JP7477768B2 - 鉄道車両用車輪 - Google Patents

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Description

本開示は、鉄道車両用の車輪に関する。
近年、鉄道車両の高速化に伴い、鉄道沿線の環境を保護する観点から、鉄道車両に関する騒音が問題となっている。鉄道車両が走行するときに発生する騒音は、鉄道車両のうち車体を騒音源とする車両上部騒音と、鉄道車両のうち車体よりも下方の構成部品を騒音源とする車両下部騒音とに大別される。
車両下部騒音には、台車が風を切るときに発生する空力音と、モータ等の機器が駆動する際に発生する機器音と、車輪及びレールが振動する際に発生する転動音とが含まれる。転動音は、車輪の回転に伴い、車輪の表面及びレールの表面に存在する微小な凹凸によって車輪及びレールが互いに加振し合うことで車輪及びレールそれぞれが振動し、これにより生じた疎密波が鉄道車両の周辺に伝搬することで発生するとされている。鉄道車両の走行速度が増加すると、車輪及びレールの加振力も増加するため、鉄道車両の走行時に発生する転動音は大きなものとなる。
転動音を低減するため、従来、車輪のリム部に防音装置を取り付けた防音車輪が知られている。例えば、特許文献1に開示されているように、防音車輪の防音装置は、車輪本体の固有振動数に一致する共振周波数を有する動吸振器を備える。特許文献1において、防音装置は、異なる共振周波数を有する複数種類の動吸振器を備えている。各動吸振器の共振周波数は、転動音に強く影響する複数の固有振動モードのうち、いずれかに対応するように設定される。これにより、複数の固有振動モードに対応する騒音を同時に低減して、車輪の振動に起因する転動音を大幅に低減することができる。
国際公開第2016/013181号
特許文献1の防音車輪では、車輪の円周方向に沿って複数の動吸振器が互いに離間して配置されている。さらに、これらの動吸振器の各々は、付加質量体と、複数の弾性体とを含む。すなわち、特許文献1の防音車輪は、多数の部品で構成されていることになる。部品構成数が増加すると、車輪の製造コストが増加する。
また、特許文献1の防音車輪では、複数の動吸振器をグループ分けし、例えば、付加質量体及び複数の弾性体の厚み(車輪本体の半径方向の寸法)をグループ間で変更することにより、対象とする車輪の固有振動モードをグループごとに異ならせている。グループ間における付加質量体及び複数の弾性体の厚みの違いは小さいため、この厚みの違いを一瞥して判別することは難しい。そのため、付加質量体及び弾性体の数、つまり部品構成数が増加するほど、これらの部品を手作業で配置する際に誤りが生じやすくなる。製造後の車輪では、部品の配置の誤りを外見上判断することは難しい。よって、転動音を低減するための部品の構成数は極力少ないことが好ましい。
本開示は、転動音の低減効果を確保しつつ、部品構成数を減少させることができる鉄道車両用の車輪を提供することを課題とする。
本開示に係る鉄道車輪は、車輪本体と、動吸振器と、を備える。車輪本体は、環状の板部と、リム部と、を含む。リム部は、板部の外周縁に接続される。リム部の内周面には、車輪の円周方向に沿う環状の溝が形成される。動吸振器は、溝内に配置される。動吸振器は、環状の第1付加質量体と、環状の第1弾性体と、環状の第2付加質量体と、環状の第2弾性体と、を含む。第1弾性体は、第1付加質量体の外周側に配置される。第2付加質量体は、第1弾性体の外周側に配置される。第2弾性体は、第2付加質量体の外周側に配置される。
本開示に係る鉄道車両用の車輪によれば、転動騒音の低減効果を確保しつつ、部品構成数を減少させることができる。
図1は、実施形態に係る車輪の縦断面図である。 図2は、図1に示す車輪に含まれる動吸振器の平面図である。 図3は、図1に示す車輪の部分拡大図である。 図4は、有限要素法による数値解析における比較例2における動吸振器を説明するための模式図である。 図5は、有限要素法による数値解析における比較例3における動吸振器を説明するための模式図である。 図6は、実施例1及び比較例1~3における等価放射パワー(Equivalent Radiation Power(ERP))を示すグラフである。 図7は、実施例2-1~2-6におけるERPを示すグラフである。 図8は、実施例3-1~3-3におけるERPを示すグラフである。 図9は、実施例4-1、実施例4-2、及び比較例4におけるERPの値を示すグラフである。
実施形態に係る鉄道車輪は、車輪本体と、動吸振器と、を備える。車輪本体は、環状の板部と、リム部と、を含む。リム部は、板部の外周縁に接続される。リム部の内周面には、鉄道車輪の円周方向に沿う環状の溝が形成される。動吸振器は、溝内に配置される。動吸振器は、環状の第1付加質量体と、環状の第1弾性体と、環状の第2付加質量体と、環状の第2弾性体と、を含む。第1弾性体は、第1付加質量体の外周側に配置される。第2付加質量体は、第1弾性体の外周側に配置される。第2弾性体は、第2付加質量体の外周側に配置される(第1の構成)。
第1の構成に係る鉄道車輪において、動吸振器は、それぞれ環状の第1付加質量体、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体を含んでいる。このように付加質量体及び弾性体の各々が環状である場合、車輪の円周方向に沿って付加質量体及び弾性体が互いに離間して配置されている場合と比較して、出現可能な動吸振器の固有振動の絶対数は小さくなる。そのため、動吸振器による転動音の低減効果は小さくなるとも考えられる。しかしながら、付加質量体及び弾性体の各々が環状であると、付加質量体に追従して変形する弾性体の変形量が増加する。すなわち、弾性体が車輪の円周方向に離間して配置されている場合、車輪本体の振動に伴って各弾性体が独立して変形するのに対し、第1の構成のように、第1及び第2弾性体がそれぞれ環状である場合、第1及び第2弾性体では隣接する部分同士が影響し合い、第1及び第2弾性体の各々が一体で大きく変形する。この第1及び第2弾性体の大変形により、車輪本体の振動エネルギーが大きく消費される。よって、車輪本体の振動に伴って発生する転動音の低減効果を確保することができる。
