JP6421844B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録紙に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置において、インクジェットヘッドからインクを吐出したときにインク滴の一部が記録紙に着弾できずにインクミストとなって機内を浮遊し、各種の不具合を発生させることがある。従来のインクジェット記録装置では、このようなインクミスト対策として、吸引によるインクミストの浮遊抑制や、静電気によるインクミストの浮遊抑制などの方法が採用されている。
特許文献1には、インクミストを静電吸着するミスト吸引手段を有するインクジェット記録装置が開示されている。このミスト吸引手段は、ノズルプレートをアース接続することにより、ノズルプレートと電極部材との間に電位差を発生させ、電極部材にインクミストを吸着することができる。また、特許文献2には、インクジェットヘッドに取り付けた導電性ブラシとノズルプレートをアース接続して同電位としたインクジェットプリンターが開示されている。この構成では、導電性ブラシの先端が記録紙に接触するため、記録紙とノズルプレートが同電位となり、ノズルプレートと記録紙の間が無電界状態となる。従って帯電したインクミストや紙粉がノズルプレート側に引き付けられるのを抑制できる。
特開2009−241578号公報 特開2011−156779号公報
特許文献1、2の構成は、ノズルプレートやその周囲の部材の電位をコントロールすることによってインクミストの浮遊あるいは付着を抑制している。しかしながら、インクミストが電荷を帯びていると、インクジェット記録装置の機内に発生する電界や静電気の影響を受けることは避けられず、吸引手段等で捕集しきれないインクミストは機内で何らかの不具合を発生させるおそれがある。また、特許文献1、2の構成は、アース接続のための配線や電極が必要であり、構成が複雑になるという問題点もある。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、電荷を帯びたインクミストによる不具合を簡単な構成で抑制できるインクジェット記録装置を提案することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(適用例1)記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、前記インクジェットヘッドおよびキャリッジの一方もしくは両方に貼付された除電部材と、を有し、当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
この構成によれば、インクジェット記録装置は、非接触で周囲の物体を除電できる除電部材をインクジェットヘッドあるいはキャリッジに搭載している。従来、インクジェットヘッドからインクが吐出される際には、記録紙に向かって飛ぶインク滴本体の後端部分が分離して微細なインク滴になり、これが電荷を帯びて浮遊状態となってインクミスト化していた。本発明では、除電部材によってインク滴から電荷を除去できるため、従来はインクミスト化していた微細なインク滴がインク滴本体と共に記録紙に落下しやすく、微細なインク滴の浮遊が抑制される。また、微細なインク滴が浮遊状態となったとしても、インク滴の帯電を抑制できるため、インク滴が静電気を帯びた部材に引き付けられて不具合を発生させるのを抑制できる。更に、除電部材を貼付するだけで済み、アース接続を行う必要がないため、構成が簡単である。
(適用例2)前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構を有し、前記除電部材は、前記キャリッジの走査区間の一端側への移動時に進行方向を向いている前記キャリッジもしくは前記インクジェットヘッドの側面、および、前記走査区間の他端側への移動時に進行方向を向いている前記キャリッジもしくは前記インクジェットヘッドの側面の一方もしくは両方に貼付されていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
キャリッジおよびインクジェットヘッドを走査してインクを吐出する場合、走査時に進行方向を向いている側面付近には、負圧等によってインク滴が引き付けられる。従って、走査時に進行方向を向いている側面に除電部材を配置することにより、インク滴を効果的に除電でき、インク滴が電荷を帯びた状態で浮遊するのを抑制できる。
(適用例3)前記キャリッジの走査区間の一端は、前記記録媒体の上から前記インクジェットヘッドが退避している待機位置であり、前記除電部材は、前記待機位置から前記走査区間の他端側へ移動するときに進行方向を向いている前記キャリッジもしくは前記インクジェットヘッドの側面に貼付されていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
インクジェット記録装置では、印刷待機時には、インクジェットヘッドを待機位置に移動させて待機させており、待機位置においてインクノズルを正常な状態に保つためにフラッシング動作を行う。従って、走査区間の他端側を向いた面に除電部材を配置することにより、フラッシング動作中に発生したインク滴が機内に浮遊するのを抑制できる。
(適用例4)前記インクジェットヘッドは、インクノズルが形成されたノズルプレートを備え、当該ノズルプレートに前記除電部材が貼付されていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
この構成によれば、インクノズル付近でインク滴を除電できるため、吐出されたインク滴本体から微細なインク滴が分離する際にその帯電を抑制できる。従って、分離した微細インク滴が電荷を帯びて浮遊するのを抑制でき、インク滴本体と共に記録媒体に落下するのを促進できる。
(適用例5)記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、除電部材と、を有し、前記除電部材は、その1つの面が前記インクジェットヘッドと対向可能な位置に配置されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
