JP2019064060A - 記録装置 - Google Patents

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Kinya Ozawa
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Abstract

【課題】記録ヘッドから液体を噴射したときに発生して浮遊するミストを記録ヘッドに付着させることなく効果的に回収できる記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置は、ノズルプレート28と対向する位置を通過するように搬送される媒体Pに対してノズルプレートに形成されたノズル開口27から液体を噴射する記録ヘッド25を内部に有する装置本体と、ノズルプレートと対向する位置を挟んで媒体の搬送方向における上流側及び下流側に配置される上流側電極部32及び下流側電極部33と、を備え、上流側電極部及び下流側電極部は、電圧の印加に伴い上流側電極部と下流側電極部との間に電界が形成されるように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、媒体に液体を噴射して記録を行う記録装置に関する。
従来、この種の記録装置として、例えば特許文献1に記載の液体噴射装置がある。この液体噴射装置は、ノズルプレートに形成されたノズルから液体を噴射する記録ヘッドと、ノズルから液体が噴射された際に発生する霧状の微細な液滴(以下、「ミスト」という。)を吸着する吸収部材と、を備えている。吸収部材は、導電性材料を含んでおり、上下方向においてノズルプレートとの間に僅かな間隔をおいて対向するように配置されている。
そして、この液体噴射装置では、吸収部材にプラスの電圧を印加するとともに、ノズルプレートを接地させることにより、上下方向で対向する吸収部材とノズルプレートとの間に電界が形成されるようにしている。すなわち、吸収部材にはプラスの電荷が誘起される一方、ノズルプレートにはマイナスの電荷が誘起されるようにし、ノズルプレートのノズルからの噴射によりマイナスに帯電して浮遊するミストを、逆極性のプラスの電位にある吸収部材の方向に向かわせて吸収部材に吸着されるようにしている。
特開2004−202867号公報
上記の液体噴射装置では、ノズルプレートと同極(例えばマイナス)に帯電したミストを、逆極性(例えばプラス)の電位にある吸収部材に向かわせて吸着させているが、液体の噴射に伴い発生するミストのうちにはノズルプレートと逆極性に帯電するものもある。すなわち、飛翔する液滴から空気抵抗により分離してできるミストには、相対的に大きい粒のミストと相対的に小さい粒のミストがある。そして、相対的に大きい粒のミストは、ノズルプレートのノズルから噴射された液滴と同様にノズルプレートと同極のマイナスに帯電する一方で、相対的に小さい粒のミストは、ノズルプレートと逆極性のプラスに帯電することがある。そのため、このようにプラスに帯電したミストは、相対的に小さい粒であることから浮遊した状態となって、例えばプラスの電位にある吸収部材側に向かうよりも、むしろマイナスの電位にあるノズルプレート側に引き寄せられて記録ヘッドに付着してしまう虞があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録ヘッドから液体を噴射したときに発生して浮遊するミストを記録ヘッドに付着させることなく効果的に回収できる記録装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する記録装置は、ノズルプレートと対向する位置を通過するように搬送される媒体に対して前記ノズルプレートに形成されたノズル開口から液体を噴射する記録ヘッドを内部に有する装置本体と、前記ノズルプレートと対向する位置を挟んで前記媒体の搬送方向における上流側及び下流側に配置される上流側電極部及び下流側電極部と、を備え、前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、電圧の印加に伴い前記上流側電極部と前記下流側電極部との間に電界が形成されるように構成されている。
この構成によれば、電圧の印加に伴い上流側電極部と下流側電極部との間に電界が形成される。すなわち、ノズルプレートと平行な方向である横方向に電界が形成されることになる。そのため、ノズルプレートと直交する方向である縦方向に電界が形成される場合とは異なり、記録ヘッドに向けてミストが舞い上がることを抑制でき、浮遊しているミストを上流側電極部又は下流側電極部が位置する側に引き寄せて回収することができる。
上記記録装置において、前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、前記ノズルプレートと対向する方向に対して交差する方向であって且つ前記媒体の搬送方向と交差する方向へ互いに平行に延びるように配設されていることが好ましい。