第1の構成によれば、第1付加質量体、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体は、動吸振器として作用する。すなわち、第1付加質量体、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体は、それぞれ車輪の半径方向に振動可能なように構成されている。そのため、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体の変形が阻害されにくく、転動音の大きな低減効果が得られる。
第1の構成に係る鉄道車輪では、第1付加質量体、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体がそれぞれ環状である。そのため、複数の付加質量体及び複数の弾性体を車輪の円周方向に沿って配列する場合と比較して、部品構成数を減少させることができる。
車輪の軸方向における第1付加質量体の寸法は、当該軸方向における第2付加質量体の寸法よりも大きくてもよい(第2の構成)。
第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体の各々は、全周にわたり溝の両側面と隙間を空けて溝内に配置されていることが好ましい(第3の構成)。
第3の構成によれば、第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体の各々と、溝の両側面との間に隙間が存在する。この場合、車輪の円周方向及び軸方向における第1弾性体、第2付加質量体、及び第2弾性体の変形がより阻害されにくくなる。そのため、転動音の低減効果の向上を期待することができる。
車輪の半径方向における第1弾性体の寸法と当該半径方向における第2弾性体の寸法との和と、当該半径方向における第2付加質量体の寸法との比は、1:1~1:3であることが好ましい(第4の構成)。
車輪の半径方向における第1付加質量体の寸法と当該半径方向における第2付加質量体の寸法との比は、1:0.5~1:2.0であることが好ましい(第5の構成)。
動吸振器は、溝の底面に接触していてもよい(第6の構成)。
第6の構成によれば、動吸振器は、車輪本体のリム部に設けられた溝の底面と接触している。これにより、車輪本体の振動が直接的に動吸振器に伝達されるため、動吸振器が積極的に振動し、弾性変形しやすくなる。よって、車輪本体の振動に伴って発生する転動音をより低減することができる。また、動吸振器を溝の底面に接触させることにより、車輪の回転に伴う遠心力により各付加質量体及び各弾性体に生じる負荷を低減することができるため、動吸振器の耐久性を向上させることができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
図1は、本実施形態に係る車輪10の縦断面図である。縦断面とは、車輪10の中心軸Xを含む断面をいう。以下、車輪10の中心軸Xが延びる方向を軸方向といい、車輪10の半径方向及び円周方向を単に半径方向及び円周方向という。
図1を参照して、車輪10は、鉄道車両に用いられる。車輪10は、例えば、時速10km~360kmで走行する鉄道車両に使用することができる。車輪10は、車輪本体1と、動吸振器2と、を備える。
車輪本体1は、概略円環板状をなす。車輪10の材質は、典型的には中・高炭素鋼である。車輪本体1は、例えば、JIS E5402-1で規定される鋼種で構成される車輪である。車輪本体1の直径は、例えば、774mm~860mmとすることができる。車輪本体1は、板部11と、ボス部12と、リム部13と、を含む。
板部11は、中心軸Xを軸心として、実質的に環状をなす。板部11の内周縁には、ボス部12が接続される。板部11の外周縁には、リム部13が接続される。ボス部12及びリム部13は、板部11に対し、軸方向の両側に突出している。すなわち、ボス部12及びリム部13の幅(軸方向の寸法)は、板部11の幅(軸方向の寸法)よりも大きい。
ボス部12は、車輪本体1の内周部を構成する。ボス部12は、中心軸Xを軸心とする概略円筒状をなす。ボス部12には、鉄道車両の車軸(図示略)が挿入される。
リム部13は、車輪本体1の外周部を構成する。リム部13は、踏面131及びフランジ132を外周側に有する。踏面131は、鉄道車両が走行するレール(図示略)の頂面に接触する面である。フランジ132は、軸方向において踏面131の一方側に配置される。フランジ132は、踏面131よりも半径方向の外側に突出する。
リム部13の内周面には、円周方向に沿って環状の溝133が形成されている。リム部13の内周面は、半径方向において、踏面131及びフランジ132の反対側に位置する面である。本実施形態の例では、溝133は、板部11に対してフランジ132と同じ側に配置されている。ただし、溝133は、板部11を挟んでフランジ132の反対側に配置されていてもよい。溝133には、環状の動吸振器2が嵌められている。
