JP6416848B2 - 吸収ヒートポンプ - Google Patents

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Description

本発明は吸収ヒートポンプに関し、特に被加熱媒体の液を貯留する部分の液位の安定化を図ることができる吸収ヒートポンプに関する。
低温の熱源から熱を汲み上げて被加熱媒体を加熱する機器であるヒートポンプのうち、熱駆動のものとして、吸収ヒートポンプが知られている。吸収ヒートポンプには、熱源として投入した熱量より多くの熱量を得る増熱型のヒートポンプである第1種吸収ヒートポンプと、駆動熱源温度より高い温度の被加熱媒体を取り出す昇温型のヒートポンプである第2種吸収ヒートポンプとがある。吸収ヒートポンプは、冷媒液を蒸発させる蒸発器、冷媒蒸気を吸収液で吸収させる吸収器、吸収液から冷媒を離脱させる再生器、冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器を主要構成として備えている。また、より高温の被加熱媒体を取り出すために、吸収器及び蒸発器を複数設けて多段に構成したものがある。多段の吸収ヒートポンプでは、吸収ヒートポンプサイクルを行う冷媒の液を吸収熱で加熱して冷媒蒸気とし、高温側の吸収器に供給するように構成されるものがある。また、第2種吸収ヒートポンプでは、被加熱媒体の液を吸収熱で加熱して蒸気として外部に供給するものがある。吸収熱で加熱される冷媒液あるいは被加熱媒体液を貯留する部分の液位は、液位検出器を用いて所定の液位になるように制御される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−48519号公報(段落0039、0041等)
しかしながら、特許文献1に記載の吸収ヒートポンプは、液位検出器の検出結果によって貯留する部分への流体の供給流量を調節しているため、吸収熱で加熱される液体を貯留する部分の液位の変動幅が大きい。
本発明は上述の課題に鑑み、被加熱媒体の液を貯留する部分の液位の安定化を図ることができる吸収ヒートポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、吸収液Saが吸収対象冷媒の蒸気Veを吸収したときに発生した吸収熱で被加熱媒体Wqを加熱する吸収器10と;蒸発器熱源流体hの熱で冷媒の液Vfを加熱して吸収器10に供給する吸収対象冷媒の蒸気Veを生成する蒸発器20と;吸収器10において吸収対象冷媒の蒸気Veを吸収して濃度が低下した吸収液Swを吸収器10から直接又は間接的に導入し、再生器熱源流体hの熱で導入した吸収液Swを加熱して冷媒Vgを離脱させる再生器30と;再生器30において吸収液Swから離脱した冷媒の蒸気Vgを導入し、冷却水cで冷却して凝縮させる凝縮器40と;吸収器10で加熱された被加熱媒体Wmを導入して被加熱媒体の蒸気Wvと液Wqとに分離する被加熱媒体気液分離部80と;被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量を把握する蒸気発生流量把握部62と;吸収器10に向けて被加熱媒体の液Wsを供給する被加熱媒体液供給装置86と;蒸気発生流量把握部62で把握された被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量に応じた流量の被加熱媒体の液Wsを吸収器10に向けて供給するように被加熱媒体液供給装置86を制御する供給制御部64とを備える。
このように構成すると、蒸気発生流量把握部で把握された被加熱媒体の蒸気の発生流量に応じた流量の被加熱媒体の液を吸収器に向けて供給するので、被加熱媒体気液分離部における被加熱媒体の液の液位の変動を抑制することができ、被加熱媒体気液分離部における被加熱媒体の液の液位の安定化に役立てることができる。
また、本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、蒸気発生流量把握部62は、蒸発器熱源流体h及び再生器熱源流体hの少なくとも一方の温度又はその代用値と、冷却水cの温度又はその代用値と、被加熱媒体の蒸気Wvの圧力又はその代用値と、被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量との関係に照らし合わせて被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量を把握する。
このように構成すると、蒸気流量計を設置することなく被加熱媒体の蒸気の発生流量を推測することができる。
また、本発明の第3の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、被加熱媒体気液分離部80における被加熱媒体の液Wqの液位を検出する液位検出器87を備え;供給制御部64は、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲を逸脱した場合に、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲に入る方向に、被加熱媒体液供給装置86が供給する被加熱媒体の液Wsの流量を調節する。
このように構成すると、被加熱媒体気液分離部における被加熱媒体の液の液位をより安定させることができる。
また、本発明の第4の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、被加熱媒体気液分離部80の内部の被加熱媒体の液Wqを吸収器10に導く被加熱媒体液導入流路81、82と;被加熱媒体気液分離部80の内部の被加熱媒体の液Wqを直接又は間接的に系外に排出するブロー弁98と;蒸気発生流量把握部62で把握された被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量に基づいてブロー弁98を所定の時間開にするブロー弁制御部65とを備える。
このように構成すると、被加熱媒体液供給装置から供給された被加熱媒体液に含まれていた不純物の濃度が上昇するのを抑制することができる。
また、本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第4の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、吸収器10と被加熱媒体気液分離部80との間を循環する被加熱媒体Wの実質的に全量を排出したときを起算点として、蒸気発生流量把握部62で把握された被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量を積算した積算蒸気発生量を算出する積算蒸気発生量算出部63を備え;ブロー弁制御部65は、積算蒸気発生量算出部63で算出された値が所定の値に到達した後にブロー弁98の作動を許可する。
このように構成すると、被加熱媒体気液分離部内の被加熱媒体の液の濃度管理を適切に行うことができる。
また、本発明の第6の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、被加熱媒体の液Wsに薬液LMを注入する薬液注入装置70と;蒸気発生流量把握部62で把握された被加熱媒体の蒸気Wvの発生流量及び積算蒸気発生量算出部63で算出された積算蒸気発生量に基づいて、薬液注入装置70が注入する薬液LMの注入量を制御する薬液制御部66とを備える。
このように構成すると、被加熱媒体の液のpH値を適正に維持することが可能になると共に溶存酸素の除去が可能になる。
本発明によれば、蒸気発生流量把握部で把握された被加熱媒体の蒸気の発生流量に応じた流量の被加熱媒体の液を吸収器に向けて供給するので、被加熱媒体気液分離部における被加熱媒体の液の液位の変動を抑制することができ、被加熱媒体気液分離部における被加熱媒体の液の液位の安定化に役立てることができる。
