JP7410389B2 - 防音車輪及び車輪ユニット - Google Patents

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Description

本開示は、鉄道車両用の防音車輪、及びこれを用いた車輪ユニットに関する。
鉄道車両の走行時に発生する騒音は、鉄道沿線環境において解決すべき最優先課題の1つである。鉄道車両の走行時には、例えば、車輪の転動騒音が発生する。すなわち、表面に微細な凹凸を有するレール上を、同じく表面に微細な凹凸を有する車輪が転動することにより、車輪及びレールが加振され、車輪及びレールそれぞれが振動することにより、空気の圧力変動が生じた結果、騒音が発生する。
車輪の振動に伴って発生する転動騒音を低減するため、従来、車輪のリム部に防音装置を取り付けた防音車輪が知られている。例えば、特許文献1に開示されているように、防音車輪の防音装置は、車輪本体の固有振動数に一致する共振周波数を有する動吸振器を備える。特許文献1において、防音装置は、異なる共振周波数を有する複数種類の動吸振器を備えている。各動吸振器の共振周波数は、転動騒音に強く影響する複数の固有振動モードのうち、いずれかに対応するように設定される。これにより、複数の固有振動モードに対応する騒音を同時に低減して、車輪の振動に起因する転動騒音を大幅に低減することができる。
鉄道車両の制動装置としてディスクブレーキシステムが用いられる場合、鉄道車両の走行時には、このディスクブレーキシステムに起因する空力騒音も発生する。
ディスクブレーキシステムでは、車軸に固定されたディスク状の被取付体(例えば車輪)に、ブレーキディスクが取り付けられる。このブレーキディスクの摺動面に対してブレーキライニングが押し付けられることにより、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間に摩擦が発生して鉄道車両が制動される。一般に、ブレーキディスクの裏面には、複数のフィンが放射状に設けられている。これにより、ブレーキディスクと被取付体との間に放射状の通気路が複数形成される。
放射状の通気路は、ブレーキディスク及び被取付体の回転に伴い、ブレーキディスクの内周側から外周側に向かって空気を通過させる。これにより、鉄道車両の制動時に生じる摩擦熱が放散される。しかしながら、通気路を通過した空気がブレーキディスクと被取付体との隙間から放出されることにより、空力騒音が発生する。特に、ブレーキディスク及び被取付体が高速で回転しているときには、ブレーキディスクと被取付体との隙間から大量の空気が放出されるため、空力騒音が増大する。
このような空力騒音を低減するため、特許文献2では、ブレーキディスクの裏面において、円周方向に隣り合うフィン同士を連結する連結部(横リブ)を設ける技術が提案されている。この横リブにより、隣り合うフィンによって画定される各通気路において、断面積が最小となる部分が形成される。特許文献2によれば、通気路の最小断面積の総和を18000mm以下とすることで、高速走行時における空力騒音を低減することができる。
しかしながら、特許文献2で提案されているように、ブレーキディスクに横リブを設けた場合、通気路内における空気の流量が減少してブレーキディスクの冷却性能が低下する。また、ブレーキディスクに横リブを設けることにより、ブレーキディスクの剛性が大きくなる。そのため、ブレーキディスクの熱膨張に伴う変形や、ブレーキディスクを被取付体に締結するために用いられるボルトへの応力負荷が増大し、ブレーキディスク及びボルトの耐久性が低下する可能性がある。さらに、横リブを追加することにより、ブレーキディスクの重量も増加する。
これに対して、特許文献3では、ブレーキディスクの外周面と、被取付体である車輪のリム部との間に形成される隙間の大きさを調整する技術が提案されている。すなわち、特許文献3において、ブレーキディスクの外周面とリム部との隙間の円周方向に沿った断面積の最小値は、2500mm以上、7000mm以下に設定されている。このようにすることで、ブレーキディスクに横リブを追加することなく、空力騒音を低減することができる。
特許文献4では、ブレーキディスクの断面視で、ブレーキディスクの外周面の少なくとも一部は、摺動面との交点を起点として車輪のリム部に沿う形状に形成されている。これにより、ブレーキディスクの外周面と車輪のリム部との隙間から放出される空気の流れ方向がリム部に沿うように調整され、当該空気がブレーキディスクの摺動面上を半径方向外側に流れる空気と小さな角度で合流する。そのため、ブレーキディスクの外周面とリム部との隙間から放出される空気と、ブレーキディスクの摺動面上を流れる空気との合流点における空気の流れの方向変化が極小化する。よって、ブレーキディスクに横リブを追加することなく、空力騒音を低減することができる。
国際公開第2016/013181号 特開2007-205428号公報 国際公開第2015/122146号 国際公開第2015/122148号
特許文献1に開示される防音車輪は、車輪の転動騒音を対象としたものである。当該防音車輪では、車輪の振動に伴って発生する転動騒音を低減することはできるものの、ブレーキディスクと車輪との間を通過する空気によって発生する空力騒音を低減することは難しい。
一方、特許文献3及び4に開示される技術は、空力騒音を対象としたものである。これらの技術では、ブレーキディスクと車輪との間を通過する空気によって発生する空力騒音を低減することはできるものの、車輪の振動に伴って発生する転動騒音を低減することは難しい。
