JP3568650B2 - 排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法及びヒドラジン注入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンと蒸気タービンとからなるコンバインドサイクル発電プラントにおける排熱回収ボイラの給水にヒドラジンを注入する排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法及びヒドラジン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電設備の高効率化の要求を満たすと共に、環境対策の面でも優れているガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせたコンバインドサイクル発電プラントが多く建設されるようになってきている。
【0003】
ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせたコンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンの出力と蒸気タービンの出力によって発電機を駆動するもので、蒸気タービンの駆動用蒸気はガスタービンの排ガスを排熱回収ボイラに導入し発生したものを使用する。
【0004】
図6は、そのようなコンバインドサイクル発電プラントの構成図である。図6において、ガスタービン23にはLNG燃料が供給され、燃焼器での燃焼ガスにより回転力を与えられ出力を発生する。ガスタービン23の排ガスは排気ダクトによって排熱回収ボイラ24に導入される。この排ガスは約600℃の高温であり、高圧過熱器21、高圧蒸発器20、高圧節炭器17、低圧過熱器12、低圧蒸発器11、低圧節炭器6を順次通過し、これらでの熱交換によって排ガス温度は低下し、約100℃の排ガスとなって煙突から大気に排出される。
【0005】
一方、復水器1の復水は低圧給水ポンプ2によって低圧給水ライン5を通って低圧節炭器6に給水される。低圧節炭器6に供給される給水は、低圧給水ポンプミニマムフローライン4により復水器1に直接的に戻るラインがあるので、復水流量計3で計測されている。低圧節炭器6に供給された給水は、低圧ドラム給水調節弁8、低圧給水流量計9を介して低圧ドラム10に給水される。そして、低圧蒸発器11で発生した蒸気は、低圧ドラム10を介して低圧過熱器12に供給され、低圧過熱器12で過熱蒸気となって蒸気タービン22に供給される。
【0006】
一方、低圧給水は低圧節炭器6の出口の低圧ドラム水位調節弁8の手前で分岐し、高圧給水ポンプ連絡管7から高圧給水ポンプ14を介して高圧節炭器17に供給される。高圧節炭器17に供給される給水は、高圧給水ポンプミニマムフローライン15により復水器1に直接的に戻るラインがあるので、この高圧給水ポンプミニマムフローライン15の分岐部の下流側の低圧給水ライン5に配設された高圧給水流量計16で計測されている。
【0007】
高圧節炭器17から流出した給水は、高圧ドラム水位調節弁18を介して高圧ドラム19に給水される。高圧蒸発器20にて発生した蒸気は、高圧ドラム19に戻されてから、高圧過熱器21を介して蒸気タービン22に供給される。蒸気タービン22はガスタービン23と連結されており、蒸気タービン22の出力及びガスタービン23の出力にて発電機39を駆動することになる。
【0008】
蒸気タービン22で膨張し仕事を終えた蒸気は、復水器1で冷却されて復水となり復水器1のホットウェルに溜まり、ここから再び低圧給水ポンプ2で排熱回収ボイラ24に供給される。
【0009】
この排熱回収ボイラ24の給水の水質は、排熱回収ボイラ24の伝熱管の防食上非常に重要で、特に溶存酸素濃度が高いと伝熱管内面に孔食が発生し、トラブルの原因になる。従来においては、この対策として給水を復水器1や脱気器(図示せず)などで脱気すると共に、給水中にヒドラジンなどの薬液を注入している。ヒドラジンは熱分解により給水中の酸素と結びついてアンモニアと水になるもので、給水中の酸素分を化学的に除去する機能を発揮する化学物質である。実際のプラントではこのヒドラジンを低圧給水の濃度が10ppb程度となるようにヒドラジンポンプ34によって注入する。
