JP6431237B1 - 水性硬質ウレタン系セメント組成物 - Google Patents

水性硬質ウレタン系セメント組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】作業性を損なわずに、優れた機能と優れた外観を有する硬化物を与える、水性硬質ウレタン系セメント組成物を提供する。【解決手段】水硬性セメント、1分子中に1つより多いイソシアネート基を有する化合物、水、1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物及び1分子中の炭素の数が1〜4個であるカルボン酸金属塩を含有する水性硬質ウレタン系セメント組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、耐衝撃性、及び耐摩耗性に優れ、食品工場、化学工場、機械工場などの床材、壁材など、産業用の床材や壁材に適した水性硬質ウレタン系セメント組成物及び該組成物を硬化した硬化物に関する。
従来の塗り床材としては、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、メチルメタクリレート系などの床材があった。しかし、これらは、食品工場、化学工場、機械工場などの床材としては、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性などが必ずしも充分ではなかった。また上記床材のなかでも、溶剤を多く含む材料や臭気を強く発する材料は、施工時の作業環境が悪くなり、好ましくなかった。
ウレタン樹脂系の床材としては、水硬性セメント、骨材、水、ポリオール、及び2個以上のイソシアネート基を有する化合物からなる水性硬質ウレタン系セメント組成物が知られている。この水性硬質ウレタン系セメント組成物は、現場で上記各成分を混合することにより、水硬性セメントと水との水和反応、ポリオールとイソシアネートとのウレタン化反応及びイソシアネートと水による炭酸ガスの発生を伴うウレア化反応が同時に進行する。そして、硬化した後は、硬く、耐摩耗性に優れ、さらに耐熱性や耐薬品性を持つことから、食品工場、化学工場、機械工場の床などの床材として用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−72507号公報
水性硬質ウレタン系セメント組成物は、現場で混合している間や施工作業中に、組成物中の成分が急に反応することにより発熱すると共に粘度が高くなることがある。このような現象が起きると、作業性が低下したり、塗工が不均一になり硬化物の外観が損なわれる場合がある。このため、組成物中の成分の反応を抑制しつつ、優れた外観を有する硬化物が得られる水性硬質ウレタン系セメント組成物が求められている。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、作業性を損なわずに、優れた機能と優れた外観を有する硬化物を与える、水性硬質ウレタン系セメント組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記作業性の良好な水性硬質ウレタン系セメント組成物を用いて得られる、優れた機能を有しかつ優れた外観を有する硬化物及びこれを用いた、床、壁並びに施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]水硬性セメント、1分子中に1つより多いイソシアネート基を有する化合物、水、1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物及び1分子中の炭素の数が1〜4個であるカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩が、ギ酸、酢酸及びプロパン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、水性硬質ウレタン系セメント組成物。
[2]前記カルボン酸金属塩の含有割合が、前記水硬性セメントの含有量に対して、0.01〜120質量%である、[1]の水性硬質ウレタン系セメント組成物
]前記1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物は、ヒマシ油、ヒマシ油の誘導体及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上からなる、[1]又は2]の水性硬質ウレタン系セメント組成物。
]さらに、骨材を含有する[1]〜[]のいずれかの水性硬質ウレタン系セメント組成物。
][1]〜[]のいずれかの水性硬質ウレタン系セメント組成物を硬化した硬化物。
][1]〜[]のいずれかの水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工した床。
][1]〜[]のいずれかの水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工した壁。
][1]〜[]のいずれかの水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工する施工方法。
本発明によれば、作業性を損なわずに、優れた機能と優れた外観を有する硬化物を与える、水性硬質ウレタン系セメント組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、上記作業性の良好な水性硬質ウレタン系セメント組成物を用いることで、優れた機能を有しかつ優れた外観を有する硬化物及びこれを用いた床並びに壁を提供することができる。
また、本発明によれば、上記作業性の良好な水性硬質ウレタン系セメント組成物を用いた施工方法を提供することができる。
本明細書において、1分子中に1つより多いイソシアネート基を有する化合物を「イソシアネート基を有する化合物」と記す。1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物を「水酸基を有する化合物」と記す。1分子中の炭素の数が1〜4個であるカルボン酸金属塩を「カルボン酸金属塩」と記す。
「数平均分子量」は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することによって得られた、ポリスチレン換算分子量である。