特許文献3の技術によれば、ブレーキディスクに横リブを追加することなく、空力騒音を低減することができる。しかしながら、特許文献3のように、ブレーキディスクの外周面と車輪のリム部との間に形成される隙間を縮小するためには、例えば、ブレーキディスクの半径を拡大する必要がある。すなわち、空力騒音の低減を実現するためにブレーキディスクのサイズが制限されることになり、ブレーキディスクの設計自由度が低下する。
特許文献4の技術によれば、ブレーキディスクに横リブを追加することなく、空力騒音を低減することができる。しかしながら、特許文献4では、ブレーキディスクの外周面と車輪のリム部との隙間から放出される空気の流れを調整するため、ブレーキディスクの外周面を車輪のリム部に沿う形状に形成する必要がある。すなわち、空力騒音の低減を実現するためにブレーキディスクの形状が制限されることになり、ブレーキディスクの設計自由度が低下する。
本開示は、鉄道車両において、車輪の振動に伴って発生する転動騒音、及びブレーキディスクと車輪との間を通過する空気によって発生する空力騒音の双方を低減するとともに、ブレーキディスクの設計自由度を向上させることを課題とする。
本開示に係る防音車輪は、鉄道車両用の防音車輪である。防音車輪は、車輪本体と、防音装置と、を備える。車輪本体は、環状の板部と、板部の外周縁に接続されるリム部と、を有する。リム部の内周面には、防音車輪の円周方向に沿う環状の溝が形成される。防音装置は、動吸振器と、固定リングと、を有する。動吸振器は、リム部の溝内に配置される。動吸振器は、車輪本体が有する固有振動数に一致する共振周波数を有する。固定リングは、防音車輪の半径方向において動吸振器の内側に配置される。固定リングは、リム部に固定される。固定リングは、溝の開口端から半径方向の内側に6.5mm以上突出する。
本開示によれば、鉄道車両において、車輪の振動に伴って発生する転動騒音、及びブレーキディスクと車輪との間を通過する空気によって発生する空力騒音の双方を低減することができるとともに、ブレーキディスクの設計自由度を向上させることができる。
図1は、第1実施形態に係る防音車輪の縦断面図である。 図2は、図1に示す防音車輪に含まれる防音装置の平面図である。 図3は、図1に示す防音車輪の部分拡大図である。 図4は、図1に示す防音車輪と、ブレーキディスクとを備える車輪ユニットを示す模式図である。 図5は、図4に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図6は、図4に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図7は、図1に示す防音車輪と、ブレーキディスクとを備える他の車輪ユニットを示す模式図である。 図8は、図7に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図9は、図7に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図10は、図1に示す防音車輪と、ブレーキディスクとを備える他の車輪ユニットを示す模式図である。 図11は、図10に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図12は、図10に示す車輪ユニットにおいて、防音装置の位置を変更した例を示す模式図である。 図13は、第2実施形態に係る防音車輪の部分縦断面図である。 図14は、第2実施形態の変形例に係る防音車輪の部分縦断面図である。 図15は、第2実施形態の別の変形例に係る防音車輪の部分縦断面図である。 図16は、転動騒音試験機の概略構成図である。 図17は、第1実施例に関し、図16に示す転動騒音試験機で測定された騒音について、1/3オクターブバンドと、騒音レベルとの関係を示すグラフである。 図18は、第2実施例に関し、図16に示す転動騒音試験機で測定された騒音について、1/3オクターブバンドと、騒音レベルとの関係を示すグラフである。 図19は、第2実施例に関し、防音車輪に含まれる固定リングの突出量と、騒音レベル(オーバーオール値)との関係を示すグラフである。
実施形態に係る防音車輪は、鉄道車両用の防音車輪である。防音車輪は、車輪本体と、防音装置と、を備える。車輪本体は、環状の板部と、板部の外周縁に接続されるリム部と、を有する。リム部の内周面には、防音車輪の円周方向に沿う環状の溝が形成される。防音装置は、動吸振器と、固定リングと、を有する。動吸振器は、リム部の溝内に配置される。動吸振器は、車輪本体が有する固有振動数に一致する共振周波数を有する。固定リングは、防音車輪の半径方向において動吸振器の内側に配置される。固定リングは、リム部に固定される。固定リングは、溝の開口端から半径方向の内側に6.5mm以上突出する(第1の構成)。
第1の構成に係る防音車輪において、防音装置に含まれる動吸振器の共振周波数は、車輪本体が有する固有振動数に一致する。そのため、車輪本体の振動に伴って発生する転動騒音を低減することができる。