本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。 本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの記憶部に記憶されている、蒸発器に導入される熱源温水の温度と、凝縮器に導入される冷却水の温度と、気液分離器で生成された被加熱水蒸気の圧力と、気液分離器で生成された被加熱水蒸気の流量との関係の例を示すテーブルの図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る二段昇温型吸収ヒートポンプの模式的系統図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、吸収液S(Sa、Sw)と冷媒V(Ve、Vg、Vf)との吸収ヒートポンプサイクルが行われる主要機器を構成する吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40を備え、さらに、気液分離器80と、薬液注入装置70と、制御装置60とを備えている。
本明細書においては、吸収液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(HO)が用いられている。また、吸収ヒートポンプ1から外部に生産物(目的物)として被加熱水蒸気Wvを供給するように構成されている。被加熱水蒸気Wvは、被加熱水液Wqが蒸発したものであり、これらの性状を不問にするときは被加熱水Wということとする。本実施の形態では、被加熱水Wとして水(HO)が用いられている。
吸収器10は、被加熱水Wの流路を構成する伝熱管12と、濃溶液Saを散布する濃溶液散布ノズル13とを内部に有している。吸収器10は、濃溶液散布ノズル13から濃溶液Saが散布され、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、伝熱管12を流れる被加熱水Wが受熱して、被加熱水Wが加熱されるように構成されている。吸収器10において、伝熱管12の内部を流れる被加熱水Wは被加熱媒体に相当し、蒸発器冷媒蒸気Veは吸収対象冷媒の蒸気に相当する。
蒸発器20は、熱源温水hの流路を構成する熱源管22を、蒸発器缶胴21の内部に有している。蒸発器20は、蒸発器缶胴21の内部に冷媒液Vfを散布するノズルを有していない。このため、熱源管22は、蒸発器缶胴21内に貯留された冷媒液Vfに浸かるように配設されている(満液式蒸発器)。吸収ヒートポンプでは、吸収冷凍機よりも蒸発器内の圧力が高いので、熱源管が冷媒液に浸かる構成でも所望の冷媒蒸気を得ることが可能となる。蒸発器20は、熱源管22周辺の冷媒液Vfが熱源管22内を流れる熱源温水hの熱で蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veが発生するように構成されている。熱源管22内を流れる熱源温水hは、蒸発器熱源流体に相当する。蒸発器缶胴21の下部には、蒸発器缶胴21内に冷媒液Vfを供給する冷媒液管45が接続されている。
吸収器10と蒸発器20とは、相互に連通している。吸収器10と蒸発器20とが連通することにより、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に供給することができるように構成されている。
再生器30は、希溶液Swを加熱する熱源温水hを内部に流す熱源管32と、希溶液Swを散布する希溶液散布ノズル33とを有している。熱源管32内を流れる熱源温水hは、再生器熱源流体に相当する。熱源管32内を流れる熱源温水hは、本実施の形態では熱源管22内を流れる熱源温水hと同じ流体となっているが、異なる流体であってもよい。換言すれば、本実施の形態では、蒸発器熱源流体と再生器熱源流体とが共通する供給源から供給された熱源温水hとなっているが、異なる供給源から供給された流体であってもよい。再生器30は、希溶液散布ノズル33から散布された希溶液Swが熱源温水hに加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した濃溶液Saが生成されるように構成されている。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40に移動するように構成されている。
凝縮器40は、冷却水cが流れる冷却水管42を凝縮器缶胴41の内部に有している。凝縮器40は、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。冷却水管42に冷却水cを導く流路には、冷却水管42に導入される冷却水cの温度を検出する冷却水温度検出部としての冷却水温度計48が設けられている。再生器30と凝縮器40とは、相互に連通するように、再生器の缶胴と凝縮器缶胴41とが一体に形成されている。再生器30と凝縮器40とが連通することにより、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器40に供給することができるように構成されている。
再生器30の濃溶液Saが貯留される部分と吸収器10の濃溶液散布ノズル13とは、濃溶液Saを流す濃溶液管35で接続されている。濃溶液管35には、濃溶液Saを圧送する溶液ポンプ35pが配設されている。吸収器10の希溶液Swが貯留される部分と希溶液散布ノズル33とは、希溶液Swを流す希溶液管36で接続されている。濃溶液管35及び希溶液管36には、濃溶液Saと希溶液Swとの間で熱交換を行わせる溶液熱交換器38が配設されている。凝縮器40の冷媒液Vfが貯留される部分と蒸発器缶胴21の下部(典型的には底部)とは、冷媒液Vfを流す冷媒液管45で接続されている。冷媒液管45には、冷媒液Vfを圧送する冷媒ポンプ46が配設されている。
蒸発器20の熱源管22の一端には、熱源温水hを熱源管22に導入する熱源温水導入管51が接続されている。熱源管22の他端と再生器30の熱源管32の一端とは、熱源温水連絡管52で接続されている。熱源管32の他端には、熱源温水hを吸収ヒートポンプ1の外に導く熱源温水流出管53が接続されている。熱源温水流出管53には、内部を流れる熱源温水hの流量を調節可能な熱源温水切替弁53vが配設されている。熱源温水切替弁53vよりも下流側の熱源温水流出管53と熱源温水導入管51との間には、熱源温水バイパス管55が設けられている。熱源温水バイパス管55には、流路を開閉可能なバイパス弁55vが配設されている。熱源温水導入管51には、熱源管22に導入される熱源温水hの温度を検出する熱源流体温度検出部としての熱源温水温度計58が設けられている。
気液分離器80は、吸収器10の伝熱管12を流れて加熱された被加熱水Wを導入し、被加熱水蒸気Wvと被加熱水液Wqとを分離する機器であり、被加熱媒体気液分離部に相当する。気液分離器80には、分離された被加熱水液Wqを気液分離器80から流出する分離液管81が下部(典型的には底部)に接続されている。分離液管81の他端には、被加熱水液Wqを伝熱管12に導く被加熱水導入管82が接続されている。本実施の形態では、分離液管81と被加熱水導入管82とで、被加熱媒体液導入流路を構成している。伝熱管12の他端と気液分離器80の気相部とは、加熱された被加熱水Wを気液分離器80に導く被加熱水流出管84で接続されている。また、気液分離器80には、分離された被加熱水蒸気Wvを需要先に向けて吸収ヒートポンプ1の外に導く供給蒸気管としての被加熱水蒸気管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。また、主に蒸気として吸収ヒートポンプ1の外に供給された分の被加熱水Wを補うための補給水Wsを吸収ヒートポンプ1の外から導入する補給水管85が設けられている。補給水管85は、分離液管81と被加熱水導入管82との接続部に接続されており、分離液管81を流れてきた被加熱水液Wqに補給水Wsを合流させるように構成されている。補給水管85には、吸収器10に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ86が配設されている。補給水ポンプ86は、被加熱媒体液供給装置に相当する。
