JP2015025610A - 三段昇温型吸収ヒートポンプ - Google Patents

三段昇温型吸収ヒートポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】温水などの低質熱を熱源として、熱源温度よりも高温の蒸気などを発生させ、耐圧を必要とする中温吸収器缶胴および高温吸収器缶胴の冷媒蒸気圧力を低く抑える三段昇温型吸収ヒートポンプ装置を提供する。【解決手段】熱源流体で加熱される2基または3基の再生器を、熱源流体の流れ方向に対して直列に設け、前記再生器を1基含む溶液循環経路を再生器の数だけ設け、各循環経路には溶液ポンプを少なくとも1台は設け、かつ高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器がいずれかの循環経路に含まれるように構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、温水などの低質熱を熱源として高温水や蒸気を発生させる多段昇温型吸収ヒートポンプ装置に係り、特に、耐圧を必要とする中温吸収器缶胴および高温吸収器缶胴の冷媒蒸気圧力を低く抑える三段昇温型吸収ヒートポンプ装置に関するものである。
昇温型吸収ヒートポンプは、温水などの低質熱を熱源として、熱源よりも高温の蒸気などを発生させる装置であり、吸収器、蒸発器、再生器、凝縮器からなる単段昇温型が特許文献1に開示されている。また、多段昇温型吸収ヒートポンプは、複数個の吸収器を備え、吸収器における吸収熱を順次高温段に利用することによって、比較的低温の温水などを熱源として、熱源温度よりもかなり高い温度の被加熱流体を得る装置であり、特許文献2に二段および三段昇温型吸収ヒートポンプが開示されている。
図7(a)は特許文献2に開示された三段昇温型吸収ヒートポンプの概略構成図であり、高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器、高温蒸発器、中温蒸発器、低温蒸発器、再生器、凝縮器を主要構成機器として備えている。なお、低温吸収器には管の外面で溶液が冷媒蒸気を吸収し、管内で冷媒液が蒸発する伝熱管があり、この伝熱管の管内側が中温蒸発器になっている。また、中温吸収器にも同様な管外吸収・管内蒸発を行わせる伝熱管があり、この伝熱管の管内側が高温蒸発器になっている。温水などの熱源により低温蒸発器で加熱蒸発させた冷媒蒸気を、低温吸収器に導入して溶液に吸収させ、その吸収熱で管内の中温蒸発器の冷媒液を加熱蒸発させる。中温蒸発器で発生した冷媒蒸気は中温吸収器に導入して溶液に吸収させ、その吸収熱で管内の高温蒸発器の冷媒液を加熱蒸発させる。高温蒸発器で発生した冷媒蒸気は前記高温吸収器に導入して溶液に吸収させ、その吸収熱で管内の被加熱媒体を加熱して高温蒸気として取り出している。再生器で温水により加熱濃縮した溶液を、溶液ポンプにより前記高温吸収器に圧送し、高温吸収器から中温吸収器、低温吸収器、再生器へと機器間の圧力差と位置ヘッドによって導き、各吸収器で冷媒蒸気を吸収して薄くなった溶液を、前記再生器に戻している。
この三段昇温吸収ヒートポンプでは、起動時に溶液温度が低く機器間に圧力差がなくても、位置ヘッドで溶液循環を確保できるようにするため、装置高さが非常に高くなっている。すなわち、再生器の上に低温吸収器を、その上に中温吸収器を、さらにその上に高温吸収器を配置し、再生器から溶液を溶液ポンプで最高位置にある高温吸収器に送り、その後は、機器間に圧力差が無くても位置ヘッドで、高温吸収器から中温吸収器に、中温吸収器から低温吸収器に、低温吸収器から再生器へと送れるようにしている。
図7(b)は、図7(a)に示した従来型の吸収ヒートポンプのデューリング線図であり、冷媒の露点(溶液の蒸気圧に対する飽和温度)を縦軸に、溶液の温度を横軸にとった座標上に、溶液の状態と冷媒の状態を示している。運転状態は、冷却水温度26℃、熱源温水温度90℃で、飽和温度180℃の蒸気を生成したときの例であり、入口温度90℃の熱源温水は出口温度72℃程度までの大温度差で利用できている。これら熱原水、冷却水、生成蒸気の運転条件を基準運転条件として、従来型と以下の本発明ヒートポンプの比較をする。なお、構成機器の伝熱面積は、従来型を基準として同一面積にし、再生器、凝縮器のように複数に分割する場合は合算の伝熱面積を同一として比較する。ただし、伝熱面積の機器間の構成割合が変化すると、サイクル温度、デューリング線図が変化するので、実施例を基準にした相対的な比較となる。
特開2006−207882号公報 特開2010−48519号公報
この従来構成の三段昇温吸収ヒートポンプでは、再生器の上に低温吸収器が、低温吸収器の上に中温吸収器が、中温吸収器の上に高温吸収器が配置してあり、ヒートポンプ装置の背が高くなってしまうという点、さらに、高さに対して幅が狭く設置上不安定であるという欠点がある。また、少しでも高さを抑えようと機器間の高さ方向のスペースを減らすと、溶液循環のための位置ヘッドが小さくなって、機器間圧力のほとんどない起動時に溶液循環量が減り、起動に時間がかかるという欠点がある。
また、この従来構成の三重効用吸収ヒートポンプの基準運転条件では、サイクルの概略温度は、図7(b)に示すように、高温蒸発器136℃、中温蒸発器101℃、高温吸収器の溶液は189〜185℃となっている。高温蒸発器の冷媒蒸気圧(高温吸収器の缶胴内圧も同圧)および中温蒸発器の冷媒蒸気圧(中温吸収器の缶胴内圧も同圧)が大気圧を超えており、高温吸収器缶胴および中温吸収器缶胴は第一種圧力容器としての耐圧設計が必要であり、一般には法規摘要の容易な円形断面の缶胴を採用することになる。