この構成によれば、インクジェット記録装置は、非接触で周囲の物体を除電できる除電部材をインクジェットヘッドと対向可能な位置に配置している。従来、インクジェットヘッドからインクが吐出される際には、記録紙に向かって飛ぶインク滴本体の後端部分が分離して微細なインク滴になり、これが電荷を帯びて浮遊状態となってインクミスト化していた。本発明では、除電部材によってインク滴から電荷を除去できるため、従来はインクミスト化していた微細なインク滴がインク滴本体と共に記録紙に落下しやすく、微細なインク滴の浮遊が抑制される。また、微細なインク滴が浮遊状態となったとしても、インク滴の帯電を抑制できるため、インク滴が静電気を帯びた部材に引き付けられて不具合を発生させるのを抑制できる。更に、除電部材を貼付するだけで済み、アース接続を行う必要がないため、構成が簡単である。
(適用例6)前記インクジェットヘッドを規定の移動経路に沿って移動させるヘッド移動機構を有し、前記除電部材は、前記1つの面が前記移動経路に晒されていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
インクジェットヘッドが移動する構成では、インクジェットヘッドの移動に起因して発生する気流により電荷を帯びた微細なインク滴が浮遊しやすくなる。従って、除電部材の1つの面を移動経路に晒しておけば、移動経路内を浮遊する微細なインク滴から電荷を除去できる。
(適用例7)前記インクジェットヘッドによる前記記録媒体への印刷位置を経由して延びる媒体搬送路を有し、前記ヘッド移動機構は、前記インクジェットヘッドを搭載するキャリッジ、前記媒体搬送路の前記印刷媒体が搬送される方向に直交する幅方向に延びるキャリッジガイド軸、および、前記キャリッジを前記キャリッジガイド軸に沿って移動させるキャリッジ移動機構を備え、前記除電部材は、前記キャリッジガイド軸に対向して配置されていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
キャリッジガイド軸とキャリッジの間には、これらの摺動によって静電気が発生しやすい。従って、キャリッジガイド軸は帯電しやすく、電荷を帯びた微細なインク滴がインクジェットヘッドからキャリッジガイド軸の近傍に引き寄せられてくる。この構成のように、インクジェットヘッドおよびキャリッジガイド軸に対向するように除電部材を配置しておけば、キャリッジガイド軸の近傍に引き寄せられてくる微細なインク滴から電荷を除去できる。
(適用例8)前記移動経路に沿って延びるフレームを有し、前記除電部材は、前記フレームに取り付けられていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
この構成によれば、移動経路に沿った広い範囲で、除電部材の1つの面を移動経路に晒すことができる。
(適用例9)前記移動経路を間に挟んで前記インクジェットヘッドの移動方向の前方および後方に配置された一対の側方フレームを有し、前記除電部材は、一対の前記側方フレームの少なくとも一方に取り付けられていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
この構成によれば、インクジェットヘッドの移動に伴う正圧によって移動方向の前方に移動する電荷を帯びた微細なインク滴や、インクジェットヘッドの移動に伴う負圧によって移動方向の後方で舞い上がる電荷を帯びた微細なインク滴を除電部材により電荷を除去できる。
(適用例10)前記インクジェットヘッドおよび前記ヘッド移動機構を収納しており、内側に前記移動経路が形成されている外装ケースを有し、前記外装ケースは、前記移動経路の少なくとも一部分を開閉する開閉蓋を備え、前記除電部材は、前記開閉蓋の内側面に取り付けられていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
このような開閉蓋は、外装ケースの内側のメンテナンス用に設けられるものであり、移動経路に隣接して設けられている。従って、開閉蓋に除電部材を取り付ければ、インクジェットヘッドの移動に伴い発生する気流によって舞い上がる電荷を帯びた微細なインク滴を除電部材によって電荷を除去できる。
(適用例11)前記インクジェットヘッドによる印刷位置を経由して延びる前記媒体搬送路を有し、前記ヘッド移動機構は、前記媒体搬送路の幅方向の一方側に外れた第1外側位置と他方側に外れた第2外側位置との間で前記インクジェットヘッドを往復移動させ、前記第1外側位置には、前記インクジェットヘッドをメンテナンスするためのヘッドメンテナンス機構が配置されており、前記第2外側位置には、前記インクジェットヘッドのインクノズル面と対向可能な下側フレームが設けられており、前記除電部材は、前記下側フレームに取り付けられていることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
この構成によれば、第2外側位置は、印刷ヘッドを媒体搬送路の幅方向に移動させながら媒体搬送路を搬送される記録用紙に印刷を行うときに、記録用紙の紙幅方向の紙端部分の印刷に際してインクジェットヘッドを退避させる空間となっており、このような空間は空気の流路となりやすい。すなわち、電荷を帯びた微細なインク滴は第2外側位置に設けられた空間を介して筐体内の各所へと移動する。従って、かかる空間に配置された下側フレームに除電部材を取り付ければ、電荷を帯びた微細なインク滴の筐体内の各所への移動を防止或いは抑制できる。
(適用例12)前記除電部材は、導電性短繊維を含む繊維素材をシート状に形成した除電布であることを特徴とする上記のインクジェット記録装置。
この構成によれば、導電性部材の短繊維を織り込んだ除電布は、低い電荷で無数のコロナ放電を発生させることができ、非接触で高い除電性能を持つ除電部材となる。
本発明によれば、除電部材によってインク滴から電荷を除去できるため、従来はインクミスト化していた微細なインク滴の記録媒体への落下を促進でき、微細なインク滴の浮遊を抑制できる。また、微細なインク滴が浮遊状態となったとしても、インク滴の帯電を抑制できるため、インク滴が静電気を帯びた部材に引き付けられて不具合を発生させるのを抑制できる。更に、除電部材を貼付するだけで済み、アース接続を行う必要がないため、構成が簡単である。