気液分離器80の近傍の被加熱水蒸気管89には、気液分離器80の内部の圧力を検出する圧力計93が設けられている。圧力計93は、被加熱水蒸気Wvの圧力を検出することができ、被加熱水蒸気の圧力Wv又は被加熱水蒸気Wvの圧力と相関を有する物理量を検出する被加熱媒体蒸気圧力相関値検出部として機能する。また、圧力計93よりも下流側の被加熱水蒸気管89には、吸収ヒートポンプ1の外に供給する被加熱水蒸気Wvの圧力を調節する圧力制御弁99が設けられている。圧力計93と圧力制御弁99との間の被加熱水蒸気管89には、安全弁88が設けられている。安全弁88は、気液分離器80の内部が目標運転圧力を超えて高すぎる圧力(例えば、気液分離器80の最高使用圧力)になったときに機械的に弁を開放して圧力の上昇を抑制するものである。
気液分離器80には、また、気液分離器80内の被加熱水液Wqの液位を検出する液位検出器87が設けられている。液位検出器87は、高液位を検出する高位電極87Hと、低液位を検出する低位電極87Lと、高位電極87H及び低位電極87Lを収容する液位制御筒87cとを有している。液位制御筒87cは、概ね気液分離器80と同じ高さを有し、概ね気液分離器80と同じ高さに配置され、少なくとも上部及び下部の2箇所で連通していて、気液分離器80内の被加熱水液Wqの液位を液位制御筒87cの内部に現すことができるように構成されている。また、気液分離器80の下部(典型的には底部)には、気液分離器80内の被加熱水液Wqを吸収ヒートポンプ1の外に導くブロー管95が接続されている。ブロー管95には、止め弁96、ストレーナ97、ブロー弁98が、気液分離器80から外部に向けてこの順で配設されている。ブロー弁98は、開にすることにより、気液分離器80内の被加熱水液Wqを吸収ヒートポンプ1の外に排出する弁である。ブロー弁98は、典型的には開閉動作(ON−OFF動作)をするものが用いられるが、開度を調節することができるものが用いられてもよい。
薬液注入装置70は、補給水Ws又は被加熱水液Wqに薬液LMを注入する装置である。薬液LMは、気液分離器80内と連通する系統(典型的には伝熱管12と気液分離器80とを循環する系統)の被加熱水液WqのpHを適正値(典型的にはpH10〜11)に維持するためのpH調整、及び被加熱水液Wq中の溶存酸素を除去するための脱酸を主な目的として、被加熱水液Wqに注入される。薬液注入装置70は、薬液LMを貯留する薬液タンク71と、薬液タンク71内の薬液LMを被加熱水液Wqの流路に導く薬液管72と、薬液管72内の薬液LMを搬送する薬液ポンプ73と、逆止弁74とを有している。薬液管72の一端は、薬液タンク71内の薬液LMに没入されている。薬液管72の他端は、本実施の形態では、補給水ポンプ86よりも下流側の補給水管85に接続されているが、補給水管85以外の補給水ポンプ86よりも下流側の気液分離器80内と連通する流路(気液分離器80や被加熱水導入管82等)に接続されていてもよい。薬液ポンプ73は、典型的には、ピストン等の往復運動をする部材を用いた往復駆動式であり、時間あたりの薬液LMの吐出量(単位時間あたりの往復運動部材の往復回数)を調節することができるように構成されている。逆止弁74は、薬液ポンプ73の停止中に被加熱水液Wq(補給水Wsを含む)が薬液タンク71に逆流しないように、薬液ポンプ73よりも下流側の薬液管72に配設されている。
制御装置60は、吸収ヒートポンプ1の動作を制御する装置である。制御装置60は、記憶部61と、蒸気発生流量推測部62と、積算蒸気発生量算出部63と、供給制御部64と、ブロー弁制御部65と、薬液制御部66と、総合制御部67と、送受信部68とを有している。記憶部61は、蒸発器20に導入される熱源温水hの温度と、凝縮器40に導入される冷却水cの温度と、気液分離器80で生成された被加熱水蒸気Wvの圧力と、気液分離器80で生成された被加熱水蒸気Wvの流量(単位時間あたりの生成量)との関係が記憶されている。なお、本実施の形態では、被加熱水蒸気Wvの流量は、質量流量としている。
図2に、記憶部61に記憶されている、蒸発器20に導入される熱源温水hの温度と、凝縮器40に導入される冷却水cの温度と、気液分離器80で生成された被加熱水蒸気Wvの圧力と、気液分離器80で生成された被加熱水蒸気Wvの流量(質量流量、以下同じ。)との関係の例を示す。図2に例示された関係における熱源温水hの温度、冷却水cの温度、被加熱水蒸気Wvの圧力の各値は、典型的には、基準となる容量の機種で、導入される熱源温水h及び冷却水cのそれぞれを基準となる流量とした場合の基本値であり、被加熱水蒸気Wvの発生流量は、これらの基本値を用いて試験又はシミュレーションにより求められる。機種の容量や、導入される熱源温水h及び/又は冷却水cの流量が、基準となる値から変化した場合は、あらかじめ用意してある補正式に当てはめて、被加熱水蒸気Wvの流量の値を補正する。なお、本実施の形態では、記憶部61に記憶された関係が表形式となっているが、熱源温水hの温度と冷却水cの温度と被加熱水蒸気Wvの圧力とから、生成された被加熱水蒸気Wvの流量を導き出すことができればよく、表以外の形式、例えば数式等で記憶されていてもよい。
再び図1に戻って説明を続ける。蒸気発生流量推測部62は、蒸気発生流量把握部の一形態であり、熱源温水温度計58で検出された熱源温水hの温度、冷却水温度計48で検出された冷却水cの温度、圧力計93で検出された被加熱水蒸気Wvの圧力の各値を、記憶部61に記憶された関係(図2に例示)に照らし合わせて、生成された被加熱水蒸気Wvの流量を推測することで、生成された被加熱水蒸気Wvの流量を把握する部位である。このとき、各計器58、48、93で検出された値が、記憶部61に記憶されている値として存在しない場合があり得る。その場合(検出された値が図2に例示された値以外の値の場合)は、内挿あるいは外挿によって得ることができ、本実施の形態では一次関数による内挿あるいは外挿によって得ることとしている。例えば、熱源温水温度計58で検出された熱源温度Thxが図2に例示された熱源温度Th1と熱源温度Th2との間にあり、冷却水温度計48で検出された冷却水温度Tcxが図2に例示された冷却水温度Tc1と冷却水温度Tc2との間にあり、圧力計93で検出された蒸気圧力Pxが図2に例示された蒸気圧力P1と蒸気圧力P2との間にある場合、図2における、Th1欄の蒸気量とTh2欄の蒸気量とから内挿した蒸気量の欄(これをThx欄とする)を作成し、次に、得られたThx欄からTc1欄の蒸気量とTc2欄の蒸気量とから内挿した蒸気量の欄(これをTcx欄とする)を作成し、さらに、得られたTcx欄からP1欄の蒸気量とP2欄の蒸気量とから内挿して、熱源温度Thx、冷却水温度Tcx、蒸気圧力Pxにおける蒸気量を得ることができる。このように、図2に例示する関係から、順次内挿又は外挿することにより、所望の蒸気量を得ることができる。なお、内挿又は外挿して得られる欄を作成する順序は、上記の順に限らず、適宜入れ替えることができる。
