JP2004250121A - インクジェット式記録装置および液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無し印刷時において発生するインクミストによる用紙の汚損を防止すること。
【解決手段】インクジェットプリンタ100においてインクジェット記録ヘッド25と対向して設けられるプラテン27には溝穴が形成され、用紙先端、後端、両側端から外れた部分にインク滴を吐出して、縁無し印刷が実行可能となっている。用紙先端或いは始端から外れた部分にインク滴が吐出される際にインクミストが発生する。給紙装置1から給送される用紙Pは給紙ローラ3との接触により帯電し、インクミストが用紙裏面に付着する。インクジェットプリンタ100の基体の一部を構成する金属フレーム15において給紙ローラ3と対向する位置には導電性シート材31が配設され、これにより、給紙ローラ3及び用紙Pが除電される。
【選択図】 図1
【解決手段】インクジェットプリンタ100においてインクジェット記録ヘッド25と対向して設けられるプラテン27には溝穴が形成され、用紙先端、後端、両側端から外れた部分にインク滴を吐出して、縁無し印刷が実行可能となっている。用紙先端或いは始端から外れた部分にインク滴が吐出される際にインクミストが発生する。給紙装置1から給送される用紙Pは給紙ローラ3との接触により帯電し、インクミストが用紙裏面に付着する。インクジェットプリンタ100の基体の一部を構成する金属フレーム15において給紙ローラ3と対向する位置には導電性シート材31が配設され、これにより、給紙ローラ3及び用紙Pが除電される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出することによって被記録材に記録を行う記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置に関する。また、本発明は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体と前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
複数枚の印刷用紙を積層状態で収納セットする給紙装置を備え、該給紙装置から給紙ローラによって印刷用紙を1枚ずつピックアップして記録部へと給送する構成を備えた記録装置においては、用紙給送時に、給紙ローラとの摩擦により、印刷用紙が帯電する現象が発生する。より具体的には、印刷用紙と、給紙ローラ外周のゴム材との間の静電順位により、給紙ローラには負電荷が帯電し、印刷用紙には正電荷が帯電する。そして、この様に帯電した印刷用紙が記録部へと搬送され、インクジェット記録ヘッドからインク滴が吐出されると、インク滴が帯電し、接地された状態にあるインクジェット記録ヘッドへ付着して支障を来すことになる。この様な問題を解決するインクジェットプリンタとしては、帯電した印刷用紙を除電する為に、用紙搬送経路に導電性除電シートを設けたインクジェットプリンタがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−5347号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、インクジェットプリンタに代表される記録装置においては、印刷用紙の四辺に余白無く印刷を行う、所謂縁無し印刷可能なものが開発されている。また、インクジェットプリンタにおいては、インク滴の極小化(例えば、3.8pl(ピコリットル))により銀塩写真並の高画質印刷が実現可能となっており、上記縁無し印刷と併せて、個人で簡易且つ迅速に写真出力を行うことが可能となっている。
【0007】
ここで、縁無し印刷時に、用紙端から外れて打ち捨てられたインク滴は、インクジェット記録ヘッドと対向して設けられたインク吸収材によって吸収されるが、インク滴が極小化されていることから、その一部はインク吸収材にまで到達せず、インクミストとなって浮遊することになる。即ち、インクジェット記録ヘッドと印刷用紙との間のギャップは小さい為、用紙端以外への通常印刷時には、インクジェット記録ヘッドから吐出されたインク滴はその殆どが印刷用紙に着弾する。
【0008】
しかし、用紙端から外れた部分にインク滴を打ち捨てる際には、インクジェット記録ヘッドとインク吸収材との間のギャップが比較的大きい為、インクミストが発生し易い。そしてこれにより、当該インクミストが、用紙端から用紙裏面にまわり込み、用紙裏面を汚損するといった、従来存しなかった新たな課題が生じている。即ち、上述した従来技術においては、インク滴がそれ程極小化されておらず(例えば、6pl(ピコリットル)以上)、加えて、縁無し印刷が行われていなかったことから、上述した様なインクミストの用紙端部裏面への付着といった問題が生じていなかった。更に、高画質印刷が可能なコート層を有する光沢紙は、前記コート層の存在によって普通紙に比して帯電し易く、上述のようなインクミストの付着が更に顕著に発生し易い。更に加えて両面印刷を可能とすべく両面にコート層を有する場合には、より一層顕著に発生する。
【0009】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その課題は、縁無し印刷時において発生するインクミストによる用紙端部裏面の汚損を防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、インク滴を吐出することによって被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材の端部から外れた部分に吐出されるインク滴を打ち捨てる溝穴が形成された、被記録材と前記記録ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えたインクジェット式記録装置であって、被記録材の端部から外れた部分に前記記録ヘッドからインク滴が吐出されることによって発生するインクミストの、被記録材端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記第1の態様によれば、記録ヘッドと対向するプラテンに溝穴を有することにより、被記録材に余白無く記録を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置は、被記録材の端部から外れた部分にインク滴が吐出されることによって発生するインクミストの、被記録材端部裏面(インクジェット記録面に対し反対側の面)への付着を防止するミスト付着防止手段を備えているので、被記録材端部裏面のインクミストによる汚損を防止することができる。