JP6432599B2 - 鉄道車両用防音車輪 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両用の防音車輪に関する。
鉄道車両の走行時に発生する騒音は、鉄道沿線環境にとって解決すべき最優先課題の1つである。そのような騒音は、車輪から発せられるものを含む。車輪から発せられる騒音には、車輪転動騒音と、いわゆるきしり音とがある。きしり音は、主として、車両が、大きな曲率を有する曲線路を通過するときに発生する。車輪転動騒音は、車両が、曲線路を通過するときのみならず、直線路を通過するときにも発生する。
レールの表面、およびこれに接触する車輪の表面(踏面)には、微小な凹凸が存在する。これにより、レール上を車輪が転動すると、車輪およびレールが加振されて、車輪転動騒音が生ずると考えられる。きしり音も、車輪の振動に起因しているものと考えられる。また、レールにおいて車輪の踏面と接触する部分に波状の摩耗(以下、「波状摩耗」という。)が生じている場合がある。特殊な車輪騒音として、そのような波状摩耗が生じているレールの上を車両が通過すると、車輪が大きく加振されて騒音が発生する。
車輪の振動によって発生する騒音(以下、「車輪振動騒音」ともいう。)を低減するために、特許文献1および2では、車輪のリム部内周側に防音装置を取り付けた防音車輪が提案されている。これらの防音車輪は、ゴムなどからなる弾性体部と、付加質量部とを組み合わせた防音装置を備え、防音装置は、取り付け金具によって、リム部の内周面に形成された取り付け溝に取り付けられる。
防音装置は、動的吸振器として作用すると考えられる。動的吸振器は、構造物の固有振動数と一致する共振周波数を有し、共振により、構造物の振動を吸収(低減)することができる。したがって、防音装置を車輪に取り付けることにより、一致する周波数の固有振動による騒音を低減することができる。防音装置の共振周波数fは、円周率をπ、弾性体部のばね定数をk、付加質量部の質量をmとすると、
f=(1/2π)×(k/m)1/2 ・・・(1)
で与えられる。したがって、車輪の固有振動数がわかれば、(1)式から、この固有振動数に、防音装置の共振周波数fが一致するように、ばね定数kと、付加質量部の質量mとを決定することができる。
車輪は、通常、複数の固有振動モードを有し、これらの各固有振動モードに対応する固有振動数を有する。したがって、車輪は、複数の固有振動数を有する。特許文献2および3では、異なる共振周波数を有する複数の防音装置を備えた防音車輪であって、各防音装置の共振周波数が、車輪の複数の固有振動数のいずれかに一致する防音車輪が提案されている。これらの防音車輪によれば、複数の固有振動数に対応する騒音を、同時に低減することができる。
具体的には、特許文献2の車輪では、2つの防音装置が用いられ、これらの防音装置に、弾性係数が異なる2種類の弾性体がそれぞれ用いられ、これにより、2つの防音装置の共振周波数が互いに異なるようにされている。特許文献3の車輪では、防音装置(弾性体と当て板とからなる動的吸振器)は、防音車輪の周方向に分割されていて、分割された防音装置のそれぞれの共振周波数が、車輪の固有振動数のいずれかに一致するように設定されている。このような構成により、2水準またはそれより多くの周波数に対応する騒音成分を同時に吸収することができるようになっている。さらに、特許文献3に開示された防音装置は、防音車輪の周方向に分割されていることにより、当て板の固有振動数を、騒音として問題にならない周波数まで高くすることができる。
車輪の固有振動モードのうち車輪転動騒音を生じ得る主たるものは、リム部が面内方向に振動し、かつ板部が面外方向に振動するものである。これらの固有振動による騒音は、人が聴覚上敏感である周波数域のうち、少なくとも、1kHz〜10kHz内に、たとえば、2kHz付近、3kHz付近、および4kHz付近の3水準の周波数成分を含む。
ところで、車両が高速走行しているときは、防音装置には、様々な力がかかり、車輪から防音装置が脱落するおそれがある。特許文献1〜3に記載の発明では、防音装置が車輪から脱落するのを防止するための十分な措置がとられていない。
特許文献4には、リング状の付加質量部と、付加質量部の外周部に取り付けられた弾性体部とを備えた防音装置が開示されている。この防音装置では、リム部に形成された溝内に弾性体部が配置されている。
特許文献4の防音車輪では、弾性体部は、リム部に形成された溝の底部、および付加質量部に固定されている一方、付加質量部は、リム部に対して動くことができるようになっている。このような構成により、車輪の振動が吸収されるようになっている。
この防音装置では、弾性体部に対して、溝の開口側は、付加質量部によって塞がれているので、弾性体部は、付加質量部から分離したとしても、車輪からは脱落し難い。しかし、この発明では、弾性体部が劣化した場合、車両走行中のリム部に対する付加質量部の変位が大きくなり、付加質量部が、他の部材、たとえば、ブレーキディスクに衝突し得る。また、リム部の溝の内面と付加質量部とが擦れることにより、リム部や、付加質量部に疵が入ったり、これらの部材が摩耗したりする。さらに、弾性体部が完全に分離した場合には、付加質量部が車輪から脱落する可能性がある。このため、この防音装置が備えられた車輪の耐久性は、低い。