図2は、動吸振器2を軸方向に沿って見た図(平面図)である。図2に示すように、動吸振器2は、第1付加質量体21と、第1弾性体22と、第2付加質量体23と、第2弾性体24と、を含む。第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、それぞれ環状を有している。第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、車輪本体1(図1)と実質的に同軸に配置される。第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、半径方向の内側から外側に向かってこの順で積層されている。
第1付加質量体21は、全周にわたって途切れることなく連続する円環状を有している。第1付加質量体21は、通常、金属で構成されている。第1付加質量体21は、例えば鋼で構成される。特に限定されるものではないが、第1付加質量体21は、例えば、SUS304で構成することができる。
第1弾性体22は、全周にわたって途切れることなく連続する円環状を有している。第1弾性体22は、第1付加質量体21の外周側に配置されている。第1弾性体22の内周面は、第1付加質量体21の外周面に接触している。第1弾性体22の内周面は、第1付加質量体21の外周面に接着されていてもよい。
第1弾性体22は、例えば、ゴム硬度がHs40以上のゴム材料で構成することができる。第1弾性体22は、例えば、ブチルゴムに代表される防振ゴムで構成される。ただし、第1弾性体22は、ゴム材料以外の材料で構成されていてもよい。
第2付加質量体23は、全周にわたって途切れることなく連続する円環状を有している。第2付加質量体23は、第1弾性体22の外周側に配置されている。第2付加質量体23の内周面は、第1弾性体22の外周面に接触している。第2付加質量体23の内周面は、第1弾性体22の外周面に接着されていてもよい。
第2付加質量体23は、第1付加質量体21と同様、通常、金属で構成されている。第2付加質量体23は、例えばSUS304等といった鋼で構成される。典型的には、第2付加質量体23の材質は、第1付加質量体21の材質と同一である。ただし、第2付加質量体23の材質が第1付加質量体21の材質と異なっていてもよい。
第2弾性体24は、全周にわたって途切れることなく連続する円環状を有している。第2弾性体24は、第2付加質量体23の外周側に配置されている。第2弾性体24の内周面は、第2付加質量体23の外周面に接触している。第2弾性体24の内周面は、第2付加質量体23の外周面に接着されていてもよい。
第2弾性体24は、第1弾性体22と同様に、例えば、ゴム硬度がHs40以上のゴム材料で構成することができる。第2弾性体24は、例えば、ブチルゴムに代表される防振ゴムで構成される。第2弾性体24の材質は、通常、第1弾性体22の材質と同一である。ただし、第2弾性体24の材質が第1弾性体22の材質と異なっていてもよい。第2弾性体24は、ゴム材料以外の材料で構成されていてもよい。
図3は、図1に示す車輪10の部分拡大図である。図3では、リム部13の溝133付近を拡大して示す。
図3を参照して、動吸振器2は、リム部13の溝133内に配置される。動吸振器2は、溝133の底面133aに接触して配置されている。溝133内には、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24が収容されている。また、溝133内には、第1付加質量体21の少なくとも一部が配置されている。
本実施形態の例において、溝133の両側面は階段状をなす。すなわち、溝133は、幅(軸方向の寸法)の異なる外周部133b及び内周部133cを含んでいる。外周部133bの幅w1は、内周部133cの幅w2よりも小さい。
溝133の外周部133b内には、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24が配置される。第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の幅(軸方向の寸法)w3は、外周部133bの幅w1よりも小さい。これにより、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の各々は、その全周にわたり、溝133の両側面との間に隙間を空けて溝133に配置されることになる。本実施形態では、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、実質的に同一の幅w3を有する。しかしながら、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の幅が互いに異なっていてもよい。
第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、第1付加質量体21により、半径方向外側に向かって若干押圧されている。ただし、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の各々は、溝133内で振動可能となっている。すなわち、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の各々は、車輪本体1が振動したとき、車輪本体1と一体としてではなく、車輪本体1と独立して半径方向に振動することができる。本実施形態の例では、動吸振器2に車輪本体1の振動が直接的に伝達されるように、最外周の第2弾性体24が溝133の底面133aに接触している。第2弾性体24の外周面は、溝133の底面133aに固着されていてもよい。ただし、第2弾性体24は、溝133の底面133aに直接接触していなくてもよい。例えば、第2弾性体24と溝133の底面133aとの間にスペーサ(図示略)を介在させることもできる。