本発明は上述の課題に鑑み、高さ方向の寸法を低く抑えること、また、中温蒸発器および高温蒸発器の冷媒蒸気圧力を低く抑えることを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明においては、高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器、高温蒸発器、中温蒸発器、低温蒸発器を有し、前記低温蒸発器で熱源流体により加熱され蒸発した冷媒蒸気を前記低温吸収器の溶液に吸収させ、前記低温吸収器の吸収熱で前記中温蒸発器の冷媒液を加熱し蒸発した蒸気を前記中温吸収器の溶液に吸収させ、さらに前記中温吸収器の吸収熱で前記高温蒸発器の冷媒液を加熱し蒸発した蒸気を前記高温吸収器の溶液に吸収させ、前記高温吸収器の吸収熱で被加熱流体を高温にして取り出す三段昇温型吸収ヒートポンプにおいて、熱源流体で溶液を加熱濃縮する2基または3基の再生器を、熱源流体の流れ方向に対して直列に設け、前記再生器のうちの1基と該再生器の溶液を圧送する溶液ポンプを少なくとも1台含む溶液経路を前記再生器の数だけ設け、前記3基の吸収器(高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器)はいずれかの循環経路に含まれるように構成している。
また、前記複数の再生器に対応した複数の凝縮器を、温水入口側の再生器と冷却水入口側の凝縮器を対応させるようにして、冷却水の流れに直列に設け、各再生器で発生した冷媒蒸気を対応する凝縮器に導き、凝縮させることができる。
また、冷却水で冷却する凝縮器を1基とし、複数の再生器で発生した冷媒蒸気を該凝縮器に導き、凝縮させることもできる。
従来構成の三段昇温吸収ヒートポンプは、溶液循環経路として、高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器、再生器の間の一循環経路で直列に接続しており、機器間の圧力差が無い状態でも位置ヘッドにより循環できるようにするため、高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器、再生器の四機器を上下に配置していた。本発明では、溶液循環経路を二経路または三経路としたことから、循環経路の長さが短くなり、それぞれの経路ごとにすれば、高さ方向に重ねたとしても高さは従来よりも低くすることができる。
従来構成の三段昇温吸収ヒートポンプでは、図7(b)のデューリング線図に示すように、溶液循環経路は一個であり、再生器で希溶液は濃縮されるに従い、その温度(凝縮器露点と濃度の平衡温度)は連続的に上昇している。図2(a)は、図7(b)と同じ運転条件とした時の本発明のヒートポンプのデューリング線図であり、溶液循環経路は高温側の溶液循環経路(以下高温サイクルという)と低温側の溶液循環経路(以下低温サイクルという)の二つに分割され、再生器ではそれぞれのサイクルの溶液が濃縮され、サイクルどうしは重ならずに離れて、高温サイクルの濃度は従来型よりも濃くなり、低温サイクルの濃度は従来型よりも薄くなっている。
高温吸収器で蒸気を生成するための溶液温度を同一とすれば、この時必要な高温蒸発器の蒸発温度(蒸気圧力はその飽和圧力)は、濃度の高い場合に低くすることができる。従って、本発明の実施例図2(a)の方が、高温蒸発器の蒸気圧力を低くすることができる。それに伴い、高温蒸発器と同じ圧力を示す高温吸収器の缶胴の肉厚も薄くできる。
また、中温蒸発器の蒸発温度も本発明の方が低くなっている。前述の基準運転条件では、従来機の中温蒸発器の温度が100℃を超えるのに対し、本発明では98℃と100℃未満になり、中温蒸発器および中温吸収器缶胴の法規上の取り扱いで大きな差が出てくる。すなわち、100℃を超える従来機では、中温吸収器缶胴が第一種圧力容器の法規対応が必要になるのに対し、本発明の中温蒸発器および中温吸収器缶胴は、第一種圧力容器に該当しないことになる。本発明機の中温吸収器缶胴の設計は、断面が丸型ばかりでなく、角型缶胴の採用も自由であり、設計上の自由度が多くなる。
本発明では、温水入口側の再生器G1(高温側再生器)と、冷却水入口側の凝縮器C1を対応させることで、高温サイクルはより高濃度になり、低温サイクルはより低濃度にすることができ、従来機と比較した場合の高温蒸発器の蒸発温度および中温蒸発器の蒸発温度をより低くすることができる。
本発明では、再生器を複数器とし、凝縮器を1基とし、構造を簡単化することもできる。ただし、従来機と比較した場合の蒸発温度の低下の度合いは小さくなる。
(a)は本発明の第一の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの構成を示すフローシートであり、(b)はその変形例である。 (a)は、図1(a)のフローシートの吸収状態を示すデューリング線図であり、(b)は、図1(b)に対するデューリング線図である。 本発明の第二の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの構成を示すフローシートである。 本発明の第三の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの構成を示すフローシートである。 (a)は、図3のフローシートの吸収状態を示すデューリング線図であり、(b)は、図4のフローシートの吸収状態を示すデューリング線図である。 本発明の第四の実施例をデューリング線図で示したものである。 従来の吸収ヒートポンプの構成を示すフローシートおよびそのデューリング線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