【0010】
すなわち、低圧給水流量計9で計測された低圧給水流量、及び高圧給水流量計16で計測された高圧給水流量を加算器27で加算して全給水流量を求め、比例器28でヒドラジンの濃度が所定の濃度(10ppb程度)となるように定数を乗算し、駆動装置33でヒドラジン注入ポンプ34を駆動しヒドラジンを給水に注入するようにしている。
【0011】
低圧節炭器6の入口に注入されたヒドラジンは、低圧節炭器6、低圧蒸発器11、低圧過熱器12、高圧節炭器17、高圧蒸発器20、高圧過熱器21と過熱され、熱分解して窒素と水とに完全に分解されて復水器1に流入する。このため、ヒドラジンは、常に低圧給水流量計9の指示値と高圧給水流量計16の指示値の合計、すなわち全給水流量の10ppb分だけ比例的に注入していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来技術によるヒドラジンの注入では、次のような問題点があった。まず、プラントの起動時(低圧給水ポンプ2の起動時)には低圧ドラム10はスウェリングで給水がなくても水位が上昇するため、蒸気を発生させても低圧節炭器6から低圧ドラム10に給水されない状態がある。
【0013】
このような状態では、排熱回収ボイラ24の高圧給水は、復水器1から低圧節炭器6を通過し、高圧給水ポンプ14の高圧給水ポンプミニマムフローライン15から復水器1に戻る。また、低圧給水ポンプ2からの復水も低圧給水ポンプミニマムフローライン4から復水器1に戻る。この状態では、給水は低圧給水流量計9、高圧給水流量計16を通過しないので、給水流量はないものとみなされてヒドラジンの注入がされない。
【0014】
この状態の時にも、脱酸素剤のない給水が低圧節炭器の伝熱管の中を流れており、しかも、このような低圧ポンプ2の起動時は復水器1の脱気能力も低く低圧給水中の溶存酸素濃度が高い状態となる。また、低圧節炭器6の管内温度は120℃〜150℃程度が多く、最も孔食をうけやすい状態になる。
【0015】
コンバインドサイクル発電設備は起動停止に優れ毎日起動停止が行われる。DSS(Daily Start up & Shut down)運用が主であることから、このような孔食の発生しやすい状態が毎日繰り返されることは好ましいことではない。もし、孔食の発生しやすい状態が毎日繰り返されると、結果として低圧節炭器6に孔食が発生してチューブリークを発生することになってしまう。
【0016】
次に、ガスタービン23が起動した後に給水が流れて、低圧過熱器12及び高圧過熱器21から蒸気が発生するようになると、給水は循環することになるが、その場合に、ヒドラジンが過剰に注入されることがある。すなわち、複圧式(高圧と低圧)のコンバインドサイクル発電システムでは、低圧蒸気の圧力が低く、また、低圧の低圧過熱器12の出口温度が200℃〜250℃程度であることが多いので、ヒドラジンは熱分解されず復水器に戻ってくることになり、ヒドラジンが過剰に注入されることとなる。
【0017】
これは、ヒドラジンは図7に示すように200℃以上になると熱分解を始めるが、250℃程度ではその分解率は60%程度であり、40%のヒドラジンは熱分解されず復水器1に戻ってくる。従来のヒドラジンの注入方法では、単純に給水流量に比例してヒドラジンを注入するものであるため、この戻ってくるヒドラジン分だけヒドラジンが過剰に注入されることとなる。ヒドラジンは前述したように熱分解されるとアンモニアが発生するので、給水中のPHを上昇させる働きもある。しかし、ヒドラジンの注入が過剰となると、その分解によって発生するアンモニアの量が多くなり、PHが上昇し過ぎて復水器1の細管にアンモニアアタックを発生させることがある。
【0018】
本発明の目的は、プラント起動時にヒドラジンの濃度を確保し、ガスタービンの起動後には過剰のヒドラジンが供給されないようにし、排熱回収ボイラの伝熱管内孔食の発生を防止することができる排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法及びヒドラジン注入装置を得ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法は、排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間は所定量のヒドラジンを排熱回収ボイラの給水中に供給し、ガスタービンの起動後は給水流量のうちの低圧給水流量を低圧蒸気の過熱器出口の蒸気温度に基づいて補正し、この補正された低圧給水流量を加味した給水流量に基づいてヒドラジンの注入量を調節するようにしたものである。