本発明を適用したプリンターを前側から見た外観斜視図。 プリンターの内部構成を示す概略縦断面図。 図1のプリンターの斜視図であり、外装ケースおよび排紙トレイを取り外したプリンターをプリンター後方の斜め上方から見た図。 図1のプリンターの印刷ヘッド、ヘッド移動機構、インク流路をプリンター前方の斜め下方から見た場合の斜視図。 第1実施形態の第1変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図。 第1実施形態の第2変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図。 第1実施形態の第3変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図。 外装ケースを外した第2実施形態に係るプリンターをプリンター前方から見た斜視図。 外装ケースを外した第2実施形態に係るプリンターをプリンター後方から見た斜視図。 第3実施形態に係るプリンターの開閉蓋を開けた状態を示す斜視図。
(第1実施形態)
以下、本発明を適用したインクジェット記録装置の実施の形態であるインクジェットプリンターについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
(プリンターの全体構成について)
まず、本発明を適用したインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という)の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明を適用したプリンターを前側から見た外観斜視図である。なお、図1に示すX方向は、印刷用紙の幅方向を示し、Y方向は、印刷用紙の排出方向を示し、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向を示す。
図1に示すように、プリンター1は、プリンター本体部2と反転ユニット3とを備えている。プリンター本体部2は、全体としてプリンター幅方向Xに長い直方体形状をしている。プリンター本体部2の背面の中央部分には凹部4が形成されており、ここに、反転ユニット3が装着されている。反転ユニット3は、シート状の記録媒体である印刷用紙P(図2参照)の表裏を反転させた状態で当該印刷用紙Pをプリンター本体部2に戻すためのユニットである。
プリンター本体部2には、給紙カセット装着部5が設けられている。給紙カセット装着部5は、プリンター本体部2の前面におけるプリンター上下方向Zの下側部分において、プリンター前方(プリンター前後方向Yの前方)に開口している。給紙カセット装着部5には、プリンター前方から給紙カセット6が着脱可能に装着されている。給紙カセット装着部5の上側には排紙トレイ7が取り付けられている。排紙トレイ7の前端部分はプリンター本体部2からプリンター前方に突出している。排紙トレイ7の上側には、プリンター後方(プリンター前後方向Yの後方)に延びる矩形の排紙口8が形成されている。
プリンター本体部2の外装ケース9は、排紙口8の上側の前面部分に操作面9aを備えている。操作面9aには、電源スイッチや状態表示ランプ等が配列されている。外装ケース9において、排紙トレイ7および排紙口8の両側のプリンター前面部分には、矩形の開閉扉9b,9cが取り付けられている。これらの開閉扉9b,9cを開けると、インクカートリッジ装着部10(図3参照)が開口し、インクカートリッジ(不図示)の交換等を行うことができる。外装ケース9におけるプリンター上面部分は略平坦な面となっており、その中央部分には、メンテナンス用の開閉蓋11が取り付けられている。
(プリンターの内部構成について)
次いで、プリンターの内部構成について図2を参照して説明する。図2は、プリンターの内部構成を示す概略縦断面図である。図2に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。図2に示すように、プリンター1の内側には、印刷用紙供給路12、本体側搬送路13および反転用搬送路14が形成されている。印刷用紙供給路12および本体側搬送路13は、プリンター本体部2の外装ケース9の内側に形成されており、反転用搬送路14は反転ユニット3の内部に形成されている。
印刷用紙供給路12は、給紙カセット6に積層状態で収納されている所定寸法の印刷用紙Pを本体側搬送路13に供給する搬送経路である。印刷用紙供給路12および給紙カセット6は本体側搬送路13の下側に配置されている。印刷用紙供給路12は、給紙カセット装着部5におけるプリンター前後方向Yの後端部分から、プリンター後方に向けて斜め上方に延び、プリンター前方に湾曲して、本体側搬送路13に繋がっている。給紙カセット6に収納されている印刷用紙Pは、給紙ローラー15によって印刷用紙供給路12に送り出される。送り出された印刷用紙Pは、リタードローラー16と搬送ローラー17のニップ部を介して1枚ずつ送り出され、搬送ローラー17と従動ローラー18のニップ部を介して、本体側搬送路13に向けて搬送される。
本体側搬送路13は、プリンター前後方向Yに略水平に直線状に延びて排紙口8に至る搬送経路である。本体側搬送路13に沿って、プリンター後方からプリンター前方に向かって順に、紙端センサー20、紙送りローラー対21、印刷ヘッド22(インクジェットヘッド)、第1排紙ローラー対23および第2排紙ローラー対24が配置されている。
紙端センサー20および印刷ヘッド22は本体側搬送路13の上方に位置している。本体側搬送路13において印刷ヘッド22に対向する印刷位置Aにはプラテン25が印刷ヘッド22と所定のギャップを開けて配置されている。印刷ヘッド22は、インクジェットヘッドであり、ヘッド移動機構26によって本体側搬送路13の幅方向と一致するプリンター幅方向Xに往復移動させられる。ヘッド移動機構26は、印刷ヘッド22を搭載するキャリッジ27と、プリンター幅方向に延びているキャリッジガイド軸28と、キャリッジガイド軸28に沿ってキャリッジ27を移動させるキャリッジ移動機構29と、キャリッジモーター30を備えており、これらは本体側搬送路13の上方に配置されている。
搬送ローラー17および従動ローラー18、紙送りローラー対21、第1排紙ローラー対23および第2排紙ローラー対24は、印刷用紙Pを本体側搬送路13に沿って搬送する本体側搬送機構31を構成している。本体側搬送機構31は給紙カセット6のプリンター幅方向Xの側方に配置された搬送モーター32により駆動される。本体側搬送機構31は、搬送モーター32の正方向への駆動によって印刷用紙Pをプリンター前方に向かって搬送し、搬送モーター32の逆方向への駆動によって印刷用紙Pをプリンター後方に向かって搬送する。印刷ヘッド22による印刷は、印刷用紙Pが印刷位置Aをプリンター前方に向かって通過する際に行われる。
