JP2019169698A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】RHの含有量を低減しつつ、高いHk/HcJを有するR−T−B系焼結磁石を製造する。【解決手段】所定の組成を有するR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、粒径D50が3.0〜4.5μmの合金粉末を準備する工程と、前記合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級する分級工程であって、前記合金粉末100質量%に対して、粒径D50が1.75〜2.5μmである微粉末を5〜30質量%除去することによって、粒径D50が3.2〜5.2μmでありかつ前記合金粉末のD50より大きい焼結用粉末を作製する分級工程と、前記焼結用粉末を成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、を含む、R−T−B系焼結磁石の製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、R−T−B系焼結磁石の製造方法に関する。
R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含む、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含む)は永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品などに使用されている。
R−T−B系焼結磁石は主としてR14B化合物からなる主相とこの主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。主相であるR14B化合物は高い磁化を持つ強磁性材料でありR−T−B系焼結磁石の特性の根幹をなしている。
R−T−B系焼結磁石は高温で保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」という場合がある)が低下するため不可逆熱減磁が起こる。そのため、特に電気自動車用モータに使用される場合、高温下でも高いHcJを有することが要求されている。
従来、HcJ向上のために、Dy、Tb等の重希土類元素RHをR−T−B系焼結磁石に多量に添加していた。しかし、重希土類元素RHを多量に添加すると、HcJは向上するが、残留磁束密度B(以下、単に「B」という場合がある)が低下するという問題があった。そのため、近年、R−T−B系焼結磁石の表面から内部にRHを拡散させて主相結晶粒の外殻部にRHを濃化させることでBの低下を抑制しつつ、高いHcJを得る方法が提案されている。
しかし、Dyは、もともと資源量が少ないうえ産出地が限定されている等の理由から、供給が不安定であり、価格変動するなどの問題を有している。そのため、DyなどのRHをできるだけ使用せず(使用量をできるだけ少なくして)、Bの低下を抑制しつつ、高いHcJを得ることが求められている。
特許文献1には、通常のR−T−B合金よりもB量を低くするとともに、Al、Ga、Cuのうちから選ばれる1種類以上の金属元素Mを含有させることによりR17M相を生成させ、該RFe17相を原料として生成させた遷移金属リッチ相(R13M)の体積率を十分に確保することにより、Dyの含有量を抑制しつつ、保磁力の高いR−T−B系希土類焼結磁石が得られることが記載されている。
また、上述の通りR−T−B系焼結磁石が最も利用される用途はモータであり、特に電気自動車用モータなどの用途で高温安定性を確保するためにHcJの向上は大変有効であるが、それらの特性とともに角形比H/HcJ(以下、単にH/HcJという場合がある)も高くなければならない。H/HcJが低いと減磁しやすくなるという問題を引き起こす。そのため、高いHcJを有するとともに、高いH/HcJを有するR−T−B系焼結磁石が求められている。なお、R−T−B系焼結磁石の分野においては、一般に、H/HcJを求めるために測定するパラメータであるHは、J(磁化の強さ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9×J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のH軸の読み値が用いられている。このHを減磁曲線のHcJで除した値(H/HcJ=H(kA/m)/HcJ(kA/m)×100(%))が角形比として定義される。
国際公開第2013/008756号
特許文献1に記載されているR−T−B系希土類磁石では、Dyの含有量を低減しつつ高いHcJが得られるものの、一般的なR−T−B系焼結磁石(R14B型化合物の化学量論比よりもB量が多い)と比べてH/HcJが低下するという問題点があった。
そこで本発明は、RHの含有量を低減しつつ、高いH/HcJを有するR−T−B系焼結磁石を製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