積算蒸気発生量算出部63は、蒸気発生流量推測部62で推測された流量を用いて、基準時から任意の時点までに生成された蒸気量を算出する部位である。基準時は、気液分離器80内の被加熱水液Wq中に存在するシリカ、カルシウム、マグネシウム等の不純物濃度(例えば、蒸発後も被加熱水液Wqに残留する全固形物の濃度等)を管理することを目的とする場合は、典型的には、吸収器10の伝熱管12内の系統(伝熱管12と気液分離器80とを循環する系統)に保有する被加熱水液Wqの実質的に全量を排出したときであるが、目的に応じて適宜設定してもよい。伝熱管12内の系統に保有する被加熱水液Wqの実質的に全量を排出とは、伝熱管12内の系統に保有する被加熱水液Wqの全量を排出することのほか、少なくとも不純物の影響を受けない程度に伝熱管12内の系統に保有する被加熱水液Wqを排出することを含んでいる。なお、積算蒸気発生量算出部63は、蒸気発生流量推測部62で推測された蒸気流量を単位時間毎(時間、日、曜日、月毎)に積算した単位時間蒸気発生量を算出するように構成されていてもよく、制御装置60は、単位時間蒸気発生量を表示する表示装置が設けられ、及び/又は単位時間蒸気発生量を系外に伝送する機能を有するように構成されていてもよい。
供給制御部64は、補給水ポンプ86による補給水Wsの供給流量を制御する部位である。供給制御部64は、典型的には、伝熱管12内の系統に保有していた被加熱水Wが系外(吸収ヒートポンプ1の外)に供給され又は流出した分の補給水Wsを系内に補給するように、補給水ポンプ86の発停あるいは回転速度を調節するように構成されている。ブロー弁制御部65は、ブロー弁98の開閉あるいは開度を制御する部位である。ブロー弁制御部65は、蒸気発生流量推測部62で推測された流量に基づいて、被加熱水液Wq中の不純物濃度が高くなりすぎないように、ブロー弁98を開閉するタイミングを調節するように構成されている。薬液制御部66は、薬液ポンプ73による薬液LMの供給流量を制御する部位である。総合制御部67は、供給制御部64が制御する補給水ポンプ86、ブロー弁制御部65が制御するブロー弁98、及び薬液制御部66が制御する薬液ポンプ73以外の吸収ヒートポンプ1を構成する機器の動作を制御する部位である。総合制御部67は、本実施の形態では、溶液ポンプ35p及び冷媒ポンプ46の発停、並びに熱源温水切替弁53v、バイパス弁55v、及び圧力制御弁99の開度を制御することができるように構成されている。なお、図1では、供給制御部64、ブロー弁制御部65、薬液制御部66、総合制御部67が別々に構成されているように示しているが、これは機能の観点から概念的に別々に表現したものであり、物理的には1つの制御部として渾然一体に構成されていてもよい。
送受信部68は、制御装置60が制御対象とする各機器と、制御装置60との間における信号の授受を行う部位である。送受信部68は、溶液ポンプ35p、冷媒ポンプ46、薬液ポンプ73、補給水ポンプ86のそれぞれと電信可能に接続されており、各ポンプ35p、46、73、86の発停及び回転速度を制御することができるように構成されている。また、送受信部68は、熱源温水切替弁53v、バイパス弁55v、ブロー弁98、圧力制御弁99のそれぞれと電信可能に接続されており、各弁53v、55v、98、99の開閉動作あるいは開度を制御することができるように構成されている。また、送受信部68は、冷却水温度計48、熱源温水温度計58、液位検出器87、圧力計93のそれぞれと電信可能に接続されており、各計器48、58、87、93で検出した値を受信することができるように構成されている。送受信部68と各機器との電信可能な接続態様は、典型的には信号ケーブル等の有線、又は無線による電気的な接続である。
記憶部61、蒸気発生流量推測部62、積算蒸気発生量算出部63、供給制御部64、ブロー弁制御部65、薬液制御部66、総合制御部67、送受信部68は、相互に情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、図1では、記憶部61、蒸気発生流量推測部62、積算蒸気発生量算出部63、供給制御部64、ブロー弁制御部65、薬液制御部66、総合制御部67、送受信部68が別々に構成されているように示しているが、これは機能の観点から概念的に別々に表現したものであり、これらの一部又は全部が物理的には渾然一体に構成されていてもよい。また、図1では、記憶部61、蒸気発生流量推測部62、積算蒸気発生量算出部63、供給制御部64、ブロー弁制御部65、薬液制御部66、総合制御部67、送受信部68が1つの筐体に収容されて制御装置60を構成しているように示されているが、これは概念を示しているものであって、物理的にはこれらが分離して配設されていてもよい。
引き続き図1を参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。以下に説明する吸収ヒートポンプ1を構成する各機器の動作は、典型的には制御装置60で制御される。通常、熱源温水切替弁53v及び圧力制御弁99が開、バイパス弁55v及びブロー弁98が閉となっている。まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器40では、再生器30で蒸発した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管42を流れる冷却水cで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒ポンプ46で蒸発器缶胴21に送られる。蒸発器缶胴21に送られた冷媒液Vfは、熱源管22内を流れる熱源温水hによって加熱され、蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなる。蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veは、蒸発器20と連通する吸収器10へと移動する。
次に溶液側のサイクルを説明する。吸収器10では、濃溶液Saが濃溶液散布ノズル13から散布され、この散布された濃溶液Saが蒸発器20から移動してきた蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する。吸収器10では、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、伝熱管12を流れる被加熱水Wが加熱される。吸収器10で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなり、吸収器10の下部に貯留される。貯留された希溶液Swは、吸収器10と再生器30との内圧の差により再生器30に向かって希溶液管36を流れ、溶液熱交換器38で濃溶液Saと熱交換して温度が低下して、再生器30に至る。
再生器30に送られた希溶液Swは、希溶液散布ノズル33から散布され、熱源管32を流れる熱源温水h(本実施の形態では約80℃前後)によって加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して濃溶液Saとなり、再生器30の下部に貯留される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40へと移動する。再生器30の下部に貯留された濃溶液Saは、溶液ポンプ35pにより、濃溶液管35を介して吸収器10の濃溶液散布ノズル13に圧送される。濃溶液管35を流れる濃溶液Saは、溶液熱交換器38で希溶液Swと熱交換して温度が上昇してから吸収器10に流入し、濃溶液散布ノズル13から散布される。濃溶液Saは、溶液ポンプ35pで昇圧されて吸収器10に入り、吸収器10内で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収することに伴い温度が上昇する。吸収器10に戻った濃溶液Saは蒸発器冷媒蒸気Veを吸収し、以降、同様のサイクルを繰り返す。