反転用搬送路14は、本体側搬送路13に対して、プリンター上下方向Zの下側に配置されており、全体として、プリンター上下方向Zにループを描く搬送経路である。反転用搬送路14には、当該反転用搬送路14に沿って印刷用紙Pを搬送する反転用搬送機構40として、第1反転用搬送ローラー対41と第2反転用搬送ローラー対42が配置されている。反転用搬送機構40は、反転用搬送路14の内側に配置された反転用搬送モーター43により駆動される。反転用搬送機構40は、本体側搬送路13から送りこまれる印刷用紙Pを反転用搬送路14に沿って図2における時計回りに搬送する。印刷用紙Pは、反転用搬送路14を経由することによって表裏が反転した状態となり、本体側搬送路13に戻される。
プリンター1によって両面印刷が行われる際には、まず、給紙カセット6に収納されている印刷用紙Pが給紙ローラー15によって印刷用紙供給路12に送り出される。また搬送モーター32が正方向に駆動され、印刷用紙供給路12に送り出された印刷用紙Pがリタードローラー16および搬送ローラー17により搬送されて、本体側搬送路13に送り出される。本体側搬送路13に送り出された印刷用紙Pは、本体側搬送機構31によってプリンター前方に搬送され、印刷位置Aを通過させられる。印刷位置Aでは、印刷ヘッド22をプリンター幅方向Xに移動させながらインク滴を吐出する印刷動作が本体側搬送機構31による印刷用紙Pの搬送動作に同期して行われる。これにより、印刷用紙Pの表面に印刷が施される。
印刷用紙Pの表面への印刷が終了すると、搬送モーター32は逆方向に駆動される。また、反転用搬送モーター43が駆動される。搬送モーター32の駆動により、印刷用紙Pは、本体側搬送機構31によってプリンター後方に向かって搬送されて、本体側搬送路13から反転用搬送路14に送り込まれる。反転用搬送路14に送り込まれた印刷用紙Pは、反転用搬送機構40によって反転用搬送路14に沿って搬送され、表裏が反転した状態で本体側搬送路13に戻される。
本体側搬送路13に戻された印刷用紙Pは、再び本体側搬送機構31によってプリンター前方に搬送され、印刷ヘッド22による印刷位置Aを通過させられる。印刷位置Aでは、印刷ヘッド22をプリンター幅方向Xに移動させながらインク滴を吐出する印刷動作が本体側搬送機構31による印刷用紙Pの搬送動作に同期して行われる。これにより、印刷用紙Pの裏面に印刷が施される。印刷用紙Pの裏面への印刷が終了すると、本体側搬送機構31は印刷用紙Pを更にプリンター前方に搬送して、排紙口8より排出する。
(ヘッド移動機構および印刷ヘッドの移動経路について)
次いで、ヘッド移動機構および印刷ヘッドの移動経路について、図2〜図4を参照して説明する。図3は、図1のプリンターの斜視図であり、外装ケースおよび排紙トレイを取り外したプリンターをプリンター後方の斜め上方から見た図である。図4は、図1のプリンターの印刷ヘッド、ヘッド移動機構、インク流路をプリンター前方の斜め下方から見た場合の斜視図である。図3および図4に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。
図2および図3に示すように、キャリッジ27は、キャリッジガイド軸28よりもプリンター前方に印刷ヘッド22を支持している。キャリッジ移動機構29およびキャリッジモーター30は、キャリッジガイド軸28よりもプリンター後側に構成されている。
キャリッジガイド軸28の一方の端部分は、プリンター幅方向Xの一方側の端部分でプリンター前後方向および上方に延びている第1側方フレーム45(図3参照)に支持されている。第1側方フレーム45は本体側搬送路13とは所定の間隔を開けて配置されている。キャリッジガイド軸28の他方の端部分は、プリンター幅方向Xの他方側の端部分で第1側方フレーム45と平行に延びている第2側方フレーム46に支持されている。第2側方フレーム46は本体側搬送路13とは所定の間隔を開けて配置されている。キャリッジ移動機構29は第1側方フレーム45の近傍と第2側方フレーム46の近傍にそれぞれ配置された一対のプーリー47(図4参照)と、これら一対のプーリーの間に架け渡されたタイミングベルト48(図4参照)を備えている。タイミングベルト48はキャリッジガイド軸28に沿って架け渡されている。タイミングベルト48にはキャリッジ27が接続されており、一方のプーリー47にはキャリッジモーター30の駆動力が伝達される。従って、キャリッジモーター30の駆動によりタイミングベルト48が回転し、これにより、キャリッジ27がキャリッジガイド軸28に沿って移動する。
本体側搬送路13と第1側方フレーム45の間は、印刷ヘッド22およびキャリッジ27のホームポジションHP(待機位置)となっている。ホームポジションHPには印刷ヘッド22のメンテナンス機構50が配置されている。メンテナンス機構50は、ホームポジションHPに配置された印刷ヘッド22のインクノズル面22aに対向するように配置されたヘッドキャップ51と、ヘッドキャップをインクノズル面22aに接近する方向および離れる方向に昇降させるキャップ昇降機構(不図示)を備えている。印刷ヘッド22は、プリンター1が待機状態となるとヘッド移動機構26によってホームポジションHPに移動し、ヘッドキャップ51によってそのインクノズル面22aが覆われる。また、印刷ヘッド22は、予め定めた一定時間を経過する毎にヘッド移動機構26によってホームポジションHPに移動し、ヘッドキャップ51に向かってインク滴を吐出させるフラッシング動作を行う。フラッシング動作は、インクの増粘などにより発生するノズルの目詰まりを解消するメンテナンス動作である。
本体側搬送路13と第2側方フレーム46との間は、印刷ヘッド22およびキャリッジ27のアウェイポジションAPである。アウェイポジションAPは、印刷ヘッド22をプリンター幅方向Xに移動させながら本体側搬送路13を搬送される印刷用紙Pに印刷を行うときに、印刷用紙Pの紙幅方向の紙端部分の印刷に際して印刷ヘッド22を本体側搬送路13から外側に退避させる空間である。
印刷ヘッド22およびキャリッジ27は、ホームポジションHPとアウェイポジションAPの間をキャリッジガイド軸28に沿って直線的に往復移動する。従って、ホームポジションHPを一端とし、アウェイポジションAPを他端とする区間が、印刷ヘッド22およびキャリッジ27の走査区間Sとなる。印刷ヘッド22には可撓性のインク流路49(図4参照:図3では不図示)が接続され、インク流路49を介して印刷ヘッド22がインクカートリッジ(不図示)に接続されている。ホームポジションHPとアウェイポジションAPの間を印刷ヘッド22が移動するとき、インク流路49は印刷ヘッド22の動きに追従して変形する。