登録実用新案第2577323号公報 特許第3097831号公報 特開昭58−116202号公報 特開2006−182136号公報
そこで、この発明の目的は、車輪の振動による騒音を大幅に低減可能であり、耐久性に優れた鉄道車両用防音車輪を提供することである。
本発明の防音車輪は、車輪のリム部の内周面に防音装置を装着した鉄道車両用防音車輪である。前記防音装置は、固定リングと、第1弾性体部と、付加質量部と、第2弾性体部とを備えている。前記固定リングは、前記リム部の前記内周面に周方向に沿って形成された溝に少なくとも外周部が嵌め込まれているとともに、前記リム部に固定されている。前記第1弾性体部は、前記固定リングの外周面に固着され、前記溝内に配置されている。前記付加質量部は、前記第1弾性体部の前記固定リングとは反対側に固着され、前記溝内に配置されている。前記第2弾性体部は、前記付加質量部の前記第1弾性体部とは反対側に固着され、前記溝内で前記溝の底との間に隙間を形成しないように設けられている。前記第1弾性体部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の第1弾性体片を含む。前記第2弾性体部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の第2弾性体片を含む。前記付加質量部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の付加質量片を含む。各付加質量片は、前記複数の第1弾性体片のいずれか、および前記複数の第2弾性体片のいずれかに固着されている。前記車輪は、複数の固有振動モードに対応する複数の固有振動数を有する。前記防音装置は、複数の動的吸振器を含む。各動的吸振器は、前記付加質量片、および当該付加質量片に固着された前記第1および第2弾性体片を有する。前記複数の動的吸振器のうち、少なくとも1つの動的吸振器は、他の動的吸振器の共振周波数とは異なる共振周波数を有する。前記複数の動的吸振器のいずれの共振周波数も、前記複数の固有振動数のいずれかに一致する。
前記第2弾性体部と前記溝の底との間には、スペーサ部材が設けられていてもよい。
この防音車輪は、隣接する前記動的吸振器同士の間に介在し、前記固定リングの外周面から突出する突起をさらに備えていることが好ましい。この防音車輪が前記突起を備えている場合、前記突起の先端は、前記溝の底に接していてもよい。
この発明によれば、車輪の振動は、リム部から固定リングを介して、複数の動的吸振器(第1および第2弾性体片、ならびに付加質量片)に伝わる。複数の動的吸振器のうち、少なくとも1つの動的吸振器は、他の動的吸振器の共振周波数とは異なる共振周波数を有し、各動的吸振器の共振周波数は、車輪の複数の固有振動数のいずれかに一致しているので、2水準以上の固有振動数に対応する騒音を同時に低減して、車輪振動騒音を大幅に低減することができる。各動的吸振器は、第1および第2弾性体片を備えており、第1および第2弾性体片のばね定数は、独立して選択できる。したがって、各動的吸振器の共振周波数を調整する自由度が大きい。
また、この発明によれば、第1および第2弾性体部、ならびに付加質量部は、リム部の溝内に配置されており、また、第1および第2弾性体部、ならびに付加質量部に対して溝の開口側には、リム部に固定された固定リングが存在する。このため、付加質量部が、第1および第2弾性体部から分離したり、第1および第2弾性体部が、それぞれ、固定リング、および溝の底から分離したとしても、これらの分離した第1および第2弾性体部、ならびに付加質量部は、車輪から脱落し難い。
さらに、防音装置を構成する部品の一つである固定リングが車輪のリム部に固定されていることにより、防音装置と車輪のリム部とが擦れることはない。また、弾性体部が劣化して弾性が弱くなっても、付加質量部は、溝の外の部材に衝突することはない。このため、この防音車輪は、耐久性が高い。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る防音車輪の断面図であって、防音車輪において中心軸に対して一方側の部分を示す図である。 図1Bは、図1Aに円Cで示す領域の拡大図である。 図2は、本発明の防音車輪に用いることができる防音装置の例を示す平面図である。 図3は、図1Aおよび図1Bに示す実施形態の第1の変形例に係る防音車輪の溝周辺部分を示す断面図である。 図4は、本発明の防音車輪に用いることができる防音装置の他の例を示す平面図である。 図5は、図1A〜図2に示す実施形態の第2の変形例に係る防音車輪の溝周辺を示す断面図である。 図6は、図1A〜図2に示す実施形態の第3の変形例に係る防音車輪の断面図である。 図7Aは、図1A〜図2に示す実施形態の第4の変形例に係る防音車輪の断面図である。 図7Bは、図1A〜図2に示す実施形態の第5の変形例に係る防音車輪の断面図である。 