吸収液S及び冷媒Vが上記のような吸収ヒートポンプサイクルを行う過程で、吸収器10において濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱で被加熱水液Wqが加熱されて湿り蒸気(混合被加熱水Wm)となり、気液分離器80に導かれる。気液分離器80に流入した混合被加熱水Wmは、被加熱水蒸気Wvと被加熱水液Wqとに分離される。気液分離器80で分離された被加熱水蒸気Wvは、被加熱水蒸気管89に流出し、吸収ヒートポンプ1の外部の蒸気利用場所に供給される。つまり、吸収ヒートポンプから被加熱水蒸気Wvが取り出される。このように、吸収ヒートポンプ1は、駆動熱源の温度以上の被加熱水Wを取り出すことができる第2種の吸収ヒートポンプとして構成されている。他方、気液分離器80で分離された被加熱水液Wqは、分離液管81に流出し、被加熱水導入管82を流れ、伝熱管12内に供給される。このとき、補給水Wsが補給水管85を流れてきた場合は、分離液管81から被加熱水導入管82に流入する被加熱水液Wqに補給水Wsが合流し、被加熱水液Wqとして伝熱管12内に供給される。
上述の要領で被加熱水蒸気Wvが生成されている際、制御装置60の送受信部68は、圧力計93で検出された被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水温度計48で検出された冷却水cの温度、及び熱源温水温度計58で検出された熱源温水hの温度を、随時受信している。そして、蒸気発生流量推測部62は、送受信部68が受信した上記の圧力及び各温度を、記憶部61に記憶されている関係(図2参照)に照らし合わせて、気液分離器80で発生している被加熱水蒸気Wvの流量を推測している。このとき、被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水cの温度、熱源温水hの温度を、所定時間の間隔で検出して、被加熱水蒸気Wvの流量を所定時間の間隔で推測するとよい。所定時間を短くすると、例えば所定時間を数秒程度に短くすると、被加熱水蒸気Wvの流量を実質的に連続的に推測することができる。このようにして蒸気発生流量推測部62で推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量は、熱管理や被加熱水液Wqの水質管理に利用することができる。蒸気発生流量推測部62で被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測することで蒸気流量計を不要にすることができ、蒸気流量計を設置して被加熱水蒸気Wvの発生流量を計測する場合に比べて、機器構成の複雑化及びコストを抑制することができる。なお、蒸気発生流量推測部62で推測される被加熱水蒸気Wvの発生流量は、概略値であり、蒸気流量計で計測した場合のような正確な値ではないかもしれないが、天然ガスや石油等の高価な化石燃料を用いない吸収ヒートポンプ1の熱管理や水質管理に用いるには十分である。
制御装置60では、蒸気発生流量推測部62で被加熱水蒸気Wvの発生流量が推測されたら、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量(質量流量)に相当する質量の補給水Wsが吸収ヒートポンプ1内に供給されるように、供給制御部64が補給水ポンプ86を制御する。補給水ポンプ86をON−OFF制御する場合は、次のようにするとよい。あらかじめ、補給水ポンプ86の定格領域での運転に必要な補給水Wsの流量を吸収器10に向けて供給できるように、補給水ポンプ86が供給する補給水Wsの流量と補給水ポンプ86のON時間及びOFF時間とを設定する。このとき、補給水ポンプ86の単位時間あたりのON−OFF回数が、補給水ポンプ86が許容する単位時間あたりのON−OFF回数よりも少なくなるように、補給水Wsの流量と補給水ポンプ86のON時間及びOFF時間とを設定する。そして、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量(質量流量)が順次得られ次第、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に相当する質量流量の補給水Wsが吸収器10に向けて供給されるように、補給水ポンプ86のON時間とOFF時間とを調整するとよい。推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量が、定格領域の被加熱水蒸気Wvより少ない場合、少ない程度に応じて、補給水ポンプ86のON時間を短くし、OFF時間を長くするとよい。他方、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量が、定格領域の被加熱水蒸気Wvより過大な場合、過大な程度に応じて、補給水ポンプ86のON時間を長くし、OFF時間を短くするとよい。あるいは、補給水ポンプ86をインバータ等で流量調節可能に構成して、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量(質量流量)に相当する質量流量の補給水Wsが連続的に吸収器10に向けて供給されるように補給水ポンプ86を回転速度制御して流量制御することとしてもよい。このように、吸収ヒートポンプ1では、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づいて、吸収器10に向けて供給される補給水Wsの流量を調節しているので、蒸気流量計の設置を回避しつつ、気液分離器80内の被加熱水液Wqの液位の変動を抑制することができる。
供給制御部64が、上述のように、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づいて補給水ポンプ86を制御している際、送受信部68は、液位検出器87から液位信号を受信する。そして、供給制御部64は、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲を逸脱した場合に、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲に入るように補給水ポンプ86を制御する。所定の範囲は、本実施の形態では、高位電極87Hが検出する高液位と低位電極87Lが検出する低液位との間としている。つまり、本実施の形態では、供給制御部64は、液位検出器87が検出した液位が高液位よりも上がったら高液位以下になるように補給水ポンプ86を制御し、液位検出器87が検出した液位が低液位よりも下がったら低液位以上になるように補給水ポンプ86を制御することとしている。ここでの供給制御部64による補給水ポンプ86の制御は、ON−OFF制御の場合は、液位が高液位を超えたら補給水ポンプ86のOFF時間を延長するか補給水ポンプ86を停止し、液位が低液位より低下したら補給水ポンプ86のON時間を延長するか補給水ポンプ86を連続運転とする。また、補給水ポンプ86の制御が回転速度制御の場合は、液位が高液位を超えたら補給水ポンプ86の回転速度を減じ、液位が低液位より低下したら補給水ポンプ86の回転速度を増加する。このように、供給制御部64は、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づいて補給水ポンプ86を制御しつつ、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲を逸脱した場合は、被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づく制御よりも優先的に、液位検出器87が検出した液位が所定の範囲に入るように補給水ポンプ86を制御することとしている。