この構成によれば、ノズルプレートの直下の狭い空間内で浮遊しているミストを、そのノズルプレートの直下領域の外側に広がる広い空間に向けて流れ出ようとする気流の流れも利用して、その気流の流れ方向と交差するように延びる上流側電極部又は下流側電極部に向けて移動させることができる。
上記記録装置において、前記ノズルプレートと対向する位置には、前記搬送方向に搬送される前記媒体を支持可能な支持面が設けられ、前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、前記ノズルプレートと対向する方向において、前記支持面よりも前記ノズルプレートからは離れた位置に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、ノズルプレートの直下の空間内に浮遊しているミストを媒体が支持される支持面よりもノズルプレートから離れた位置において回収できるので、支持面上を通過する媒体が汚れる虞を低減できる。
上記記録装置において、前記上流側電極部と前記下流側電極部とは電圧が印加されたときの極性が異なるように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、浮遊しているミストがプラスに帯電している場合及びマイナスに帯電している場合の何れの場合にも、電位がプラス及びマイナスの何れかである上流側電極部及び下流側電極部の位置する側にミストを引き寄せて回収することができる。
上記記録装置において、前記媒体の搬送方向における前記上流側電極部と前記下流側電極部との間の距離は、前記ノズルプレートと対向する方向における前記上流側電極部又は前記下流側電極部と前記ノズルプレートとの間の距離よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、電圧の印加に伴い、仮に、上流側電極部又は下流側電極部とノズルプレートとの間に電界が形成されるとしても、上流側電極部と下流側電極部との間の電界強度の方が優るため、ノズルプレートの側にミストが舞い上がることを効果的に抑制できる。
上記記録装置において、前記記録ヘッドは、帯電材料で構成され、前記装置本体には、導電材料で構成された除電部材が設けられ、前記記録ヘッドは、前記除電部材により除電可能とされていることが好ましい。
この構成によれば、帯電した記録ヘッドにはミストが引き寄せられやすいが、除電部材により除電することにより、そうしたミストの引き寄せを抑制できる。
上記記録装置において、前記記録ヘッドは、前記媒体の搬送方向と交差する方向に移動自在な移動体に搭載され、前記移動体が移動する方向における第1端側及び第2端側の少なくとも一方の位置には、前記除電部材が接地された状態で前記移動体に対して接触可能に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、移動体が帯電した場合にも、その移動体が移動する方向の第1端側及び第2端側の少なくとも一方の位置において除電部材と接触することで除電される。そのため、浮遊しているミストが移動体に付着することを抑制できる。
上記記録装置において、前記記録ヘッドは、前記媒体の搬送方向と交差する方向に移動自在な移動体に搭載され、前記除電部材は、前記移動体に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、移動体が帯電した場合にも、その移動体をグランドに接続するための配線構造を要することなく、簡単な構成で除電することができ、浮遊しているミストが移動体に付着することを抑制できる。
第1実施形態の記録装置の概略構成を模式的に示す側面図。 媒体支持部の一部を示す平面図。 図2における3−3線矢視の断面図。 第2実施形態の記録装置における要部の概略構成を模式的に示す正面図。 図4の状態から記録ヘッドが除電のために移動した状態を示す正面図。 第3実施形態の記録装置における要部の概略構成を模式的に示す正面図。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の記録装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の記録装置11は、筐体となる装置本体11Aを有し、装置本体11Aの内部には、媒体Pを積層状態にして収容可能な媒体収容部12と、媒体Pに対して液体を噴射することで記録を行う記録部13と、媒体収容部12から媒体Pを記録部13に向けて搬送する媒体搬送部14と、を備えている。すなわち、本実施形態における記録装置11は、媒体搬送部14により搬送される用紙等の媒体Pに対してインク等の液体を噴射することによって記録を行うインクジェット式のプリンターで構成されている。