図8は、車輪転動騒音試験機の構成を示す概略図である。 図9は、騒音の分析をする際に用いられる騒音の補正レベルを示す図である。 図10は、実施例1〜4、および比較例1について、1/3オクターブバンド中心周波数と、騒音レベルとの関係を示す図である。 図11は、比較例1〜5について、1/3オクターブバンド中心周波数と、騒音レベルとの関係を示す図である。 図12は、実施例1〜4、および比較例1について、軌条輪の周速と、騒音レベルとの関係を示す図である。 図13は、比較例1〜5について、軌条輪の周速と、騒音レベルとの関係を示す図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1A、および図1Bは、本発明の一実施形態に係る防音車輪の断面図である。図1Aは、防音車輪において中心軸に対して一方側の部分を示す図であり、図1Bは、図1Aに円Cで示す領域の拡大図である。
防音車輪1は、鉄道車両に用いられるものであり、車輪2と、防音装置3とを備えている。車輪2は、環状の板部4と、板部4の外周部に位置する環状のリム部5とを備えている。リム部5は、板部4に対して板部4の厚さ方向両側に突出しており、防音車輪1の中心軸Aに面する内周面6を有する。リム部5の外周面において、中心軸Aに沿う方向に関して一方側には、中心軸Aとは反対方向に、フランジ7が突出している。
リム部5において、中心軸Aに沿う方向に関して上記一方側(フランジ7と同じ側)の内周面6には、中心軸A方向に開放した溝8が、中心軸A周りに環状に形成されている。防音装置3は、溝8に、溝8の全周にわたって嵌められている。
防音装置3は、固定リング10と、第1弾性体部11Aと、付加質量部12と、第2弾性体部11Bとを備えている。第1弾性体部11Aは、固定リング10の外周面10aに固着されている。付加質量部12は、第1弾性体部11Aにおいて固定リング10とは反対側に固着されている。第2弾性体部11Bは、付加質量部12において第1弾性体部11Aとは反対側に固着されている。固定リング10は、剛性が高い材料、たとえば、鋼などの金属からなる。固定リング10は、径方向の外周側の部分が、溝8に嵌められ、リム部5に対して固定されている。固定リング10のリム部5に対する固定は、たとえば、溶接、かしめ、接着等によるものとすることができる。
固定リング10の幅(防音装置3の軸方向の長さ)は、溝8の幅とほぼ同じであり、溝8の開口部は、固定リング10により密閉されている。溝8内のこの密閉された空間に、第1弾性体部11A、付加質量部12、および第2弾性体部11Bが配置されている。第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12の幅は、固定リング10の幅より狭く、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12は、溝8の内側壁から離間している。第2弾性体11Bは、溝8の底に接している。
第1弾性体部11Aと第2弾性体部11Bとは、同じ種類の材料からなるものであってもよく、互いに異なる種類の材料からなるものであってもよい。第1および第2弾性体部11A、11Bは、たとえば、ゴムからなる。車両の走行中に車輪2に生じた振動は、固定リング10、およびリム部5を介して、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12に伝わり、これにより、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12が振動する。
第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12は、リム部5の溝8内に配置されている。そして、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12に対して溝8の開口側には、リム部8に固定された固定リング10が存在する。このため、第1弾性体部11Aが、固定リング10、または付加質量部12から分離し、かつ、第2弾性体部11Bが、溝8の底、または付加質量部12から分離したとしても、付加質量部12は、防音車輪1から脱落し難い。
防音装置3を構成する部材の1つである固定リング10が車輪2のリム部5に固定されていることにより、防音装置3と車輪2のリム部5とが擦れることはない。また、付加質量部12が固定リング10で密閉された溝8内にあることにより、第1および第2弾性体部11A、11Bが劣化して弾性が弱くなっても、付加質量部12は、溝8外の部材(たとえば、ブレーキディスク)に衝突することはない。このため、この防音車輪1は、耐久性が高い。
図2は、防音装置3の一例を示す平面図である。
第1弾性体部11Aは、防音装置3の周方向に互いに離間した複数の第1弾性体片13Aを含む。付加質量部12は、防音装置3の周方向に互いに離間した複数の付加質量片14を含む。第2弾性体部11Bは、防音装置3の周方向に互いに離間した複数の第2弾性体片13Bを含む。図2の例では、第1および第2弾性体部11A、11Bは、それぞれ、12個の第1および第2弾性体片13A、13Bを含み、付加質量部12は、12個の付加質量片14を含む。各付加質量片14は、いずれかの第1弾性体片13A、およびいずれかの第2弾性体片13Bに固着されている。