ここで、ミスト付着防止手段とは、被記録材端部裏面に存在するインクミストの被記録材端部裏面への付着を防止する手段を言い、例えば、被記録材が帯電することによってインクミストが被記録材裏面に吸着されることに鑑みて、帯電した被記録材を除電する除電手段や、或いは、被記録材裏面側に設けられ、インクミストを積極的に吸引或いは吸着する手段が挙げられる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記ミスト付着防止手段が、前記記録ヘッド上流側の被記録材搬送経路近傍に設けられる除電手段によって構成されていることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、前記ミスト付着防止手段が、前記記録ヘッド上流側の被記録材搬送経路近傍に設けられる除電手段によって構成されているので、当該被記録材搬送経路が帯電した場合でもこれが除電され、従って当該被記録材搬送経路を通過する被記録材の帯電量が低減し、被記録材端部裏面へのインクミストの吸着を効果的に防止することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、前記除電手段が導電性シート材によって構成され、該導電性シート材が、前記インクジェット式記録装置の基体の一部を構成する金属フレーム材に設けられていることを特徴とする。
上記第3の態様によれば、、前記除電手段が導電性シート材によって構成されているので、構造簡単にして且つ低コストに前記除電手段を構成することができるとともに、前記導電性シート材が前記インクジェット式記録装置の基体の一部を構成する金属フレーム材に設けられていることから、前記導電性シート材に対して別途接地手段を設けることなく、構造簡単にして低コストに前記導電性シート材を設けることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、前記導電性シート材が、前記金属フレーム材において、被記録材と接触し且つ回転することによって被記録材を給送する給送ローラと対向する位置に、当該給送ローラと非接触となる様設けられていることを特徴とする。
上記第4の態様によれば、前記導電性シート材が、前記金属フレーム材において、給送ローラと対向する位置に、当該給送ローラと非接触となる様設けられているので、被記録材と接触して帯電した給送ローラを除電して次回給送時の被記録材の帯電量を低減できるとともに、給送ローラとは非接触であるので、給送ローラ外周面の状態を変化させることなく、常に適切に被記録材を給送することができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドと対向して設けられ、被噴射媒体の端部から外れた部分に噴射される液体を打ち捨てる溝穴が形成された、被噴射媒体と前記液体噴射ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えた液体噴射装置であって、被噴射媒体の端部から外れた部分に前記液体噴射ヘッドから液体が吐出されることによって発生するミストの、被噴射媒体端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ここで、図1は本発明に係る「インクジェット式記録装置」「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略側断面図であり、図2は記録部の側断面図、図3は導電性シート材31配設位置の斜視図である。
【0017】
先ず、図1及び図2を参照しながら、プリンタ100の概略構成について説明する。尚、以下プリンタ100の用紙搬送経路における上流側(図1の右側)を単に「上流側」と言い、同じく下流側(図1の左側)を単に「下流側」と言うこととする。プリンタ100は、上流側に傾斜姿勢にセットされた「被記録材」「被噴射媒体」の一例としての用紙Pを下流側へと1枚ずつ給送する給紙装置1を備えている。
【0018】
給紙装置1は、給紙(給送)ローラ3と、ホッパ5と、分離ローラ7とを備えている。図示しない駆動モータによって回転駆動される給紙ローラ3は側面視略D形の形状をなし、回転駆動される給紙ローラ軸4に取り付けられるローラ本体3aと、該ローラ本体3aの外周部に巻回されるゴム材3bとから構成されている。給紙ローラ3は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ17(後述)による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0019】
ホッパ5は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸(図示せず)を中心に図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。ホッパ5の下部にはホッパばね6が設けられ、ホッパ5の下部を、給紙ローラ3に向けて付勢する。一方、ホッパ5は、図示しないカム機構により、ホッパばね6の付勢力に抗してホッパ5の下部を給紙ローラ3から離間する方向に押下される様になっている。即ち、ホッパ5は、下部が給紙ローラ3に対して圧接及び離間動作する様になっていて、ホッパ5が給紙ローラ3に対して圧接する方向に揺動すると、ホッパ5上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ3に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ3が回転することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0020】
分離ローラ7は給紙ローラ3と同様に外周が高摩擦材によって形成され、給紙ローラ3と圧接可能な位置に、図示しない駆動モータによって回転駆動される様に設けられている。図1において給紙ローラ3は用紙Pを下流側へ給送すべく時計方向に回転駆動されるが、分離ローラ7は、用紙Pを上流側へ戻すべく時計方向に回転駆動される。従って、給紙ローラ3の回転に従って給送される最上位の用紙Pにつられて重送されようとする次位以降の用紙Pは、給紙ローラ3と分離ローラ7との間に進入しても、分離ローラ7の逆転駆動によって当該給紙ローラ3と分離ローラ7との圧接点で止められ、用紙の重送が防止される。