また、以下の説明において、溶液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「溶液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「高温冷媒蒸気Rvh」、「再生器冷媒蒸気Rvg」、「冷媒液Rq」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒R」ということとする。本実施の形態では、溶液S(吸収剤と冷媒Rとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Rとして水(HO)が用いられている。また、被加熱媒体Wは、液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wq、気体の被加熱媒体Wである被加熱媒体蒸気Wvの総称である。本実施の形態では、被加熱媒体Wとして水(HO)が用いられている。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る三段昇温型吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、三段昇温型吸収ヒートポンプ1の構成を示すフローシートである。先ず、吸収ヒートポンプとしての通常運転時の動作を基に説明する。
吸収ヒートポンプ1は、高温サイクルSL1と低温サイクルSL2の二つの溶液循環経路を持つ。高温サイクルSL1は、高温側再生器G1−溶液ポンプSP−高温溶液熱交換器HH(被加熱側)−高温吸収器AH−高温溶液熱交換器HH(加熱側)−高温側再生器G1を溶液循環経路とし、低温サイクルSL2は、低温側再生器G2−低温溶液ポンプSPL−低温溶液熱交換器HL(被加熱側)−中温溶液熱交換器HM(被加熱側)−中温吸収器AM−中温溶液熱交換器HM(加熱側)−低温吸収器AL−低温溶液熱交換器HL(加熱側)−低温側再生器G2を溶液循環経路としている。
再生器と凝縮器を含む缶胴は、隔壁15で二つの圧力空間に分離し、缶胴下部に温水入口側の高温側再生器G1と冷却水入口側凝縮器C1を設け、缶胴上部に低温側再生器G2と冷却水出口側凝縮器C2を設け、低温側再生器G2はG1通過後の温水を受け入れるている。高温側再生器G1は、伝熱管11、溶液Sを伝熱管11に散布する散布装置12、伝熱管11で加熱濃縮された溶液を貯留する貯留部13から構成され、再生器G2は、伝熱管16、溶液Sを伝熱管16に散布する散布装置17、伝熱管16で加熱濃縮された溶液を貯留する貯留部18から構成されている。伝熱管11と伝熱管16とは直列に接続され、貯留部13と貯留部18とは、伝熱管11の下部に設けられているが、高温側再生器G1の溶液と低温側再生器G2の溶液が混合しないように区分されている。ただし、貯留部同士は底部において下に凸のU字管19で連結し、溶液の往来は許容し、高温サイクルSL1と低温サイクルSL2の溶液循環系の溶液量の過不足を互いに補い合うようにしている。
温水入口側再生器G1では、伝熱管11の管内に熱源媒体としての熱源温水hを通し、高温サイクルSL1の溶液Sb(高温吸収器AHからの戻り溶液)を加熱濃縮して濃溶液Saを生成し、その際蒸発した冷媒蒸気Rvg1は凝縮器C1に導かれる。熱源温水hは次いで伝熱管16に流れ、溶液サイクルSL2の希溶液Swを加熱濃縮して濃溶液Scを生成し、蒸発した冷媒蒸気Rvg2は凝縮器C2に導かれる。
凝縮器C1は、管内に冷却媒体としての冷却水cwが流れる伝熱管21を有し、高温側再生器G1で発生した冷媒蒸気Rvg1を受け入れ、冷却凝縮させ冷媒液Rqとし、伝熱管21の下部に設けられた冷媒液貯留部23に貯留される。凝縮器C2は、凝縮器C1の伝熱管21を通過した冷却水cwを管内に受け入れる伝熱管26を有し、再生器G2で発生した冷媒蒸気Rvg2を受け入れ、冷却凝縮させて冷媒液Rqとし、この冷媒液Rqは冷媒配管29を通り凝縮器C1の下部の冷媒貯留部23に合流する。冷媒配管29は下に凸のU字管を形成し、冷媒貯留部23の底部に接続して、凝縮器C1とC2間の圧力差に対する液シールとなっている。
凝縮器貯留部23に貯留された冷媒液Rqは、冷媒液管80を介して、冷媒ポンプRPにより低温蒸発器EL、中温蒸発器EM、高温蒸発器EHに直接的あるいは間接的に送られる。冷媒液管80には、低温蒸発器ELへの冷媒供給を調節する冷媒調節弁81、気液分離器45を経由して中温蒸発器EMへの冷媒供給を調節する冷媒調節弁82、気液分離器55を経由して高温蒸発器EHへの冷媒供給を調節する冷媒調節弁85が設けられている。
低温蒸発器ELは、熱源媒体としての熱源温水hの流路を構成する伝熱管31を内部に有し、伝熱管31の70〜80%程度が冷媒液に浸るように冷媒液Rqを貯留する貯留部33を有し、伝熱管31の周囲の冷媒液Rqが伝熱管31内を流れる熱源温水hの熱で沸騰し冷媒蒸気Rvlが発生する構造となっている。伝熱管31の露出した部分では、沸騰蒸発の際に発生する冷媒液飛沫がかかって液膜を形成し、この液膜は熱源温水hで加熱され、露出部でも冷媒蒸気Rvlが発生する。低温蒸発器ELには、貯留された冷媒液Rqの液位を検出する液位検出器34が配設されており、液位検出器34の信号に応じて冷媒調節弁81を操作し、低温蒸発器ELに導入する冷媒液Rqの流量を調節することができる。本実施の形態では、低温蒸発器ELの伝熱管31を流れる熱源温水hと、再生器G1の伝熱管11および再生器G2の伝熱管16を流れる熱源温水hとは同じ温水であり、伝熱管11、16を流れた熱源温水hがその後伝熱管31を流れるように、伝熱管16の一端と伝熱管31の一端とが配管で接続されている。