前述のように、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に相当する流量の補給水Wsを伝熱管12内の系統に供給していると、次第に被加熱水液Wq中の不純物濃度が高くなってしまう。一般に、補給水Wsが吸収ヒートポンプ1内に導入されると、補給水Wsと共にシリカ、カルシウム、マグネシウム等の不純物も吸収ヒートポンプ1内に持ち込まれる。外部に供給される被加熱水蒸気Wvには、通常、不純物は含まれないため、被加熱水蒸気Wvの積算発生量が増加すると、気液分離器80内の被加熱水液Wq中の不純物濃度が上昇(被加熱水液Wqが濃縮)して、被加熱水液Wqの不純物濃度に起因するキャリーオーバーが発生する障害、吸収器10の伝熱管12の内面に不純物によるスケールが析出して伝熱が劣化する障害、ひどい場合には不純物により流路が閉塞される障害等が発生する場合がある。そのため、上述の障害を未然に防ぐように、被加熱水液Wq中における不純物濃度を所定の規準濃度範囲内に維持することとする。例えば、不純物濃度として蒸発後も被加熱水液Wqに残留する全固形物の濃度を採用した場合、規準濃度の上限は2000〜30000ppm以下である。一般的に、被加熱水液Wq中における不純物濃度は、被加熱水蒸気Wvの積算発生量に比例するので、不純物濃度の抑制のための指標として、本実施の形態では被加熱水蒸気Wvの積算発生量を用いている。本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、被加熱水液Wqの濃縮を抑制して不純物濃度を所定の規準濃度範囲に維持するため、以下に説明するタイミングで、ブロー弁98を開き、濃縮した被加熱水液Wqの一部を排出する制御を行うこととしている。
ブロー弁98を制御するにあたり、積算蒸気発生量算出部63は、蒸気発生流量推測部62で推測された被加熱水蒸気Wvの流量を用いて、吸収器10の伝熱管12内の系統に保有する(伝熱管12と気液分離器80との間を循環する)被加熱水液Wqの実質的に全量を排出してから(基準時から)の、生成された被加熱水蒸気Wvの積算量を算出する。そして、積算蒸気発生量算出部63は、被加熱水蒸気Wvの積算蒸気発生量が、被加熱水液Wq中における不純物濃度が所定の規準濃度範囲内の所定の濃度に到達するのに相当する所定の値に到達したら、ブロー弁98を開にすることを許可する。積算蒸気発生量の所定の値は、上記所定の規準濃度の上限に相当する積算蒸気発生量未満であれば任意に決定することができるが、前述した障害が発生するリスクを極力回避する観点からは、被加熱水液Wqにおける不純物濃度の許容値を上記所定の規準濃度の上限値に対して尤度のある濃度とし、その濃度に相当する比較的小さい値とするとよく、被加熱水液Wqのブロー排出に伴う熱損失を少なくしつつブロー弁98の開閉動作を極力少なくする観点からは、被加熱水液Wqにおける不純物濃度の許容値を所定の規準濃度の上限濃度とし、その濃度に相当するできるだけ大きい値とするとよい。ブロー弁98を開にする契機となる積算蒸気発生量は、補給水Wsの水質にもよるが、例えば、定格蒸気発生量の5〜20倍が好適である。
ブロー弁98は、ブロー弁制御部65からの指令に基づいて開閉動作が行われる。ブロー弁制御部65は、本実施の形態では、積算蒸気発生量算出部63で算出された被加熱水蒸気Wvの積算蒸気発生量が所定の値になったらブロー弁98を開にし、ブロー弁98を開にしてから所定の時間が経過したらブロー弁98を閉にする。ここで、所定の時間は、ブロー弁98を開にして気液分離器80内の被加熱水液Wqをブローした後で被加熱水液Wqが気液分離器80内に補充されたときに気液分離器80内の被加熱水液Wqが所望の濃度まで希釈される程度に、被加熱水液Wqを排出するのに要する時間である。所定の時間は、積算蒸気発生量算出部63で算出された被加熱水蒸気Wvの積算蒸気発生量(質量)に相当する補給水Wsの量(質量)に含まれる量の不純物を排出して被加熱水液Wq中における不純物濃度を所定の規準濃度範囲に維持することができる時間とするとよい。ブロー弁98を開にしている間、気液分離器80内の被加熱水液Wqは、ブロー管95を介して吸収ヒートポンプ1の外部に排出される。なお、ブロー弁98を所定の時間開にした場合、供給制御部64は、被加熱水蒸気Wvとして吸収ヒートポンプ1外に流出した分に加えて、ブロー弁98を介して吸収ヒートポンプ1外に排出した被加熱水液Wqの分の補給水Wsを、吸収ヒートポンプ1に供給するように補給水ポンプ86を制御することが好ましい。例えば、補給水ポンプ86をON−OFF制御する場合には補給水ポンプ86のON時間を延長し、補給水ポンプ86を回転速度制御する場合には補給水ポンプ86の回転速度を増加するのがよい。そして、被加熱水蒸気Wvの積算蒸気発生量が所定の値に達した以降においては、被加熱水液Wq中における不純物濃度が規準濃度を超えて上昇しないように、被加熱水蒸気Wvの発生量に対して所定の比率となる被加熱水液Wqの所定量を排出するようにブロー弁98を所定の時間開にする制御を行う。また、上記のようなブロー制御を行った場合であっても、積算蒸気発生量算出部63で算出された被加熱水蒸気Wvの積算蒸気発生量が第2の所定の値に到達したら、伝熱管12内の系統に保有する(伝熱管12と気液分離器80との間を循環する)被加熱水液Wqをすべて取り替えることを勧める全ブロー勧告をお知らせするようにしてもよい。積算蒸気発生量の第2の所定の値は、補給水Wsの水質にもよるが、例えば、定格蒸気発生量の30〜60倍が好適である。あるいは、ブロー弁98を作動させて被加熱水液Wqを排出した回数が所定の回数に到達したら、伝熱管12内の系統に保有する(伝熱管12と気液分離器80との間を循環する)被加熱水液Wqをすべて取り替えることを勧める全ブロー勧告を知らせるようにしてもよい。所定の回数は、吸収ヒートポンプ1内に固形物が堆積することを抑制する観点から決定するとよい。第2の所定の値及び所定の回数は、典型的には、全ブローが行われたときにリセットされる。
上述のようにブロー弁98を制御することで被加熱水液Wq中における不純物濃度を計測する装置を不要にすることができ、不純物濃度を計測する装置を付設して測定した被加熱水液Wq中における不純物濃度に基づいて被加熱水液Wq中における不純物濃度が所定の規準濃度範囲内の濃度になるようにブロー弁98を制御する場合に比べて、機器構成の複雑化及びコストを抑制することができる。また、このようにして制御される被加熱水液Wqのブロー排出量は概略値であり、被加熱水液Wq中における不純物濃度を計測する装置で不純物濃度を計測して行う場合の被加熱水液Wqのブロー排出量のような正確な値ではないかもしれない。しかし、第2種の吸収ヒートポンプは、被加熱水の蒸発量に対する保有水量が通常の蒸気ボイラよりも数倍大きいので、被加熱水の水質変化も緩慢となる。したがって、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づいてブロー弁98を制御しても差し支えなく、このようにすることで制御を簡便にすることができる。
また、本実施の形態では、補給水Wsが吸収ヒートポンプ1内に供給される際に、薬液制御部66が薬液ポンプ73を起動させて、薬液LMを補給水Wsに注入している。薬液LMは、吸収ヒートポンプ1内に供給される補給水Wsの流量に対して、薬液LMの種類及び補給水Wsの水質等を勘案して決定された所定の比率となる流量が注入される。薬液制御部66は、このような流量の薬液LMが注入されるように、薬液ポンプ73を制御する。また、伝熱管12内の系統に保有する(伝熱管12と気液分離器80との間を循環する)被加熱水液Wqをすべて排出する全ブローを行った場合は、ブロー弁98を介して被加熱水液Wqを排出した後の最初に補給水Wsを供給する際に、薬液LMを、基礎注入量として比較的多く(外部に供給した被加熱水蒸気Wvに相当する流量の補給水Wsが供給される際に注入される薬液LMの流量よりも多く)注入する。このように薬液LMを注入することで、被加熱水Wの適正な水質管理を行うことができ、腐食の抑制と耐用年数の延長を図ることができる。なお、補給水Wsは、蒸気発生流量推測部62で推測された流量及び積算蒸気発生量算出部63で算出された値に応じて吸収ヒートポンプ1内に供給されるため、吸収ヒートポンプ1内に供給される補給水Wsの流量に対して所定の比率となる流量が注入される薬液LMは、蒸気発生流量推測部62で推測された流量及び積算蒸気発生量算出部63で算出された値に基づいて、補給水Wsに注入されるといえる。このように薬液ポンプ73を制御することで補給水流量計を不要にすることができ、補給水流量計を付設して測定した補給水Wsの流量に対する比率で薬液LMを供給する場合に比べて、機器構成の複雑化及びコストを抑制することができる。また、このようにして注入される薬液LMの流量は概算値であり、補給水流量計で測定した補給水Wsの流量に対して所定の比率で供給する場合のような正確な値ではないかもしれない。しかし、第2種の吸収ヒートポンプは、被加熱水の蒸発量に対する保有水量が通常の蒸気ボイラよりも数倍大きいので、被加熱水の水質変化も緩慢となる。したがって、推測された被加熱水蒸気Wvの発生流量に基づいて薬液ポンプ73を制御しても差し支えなく、このようにすることで制御を簡便にすることができる。