【0021】
次に、給紙装置1の下流には紙案内12、13が設けられ、給紙ローラ3によって繰り出された用紙Pの先端が紙案内12に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内13から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ17と、該搬送駆動ローラ17に圧接する搬送従動ローラ18が設けられている。用紙Pは、搬送駆動ローラ17と搬送従動ローラ18とにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。
【0022】
ここで、搬送従動ローラ18は搬送従動ローラホルダ10の下流側に軸支されている。搬送従動ローラホルダ10は、プリンタ1の基体を構成する金属フレーム材15に、図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられ、且つ、引っ張りばね11によって搬送従動ローラ18が常に搬送駆動ローラ17に圧接する方向(図1の反時計方向)に付勢されている。尚、搬送駆動ローラ17は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、搬送従動ローラ18と搬送従動ローラホルダ10とは、共に搬送駆動ローラ17の軸方向に複数配設されている(図示は省略)。
【0023】
続いて、搬送駆動ローラ17の下流には、プラテン27及びインクジェット記録ヘッド25が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ17によってインクジェット記録ヘッド25の下へ搬送される用紙Pは、プラテン27によって下から支持され、インクジェット記録ヘッド25との距離(ギャップ)が規定される。インクジェット記録ヘッド25はインクカートリッジ(図示せず)を搭載するキャリッジ23の底部に設けられ、該キャリッジ23は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸24によって主走査方向にガイドされながら、図示しない駆動手段の動力を受けて主走査方向に往復動する様になっている。そして、キャリッジ23が主走査方向に往復動しながらインクジェット記録ヘッド25からインク滴が吐出されることにより、用紙Pへのインクジェット記録が実行される。
【0024】
次に、インクジェット記録ヘッド25から下流は排紙部となっていて、回転駆動される排紙駆動ローラ19と、該排紙駆動ローラ19に接して従動回転する、自由回動可能な排紙従動ローラ20が設けられている。従ってインクジェット記録ヘッド25によってインクジェット記録の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ19と排紙従動ローラ20とによってニップされた状態で排紙駆動ローラ19が回転することにより、矢印方向に排出される。尚、排紙従動ローラ20のやや上流側には、自由回動可能な補助ローラ21が配設されていて、用紙Pのプラテン27からの浮き上がりを防止する様に構成されている。
【0025】
続いて、図2を参照しながら用紙Pへの余白無し印刷(縁無し印刷)について説明する。プラテン27は主走査方向(図2の左右方向)に長い形状をなしていて、プラテン面(プラテン27の上面:インクジェット記録ヘッド25と対向する面)には、リブ28a、28b、28c、28dが、上流から下流に向かってそれぞれ配置され、また、これらのリブは、主走査方向に所定の間隔をおいて形成されている(図示は省略)。
【0026】
プラテン27のプラテン面には、溝穴27a、27b、27c(以下これらをまとめて適宜「溝穴27」と言う)が上流から下流に向かってそれぞれ形成され、また、溝穴27は、主走査方向に延びる様に形成されている(図示は省略)。
【0027】
溝穴27は、縁無し印刷時におけるインク打ち捨て用の溝穴であり、用紙Pの端部から外れた部分に吐出されるインクを打ち捨てる為のものである。例えば、用紙P始端の縁無し無し印刷においては、図2(A)に示す様に、用紙Pの始端が溝穴27aの上部にさしかかったとき、インクジェット記録ヘッド25の一部25aのみを駆動して、用紙P始端及び該始端から外れた部分にインク滴を吐出する。そしてこれにより、用紙P始端から外れたインクが溝穴27a内に打ち捨てられ、従ってプラテン面がインク滴で汚損されることが無い様になっている。尚、溝穴27には、インクを吸収するインク吸収材(図示せず)が配設され、打ち捨てられたインクを吸収する様になっている。このインク吸収材の上面は、リブ28a〜28dの頂部よりもやや下方に位置する様に設けられている。
【0028】
また、同様に用紙P終端の縁無し印刷においては、図2(B)に示す様に、用紙P終端が溝穴27cの上部にさしかかったとき、インクジェット記録ヘッド25の一部25bのみを駆動して、用紙Pにインクを吐出する。尚、用紙Pの両側端の縁無し無し印刷は、用紙Pの両側端に位置する部分に形成された溝穴(図示せず)に、同様にインク滴が打ち捨てられることによって行われる。尚、溝穴27に打ち捨てられたインクは、図示しない穴を通って下部に設けられた廃液吸収材29(図1)に吸収・保持される様になっている。
【0029】
続いて、金属フレーム材15に設けられる「ミスト付着防止手段」「除電手段」を構成する導電性シート材31について図3及び適宜その他の図面を参照しながら説明する。給紙装置1によって給送される用紙Pは、主として給紙ローラ3と、更に他の搬送経路を構成する部品(例えば、図1のガイド部材12、13等)との接触により、正電位に帯電されている。
【0030】
一方、縁無し印刷時においては、用紙先端と終端において、用紙端から外れた部分にもインク滴を吐出する。ここで、用紙端から外れた部分にインク滴が吐出されることにより、インクミストが発生する。即ち、インクジェット記録ヘッド25と用紙P記録面との間のギャップに対し、インクジェット記録ヘッド25とインク吸収材との間のギャップが大なることから、用紙端から外れた部分に吐出されたインク滴は、その全てがインク吸収材に吸収されず、一部がミストとなって浮遊する。特に、銀塩写真並の高画質記録においてはインク滴が極めて小さく、ミストが極めて発生し易い。
【0031】