低温吸収器ALと低温蒸発器ELとは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成され、低温蒸発器ELで発生した冷媒蒸気Rvlは、低温吸収器ALへと缶胴内を移動することができる。
低温吸収器ALは、伝熱管41と、溶液散布装置42を内部に有している。伝熱管41の管内側には気液分離器45から冷媒液Rqが供給され、管外には溶液散布装置42から溶液Sd(中温吸収器AMからの溶液)が散布されて低温蒸発器ELからの冷媒蒸気Rvlを吸収し、その際に生じる吸収熱で伝熱管41の内側を流れる冷媒液Rqを加熱し冷媒蒸気Rvmを生成する。すなわち、伝熱管41の管内側は、冷媒蒸気Rvmを生成する中温蒸発器EMを形成し、伝熱管41の内面が中温蒸発器EMの伝熱面となっている。低温吸収器ALで散布された溶液Sdは冷媒蒸気Rvlを吸収して濃度が低下し希溶液Swとなり、溶液配管77を通し、吸収ヒートポンプ1の下部に配置されている低温溶液熱交換器HLの加熱側、減圧器78を経て、再生器G2へと導かれる。
本実施例では、低温吸収器ALの出口部の液面は、溶液配管77の内部で低温吸収器AL出口から低温溶液熱交換器HLまでの間に形成され、その液面位置は溶液の流量と低温吸収器ALと再生器G2の圧力差(溶液の液ヘッドで表すと1〜1.5m程度である)によって変化する。低温吸収器ALが再生器G2の上部にあり、低温溶液熱交換器HLを再生器G2よりも下側に置くことにより、低温吸収器ALの出口から再生器G2入口の散布装置17までの間が、大きな液面変動を許容する液シール管となり、低温蒸発器ELの冷媒蒸気の吹き抜けを防止することができる。なお、減圧器78はオリフィスであり、定格運転時の溶液流量を規定し、液位を適当な位置に設定する役目をしている。
中温蒸発器EM(すなわち、伝熱管41の管内側)で加熱された冷媒Rは、冷媒気液分離器45に導かれ、中温冷媒蒸気Rvmに含まれる冷媒液滴が分離され、冷媒蒸気配管84を通って中温吸収器AMへと導かれる。分離された冷媒液Rqは、気液分離器45の下部に貯留される。この貯留部には、冷媒液液位を検出する分離器液位検出器46が設けられ、この信号を基に冷媒調節弁82が操作され、冷媒液ポンプRPから圧送され冷媒気液分離器45に導入される冷媒液量を調節する。気液分離器45の底部と中温蒸発器EM(伝熱管41の内側)とは、下側に凸になったU字形の冷媒配管83で接続され、気液分離器45の冷媒液Rqが供給されるようになっている。本実施例では、伝熱管41の内部で冷媒液Rqが蒸気に変化して密度が大幅に減少することを利用し、気液分離器45の貯留部と伝熱管41とで気泡ポンプとして機能させて、冷媒Rを循環させている。なお、この気泡ポンプ機能の代わりに、気液分離器45の貯留部から伝熱管41への配管中に冷媒循環ポンプを設けて強制的に循環をさせてもよい。以後の気泡ポンプ機能部も同様にポンプで置き換え可能である。
中温吸収器AMは、伝熱管51と、溶液散布装置52を内部に有している。伝熱管51の管内側には気液分離器55から冷媒液Rqが供給され、管外には溶液散布装置52から溶液Sc(低温側再生器G2で濃縮された溶液)が散布されて中温蒸発器EMからの冷媒蒸気Rvmを吸収し、その際の吸収熱で伝熱管51の内側を流れる冷媒液Rqを加熱し冷媒蒸気Rvhを生成する。すなわち、伝熱管51の管内側は、冷媒蒸気Rvhを生成する高温蒸発器EHを形成し、伝熱管51の内面が高温蒸発器EHの伝熱面となっている。中温吸収器AMの下部の貯留部53には、冷媒蒸気Rvmを吸収して濃度が低下した溶液Sdが貯留される。伝熱管51は、通常運転時に溶液Sdに没入しないように、貯留部53よりも上方に配設されている。貯留部53には、貯留された溶液Sdの液位を検出する中温吸収器液位検出器54が配設され、溶液Sdの液位が所定液位になるように、検出液位に応じて低温溶液ポンプSPLの回転速度が調節され、中温吸収器AMへの流入量が調整される。
高温蒸発器EH(すなわち、加熱器51の管内側)で加熱された冷媒Rは、冷媒気液分離器55に導かれ、高温冷媒蒸気Rvhに含まれる冷媒液滴が分離され、蒸気配管87を通して高温吸収器AHへと導かれる。分離された冷媒液Rqは、気液分離器55の下部に貯留される。貯留部には冷媒液位検出器56が設けられ、この信号を基に冷媒調節弁85を操作し、冷媒液ポンプRPから圧送され冷媒気液分離器55に導入される冷媒液量を調節する。気液分離器55の底部と高温蒸発器EH(伝熱管51の内側)とは、下側に凸になったU字形の冷媒配管86で接続され、気液分離器55の冷媒液Rqが高温蒸発器EHに供給されるようになっている。伝熱管51の内部で冷媒液Rqが蒸気に変化して密度が大幅に減少、気液分離器55の貯留部と伝熱管51とで気泡ポンプとして機能し、冷媒Rが循環する。
高温吸収器AHは、管内側に被加熱媒体Wが流れる伝熱管61と、濃溶液Saを散布する濃溶液散布装置62を内部に有している。濃溶液散布装置62から散布した濃溶液Saは伝熱管61に降りかかり、濃溶液Saが高温冷媒蒸気Rvhを吸収する際の吸収熱で伝熱管61を流れる被加熱媒体Wを加熱する。高温吸収器AHの下部には、散布された濃溶液Saが高温冷媒蒸気Rvhを吸収して濃度が低下し溶液Sbとなり、貯留部63に貯留される。伝熱管61は、通常運転時に溶液Sbに没入しないように、貯留部63よりも上方に配設されている。貯留部63には、貯留された中間溶液Sbの液位を検出する高温吸収器液位検出器64が配設され、溶液Sb2が所定の液位になるように、高温吸収器液位検出器64の検出液位に応じて溶液ポンプSPの回転速度が調節され、高温吸収器AHへの流入量が調整される。