媒体搬送部14は、媒体収容部12内に積層された複数枚の媒体Pのうち最上位の媒体Pに接触して回転することにより、媒体Pを一枚ずつ記録部13が位置する下流側に給送する給送ローラー15を備えている。媒体Pの給送方向において給送ローラー15よりも下流側には、給送される媒体Pの幅方向でもあるX軸方向に沿う軸16を中心にして回転する反転ローラー17が設けられている。この反転ローラー17は、その周面に媒体Pを巻き付けた状態で、図1において反時計方向に回転することにより、媒体収容部12から給送ローラー15が送り出した媒体Pを反転させて下流側に給送する。
反転ローラー17の周囲には、反転ローラー17との間に媒体Pを挟んで従動回転する2つの従動ローラー18,19が回転自在に設けられている。2つの従動ローラー18,19のうち給送方向で下流側に位置する従動ローラー19よりも更に下流側に給送された媒体Pは、図1において二点鎖線で示す搬送経路に沿って搬送される。すなわち、下流側の従動ローラー19の斜め下方となる位置には、媒体Pが記録部13に向かう搬送方向であるY軸方向に沿って搬送されるように媒体Pをガイドする斜面を有したガイド部材20が設けられている。
さらに、媒体搬送部14は、ガイド部材20よりも搬送方向の下流側に、第1搬送ローラー対21と第2搬送ローラー対22とを備えている。媒体Pの搬送方向(Y軸方向)において、第1搬送ローラー対21は記録部13よりも上流側に設けられ、第2搬送ローラー対22は記録部13よりも下流側に設けられている。第1搬送ローラー対21及び第2搬送ローラー対22は、それぞれ駆動ローラーと従動ローラーとからなり、媒体PをY軸方向に沿う水平な状態にして搬送するように構成されている。そして、記録部13を通過した媒体Pは下流側の第2搬送ローラー対22により更に下流側に搬送されて装置本体11Aの内部から外部に排出される。
図1及び図2に示すように、記録部13は、第1搬送ローラー対21及び第2搬送ローラー対22により挟持されて下流側に搬送される媒体Pを支持する媒体支持部23を備えている。媒体支持部23は、媒体Pの幅方向であるX軸方向を長手方向とする平面視矩形状をなす支持台であり、そのX軸方向の長さは媒体Pの幅寸法よりも長い。また、鉛直方向であるZ軸方向において、媒体支持部23の上方となる位置にはガイド軸24がX軸方向に延びるように架設されている。そして、そのガイド軸24には、液体を噴射する記録ヘッド25を搭載した移動体26が、媒体Pの幅方向となる主走査方向(X軸方向)に往復移動するように支持されている。この点で、本実施形態の記録装置11は、記録方式が記録ヘッドを搭載した移動体を媒体の搬送方向と交差する方向に移動させて記録を行う、所謂シリアル方式のプリンターである。
図2及び図3に示すように、移動体26は、直方体形状をなしており、その全体が帯電材料の一例であるプラスチック等の合成樹脂材で形成されている。記録ヘッド25も、主として帯電材料であるプラスチック等の合成樹脂材で形成されている。そして、その記録ヘッド25において移動体26の下面から下方に突出した下端には、液体を噴射する多数のノズル開口27が形成されたノズルプレート28が、媒体支持部23に対して上下方向で対向する下面を鉛直方向であるZ軸方向に対して直交させるようにして取り付けられている。すなわち、記録ヘッド25は、媒体支持部23により支持されつつノズルプレート28と対向する位置を搬送方向(Y軸方向)の下流側へ通過するように搬送される媒体Pに対して、ノズル開口27から液体を噴射することで記録を行う。因みに、ノズルプレート28は、導電材料であるステンレス等の金属材料で構成され、グランドに繋がる配線によって接地されている。
媒体支持部23は、鉛直方向であるZ軸方向において記録ヘッド25のノズルプレート28と対向する側になる上側の領域に、複数のリブ29を有している。これら複数のリブ29は、媒体Pの幅方向となる主走査方向(X軸方向)に間隔をおいた複数の位置に媒体Pの搬送方向(Y軸方向)に沿って延びるように設けられている。そして、これらのリブ29において記録ヘッド25のノズルプレート28と対向する上面が、搬送方向(Y軸方向)に搬送される媒体Pを支持可能な支持面30を構成している。
また、媒体支持部23上において複数のリブ29の間となる領域には、液体を吸収可能な吸収部材31が配置されている。吸収部材31は、例えばスポンジ等の多孔質材料で形成されたマット体であり、媒体Pから外れるように記録ヘッド25から噴射された液体や記録ヘッド25からの液体の噴射時に発生した微細な霧状の液滴であるミストを吸収可能である。そして、図3に示すように、吸収部材31は、鉛直方向であるZ軸方向において記録ヘッド25のノズルプレート28と対向する上面が、リブ29において媒体Pをその裏面に接触して支持する支持面30よりも、ノズルプレート28からは離れた方向となる下方に位置している。