そして、この様に用紙先端或いは後端への縁無し印刷時に多量のミストが発生すると、用紙端から用紙裏面にまわり込んだインクミスト(図2の円弧で示す矢印方向)が用紙端部裏面に付着し、用紙端部裏面を汚損するといった問題が生じる。つまり、記録面に対して吐出されたインク滴がミストとなって当該記録面に再付着しても、当該記録面は既に同色或いは近似色のインク滴が吐出されており、目立たち難いが、用紙裏面は未記録面(白色)であり、インクミストが付着すると、極めて目立ち易い状態となっている。この様な現象は、極小化されたインク滴によって縁無し印刷を行う際に発生する特有の現象である。
【0032】
ここで、用紙Pが上述の様に帯電している場合には、インクミストの付着が特に顕著に発生する。また、用紙Pが、高画質印刷可能なコート層を有する光沢紙である場合は、前記コート層の存在によって特に帯電し易く、上述のようなインクミストの付着が特に顕著に発生し易い。加えて、両面印刷を可能とすべく両面にコート層を有する場合には、より一層顕著に発生する。尚、用紙Pの帯電は、先端部(下流側端部)が、後端部(上流側端部)に比して顕著であり、上述の様なインクミストの付着が特に顕著に発生し易くなっている。これは、帯電した用紙Pが用紙給送経路上を進むことにより、用紙給送経路及びその周囲に配置された構成部材との間である程度の放電が行われる為である。
【0033】
そこで、インクミストの用紙端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段の一例として、帯電した用紙Pを除電する除電手段を設ける。具体的には、図1及び図3に示す様に金属フレーム15において、給紙ローラ3と対向する位置であって用紙搬送経路の上側近傍に、導電性シート材31を設ける。導電性シート材31の材料としては、例えばカーボンシート、カーボン入りのゴムシート、金属粉末入りのゴムシート、カーボン繊維、金属粉をコーティングした繊維、アルミシート等、導電性を有するものであり、帯電した用紙P或いは給紙ローラ3の電荷に対して電荷誘導するとともに放電(コロナ放電)を生じさせることのできるものであれば、どの様なものであっても構わない。
【0034】
この様な導電性シート材31が給紙ローラ3と対向する位置に設けられたことにより、給紙ローラ3との間の雰囲気で放電が促進され、給紙ローラ3外周面の静電気が放出される。また、インクジェット記録ヘッド25から上流側の用紙搬送経路近傍に設けられたことにより、当該用紙搬送経路の構成部材、例えば、樹脂材料によって形成された紙案内12或いは13から静電気が放出される。そしてこれにより、当該用紙搬送経路を通過する用紙Pの帯電量が低減され、用紙P始端或いは終端への縁無し印刷時にインクミストが発生しても、当該インクミストが殆ど付着しなくなり、特に、帯電の顕著な用紙P始端側においてはその作用効果をより一層得ることができる。尚、導電性シート材31は金属フレーム材15に設けられたことによって既に接地されており、別途接地手段を設ける必要がない。また、導電性シート材31は給紙ローラ3と非接触であるので、給紙ローラ3の表面状態を変化させることなく、常に適切な給紙動作を実行できる。
【0035】
ところで、図1に示す紙案内12及び13は樹脂材料によって形成されているが、別途接地手段を設ければ、紙案内12或いは13に導電性シート材31を設けることも可能である。或いは、紙案内12或いは13を、導電性を備える材料によって形成すれば、別途接地手段を設けることなく導電性シート材31を設けることが可能である。この様に構成することにより、帯電した用紙Pを直接除電することができる。尚、導電性シート材31の代替として、カーボン繊維等によって形成された除電ブラシを用いることも可能である。
【0036】
次に、用紙Pの除電によってインクミストの付着を防止するのではなく、例えばプラテン27にインクミストを吸引或いは吸着する手段を設けても良い。例えば、溝穴27に負圧を発生させる手段を設けて、インクミストを吸引する様に構成しても良い。或いは、帯電手段により、溝穴27内部の壁面27d、27e等に、帯電した用紙Pよりもより強力な電荷吸着力を発生させ、該壁面27d、27eにインクミストを吸着させる様に構成しても良い。尚これらの場合において、用紙Pの記録面へ着弾するインク滴の着弾精度に極力影響を及ぼさない様、これらミスト吸引或いは吸着手段を、用紙P始端及び終端の記録実行時にのみ稼働させる様に構成する様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの側断面概略図である。
【図2】記録部の側断面図である。
【図3】導電性シート材配設位置の斜視図である。
【符号の説明】
1 給紙装置、3 給紙ローラ、4 給紙ローラ軸、5 ホッパ、6 ホッパばね、7 分離ローラ、10 搬送従動ローラホルダ、11 引っ張りばね、12、13 紙案内、17 搬送駆動ローラ、18 搬送従動ローラ、19 排紙駆動ローラ、20 排紙従動ローラ、21 補助ローラ、23 キャリッジ、24キャリッジガイド軸、25 記録ヘッド、27 プラテン、27a〜27c 溝穴、28a〜28d リブ、31 導電性シート、100 インクジェットプリンタ、P 印刷用紙
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出することによって被記録材に記録を行う記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置に関する。また、本発明は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体と前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