(除電部材の配置について)
ここで、除電部材の配置について、同じく図4を参照して説明する。
印刷ヘッド22としてインクジェットヘッドを搭載するプリンターでは、印刷動作時やフラッシング動作時に、印刷ヘッド22から吐出されたインク滴の一部が印刷用紙Pに向かって飛ぶインク滴本体から分離して、印刷用紙Pやヘッドキャップ51に達するまでの間にインクミストとなって外装ケース9の内部を浮遊することがある。浮遊したインク滴(インクミスト)は外装ケース9内の部品に付着して、これらを汚してしまう。また、インクミストは印刷ヘッド22のインクノズル面22aの帯電やプラテン25の帯電に起因して電荷を帯びるので、紙端センサー20などのセンサー類や制御基板など電荷を帯びた部品に付着して、これらに不具合を発生させることもある。かかる問題に対して、本例のプリンター1では、図4に示すように、キャリッジ27の側面の一部に、インク滴の電荷を非接触で除去する除電部材としての除電布70(第1の除電布71)が取り付けられている。
なお、以降の説明で、除電部材としての除電布全般をいうときは除電布70といい、個別の除電布をいうときは、例えば、第1の除電布71、第2の除電布72、第3の除電布73のようにいう。
図4は、印刷ヘッド22およびキャリッジ27がホームポジションHPに移動した状態を示している。この図に示すように、キャリッジ27の底面27aの中央部には開口が形成され、この開口から、印刷ヘッド22の下端に設けられたノズルプレート80がプリンター上下方向Zの下方に突出している。ノズルプレート80の底面81にはインクノズルが形成されており、底面81は印刷ヘッド22のインクノズル面22aを構成している。
キャリッジ27の底面27aには、ノズルプレート80に対してアウェイポジションAP側に隣接する位置に、下向きに突出する直方体形状の突出部位27bが形成されている。第1の除電布71は、この突出部位27bのアウェイポジションAP側を向いた側面27cに貼付されている。側面27cは、印刷ヘッド22およびキャリッジ27がアウェイポジションAP側(走査区間Sの一端側)へ移動するときに進行方向を向く側面である。突出部位27bは、底面27aからの突出寸法がノズルプレート80よりも小さく、側面27cは、インクノズル面22aよりも上方に位置している。
除電布70は、導電性短繊維を含む繊維素材をシート状に形成した不織布である。より詳しくは、極細の繊維をシート状に形成した不織布に導電性ポリマーを含浸させたものである。なお、不織布とは異なる形態、例えば、織り地や編み地に導電性短繊維を織り込んだ形態にすることもできる。除電布70に含まれる導電性短繊維は、いわゆる針先電極等と同様に電荷の集中しやすい断面を多数備えているため、低い電圧でコロナ放電が発生する。従って、非接触状態の物体が帯びた電荷をコロナ放電によって除去する非接触除電機能を備えている。よって、インク滴の電荷を非接触で除去することができる。また、除電布70は、導電性短繊維を含む不織布の裏面に粘着剤層が設けられ、除電テープとして用いることができる形態となっている。
以上のように、本例のプリンター1は、キャリッジ27の底面27aに設けられた突出部位27bの側面27cに第1の除電布71を貼付しているため、インクノズル面22aから吐出されるインク滴本体から分離する微細なインク滴の電荷を除去できる。従って、従来はインクミスト化していたこれらのインク滴がインク滴本体と共に印刷用紙に落下しやすくなっており、微細なインク滴の浮遊が抑制されている。また、微細なインク滴が浮遊状態となったとしても、インク滴の帯電を抑制できるため、インク滴が静電気を帯びた部材に引き付けられて不具合を発生させるのを抑制できる。更に、第1の除電布71を貼付するだけで済み、アース接続を行う必要がないため、構成が簡単である。
また、本例のプリンター1では、第1の除電布71が貼付された側面27cは、キャリッジ27がアウェイポジションAP側へ移動するときに進行方向を向く側面である。この側面27cに第1の除電布71が貼付されていると、印刷待機中にホームポジションHPにおいて印刷ヘッド22からメンテナンス機構50に向けてインクを吐出するフラッシング動作を行うとき、本体側搬送路13とホームポジションHPとの境界位置において、フラッシング動作によって生じたインク滴の電荷を除去できる。従って、フラッシング動作によって生じたインクミストが本体側搬送路13へ流出するのを抑制できる。また、アウェイポジションAP側の側面は、機内を浮遊するインク滴の通路に面した部位であるため、ここに第1の除電布71を配置することにより、浮遊しているインク滴の電荷を除去できる。更に、印刷動作中には、印刷ヘッド22およびキャリッジ27がアウェイポジションAPへ向かう途中に、第1の除電布71を貼り付けた側面27c付近に負圧が発生するので、印刷用紙Pに向けてインクを吐出する際に発生する微細なインク滴を効果的に除電できる。従って、インク滴が電荷を帯びた状態で浮遊するのを抑制できる。
ここで、突出部位27bよりも上方に位置するキャリッジ27の他の側面に除電布70を貼り付けてもよい。例えば、ホームポジションHP側(走査区間Sの他端側)に移動するときに進行方向を向くキャリッジ27の側面に除電布70を貼り付けることもできる。ホームポジションHP側を向いたキャリッジ27の側面に除電布70を貼り付けた場合には、印刷ヘッド22およびキャリッジ27がホームポジションHPに戻るときに除電布70の近傍が負圧になる。従って、印刷ヘッド22およびキャリッジ27がホームポジションHPに戻る途中のインク吐出によって発生したインク滴の浮遊を抑制できる。また、ホームポジションHP側を向いた側面と、アウェイポジションAP側を向いた側面27cの両方に除電布70を貼り付けることもできる。
(第1実施形態の変形例について)
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、上記第1実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば第1実施形態の変形例は、以下の通りである。
