JP6423170B2 - 防汚性合成皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、合成皮革に関する。詳しくは、触感を損なうことなく、防汚性(特に、ジーンズ染料に対する防汚性)および耐モミ性に優れ、インテリア資材、車両内装材として特に好適に用いられる合成皮革に関する。
従来、合成皮革は、ポリウレタン樹脂層と繊維質基材からなり、天然皮革の代替品として、あるいは、天然皮革以上に良好な物性を備えた皮革素材として、衣料、鞄、靴、インテリア資材、車両用内装材など様々な用途で用いられている。なかでも、使用頻度も高く、厳しい条件下で使用することに対処するために車輌内装材や椅子などの用途においては、優れた耐モミ性および柔軟性を有するとともに、高い防汚性が要求されている。特に、合成皮革の色が淡色の場合は汚れが目立ちやすく、衣類染料(特にジーンズ染料)に対する防汚性が要求されている。
合成皮革に防汚性を付与する方法としては、ポリウレタン樹脂層の最外層に防汚剤を含有させる方法が一般的である。例えば、特許文献1には、2液硬化型シリコーン・フッ素樹脂を含む材料を用いて防汚層が形成された合成皮革が提案されている。しかしながら、フッ素系化合物を用いた場合、得られる被膜が粗硬であるために、耐モミ性が損なわれるという課題がある。
特開2008−280657号公報
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、防汚性(特に、ジーンズ染料に対する防汚性)および耐モミ性に優れる合成皮革を提供するものである。
本発明は、繊維質基材の一方の面に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層と、防汚層と、を順次積層してなる合成皮革であって、前記防汚層が乾燥固形分としてフッ素系樹脂25〜45質量%、シリコーン系化合物1〜30質量%、ポリウレタン樹脂3〜20質量%を含んでなることを特徴とする合成皮革である。
前記フッ素系樹脂が、部分フッ素化樹脂およびフッ素化樹脂共重合体の混合物であることが好ましい。
また、前記防汚層の厚みが1〜10μmであり、且つ、破断強度が1〜10MPaであることが好ましい。
本発明によれば、防汚性(特に、ジーンズ染料に対する防汚性)および耐モミ性に優れる合成皮革を提供することができる。
本発明の合成皮革は、繊維質基材の一方の面に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層と、防汚層と、を順次積層してなる合成皮革であって、前記防汚層が乾燥固形分としてフッ素系樹脂25〜45質量%、シリコーン系化合物1〜19.2質量%、ポリウレタン樹脂3〜20質量%を含んでなるものである。
本発明の防汚層は、フッ素系樹脂を用いることにより、防汚層の表面エネルギーが低下するため、撥水・撥油性が高まり、汚れがしみこみにくくなる。また、シリコーン系化合物を用いることにより、防汚層表面の平滑性が向上するため、摩擦による汚れの付着が軽減される。そのため、防汚性(特に、ジーンズ染料に対する防汚性)に優れる。また、ポリウレタン樹脂を用いることで防汚層に柔軟性を付与することにより、耐モミ性に優れる。
本発明に用いられる繊維質基材は、特に限定されるものではなく、織物、編物、不織布などの布帛や、天然皮革(床革含む)を挙げることができ、目的に応じて適宜選択すればよい。また、布帛に、従来公知の溶剤系または水系の高分子化合物、例えば、ポリウレタン樹脂やその共重合体を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いることもできる。布帛において、繊維の種類は特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度や加工性の点から、合成繊維、特にポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。なお、着色に用いられる染料や顔料は特に限定されない。
本発明に係る合成皮革は、上述の繊維質基材の一方の面に、第1の樹脂層として、ポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されたものである。
表皮層の形成に用いられるポリウレタン樹脂は特に限定されるのもではなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、難燃性、耐久性および耐光性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系(無溶媒系)、ホットメルト系、溶剤系、水系を問わず、さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、その目的と用途に応じて適宜選択すればよい。
また、表皮層は、少なくとも一層の樹脂層からなるが、同一または異なる組成の二層以上の樹脂層にて構成することができる。