複数枚の印刷用紙を積層状態で収納セットする給紙装置を備え、該給紙装置から給紙ローラによって印刷用紙を1枚ずつピックアップして記録部へと給送する構成を備えた記録装置においては、用紙給送時に、給紙ローラとの摩擦により、印刷用紙が帯電する現象が発生する。より具体的には、印刷用紙と、給紙ローラ外周のゴム材との間の静電順位により、給紙ローラには負電荷が帯電し、印刷用紙には正電荷が帯電する。そして、この様に帯電した印刷用紙が記録部へと搬送され、インクジェット記録ヘッドからインク滴が吐出されると、インク滴が帯電し、接地された状態にあるインクジェット記録ヘッドへ付着して支障を来すことになる。この様な問題を解決するインクジェットプリンタとしては、帯電した印刷用紙を除電する為に、用紙搬送経路に導電性除電シートを設けたインクジェットプリンタがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−5347号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、インクジェットプリンタに代表される記録装置においては、印刷用紙の四辺に余白無く印刷を行う、所謂縁無し印刷可能なものが開発されている。また、インクジェットプリンタにおいては、インク滴の極小化(例えば、3.8pl(ピコリットル))により銀塩写真並の高画質印刷が実現可能となっており、上記縁無し印刷と併せて、個人で簡易且つ迅速に写真出力を行うことが可能となっている。
【0007】
ここで、縁無し印刷時に、用紙端から外れて打ち捨てられたインク滴は、インクジェット記録ヘッドと対向して設けられたインク吸収材によって吸収されるが、インク滴が極小化されていることから、その一部はインク吸収材にまで到達せず、インクミストとなって浮遊することになる。即ち、インクジェット記録ヘッドと印刷用紙との間のギャップは小さい為、用紙端以外への通常印刷時には、インクジェット記録ヘッドから吐出されたインク滴はその殆どが印刷用紙に着弾する。
【0008】
しかし、用紙端から外れた部分にインク滴を打ち捨てる際には、インクジェット記録ヘッドとインク吸収材との間のギャップが比較的大きい為、インクミストが発生し易い。そしてこれにより、当該インクミストが、用紙端から用紙裏面にまわり込み、用紙裏面を汚損するといった、従来存しなかった新たな課題が生じている。即ち、上述した従来技術においては、インク滴がそれ程極小化されておらず(例えば、6pl(ピコリットル)以上)、加えて、縁無し印刷が行われていなかったことから、上述した様なインクミストの用紙端部裏面への付着といった問題が生じていなかった。更に、高画質印刷が可能なコート層を有する光沢紙は、前記コート層の存在によって普通紙に比して帯電し易く、上述のようなインクミストの付着が更に顕著に発生し易い。更に加えて両面印刷を可能とすべく両面にコート層を有する場合には、より一層顕著に発生する。
【0009】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その課題は、縁無し印刷時において発生するインクミストによる用紙端部裏面の汚損を防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、インク滴を吐出することによって被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材の端部から外れた部分に吐出されるインク滴を打ち捨てる溝穴が形成された、被記録材と前記記録ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えたインクジェット式記録装置であって、被記録材の端部から外れた部分に前記記録ヘッドからインク滴が吐出されることによって発生するインクミストの、被記録材端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記第1の態様によれば、記録ヘッドと対向するプラテンに溝穴を有することにより、被記録材に余白無く記録を実行可能に構成されたインクジェット式記録装置は、被記録材の端部から外れた部分にインク滴が吐出されることによって発生するインクミストの、被記録材端部裏面(インクジェット記録面に対し反対側の面)への付着を防止するミスト付着防止手段を備えているので、被記録材端部裏面のインクミストによる汚損を防止することができる。ここで、ミスト付着防止手段とは、被記録材端部裏面に存在するインクミストの被記録材端部裏面への付着を防止する手段を言い、例えば、被記録材が帯電することによってインクミストが被記録材裏面に吸着されることに鑑みて、帯電した被記録材を除電する除電手段や、或いは、被記録材裏面側に設けられ、インクミストを積極的に吸引或いは吸着する手段が挙げられる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記ミスト付着防止手段が、前記記録ヘッド上流側の被記録材搬送経路近傍に設けられる除電手段によって構成されていることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、前記ミスト付着防止手段が、前記記録ヘッド上流側の被記録材搬送経路近傍に設けられる除電手段によって構成されているので、当該被記録材搬送経路が帯電した場合でもこれが除電され、従って当該被記録材搬送経路を通過する被記録材の帯電量が低減し、被記録材端部裏面へのインクミストの吸着を効果的に防止することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、前記除電手段が導電性シート材によって構成され、該導電性シート材が、前記インクジェット式記録装置の基体の一部を構成する金属フレーム材に設けられていることを特徴とする。
上記第3の態様によれば、、前記除電手段が導電性シート材によって構成されているので、構造簡単にして且つ低コストに前記除電手段を構成することができるとともに、前記導電性シート材が前記インクジェット式記録装置の基体の一部を構成する金属フレーム材に設けられていることから、前記導電性シート材に対して別途接地手段を設けることなく、構造簡単にして低コストに前記導電性シート材を設けることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、前記導電性シート材が、前記金属フレーム材において、被記録材と接触し且つ回転することによって被記録材を給送する給送ローラと対向する位置に、当該給送ローラと非接触となる様設けられていることを特徴とする。