【0020】
請求項2の発明による排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法は、請求項1の発明において、排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間において注入するヒドラジンの注入量は、蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を凝縮する復水器のホットウェル水位と、給水配管の容量とによって決定されるようにしたものである。
【0021】
請求項3の発明による排熱回収ボイラのヒドラジン注入装置は、ガスタービンからの排熱で高圧蒸気及び低圧蒸気を発生させ蒸気タービンに供給する排熱回収ボイラの高圧ドラムに供給される高圧給水流量を検出する高圧給水流量計と、排熱回収ボイラの低圧ドラムに供給される低圧給水流量を検出する低圧給水流量計と、高圧給水流量計で検出された高圧給水流量と低圧給水流量計で検出された低圧給水流量とを加算して給水流量を算出する加算器と、給水中の溶存酸素濃度が所定値に維持されるように給水流量に所定の定数を乗算して給水に注入するヒドラジンの注入量を演算する比例器と、比例器の出力に基づいて給水中に給水流量に比例した量のヒドラジンをストロークを調整して注入するプランジャ型のヒドラジン注入ポンプと、排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間を計測するタイマーと、給水中に注入するヒドラジンの所定量に対応したヒドラジン注入ポンプのストロークを予め設定したストローク設定器と、タイマーの駆動時間中はヒドラジン注入ポンプのストロークをストローク設定器に設定されたストロークに維持しガスタービンの起動後は給水流量のうちの低圧給水流量を低圧蒸気の過熱器出口の蒸気温度に基づいて補正した給水流量に基づいてヒドラジンの注入量を調節するヒドラジン注入ポンプ制御装置とを備えている。
【0022】
請求項4の発明による排熱回収ボイラのヒドラジン注入装置は、請求項3の発明において、排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間において注入するヒドラジンの注入量は、蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を凝縮する復水器のホットウェル水位と、給水配管の容量とによって決定されるようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態を示す構成図である。この実施の形態は、排熱回収ボイラ24への給水開始時点から一定時間は所定量のヒドラジンを排熱回収ボイラ24の給水中に供給し、ガスタービン23の起動後は給水流量のうちの低圧給水流量を低圧過熱器12出口の蒸気温度に基づいて補正し、この補正された低圧給水流量を加味した給水流量に基づいてヒドラジンの注入量を調節するようにしたものである。
【0024】
すなわち、図6に示した従来例に対し、この実施の形態では、プラントが起動開始し低圧給水ポンプ2が起動開始したときに起動信号を発生する起動信号発生器30と、この起動信号発生器30からの指令でプラント起動開始時点から一定時間を計測するタイマー32と、給水中に注入するヒドラジンの所定量に対応したヒドラジン注入ポンプ34のストロークを予め設定したストローク設定器29と、低圧過熱器12の出口の蒸気温度に基づいて給水流量のうちの低圧給水流量の補正係数を演算する関数発生器25と、タイマー32の駆動時間中はヒドラジン注入ポンプ34のストロークをストローク設定器32に設定されたストロークに維持すると共に、ガスタービン23の起動後は給水流量のうちの低圧給水流量を低圧過熱器12の出口の蒸気温度に基づいて補正した給水流量に基づいてヒドラジンの注入量を調節するヒドラジン注入ポンプ制御装置31とを追加して設けている。その他の構成は、図6に示した従来例と同一であるので、同一構成要素には同一符号を付しその説明は省略する。
