成となるように調製された副合金を準備する工程と、
    主合金と副合金とを混合した混合合金を微粉砕した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが0.19〜0.57質量%となるように、主合金90〜99質量部と副合金1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金を準備する工程と、
    混合合金を微粉砕し混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
    成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
    焼結体を熱処理する工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. R1:29〜33質量%(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む)、
    B:0.9〜1.0質量%、
    Ga:0.2〜0.6質量%、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する主合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    R2:29〜50質量%(R2はPrまたはPrとNdでありPrを5〜33質量%含む)、
    B:0.5〜0.8質量%、
    Zr:0.76質量%以上、
    残部T(Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)
    および不可避的不純物を含有する副合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    主合金微粉砕粉末と副合金微粉砕粉末とを混合した混合合金微粉砕粉末100質量%に含有されるZrが0.19〜0.57質量%となるように、主合金微粉砕粉末90〜99質量部と副合金微粉砕粉末1〜10質量部とを混合し合計100質量部とした混合合金微粉砕粉末を準備する工程と、
    混合合金微粉砕粉末を成形し成形体を準備する工程と、
    成形体を焼結し焼結体を準備する工程と、
    焼結体を熱処理する工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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