上記第4の態様によれば、前記導電性シート材が、前記金属フレーム材において、給送ローラと対向する位置に、当該給送ローラと非接触となる様設けられているので、被記録材と接触して帯電した給送ローラを除電して次回給送時の被記録材の帯電量を低減できるとともに、給送ローラとは非接触であるので、給送ローラ外周面の状態を変化させることなく、常に適切に被記録材を給送することができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドと対向して設けられ、被噴射媒体の端部から外れた部分に噴射される液体を打ち捨てる溝穴が形成された、被噴射媒体と前記液体噴射ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えた液体噴射装置であって、被噴射媒体の端部から外れた部分に前記液体噴射ヘッドから液体が吐出されることによって発生するミストの、被噴射媒体端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ここで、図1は本発明に係る「インクジェット式記録装置」「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略側断面図であり、図2は記録部の側断面図、図3は導電性シート材31配設位置の斜視図である。
【0017】
先ず、図1及び図2を参照しながら、プリンタ100の概略構成について説明する。尚、以下プリンタ100の用紙搬送経路における上流側(図1の右側)を単に「上流側」と言い、同じく下流側(図1の左側)を単に「下流側」と言うこととする。プリンタ100は、上流側に傾斜姿勢にセットされた「被記録材」「被噴射媒体」の一例としての用紙Pを下流側へと1枚ずつ給送する給紙装置1を備えている。
【0018】
給紙装置1は、給紙(給送)ローラ3と、ホッパ5と、分離ローラ7とを備えている。図示しない駆動モータによって回転駆動される給紙ローラ3は側面視略D形の形状をなし、回転駆動される給紙ローラ軸4に取り付けられるローラ本体3aと、該ローラ本体3aの外周部に巻回されるゴム材3bとから構成されている。給紙ローラ3は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ17(後述)による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0019】
ホッパ5は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸(図示せず)を中心に図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。ホッパ5の下部にはホッパばね6が設けられ、ホッパ5の下部を、給紙ローラ3に向けて付勢する。一方、ホッパ5は、図示しないカム機構により、ホッパばね6の付勢力に抗してホッパ5の下部を給紙ローラ3から離間する方向に押下される様になっている。即ち、ホッパ5は、下部が給紙ローラ3に対して圧接及び離間動作する様になっていて、ホッパ5が給紙ローラ3に対して圧接する方向に揺動すると、ホッパ5上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ3に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ3が回転することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0020】
分離ローラ7は給紙ローラ3と同様に外周が高摩擦材によって形成され、給紙ローラ3と圧接可能な位置に、図示しない駆動モータによって回転駆動される様に設けられている。図1において給紙ローラ3は用紙Pを下流側へ給送すべく時計方向に回転駆動されるが、分離ローラ7は、用紙Pを上流側へ戻すべく時計方向に回転駆動される。従って、給紙ローラ3の回転に従って給送される最上位の用紙Pにつられて重送されようとする次位以降の用紙Pは、給紙ローラ3と分離ローラ7との間に進入しても、分離ローラ7の逆転駆動によって当該給紙ローラ3と分離ローラ7との圧接点で止められ、用紙の重送が防止される。
【0021】
次に、給紙装置1の下流には紙案内12、13が設けられ、給紙ローラ3によって繰り出された用紙Pの先端が紙案内12に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内13から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ17と、該搬送駆動ローラ17に圧接する搬送従動ローラ18が設けられている。用紙Pは、搬送駆動ローラ17と搬送従動ローラ18とにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。
【0022】
ここで、搬送従動ローラ18は搬送従動ローラホルダ10の下流側に軸支されている。搬送従動ローラホルダ10は、プリンタ1の基体を構成する金属フレーム材15に、図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられ、且つ、引っ張りばね11によって搬送従動ローラ18が常に搬送駆動ローラ17に圧接する方向(図1の反時計方向)に付勢されている。尚、搬送駆動ローラ17は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、搬送従動ローラ18と搬送従動ローラホルダ10とは、共に搬送駆動ローラ17の軸方向に複数配設されている(図示は省略)。
【0023】
続いて、搬送駆動ローラ17の下流には、プラテン27及びインクジェット記録ヘッド25が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ17によってインクジェット記録ヘッド25の下へ搬送される用紙Pは、プラテン27によって下から支持され、インクジェット記録ヘッド25との距離(ギャップ)が規定される。インクジェット記録ヘッド25はインクカートリッジ(図示せず)を搭載するキャリッジ23の底部に設けられ、該キャリッジ23は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸24によって主走査方向にガイドされながら、図示しない駆動手段の動力を受けて主走査方向に往復動する様になっている。そして、キャリッジ23が主走査方向に往復動しながらインクジェット記録ヘッド25からインク滴が吐出されることにより、用紙Pへのインクジェット記録が実行される。
【0024】