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1によれば、蒸気発生流量推測部62が、圧力計93で検出された被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水温度計48で検出された冷却水cの温度、及び熱源温水温度計58で検出された熱源温水hの温度から、被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測するので、蒸気流量計を設けることなく、気液分離器80内の被加熱水液Wqの液位の安定化を図ることができると共に、補給水ポンプ86による補給水Wsの供給、ブロー弁98を介した被加熱水液Wqの排出、薬液ポンプ73による薬液LMの注入を、適切に制御することができる。
以上の説明では、ブロー管95が気液分離器80の下部に接続されていて気液分離器80内の被加熱水液Wqを直接吸収ヒートポンプ1の外に放出することとしたが、ブロー管95が分離液管81、被加熱水導入管82、吸収器10の伝熱管12の少なくとも1つ、あるいはこれらに被加熱水流出管84や液位制御筒87cをも含めた被加熱水液Wqが存在する部分の少なくとも1つに接続されていて気液分離器80内の被加熱水液Wqを間接的に吸収ヒートポンプ1の外に放出することとしてもよい。ブロー管95が伝熱管12に接続される場合は、伝熱管12内で生じた蒸発残留物の排出効果を期待できる。しかしながら、ブロー管95が気液分離器80に接続されていると、補給水Wsと混合する前の濃縮度が濃い被加熱水液Wqを排出できるため好ましい。
以上の説明では、ブロー弁98がブロー管95に配設されていることとしたが、ブロー弁98が、ブロー管95を介さずに、気液分離器80に直接接続されていてもよい。あるいは、気液分離器80のほか、分離液管81や被加熱水導入管82等を含めた被加熱水液Wqが存在する部分の少なくとも1つに直接接続されていてもよい。
以上の説明では、補給水管85が分離液管81と被加熱水導入管82との接続部に接続されて補給水Wsが被加熱水液導入流路に供給されることで補給水Wsが間接的に気液分離器80に供給されることとしたが、補給水管85が気液分離器80に接続されて補給水Wsが直接気液分離器80に供給されることとしてもよく、補給水管85が吸収器10の伝熱管12あるいは被加熱水導入管82や被加熱水流出管84等の被加熱水Wが存在する部分に接続されて補給水Wsが間接的に気液分離器80に供給されることとしてもよい。
以上の説明では、被加熱媒体液供給装置が補給水ポンプ86であるとしたが、外部の元圧から補給水Wsが供給されてくる場合は、補給水管85を流れる補給水Wsの流量を調節可能な補給水制御弁を補給水管85に設けることで、当該補給水制御弁を被加熱媒体液供給装置とすることができる。
以上の説明では、蒸気発生流量把握部が、圧力計93で検出された被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水温度計48で検出された冷却水cの温度、及び熱源温水温度計58で検出された熱源温水hの温度から、被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測する蒸気発生流量推測部62であるとしたが、気液分離器80で発生した被加熱水蒸気Wvの流量を直接検出する蒸気流量計であってもよい。蒸気発生流量把握部を蒸気流量計とする場合は、典型的には被加熱水蒸気管89に取り付けられる。蒸気発生流量把握部を蒸気流量計とすると、蒸気発生流量推測部62で推測した場合よりも、気液分離器80で発生した被加熱水蒸気Wvの流量を正確に把握することができる。
以上の説明では、蒸気発生流量推測部62が、被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水cの温度、及び熱源温水hの温度から、被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測することとしたが、被加熱水蒸気Wvの圧力、冷却水cの温度、及び熱源温水hの温度のうちの1つ又は複数の代用値から被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測することとしてもよい。被加熱水蒸気Wvの圧力の代用値としては、被加熱水蒸気Wvの圧力と相関を有する物理量である、被加熱水蒸気Wvの温度、又は吸収器10の伝熱管12を流れて加熱された被加熱水Wの圧力もしくは温度(被加熱水Wの飽和温度)としてもよい。これらの代用値は、典型的には計器類で検出されたものであるが、検出された値でなく、あらかじめ制御装置60に設定した目標とする被加熱水蒸気Wvの圧力又は温度でもよい。また、被加熱水蒸気Wvの圧力は被加熱水蒸気Wvの温度と相互換算でき、被加熱水蒸気Wvの温度は吸収器10の缶胴内の希溶液Swの温度から推定することができるので、吸収器10の缶胴内の希溶液Swの温度を検出して代用してもよい。また、吸収器10出口の希溶液Swの温度と濃度と吸収器10の缶胴内圧には相関があるので、吸収器10の出口の希溶液Swの濃度が分かっている場合には希溶液Swの濃度から希溶液Swの温度を算出して代用してもよい。冷却水cの温度の代用値としては、冷却水cの温度と相関を有する物理量である、凝縮器40で凝縮した冷媒の温度又は凝縮器缶胴41の内圧(これと概ね等しい再生器30の缶胴の内圧でもよい)でもよい。また、再生器30の缶胴の内圧と再生器30の缶胴出口の濃溶液Saの温度と濃度は相互に関連があるので、再生器30の缶胴出口の濃溶液Saの温度又は濃度が分かっている場合には、濃溶液Saの温度又は濃度から再生器30の缶胴の内圧を算出して代用してもよい。これらの代用値は、典型的には計器類で検出されたものであるが、検出された値でなく、あらかじめ制御装置60に設定した冷却水cの温度でもよい。熱源温水hの温度の代用値としては、熱源温水hの温度と相関を有する物理量である、蒸発器20で蒸発した蒸発器冷媒蒸気Veの温度又は蒸発器缶胴21の内圧(これと概ね等しい吸収器10の缶胴の内圧でもよい)でもよい。これらの代用値は、典型的には計器類で検出されたものであるが、検出された値でなく、あらかじめ制御装置60に設定した熱源温水hの温度でもよい。また、以上の説明では、蒸発器熱源流体及び再生器熱源流体として温水を用いることとしたが、これらの一方又は両方が蒸気であってもよい。
以上の説明では、蒸発器20が満液式であるとしたが、散布式であってもよい。蒸発器を散布式とする場合は、蒸発器缶胴の上部に冷媒液Vfを散布する冷媒液散布ノズルを設け、満液式の場合に蒸発器缶胴21の下部に接続することとしていた冷媒液管45の端部を、冷媒液散布ノズルに接続すればよい。また、蒸発器缶胴の下部の冷媒液Vfを冷媒液散布ノズルに供給する配管及びポンプを設けてもよい。