R:28.5〜33.0質量%(Rは希土類元素のうち少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.85〜0.91質量%、
Ga:0.2〜0.7質量%、
Cu:0.05〜0.50質量%、
Al:0.05〜0.50質量%、および
T:61.5質量%以上(TはFeとCoであり、Tの90質量%以上がFeである)を含有し、
下記式(1)を満足するR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、

14[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)

粒径D50が3.0〜4.5μmの合金粉末を準備する工程と、
前記合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級する分級工程であって、前記合金粉末100質量%に対して、粒径D50が1.75〜2.5μmである微粉末を5〜30質量%除去することによって、粒径D50が3.2〜5.2μmでありかつ前記合金粉末のD50より大きい焼結用粉末を作製する分級工程と、
前記焼結用粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、
を含む、R−T−B系焼結磁石の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、RHの含有量を低減しつつ、高いH/HcJを有するR−T−B系焼結磁石を製造することができる。
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのR−T−B系焼結磁石の製造方法を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。
発明者らは、微粉末を5〜30%除去した合金粉末(焼結用粉末)を用いて焼結磁石を製造することにより、同じ組成を有する合金粉末(微粉末を除去していないもの)を用いて製造した焼結磁石に比べて、角形比(H/HcJ)が向上することを見いだした。さらに本発明者らは、微粉末を5〜30%除去した合金粉末を用いると焼結時の異常粒成長を抑制できることを見出した。異常粒成長が十分に抑制されていないと焼結炉内における温度ばらつき(例えば炉の入り口部分と中央部分の温度差)により異常粒成長が発生する可能性がある。異常粒成長が多く発生すると、1個の粒内に磁化の方向が互いに異なる複数の磁区が形成された粉末粒子が多くなり、HcJが低下する原因となる。そのため、炉内の温度を厳密に管理したり、焼結温度を適正温度より低く(例えば10〜20℃)設定し、長時間の焼結をしたりして異常粒成長を抑制する必要があった。これらは量産効率の悪化を招く。本発明の実施形態により異常粒成長が抑制されるため、焼結時における適正温度範囲を広げることができ、生産性が向上する。
以下に本発明の実施形態に係る製造方法について詳述する。
<R−T−B系焼結磁石>
まず、本発明に係る製造方法によって得られるR−T−B系焼結磁石について説明する。
(R−T−B系焼結磁石の組成)
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の組成は、
R:28.5〜33.0質量%(Rは希土類元素のうち少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.85〜0.91質量%、
Ga:0.2〜0.7質量%、
Cu:0.05〜0.50質量%、
Al:0.05〜0.50質量%、および
T:61.5質量%以上(TはFeとCoであり、Tの90質量%以上がFeである)を含有し、下記式(1)を満足する。

14[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
上記組成により、一般的なR−T−B系焼結磁石よりもB量を少なくするとともに、Ga等を含有させているので、二粒子粒界にR−T−Ga相が生成して、高いHcJを得ることができる。ここで、R−T−Ga相とは、代表的にはNdFe13Ga化合物である。R13Ga化合物は、LaCo11Ga型結晶構造を有する。また、R13Ga化合物は、その状態によっては、R13−δGa1+δ化合物(δは典型的には2以下)になっている場合がある。例えば、R−T−B系焼結磁石中にCu、Alが比較的多く含有される場合、R13−δ(Ga1−x−yCuAl1+δになっている場合がある。
以下に、各組成について詳述する。
(R:28.5〜33.0質量%)
Rは、希土類元素のうち少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む。Rの含有量は、28.5〜33.0質量%である。Rが28.5質量%未満であると焼結時の緻密化が困難となるおそれがあり、33.0質量%を超えると主相比率が低下して高いBを得られないおそれがある。Rの含有量は、好ましくは29.5〜32.5質量%である。Rがこのような範囲であれば、より高いBを得ることができる。
(B:0.85〜0.91質量%)