【0025】
図1において、低圧節炭器6から低圧ドラム10への経路には、低圧給水流量計9が設置され、また、低圧過熱器12の出口には低圧過熱器12の出口蒸気温度の測定用熱電対である温度計13が設置されている。この温度計13の出力は関数発生器25に入力されて補正係数が出力される。
【0026】
この補正係数は、ヒドラジンの分解に寄与できる低圧給水流量に補正するものである。図2は関数発生器25の特性曲線を示すもので、低圧過熱器出口蒸気温度が200℃〜320℃の範囲で補正係数を0〜1の範囲を出力するようになっている。これは前述したようにヒドラジンは200℃以上になると分解を開始し始め、320℃程度でほぼ100%のヒドラジンを分解できるようになるので、その特性に合わせたものである。
【0027】
この補正係数は乗算器26によって低圧給水流量計9の出力に掛け合わされた後、加算器27によって高圧給水流量16の出力と合計され、比例器28によってその流量に応じたストローク値がヒドラジンポンプ34のヒドラジン注入ポンプ制御装置31に入力される。
【0028】
また、プラントの起動、すなわち低圧給水ポンプ2と高圧給水ポンプ14とが起動されると、その起動により起動信号発生器30より起動信号が出力され、この起動信号はタイマー32を駆動する。このタイマー32の出力信号は一定時間保持されて、ヒドラジン注入ポンプ34の制御装置31に入力される。また、プラントの起動時におけるヒドラジン注入ポンプ34のストローク設定値は、ストローク設定器29からヒドラジン注入ポンプ制御装置31に入力される。
【0029】
この起動時のストロークは、起動時の復水器1のホットウェルの水位と配管の容量によって、図3のように決定される特性曲線が予め設定されている。このような特性曲線を設定しておくことにより、プラント起動時の一定時間内に復水器1及び低圧給水管内のヒドラジン濃度をプラント起動時の状態に拘らず一定に上昇させることが可能となる。
【0030】
ヒドラジン注入ポンプ制御装置31では、これらからプランジャのストロークの制御信号を出力してプランジャストロークを図4に示すように動かして、ヒドラジン注入ポンプ34からヒドラジンを給水中に注入し、ヒドラジン濃度及び溶存酸素濃度を制御することになる。このヒドラジン注入ポンプとしては微量の薬液の注入に滴したプランジャ型ポンプが使用されており、この形式の代表的なものは図4に示される特徴を備えている。
【0031】
図4において、ヒドラジン注入ポンプ34のストロークがどのように調整されるかを説明する。ポンプ胴36の中でピストン38が上下してプランジャ37の取り付けられた偏心カム35の偏心量を調整することによって行われる。図4(a)はストロークが0%の状態を示しており、図4(b)はストロークが100%の状態を示している。すなわち、ポンプ胴36の中でピストン38の回転数の増減及びピストン38のストロークの双方を調節して、微量の薬液の注入を可能にしている。この場合、ストロークはプランジャ37の取り付けられた偏心カム25の偏心量を調節することにより行われる。
【0032】
次に、図5を参照しながら第1の実施の形態の動作を説明する。いま、時点t0でプラントが起動されると、まず低圧給水ポンプ2、高圧給水ポンプ14が起動される。この場合、給水は復水器1から低圧給水ポンプ2、低圧節炭器6、高圧給水ポンプ14、高圧給水ポンプミニマムフローライン15、低圧給水ポンプミニマムフローライン4を介して復水器1に戻る。この状態では、復水器1、低圧給水管5、ミニマムフロー管5、15の内部には、ヒドラジンは全く含まれていない。
【0033】
これら低圧給水ポンプ2及び高圧給水ポンプ14の起動によって、起動信号が信号発生器30より発信され、その起動信号がタイマー32によって保持されて、起動指令がヒドラジン注入ポンプ制御装置31に入力される。そうすると、ストローク設定器29からのストローク設定値がヒドラジンポンプ制御装置31に入力される。このストローク設定値は、図3に示すように、プラント起動時の復水器ホットウェルの水位レベルから決定される。