(第1変形例)第1変形例について、図5を参照して説明する。図5は、第1変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図である。図5に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。
上述のように、印刷ヘッド22は、ノズルプレート80の部位がキャリッジ27の底面27aから図中Z方向に突出している。図4、図5に示すように、ノズルプレート80は、アウェイポジションAP側に移動するときに進行方向(X方向)を向く側面82a、および、側面82aに隣接する側面82b,82cの3側面が外部に露出した状態になっている。一方、側面82aの裏側に位置する側面は、キャリッジ27の底面27aからZ方向下向きに突出したリブによって覆われている。
本例では、図5に示すように、アウェイポジションAP側に移動するときに進行方向を向く印刷ヘッド22の部位であるノズルプレート80の側面82aに、第2の除電布72を貼り付けている。このように、印刷ヘッド22の側面の一部が外部に露出している場合には、この側面に第2の除電布72を貼り付けることにより、上記形態と同様の効果が得られる。また、ホームポジションHPに戻るときに進行方向を向くノズルプレート80の側面が外部に露出していれば、この面に第2の除電布72を貼り付けることもできる。更に、キャリッジ27と印刷ヘッド22(ノズルプレート80)の両方の側面に第2の除電布72を貼り付けることもできる。
(第2変形例)第2変形例について、図6を参照して説明する。図6は、第2変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図である。図6に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。
ノズルプレート80は、インクノズルが形成された底面81を備えている。図6に示すように、第2変形例では、底面81に第3の除電布73および第4の除電布74が貼り付けられている。第3の除電布73は、底面81におけるアウェイポジションAP側の端部に貼り付けられており、第4の除電布74は、底面81におけるホームポジションHP側の端部に貼り付けられている。第3の除電布73および第4の除電布74は、底面81におけるインクノズルの形成部位を印刷ヘッド22の走査方向の両側から挟むように配置されている。このようにすると、インクノズルから吐出されるインク滴に最も近い位置でインク滴を除電でき、吐出されたインク滴本体から微細なインク滴が分離する際にその帯電を抑制できる。
(第3変形例)第3変形例について、図7を参照して説明する。図7は、第3変形例の除電布の貼り付け位置を示す斜視図である。図7に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。
上述のように、印刷ヘッド22は、ノズルプレート80の部位がキャリッジ27の底面27aから図中Z方向に突出している。但し、印刷ヘッド22も、プリンター1の用途や使用される印刷用紙Pの種類によって、種々の改造が加わる場合がある。例えば、図7に示すように、アウェイポジションAP側に移動するときに進行方向(X方向)を向くノズルプレート80の側面82aやホームポジションHPに戻るときに進行方向(X方向)を向くノズルプレート80の側面82dが、キャリッジ27の底面27aからZ方向下向きに突出した複数のリブ35によって覆われている場合がある。
このリブ35は、キャリッジ27のX方向の移動時に、例えば印刷用紙Pの膨らみとノズルプレート80の側面82a,83dとが干渉して紙ジャム等の不具合が発生することを防ぐ目的で設けられる。このようなリブ35が設けられている場合は、第5の除電布75を、ノズルプレート80の側面82a,82dのリブ35とリブ35との間にそれぞれ貼り付ければよい。このように第5の除電布75を貼り付けることにより、上記形態と同様の効果が得られる。
(第2実施形態)
ここで、第2実施形態について、図8および図9を参照して説明する。図8は、外装ケースを外した第2実施形態に係るプリンターをプリンター前方から見た斜視図であり、図9は、外装ケースを外した第2実施形態に係るプリンターをプリンター後方から見た斜視図である。図8および図9に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。なお、第1実施形態と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
(ヘッド移動機構および印刷ヘッドの移動経路について)
図8および図9に示す第2実施形態に実施形態に係るヘッド移動機構および印刷ヘッドの移動経路は、第1実施形態に係るヘッド移動機構および印刷ヘッドの移動経路とほぼ同一な構成および機能を有する。
図8および図9に示すように、本体側搬送路13と第2側方フレーム46との間は、印刷ヘッド22のアウェイポジションAPである。アウェイポジションAPは、印刷ヘッド22をプリンター幅方向Xに移動させながら本体側搬送路13を搬送される印刷用紙Pに印刷を行うときに、印刷用紙Pの紙幅方向の紙端部分の印刷に際して印刷ヘッド22を本体側搬送路13から外側に退避させる空間である。アウェイポジションAPには、アウェイポジションAPに配置された印刷ヘッド22のインクノズル面22aと対向可能な下側フレーム53(図9参照)が設けられている。
印刷ヘッド22は、ホームポジションHPとアウェイポジションAPとの間をキャリッジガイド軸28に沿って直線的に移動する。従って、ホームポジションHPとアウェイポジションAPを含み、ホームポジションHPとアウェイポジションAPの間でこれらを連続させている空間が印刷ヘッド22の移動経路Sとなる。
なお、本例のプリンター1は、移動経路Sのプリンター後方の位置、すなわち、タイミングベルト48のプリンター後方の隣接位置に、第1側方フレーム45と第2側方フレーム46の上端側部分に架け渡された後側フレーム55を備えている。また、移動経路Sのプリンター前方の位置、すなわち、印刷ヘッド22のプリンター前方の隣接位置に、第1側方フレーム45と第2側方フレーム46の上端側部分に架け渡された前側フレーム56を備えている。後側フレーム55および前側フレーム56は互いに平行な状態でプリンター幅方向Xに延びている。前側フレーム56は、印刷ヘッド22にインクを供給する可撓性のインク流路49の一部分を支持している。
(除電部材について)