溝133の内周部133cには、第1付加質量体21が配置されている。第1付加質量体21の幅(軸方向の寸法)w4は、外周部133b内における第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の幅w3よりも大きい。第1付加質量体21の幅w4は、内周部133cの幅w2と実質的に同一である。そのため、第1付加質量体21は、溝133の両側面に接触している。
本実施形態の例において、第1付加質量体21の内周面は、リム部13の内周面よりも半径方向内側に突出している。ただし、第1付加質量体21の内周面は、リム部13の内周面と実質的に面一になるように配置されていてもよい。第1付加質量体21の外周面は、溝133のうち、内周部133cと外周部133bとを接続する接続面133dに接触している。これにより、溝133の外周部133bが実質的に密閉される。そのため、外周部133b内の部品、すなわち第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の滑落を防止することができる。
第1付加質量体21は、半径方向における寸法である厚みt21を有する。第2付加質量体23は、半径方向における寸法である厚みt23を有する。第1付加質量体21の厚みt21は、第2付加質量体23の厚みt23と実質的に同一であってもよいし、第2付加質量体23の厚みt23と異なっていてもよい。第1付加質量体21の厚みt21と、第2付加質量体23の厚みt23との比(t21:t23)は、好ましくは1:0.5~1:2.0であり、より好ましくは1:0.6~1:1.8である。言い換えると、第2付加質量体23の厚みt23は、第1付加質量体21の厚みt21の0.5倍以上、2.0倍以下であることが好ましく、第1付加質量体21の厚みt21の0.6倍以上、1.8倍以下であることがより好ましい。第1付加質量体21の厚みt21は、例えば、3.2mm以上、10.0mm以下の範囲で設定することができる。同様に、第2付加質量体23の厚みt23は、3.2mm以上、10.0mm以下の範囲で設定することができる。
特に、第1付加質量体21の厚みt21は、弾性体22,24の特性に合わせて設定されることが好ましい。第1付加質量体21の厚みt21は、例えば、3.2mm以上、10.0mm以下の範囲で自由に変更することができる。例えば、ゴム硬度が比較的小さいゴム材料で弾性体22,24が構成されている場合、第1付加質量体21の厚みt21は小さい方が好ましい。一方、ゴム硬度が比較的大きいゴム材料で弾性体22,24が構成されている場合、第1付加質量体21の厚みt21は大きい方が好ましい。
第1弾性体22は、半径方向における寸法である厚みt22を有する。第2弾性体24は、半径方向における寸法である厚みt24を有する。第1弾性体22の厚みt22及び第2弾性体24の厚みt24は、第2付加質量体23の厚みt23との関係で設定することができる。例えば、第1弾性体22の厚みt22と第2弾性体24の厚みt24との和と、第2付加質量体23の厚みt23との比((t22+t24):t23)は、1:1~1:3であることが好ましい。言い換えると、第2付加質量体23の厚みt23は、好ましくは、第1弾性体22の厚みt22と第2弾性体24の厚みt24の和:t22+t24の1.0倍以上、3.0倍以下である。第1弾性体22の厚みt22は、第2弾性体24の厚みt24と同一であることが好ましいが、第2弾性体24の厚みt24と異なっていてもよい。なお、厚みt22,t24は、動吸振器2が車輪本体1に取り付けられる前、すなわち弾性体22,24が押圧状態にないときの弾性体22,24の厚みである。
第1弾性体22の厚みt22は、例えば、0.9mm以上、1.7mm以下の範囲で設定されることが好ましい。同様に、第2弾性体24の厚みt24は、例えば、0.9mm以上、1.7mm以下の範囲で設定されることが好ましい。ただし、第1弾性体22の厚みt22及び第2弾性体24の厚みt24は、車輪本体1の直径φとの関係で適宜調整することができる。特に限定されるものではないが、車輪本体1の直径φと、第1弾性体22の厚みt22及び第2弾性体24の厚みt24それぞれとの比(φ:t22及びφ:t24)は、例えば、1:1×10-3~1:2×10-3とすることができる。言い換えると、車輪本体1の直径φに対する第1弾性体22の厚みt22及び第2弾性体24の厚みt24それぞれの比(t22/φ及びt24/φ)は、1×10-3~2×10-3とすることができる。
[効果]
本実施形態に係る車輪10では、車輪本体1に、車輪本体1の振動を吸収する動吸振器2が取り付けられている。動吸振器2は、第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24を含んでいる。車輪本体1が振動するとき、付加質量体21,23及び弾性体22,24において半径方向の並進運動が生じることにより、車輪本体1の振動に伴って発生する転動音が低減される。また、車輪本体1が振動するとき、付加質量体21,23の弾性変形が生じ、この弾性変形に追従して弾性体22,24が変形することで車輪本体1の振動エネルギーが消費されるため、転動音が低減される。本実施形態では、弾性体22,24の各々が環状をなすことにより、付加質量体21,23に追従して変形する弾性体22,24の変形量を増加させることができる。これにより、車輪本体1の振動エネルギーの消費が大きくなるため、車輪本体1の振動に伴って発生する転動音を効果的に低減することができる。よって、動吸振器2の固有振動の絶対数が比較的少ないにもかかわらず、転動音の低減効果を確保することができる。