以下、本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物に含有される各成分について説明する。
水硬性セメントは、水と混和することにより硬化又は凝結する。水硬性セメントとしては、ポルトランドセメントや高アルミナ含量の迅速硬化型セメントが好ましい。ポルトランドセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、鉄及び炭素含量の低いセメントである白色ポルトランドセメント(白色セメント)が挙げられる。水硬性セメントとしては、反応性、作業性の観点から、普通ポルトランドセメントが好ましく、白色ポルトランドセメントがより好ましい。
イソシアネート基を有する化合物は、1分子中に1つより多いイソシアネート基を有する化合物であり、2個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、低分子量ポリイソシアネート化合物又はイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーがより好ましい。
低分子量ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族系ジイソシアネートが挙げられる。また、上記化合物のウレチジオン変成体、ヌレート変成体、カルボジイミド変成体、ビュレット変成体であってもよい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、上記低分子量ポリイソシアネート化合物と後述の多価アルコールとをイソシアネート基が過剰となる条件下で反応させることにより得られるものが好ましい。
イソシアネート基を有する化合物としては、反応性、作業性の観点から、低分子量ポリイソシアネート化合物が好ましく、芳香族系ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートがより好ましく、ポリメリックMDIがさらに好ましい。イソシアネート基を有する化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
イソシアネート基を有する化合物の含有量は、水硬性セメント100質量部に対して、10〜200質量部であればよく、組成物の流動性及び表面硬度などの硬化物の物性が向上する点から、50〜100質量部が好ましい。
水の含有量は、組成物の流動性及び硬化物の外観の観点から、水硬性セメント100質量部に対して5〜500質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましい。
水酸基を有する化合物は、1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物であり、2個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。
水酸基を有する化合物としては、例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒマシ油又はその誘導体、ポリブタジエン系ポリオール、アルカノールアミンが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロースなどの多価アルコール、2級アミン又は3級アミンであるアルカノールアミンを開始剤として、後述のアルキレンオキシドを開環付加して得られるポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。上記2級アミン又は3級アミンであるアルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。上記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドが挙げられる。プロピレンオキシド、又は、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。
ポリエーテルポリオールの市販品としては、例えば、エクセノール430(数平均分子量約430の3官能のポリエーテルポリオール、旭硝子社製)、エクセノール1030(数平均分子量約1000の3官能のポリエーテルポリオール、旭硝子社製)が挙げられる。
上記した中でも、ポリエーテルポリオールとしては、開始剤としてエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリンを用い、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを開環付加して得られるポリエーテルポリオールが好ましい。該ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、組成物の流動性の観点から、300〜3000が好ましく、400〜2500がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリカルボン酸と多価アルコールを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられ、ジカルボン酸と2価アルコールを反応させて得られるポリエステルジオールが好ましい。
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンが挙げられる。ポリカルボン酸及び多価アルコールは、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールを反応させて得られるポリエステルジオール、テレフタル酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールを反応させて得られるポリエステルジオール、セバシン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールを反応させて得られるポリエステルジオール、グルタル酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールを反応させて得られるポリエステルジオールが好ましい。これらの、ポリエステルポリオールの数平均分子量は、組成物の流動性の観点から、300〜3000が好ましく、400〜2500がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。
ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、クラレポリオールP−510(ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)]、数平均分子量500、クラレ社製)、クラレポリオールP−520(ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(テレフタル酸)]、クラレ社製)が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、疎水性と反応性の観点から、ヒマシ油、ヒマシ油の誘導体、ポリエーテルポリオール、及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、ヒマシ油、ヒマシ油の誘導体、及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、ヒマシ油又はヒマシ油の誘導体のいずれか一方または両方がさらに好ましい。
水酸基を有する化合物の数平均分子量は、組成物の流動性の観点から、300〜3000が好ましく、400〜2500がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。水酸基数は2〜5が好ましい。
水酸基を有する化合物の含有量は、硬化物の外観の観点から、水硬性セメント100質量部に対して5〜5000質量部が好ましく、10〜250質量部がより好ましく、12〜80質量部がさらに好ましい。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、上記水酸基を有する化合物以外の、1分子中に1個以下の水酸基を有する化合物を有してもよい。1分子中に1個以下の水酸基を有する化合物としては、例えば、水酸基を1個のみ有するアルコール又はアルカノールアミン、水酸基を1個のみ有するアルコール又はアルカノールアミンを開始剤として上記アルキレンオキシドを開環付加して得られるポリエーテルモノオール、水酸基を有せずかつアミノ基を有する化合物が挙げられる。
水酸基を1個のみ有するアルコールとしては、炭素数1〜6のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールがより好ましい。
水酸基を1個のみ有するアルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N’,N’−トリメチル−N−アミノエチルエタノールアミン[(CHNCHCHN(CH)CHCHOH]が挙げられる。
水酸基を有せずかつアミノ基を有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが挙げられる。
カルボン酸金属塩は、炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩である。カルボン酸金属塩は、1分子中に2個以上のカルボキシ基を有していてもよいが、1分子中に1個のカルボキシ基を有するモノカルボン酸の金属塩が好ましい。カルボン酸金属塩は、無水物であっても水和物であってもよい。カルボン酸金属塩としては、例えば、ギ酸金属塩、酢酸金属塩、プロパン酸金属塩、ブタン酸金属塩、又はこれらの無水物若しくはこれらの水和物が挙げられる。硬化物に優れた外観を与える点で、炭素数が少ないほうが好ましく、炭素数1〜3のカルボン酸の金属塩、すなわち、ギ酸、酢酸及びプロパン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸金属塩がより好ましく、炭素数1〜2のカルボン酸の金属塩、すなわち、ギ酸金属塩又は酢酸金属塩がさらに好ましく、ギ酸金属塩、酢酸金属塩又は酢酸金属塩一水和物が特に好ましい。
カルボン酸金属塩を構成する金属としては、1価又は2価の金属が好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属がより好ましい。なかでも、水性硬質ウレタン系セメント組成物中の成分の反応を抑制し、優れた外観を有する硬化物を得るために、カルボン酸金属塩を構成する金属は、ナトリウム、カリウム、カルシウムが好ましく、カリウム、カルシウムがより好ましい。
カルボン酸金属塩としては、優れた外観を有する硬化物を得る点で、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム又はプロパン酸カルシウムが好ましく、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム又は酢酸カルシウム一水和物がより好ましい。カルボン酸金属塩は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
カルボン酸金属塩の含有割合は、水硬性セメントの含有量に対して、0.01〜120質量%が好ましい。上記含有割合は、0.05〜100質量%がより好ましく、0.1〜50質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、カルボン酸金属塩の量が経済的にも適量であり、硬化物に優れた外観を付与しやすい。
本発明における水性硬質ウレタン系セメント組成物は、骨材を含有してもよく、硬化収縮を抑制する観点から、含有することが好ましい。骨材としては、公知の無機系骨材、有機系骨材が使用できる。無機系骨材としては川砂、ケイ砂などの天然ケイ酸質材料、ガラス、セラミックス、電融アルミナ、炭化ケイ素などの無機材料を粉砕したものが使用できる。また、ガラスバルーンやシラスバルーンのような中空材料も使用できる。
無機系骨材の個数分布によるメジアン粒径は、0.05〜4mmが塗り広げ作業性の観点から好ましいが、0.05mm以下の微小なガラス、セラミックス、シラスバルーンを併用してもよい。これらの材料は天然のままの状態でも、粉砕などの加工を施したものでもよく、染料や顔料の使用により人工的に着色されたものでもよい。有機系骨材としては、例えば、プラスチックの粉砕物が使用できる。