一方、第1の構成によれば、防音装置の固定リングが車輪本体のリム部の溝の開口端から半径方向内側に6.5mm以上突出している。そのため、当該防音車輪にディスクブレーキシステムのブレーキディスクが取り付けられたとき、固定リングの位置で、ブレーキディスクの外周面と車輪本体のリム部との隙間が縮小される。これにより、当該隙間を通る空気の流量を減少させることができる。よって、車輪本体の振動に伴って発生する転動騒音だけでなく、ブレーキディスクと車輪本体との間を通過する空気によって発生する空力騒音を低減することができる。
第1の構成に係る防音車輪では、車輪本体のリム部から固定リングを突出させることのみで空力騒音を低減している。そのため、空力騒音の低減のためにブレーキディスクのサイズや形状を変更する必要はない。よって、ブレーキディスクの設計自由度を向上させることができる。
リム部の溝の開口端からの固定リングの突出量は、9.0mm以下であることが好ましい(第2の構成)。
第2の構成によれば、防音車輪にブレーキディスクが取り付けられたとき、ブレーキディスクの外周面と車輪本体のリム部との隙間が固定リングによって過剰に縮小されることがない。そのため、当該隙間を通る空気の流量をある程度確保することができる。よって、ブレーキディスクの冷却性能を維持することができ、制動時におけるブレーキディスクの熱変形を抑制することができる。
固定リングの内周面は、防音車輪の軸方向に対して傾斜するテーパ面を含んでいることが好ましい(第3の構成)。
ブレーキディスクと車輪本体との間を流れる空気の方向が急激に変化した場合、流束の乱れが生じ、空気が持つ運動エネルギーが音として発散されやすくなる。空気の方向変化が顕著であるほど、大きな騒音が発生することが一般に知られている。これに対して、第3の構成では、車輪本体のリム部に固定された固定リングの内周面にテーパ面が設けられている。このテーパ面は、ブレーキディスクの外周面とリム部との隙間を通過する空気を円滑に案内し、空気の急激な方向変化を抑制することができる。よって、ブレーキディスクと車輪本体との間を通過する空気によって発生する空力騒音をより低減することができる。
テーパ面は、車輪本体の板部から遠ざかるにつれて縮径することが好ましい(第4の構成)。
第4の構成によれば、固定リングの内周面に設けられたテーパ面は、板部から遠ざかるにつれて縮径するように構成されている。これにより、板部に沿って流れた後、固定リングの内周面とブレーキディスクの外周面との隙間を通過する空気の方向変化の程度をより軽減することができる。よって、空力騒音をさらに効果的に低減することができる。
動吸振器は、第1弾性体と、第2弾性体と、付加質量片と、を含むことが好ましい。第1弾性体は、固定リングの外周面に固定される。第2弾性体は、半径方向において第1弾性体の外側に配置される。付加質量片は、第1弾性体と第2弾性体との間に配置される。付加質量片は、第1弾性体及び第2弾性体に固定される(第5の構成)。
実施形態に係る車輪ユニットは、鉄道車両用の車輪ユニットである。車輪ユニットは、第1から第5の構成のいずれかに係る防音車輪と、ブレーキディスクと、を備える。ブレーキディスクは、ブレーキディスクの外周面が固定リングの内周面と対向するように防音車輪に取り付けられる。固定リングの内周面とブレーキディスクの外周面との間には、隙間が形成される。当該隙間の、防音車輪の円周方向に沿った断面の最小面積は、2500mm以上、7000mm以下である(第6の構成)。
第6の構成に係る車輪ユニットは、第1から第5の構成のいずれかに係る防音車輪を備えている。よって、上述したように、車輪本体の振動に伴って発生する転動騒音を低減することができる。
第6の構成に係る車輪ユニットでは、車輪本体のリム部から半径方向内側に突出する固定リングにより、ブレーキディスクの外周面と車輪本体のリム部との隙間が縮小される。具体的には、防音車輪に設けられた防音装置の固定リングの内周面と、ブレーキディスクの外周面との隙間は、円周方向断面の最小面積が2500mm以上、7000mm以下となるように設定されている。これにより、ブレーキディスクと車輪本体との間を通過する空気によって発生する空力騒音を低減することができる。また、固定リングをリム部から突出させることのみで空力騒音の低減を図っているため、空力騒音の低減のためにブレーキディスクのサイズや形状を変更する必要はない。よって、ブレーキディスクの設計自由度を向上させることができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
<第1実施形態>
[防音車輪]
図1は、第1実施形態に係る防音車輪10の縦断面図である。縦断面とは、防音車輪10の中心軸Xを含む断面をいう。以下、防音車輪10の中心軸Xが延びる方向を軸方向といい、防音車輪10の半径方向及び円周方向を単に半径方向及び円周方向という。
図1を参照して、防音車輪10は、鉄道車両に用いられる。防音車輪10は、例えば、時速300km以上の高速で走行する鉄道車両(高速車両)に使用することができる。防音車輪10は、車輪本体1と、防音装置2と、を備える。
車輪本体1は、板部11と、ボス部12と、リム部13と、を有する。
板部11は、中心軸Xを軸心として、実質的に環状をなす。板部11の内周縁には、ボス部12が接続される。板部11の外周縁には、リム部13が接続される。ボス部12及びリム部13は、板部11に対し、軸方向の両側に突出している。すなわち、ボス部12及びリム部13の幅(軸方向の長さ)は、板部11の幅(軸方向の長さ)よりも大きい。
ボス部12は、車輪本体1の内周部を構成する。ボス部12は、中心軸Xを軸心とする概略円筒状をなす。ボス部12には、鉄道車両の車軸(図示略)が挿入される。