本実施形態に係る車輪10において、付加質量体21,23及び弾性体22,24の各々は、車輪本体1と独立して半径方向に振動することができる。すなわち、車輪10には、動吸振器2に含まれる付加質量体21,23及び弾性体22,24を半径方向に実質的に拘束する部品がない。そのため、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の変形が阻害されにくく、転動音の大きな低減効果を得ることができる。
本実施形態に係る車輪10において、動吸振器2に含まれる付加質量体21,23及び弾性体22,24は、それぞれ環状である。そのため、複数の付加質量体及び複数の弾性体が円周方向に沿って配列される従来の鉄道用車輪と比較して、部品構成数を減少させることができる。これにより、動吸振器2を含む車輪10を製造する際、部品の配置の誤りに起因する不良品の発生を抑制することができる。また、車輪10の製造コストを低減することができる。
本実施形態に係る車輪10において、動吸振器2を車輪本体1に設置する際には、例えば、棒状の第1付加質量体21及び第2付加質量体23をC字状に湾曲させた後、環状の溝を設けた金型を用い、付加質量体21,23及び弾性体22,24を積層する。すなわち、第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24を金型の溝内で積層し、これらを一体化する。例えば、弾性体22,24がブチルゴム等のゴム材料で構成されている場合には、金型を加熱処理し、第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24を加硫接着することにより、これらを一体化することができる。その後、一体化された第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24を車輪本体1のリム部13に設けられた溝133に嵌め込みながら、その端部同士を溶接等によって接合することにより、動吸振器2が車輪本体1に設置される。積層前の付加質量体21,23及び弾性体22,24は、それぞれ、全長にわたって連続しており、途中で分割されていない。そのため、動吸振器2を車輪本体1に設置する際、付加質量体21,23及び弾性体22,24の配置の誤りが生じにくい。特に、弾性体22,24の材質及び厚みを同一とした場合には、弾性体22,24を区別する必要がないため、弾性体22,24の取り違いが生じなくなる。よって、本実施形態に係る車輪10によれば、動吸振器2を構成する部品の配置の誤りに起因して、車輪10の製造不良が発生するのを抑制することができる。
本実施形態に係る車輪10では、動吸振器2が動吸振器として作用することを主軸とせず、動吸振器としての作用と、弾性体22,24の大変形による作用との総合の作用により、転動音を低減させている。すなわち、本実施形態では、環状の弾性体22,24を大きく変形させることにより、転動音の低減効果を向上させている。そのため、動吸振器2の固有振動数を必ずしも車輪本体1の固有振動数に一致させる必要がない。よって、動吸振器2の各部の寸法を目的の固有振動数を得るために厳密に設定する必要がなく、動吸振器2を簡易に作製することができる。
一般に、鉄道車両用の車輪を長期にわたって使用すると、車輪本体の質量が摩耗等によって変化し、車輪本体の質量及び剛性で決定される車輪本体の固有振動数も変化する。車輪本体の固有振動数と、車輪本体に取り付けられる動吸振器の固有振動数とを一致させていた場合、車輪本体の固有振動数の変化に伴い、動吸振器による車輪本体の振動低減効果が低下する。これに対して、本実施形態に係る車輪10では、上述したように、動吸振器2の固有振動数を必ずしも車輪本体1の固有振動数に一致させる必要がない。そのため、車輪本体1の質量が摩耗等によって変化し、車輪本体1の固有振動数が変化したとしても、動吸振器2による振動低減効果への影響が小さい。したがって、長期にわたり、安定した転動音の低減効果を得ることができる。
本実施形態において、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、車輪本体1のリム部13に設けられた溝133内に収容されている。第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の各々は、溝133の両側面との間に隙間を空けて配置されている。そのため、溝133内において、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24が過剰に拘束されることがない。よって、車輪本体1が振動したとき、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24は、半径方向だけでなく、円周方向及び軸方向にも若干変形することができる。よって、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の変形がより阻害されにくくなるため、転動音の低減効果の向上を期待することができる。
本実施形態において、第1弾性体22の厚みt22と第2弾性体24の厚みt24の和と、第2付加質量体23の厚みt23との比((t22+t24):t23)は、好ましくは1:1~1:3に設定される。これにより、転動音をより効果的に低減することができる。また、車輪10の製造容易性も確保することができる。
本実施形態において、第1付加質量体21の厚みt21と、第2付加質量体23の厚みt21との比(t21:t23)は、好ましくは1:0.5~1:2.0に設定される。このように付加質量体21,23の厚みt21,t23を調整することにより、転動音をより効果的に低減することができる。
例えば、第1付加質量体21の厚みt21を小さくすると、第1付加質量体21の剛性が低下する。そのため、第1付加質量体21の変形量を増加させることができる。この場合、第1付加質量体21の変形に追従する弾性体22,24の変形量が増加するため、転動音の低減効果を向上させることができる。特に、ゴム硬度が比較的小さいゴム材料で弾性体22,24が構成される場合には、第1付加質量体21の厚みt21を小さくすることが好ましい。