また、媒体支持部23は、吸収部材31において記録ヘッド25のノズルプレート28と対向する上面側とは反対側となる下面側に、上流側電極部32及び下流側電極部33を有している。すなわち、上流側電極部32及び下流側電極部33は、ノズルプレート28と対向する方向(Z軸方向)において吸収部材31よりもノズルプレート28から離れた位置に設けられている。そのため、上流側電極部32及び下流側電極部33は、媒体Pを支持するリブ29の支持面30よりもノズルプレート28からは離れた位置に設けられていることになる。
図2及び図3に示すように、上流側電極部32と下流側電極部33は、長尺の板状部材であり、鉛直方向であるZ軸方向において記録ヘッド25のノズルプレート28と対向する位置OPを挟んで媒体Pの搬送方向(Y軸方向)における上流側に上流側電極部32が配置されると共に、下流側に下流側電極部33が配置されている。そして、上流側電極部32と下流側電極部33とは、ノズルプレート28と対向する方向(Z軸方向)に対して交差する方向(X軸方向又はY軸方向)であって且つ媒体Pの搬送方向(Y軸方向)と交差する方向であるX軸方向へ互いに平行に延びるように配設されている。
上流側電極部32及び下流側電極部33は、導電材料であるステンレス等の金属材料で構成され、上流側電極部32にはマイナスの電圧を印加するための電源34が接続される一方、下流側電極部33にはプラスの電圧を印加するための電源35が接続されている。すなわち、上流側電極部32と下流側電極部33とは、各電源34,35から電圧が印加されたときの極性が異なるように構成されている。そして、各電源34,35からの電圧の印加に伴い、上流側電極部32と下流側電極部33との間には図3に白抜き矢印で示すように電界が形成されるようになっている。
また、図3に示すように、上流側電極部32と下流側電極部33は、媒体Pの搬送方向(Y軸方向)において上流側と下流側とに距離L1だけ隔てた各位置に配置されている。この上流側電極部32と下流側電極部33の間の距離L1は、ノズルプレート28と対向する方向(Z軸方向)において、上流側電極部32(または下流側電極部33)とノズルプレート28との間の距離L2よりも短い。そのため、上流側電極部32及び下流側電極部33に各電源34,35から電圧が印加されたとき、ノズルプレート28も導電材料で構成されていることから、ノズルプレート28と上流側電極部32(または下流側電極部33)との間に電界が形成されたとしても、上流側電極部32と下流側電極部33との間の電界強度の方が優ることになる。
次に、上記のように構成された記録装置11の作用について、記録ヘッド25から液体が噴射されたときに発生したミストを回収する際の作用に着目して説明する。
さて、記録ヘッド25におけるノズルプレート28のノズル開口27から液体が媒体Pに向けて噴射されることにより媒体Pには文字、図形等の画像が記録される。このとき、媒体支持部23上の媒体Pに向けてノズルプレート28のノズル開口27から液滴として噴射された液体は、記録ヘッド25内の図示しない圧電素子を駆動するために印加された駆動電圧(通常はプラスの電圧)の影響を受けてプラスに帯電した状態で媒体支持部23側に飛翔する。そして、その液滴は、飛翔の途中で、プラスに帯電したままで媒体P側に飛翔を続ける相対的に大粒の主液滴Mdと、その主液滴Mdから空気抵抗により分離してマイナスに帯電した状態で浮遊する相対的に小粒の副液滴(ミスト)Sdとに分離する。
そして、この場合において、上流側電極部32と下流側電極部33とに電圧を印加すると、互いに距離L1を隔てた上流側電極部32と下流側電極部33との間、及び、互いに距離L2を隔てたノズルプレート28と上流側電極部32(または下流側電極部33)との間に電界が形成される。この場合、ノズルプレート28と上流側電極部32(または下流側電極部33)との間には、ノズルプレート28と直交する方向である縦方向に電界が形成される。一方、上流側電極部32と下流側電極部33との間には、ノズルプレート28と平行な方向である横方向に電界が形成される。そして、この場合において、距離L1の方が距離L2よりも短いため、縦方向の電界よりも横方向の電界の方が強度的に優る。
そのため、マイナスに帯電した状態で浮遊する相対的に小粒のミストである副液滴Sdは、強度的に優る横方向の電界の影響を受けて、記録ヘッド25側となる縦方向には舞い上がり難くなる。そして、図3に太い矢印で示すように、媒体支持部23と記録ヘッド25との間においては、ノズルプレート28の直下で流路抵抗が相対的に大きい狭い空間からその外側の広い空間に向けて気流が流れるようになる。すると、この気流の流れと横方向の電界の作用により、マイナスに帯電した状態で浮遊する相対的に小粒の副液滴(ミスト)Sdは、電源35からの電圧の印加によりプラスの電位にある下流側電極部33に向けて引き寄せられる。すなわち、気流の流れ方向と交差するように延びる下流側電極部33に向けて移動し、その移動途中で支持面30よりも下方に位置する吸収部材31に付着して吸収されることにより、舞い上がって記録ヘッド25や移動体26に付着するようなこともなく、好適に回収される。