リム部13は、車輪本体1の外周部を構成する。リム部13は、踏面131及びフランジ132を外周側に有する。踏面131は、鉄道車両が走行するレール(図示略)の頂面に接触する面である。フランジ132は、軸方向において踏面131の一方側に配置される。フランジ132は、踏面131よりも半径方向の外側に突出する。
リム部13の内周面には、円周方向に沿って環状の溝133が形成されている。リム部13の内周面は、半径方向において、踏面131及びフランジ132の反対側に位置する面である。本実施形態の例では、溝133は、板部11に対してフランジ132と同じ側に配置されている。ただし、溝133は、板部11を挟んでフランジ132の反対側に配置されていてもよい。溝133には、環状の防音装置2が嵌められている。
図2は、防音装置2を軸方向に沿って見た図(平面図)である。図2に示すように、防音装置2は、固定リング21と、複数の動吸振器22と、を有する。
固定リング21は、例えば鋼等の金属で構成される。この固定リング21の外周面に、複数の動吸振器22が取り付けられている。複数の動吸振器22は、固定リング21の円周方向に沿って、間隔を空けて配列されている。
動吸振器22の各々は、弾性体221,222と、付加質量片223とを含む。
弾性体221,222は、例えば、ゴムで構成されている。弾性体221,222の材質は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。弾性体221は、固定リング21の外周面に固定される。弾性体222は、半径方向において弾性体221の外側に配置されている。
付加質量片223は、弾性体221と弾性体222との間に配置される。付加質量片223は、弾性体221,222にそれぞれ固定されている。付加質量片223の材質は、例えば金属であり、好ましくは鋼である。特に限定されるものではないが、付加質量片223は、例えば、SUS304で構成することができる。
動吸振器22の各々は、車輪本体1(図1)が有する複数の固有振動数のうちのいずれかと一致する共振周波数を有する。より具体的には、各動吸振器22の共振周波数は、車輪本体1の転動騒音に強く影響する複数の固有振動モードのうち、いずれかに対応するように設定される。例えば、人間が感じやすいとされる1kHz~10kHzの周波数域において、転動騒音に強い影響を与える固有振動数は、車輪本体1の形状等によって多少は変動するものの、2.0kHz、2.5kHz、及び3.0kHzである。よって、例えば、各動吸振器22の共振周波数を2.0kHz、2.5kHz、及び3.0kHzのいずれかに設定することができる。
防音装置2において、複数の動吸振器22は、車輪本体1(図1)が有する複数の固有振動数に対応して、複数種類の共振周波数を有するように構成される。共振周波数が異なる複数種類の動吸振器22は、固定リング21の円周方向に沿って順に配列することができる。例えば、2.0kHzの共振周波数を有する動吸振器22、2.5kHzの共振周波数を有する動吸振器22、及び3.0kHzの共振周波数を有する動吸振器22を、固定リング21の外周面上に順番に並べることができる。
各動吸振器22の共振周波数は、以下の式(1)によって定まる。
f=(1/2π)×((k+k)/m)1/2 (1)
f:動吸振器22の共振周波数
:弾性体221のばね定数
:弾性体222のばね定数
m:付加質量片223の質量
式(1)により、各動吸振器22の共振周波数fは、弾性体221のばね定数k、弾性体222のばね定数k、及び付加質量片223の質量mを選択することで適宜設定することができる。例えば、弾性体221,222及び付加質量片223の厚み(半径方向の長さ)の比率を変更することによってばね定数k,k及び質量mを調整し、動吸振器22ごとに所望の共振周波数を設定することができる。
図3は、図1に示す防音車輪10の部分拡大図である。図3では、リム部13の溝133付近を拡大して示す。
図3を参照して、防音装置2を車輪本体1に取り付けた状態で、動吸振器22はリム部13の溝133内に配置される。動吸振器22の幅(軸方向の長さ)は、溝133の幅(軸方向の長さ)よりも小さい。よって、動吸振器22は、溝133の両側面から離間している。動吸振器22の幅は、例えば、共振周波数の調整の容易性、又は固定リング21への取り付けの容易性を考慮して、5mm~10mmとすることができる。
動吸振器22は、溝133の底面に接触する。すなわち、動吸振器22において外周側に位置する弾性体222が、溝133の底面に接触している。弾性体222は、溝133の底面に固着されるか、付加質量片223と溝133の底面との間で押圧されている。そのため、鉄道車両の走行によって付加質量片223が振動しても、弾性体222と溝133の底面との間に隙間は生じない。弾性体222と溝133の底面との間には、スペーサ(図示略)が介在していてもよい。
固定リング21の外周部は、溝133内に配置されている。固定リング21の幅(軸方向の長さ)は、溝133の幅(軸方向の長さ)とほとんど等しい。本実施形態の例では、溝133は一定の幅を有する。しかしながら、溝133の幅は、途中で変化してもよい。例えば、溝133は、動吸振器22に対応する部分の幅と比較して、固定リング21の外周部に対応する部分の幅が大きくなるように構成されていてもよい。溝133は、固定リング21の外周部によって実質的に密閉される。固定リング21は、例えば、溶接、かしめ、又は接着等の公知の固定方法により、リム部13に固定される。