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1が単段であるとして説明したが、多段でもよい。
図3に、二段昇温型の吸収ヒートポンプ1Aの構成を例示する。吸収ヒートポンプ1Aは、図1に示されている吸収ヒートポンプ1における吸収器10及び蒸発器20が、高温側の高温吸収器10H及び高温蒸発器20Hと、低温側の低温吸収器10L及び低温蒸発器20Lとに分かれている。高温吸収器10Hは低温吸収器10Lよりも内圧が高く、高温蒸発器20Hは低温蒸発器20Lよりも内圧が高い。高温吸収器10Hと高温蒸発器20Hとは、高温蒸発器20Hの冷媒Vの蒸気を高温吸収器10Hに移動させることができるように上部で連通している。低温吸収器10Lと低温蒸発器20Lとは、低温蒸発器20Lの冷媒Vの蒸気を低温吸収器10Lに移動させることができるように上部で連通している。被加熱水液Wqは、高温吸収器10Hで加熱される。熱源温水hは、低温蒸発器20Lに導入される。低温吸収器10Lは低温蒸発器20Lから移動してきた冷媒Vの蒸気を吸収液Sが吸収する際の吸収熱で高温蒸発器20H内の冷媒液Vfを加熱して高温蒸発器20H内に冷媒Vの蒸気を発生させ、発生した高温蒸発器20H内の冷媒Vの蒸気は高温吸収器10Hに移動して高温吸収器10H内の吸収液Sに吸収される際の吸収熱で被加熱水液Wqを加熱するように構成されている。吸収ヒートポンプ1Aでは、蒸気発生流量推測部62(図1参照)が、被加熱水蒸気Wvの発生流量を推測することに加え、低温吸収器10Lにおいて発生した吸収熱で加熱される、低温吸収器10L内の伝熱管内を流れる高温蒸発器20Hからの冷媒液Vfが蒸発して発生する冷媒Vの蒸気の発生流量を推測するように構成されていてもよい。この場合、被加熱水Wのほか、低温吸収器10L内の伝熱管内を流れる冷媒Vも、被加熱媒体に相当する。なお、低温蒸発器20Lから低温吸収器10Lに移動する冷媒Vの蒸気は、吸収対象冷媒の蒸気に相当する。
1 吸収ヒートポンプ
10 吸収器
20 蒸発器
30 再生器
40 凝縮器
48 冷却水温度計
58 熱源温水温度計
60 制御装置
61 記憶部
62 蒸気発生流量推測部
63 積算蒸気発生量算出部
64 供給制御部
65 ブロー弁制御部
66 薬液制御部
70 薬液注入装置
80 気液分離器
81 分離液管
82 被加熱水導入管
86 補給水ポンプ
87 液位検出器
93 圧力計
98 ブロー弁
c 冷却水
h 熱源温水
LM 薬液
Sa 濃溶液
Sw 希溶液
Ve 蒸発器冷媒蒸気
Vf 冷媒液
Vg 再生器冷媒蒸気
Wm 混合被加熱水
Wq 被加熱水液
Wv 被加熱水蒸気

Claims (6)

  1. 吸収液が吸収対象冷媒の蒸気を吸収したときに発生した吸収熱で被加熱媒体を加熱する吸収器と;
    蒸発器熱源流体の熱で冷媒の液を加熱して前記吸収器に供給する前記吸収対象冷媒の蒸気を生成する蒸発器と;
    前記吸収器において前記吸収対象冷媒の蒸気を吸収して濃度が低下した前記吸収液を前記吸収器から直接又は間接的に導入し、再生器熱源流体の熱で導入した前記吸収液を加熱して前記冷媒を離脱させる再生器と;
    前記再生器において前記吸収液から離脱した前記冷媒の蒸気を導入し、冷却水で冷却して凝縮させる凝縮器と;
    前記吸収器で加熱された前記被加熱媒体を導入して前記被加熱媒体の蒸気と液とに分離する被加熱媒体気液分離部と;
    前記被加熱媒体の蒸気の発生流量を把握する蒸気発生流量把握部と;
    前記吸収器に向けて前記被加熱媒体の液を供給する被加熱媒体液供給装置と;
    前記蒸気発生流量把握部で把握された前記被加熱媒体の蒸気の発生流量に応じた流量の前記被加熱媒体の液を前記吸収器に向けて供給するように前記被加熱媒体液供給装置を制御する供給制御部と;
    前記被加熱媒体気液分離部の内部の前記被加熱媒体の液を前記吸収器に導く被加熱媒体液導入流路と;
    前記被加熱媒体気液分離部の内部の前記被加熱媒体の液を直接又は間接的に系外に排出するブロー弁と;
    前記蒸気発生流量把握部で把握された前記被加熱媒体の蒸気の発生流量に基づいて前記ブロー弁を所定の時間開にするブロー弁制御部とを備え;
    前記供給制御部は、前記ブロー弁が前記ブロー弁制御部によって所定の時間開にされた場合に、前記被加熱媒体の蒸気として系外に流出した分に加えて、前記ブロー弁を介して系外に排出された前記被加熱媒体の液の分の前記被加熱媒体の液を、前記吸収器に向けて供給するように構成され;
    前記ブロー弁制御部は、前記ブロー弁を前記所定の時間開にして前記被加熱媒体の液を系外に排出した回数が所定の回数に到達したら、前記吸収器と前記被加熱媒体気液分離部との間を循環する前記被加熱媒体をすべて取り替えることを勧める全ブロー勧告を知らせる;
    吸収ヒートポンプ。
  2. 前記蒸気発生流量把握部は、前記蒸発器熱源流体及び前記再生器熱源流体の少なくとも一方の温度又はその代用値と、前記冷却水の温度又はその代用値と、前記被加熱媒体の蒸気の圧力又はその代用値と、前記被加熱媒体の蒸気の発生流量との関係に照らし合わせて前記被加熱媒体の蒸気の発生流量を把握する;
    請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
  3. 前記被加熱媒体気液分離部における前記被加熱媒体の液の液位を検出する液位検出器を備え;
    前記供給制御部は、前記液位検出器が検出した液位が所定の範囲を逸脱した場合に、前記液位検出器が検出した液位が前記所定の範囲に入る方向に、前記被加熱媒体液供給装置が供給する前記被加熱媒体の液の流量を調節する;
    請求項1又は請求項2に記載の吸収ヒートポンプ。
  4. 前記ブロー弁が前記所定の時間開にされたことで前記ブロー弁を介して系外に排出された前記被加熱媒体の液の量は、前記ブロー弁を開にして前記被加熱媒体気液分離部内の前記被加熱媒体の液をブローした後で前記被加熱媒体の液が前記被加熱媒体気液分離部内に補充されたときに前記被加熱媒体気液分離部内の前記被加熱媒体の液が所望の濃度まで希釈されることとなる、前記被加熱媒体の液の排出量の概略値である;
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  5. 前記吸収器と前記被加熱媒体気液分離部との間を循環する前記被加熱媒体の実質的に全量を排出したときを起算点として、前記蒸気発生流量把握部で把握された前記被加熱媒体の蒸気の発生流量を積算した積算蒸気発生量を算出する積算蒸気発生量算出部を備え;
    前記ブロー弁制御部は、前記積算蒸気発生量算出部で算出された値が所定の値に到達した後に前記ブロー弁の作動を許可する;
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  6. 前記被加熱媒体の液に薬液を注入する薬液注入装置と;
    前記蒸気発生流量把握部で把握された前記被加熱媒体の蒸気の発生流量及び前記積算蒸気発生量算出部で算出された積算蒸気発生量に基づいて、前記薬液注入装置が注入する薬液の注入量を制御する薬液制御部とを備え;
    前記薬液制御部は、系外に流出した前記被加熱媒体の蒸気の単位時間あたりの質量に相当する単位時間あたりの質量の前記被加熱媒体の液の流量に対して所定の比率となる流量の前記薬液を前記被加熱媒体の液に注入し、前記吸収器と前記被加熱媒体気液分離部との間を循環する前記被加熱媒体の実質的に全量を排出した場合は、前記被加熱媒体を系外に排出した後の最初に前記被加熱媒体の液を系外から導入する際に、前記薬液を、前記所定の比率となる流量よりも多く前記被加熱媒体の液に注入する;
    請求項5に記載の吸収ヒートポンプ。
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