【0034】
これによって、ヒドラジン注入ポンプ制御装置31からはストロークの制御信号が発せられ、ヒドラジン注入ポンプ34のピストン38が上下してプランジャ37のストロークを設定し、時点t1でヒドラジンの注入が開始される。タイマー32で定まる一定時間が経過し時点t2になると、タイマー32が切れてストローク設定値は除外され、所定量のヒドラジン注入制御は終了する。これにより、ヒドラジン注入ポンプ制御装置31は、通常の給水流量に比例したヒドラジンの注入制御に移行する。
【0035】
この後、時点t3でガスタービン23が起動すると、そのガスタービン23の起動によって排熱回収ボイラ24の中に高温の排ガスが流入し、低圧蒸気が発生する。この状態では、低圧蒸気が発生していても、低圧ドラム10のスウェリング現象によって給水が低圧ドラム10には流入しない。しばらく経ち時点t4になると、低圧給水が低圧ドラム10に流入し始める。この状態では、まだ低圧過熱器12の出口の蒸気温度は200℃程度であり、給水中のヒドラジンはほとんど熱分解されずに復水器1に戻ってくる。
【0036】
低圧過熱器12の出口の温度計13に計測された低圧過熱器出口温度は、関数発生器25に入力され、この関数発生器25により図2に示すような関数によって補正係数が出力される。そして、その補正係数が低圧給水流量計9よりの低圧給水流量に掛け合わされて補正低圧給水流量が作られ、この信号と高圧給水流量の信号16とを加算器27で合計した値が補正された全給水流量として算出される。この補正された全給水流量に注入するヒドラジン量の割合を比例器28で掛けたものが、ヒドラジン注入ポンプ制御装置31に入力される。
【0037】
たとえば、給水流量30t/hのときの薬液濃度を1%とするとヒドラジンの注入量は、2.4(ml/min)となる。この必要注入量によってヒドラジン注入ポンプ34のストロークを調整してヒドラジンを注入する。ヒドラジンの注入量は低圧過熱器12からの戻り量を考慮しているので、図5に示すように従来の技術による注入量よりも少なくなる。
【0038】
以上述べた実施の形態では、排熱回収ボイラ24で発生する蒸気圧力が高圧蒸気と低圧蒸気との2圧力の代表的な排熱回収ボイラ24について説明したが、蒸気圧力が3圧力になっても、単一圧力の場合でも、過熱器の出口の温度が300℃程度以下のものに対しては、すべて給水流量の補正による制御及びプラント起動時の一定ストロークの制御が適用できることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、プラントの起動時にはタイマーによって給水ポンプ起動後の一定時間は、プランジャ型ポンプのストロークを一定値にしてヒドラジンを注入するので、起動時のヒドラジン濃度の確保及び溶存酸素濃度の確保が可能となり、プラントの起動時に溶存酸素が制限値を越える状態で運転されることを防止し、排熱回収ボイラ伝熱管内孔食の発生を防止することができる。
【0040】
また、ガスタービン起動後には低圧過熱器の出口蒸発温度と低圧ドラムへの給水量より熱分解したヒドラジンの量を算出して、実際よりも少ない給水流量が流れているものとして給水流量を補正し、この補正した給水流量と高圧給水流量を合計した流量に比例するようにヒドラジンの注入量を調整するので、ヒドラジンの過度の注入による循環水中のPHの過上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】関数発生器での給水流量の補正係数を求める特性曲線を示す特性図。
【図3】ストローク設定器での復水器ホットウェルレベルと起動時のヒドラジンポンプのストロークとの関係を示す特性図。
【図4】プランジャ型ヒドラジン注入ポンプのストローク調整機構を示す説明図。
【図5】プラント起動時の各部の状態を示す特性図。
【図6】従来例を示すブロック構成図。
【図7】ヒドラジンの熱分解特性を示す特性図。
【符号の説明】
1 復水器
2 低圧給水ポンプ
3 復水流量計
4 低圧給水ポンプミニマムフローライン
5 低圧給水ライン
6 低圧節炭器
7 高圧給水ポンプ連絡管
8 低圧給水流量調節弁
9 低圧給水流量計
