以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、主要機器として、第1吸収器A1と、第1蒸発器E1と、第2吸収器A2と、第2蒸発器E2と、第1再生器G1と、第1凝縮器C1と、第2再生器G2と、第2凝縮器C2とを備えている。吸収ヒートポンプ1は、吸収液に対して冷媒が相変化をしながら循環することで熱移動を行わせ、加熱対象流体Wの温度を上昇させる機器である。以下の説明において、吸収液に関し、吸収サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収サイクル上の位置に応じて、「第1希溶液Sw1」、「第2濃溶液Sa2」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。また、冷媒に関し、吸収サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収サイクル上の位置に応じて、「第1蒸発器冷媒蒸気Ve1」、「第2再生器冷媒蒸気Vg2」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒との混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H2O)が用いられているが、これに限らず他の冷媒、吸収液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
第1吸収器A1は、第1蒸発器E1で発生した第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を濃溶液Saで吸収する機器であり、第1の吸収器に相当する。第1吸収器A1は、加熱対象流体Wを流す第1の吸収器伝熱管11(以下「第1吸収伝熱管11」という。)と、濃溶液Saを第1吸収伝熱管11の外面に向けて散布する第1濃溶液散布ノズル12とを有している。第1濃溶液散布ノズル12は、散布した濃溶液Saが第1吸収伝熱管11に降りかかるように、第1吸収伝熱管11の上方に配設されている。第1吸収器A1は、散布された濃溶液Saが第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収することで濃度の低下した第1の希溶液Sw1
(以下「第1希溶液Sw1」という。)を下部に貯留すると共に、濃溶液Saが第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収した際に発生した吸収熱によって加熱対象流体Wが加熱されるように構成されている。
第1蒸発器E1は、熱源流体Hの熱で冷媒液Vfを蒸発させて第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を発生させる機器であり、第1の蒸発器に相当する。第1蒸発器E1は、熱源流体Hを流す第1の蒸発器伝熱管21(以下「第1蒸発伝熱管21」という。)と、冷媒液Vfを第1蒸発伝熱管21の外面に向けて散布する第1冷媒液散布ノズル22とを有している。第1冷媒液散布ノズル22は、散布した冷媒液Vfが第1蒸発伝熱管21に降りかかるように、第1蒸発伝熱管21の上方に配設されている。
第1吸収器A1及び第1蒸発器E1は、水平方向に隣り合うようにして第1の吸収蒸発缶胴(以下「第1吸収蒸発缶胴10」という。)に収容されている。第1吸収蒸発缶胴10の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第1吸収蒸発壁19が設けられている。第1吸収蒸発缶胴10内は、第1吸収蒸発壁19を挟んで、一方に第1吸収器A1が、他方に第1蒸発器E1が、それぞれ設けられている。第1吸収蒸発壁19は、第1吸収器A1と第1蒸発器E1とが上部で連通するように、第1吸収蒸発缶胴10の天面に接触しないように設けられている。つまり、第1吸収蒸発壁19は、第1吸収蒸発缶胴10の上部を除く両側壁及び底部で、第1吸収蒸発缶胴10に接している。このような構成により、第1吸収蒸発缶胴10内では、第1蒸発器E1から第1吸収器A1へ第1蒸発器冷媒蒸気Ve1が移動できるようになっている。
第2吸収器A2は、第2蒸発器E2で発生した第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を濃溶液Saで吸収する機器であり、第2の吸収器に相当する。第2吸収器A2は、加熱対象流体Wを流す第2の吸収器伝熱管15(以下「第2吸収伝熱管15」という。)と、濃溶液Saを第2吸収伝熱管15の外面に向けて散布する第2濃溶液散布ノズル16とを有している。第2吸収器A2は、第1吸収器A1と同様に構成されており、第2吸収伝熱管15及び第2濃溶液散布ノズル16が、それぞれ第1吸収伝熱管11及び第1濃溶液散布ノズル12に対応する。第2吸収器A2は、散布された濃溶液Saが第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収することで濃度の低下した第2の希溶液Sw2(以下「第2希溶液Sw2」という。)を下部に貯留すると共に、濃溶液Saが第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収した際に発生した吸収熱によって加熱対象流体Wが加熱されるように構成されている。第2吸収伝熱管15と第1吸収伝熱管11とは、第2吸収伝熱管15を流れた加熱対象流体Wを第1吸収伝熱管11に導く加熱対象連絡管71で接続されている。