骨材の含有量は、水硬性セメント100質量部に対して、硬化収縮の抑制及び塗り広げ作業性の観点から、10〜10000質量部が好ましく、25〜5000質量部がより好ましく、100〜1000質量部がさらに好ましい。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、セメント減水剤を含有することが好ましい。セメント減水剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物系減水剤、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物系減水剤、ポリカルボン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、ポリスチレンスルホン酸系減水剤、フェノールホルムアルデヒド縮合物系減水剤、及びアニリンスルホン酸系減水剤が挙げられる。
セメント減水剤は、界面活性剤的な性質を持ち、水と水酸基を有する化合物を混合して得られる分散液を安定に分散させる乳化剤の役割を果たす。また本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物の流動性を良くし、施工性、作業性を改善できる。
セメント減水剤を含有する場合の含有量は、水硬性セメント100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
また、本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、上記以外に、可塑剤、消泡剤、炭酸ガス吸収剤、顔料などの添加剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、安息香酸グリコールエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オクチル酸グリコールエステルが挙げられる。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物を調製するための各成分の混合方法としては、具体的に次のような方法が挙げられる。すなわち、水酸基を有する化合物、カルボン酸金属塩、及び、任意にセメント減水剤と可塑剤を水に分散させて予め乳化液を調製する。水硬性セメントと任意に骨材を混合してセメント成分を調製する。上記乳化液、セメント成分及びイソシアネート基を有する化合物の3成分を現場で混合して組成物を得る。その後、上記組成物を、施工対象の壁や床などに塗布して硬化させる。
カルボン酸金属塩は、水硬性セメントと任意の骨材と共に分散させることもできる。カルボン酸金属塩は、上記乳化液、セメント成分、ならびに、イソシアネート基を有する化合物の3成分を現場で混合する際に直接加えてもよい。カルボン酸金属塩は、炭酸カルシウムやタルク、水硬性セメント等のカルボン酸金属塩と反応しない粉体に分散した状態で用いてもよい。
水性硬質ウレタン系セメント組成物の硬化反応においては、水硬性セメントと水の水和反応と、水酸基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応及びイソシアネート基を有する化合物と水によるウレア化反応などの複数の反応が同時に進行するため、セメント単独の硬化やウレタン単独の硬化とは反応特性や反応生成物の特徴が大きく異なる。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、水硬性セメント、イソシアネート基を有する化合物、水、水酸基を有する化合物と、カルボン酸金属塩、及び任意にセメント減水剤及び骨材を含有することにより、上記組成物中の成分の反応を抑制し、総合的に硬化反応速度を調整しやすい。すなわち、上記組成物の硬化反応における、水硬性セメントと水の水和反応と、水酸基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応及びイソシアネート基を有する化合物と水によるウレア化反応などを上記カルボン酸金属塩によって抑制することで、総合的に硬化反応速度を調整しやすい。上記反応は、熱により反応が促進される場合があるが、1分子中の炭素の数が1〜4個であるカルボン酸金属塩は、水性硬質ウレタン系セメント組成物に加えたときの発熱が少ないため、急激な反応の進行を抑制できると考えられる。そのため、反応の進行に伴う反応熱が抑制され、上記組成物の粘度を低くでき、作業性が良好となる。これにより、優れた機能を維持しつつ、亀裂、ピンホール及び凹凸がなく、良好な光沢度を有する優れた外観の硬化物が得られる。そのため、施工対象の壁や床の表面に優れた機能及び優れた外観を有する硬化物を施工することができる。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物によれば、光沢度が68以上の優れた外観を有する硬化物が得られる。硬化物の光沢度は、70以上が好ましく、80以上がより好ましい。なお、光沢度は、光沢度計を用い、光の入射角60°で測定した値である。
本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、建築物の床面、階段、又は道路の舗装面などの床面を形成する塗り床材及びその下地調整材に適する。例えば、本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物を床面又は壁に塗布し、その後放置して硬化させることで、優れた外観を有する硬化物を有する床又は壁が得られる。そのため、本発明の水性硬質ウレタン系セメント組成物は、建築物の床や壁の施工に適している。特に、食品工場、化学工場、機械工場などの床や壁などの施工に適している。
以下、本発明を実施例(例1〜11、例19、例21、例22)及び比較例(例12〜18、例20、例23、例24)によって具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。部は質量部を示す。
使用した原料は次のとおりである。
イソシアネート基を有する化合物:ポリメリックMDI
水酸基を有する化合物:
ヒマシ油ポリオール(豊国精油社製、精製ヒマシ油。以下、「ヒマシ油」という。)。