一方、第1付加質量体21の厚みt21を大きくすると、第1付加質量体21の質量が増加し、第1付加質量体21の剛性が増加する。この場合、第1付加質量体21から弾性体22,24に作用する力が増加し、弾性体22,24の変形量を増加させることができる。そのため、転動音の低減効果を向上させることができる。特に、ゴム硬度が比較的大きいゴム材料で弾性体22,24が構成される場合には、弾性体22,24に作用する力を保持するため、第1付加質量体21の厚みt21を大きくすることが好ましい。
本実施形態において、動吸振器2は、溝133の底面133aに接触している。より詳細には、環状の動吸振器2を構成する部品のうち、最外周に配置される第2弾性体24の外周面が溝133の底面133aに接触している。これにより、車輪本体1の振動が直接的に動吸振器2に伝達されるため、動吸振器2に含まれる付加質量体21,23及び弾性体22,24がそれぞれ積極的に振動し、弾性変形しやすくなる。よって、車輪本体1の振動に伴って発生する転動音をより低減することができる。また、動吸振器2を溝133の底面133aに接触させることにより、車輪10の回転に伴う遠心力で付加質量体21,23及び弾性体22,24に生じる負荷を低減することができる。そのため、動吸振器2の耐久性を向上させることができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、車輪本体1のリム部13には、異なる幅w1,w2を有する外周部133b及び内周部133cを有する溝133が形成されている。しかしながら、溝133の形状は、これに限定されるものではない。例えば、溝133の幅(軸方向の寸法)は、全体にわたって一定であってもよい。
上記実施形態に係る車輪10において、動吸振器2は、第1付加質量体21、第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の4層で構成されている。しかしながら、動吸振器2の層数は、適宜増加させることができる。例えば、環状の付加質量体及び環状の弾性体を交互に6層以上積層して、動吸振器2を形成することもできる。環状の付加質量体及び環状の弾性体の層数は、8以下であることが好ましい。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
本開示に係る車輪の効果を確認するため、第1実施例として、市販の汎用構造解析ソフトウェア(MSC Nastran、MSC Software社製)を用い、有限要素法による数値解析(FEM解析)を実施した。本解析では、上記実施形態に係る車輪10(図1及び図2)と実質的に同じ形状の解析モデル(実施例1)を作成した。
本解析では、車輪本体1の踏面131の中央に半径方向の加振力を与え、1Hzごとに等価放射パワー(Equivalent Radiation Power(ERP))を算出した。ERPは、構造物表面の要素面積ΔSと、その面の法線方向速度Vnから得られる音響放射パワーであり、以下の式(1)で算出される。このERPの値が小さいほど、車輪から発生する転動音が小さいといえる。
Figure 0007477768000001
上記式において、αは、解析手法により変化する係数であり、本解析では1/2を使用した。ERPRLFは放射損失係数、ERPPHOは流体密度、ERPは、流体中の音速を示す。本解析では、15℃、1気圧条件下を想定した数値とした。
実施例1との比較のため、車輪10と異なる車輪形状(比較例1~3)について、上記と同様の解析を実施した。
比較例1の車輪形状は、実施例1の車輪形状から動吸振器2を取り除いたものである。すなわち、比較例1の車輪は、動吸振器を有しない車輪(車輪単体)である。
比較例2及び比較例3の車輪形状は、動吸振器の構成において、実施例1の車輪形状と異なる。図4は、比較例2における動吸振器を説明するための模式図である。図4に示すように、比較例2では、固定リング21Aの円周方向に沿い、第1動吸振器2a、第2動吸振器2b、第3動吸振器2c、及び第4動吸振器2dが順番に配置されている。すなわち、比較例2では、実施例1の動吸振器2に代えて、固定リング21A及び4種類の動吸振器2a~2dが設けられている。
比較例2において、動吸振器2a~2dの各々は、付加質量体と、この付加質量体の半径方向両側に設けられた弾性体とを含む。動吸振器2a~2dの第1弾性体22a~22dは、車輪本体1の複数の固有振動モードに対応して動吸振器2a~2dごとに異なる固有振動数を出現させるため、それぞれ異なる厚み(半径方向の寸法)を有する。同様に、動吸振器2a~2dの付加質量体23a~23dは、動吸振器2a~2dごとに異なる固有振動数を出現させるため、それぞれ異なる厚み(半径方向の寸法)を有する。動吸振器2a~2dの第2弾性体24a~24dも、動吸振器2a~2dごとに異なる固有振動数を出現させるため、それぞれ異なる厚み(半径方向の寸法)を有する。
図5は、比較例3における動吸振器を説明するための模式図である。図5に示すように、比較例3の車輪形状は、比較例2と同様の車輪形状を有する。ただし、比較例2では、第1動吸振器2a、第2動吸振器2b、第3動吸振器2c、及び第4動吸振器2dが順番に円周方向に並べられていたのに対し、比較例3では、第4動吸振器2dのみが円周方向に並べられている。なお、実施例1における第1弾性体22、第2付加質量体23、及び第2弾性体24の厚みも、第4動吸振器2dにおける第1弾性体22d、付加質量体23d、及び第2弾性体24dと同一である。実施例1において、第1付加質量体21の厚みは6.6mmとした。