次に、インクジェット記録ヘッド25から下流は排紙部となっていて、回転駆動される排紙駆動ローラ19と、該排紙駆動ローラ19に接して従動回転する、自由回動可能な排紙従動ローラ20が設けられている。従ってインクジェット記録ヘッド25によってインクジェット記録の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ19と排紙従動ローラ20とによってニップされた状態で排紙駆動ローラ19が回転することにより、矢印方向に排出される。尚、排紙従動ローラ20のやや上流側には、自由回動可能な補助ローラ21が配設されていて、用紙Pのプラテン27からの浮き上がりを防止する様に構成されている。
【0025】
続いて、図2を参照しながら用紙Pへの余白無し印刷(縁無し印刷)について説明する。プラテン27は主走査方向(図2の左右方向)に長い形状をなしていて、プラテン面(プラテン27の上面:インクジェット記録ヘッド25と対向する面)には、リブ28a、28b、28c、28dが、上流から下流に向かってそれぞれ配置され、また、これらのリブは、主走査方向に所定の間隔をおいて形成されている(図示は省略)。
【0026】
プラテン27のプラテン面には、溝穴27a、27b、27c(以下これらをまとめて適宜「溝穴27」と言う)が上流から下流に向かってそれぞれ形成され、また、溝穴27は、主走査方向に延びる様に形成されている(図示は省略)。
【0027】
溝穴27は、縁無し印刷時におけるインク打ち捨て用の溝穴であり、用紙Pの端部から外れた部分に吐出されるインクを打ち捨てる為のものである。例えば、用紙P始端の縁無し無し印刷においては、図2(A)に示す様に、用紙Pの始端が溝穴27aの上部にさしかかったとき、インクジェット記録ヘッド25の一部25aのみを駆動して、用紙P始端及び該始端から外れた部分にインク滴を吐出する。そしてこれにより、用紙P始端から外れたインクが溝穴27a内に打ち捨てられ、従ってプラテン面がインク滴で汚損されることが無い様になっている。尚、溝穴27には、インクを吸収するインク吸収材(図示せず)が配設され、打ち捨てられたインクを吸収する様になっている。このインク吸収材の上面は、リブ28a〜28dの頂部よりもやや下方に位置する様に設けられている。
【0028】
また、同様に用紙P終端の縁無し印刷においては、図2(B)に示す様に、用紙P終端が溝穴27cの上部にさしかかったとき、インクジェット記録ヘッド25の一部25bのみを駆動して、用紙Pにインクを吐出する。尚、用紙Pの両側端の縁無し無し印刷は、用紙Pの両側端に位置する部分に形成された溝穴(図示せず)に、同様にインク滴が打ち捨てられることによって行われる。尚、溝穴27に打ち捨てられたインクは、図示しない穴を通って下部に設けられた廃液吸収材29(図1)に吸収・保持される様になっている。
【0029】
続いて、金属フレーム材15に設けられる「ミスト付着防止手段」「除電手段」を構成する導電性シート材31について図3及び適宜その他の図面を参照しながら説明する。給紙装置1によって給送される用紙Pは、主として給紙ローラ3と、更に他の搬送経路を構成する部品(例えば、図1のガイド部材12、13等)との接触により、正電位に帯電されている。
【0030】
一方、縁無し印刷時においては、用紙先端と終端において、用紙端から外れた部分にもインク滴を吐出する。ここで、用紙端から外れた部分にインク滴が吐出されることにより、インクミストが発生する。即ち、インクジェット記録ヘッド25と用紙P記録面との間のギャップに対し、インクジェット記録ヘッド25とインク吸収材との間のギャップが大なることから、用紙端から外れた部分に吐出されたインク滴は、その全てがインク吸収材に吸収されず、一部がミストとなって浮遊する。特に、銀塩写真並の高画質記録においてはインク滴が極めて小さく、ミストが極めて発生し易い。
【0031】
そして、この様に用紙先端或いは後端への縁無し印刷時に多量のミストが発生すると、用紙端から用紙裏面にまわり込んだインクミスト(図2の円弧で示す矢印方向)が用紙端部裏面に付着し、用紙端部裏面を汚損するといった問題が生じる。つまり、記録面に対して吐出されたインク滴がミストとなって当該記録面に再付着しても、当該記録面は既に同色或いは近似色のインク滴が吐出されており、目立たち難いが、用紙裏面は未記録面(白色)であり、インクミストが付着すると、極めて目立ち易い状態となっている。この様な現象は、極小化されたインク滴によって縁無し印刷を行う際に発生する特有の現象である。
【0032】
ここで、用紙Pが上述の様に帯電している場合には、インクミストの付着が特に顕著に発生する。また、用紙Pが、高画質印刷可能なコート層を有する光沢紙である場合は、前記コート層の存在によって特に帯電し易く、上述のようなインクミストの付着が特に顕著に発生し易い。加えて、両面印刷を可能とすべく両面にコート層を有する場合には、より一層顕著に発生する。尚、用紙Pの帯電は、先端部(下流側端部)が、後端部(上流側端部)に比して顕著であり、上述の様なインクミストの付着が特に顕著に発生し易くなっている。これは、帯電した用紙Pが用紙給送経路上を進むことにより、用紙給送経路及びその周囲に配置された構成部材との間である程度の放電が行われる為である。
【0033】
そこで、インクミストの用紙端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段の一例として、帯電した用紙Pを除電する除電手段を設ける。具体的には、図1及び図3に示す様に金属フレーム15において、給紙ローラ3と対向する位置であって用紙搬送経路の上側近傍に、導電性シート材31を設ける。導電性シート材31の材料としては、例えばカーボンシート、カーボン入りのゴムシート、金属粉末入りのゴムシート、カーボン繊維、金属粉をコーティングした繊維、アルミシート等、導電性を有するものであり、帯電した用紙P或いは給紙ローラ3の電荷に対して電荷誘導するとともに放電(コロナ放電)を生じさせることのできるものであれば、どの様なものであっても構わない。
【0034】
この様な導電性シート材31が給紙ローラ3と対向する位置に設けられたことにより、給紙ローラ3との間の雰囲気で放電が促進され、給紙ローラ3外周面の静電気が放出される。また、インクジェット記録ヘッド25から上流側の用紙搬送経路近傍に設けられたことにより、当該用紙搬送経路の構成部材、例えば、樹脂材料によって形成された紙案内12或いは13から静電気が放出される。そしてこれにより、当該用紙搬送経路を通過する用紙Pの帯電量が低減され、用紙P始端或いは終端への縁無し印刷時にインクミストが発生しても、当該インクミストが殆ど付着しなくなり、特に、帯電の顕著な用紙P始端側においてはその作用効果をより一層得ることができる。尚、導電性シート材31は金属フレーム材15に設けられたことによって既に接地されており、別途接地手段を設ける必要がない。また、導電性シート材31は給紙ローラ3と非接触であるので、給紙ローラ3の表面状態を変化させることなく、常に適切な給紙動作を実行できる。