固定リング21は、溝133の開口端133aから半径方向の内側に突出している。固定リング21の突出量Lは、6.5mm以上である。突出量Lは、9.0mm以下であることが好ましい。突出量Lは、防音車輪10の縦断面視で、溝133の開口端133aから固定リング21の内周面までの半径方向の最大長さである。
[車輪ユニット]
図4~図6は、防音車輪10と、ブレーキディスク20Aとを備える車輪ユニット100Aの模式図である。
まず、図4を参照して、車輪ユニット100Aにおいて、防音車輪10には、ブレーキディスク20Aが取り付けられる。このとき、ブレーキディスク20Aの外周面が、防音車輪10に設けられた防音装置2の固定リング21の内周面と対向する。
ブレーキディスク20Aの外周面と固定リング21の内周面との間には、環状の隙間Gが形成されている。車輪ユニット100Aは、この隙間Gの横断面の最小面積Aが2500mm以上、7000mm以下となるように構成される。隙間Gの横断面とは、隙間Gを円周方向に沿って切断したときの環状の断面である。
隙間Gの横断面の最小面積Aは、防音車輪10の防音装置2を変更することで適宜調整することができる。例えば、図5及び図6に示すように、最小面積Aを調整するために、防音装置2を軸方向に移動させてもよいし、固定リング21の厚み(半径方向の長さ)を増減して突出量Lを変更してもよい。図4~図6に示す例では、最も一般的な形状及び寸法を有するブレーキディスク20Aが防音車輪10に取り付けられている。この例の場合、最小面積Aは、典型的には、固定リング21の突出量Lが9.0mmのときに下限値である2500mmとなり、固定リング21の突出量Lが6.5mmのときに上限値である7000mmとなる。
図7~図9に示す車輪ユニット100B、及び図10~図12に示す車輪ユニット100Cは、ブレーキディスク20B,20Cの外周面の形状において、図4~図6に示す車輪ユニット100Aと異なる。図4~図6に示す車輪ユニット100Aでは、縦断面視で、ブレーキディスク20Aの外周面が軸方向に実質平行であったのに対し、図7~図9に示す車輪ユニット100B、及び図10~図12に示す車輪ユニット100Cでは、縦断面視で、ブレーキディスク20B,20Cの外周面が軸方向に対して傾斜する。ブレーキディスク20Bの外周面は、縦断面視で、軸方向の外側に向かうにつれてリム部13に近づくように傾斜する。ブレーキディスク20Cの外周面は、縦断面視で、軸方向の外側に向かうにつれてリム部13から遠ざかるように傾斜する。
車輪ユニット100B,100Cにおいても、ブレーキディスク20B,20Cの外周面と固定リング21の内周面との隙間Gの横断面の最小面積Aが2500mm以上、7000mm以下に設定される。最小面積Aは、防音装置2の軸方向の位置を変更したり、固定リング21の厚みの増減によって固定リング21の突出量Lを変更したりすることで、適宜調整することができる。
[効果]
本実施形態に係る防音車輪10において、鉄道車両の走行中に車輪本体1に生じた振動は、車輪本体1のリム部13及び固定リング21を介し、防音装置2の各動吸振器22に伝達される。これにより、各動吸振器22が振動して車輪本体1の振動を低減させる。各動吸振器22は、車輪本体1が有する固有振動数のいずれかに一致する共振周波数を有するため、車輪本体1の振動に伴って発生する転動騒音を効果的に低減することができる。
本実施形態に係る防音車輪10において、防音装置2には、異なる共振周波数を有する複数種類の動吸振器22が設けられている。そのため、複数の固有振動数に対応する転動騒音を同時に低減することができる。
本実施形態に係る防音車輪10では、防音装置2の固定リング21が車輪本体1のリム部13の溝133の開口端133aから半径方向内側に6.5mm以上突出している。そのため、防音車輪10を有する車輪ユニット100A~100Cでは、固定リング21の位置において、ブレーキディスク20A~20Cの外周面とリム部13との隙間Gが縮小される。より具体的には、溝133の開口端133aから突出する固定リング21により、隙間Gの横断面の最小面積Aが2500mm以上、7000mm以下となっている。これにより、隙間Gを通る空気の流量を減少させることができ、ブレーキディスク20A~20Cと車輪本体1との間を通過する空気によって発生する空力騒音を低減することができる。
本実施形態に係る車輪ユニット100A~100Cにおいて、隙間Gの横断面の最小面積Aの調整は、固定リング21の位置を軸方向に移動させたり、固定リング21の厚み(半径方向の長さ)を増減して突出量Lを変更したりするだけで行うことができる。すなわち、空力騒音を低減するに当たり、防音車輪10の構成をわずかに変更するだけでよく、ブレーキディスク20A~20Cのサイズや形状を変更する必要はない。よって、ブレーキディスク20A~20Cの設計自由度を向上させることができる。
本実施形態において、溝133の開口端133aからの固定リング21の突出量Lは、9.0mm以下であることが好ましい。これにより、車輪ユニット100A~100Cにおいて、ブレーキディスク20A~20Cの外周面と固定リング21の内周面との隙間Gが過剰に縮小されることがなく、隙間Gを通る空気の流量をある程度確保することができる。よって、ブレーキディスク20A~20Cの冷却性能を維持することができ、制動時におけるブレーキディスク20A~20Cの熱変形を抑制することができる。