ここで、印刷ヘッド22としてインクジェットヘッドを搭載するプリンター1では、印刷動作時やフラッシング動作時に、印刷ヘッド22から吐出されたインク滴の一部が印刷用紙Pやヘッドキャップ51に達するまでの間にインクミストとなって外装ケース9の内部を浮遊することがある。浮遊したインクミストは外装ケース9内の部品に付着して、これらを汚してしまう。また、インクミストは印刷ヘッド22のインクノズル面22aの帯電やプラテン25の帯電に起因して電荷を帯びるので、紙端センサー20などのセンサー類や制御基板など電荷を帯びた部品に付着して、これらに不具合を発生させることもある。
かかる問題に対して、第2実施形態に係るプリンター1には、外装ケース9の内側の複数個所にインク滴の電荷を非接触で除去する除電部材としての除電布70(第6〜第8の除電布76〜78)が取り付けられている。複数の除電布70のそれぞれは、その一方の面が印刷ヘッド22と対向可能な位置に配置されている。すなわち、各除電布70は、一方の面が移動経路Sに晒されている。
図8に示すように、第6の除電布76は接着剤により後側フレーム55に貼り付けられている。後側フレーム55は印刷ヘッド22の移動経路Sに沿って延びているので、第6の除電布76を後側フレーム55に貼り付けることにより、広い範囲に渡ってその面を移動経路Sに晒すことができる。ここで、移動経路Sでは、印刷ヘッド22の移動に起因して発生する気流によりインクミストが浮遊しやすい。従って、第6の除電布76を後側フレーム55に貼り付けておけば、浮遊するインク滴の電荷を非接触で除去することができる。
さらに、キャリッジガイド軸28とキャリッジ27との間には、これらの摺動によって静電気が発生しやすい。従って、キャリッジガイド軸28は帯電しやすく、帯電しているインクミストがキャリッジガイド軸28の近傍に引き寄せられてくる。また、タイミングベルト48とプーリー47の間にも、これらの摺動によって静電気が発生しやすい。従って、タイミングベルト48は帯電しやすく、帯電しているインク滴がタイミングベルト48の近傍に引き寄せられてくる。よって、キャリッジガイド軸28と対向する位置に第6の除電布76を配置することにより、浮遊するインク滴の電荷を非接触で除去することができる。そのため、インク滴がプリンター1内に付着することを低減でき、記録媒体に落下され排出されることを促進できる。
第7の除電布77は、図9に示すように、接着剤により前側フレーム56に貼り付けられている。前側フレーム56は移動経路Sに沿って延びているので、第7の除電布77を前側フレーム56に貼り付けることにより、広い範囲に渡ってその面を移動経路Sに晒すことができる。また、前側フレーム56は印刷ヘッド22に隣接する位置に設けられているので、前側フレーム56に第7の除電布77を貼り付けておけば、印刷ヘッド22の移動に起因して発生する気流により浮遊するインク滴の電荷を非接触で除去することができる。
第8の除電布78は、接着剤によりアウェイポジションAPの下側フレーム53に貼り付けられている。アウェイポジションAPは、印刷ヘッド22を退避させるために空間となっており、このような空間は空気の流路となりやすい。従って、下側フレーム53に第8の除電布78を貼り付けてその面を印刷ヘッド22と対向可能としておけば、インク滴の電荷を非接触で除去することができる。そのため、この空間を介して電荷を帯びたインク滴が外装ケース9内の各所へと移動することを防止或いは抑制できる。
(第2実施形態の変形例について)
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、上記第2実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記第2実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
(第1変形例)上記の第2実施形態では、後側フレーム55、前側フレーム56および下側フレーム53に第6〜第8の除電布76〜78を配置しているが、これに限定されない。これらのうちの少なくとも一つのフレームに除電布70を配置すれば、インク滴の電荷を非接触で除去することができる。
(第2変形例)また、後側フレーム55、前側フレーム56および下側フレーム53に加えて、第1側方フレーム45のホームポジションHPの側の面、第2側方フレーム46のアウェイポジションAPの側の面の少なくとも一方に除電布70を貼り付けてもよい。このようにすれば、印刷ヘッド22のプリンター幅方向Xへの移動に伴う正圧によって移動方向の前方に移動するインク滴の電荷や、印刷ヘッド22の移動に伴う負圧によって移動方向の後方で舞い上がるインク滴の電荷を除電布70によって非接触で除去できる。
(第3実施形態)
ここで、第3実施形態について、図10を参照して説明する。図10は、第3実施形態に係るプリンターの開閉蓋を開けた状態を示す斜視図である。なお、第1実施形態および第2実施形態と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
第3実施形態では、後側フレーム55、前側フレーム56および下側フレーム53に第6〜第8の除電布76〜78を配置している場合を例に説明したが、これに限定されない。図10に示すように、第3実施形態に係るプリンター1は、外装ケース9に設けられた開閉蓋11の内側面に第9の除電布79を取り付けてもよい。開閉蓋11は、印刷ヘッド22の移動経路Sの上方の一部分を開放状態とするものであり、印刷位置Aで印刷用紙Pがジャミング状態に陥った場合などに、印刷用紙Pを本体側搬送路13から取り除く復旧作業を行う際に開閉される。開閉蓋11は、移動経路Sに隣接して設けられているので、開閉蓋11の内側面に第9の除電布79を取り付ければ、その面を移動経路Sに晒すことができる。よって、印刷ヘッド22の移動に伴い発生する気流によって舞い上がるインク滴の電荷を第9の除電布79によって非接触で除去することができる。
(変形例について)
以上、本発明の第1〜3実施形態について説明したが、上記第1〜3実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記第1〜3実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