Bの含有量は、0.85〜0.91質量%である。Bが0.85質量%未満であるとR17相が生成されて高いHcJが得られないおそれがあり、0.91質量%を超えるとR−T−Ga相の生成量が少なすぎて高いHcJが得られないおそれがある。Bの含有量は、好ましくは0.86〜0.91質量%であり、より高いHcJ向上効果が得られる。
さらに、Bの含有量は下記式(1)を満たす。

14[B]/10.8<[T]/55.85 (1)

ここで、[B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である。
式(1)を満足することにより、Bの含有量が一般的なR−T−B系焼結磁石よりも少なくなる。一般的なR−T−B系焼結磁石は、主相であるR14B相以外に軟磁性相であるR17相が生成しないように、[T]/55.85(Feの原子量)は14[B]/10.8(Bの原子量)よりも少ない組成となっている([T]は、質量%で示すTの含有量である)。本発明の実施形態のR−T−B系焼結磁石は、一般的なR−T−B系焼結磁石と異なり、[T]/55.85が14[B]/10.8よりも多くなるように式(1)で規定している。なお、本発明の実施形態のR−T−B系焼結磁石におけるTの主成分はFeであるため、Feの原子量を用いた。
(Ga:0.2〜0.7質量%)
Gaの含有量は、0.2〜0.7質量%である。Gaが0.2質量%未満であると、R−T−Ga相の生成量が少なすぎて、R17相を消失させることができず、高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.7質量%を超えると不要なGaが存在することになり、主相比率が低下してBが低下するおそれがある。
(Cu:0.05〜0.50質量%)
Cuの含有量は、0.05〜0.50質量%である。Cuが0.05質量%未満であると高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.50質量%を超えると焼結性が悪化して高いHcJが得られないおそれがある。
(Al:0.05〜0.50質量%)
Alの含有量は、0.05〜0.50質量%である。Alを含有することによりHcJを向上させることができる。Alは通常、製造工程で不可避的不純物として0.05質量%以上含有されるが、不可避的不純物で含有される量と意図的に添加した量の合計で0.50質量%以下含有してもよい。
(T:61.5質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである))
Tは、遷移金属元素のうち少なくとも1種であり、Feを必ず含む。
焼結磁石中のTの含有量は61.5質量%以上である。また、Tの全量を100質量%としたとき、その10質量%以下をCoで置換できる。すなわち、Tの全量の90質量%以上がFeである。Coを含有することにより耐食性を向上させることができるが、Coの置換量がFeの10質量%を超えると、高いBが得られないおそれがある。Tの含有量は、61.5質量%以上であり、かつ、上述した式(1)を満足する。Tの含有量が61.5質量%未満であると、大幅にBが低下する恐れがある。好ましくは、Tが残部である。
さらに、Tが残部の場合においても、本発明のR−T−B系焼結磁石は、ジジム合金(Nd−Pr)、電解鉄、フェロボロンなどに通常含有される不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中の不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
<R−T−B系焼結磁石の製造方法>
次に、本発明に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法を説明する。
R−T−B系焼結磁石の製造方法は、合金粉末を準備する工程、合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級する分級工程、成形工程、焼結工程、および熱処理工程を含む。
以下、各工程について説明する。
(1)合金粉末を準備する工程
前記組成となるようにそれぞれの元素の金属または合金を準備し、これらをストリップキャスティング法等を用いてフレーク状の合金を製造する。
例えば、得られたフレーク状の合金を2回の粉砕過程を経て、合金粉末に粉砕する。第1の粉砕過程では、フレーク状の合金を水素粉砕し、粗粉砕粉のサイズを例えば1.0mm以下とする。次に、第2の粉砕過程では、粗粉砕粉をジェットミル等により微粉砕する。これにより、粒径D50(気流分散法によるレーザー回折法で得られた値(メジアン径))が3.0〜4.5μmの微粉砕粉(合金粉末)を得る。なお、ジェットミル粉砕前の粗粉砕粉、ジェットミル粉砕中およびジェットミル粉砕後の合金粉末に助剤として公知の潤滑剤を使用してもよい。
また、合金粉末中の相対的に粒径の小さい微粉末はR量が高い。そのため、次の分級工程で得られる、相対的に粒径の大きい焼結用粉末中のR量は合金粉末中のR量より低くなり、最終的に得られる焼結磁石のR量も低くなる。そのため、合金粉末の組成はあらかじめ分級工程で除去されるR量を考慮した上で準備する必要がある。例えば、前記組成のR量より数%程度多い組成となるように合金粉末を準備する。