被加熱媒体気液分離器65は、高温吸収器AHの伝熱管61を流れて加熱された被加熱媒体Wを導入し、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとを分離する機器である。気液分離器65の底部と高温吸収器AHの伝熱管61の一端とは、被加熱媒体液Wqを伝熱管61に導く被加熱媒体液管92で接続されている。液管92は下側に凸になったU字形の配管92となっており、伝熱管61の内部で被加熱媒体液Wqが蒸気に変化して密度が大幅に減少することを利用し、気液分離器65の貯留部と伝熱管61とで気泡ポンプとして機能させて、被加熱媒体Wを伝熱管61と気液分離器65の間を循環させている。伝熱管61の出口側は被加熱媒体管93で、気液分離器65に接続されている。
気液分離器65には、液滴の分離された被加熱媒体蒸気Wvを系外に供給する蒸気供給管94が上部(典型的には頂部)に接続されている。被加熱媒体蒸気供給管94には、被加熱媒体蒸気Wvの流量を調節することで気液分離器65内の圧力を調節する圧力調節弁95と、被加熱媒体蒸気Wvの気液分離器65への逆流を防ぐ逆止弁96とが配設されている。気液分離器65には、内部の静圧を検出する気液分離器圧力センサ97が設けられ、この検出圧力に応じて圧力調節弁95の開度を調節することができるように構成されている。分離された液滴は気液分離器65下部に貯留され、貯留部には被加熱媒体液Wqの液位を検出する気液分離器液位検出器66が設けられている。気液分離器65には、蒸気として系外に供給した被加熱媒体Wを補うため、被加熱媒体(補給水)補給水Wqを系外から導入する被加熱媒体配管(補給水管)90が接続され、補給水管90には、気液分離器65に向けて補給水Wqを圧送する補給水ポンプWPと、逆止弁91と、補給水Wqを熱源温水で予熱する補給水熱交換器HWとが配設されている。補給水ポンプWPは、気液分離器液位検出器66の信号により、気液分離器65内の被加熱媒体液Wqの液位に応じて発停制御あるいは回転速度制御により流入量が調節される。
次に吸収ヒートポンプ溶液循環経路を前述と重複する部分もあるが、図1(a)のフローシートと、図2(a)のデューリング線図を参照して説明する。デューリング線図は、縦軸に冷媒R(本実施の形態では水)の露点(溶液の蒸気圧に対する飽和温度)を、横軸に溶液S(本実施の形態ではLiBr水溶液)の温度をとっている。右上がりの直線は溶液Sの等濃度線を表し、右側の直線ほど高濃度、左側の直線ほど低濃度であり、図中の露点0℃を通る右上がりの線は溶液濃度0%(すなわち冷媒のみ)の冷媒線Rである。なお、縦軸が示す露点は飽和圧力と対応関係にあるため、縦軸は内部圧力を表していると見ることもできる。図2(a)で、吸収ヒートポンプ1の定格運転における溶液Sの状態は溶液線SL1(高温サイクル)とSL2(低温サイクル)で表され、冷媒Rの状態は冷媒線R上の点で表される。なお、図2(a)では、参考のため、デューリング線図に冷媒蒸気の移動を破線で、溶液から冷媒への吸収熱の伝達を波線で追記している。
運転条件を前述の従来型と同じ基準運転条件とする。なお、基準運転条件時の溶液循環量は、高温サイクル、低温サイクルとも、従来型の溶液サイクルと同じとし、合算の溶液循環量は従来型の2倍としている。
図2(a)で、G1は再生器G1の、G2は再生器G2の溶液Sの状態を表し、ALは低温吸収器ALの、AMは中温吸収器AMの、AHは高温吸収器AHの溶液Sの状態を表している。これらの溶液の状態が水平方向に伸びているのは、等圧下で溶液Sの濃度が変化していることを表している。傾斜線Saは高温吸収器入口溶液の、Sbは高温吸収器出口溶液の温度変化を表し、Scは中温吸収器入口溶液の、Sdは中温吸収器出口で低温吸収器入口となる溶液の温度変化、Swは低温吸収器出口の希溶液の温度変化を表している。溶液の温度変化は主に溶液熱交換器における回収熱の授受関係によっている。また、C1は凝縮器C1、C2は凝縮器C2の、ELは低温蒸発器ELの、EMは中温蒸発器EMの、EHは高温蒸発器EHのそれぞれの冷媒の状態を表している。
図2(a)から明らかなように、ヒートポンプサイクル中で最も蒸気圧力が高くなるのは高温蒸発器EHである。高温蒸発器EHと連通している高温吸収器AHの蒸気圧力は、厳密に言えば冷媒蒸気流の下流側となるので冷媒蒸気Rvの流動による圧力損失分だけ低くなるが、ほぼ同一圧力である。同様に、中温吸収器AMの蒸気圧力は中温蒸発器とほぼ同一圧力である。
再生器G1で、溶液Sbは加熱濃縮され、冷媒蒸気Rvg1を凝縮器C1に放出し、濃溶液Saとなる。濃溶液Saは、貯留部13からの溶液配管70を通り、溶液ポンプSPにより昇圧され、高温溶液熱交換器HHで昇温されて、高温吸収器AHに送られる。高温吸収器AHで、濃溶液Saは、高温蒸発器EHからの高温冷媒蒸気Rvhを吸収し、濃度が低下して溶液Sbとなる。高温蒸発器EHの露点(冷媒蒸気の飽和温度)と平衡する溶液温度(濃度Sa〜Sb)は高温であり、被加熱媒体Wを高温化することができる。
高温吸収器AHからの出口溶液Sbは、再生器G1と高位差(位置ヘッド)及び内圧の差(圧力ヘッド)を駆動力に、溶液配管71を通り、再生器G1へと流れる。途中、高温溶液熱交換器HHで濃溶液Saに熱を与えて温度が低下し、また減圧器の役目をするオリフィス72により流量が規定されて、再生器G1に戻り、高温サイクルSL1が一巡する。