表皮層の厚みは、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは30〜40μmである。厚みが20μm以上であることにより、均一な樹脂膜を形成しやすくなり、部分的に表皮層が欠落することを防いで、柄の制約を受けず意匠性の良好な合成皮革が得られる。厚みが50μm以下であることにより、風合いが粗硬になることを防いで、十分な柔軟性が得られる。
本発明に係る合成皮革は、繊維質基材の一方の面に積層されたポリウレタン樹脂からなる表皮層の表面に、さらに、第2の樹脂層として、乾燥固形分としてフッ素系樹脂25〜45質量%、シリコーン系化合物1〜30質量%、ポリウレタン樹脂3〜20質量%を含んでなる防汚層が積層されたものである。これにより、防汚性(特に、ジーンズ染料に対する防汚性)および耐モミ性が得られる。なお、本発明において防汚層は、表皮層の表面に形成されて、当該表皮層を防汚する最外層としての樹脂層の総称をいう。
本発明に用いられるフッ素系樹脂としては、部分フッ素化樹脂、フッ素化樹脂共重合体が挙げられ、耐モミ性の観点から、これらの混合物であることが好ましい。
部分フッ素化樹脂としては、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化)、ポリフッ化ビニリデン(二フッ化)、およびポリフッ化ビニルなどが挙げられ、フッ素化樹脂共重合体としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。そのなかでも、部分フッ素化樹脂としてはポリフッ化ビニリデン(二フッ化)が好ましく用いられ、フッ素化樹脂共重合体としては四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体が好ましく用いられる。
また、フッ素系樹脂は、その末端に水酸基を有していることが好ましい。水酸基を有することにより、添加剤として架橋剤を用いた場合に、フッ素系樹脂の水酸基と、イソシアネート基とが縮合することにより、被膜が架橋し、得られる防汚層の強度を向上することができる。
防汚層におけるフッ素系樹脂の含有量(乾燥固形分で換算)は、25〜45質量%であることが肝要であり、30〜40質量%であることが好ましい。フッ素系樹脂の含有量が25質量%以上であることにより、その撥水・撥油性による防汚性が十分に発揮される。45質量%以下であることにより、防汚層の硬化による耐モミ性の低下を防ぐことができる。
本発明に用いられるシリコーン系化合物としては、ストレートシリコーン、変性シリコーン、アクリル−シリコーン共重合体のいずれでもよく、ジメチルシリコーン(即ち、ポリジメチルシロキサン)、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アクリル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステルとポリジメチルシロキサンとの共重合体などを挙げることができ、なかでも、汎用性の観点からジメチルシリコーン、耐水性、耐油性の観点からポリ(メタ)アクリル酸エステルとポリジメチルシロキサンとの共重合体が好ましい。
シリコーン系化合物の形態は、特に限定されないが、加工性の観点から、固体または低流動性液体であることが好ましい。
防汚層におけるシリコーン系化合物の含有量(乾燥固形分で換算)は、1〜19.2質量%であることが肝要であり、10〜20質量%であることが好ましい。シリコーン系化合物の含有量が1質量%以上であることにより、防汚層表面に十分な平滑性を付与し、防汚性を付与することができる。19.2質量%以下であることにより、防汚層表面にシリコーン系化合物によるヌメリが生じることを防ぐため、触感を損なうことなく、防汚性を付与することができる。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、これらを1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、耐久性および耐光性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系(無溶媒系)、ホットメルト系、溶剤系、水系のいずれであっても構わないが、環境負荷の観点から、水系が好ましい。さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、その目的と用途に応じて適宜選択すればよい。
防汚層におけるポリウレタン樹脂の含有量(乾燥固形分で換算)は、3〜20質量%であることが肝要であり、5〜15質量%であることが好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が3質量%以上であることにより、得られる合成皮革の耐モミ性が良好なものとなる。20質量%以下であることにより、防汚性および耐モミ性を阻害することがない。