(2)合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級する分級工程
前記合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級することにより、得られた合金粉末から微粉末を除去して、焼結用粉末を準備する。発明者らは、合金粉末に含まれる微粉末は、角形比(H/HcJ)を悪化させる要因となり、さらに焼結工程において異常粒成長を促進することを見いだした。そこで、本発明では、合金粉末から微粉末を取り去る工程を行い、得られた合金粉末(焼結用粉末)を用いて焼結磁石を製造している。
微粉末の除去では、合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分離する。相対的に粒径の小さい粒子と、相対的に粒径の大きい粒子との分離(分級)は、分級機能を有する機器(例えばサイクロン分級機、分級機能付きジェットミル等)で行うことができる。
第2の粉砕過程で得られた合金粉末を、分級機に投入することにより、分級工程を行うことができる。このとき、第2の粉砕過程で使用する粉砕機(ジェットミル等)の後段に、気流(遠心力)分級機を接続すれば、気流によって運ばれてきた合金粉末から、微粉末を効率よく除去することが可能である。これにより、第2の粉砕過程で得られた合金粉末を、分級機まで運搬する必要なしに、連続して分級工程を行うことができる。
また、分級機能付き粉砕機(例えば、分級機能付きジェットミル)を用いれば、第2の粉砕過程と分級工程とを同一の装置で行うことができる。
分級機能を有する機器では、合金粉末100質量%に対して、粒径D50が1.75〜2.5μmである微粉末を5〜30質量%除去し、粒径D50が3.2〜5.2μmでありかつ前記合金粉末のD50より大きい焼結用粉末を得る。
なお、分級工程によって微粉末が除去されているので、焼結用粉末の粒径D50は、分級前の合金粉末の粒径D50より大きくなる。
(3)成形工程
得られた焼結用粉末を用いて磁界中成形を行い、成形体を得る。磁界中成形は、金型のキャビティー内に乾燥した焼結用粉末を挿入し、磁界を印加しながら成形する乾式成形法、金型のキャビティー内に該焼結用粉末を分散させたスラリーを注入し、スラリーの分散媒を排出しながら成形する湿式成形法を含む既知の任意の磁界中成形方法を用いてよい。
(4)焼結工程
成形工程で得られた成形体を焼結することにより、焼結体(焼結磁石)を得る。成形体の焼結は既知の方法を用いることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、焼結は、真空雰囲気中または雰囲気ガス中で行うことが好ましい。雰囲気ガスは、不活性ガス(ヘリウムやアルゴンなど)を用いることが好ましい。
(5)熱処理工程
得られた焼結磁石に対し、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などは既知の条件を用いることができる。例えば、比較的低い温度(400℃以上600℃以下)のみでの熱処理(一段熱処理)をしてもよく、あるいは比較的高い温度(700℃以上焼結温度以下(例えば1050℃以下))で熱処理を行った後比較的低い温度(400℃以上600℃以下)で熱処理(二段熱処理)をしてもよい。好ましい条件は、730℃以上1020℃以下で5分から500分程度の熱処理を施し、冷却後(室温まで冷却後、または440℃以上550℃以下まで冷却後)、さらに440℃以上550℃以下で5分から500分程度熱処理をすることが挙げられる。熱処理雰囲気は、真空雰囲気あるいは不活性ガス(ヘリウムやアルゴンなど)で行うことが好ましい。
最終的な製品形状にするなどの目的で、得られた焼結磁石に研削などの機械加工を施してもよい。その場合、熱処理は機械加工前でも機械加工後でもよい。さらに、得られた焼結磁石に、表面処理を施してもよい。表面処理は、既知の表面処理であってもよく、例えばAl蒸着や電気Niめっきや樹脂塗料などの表面処理を行うことができる。
このようにして得られた焼結磁石は、H/HcJ(角形比)が向上されていた。
本実施例では粒径D50が同じ合金粉末に対して分級条件(微粉末を除去する割合)を変化させることで焼結用粉末をそれぞれ得る。そして、得られた焼結用粉末を用いて組成がほぼ同じR−T−B系焼結磁石をそれぞれ作製して磁気特性および異常粒成長を比較する。これは、合金粉末の組成がほぼ同じであっても分級条件により焼結用粉末の組成が変化して最終的に得られるR−T−B系焼結磁石の組成も変化するからである。あらかじめ分級条件を考慮した組成で合金粉末を作製することで、最終的に得られるR−T−B系焼結磁石をほぼ同じ組成にする。
1.サンプル作製
後述する分級条件を考慮した上で最終的に得られるR−T−B系焼結磁石がおよそNo.1〜19に示す組成となるように、各元素を秤量してストリップキャスト法により鋳造し、フレーク状の合金を得た。表1中、TREとは希土類元素の含有量の合計(本実施例では、TRE=Nd+Pr+Dy)を意味する。得られたフレーク状の合金を水素加圧雰囲気で水素脆化させた後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉を得た。次に、得られた粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を粗粉砕粉100質量%に対して0.04質量%添加、混合した後、気流式粉砕機(ジェットミル装置)を用いて、窒素雰囲気中で乾式粉砕し、表2の合金粉末に示す粒径D50を有する19種類の合金粉末を得た。