第2弾性体片13Bは、溝8の底に、固着されていてもよい。また、第2弾性体片13Bは、溝8の底に固着されていなくてもよく、この場合は、付加質量片14と溝8の底とにより、第2弾性体片13Bが十分に押圧されている必要がある。いずれの場合でも、防音装置3を有する防音車輪は、この防音車輪が備えられた鉄道車両の走行中に付加質量片14が振動しても、第2弾性体片13Bと溝8の底との間に隙間が生じないように構成されている。
各付加質量片14と、当該付加質量片14に固着された第1および第2弾性体片13A、13Bとは、動的吸振器15を構成する。図2の例では、防音装置3は、12個の動的吸振器15A〜15Lを備えている。防音装置3の周方向に関して、各動的吸振器15を構成する付加質量片14ならびに第1および第2弾性体片13A、13Bは、ほぼ面一の端面を有する。
車輪2は、通常、複数の固有振動モードにそれぞれ対応する複数の固有振動数を有する。動的吸振器15A〜15Lのうち、少なくとも1つの動的吸振器15は、他の動的吸振器15の共振周波数とは異なる共振周波数を有する。すなわち、動的吸振器15A〜15Lは、少なくとも2つの共振周波数を有する。動的吸振器15A〜15Lのいずれの共振周波数も、車輪2のいずれかの固有振動数に一致する。これにより、車輪2の複数の固有振動数のうち、少なくとも2つの固有振動数に対応する騒音を、同時に低減することができる。
動的吸振器15A〜15Lは、少なくとも3つの共振周波数であって、各共振周波数が、車輪2のいずれかの固有振動数に一致する共振周波数を有することが好ましい。これにより、車輪2の騒音を効率的に低減することができる。
上述のように、車輪2からは、板部4、およびリム部5の固有振動による車輪転動騒音が発生する。このような騒音は、人が聴覚上敏感である周波数域、たとえば、1kHz〜10kHz内に、たとえば、2.0kHz、2.5kHz、および3.0kHzの周波数成分を含む。
これに対応して、たとえば、動的吸振器15A〜15Lは、以下の第1〜第3のグループに分けられているものとすることができる。第1のグループに属する動的吸振器15は、いずれも、2.0kHzの共振周波数を有する。第2のグループに属する動的吸振器15は、いずれも、2.5kHzの共振周波数を有する。第3のグループに属する動的吸振器15は、いずれも、3.0kHzの共振周波数を有する。これにより、騒音を、聴覚上、大幅に低減することができる。第1〜第3のグループは、たとえば、各々が4つの動的吸振器15からなるものとすることができる。
また、動的吸振器15A〜15Lのいずれかを、きしり音の周波数に対応する共振周波数を有するように構成すれば、きしり音を低減することができる。同様に、動的吸振器15A〜15Lのいずれかを、波状摩耗に起因する騒音の周波数に対応する共振周波数を有するように構成すれば、このような騒音を低減することができる。
動的吸振器15A〜15Lの各々の共振周波数は、下記(2)式に基づき、第1弾性体片13Aのばね定数k、第2弾性体片13Bのばね定数k、および付加質量片14の質量mを適切に選択することにより、所望の値にすることができる。
f=(1/2π)×((k+k)/m)1/2 (2)
防音装置3が備えられた鉄道車両の走行中に付加質量片14が振動しても、第2弾性体片13Bと溝8の底との間に隙間が生じないことにより、各動的吸振器15A〜15Lの共振周波数は、設計通りの値に維持される。
この防音車輪1を製造する際、防音装置3の周方向の一部が切断された状態とし、付加質量部12、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに固定リング10の外周部を、リム部5の溝8に嵌めた後、防音装置3の切断部を、たとえば、溶接により接合することができる。
防音装置3の軸方向に関して、第1および第2弾性体部11A、11B(各第1および第2弾性体片13A、13B)の長さは、5mm以上かつ10mm以下であり、付加質量部12(各付加質量片14)の長さは、5mm以上かつ10mm以下である。第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12は、このような大きさを有していることにより、固定リング10に対する取り付け、および共振周波数の調整が容易である。
図3は、図1Aおよび図1Bに示す実施形態の第1の変形例に係る防音車輪の溝周辺部分を示す断面図である。図3には、防音車輪の中心軸を含む断面を示す。図3において、図1Bに示す構成要素に対応する構成要素には、図1Bと同じ参照符号を付して説明を省略する。
この変形例では、溝8の底に密接し、第2弾性体部11Bと溝8の底との間を埋めるように、スペーサ部材16が設けられている。したがって、第2弾性体部11Bは溝8の底から離間しているが、第2弾性体部11Bと溝8の底との間には、隙間(空隙)は存在しない。スペーサ部材16は、剛性が高い材料、たとえば、鋼などの金属からなる。