防汚層には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、架橋剤、増粘剤、レベリング剤、酸化防止剤、耐光向上剤などの任意成分を、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、被膜の架橋密度を向上させることにより、汚れが浸透しにくくなり、防汚性を向上させるという観点から、架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、フッ素系樹脂の官能基と反応してフッ素系樹脂を硬化させるものであればよく、たとえば、イソシアネート化合物やアミノ樹脂類、ポリエポキシ化合物などが挙げられるが、なかでもイソシアネート化合物が好ましい。
防汚層の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。防汚層の厚みが1μm以上であることにより、均一な被膜を形成することができ、防汚性が損なわれることを防ぐ。厚みが10μm以下であることにより、被膜が割れにくくなり、耐モミ性を損なうことを防ぐ。
防汚層の破断強度は、1〜10MPaあることが好ましく、より好ましくは2〜7MPaである。破断強度が1MPa以上であることにより、耐ジーンズ汚れ性が良好となる。10MPa以下であることにより、耐モミ性が良好となる。
なお、防汚層の破断強度は以下のように測定される。実際の防汚層に相当する硬化膜を作成し、該硬化膜から幅30mm、長さ150mmの試験片を3枚採取し、引張試験機オートグラフAG−X(株式会社島津製作所製)に取り付け、つかみ間隔50mm、引張速度100mm/分で引っ張り、破断したときの荷重(P)とフィルム厚み(mm)を測定し、下記式にて破断強度値を算出した。3点の平均値を破断強度とした。
破断強度(MPa)
=P(破断したときの荷重[N])÷(B(硬化膜の幅[cm])×フィルム厚み(mm)÷10)
次に、上記の合成皮革の製造方法について説明する。
該製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のポリウレタン合成皮革と同様の製造方法を採用することができる。具体的には以下のような工程を順に行うことにより本発明の合成皮革が製造できる。すなわち、該製造方法は、
(1)ポリウレタン樹脂組成物を離型性基材上に塗布して、表皮層を形成する工程と、
(2)表皮層上に接着剤を塗布し、繊維質基材と貼り合わせる工程と、
(3)離型性基材を剥離する工程と、
(4)防汚層用樹脂組成物を表皮層上に塗布して、防汚層を形成する工程と、
を含むものである。
離型性基材上にポリウレタン樹脂組成物を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、コンマコーター、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、コンマコーター、ナイフコーターによる塗布が好ましい。
離型性基材は特に限定されるものでなく、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよく、例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、合成皮革の表面に意匠性を付与することができる。
ポリウレタン樹脂組成物の塗布厚または塗布量は、必要に応じて適宜設定すればよい。
ポリウレタン樹脂組成物を離型性基材に塗布した後、必要により熱処理を行う。熱処理は、ポリウレタン樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるとともに、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する被膜を形成するために行われる。
熱処理温度は特に限定されるものではなく、任意で用いられる添加剤に応じて適宜設定することができるが、50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃である。熱処理温度が50℃以上であると、熱処理に時間がかかることがないため、工程負荷が大きくなることはなく、さらに樹脂の乾燥や架橋も十分になされるため、十分な塗膜強度が得られる。熱処理温度が150℃以下であると、得られる合成皮革の風合いに優れる。また、熱処理時間も特に限定されるものではないが、2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは2〜10分間である。熱処理時間が2分間以上であると、樹脂の乾燥や架橋が十分であるため、十分な塗膜強度が得られる。熱処理時間が20分間以下であると、加工速度が遅くなることがないため、工程負荷が大きくなることはない。
熱処理には、例えば、ループ式乾燥機、ネット式ドライヤー、オーブン、ヒートセッターなど従来公知の装置を、特に制限なく用いることができる。
次いで、表皮層上に接着剤を塗布し、繊維質基材と貼り合わせる。
接着剤としては、表皮層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができ、なかでも耐久性の観点からポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