なお、媒体支持部23上を浮遊する相対的に小粒の副液滴(ミスト)Sdのうちには、マイナスではなくプラスに帯電している副液滴(ミスト)Sdが存在することもあるが、その場合には、電源34からの電圧の印加によりマイナスの電位にある上流側電極部32に向けて引き寄せられ、同様に、吸収部材31に吸収されることにより回収される。
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1−1)電源34,35からの電圧の印加に伴い、搬送方向(Y軸方向)に距離L1を隔てて位置する上流側電極部32と下流側電極部33との間に電界が形成される。すなわち、ノズルプレート28と平行な方向である横方向に電界が形成されることになる。そのため、ノズルプレート28と直交する方向である縦方向に電界が形成される場合とは異なり、記録ヘッド25に向けてミスト(副液滴Sd)が舞い上がることを抑制でき、浮遊しているミストを上流側電極部32又は下流側電極部33が位置する側に引き寄せて回収することができる。
(1−2)ノズルプレート28の直下の狭い空間内で浮遊しているミスト(副液滴Sd)を、そのノズルプレート28の直下領域の外側に広がる広い空間に向けて流れ出ようとする気流の流れも利用して、その気流の流れ方向と交差するように延びる上流側電極部32又は下流側電極部33に向けて移動させることができる。
(1−3)ノズルプレート28の直下の空間内に浮遊しているミスト(副液滴Sd)を媒体Pが支持される支持面30よりもノズルプレート28から離れた位置において回収できるので、支持面30上を通過する媒体Pが汚れる虞を低減できる。
(1−4)浮遊しているミスト(副液滴Sd)がプラスに帯電している場合及びマイナスに帯電している場合の何れの場合にも、電位がプラス及びマイナスの何れかである上流側電極部32及び下流側電極部33の位置する側にミストを引き寄せて回収することができる。
(1−5)電圧の印加に伴い、仮に、上流側電極部32(又は下流側電極部33)とノズルプレート28との間に電界が形成されるとしても、上流側電極部32と下流側電極部33との間の電界強度の方が優るため、ノズルプレート28の側にミスト(副液滴Sd)が舞い上がることを効果的に抑制できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の記録装置11について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態との対比において、記録部13に除電部材を備えた点で構成が相違し、その他の構成は共通している。そのため、以下では第1実施形態と相違する点について主に説明する。
図4に示すように、本実施形態の記録装置11における記録部13には、移動体26が移動する主走査方向であるX軸方向の第1端側(図4では右端側)と第2端側(図4では左端側)とに、導電材料で構成された除電部材41,42が設けられている。第1端側の除電部材41は、例えば原材料に金属粉末が配合されたゴム材料により少なくとも先端側が可撓性を有するように形成されている。そして、移動体26が第1端側に移動してきたときに、記録ヘッド25のノズルプレート28に対して撓み変形しながら接触することにより、ノズルプレート28を払拭するワイパーとして機能するように構成されている。
その一方、第2端側の除電部材42は、ステンレス等の金属材料で形成されたフレームであり、移動体26が第2端側に移動してきたときに、記録ヘッド25のノズルプレート28に対して接触するように構成されている。なお、ワイパーとして機能する第1端側の除電部材41及びフレームである第2端側の除電部材42は、それぞれグランドに繋がる配線によって接地されている。
さて、本実施形態でも、記録ヘッド25におけるノズルプレート28のノズル開口27から液滴として噴射された液体は、その飛翔の途中で、プラスに帯電したまま媒体P側に飛翔を続ける相対的に大粒の主液滴Mdと、その主液滴Mdから空気抵抗により分離してマイナスに帯電した状態で浮遊する相対的に小粒の副液滴(ミスト)Sdとに分離する。また、主液滴Mdから空気抵抗により分離して浮遊する副液滴(ミスト)Sdとしては、分離直後は無帯電状態で浮遊し、その後、電圧を印加された上流側電極部32又は下流側電極部33からの誘導現象により、マイナス又はプラスに帯電して浮遊するものもある。