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る防音車輪10Aの縦断面図であり、防音装置2A及びその近傍部分を拡大して示す図である。図13では、ブレーキディスク20が取り付けられた状態の防音車輪10Aを示している。本実施形態に係る防音車輪10Aは、防音装置2Aに含まれる固定リング21Aの形状において、第1実施形態に係る防音車輪10と異なる。
第1実施形態において、固定リング21の内周面は、全体として、防音車輪10の軸方向と実質平行となっている。一方、本実施形態では、図13に示すように、固定リング21Aの内周面は、防音車輪10Aの軸方向に対して傾斜するテーパ面211を含んでいる。
図13に示す例では、固定リング21Aの内周面の全体がテーパ面211となっている。テーパ面211は、固定リング21Aの軸方向の両端面212,213と接続されている。固定リング21Aにおいて、テーパ面211と端面212,213との間に形成される角部には、R面取り加工が施されていることが好ましい。
テーパ面211は、板部11から遠ざかるにつれて縮径するように構成されている。すなわち、テーパ面211は、軸方向において板部11側の径が大きく、板部11と反対側の径が小さい環状面である。防音車輪10Aの縦断面視で、テーパ面211は、固定リング21Aの板部11側の端面213と鈍角を形成する。
第1実施形態と同様、固定リング21Aの突出量Lは、6.5mm以上であり、好ましくは9.0mm以下である。固定リング21Aの突出量Lは、防音車輪10Aの縦断面視で、溝133の開口端133aから固定リング21Aの内周面の頂点までの半径方向の長さである。固定リング21Aの内周面の頂点とは、テーパ面211において径が最小となる部分をいう。本実施形態の例では、防音車輪10Aの縦断面視で、固定リング21Aの軸方向外側の端面212とテーパ面211とが交差する点が頂点となる。ブレーキディスク20の外周面と固定リング21Aの内周面との隙間Gの横断面の最小面積Aは、第1実施形態と同様、2500mm以上、7000mm以下である。図13に示す例において、固定リング21Aの内周面の頂点の軸方向位置は、リム部13のフランジ132側の表面の軸方向位置と実質的に一致している。
鉄道車両の走行中、防音車輪10Aが回転することにより、内周側から外周側に向かい、ブレーキディスク20と防音車輪10Aの板部11との間を空気が流れる。この空気は、ブレーキディスク20の外周面と固定リング21Aの内周面との隙間Gを板部11側から軸方向外側へと通過する。このとき、固定リング21Aの内周面に設けられたテーパ面211により、板部11側から軸方向外側へと向かう空気が円滑に案内される。より具体的には、固定リング21Aにおいて、テーパ面211が90°よりも緩やかな角度で板部11側の端面213と接続されているため、固定リング21Aの周囲で空気の急激な方向変化が生じにくくなる。よって、ブレーキディスク20と防音車輪10Aとの間を通過する空気によって発生する空力騒音を効果的に低減することができる。
図14及び図15は、それぞれ第2実施形態の変形例に係る防音車輪10B,10Cの縦断面図であり、防音装置2B,2C及びその近傍部分を拡大して示す図である。防音装置2B,2Cの固定リング21B,21Cも、図13に示す固定リング21Aと同様、その内周面に少なくとも1つのテーパ面を含んでいる。
まず、図14を参照して、固定リング21Bの内周面には、テーパ面214,215が設けられている。テーパ面214は、板部11から遠ざかるにつれて縮径する面である。一方、テーパ面215は、板部11から遠ざかるにつれて拡径する面であり、軸方向においてテーパ面214よりも外側に配置されている。
テーパ面214は、固定リング21Bの軸方向内側の端面213に接続され、防音車輪10Bの縦断面視で端面213と鈍角を形成する。テーパ面215は、固定リング21Bの軸方向外側の端面212に接続され、防音車輪10Bの縦断面視で端面212と鈍角を形成する。テーパ面214と端面213との間に形成される角部、及びテーパ面215と端面212との間に形成される角部には、R面取り加工が施されていることが好ましい。同様に、テーパ面214とテーパ面215との間に形成される角部にも、R面取り加工が施されていることが好ましい。
テーパ面214,215の接続部は、固定リング21Bの内周面における頂点となる。防音車輪10Bの縦断面視で、溝133の開口端133aから当該頂点までの半径方向の長さが固定リング21Bの突出量Lである。固定リング21Bの突出量Lは、図13に示す固定リング21Aと同様、6.5mm以上であり、好ましくは9.0mm以下である。ブレーキディスク20の外周面と固定リング21Bの内周面との隙間Gの横断面の最小面積Aは、2500mm以上、7000mm以下となっている。
図14に示す例において、固定リング21Bの内周面の頂点は、軸方向において端面212,213の中央に位置している。しかしながら、固定リング21Bの内周面の頂点は、板部11側の端面213寄りに配置されていてもよいし、これと反対側の端面212寄りに配置されていてもよい。固定リング21B自体の軸方向の位置や軸方向の長さ等にもよるが、リム部13のフランジ132側の表面から固定リング21Bの内周面の頂点までの軸方向の距離dは、例えば、7.5mm以下であることが好ましい。