【0035】
ところで、図1に示す紙案内12及び13は樹脂材料によって形成されているが、別途接地手段を設ければ、紙案内12或いは13に導電性シート材31を設けることも可能である。或いは、紙案内12或いは13を、導電性を備える材料によって形成すれば、別途接地手段を設けることなく導電性シート材31を設けることが可能である。この様に構成することにより、帯電した用紙Pを直接除電することができる。尚、導電性シート材31の代替として、カーボン繊維等によって形成された除電ブラシを用いることも可能である。
【0036】
次に、用紙Pの除電によってインクミストの付着を防止するのではなく、例えばプラテン27にインクミストを吸引或いは吸着する手段を設けても良い。例えば、溝穴27に負圧を発生させる手段を設けて、インクミストを吸引する様に構成しても良い。或いは、帯電手段により、溝穴27内部の壁面27d、27e等に、帯電した用紙Pよりもより強力な電荷吸着力を発生させ、該壁面27d、27eにインクミストを吸着させる様に構成しても良い。尚これらの場合において、用紙Pの記録面へ着弾するインク滴の着弾精度に極力影響を及ぼさない様、これらミスト吸引或いは吸着手段を、用紙P始端及び終端の記録実行時にのみ稼働させる様に構成する様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの側断面概略図である。
【図2】記録部の側断面図である。
【図3】導電性シート材配設位置の斜視図である。
【符号の説明】
1 給紙装置、3 給紙ローラ、4 給紙ローラ軸、5 ホッパ、6 ホッパばね、7 分離ローラ、10 搬送従動ローラホルダ、11 引っ張りばね、12、13 紙案内、17 搬送駆動ローラ、18 搬送従動ローラ、19 排紙駆動ローラ、20 排紙従動ローラ、21 補助ローラ、23 キャリッジ、24キャリッジガイド軸、25 記録ヘッド、27 プラテン、27a〜27c 溝穴、28a〜28d リブ、31 導電性シート、100 インクジェットプリンタ、P 印刷用紙
Claims (5)
- インク滴を吐出することによって被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドと対向して設けられ、被記録材の端部から外れた部分に吐出されるインク滴を打ち捨てる溝穴が形成された、被記録材と前記記録ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えたインクジェット式記録装置であって、
被記録材の端部から外れた部分に前記記録ヘッドからインク滴が吐出されることによって発生するインクミストの、被記録材端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えている、
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項1において、前記ミスト付着防止手段が、前記記録ヘッド上流側の被記録材搬送経路近傍に設けられる除電手段によって構成されている、
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項2において、前記除電手段が導電性シート材によって構成され、
該導電性シート材が、前記インクジェット式記録装置の基体の一部を構成する金属フレーム材に設けられている、
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 請求項3において、前記導電性シート材が、前記金属フレーム材において、被記録材と接触し且つ回転することによって被記録材を給送する給送ローラと対向する位置に、当該給送ローラと非接触となる様設けられている、
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドと対向して設けられ、被噴射媒体の端部から外れた部分に噴射される液体を打ち捨てる溝穴が形成された、被噴射媒体と前記液体噴射ヘッドとの距離を規定するプラテンと、を備えた液体噴射装置であって、
被噴射媒体の端部から外れた部分に前記液体噴射ヘッドから液体が吐出されることによって発生するミストの、被噴射媒体端部裏面への付着を防止するミスト付着防止手段を備えている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
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JP2003039472A JP2004250121A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | インクジェット式記録装置および液体噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7717634B1 (en) * | 2006-01-11 | 2010-05-18 | Lexmark International, Inc. | Trough support ribs |
JP2017159670A (ja) * | 2013-03-15 | 2017-09-14 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット記録装置 |
-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003039472A patent/JP2004250121A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7717634B1 (en) * | 2006-01-11 | 2010-05-18 | Lexmark International, Inc. | Trough support ribs |
JP2017159670A (ja) * | 2013-03-15 | 2017-09-14 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット記録装置 |
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