得られた合金粉末をサイクロン分級機に投入して、表2に示す条件で相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級し、19種類の焼結用粉末を得た。微粉末と焼結用粉末について、全合金粉末を100質量%としたときの微粉末の質量%(含有率)、微粉末の粒径D50、焼結用粉末の粒径D50を表2に示す。表2におけるサンプルNo.2は、粒径D50が3.1μmの合金粉末100質量%に対して、粒径D50が2.1μmである微粉末を15.4%除去することによって、粒径D50が3.4μmの焼結用粉末を作製したものである。No.1およびNo.3〜19も同様に記載している。なお、微粉末の含有率が0%(試料No.1、4、10、14、17)とは、分級を行わなかった例(比較例)である。
得られた焼結用粉末に、液体潤滑剤を焼結用粉末100質量%に対して、0.3質量%添加、混合した後、磁界中成形し、成形体を得た。なお、成形装置は、磁場印加方向と加圧法方向とが直行する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。
得られた成形体を焼結して、磁気特性測定用のR−T−B系焼結磁石(焼結磁石A)と、異常粒成長観察用のR−T−B系焼結磁石(焼結磁石B)と、成分分析用のR−T−B系焼結磁石(焼結磁石C)を得た。焼結磁石AおよびCは、1030〜1070℃の範囲内にある適正焼結温度で、6時間焼結した。「適正焼結温度」は、異常粒成長が発生する焼結温度より20℃低い温度のことを指す。得られた焼結体に対し真空中、800℃で2時間保持した後室温まで冷却し、次いで真空中で430℃で2時間保持した後、室温まで冷却する熱処理を施し焼結磁石AおよびCを得た。焼結磁石Bは、異常粒成長が発生する焼結温度(つまり、適正焼結温度+20℃)で、6時間焼結した。なお、異常粒成長が発生する焼結温度は、その焼結磁石の組成によって異なるため、各サンプルNo.の組成に合わせて、焼結温度を適宜設定した。得られた焼結磁石Cの成分分析結果を表1に示す。表1における各成分(O、NおよびC以外)は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)を使用して測定した。また、O(酸素)含有量は、ガス融解−赤外線吸収法、N(窒素)含有量は、ガス融解−熱伝導法、C(炭素)含有量は、燃焼−赤外線吸収法によるガス分析装置を使用して測定した。
表1および表2に示すように、No.1〜3はいずれも合金粉末(分級前)のD50が3.1μmであり、得られたR−T−B系焼結磁石の組成がほぼ同じ(TRE:30.2質量%、B0.86質量%)である。同様に、No.4〜9はいずれも合金粉末のD50が3.5μmであり、組成がほぼ同じ(TRE:30.8〜30.9質量%、B0.88〜0.89質量%)である。No.10〜13はいずれも合金粉末のD50が4.1μmであり、組成がほぼ同じ(TRE:31.7〜31.9質量%、B:0.85〜0.86質量%)である。No.14〜16は、いずれも合金粉末のD50が4.5μmであり、組成がほぼ同じ(TRE:29.8質量%、B:0.91質量%)である。No.17〜19は、いずれも合金粉末のD50が3.5μmであり、組成がほぼ同じ(TRE:29.0〜29.1質量%、B:0.91質量%)である。
焼結磁石Aに機械加工を施し、縦7mm、横7mm、厚み7mmの試料を作製し、B−Hトレーサによって磁気特性を測定した。その結果を表3に示す。なお、HはJ(磁化の大きさ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9×J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のHの値である。
また、焼結磁石Bは、中央付近を通る断面で切断し、その断面を研削加工した。その後、視認により、異常粒が多い部分から3cm×1cm(3cm)の測定範囲を選択し、その測定範囲に存在する異常粒の数を数えて、単位面積当たりの異常粒の個数を求めた。なお、断面に現れた粒子の粒断面のうち、長径が0.5mm以上のものを異常粒とした。その結果を表3に示す。
Figure 2019169698
Figure 2019169698
Figure 2019169698
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じ焼結磁石Aどうしの磁気特性および焼結磁石Bどうしの異常粒成長を比較する。