図14に示す固定リング21Bも、図13に示す固定リング21Aと同様、板部11側の端面213と鈍角を形成するテーパ面214を内周面に有している。そのため、板部11側から軸方向外側へと向かう空気を円滑に案内することができ、固定リング21Bの周囲における空気の急激な方向変化を抑制することができる。
次に、図15を参照して、固定リング21Cの内周面には、板部11から遠ざかるにつれて拡径するテーパ面216が設けられている。すなわち、テーパ面216は、軸方向において板部11側の径が小さく、板部11と反対側の径が大きい環状面である。防音車輪10Cの縦断面視で、テーパ面216は、固定リング21Cの軸方向外側の端面212と鈍角を形成する。
図15に示す例では、固定リング21Cの内周面の全体がテーパ面216となっている。固定リング21Cにおいて、テーパ面216と端面212,213との間に形成される角部には、R面取り加工が施されていることが好ましい。
防音車輪10Cの縦断面視で、テーパ面216が板部11側の端面213と交差する点が、固定リング21Cの内周面における頂点となる。防音車輪10Cの縦断面視で、溝133の開口端133aから当該頂点までの半径方向の長さが固定リング21Cの突出量Lである。固定リング21Cの突出量Lは、図13及び図14にそれぞれに示す固定リング21A,21Bと同様、6.5mm以上であり、好ましくは9.0mm以下である。ブレーキディスク20の外周面と固定リング21Cの内周面との隙間Gの横断面の最小面積Aは、2500mm以上、7000mm以下となっている。図15に示す例において、リム部13のフランジ132側の表面から固定リング21Cの内周面の頂点までの軸方向の距離dは、固定リング21Cの幅(軸方向の長さ)と実質的に等しい。
固定リング21Cでは、軸方向外側の端面212が90°よりも緩やかな角度でテーパ面216と接続されている。これにより、ブレーキディスク20の外周面と固定リング21Cの内周面との隙間Gを軸方向外側へと抜ける空気の方向変化を軽減することができる。そのため、空力騒音の低減効果を期待することができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
本開示による効果を確認するため、第1実施形態に係るブレーキディスク付きの防音車輪10(車輪ユニット)について、固定リング21の突出量Lを変更しながら、騒音試験を実施した。比較のため、ブレーキディスクが取り付けられず、防音装置2を有しない単体の非防音車輪(図示略)についても騒音試験を実施した。騒音試験の条件を表1に示す。
Figure 0007410389000001
図16は、騒音試験に用いた転動騒音試験機30の概略構成図である。図16を参照して、転動騒音試験機30は、軌条輪31と、油圧ジャッキ32と、モータ33と、精密騒音計34と、周波数分析器35と、を備える。軌条輪31は、車軸36を介し、軸受37によって回転可能に支持される。試験対象の防音車輪10又は非防音車輪は、軌条輪31の下手側に配置される。防音車輪10又は非防音車輪は、車軸38を介し、軸受39によって回転可能に支持される。油圧ジャッキ32は、軌条輪31の上手側に配置され、軌条輪31の軸受37に取り付けられる。モータ33は、防音車輪10又は非防音車輪の車軸38に接続される。精密騒音計34は、防音車輪10から発生する騒音を測定し、騒音に対応する電気信号を発生させる。周波数分析器35には、精密騒音計34が発生させた電気信号が入力される。周波数分析器35は、当該電気信号の周波数分析を行う。
騒音試験の実施に当たり、軌条輪31の車軸36を防音車輪10又は非防音車輪の車軸38と平行に配置し、油圧ジャッキ32によって軸受37を押し付けて、軌条輪31を防音車輪10又は非防音車輪に当接させた。この状態でモータ33を駆動し、防音車輪10又は非防音車輪を周速300km/hで回転させた。これに伴い、防音車輪10又は非防音車輪に当接している軌条輪31も回転する。このときに発生する騒音を、防音車輪10又は非防音車輪から300mm離れた位置で精密騒音計34によって測定した。
精密騒音計34による騒音の測定は、周波数重み付け特性をFLAT(聴覚補正を加えない状態)、動特性をFASTとして行った。周波数分析器35により、精密騒音計34によって測定された騒音の周波数分析を行った。周波数分析では、精密騒音計34による測定値に対し、A特性による補正を加えた後、1/3オクターブバンド処理を行い、周波数特性を求めた。その結果を図17に示す。
図17に示すグラフにおいて、400Hz~2000Hz付近は、空力騒音に対応する周波数域であり、2500Hz~6300Hz付近は、転動騒音に対応する周波数域である。
図17に示すように、ブレーキディスク付きの防音車輪10である実施例1-1~1-4及び比較例1では、単体の非防音車輪である比較例2と比較し、2500Hz~6300Hz付近で騒音レベルが低下しており、転動騒音が低減されていることがわかる。一方、実施例1-1~1-4及び比較例1では、比較例2と比較し、400Hz~2000Hz付近で騒音レベルが高くなっており、ブレーキディスクと車輪本体1のリム部13との隙間Gを通過する空気によって空力騒音が発生していることがわかる。
リム部13の溝133の開口端133aからの固定リング21の突出量Lを6.5mm以上とした実施例1-1~1-4では、溝133の開口端133aから固定リング21が突出しない比較例1と比較して、400Hz~2000Hz付近での騒音レベルが小さくなっている。よって、固定リング21の突出量Lを6.5mm以上とすることにより、空力騒音を低減することができるといえる。固定リング21の突出量Lが大きくなると、空力騒音の低減効果も大きくなる。