ポリエステルポリオール(クラレ社製、クラレポリオールP−510。以下、「P−510」という。)。
変性ヒマシ油ポリオール(伊藤製油社製、ユーリックH−57。以下、「H−57」という。)。
[評価方法]
(組成物の混合直後の温度変化)
各例の成分を混合した際の反応熱を評価するため、赤外線放射型温度計(テストー社、品番835−H1)を用いて混合後に得られた組成物の表面温度を測定した。混合後約60秒後の組成物の温度と混合前の各成分の温度(23℃)との差が3℃未満のものを「○」とし、3℃以上のものを「×」と判定した。上記温度の差が3度未満であれば、各成分の反応が抑制されていることを示す。
(硬化物の光沢度)
各例で得られた硬化物の表面の光沢度を、光沢度計(スガ試験機社、器番:HG−268、測定角度:60度)で測定した。
(硬化物の外観)
各例で得られた硬化物の表面における、凹凸、ピンホール、亀裂の状態を目視で確認し、硬化物の外観を評価した。異常が確認されなかったものを「A」、凹凸を確認したものを「B」、ピンホール、亀裂を確認したものを「C」とした。
(例1)
34部のヒマシ油、34部のフタル酸ブチルベンジル、1部のポリカルボン酸系減水剤及び0.5部のポリシロキサン系消泡剤を、30部の水の中で撹拌混合し、乳化液Xを調製した。
66部の上記乳化液Xと66部のポリメリックMDI、100部の水硬性セメント及び0.5部のギ酸カルシウムを均一になるまで混合して組成物を得た。また、組成物を温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で24時間硬化させて硬化物を得た。組成物の混合直後の温度変化と硬化物の光沢度並びに外観を、上述の方法で評価した。結果を表1に示す。
(例2〜18)
各成分の配合量を、表1〜2のようにした以外は、例1と同様にして、例2〜18の組成物を得た。例2〜11では、表1に示すように、カルボン酸金属塩として、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カルシウム一水和物又はプロパン酸カルシウムを用いた。例12〜18では、カルボン酸金属塩に変えて、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、クエン酸又はオクチル酸を用いた。例1と同様に各例の組成物を硬化させて、硬化物を得た。得られた組成物及び硬化物について、例1と同様に評価した。結果を例1〜11について表1に、例12〜18について表2に示す。
Figure 0006431237
Figure 0006431237
(例19、20)
骨材を含有した組成物について評価した。カルボン酸金属塩としてギ酸カルシウムを用い、各成分の配合量を、表3のようにした以外は、例1と同様にして、例19及び20の組成物を得た。骨材としては、個数分布によるメジアン粒径が0.4〜0.6mmの乾燥ケイ砂を用いた。また、例1と同様にして硬化物を得た。得られた組成物及び硬化物について、例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006431237
(例21〜24)
34部のP−510、可塑剤として34部のフタル酸ジイソノニル、1部のポリカルボン酸系減水剤及び0.5部のポリシロキサン系消泡剤を、30部の水の中で撹拌混合し、乳化液Yを調製した。
34部のH−57、可塑剤として34部の安息香酸グリコールエステル、1部のポリカルボン酸系減水剤及び0.5部のポリシロキサン系消泡剤を、30部の水の中で撹拌混合し、乳化液Zを調製した。
各成分の配合量を、表4のようにした以外は、例1と同様にして、例21〜24の組成物を得た。また、例1と同様にして硬化物を得た。得られた組成物及び硬化物について、例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 0006431237
水硬性セメント、イソシアネート基を有する化合物、水、水酸基を有する化合物及びカルボン酸金属塩を含む実施例の組成物は、組成物の混合直後の温度変化が小さく、優れた外観を有する硬化物が得られた。これに対し、カルボン酸金属塩を使用しなかった比較例の組成物は、光沢度が低い、又は凹凸、ピンホール、亀裂などが発生したことにより外観が劣るか、組成物の混合直後の温度変化が大きかった。

Claims (8)

  1. 水硬性セメント、1分子中に1つより多いイソシアネート基を有する化合物、水、1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物及び1分子中の炭素の数が1〜4個であるカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩が、ギ酸、酢酸及びプロパン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、水性硬質ウレタン系セメント組成物。
  2. 前記カルボン酸金属塩の含有割合が、前記水硬性セメントの含有量に対して、0.01〜120質量%である、請求項1に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物。
  3. 前記1分子中に1つより多い水酸基を有する化合物は、ヒマシ油、ヒマシ油の誘導体及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる1種以上からなる、請求項1又は2に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物。
  4. さらに、骨材を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物を硬化した硬化物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工した床。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工した壁。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の水性硬質ウレタン系セメント組成物を施工する施工方法。
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