スペーサ部材16は、固定リング10のように、防音装置の全周に渡って連続したリング状の部材であってもよく、防音装置の周方向に互いに離間した複数の部材を含むものであってもよい。いずれの場合でも、図1Aおよび図1Bに示す実施形態と同様に、上記(2)式にしたがって、動的吸振器が所望の共振周波数を有するように設計することができる。
図4は、図1Aおよび図1Bの防音車輪に採用することができる防音装置の他の例を示す平面図である。図4において、図2に示す構成要素に対応する構成要素には、図2と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この防音装置3Bは、全周に渡って連続したリング状のスペーサ部材16を備えている。スペーサ部材16は、第2弾性体片13Bに固着されていてもよい。また、スペーサ部材16は、第2弾性体片13Bに固着されていなくてもよく、この場合は、付加質量片14とスペーサ部材16とにより、第2弾性体片13Bが十分に押圧されている必要がある。いずれの場合でも、防音装置3Bは、防音装置3Bが備えられた鉄道車両の走行中に付加質量片14が振動しても、第2弾性体片13Bとスペーサ部材16との間に隙間が生じないように構成されている。これにより、各動的吸振器15の共振周波数は、設計通りの値に維持される。
本発明の防音車輪では、動的吸振器15の個数は限定されない。たとえば、図2に示すように、12個の動的吸振器15が備えられていてもよく、図4に示すように、24個の動的吸振器15が備えられていてもよい。図4の防音装置3Bの場合、図2の防音装置3に比して、動的吸振器15の数が増えるため、動的吸振器15の共振周波数であって車輪2の固有振動に対応するものの数を増やすことができる。さらに、一部の動的吸振器15の第1または第2弾性体片13A、13Bが劣化し、動的吸振器15としての性能が劣化した場合でも、他の動的吸振器15により振動を低減できるため、車輪2の制振(振動起因の騒音低減)性能の劣化を抑制することが可能である。このような効果は、動的吸振器15の数が多くなるほど得られやすい。
一方、動的吸振器15の数が増えると、付加質量片14、ならびに第1および第2弾性体片13A、13Bについて、車輪2の周方向の長さが短くなる。このため、第1および第2弾性体片13A、13Bの劣化により付加質量片14が固定リング10(およびスペーサ部材16)から分離しやすくなる場合がある。動的吸振器15の数を少なくし、付加質量片14、ならびに第1および第2弾性体片13A、13Bについて、車輪2の周方向の長さを長くすることにより、このような分離を生じ難くすることができる。ただし、付加質量片14は、固定リング10(およびスペーサ部材16)から分離しても、固定リング10により密閉された溝8内に留まるため、落失する可能性は非常に低い。
図5は、図1A〜図2に示す実施形態の第2の変形例に係る防音車輪の溝周辺を示す断面図である。図5には、防音車輪の中心軸に垂直な断面を示す。図5において、図3および図4に示す構成要素に対応する構成要素には、図3および図4と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この防音装置では、スペーサ部材は、防音装置の周方向に互いに離間し互いに厚さの異なるスペーサ部材16Aおよびスペーサ部材16Bを含む。この防音装置は、動的吸振器15Xと、動的吸振器15Yとを含む。動的吸振器15Xは、第1弾性体片13A1、付加質量片14、および第2弾性体片13B1を備えている。動的吸振器15Yは、第1弾性体片13A2、付加質量片14、および第2弾性体片13B2を備えている。
動的吸振器15Xの付加質量片14の厚さと、動的吸振器15Yの付加質量片14の厚さとは、ほぼ同じである。一方、動的吸振器15Yの第1弾性体片13A2は、動的吸振器15Xの第1弾性体片13A1より厚く、動的吸振器15Yの第2弾性体片13B2は、動的吸振器15Xの第2弾性体片13B1より厚い。このように、第1および第2弾性体片13A1、13A2、13B1、13B2の厚さを異ならせることにより、これらの弾性体片の各々のばね定数を異ならせて、動的吸振器15Xと、動的吸振器15Yとを、互いに異なる所望の共振周波数を有するように構成することができる。
この場合、図5に示すように、動的吸振器15Yのスペーサ部材16Bを、動的吸振器15Xのスペーサ部材16Aより薄くして、第1弾性体片13A1、付加質量片14、第2弾性体片13B1、およびスペーサ部材16Aの合計厚さを、第1弾性体片13A2、付加質量片14、第2弾性体片13B2、およびスペーサ部材16Bの合計厚さとほぼ等しくすることができる。したがって、この構成によれば、適切な厚さのスペーサ部材16A、16Bを採用することにより、第1および第2弾性体片13A1、13B1の合計厚さが、第1および第2弾性体片13A2、13B2の合計厚さと異なる場合でも、第2弾性体片13B1、13B2と溝8の底との間に、隙間が生じないようにすることができる。