図6は、実施例1及び比較例1~3におけるERPを示すグラフである。図6では、転動音の寄与が大きい周波数帯域(2000~5000Hz)における実施例1及び比較例1~3のERPを示す。また、比較例1のERPに対する実施例1及び各比較例のERPの比(比較例1のERPを1としたときの実施例1及び各比較例のERPの相対値)を表1に示す。
図6からわかるように、実施例1、並びに比較例2及び3では、車輪単体である比較例1と比べて、全体的にERPが小さくなっている。図6に示すように、実施例1のERPは、比較例2及び3のERPと同程度小さくなっている。また、表1からわかるように、動吸振器2を環状とした実施例1では、複数の動吸振器2dを円周方向に沿って配置した比較例3よりも、全体としてERPが小さくなっている。実施例1では、例えば2300Hz等、円周方向に沿って4種類の動吸振器2a~2dを並べ、複数の固有振動数を出現させる比較例2よりもERPが小さくなる周波数帯域も存在する。よって、動吸振器を環状とした場合であっても、複数の動吸振器を円周方向に沿って配置し、動吸振器ごとに固有振動数を出現させる場合と同程度の転動音の低減効果を発揮できるといえる。
Figure 0007477768000002
[第2実施例]
第2実施例として、実施例1と同様の車輪形状について、第2付加質量体23の厚みt23、第1弾性体22の厚みt22、及び第2弾性体24の厚みt24を変更しながら、上記と同様の解析を実施した。本実施例では、第1弾性体22の厚みt22と第2弾性体24の厚みt24とを同一とし、弾性体22,24の厚みの和に対する第2付加質量体23の厚みの比:t23/(t22+t24)と、ERPとの関係を調査した。本実施例(実施例2-1~2-6)における寸法条件を表2に示す。
Figure 0007477768000003
図7は、実施例2-1~2-6におけるERPを示すグラフである。図7では、比較のため、第1実施例における比較例1のERPも併せて表示している。また、比較例1のERPに対する実施例2-1~2-6のERPの比(比較例1のERPを1としたときの実施例2-1~2-6のERPの相対値)を表3に示す。
Figure 0007477768000004
図7に示すように、実施例2-1~2-6では、車輪単体である比較例1と比べて、全体的にERPが小さくなっている。表2及び表3からわかるように、弾性体22,24の厚みの和に対する第2付加質量体23の厚みの比:t23/(t22+t24)が大きくなるにつれて、ERPが小さくなる傾向にある。特に、t23/(t22+t24)が1.0以上である実施例2-2では、2300Hz及び2450HzにおいてERPが有意に低下しており、t23/(t22+t24)がさらに大きい実施例2-3~2-6では、表3に示す全ての周波数においてERPが顕著に低下している。よって、実施例2-2~2-6では、転動音が効果的に低減されているといえる。一方、t23/(t22+t24)が0.8である実施例2-1では、実施例2-2~2-6と比較するとERPの低下の程度が小さい。このことから、弾性体22,24の厚みの和に対する付加質量体23の厚みの比:t23/(t22+t24)は、1.0以上であることが好ましい。また、弾性体22,24の厚みt22,t24は、それぞれ、1.7mm以下であることが好ましい。実施例2-1及び2-2の結果より、弾性体22,24の厚みt22,t24を1.7mmよりも大きくしたとしても、転動音の低減効果のさらなる向上は期待できず、弾性体22,24の厚みt22,t24を大きくすることで熱による弾性体22,24の劣化が懸念されるためである。
表2及び表3からわかるように、t23/(t22+t24)が3.0である実施例2-6では、2300Hz、2450Hz、及び3000HzにおいてERPが最も低く、転動音の低減効果が最も高くなっている。ただし、t23/(t22+t24)をこれよりも大きく設定すると、第2付加質量体23の厚みt23に対して、弾性体22,24の厚みt22,t24を非常に小さくする必要があり、動吸振器2の製造が困難になる。そのため、弾性体22,24の厚みの和に対する付加質量体23の厚みの比:t23/(t22+t24)は、3.0以下であることが好ましい。また、弾性体22,24の厚みt22,t24は、それぞれ、0.9mm以上であることが好ましい。
本実施例の結果より、弾性体22,24の厚みの和:t22+t24と、付加質量体23の厚みt23との比は、1:1~1:3の範囲に設定されることが好ましいといえる。
[第3実施例]
第3実施例として、実施例1と同様の車輪形状について、第1付加質量体21の厚みt21と、第2付加質量体23の厚みt23との比を変更しながら、上記と同様の解析を実施した。本実施例では、付加質量体21,23の材質を同一とし、第2付加質量体23の厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の比:t21/t23と、ERPとの関係を調査した。本実施例(実施例3-1~3-3)における厚み条件を表4に示す。表4では、第2付加質量体23の厚みt23を1とし、この厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の相対値(厚み比)を示している。
Figure 0007477768000005