接着剤を塗布する方法は、公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、コンマコーター、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。
次いで、離型性基材を剥離する。
なお、表皮層を複数形成する場合は、離型性基材上に表皮層を形成した後、接着剤を塗布する前に、該表皮層表面にさらにポリウレタン樹脂組成物を塗布して形成する方法や、表皮層から離形成基材を剥離した後、該表皮層表面に、ポリウレタン樹脂組成物を塗布して形成する方法を採用することができる。塗布する方法、および、塗布後の熱処理については、上述の表皮層の形成と同様の方法が採用できる。
最後に防汚層を形成する。
防汚層を形成するために、防汚層用樹脂組成物を表皮層上に塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、ロータリースクリーンプリント、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも、均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、ロータリースクリーンプリント、リバースロールコーターによる塗布が好ましい。
防汚層用樹脂組成物の塗布厚または塗布量は、防汚層の必要厚さに応じて適宜設定すればよい。塗布量は3〜33g/mであることが好ましく、さらに好ましくは6〜26g/mである。塗布量を3〜33g/mにすることにより、目的の厚みを有する防汚層が得られる。
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、防汚層用樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるとともに、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する被膜を形成するために行われる。
熱処理温度は特に限定されるものではなく、任意で用いられる添加剤に応じて適宜設定することができるが、50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃である。熱処理温度が50℃以上であると、熱処理に時間がかかることがないため工程負荷が大きくなることはなく、さらに樹脂の乾燥や架橋も十分になされるため十分な塗膜強度が得られる。熱処理温度が150℃以下であると、得られる合成皮革の風合いに優れる。また、熱処理時間も特に限定されるものではないが、2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは2〜10分間である。熱処理時間が2分間以上であると、樹脂の乾燥や架橋が十分であるため、十分な塗膜強度が得られる。熱処理時間が20分間以下であると、熱処理に時間がかかることがないため工程負荷が大きくなることはない。
かくして、本発明の合成皮革が得られる。ただし、本発明の合成皮革を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は質量基準であるものとする。
[実施例1]
(表皮層の形成)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、ジメチルホルムアミド40質量部を加え、粘度を約2,000mPa・s(B型粘度計、ローター:No.3、10rpm、23℃)になるように調整して、第1のポリウレタン樹脂組成物を調製した。該樹脂組成物を離型紙に、コンマコーター(商品名:コンマコーター、株式会社ヒラノエンテック製)にて、塗布厚200μmになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理して、第1の表皮層を形成した。第1の表皮層の厚さは、30μmであった。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、ジメチルホルムアミド50質量部を加え、粘度を約4,500mPa・s(B型粘度計、ローター:No.3、10rpm、23℃)になるように調整して、接着剤溶液を調製した。調製した接着剤溶液を、上述の第1の表皮層に、コンマコーター(商品名:コンマコーター、株式会社ヒラノエンテック製)にて、塗布厚200μmになるように塗布し、乾燥機にて100℃で1分間処理した。接着剤塗布面と繊維質基材のポリエステルトリコット編地表面とを合わせて392.3kPaで4秒間プレス圧着した後、離型紙を剥離した。
次いで、水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(粘度約2,000mPa・s)を第2のポリウレタン樹脂組成物として、上述の第1の表皮層表面にリバースコーター(商品名「JUMBOSTAR−SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量が40g/mになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理した。第2の表皮層の厚さは、7μmであった。得られた表皮層の厚さは、合わせて37μmであった。