図6は、図1A〜図2に示す実施形態の第3の変形例に係る防音車輪の断面図である。図6には、車輪の中心軸を含む断面を示す。図6において、図1Bに示す構成要素に対応する構成要素には、図1Bと同じ参照符号を付して説明を省略する。
この防音車輪では、車輪のリム部5に、車輪の中心軸方向に開放した溝8Aが形成されている。溝8Aには、防音装置3に備えられた固定リング10が嵌められている。これにより、溝8Aには、密閉された空間が形成されている。溝8A内のこの密閉された空間には、第1および第2弾性体部11A、11B、ならびに付加質量部12が配置されている。
固定リング10は、防音装置3の周方向および径方向に関して、ほぼ一定の幅を有する。溝8Aは、第1部分8A1と、第1部分8A1より溝8Aの底側に形成された第2部分8A2とを有する。第1部分8A1は、固定リング10の幅とほぼ同じ幅を有する。第2部分8A2は、固定リング10の幅より狭い幅を有する。この実施形態では、第1および第2部分8A1、8A2の幅は、それぞれ、防音装置3の径方向に関してほぼ一定であり、溝8Aの内側壁において第1部分8A1と第2部分8A2との間には、段差8Sが形成されている。
固定リング10は、段差8Sに接した状態で、リム部5に固定されている。第2部分8A2が固定リング10の幅より狭い幅を有することにより、固定リング10は、段差8Sに接した状態から、溝8Aの底面に、より近づくように移動することはできない。したがって、この状態では、固定リング10と溝8Aの底面との間隔は、一定に保たれる。この間隔は、車輪の振動が付加質量部12に伝えられたときに、付加質量部12が振動可能であるとともに、第2弾性体部11Bと溝8Aの底との間に隙間が生じないように設定されている。これにより、動的吸振器を構成する第1および第2弾性体部11A、11Bならびに付加質量部12が所定の共振周波数で振動することが可能となる。
図7Aは、図1A〜図2に示す実施形態の第4の変形例に係る防音車輪の断面図である。図7Aには、車輪の中心軸に垂直な断面を示す。図7Aにおいて、図1A〜図2に示す構成要素に対応する構成要素には、図2と同じ参照符号を付して説明を省略する。
周方向に隣接する動的吸振器15同士の間には、固定リング10の外周面から突出した突起18Aが設けられている。突起18Aは、固定リング10に対して固定されているとともに、周方向に隣接する付加質量片14同士の間まで延びている。
動的吸振器15が振動しても、動的吸振器15が突起18Aに接触しないように、動的吸振器15と突起18Aとは、十分に間隔があけられている。したがって、動的吸振器15と突起18Aとの接触により動的吸振器15の機能が損なわれることはない。
突起18Aが設けられていない場合、第1および第2弾性体片13A、13Bが破断すると、付加質量片14が溝8内で動くことにより異音が生じ、また、車輪の回転時の動バランスが乱れるという問題が生じ得る。図7Aの実施形態では、突起18Aが設けられていることにより、付加質量片14の車輪周方向への移動が規制されるので、このような問題を生じ難くすることができる。
突起18Aは、固定リング10と一体であってもよく、別体であってもよい。突起18Aが固定リング10と別体である場合、突起18Aは、たとえば、第1弾性体片13Aと同じ材料からなるものであってもよい。この場合、第1弾性体片13Aと、突起18Aとを、一括して形成することができる。具体的には、固定リング10の外周面上に、全周に渡って、第1弾性体片13A、および突起18Aに対応する凹部が形成された型を配置し、この凹部に、第1弾性体片13A、および突起18Aの原料となる液状の前駆体を流し込んだ後、この前駆体を硬化させることにより、第1弾性体片13A、および突起18Aを一括して形成することができる。
この製造方法において、固定リング10の外周面と、型との間に、液状の前駆体が侵入し、そのまま硬化することがある。この場合、第1弾性体片13Aと、突起18Aとは、互いに完全には分離せず、薄い弾性体の膜でつながって形成される。しかし、この場合でも、各動的吸振器15は、実質的に、設計通りの共振周波数を有するとともに、互いに独立して振動する。すなわち、複数の第1弾性体片13Aは、これらが固定リング10の周方向に互いに離間している場合と、実質的に同じ挙動を示す。したがって、各動的吸振器15は、所定の周波数の振動を吸収することができる。
図7Bは、図7Aに示す実施形態の変形例に係る防音車輪の断面図である。図7Bには、車輪の中心軸に垂直な断面を示す。図7Bにおいて、図7Aに示す構成要素に対応する構成要素には、図7Aと同じ参照符号を付して説明を省略する。
周方向に隣接する動的吸振器15同士の間には、固定リング10の外周面から突出した突起18Bが設けられている。突起18Bは、固定リング10に対して固定されているとともに、周方向に隣接する付加質量片14同士の間を通って延びている。突起18Bの先端(固定リング10の外周面から最も遠い部分)は、溝8の底面に接している。突起18Bが設けられていることにより、図7Aに示す実施形態と同様に、第1および第2弾性体片13A、13Bが破断した場合における付加質量片14の車輪周方向への移動を規制して、異音の発生を抑制し、車輪の回転時の動バランスを保ちやすくすることができる。