低温サイクルSL2では、再生器G2で希溶液Swは加熱濃縮され、冷媒蒸気Rvg2を凝縮器C2に放出し、溶液Scとなる。溶液Scは、貯留部18からの溶液配管73を通り、低温溶液ポンプSPLにより昇圧され、低温溶液熱交換器HLで希溶液Swと、中温吸収器AMで中間溶液Sdと熱交換して温度が上昇し、中温吸収器AMに入る。中温吸収器AMで、溶液Scは、中温蒸発器EMからの冷媒蒸気Rvmを吸収し、濃度が低下して溶液Sdとなる。中温蒸発器EMの冷媒の露点と平衡する濃度Sc〜Sdの溶液温度は高温蒸発器EHの冷媒の露点よりも高温であり、中温吸収器AMの溶液で、高温蒸発器EHの冷媒を加熱蒸発させることができる。
中温吸収器AMからの出口溶液Sdは、低温吸収器ALとの高位差(位置ヘッド)及び内圧の差(圧力ヘッド)を駆動力に、溶液配管74を通り、減圧器の役目をするオリフィス75により流量が規定されて、低温吸収器AL向かって流れる。途中、中温溶液熱交換器で中温吸収器に入る溶液Scに熱を与えて温度が低下して低温吸収器ALに入る。
低温吸収器ALで、溶液Sdは、低温蒸発器ELからの冷媒蒸気Rvlを吸収し、濃度が低下して希溶液Swとなる。低温蒸発器ELの冷媒の露点と濃度Sd〜Swに平衡する溶液温度は中温蒸発器EMの冷媒の露点よりも高温であり、低温吸収器ALの溶液で、中温蒸発器EMの冷媒を加熱蒸発させることができる。希溶液Swは、低温吸収器ALと再生器Gとの高位差(位置ヘッド)及び内圧の差(圧力ヘッド)により、低温吸収器ALから再生器Gに向かって溶液配管77を通って流れ、途中で濃溶液Scと熱交換して温度が低下して、再生器G2に戻り、低温サイクルSL2を一巡する。
溶液循環経路は高温サイクルと低温側の低温サイクルの二つに分割され、再生器ではそれぞれのサイクルの溶液が濃縮され、サイクルどうしは重ならずに離れて、高温サイクルの濃度は従来型よりも濃くなり、低温サイクルの濃度は従来型よりも薄くなっており、高温吸収器の蒸気圧力、中温吸収器の蒸気圧力は、従来の三段昇温サイクルよりも低圧になっている。
図1(a)にて、制御装置100は、吸収ヒートポンプ1の運転を制御する機器である。制御装置100は、冷媒液ポンプRP、溶液ポンプSP、低温溶液ポンプSPL、補給水ポンプWPなどとそれぞれ信号ケーブルで接続されており、これらの発停や回転速度の調節を行うことができるように構成されている。これまでの説明では高温吸収器液位検出器64の出力を直接入力して制御されることとした溶液ポンプSP、及び気液分離器液位検出器66の出力を直接入力して制御されることとした補給水ポンプWP等は、制御装置100を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置100に入力して)制御されることとしてもよい。同様に、操作端となる冷媒流量調節弁81、82、85と、対応する検出器との関係も制御装置100を介して制御されることとしてもよい。
次に、起動から通常運転までの動作について説明する。高温サイクルSL1については、運転前、溶液Sの大部分は貯留部13に貯留されており、運転開始とともにこの溶液Sは、溶液ポンプSPにより高温吸収器AHへと送られる。溶液ポンプSPの回転速度は高温吸収器AHの液面検出器64の信号を基に操作されるのであるが、最大回転速度を高温吸収器AHの状態値(たとえば蒸気圧を圧力センサー69で検出)で制限し、起動直後に通常運転時の回転速度よりも低い速度からスムーズに立ち上がるようにしている。(制限を加えない場合、起動直後に最大回転速度になり、その後液面上昇で急激に回転速度が低下する急変動作が生じる)。高温吸収器AHと再生器G1の高位差(位置ヘッド)及び内圧の差(圧力ヘッド)により、高温吸収器AHから再生器G1に向かって流れるが、起動時で圧力差が無い場合、流量調節の液位目標値を一時的に高く設定して、液ヘッド大きくすることもできる。なお、図示していないが、高温溶液熱交換器温HHの加熱側の出口から、再生器G1の下部に溶液を導く開閉弁を有するバイパス配管を設け、起動時に開として、溶液循環量の確保を図ってもよい。
低温サイクルSL2については、運転前、溶液Sの大部分は貯留部18に貯留されており、運転開始とともにこの溶液Sは、低温溶液ポンプSPLにより中温吸収器AHの溶液散布装置62に送られる。低温溶液ポンプSPLの回転速度は中温吸収器AMの液面検出器54の信号を基に操作されるのであるが、溶液ポンプSPと同様に、最大回転速度を高温吸収器AHの状態値(たとえば蒸気圧)で制限し、起動直後に通常運転時の回転速度よりも低い速度からスムーズに立ち上がるようにしてもよい。ヒートポンプ起動時には、中温吸収器AMと低温吸収器ALの蒸気圧力差が小さいので、中温吸収器AMから低温吸収器ALへの溶液の流れは、中温吸収器AM出口液面と低温吸収器ALの溶液散布装置42の位置ヘッド差が主な駆動力となる。起動時に、貯留部53の液位目標値を高く設定して循環量を多くさせることもできる。また、起動時の循環量を増したい場合には、溶液配管74中のオリフィス75と並列に弁を有するバイパスライン(図示せず)を設けてもよい。
低温吸収器ALから再生器G2への溶液の流れは、位置ヘッドにより確保される。なお、低温溶液熱交換器HLと中温溶液熱交換器HMとを接続する加熱側配管から、溶液を分岐して低温吸収器ALの散布装置42に導く溶液配管76(図1に二点鎖線で表示)を設けたサイクルとして、低温吸収器ALへの溶液循環を常に確保することもできる。