そして、この場合において、マイナス又はプラスに帯電して浮遊する副液滴(ミスト)Sdについては、同じく電圧を印加された上流側電極部32又は下流側電極部33からの誘導現象により、帯電材料で構成された記録ヘッド25及び移動体26が帯電した場合、これら記録ヘッド25等の側に引き寄せられて付着する虞がある。こうした副液滴Sdの付着は、帯電した記録ヘッド25や移動体26から電位を落とさない限り解消されない。そこで、本実施形態では、次のようにして記録ヘッド25及び移動体26に対する副液滴Sdの付着を抑制している。
すなわち、図5に示すように、移動体26を主走査方向(X軸方向)の第1端側に移動させる。すると、第1端側に設けられた除電部材41が、記録ヘッド25におけるノズルプレート28に接触する。この場合、ノズルプレート28と除電部材41とは共に導電材料で構成され、除電部材41についてはグランドに繋がる配線によって接地されている。そのため、記録ヘッド25及び移動体26が帯電していたとしても、ノズルプレート28と除電部材41とグランド配線とで構成される通電経路を介して除電される。その結果、マイナス又はプラスに帯電して浮遊する副液滴(ミスト)Sdが記録ヘッド25等の側に引き寄せられて付着する虞が低減される。
上記第2実施形態によれば、第1実施形態における上記(1−1)〜(1−5)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(2−1)帯電した記録ヘッド25には浮遊する副液滴(ミスト)Sdが引き寄せられやすいが、そのように帯電した記録ヘッド25については除電部材41,42により除電することにより、そうした副液滴(ミスト)Sdの引き寄せを抑制できる。
(2−2)移動体26が帯電した場合にも、その移動体26が移動する方向の第1端側及び第2端側の少なくとも一方の位置において除電部材41,42と接触することで除電される。そのため、浮遊している副液滴(ミスト)Sdが移動体26に付着することを抑制できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の記録装置11について図面を参照して説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態との対比において、移動体26に除電部材を備えた点で構成が相違し、その他の構成は共通している。そのため、以下では第1実施形態と相違する点について主に説明する。
図6に示すように、本実施形態の記録装置11における記録部13において記録ヘッド25を搭載して主走査方向(X軸方向)に移動する移動体26には、導電材料で構成された除電部材43が設けられている。この除電部材43は、第2実施形態におけるワイパーとして機能する除電部材41やフレームとしての除電部材42とは異なり、移動体26の移動経路上に移動体26と接触するように設けられるのではなく、移動体26そのものに設けられている。
すなわち、本実施形態における除電部材43は、導電性繊維を含んで構成された除電布であり、帯電材料からなる移動体26の側面及び下面の少なくとも一箇所(図6では4箇所)に取り付けられている。こうした除電布の除電部材43は、移動体26が主走査方向(X軸方向)に移動したときに、格別に接地された他の除電部材に接触しなくても、その除電布である除電部材43から空気中に放電することで、移動体26を除電する。
上記第3実施形態によれば、第1実施形態における上記(1−1)〜(1−5)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(3−1)移動体26が帯電した場合にも、その移動体26をグランドに接続するための配線構造を要することなく、簡単な構成で除電することができ、浮遊している副液滴(ミスト)Sdが移動体26に付着することを抑制できる。
なお、上記の各実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、それらの実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
・第3実施形態において除電布で構成された除電部材43は、導電性の毛羽等からなる除電ブラシや導電性材料で尖状に形成された除電針で構成されていてもよい。要するに、移動体26に取り付けられて空気中に放電可能な構成であればよい。
・また、移動体26の外面に設けられる除電部材43の個数や位置については第3実施形態の事例に限らず任意である。
・第2実施形態では、移動体26が移動する方向の第1端側の除電部材41がフレームで、第2端側の除電部材42がワイパーとして機能する構成であってもよい。
・第2実施形態では、第1端側及び第2端側の両除電部材41,42が、共にフレームであってもよく、又は、共にワイパーとして機能する構成であってもよい。
・第2実施形態においては、第1端側及び第2端側の両除電部材41,42のうち一方が省略された構成であってもよい。