突起18Bは、固定リング10と一体であってもよく、別体であってもよい。また、この防音車輪は、リング状のスペーサ部材16(図4参照)をさらに備えていてもよく、この場合は、突起18Bは、スペーサ部材16と一体であってもよく、別体であってもよい。いずれの場合も、突起18Bは、剛性が高い材料からなる。これにより、固定リング10と溝8の底面との間隔は、一定に保たれる。この間隔は、車輪の振動が付加質量部12に伝えられたときに、付加質量片14が振動可能であるとともに、第2弾性体片13Bが溝8の底に固着されていない場合でも、付加質量片14の振動によって付加質量片14と溝8の底面との間に隙間が生じることがないように設定されている。これにより、動的吸振器15は、所定の共振周波数で振動することが可能となっている。
本発明の実施例である防音車輪、および本発明の構成要件の一部を欠く比較例である車輪について、車両転動音試験器を用いた試験をして、発生する騒音について調査した。
実施例1〜4として、図2に示す構造を有する防音装置3を備え、各動的吸振器15A〜15Lを、共振周波数が異なる3種類のタイプ(TYPE-i〜TYPE-iii)のもののいずれかとした防音車輪1を作製した。この防音車輪1の車輪2の主たる固有振動モードに対応する固有振動数は、2.0kHz、2.5kHz、および3.0kHzである。
表1に、各タイプの動的吸振器15の共振周波数を示す。表2に、実施例の防音車輪、および比較例の車輪の動的吸振器の内容を示す。
Figure 0006432599
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いずれの実施例においても、TYPE-iの動的吸振器15、TYPE-iiの動的吸振器15、およびTYPE-iiiの動的吸振器15を、それぞれ4つずつ用いたが、実施例1〜4の間で、3種類のタイプの動的吸振器15の位置関係を、互いに異ならせた。
比較例として、防音装置を有さない通常の車輪(比較例1)、動的吸振器15A〜15LのいずれもTYPE-iとしたもの(比較例2)、動的吸振器15A〜15LのいずれもTYPE-iiとしたもの(比較例3)、動的吸振器15A〜15LのいずれもTYPE-iiiとしたもの(比較例4)、および、防音装置3に代えて、特許文献2で採用されている防音リングを車輪2に装着したもの(比較例5)を用意した。
図8は、試験に用いた車輪転動音試験機の構成を示す概略図である。
この車輪転動音試験機21は、軸受23と、油圧ジャッキ24と、軌条輪25と、軸受26と、モータ27と、精密騒音計28と、周波数分析器29とを備えている。軸受23は、試験対象の車輪2(防音車輪1)に取り付けられた車軸22を回転が自在なように支持する。油圧ジャッキ24は、軸受23に取り付けられており、軸受23を下方に押しつける。軌条輪25は、車軸22を介して軸受23に支持された車輪2の外周部に当接して、車輪2を回転させる。軸受26は、軌条輪25に取り付けられた車軸22を支持する。モータ27は、軸受26に支持された車軸22を回転駆動する。精密騒音計28は、車輪2から発生する騒音を測定し、騒音に対応する電気信号を発生する。周波数分析器29には、精密騒音計28からの電気信号が入力される。周波数分析器29は、当該電気信号の周波数分析をする。
試験を行う際は、車輪2に取り付けられた車軸22と、軌条輪25に取り付けられた車軸22とは、平行にされ、油圧ジャッキ24の駆動により、車軸22を介して軸受23に支持された車輪2の外周面が、車軸22を介して軸受26に支持された軌条輪25の外周面に押しつけられ、この状態で、モータ27により軌条輪25が回転される。これにより、車輪2が回転される。
車輪2から300mm離した位置に、精密騒音計28を配置し、この車輪転動音試験機21で、実施例の防音車輪1、および比較例の車輪を回転させて、発生する騒音を、精密騒音計28で測定した。騒音測定時の軌条輪25の周速を、そのときの車輪2の回転速度とした。軌条輪25の周速は、モータ27の回転数と、軌条輪25の直径(この車輪転動音試験機21では、910mm)とから求めた。たとえば、モータ27の回転数が、1750rpmのとき、軌条輪25の周速は、300km/hであった。
騒音の測定は、精密騒音計28をFLAT特性(聴覚補正を加えない状態)とし、動特性をFASTとして行った。精密騒音計28による測定後、周波数分析器29により、入力された信号に基づき、騒音の周波数分析を行った。
図9は、騒音を分析する際に用いられる騒音の補正レベルを示す図である。測定された騒音について、図9のA特性による補正を加えた後、1/3オクターブバンド処理をし、周波数特性、およびオーバーオール(OverAll)値を求めた。結果を、図10〜図13に示す。