低温蒸発器ELでは、熱源温水hが供給され始めれば、すぐに冷媒液Rqが加熱されて冷媒蒸気が発生し、低温吸収器ALで溶液Sに吸収され、その吸収熱で中温蒸発器EMの冷媒Rが加熱蒸発させられる。中温蒸発器EMからの冷媒蒸気Rvmは、中温吸収器AMに散布される溶液Sに吸収され、その吸収熱で高温蒸発器EHの冷媒Rが加熱蒸発させられる。このように、溶液循環が少しでも確保され、溶液散布ができれば、各蒸発器の冷媒温度が上昇すると共に、各蒸発器、吸収器の蒸気圧が上昇し、機器間の蒸気圧差も大きくなり、位置ヘッドと圧力ヘッドの合算ヘッドで溶液を循環させることができるようになる。高温吸収器AHの伝熱管61内の被加熱媒体は加熱され蒸発はするが、圧力センサ97で蒸気弁95が調節されており、所定の圧力以下では、外部に供給されることがなく、高温吸収器AHの加熱能力は、主に内部の溶液温度や被加熱媒体の温度上昇に使われので、急激な温度上昇、圧力上昇となり、起動から通常運転へと急速に立ち上げることができる。
以上のように、溶液循環サイクルを、高温サイクルSL1と低温サイクルSL2の2系統としたことで、それぞれの溶液循環経路が短くなり、機器間に圧力差が無い状態でも、従来装置に比較して高さを抑えながら、位置ヘッドによる溶液循環を可能とし、急速な起動ができ、また、高温サイクルをより高濃度に、低温サイクルをより低濃度とすることで、高温吸収器の缶胴圧力および中温吸収器の缶胴圧力を従来機よりも下げることができるようになる。
図1(a)では、再生器G1に凝縮器C1を、再生器G2に凝縮器C2を対応させ、別の圧力としているが、図1(b)に示す再生器・凝縮器缶胴のように簡略化し、凝縮器Cを1基とし、2基の再生器G1、G2で発生した冷媒蒸気を合流させて、凝縮器Cに導き、同一の圧力下で凝縮させることもできる。この場合のデューリング線図を図2(b)に示す。従来機に比べた高温蒸発器EH、中温蒸発器EMの蒸発温度の低下の度合いは、図1(a)よりも少し低下するが、再生器・凝縮器缶胴の構造簡略化ができる。他の実施例(ヒートポンプ2、ヒートポンプ3、ヒートポンプ4)でも同様に簡略化してもよい。
以上の説明で、溶液ポンプSP,低温溶液ポンプSPLの溶液流量調節をポンプの回転速度の調節で行っているが、回転速度を一定とし、ポンプ吐出側に調節弁を設けてもよい。その他の制御方式も、特に限定するものではない。
次に図3と図5(a)を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る三段昇温型の吸収ヒートポンプ2を説明する。図3は、吸収ヒートポンプ2のフローシート、図5(a)はそのデューリング線図である。吸収ヒートポンプ1との大きな違いは、吸収ヒートポンプ1の低温サイクルSL2が再生器G2の溶液を中温吸収器AM、次いで低温吸収器ALへと直列に循環させているのに対し、吸収ヒートポンプ2の低温サイクルSL2は、再生器G2の溶液を、中温吸収器AMと低温吸収器ALに並列に循環させている点である。
図5(a)の高温サイクルSL1は、図2(a)の高温サイクルSL1とほぼ同一であり、従来機よりも高濃度になることから高温蒸発器EHの圧力を図2(b)の場合と同様に下げることができる。低温サイクルSL2は中温吸収器AMの濃度幅が広くなり、中温蒸発器EMの蒸発温度は図2(a)の場合よりも少し高めになっている。
吸収ヒートポンプ2では、中温吸収器AMの溶液を再生器G2に直接戻せることから、中温吸収器AMの位置を低温吸収器ALと同程度の高さに設けることができ、吸収ヒートポンプ1よりも高さを低く抑えることができる。
起動時の低温サイクルSL2は、中温再生器AMおよび低温再生器ALが、再生器G2の散布装置16よりも高い位置にあることで、溶液循環を確保できる。起動時の高温サイクルSL1についても、高温再生器AHが、再生器G1の散布装置11よりも高い位置にすることで、溶液循環が確保できるが、起動時の液面制御の目標値を高く設定する運転制御を用いれば、循環能力を高めることもできる。
次に図4および図5(b)を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る三段昇温型の吸収ヒートポンプ3を説明する。図4は、吸収ヒートポンプ3のフローシート、図5(b)はそのデューリング線図である。吸収ヒートポンプ3の高温サイクルSL1は、溶液ポンプSPにて、高温側再生器G1−高温吸収器AH−中温吸収器AMの間で溶液循環をし、低温サイクルSL2は、低温溶液ポンプSPLにて、低温側再生器G2と低温吸収器ALの間で溶液循環をする。溶液循環経路を短くした循環経路を二経路持つことで、ヒートポンプ1と同様に高さを抑えることができる。
溶液循環経路は高温サイクルと低温側の低温サイクルの二つに分割され、再生器ではそれぞれのサイクルの溶液が濃縮され、サイクルどうしは重ならずに離れて、高温サイクルの濃度は従来型よりも濃くなり、低温サイクルの濃度は従来型よりも薄くなっており、高温吸収器の蒸気圧力、中温吸収器の蒸気圧力は、従来の三段昇温サイクルよりも低圧になっている。図2(a)のヒートポンプ1と比較すると、高温吸収器AHの蒸気圧力は若干高くなるが、中温吸収器の蒸気圧は低下している。
高温サイクルSL1の溶液循環制御は、高温吸収器AHの液位検出器64の信号により、溶液ポンプSPの回転速度を操作して、貯留部64の液位が目標値になるように、高温吸収器AHへの溶液流入量を調節し、中温吸収器AMの液位検出器54の信号により、溶液配管74中の溶液調節弁VMを操作して、貯留部54の液位が目標値になるように、中温吸収器AMからの溶液流出量を調節している。
低温サイクルSL2の溶液循環制御は、低温吸収器ALの液位検出器44の信号により、低温溶液ポンプSPLの回転速度を操作して、低温吸収器ALの貯留部44の液位が目標値になるように、低温吸収器ALへの溶液流入量を調節している。