・上記各実施形態において、上流側電極部32と下流側電極部33の間の距離L1は、上流側電極部32(または下流側電極部33)とノズルプレート28との間の距離L2と同じであってもよい。
・上記各実施形態において、上流側電極部32及び下流側電極部33は何れか一方が、電源34,35から電圧を印加されるのではなく、グランドに繋がる配線によって接地されている構成であってもよい。
・上記各実施形態において、媒体支持部23に吸収部材31を設けない構成でもよい。この場合、浮遊する副液滴(ミスト)Sdは、支持台である媒体支持部23上において、隣り合うリブ29同士の間となる領域に付着することで回収される。
・上記各実施形態において、上流側電極部32及び下流側電極部33は、長尺の板状部材が主走査方向(X軸方向)に延びている構成ではなく、例えば複数の導電部材が主走査方向(X軸方向)に並んでいる構成でもよい。要するに、ノズルプレート28と対向する位置OPを挟んで媒体Pの搬送方向(Y軸方向)の上流側と下流側とに配置された構成であればよい。
・記録装置11は、媒体Pの搬送方向と交差する幅方向全体をカバーするノズル群を有した記録ヘッド25が固定配置され、その記録ヘッド25と対向する位置を搬送される媒体Pに記録ヘッド25から液体を噴射することで印刷を行う所謂ラインヘッドプリンターであってもよい。
11…記録装置、11A…装置本体、13…記録部、23…媒体支持部、25…記録ヘッド、26…移動体、27…ノズル開口、28…ノズルプレート、29…リブ、30…支持面、31…吸収部材、32…上流側電極部、33…下流側電極部、34,35…電極、41,42,43…除電部材、L1,L2…距離、Md…主液滴、Sd…副液滴、OP…対向する位置、P…媒体。

Claims (8)

  1. ノズルプレートと対向する位置を通過するように搬送される媒体に対して前記ノズルプレートに形成されたノズル開口から液体を噴射する記録ヘッドを内部に有する装置本体と、
    前記ノズルプレートと対向する位置を挟んで前記媒体の搬送方向における上流側及び下流側に配置される上流側電極部及び下流側電極部と、
    を備え、
    前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、電圧の印加に伴い前記上流側電極部と前記下流側電極部との間に電界が形成されるように構成されていることを特徴とする記録装置。
  2. 前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、前記ノズルプレートと対向する方向に対して交差する方向であって且つ前記媒体の搬送方向と交差する方向へ互いに平行に延びるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記ノズルプレートと対向する位置には、前記搬送方向に搬送される前記媒体を支持可能な支持面が設けられ、前記上流側電極部及び前記下流側電極部は、前記ノズルプレートと対向する方向において、前記支持面よりも前記ノズルプレートからは離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記上流側電極部と前記下流側電極部とは電圧が印加されたときの極性が異なるように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の記録装置。
  5. 前記媒体の搬送方向における前記上流側電極部と前記下流側電極部との間の距離は、前記ノズルプレートと対向する方向における前記上流側電極部又は前記下流側電極部と前記ノズルプレートとの間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の記録装置。
  6. 前記記録ヘッドは、帯電材料で構成され、前記装置本体には、導電材料で構成された除電部材が設けられ、前記記録ヘッドは、前記除電部材により除電可能とされていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の記録装置。
  7. 前記記録ヘッドは、前記媒体の搬送方向と交差する方向に移動自在な移動体に搭載され、前記移動体が移動する方向における第1端側及び第2端側の少なくとも一方の位置には、前記除電部材が接地された状態で前記移動体に対して接触可能に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記記録ヘッドは、前記媒体の搬送方向と交差する方向に移動自在な移動体に搭載され、前記除電部材は、前記移動体に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
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