図8は、実施例3-1~3-3におけるERPを示すグラフである。図8では、比較のため、第1実施例における比較例1のERPも併せて表示している。第3実施例では、第1付加質量体21及び第2付加質量体23の厚みt21,t23において、実施例3-1~3-3のそれぞれと同じ条件を有する実施例3-4~3-6についても同様の解析を行った。実施例3-1~3-3及び実施例3-4~3-6の双方において、弾性体22,24はゴム材料で構成されているが、弾性体22,24のゴム硬度は、実施例3-1~3-3で小さく、実施例3-4~3-6で大きい。実施例3-1~3-3における弾性体22,24のゴム硬度はHs42であり、実施例3-4~3-6における弾性体22,24のゴム硬度はHs60である。比較例1のERPに対する実施例3-1~3-6のERPの比(比較例1のERPを1としたときの実施例3-1~3-6のERPの相対値)を表5に示す。
Figure 0007477768000006
図8及び表5に示すように、第2付加質量体23の厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の比:t21/t23が0.5以上、2.0以下である実施例3-1~3-3では、車輪単体である比較例1と比較して、全体的にERPが小さくなっている。実施例3-1~3-3と同様、t21/t23が0.5以上、2.0以下である実施例3-4~3-6でも、比較例1と比較して、全体的にERPが小さくなっている。よって、第2付加質量体23の厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の比:t21/t23は、0.5以上、2.0以下であることが好ましい。
表4及び表5からわかるように、弾性体22,24のゴム硬度が小さい実施例3-1~3-3では、第2付加質量体23の厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の比:t21/t23が小さいほど、ERPが小さくなる傾向にある。一方、弾性体22,24のゴム硬度が大きい実施例3-4~3-6では、t21/t23が大きいほど、ERPが小さくなる傾向にある。このことから、弾性体22,24のゴム硬度が小さい場合には、第2付加質量体23の厚みt23に対する第1付加質量体21の厚みt21の比:t21/t23が小さいほど転動音の低減効果が向上するといえる。また、弾性体22,24のゴム硬度が大きい場合には、t21/t23が大きいほど転動音の低減効果が向上するといえる。
[第4実施例]
第4実施例として、実施例1と同様の車輪形状について、動吸振器の層数、すなわち、動吸振器2に含まれる弾性体及び付加質量体の合計の個数を変更しながら、上記と同様の解析を実施した。本実施例では、上記実施形態と同様の4層構成の動吸振器2(実施例4-1)、及び6層構成の動吸振器2(実施例4-2)について、その効果を検証した。比較のため、2層構成の動吸振器2(比較例4)についてもその効果を検証した。
図9は、実施例4-1、実施例4-2、及び比較例4におけるERPを示すグラフである。図9では、比較のため、第1実施例における比較例1のERPも併せて表示している。また、比較例1のERPに対する実施例4-1、実施例4-2、及び比較例4のERPの比(比較例1のERPを1としたときの実施例4-1、実施例4-2、及び比較例4のERPの相対値)を表6に示す。
Figure 0007477768000007
図9及び表6に示すように、実施例4-1及び実施例4-2では、比較例1及び比較例4に比べてERPが有意に小さくなっている。このことから、動吸振器2が4層以上で構成されていれば、転動音の低減効果を十分に確保することができるといえる。また、動吸振器2が4層構成の実施例4-1では、付加質量体及び弾性体を1つずつ増加させ、動吸振器2を6層構成とした実施例4-2と比較し、2300Hz、3000Hz、及び3150HzでERPが小さくなっている。よって、動吸振器2を4層構成とすることにより、より優れた転動音の低減効果を得ることができる。
10:車輪
1:車輪本体
11:板部
13:リム部
133:溝
133a:底面
2:動吸振器
21,23:付加質量体
22,24:弾性体

Claims (5)

  1. 鉄道車両用の車輪であって、
    環状の板部と、前記板部の外周縁に接続され、前記車輪の円周方向に沿う環状の溝が内周面に形成されるリム部と、を含む車輪本体と、
    前記溝内に配置される動吸振器であって、環状の第1付加質量体と、前記第1付加質量体の外周側に配置される環状の第1弾性体と、前記第1弾性体の外周側に配置される環状の第2付加質量体と、前記第2付加質量体の外周側に配置される環状の第2弾性体と、を含む前記動吸振器と、
    を備え
    前記車輪の半径方向における前記第1弾性体の寸法と前記半径方向における前記第2弾性体の寸法との和と、前記半径方向における前記第2付加質量体の寸法との比は、1:1~1:3である、車輪。
  2. 請求項1に記載の車輪であって、
    前記車輪の軸方向における前記第1付加質量体の寸法は、前記軸方向における前記第2付加質量体の寸法よりも大きい、車輪。
  3. 請求項1又は2に記載の車輪であって、
    前記第1弾性体、前記第2付加質量体、及び前記第2弾性体の各々は、全周にわたり前記溝の両側面と隙間を空けて前記溝内に配置されている、車輪。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の車輪であって、
    前記半径方向における前記第1付加質量体の寸法と前記半径方向における前記第2付加質量体の寸法との比は、1:0.5~1:2.0である、車輪。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の車輪であって、
    前記動吸振器は、前記溝の底面に接触している、車輪。
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