(第1変形例)上記の第1〜3実施形態は、シリアル型のインクジェットプリンター1に除電布70を取り付けた例であるが、これに限定されない。印刷ヘッド22が移動しないライン型のインクジェットプリンターに除電布70を取り付けても、外装ケース9内を浮遊するインク滴の電荷を非接触で除去することができる。この場合には、除電布70を印刷ヘッド22と対応する位置に配置すればよい。
(第2変形例)上記の第1実施形態は、除電布70を、印刷ヘッド22が搭載されるキャリッジ27もしくは印刷ヘッド22等に配置する場合を例にあげ説明した。第2および第3実施形態は、除電布70を、印刷ヘッド22が搭載されたキャリッジ27の移動領域に係る範囲に配置する場合を例にあげ説明した。しかし、これらに限定しない。除電布70の配置は、これらの組み合わせでも構わない。双方を合わせた効果が期待できる。
1…インクジェット記録装置としてのプリンター、2…プリンター本体部、3…反転ユニット、4…凹部、5…給紙カセット装着部、6…給紙カセット、7…排紙トレイ、8…排紙口、9…外装ケース、9a…操作面、9b、9c…開閉扉、10…インクカートリッジ装着部、11…開閉蓋、12…印刷用紙供給路、13…本体側搬送路、14…反転用搬送路、15…給紙ローラー、16…リタードローラー、17…搬送ローラー、18…従動ローラー、20…紙端センサー、21…紙送りローラー対、22…印刷ヘッド、22a…インクノズル面、23…第1排紙ローラー対、24…第2排紙ローラー対、25…プラテン、26…ヘッド移動機構、27…キャリッジ、27a…底面、27b…突出部位、27c…側面、28…キャリッジガイド軸、29…キャリッジ移動機構、30…キャリッジモーター、31…本体側搬送機構、32…搬送モーター、35…リブ、40…反転用搬送機構、41…第1反転用搬送ローラー対、42…第2反転用搬送ローラー対、43…反転用搬送モーター、45…第1側方フレーム、46…第2側方フレーム、47…プーリー、48…タイミングベルト、49…インク流路、50…メンテナンス機構、51…ヘッドキャップ、70…除電部材としての除電布、71〜79…第1〜第9の除電布、80…ノズルプレート、81…底面、82a,82b,82c…側面、A…印刷位置、AP…アウェイポジション、HP…ホームポジション(待機位置)、P…印刷用紙、S…走査区間。

Claims (8)

  1. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、を有し、
    前記キャリッジには底部から突出した突出部が設けられ、
    前記突出部には、除電部材が、前記キャリッジの走査区間の一端側への移動時に進行方向を向いている前記突出部の側面、および、前記走査区間の他端側への移動時に進行方向を向いている前記突出部の側面の少なくともいずれか一方に取り付けられ、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インクジェットヘッドは、インクノズルが形成されたノズルプレートを備え、
    前記除電部材は、前記ノズルプレートより上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、を有し、
    前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリ
    ッジ移動機構と、を有し、
    前記キャリッジおよび前記キャリッジ移動機構を収納しており、内部にキャリッジの移動経路が形成されている外装ケースを有し、
    前記外装ケースの前記キャリッジの移動領域上方の内側に除電部材が取り付けけられ、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、を有し、
    前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリ
    ッジ移動機構と、を有し、
    前記キャリッジの移動領域上方には、前記移動経路の少なくとも一部分を開閉する開閉蓋を備え、
    前記キャリッジの移動領域上方の前記開閉蓋の内側面には、除電部材が取り付けられ、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、
    前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリ
    ッジ移動機構と、を有し、
    前記移動経路を間に挟んで前記インクジェットヘッドの移動方向の前方および後方に配置された一対の側方フレームを有し、
    前記一対の前記側方フレームの少なくとも一方に除電部材が取り付けられ、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、
    前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリ
    ッジ移動機構と、
    前記インクジェットヘッドによる印刷位置を経由して延びる媒体搬送路と、を有し、
    前記媒体搬送路の幅方向から外れた位置には、前記インクジェットヘッドのインクノズル面と対向可能な下側フレームが設けられており、
    前記下側フレームには除電部材が取り付けられ、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    当該インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、
    前記キャリッジを前記記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に往復移動させるキャリ
    ッジ移動機構と、
    前記インクジェットヘッドによる印刷位置を経由して延びる媒体搬送路と、
    前記キャリッジをガイドし、前記媒体搬送路の前記印刷媒体が搬送される方向に直交する幅方向に延びるキャリッジガイド部と、を備え、
    前記キャリッジガイド部に対向して除電部材が配置され、
    当該除電部材は、非接触状態の物体の電荷を除去可能に構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 前記除電部材は、導電性短繊維を含む繊維素材をシート状に形成した除電布であること
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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