図10は、実施例1〜4、および比較例1について、1/3オクターブバンド中心周波数と、騒音レベルとの関係を示す図である。図11は、比較例1〜5について、1/3オクターブバンド中心周波数と、騒音レベルとの関係を示す図である。図10および図11に示す結果は、車輪2の回転速度(軌条輪25の周速)が200km/hのときのものである。図10および図11の右端付近に、オーバーオール値(O.A.)を示している。
図10から、実施例1〜4のいずれの防音車輪1も、2.0kHz、2.5kHz、および3.0kHz付近の騒音を、比較例1、すなわち、防音装置を有さない場合に比して、大幅に低減できていることがわかる。実施例1〜4の間では、大きな違いは見られない。すなわち、実施例1〜4で採用されたTYPE-i〜TYPE-iiiの動的吸振器15の配置による騒音低減効果の差は、ほとんどない。
これに対して、図11から明らかなように、比較例2〜4の車輪では、動的吸振器15の共振周波数のうち1水準の周波数付近の騒音しか低減できておらず、これ以外の周波数の騒音は低減できていない。比較例5の車輪は、少なくともオーバーオール値では、実施例1〜4の防音車輪1に比して、騒音低減効果が少ない。
図12は、実施例1〜4、および比較例1について、軌条輪25の周速と、騒音レベルとの関係を示す図である。図13は、比較例1〜5について、軌条輪25の周速と、騒音レベルとの関係を示す図である。図12および図13において、騒音レベルは、オーバーオール値である。
図12に示すように、実施例1〜4の防音車輪1では、比較例1の車輪、すなわち、防音装置を有さない車輪に比して、いずれも、騒音レベルの低減が達成されている。騒音の低減量は、軌条輪25の周速が130km/h以下の低速域では、5dB(A)以上であり、140km/h以上の高速域では、3dB(A)以上である。
一方、図13に示すように、比較例2〜5の車輪では、比較例1の車輪に比して、騒音の低減効果がほとんど認められない。
1:防音車輪、 2:車輪、 3、3A、3B:防音装置、 5:リム部、
6:内周面、 8、8A:溝、 10:固定リング、 10a:外周面、
11A:第1弾性体部、 11B:第2弾性体部、 12:付加質量部、
13A:第1弾性体片、 13B:第2弾性体片、 14:付加質量片、
15、15A〜15L、15X、15Y:動的吸振器、 18A、18B:突起

Claims (4)

  1. 車輪のリム部の内周面に防音装置を装着した鉄道車両用防音車輪において、
    前記防音装置は、
    前記リム部の前記内周面に周方向に沿って形成された溝に少なくとも外周部が嵌め込まれた固定リングであって、前記リム部に固定された固定リングと、
    前記固定リングの外周面に固着され、前記溝内に配置された第1弾性体部と、
    前記第1弾性体部の前記固定リングとは反対側に固着され、前記溝内に配置された付加質量部と、
    前記付加質量部の前記第1弾性体部とは反対側に固着され、前記溝内で前記溝の底との間に隙間を形成しないように設けられた第2弾性体部とを備え、
    前記第1弾性体部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の第1弾性体片を含み、
    前記第2弾性体部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の第2弾性体片を含み、
    前記付加質量部は、前記固定リングの周方向に互いに離隔した複数の付加質量片を含み、各付加質量片は、前記複数の第1弾性体片のいずれか、および前記複数の第2弾性体片のいずれかに固着されており、
    前記車輪が、複数の固有振動モードに対応する複数の固有振動数を有し、
    前記防音装置は、複数の動的吸振器であって、各動的吸振器が、前記付加質量片、および当該付加質量片に固着された前記第1および第2弾性体片を有する複数の動的吸振器を含み、
    前記複数の動的吸振器のうち、少なくとも1つの動的吸振器は、他の動的吸振器の共振周波数とは異なる共振周波数を有し、前記複数の動的吸振器のいずれの共振周波数も、前記複数の固有振動数のいずれかに一致し、
    前記固定リングは、接合部を有し、前記接合部は、前記固定リングの周方向に関して、前記固定リングにおいて前記接合部に対して一方側の部分と他方側の部分とを接合しており、
    前記第1および第2弾性体部ならびに前記付加質量部の幅は、前記固定リングの幅より狭く、前記第1および第2弾性体部ならびに前記付加質量部は、前記溝の内側壁から離間している、防音車輪。
  2. 請求項1に記載の防音車輪であって、
    前記第2弾性体部と前記溝の底との間に、スペーサ部材が設けられている、防音車輪。
  3. 請求項1または2に記載の防音車輪であって、
    隣接する前記動的吸振器同士の間に介在し、前記固定リングの外周面から突出する突起をさらに備えた、防音車輪。
  4. 請求項3に記載の防音車輪であって、
    前記突起の先端が、前記溝の底に接している、防音車輪。
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