固定リング21の突出量Lは、実施例1-1~1-4のように、9.0mm以下とすることが好ましい。突出量Lが9.0mmを超えると、ブレーキディスクとリム部13との隙間Gを通過する空気の量が減少し、ブレーキディスクの冷却性能が低下する可能性があるためである。この場合、制動時においてブレーキディスクが十分に冷却されず、ブレーキディスクが熱変形するおそれがある。
[第2実施例]
空力騒音のさらなる低減効果を確認するため、ブレーキディスク付きの防音車輪(車輪ユニット)について、固定リングの内周面の形状を変更しながら、第1実施例と同様の騒音試験を実施した。騒音試験の条件を表2に示す。
Figure 0007410389000002
実施例2-1は、第1実施形態に係る防音車輪10(図4)に対応するものであり、実施例2-2,2-3,2-4は、それぞれ、第2実施形態に係る防音車輪10A,10B,10C(図13~図15)に対応するものである。実施例2-1~2-4の各々について、第1実施例と同様にして周波数特性を求めた。その結果を図18に示す。
図18に示すように、実施例2-2~2-4では、固定リング21A,21B,21Cの内周面に少なくとも1つのテーパ面が設けられているため、固定リング21の内周面が軸方向と平行である実施例2-1と比較して、空力騒音に対応する周波数域(400Hz~2000Hz付近)で騒音レベルが低下している。特に、板部11から遠ざかるにつれて縮径するテーパ面211,214を有する実施例2-2及び2-3では、実施例2-1と比較して騒音レベルが有意に低下した。騒音レベルは、テーパ面211を有する実施例2-2において最も小さくなった。
図19は、実施例2-1~2-4において、固定リング21,21A,21B,21Cの突出量Lを変更したときの騒音レベル(オーバーオール値)を示すグラフである。図19に示すように、固定リング21,21A,21B,21Cの突出量Lが大きくなるほど、実施例2-1と実施例2-2~2-4との騒音レベルの差が拡大する。特に、実施例2-2及び2-3の騒音レベルの低下は、突出量Lが大きくなるほど顕著となった。なお、図19に示すグラフの横軸において、突出量Lの隣には、突出量Lに対応する固定リングの厚み(半径方向の長さ)が括弧書きで付されている。
以上の結果から、突出量Lを十分に確保した上で、固定リングの内周面にテーパ面を設けることにより、空力騒音を効果的に低減することができるといえる。また、テーパ面を車輪の板部から遠ざかるにつれて縮径するものとすることで、空力騒音の低減効果をさらに高めることができる。
10,10A~10C:防音車輪
1:車輪本体
11:板部
13:リム部
133:溝
133a:開口端
2,2A~2C:防音装置
21,21A~21C:固定リング
211,214,215,216:テーパ面
22:動吸振器
221,222:弾性体
223:付加質量片
20,20A~20C:ブレーキディスク
100A~100C:車輪ユニット

Claims (5)

  1. 鉄道車両用の車輪ユニットであって、
    環状の板部と、前記板部の外周縁に接続されるリム部とを有する車輪本体と、前記車輪本体が有する固有振動数に一致する共振周波数を有する動吸振器と、前記リム部に固定される固定リングとを有する防音装置と、を含む防音車輪であって、前記リム部の内周面に前記防音車輪の円周方向に沿う環状の溝が形成され、前記動吸振器が前記溝内に配置され、前記固定リングが前記防音車輪の半径方向において前記動吸振器の内側に配置される前記防音車輪と、
    外周面が前記固定リングの内周面と対向するように前記防音車輪に取り付けられるブレーキディスクと、
    を備え、
    前記固定リングは、前記溝の開口端から前記半径方向の内側に6.5mm以上突出し、
    前記固定リングの前記内周面と前記ブレーキディスクの前記外周面との間に形成される隙間の、前記周方向に沿った断面の最小面積は、2500mm以上、7000mm以下である、車輪ユニット。
  2. 請求項1に記載の車輪ユニットであって、
    前記開口端からの前記固定リングの突出量は、9.0mm以下である、車輪ユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の車輪ユニットであって、
    前記固定リングの前記内周面は、前記防音車輪の軸方向に対して傾斜するテーパ面を含む、車輪ユニット。
  4. 請求項3に記載の車輪ユニットであって、
    前記テーパ面は、前記板部から遠ざかるにつれて縮径する、車輪ユニット。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪ユニットであって、
    前記動吸振器は、
    前記固定リングの外周面に固定される第1弾性体と、
    前記半径方向において前記第1弾性体の外側に配置される第2弾性体と、
    前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置され、前記第1弾性体及び前記第2弾性体に固定される付加質量片と、
    を含む、車輪ユニット。
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