(防汚層の形成)
下記の処方1に従い調製した防汚層用樹脂組成物を、上述の第2の表皮層表面に、リバースコーター(商品名「JUMBOSTAR−SR」、Ge.Ma.Ta.SpA製)にて、ウェット塗布量20g/mになるように塗布し、乾燥機にて130℃で2分間処理した。防汚層の厚さは、6μmであった。なお、防汚層用樹脂組成物の粘度は、5,000mPa・s(B型粘度計、ローター:No.3、10rpm、23℃)であった。
処方1(防汚層用樹脂組成物)
1)フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン(2フッ化)、四フッ化エチレン・
六フッ化プロピレン共重合体、固形分20質量%):70質量部
2)シリコーン系化合物水分散液(ジメチルシリコーン、固形分20質量%):20質量部
3)ウレタン樹脂(ポリカーボネート系ウレタン樹脂、固形分20質量%):20質量部
4)架橋剤(イソシアネート系架橋剤、固形分100質量%):16質量部
5)増粘剤(ウレタン系増粘剤、固形分50質量%):6質量部
6)レベリング剤(ノニオン系界面活性剤、固形分100質量%):1質量部
かくして、実施例1の合成皮革を得た。得られた合成皮革の防汚層は、乾燥固形分としてフッ素系樹脂を31.6質量%、シリコーン系化合物を14.2質量%、ポリウレタン樹脂を9.0質量%含んでいた。
得られた合成皮革を評価した結果、触感、耐防汚性、耐モミ性、全て良好であった。
[実施例2〜8および比較例1〜6]
防汚層用樹脂組成物を表1に従って作製した以外は、全て実施例1と同様にして合成皮革を作製した。
作製された合成皮革について、耐防汚性、耐モミ性、および触感の評価を次の方法によって行い、結果を表1に記載した。
[耐防汚性(ジーンズ染料に対する防汚性)]
(1)付着性
直径38mmにカットしたデニム片(EMPA277、Testfabrics社製)を、純水を入れたビーカーの底に沈め、30秒間浸漬した。ビーカーから取り出したデニム片の水滴を、ガーゼで軽くふき取った。
そして、ISO12947-1に準拠したマーチンデイル試験機に、直径140mmにカットした試験片を両面テープでセットした。上記デニム片を取り付けた摩擦子に、荷重12kPaをかけて、60mmストロークのリサジュー図形運動で、250回転摩擦して、試験片に汚れを付着させた。
(2)除去性
50mm四方にカットした綿布(JIS L0803準拠かなきん3号)に、レザークリーナー(マツダ純正レザークリーナー)をしみこませた。
(1)で得られた汚れを付着した試験片を、JIS L0849に準拠したクロックメーター試験機に、両面テープを用いてセットした。上記綿布を取り付けた摩擦子に、荷重9Nをかけて、摩擦往復距離100mm、60回/分サイクルで30回摩擦して、試験片の汚れを拭き取った。
JIS L0805に準拠した汚染用グレースケールにて、汚れ付着前と、汚れ付着後、汚れ除去後の試験片の状態を等級評価した。汚れ付着後の等級が3級以上、汚れ除去後の等級が4級以上を合格とした。
[耐モミ性]
幅30mm、長さ120mmの大きさでタテ、ヨコ各方向からそれぞれ2枚ずつ試験片を採取した。同一方向の2枚の試験片について、その裏面側を内側にして重ね合わせ、スコット型耐もみ摩耗試験機(大栄科学精器製作所製)のつかみ具の間隔を30mmとして試験片を取り付けた。2枚の試験片が互いに開いて分離した状態となるように、つかみ具の間隔を次第に狭め、試験片同士の表面が軽く触れてから荷重をかけて、荷重が9.8Nとなるまでその間隔を狭めた。ストロークを50mmとし、120回/分サイクルにて1000回、2000回、2500回のモミ操作を行った。モミ操作後の試験片の表面状態を観察し、下記の基準に従って判定した。2000回以上で「○」の評価を得たものを合格とした。
○ : 表面に亀裂、破れが認められない
× : 表面に亀裂、破れが発生した
[触感]
パネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○ : ヌメリを感じない
△ : ややヌメリを感じる
× : ヌメリを感じる
Figure 0006423170

Claims (3)

  1. 繊維質基材の一方の面に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層と、防汚層と、を順次積層してなる合成皮革であって、前記防汚層が乾燥固形分としてフッ素系樹脂25〜45質量%、シリコーン系化合物1〜19.2質量%、ポリウレタン樹脂3〜20質量%を含んでなることを特徴とする合成皮革。
  2. 前記フッ素系樹脂が、部分フッ素化樹脂およびフッ素化樹脂共重合体の混合物である、請求項1に記載の合成皮革。
  3. 前記防汚層の厚みが1〜10μmであり、且つ、破断強度が1〜10MPaである、請求項1または2に記載の合成皮革。
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