起動時の溶液循環に関しては、高温サイクルSL1では、高温吸収器AHを中温吸収器AMの上に設け、中温吸収器AMの貯留部53の液位は、高温側再生器G1の散布装置12よりも上に設けることで、位置ヘッドだけでも、溶液が循環できる。また、低温サイクルSL2では、低温吸収器ALが低温側再生器G2よりも上にあるので、起動時の圧力差が無い時でも、位置ヘッドにより、溶液が循環できる。従って、実施例1あるいは実施例2と同様にして、容易に蒸気圧力を上昇させ、起動していくことができる。
なお、高温サイクルSL1における高温吸収器AHと中温吸収器AMの関係は、直列に接続することも、並列に接続することもできる。あるいは、直列に接続しておき、上流側吸収器の上流で溶液を分岐し、下流側吸収器入口に混入することもできる。
溶液循環サイクルを三系統とした実施例(吸収ヒートポンプ4)を、図6にデューリング線図で示す。再生器を三分割、凝縮器を三分割したものであり、溶液ポンプを三台を用いて三循環経路となるが、高温蒸発器EHおよび中温蒸発器EMの蒸発温度を、従来機よりも4〜5℃程度下げることができる。また、それぞれの溶液循環系統が短くなることから、高さを抑えながら、位置ヘッドによる溶液戻り能力を容易に確保することができる。なお、図6において三分割した再生器はGで、三分割した凝縮器はCで簡略化して表示している。
1、2、3、4 昇温型吸収ヒートポンプ
11、16、21、26、31、41、51、61伝熱管
12、17、42、52、62 溶液散布装置
13、18、23、33、43、53、63 貯留部
34、44、54、64 液位検出器
45、55、65 気液分離器
46、56、66 分離器液位検出器
69、97 圧力センサ
70、71、73、74、76、77 溶液配管
72、75、78 減圧器(オリフィス)
80、83、86 冷媒液配管
81、82、85 冷媒調節弁
84、87 冷媒蒸気配管
90、92、93、94 被加熱媒体配管
91、96 逆止弁
95 蒸気弁
100 制御装置
AH 高温吸収器
AL 低温吸収器
AM 中温吸収器
C、C1,C2 凝縮器
cw 冷却水
EH 高温蒸発器
EL 低温蒸発器
EM 中温蒸発器
G、G1,G2 再生器
h 熱原水
HL、HM、HH 溶液熱交換器
R 冷媒
RP 冷媒ポンプ
Rq 冷媒液
Rvg、Rvh、Rvm、Rvl 冷媒蒸気
S、Sa、Sb、Sc、Sd、Sw 溶液
SP、SPL 溶液ポンプ
VM 溶液調節弁
W、Wv、Wq 被加熱媒体
WP 補給水ポンプ

Claims (6)

  1. 高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器、高温蒸発器、中温蒸発器、低温蒸発器を有し、前記低温蒸発器で熱源流体により加熱され蒸発した冷媒蒸気を前記低温吸収器の溶液に吸収させ、前記低温吸収器の吸収熱で前記中温蒸発器の冷媒液を加熱し蒸発した蒸気を前記中温吸収器の溶液に吸収させ、さらに前記中温吸収器の吸収熱で前記高温蒸発器の冷媒液を加熱し蒸発した蒸気を前記高温吸収器の溶液に吸収させ、前記高温吸収器の吸収熱で被加熱流体を高温にして取り出す三段昇温型吸収ヒートポンプにおいて;
    熱源流体で溶液を加熱濃縮する2基または3基の再生器を、熱源流体の流れ方向に対して直列に設け;
    前記再生器のうちの1基と該再生器の溶液を圧送する溶液ポンプを少なくとも1台含む溶液経路を前記再生器の数だけ設け;
    前記3基の吸収器(高温吸収器、中温吸収器、低温吸収器)はいずれかの循環経路に含まれるように構成した;
    ことを特徴とする吸収ヒートポンプ。
  2. 前記複数の再生器に対応した数の凝縮器を、温水入口側の再生器と冷却水入口側の凝縮器を対応させるようにして、冷却水の流れに直列に設け、前記各再生器で発生した冷媒蒸気を対応する前記凝縮器に導くことを特徴とする請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
  3. 冷却水で冷却する凝縮器を1基とし、前記複数の再生器で発生した冷媒蒸気を、該凝縮器に導くことを特徴とする請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
  4. 前記複数の再生器を、外部熱源流体の流れ方向が、下から上方向になるように配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  5. 再生器数が2基であり、これら再生器に熱源流体が直列に導かれるように接続され;
    熱源流体上流の第1の再生器は、前記高温吸収器との間で第1の溶液循環経路を構成し;
    熱源流体下流側の第2の再生器は、前記中温吸収器および前記低温吸収器との間で第2の溶液循環経路を構成している;
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  6. 再生器数が2基であり、これら再生器に熱源流体が直列に導かれるように接続され;
    熱源流体上流の第1の再生器は、高温吸収器および中温吸収器との間で第1の溶液循環経路を構成し;
    熱源流体下流側の第2の再生器は、前記低温吸収器との間で第2の溶液循環経路を構成している;
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
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