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じであるサンプルNo.1〜3では、微粉末を適量除去したサンプルNo.2〜3は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.1に比べて、H/HcJが上昇した。また、異常粒成長についても、微粉末を適量除去したサンプルNo.2〜3は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.1に比べて、異常粒の発生が著しく抑制された。
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じであるサンプルNo.4〜9では、微粉末を適量除去したサンプルNo.6〜8は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.4、微粉末の除去量が不十分なサンプルNo.5および微粉末を過剰に除去したサンプルNo.9に比べて、H/HcJが上昇した。また、微粉末を過剰に除去したサンプルNo.9は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.4に比べて、HcJ、Hともに低下することが確認された。
また、異常粒成長については、微粉末を適量除去したサンプルNo.6〜8と、微粉末を過剰に除去したサンプルNo.9は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.4および微粉末の除去量が不十分なサンプルNo.5に比べて、異常粒の発生が抑制された。
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じであるサンプルNo.10〜13では、微粉末を適量除去したサンプルNo.11〜13は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.10に比べて、H/HcJが上昇した。また、異常粒成長についても、微粉末を適量除去したサンプルNo.11〜13は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.10に比べて、異常粒の発生が著しく抑制された。
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じであるサンプルNo.14〜16では、微粉末を適量除去したサンプルNo.15〜16は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.14に比べて、H/HcJが上昇した。また、異常粒成長についても、微粉末を適量除去したサンプルNo.15〜16は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.14に比べて、異常粒の発生が著しく抑制された。
50が同じ合金粉末で組成がぼぼ同じであるサンプルNo.17〜19では、微粉末を適量除去したサンプルNo.18〜19は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.17に比べて、H/HcJが上昇した。また、異常粒成長についても、微粉末を適量除去したサンプルNo.18〜19は、微粉末を除去しなかったサンプルNo.17に比べて、異常粒の発生が著しく抑制された。

Claims (1)

  1. R:28.5〜33.0質量%(Rは希土類元素のうち少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
    B:0.85〜0.91質量%、
    Ga:0.2〜0.7質量%、
    Cu:0.05〜0.50質量%、
    Al:0.05〜0.50質量%、および
    T:61.5質量%以上(TはFeとCoであり、Tの90質量%以上がFeである)を含有し、
    下記式(1)を満足するR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、

    14[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
    ([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)

    粒径D50が3.0〜4.5μmの合金粉末を準備する工程と、
    前記合金粉末を、相対的に粒径の小さい微粉末と、相対的に粒径の大きい焼結用粉末とに分級する分級工程であって、前記合金粉末100質量%に対して、粒径D50が1.75〜2.5μmである微粉末を5〜30質量%除去することによって、粒径D50が3.2〜5.2μmでありかつ前記合金粉末のD50より大きい焼結用粉末を作製する分級工程と、
    前記焼結用粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
    前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、
    を含む、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
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