10 低圧ドラム
11 低圧蒸発器
12 低圧過熱器
13 温度計
14 高圧給水ポンプ
15 高圧給水ポンプミニマムフローライン
16 高圧給水流量計
17 高圧節炭器
18 高圧給水流量調節弁
19 高圧ドラム
20 高圧蒸発器
21 高圧過熱器
22 蒸気タービン
23 ガスタービン
24 排熱回収ボイラ
25 関数発生器
26 乗算器
27 加算器
28 比例器
29 ストローク設定器
30 起動信号発生器
31 ヒドラジン注入ポンプ制御装置
32 タイマー
33 駆動装置
34 ヒドラジン注入ポンプ
35 偏心カム
36 ポンプ胴
37 プランジャ
38 ピストン
39 発電機
Claims (4)
- ガスタービンからの排熱で高圧蒸気及び低圧蒸気を発生させ蒸気タービンに供給する排熱回収ボイラの給水中に、その給水流量に比例した量のヒドラジンを注入し、前記給水中の溶存酸素濃度が所定値に維持されるようにした排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法において、前記排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間は所定量のヒドラジンを前記排熱回収ボイラの給水中に供給し、前記ガスタービンの起動後は前記給水流量のうちの低圧給水流量を前記低圧蒸気の過熱器出口の蒸気温度に基づいて補正し、この補正された低圧給水流量を加味した前記給水流量に基づいて前記ヒドラジンの注入量を調節するようにしたことを特徴とする排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法。
- 前記排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間において注入するヒドラジンの注入量は、前記蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を凝縮する復水器のホットウェル水位と、給水配管の容量とによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収ボイラのヒドラジン注入方法。
- ガスタービンからの排熱で高圧蒸気及び低圧蒸気を発生させ蒸気タービンに供給する排熱回収ボイラの前記高圧ドラムに供給される高圧給水流量を検出する高圧給水流量計と、前記排熱回収ボイラの前記低圧ドラムに供給される低圧給水流量を検出する低圧給水流量計と、前記高圧給水流量計で検出された高圧給水流量と前記低圧給水流量計で検出された低圧給水流量とを加算して給水流量を算出する加算器と、前記給水中の溶存酸素濃度が所定値に維持されるように前記給水流量に所定の定数を乗算して前記給水に注入するヒドラジンの注入量を演算する比例器と、前記比例器の出力に基づいて前記給水中に前記給水流量に比例した量のヒドラジンをストロークを調整して注入するプランジャ型のヒドラジン注入ポンプとを備えた排熱回収ボイラのヒドラジン注入装置において、前記排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間を計測するタイマーと、前記給水中に注入するヒドラジンの所定量に対応した前記ヒドラジン注入ポンプのストロークを予め設定したストローク設定器と、前記タイマーの駆動時間中は前記ヒドラジン注入ポンプのストロークを前記ストローク設定器に設定されたストロークに維持し前記ガスタービンの起動後は前記給水流量のうちの低圧給水流量を前記低圧蒸気の過熱器出口の蒸気温度に基づいて補正した前記給水流量に基づいて前記ヒドラジンの注入量を調節するヒドラジン注入ポンプ制御装置とを備えたことを特徴とする排熱回収ボイラのヒドラジン注入装置。
- 前記排熱回収ボイラへの給水開始時点から一定時間において注入するヒドラジンの注入量は、前記蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を凝縮する復水器のホットウェル水位と、給水配管の容量とによって決定されることを特徴とする請求項3に記載の排熱回収ボイラのヒドラジン注入装置。
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