第2蒸発器E2は、熱源流体Hの熱で冷媒液Vfを蒸発させて第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を発生させる機器であり、第2の蒸発器に相当する。第2蒸発器E2は、熱源流体Hを流す第2の蒸発器伝熱管25(以下「第2蒸発伝熱管25」という。)と、冷媒液Vfを第2蒸発伝熱管25の外面に向けて散布する第2冷媒液散布ノズル26とを有している。第2蒸発器E2は、第1蒸発器E1と同様に構成されており、第2蒸発伝熱管25及び第2冷媒液散布ノズル26が、それぞれ第1蒸発伝熱管21及び第1冷媒液散布ノズル22に対応する。第1蒸発伝熱管21と第2蒸発伝熱管25とは、第1蒸発伝熱管21を流れた熱源流体Hを第2蒸発伝熱管25に導く熱源流体連絡流路としての熱源蒸発連絡管72で接続されている。
第2吸収器A2及び第2蒸発器E2は、水平方向に隣り合うようにして第2の吸収蒸発缶胴(以下「第2吸収蒸発缶胴20」という。)に収容されている。第2吸収蒸発缶胴20の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第2吸収蒸発壁29が設けられている。第2吸収蒸発缶胴20内は、第2吸収蒸発壁29を挟んで、一方に第2吸収器A2が、他方に第2蒸発器E2が、それぞれ設けられている。第2吸収蒸発壁29は、第2吸収器A2と第2蒸発器E2とが上部で連通するように、第2吸収蒸発缶胴20の天面に接触しないように設けられている。つまり、第2吸収蒸発壁29は、第2吸収蒸発缶胴20の上部を除く両側壁及び底部で、第2吸収蒸発缶胴20に接している。このような構成により、第2吸収蒸発缶胴20内では、第2蒸発器E2から第2吸収器A2へ第2蒸発器冷媒蒸気Ve2が移動できるようになっている。
第1再生器G1は、第1吸収器A1で生成された第1希溶液Sw1と第2吸収器A2で生成された第2希溶液Sw2とが合流した合流希溶液Sw(以下、単に「希溶液Sw」という。)を加熱し濃縮して濃度的に再生する機器であり、第1の再生器に相当する。第1再生器G1は、熱源流体Hの流路を構成する第1の再生器伝熱管31(以下「第1再生伝熱管31」という。)と、希溶液Swを散布する第1希溶液散布ノズル32とを有している。第1希溶液散布ノズル32は、散布した希溶液Swが第1再生伝熱管31に降りかかるように、第1再生伝熱管31の上方に配設されている。第1再生器G1は、散布された希溶液Swが熱源流体Hで加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した第1の濃溶液Sa1(以下「第1濃溶液Sa1」という。)が生成されるように構成されている。第1再生器G1は、生成された第1濃溶液Sa1を下部に貯留するように構成されている。第1再生器G1において希溶液Swから離脱した冷媒Vの蒸気である第1再生器冷媒蒸気Vg1は、第1凝縮器C1に移動することとなる。
第1凝縮器C1は、第1再生器G1で発生した第1再生器冷媒蒸気Vg1を冷却水Yで冷却凝縮させて第1の冷媒液Vf1(以下「第1冷媒液Vf1」という。)とする機器であり、第1の凝縮器に相当する。第1凝縮器C1は、生成された第1冷媒液Vf1を下部に貯留するように構成されている。第1凝縮器C1は、冷却水Yの流路を構成する第1の凝縮器伝熱管41(以下「第1凝縮伝熱管41」という。)を有している。第1凝縮伝熱管41は、第1再生器冷媒蒸気Vg1を直接冷却することができるように、第1再生器冷媒蒸気Vg1が凝縮して生成された第1冷媒液Vf1に浸らないように配設されていることが好ましい。
第1再生器G1及び第1凝縮器C1は、水平方向に隣り合うようにして第1の再生凝縮缶胴(以下「第1再生凝縮缶胴30」という。)に収容されている。第1再生凝縮缶胴30の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第1再生凝縮壁39が設けられている。第1再生凝縮缶胴30内は、第1再生凝縮壁39を挟んで、一方に第1再生器G1が、他方に第1凝縮器C1が、それぞれ設けられている。第1再生凝縮壁39は、第1再生器G1と第1凝縮器C1とが上部で連通するように、第1再生凝縮缶胴30の天面に接触しないように設けられている。つまり、第1再生凝縮壁39は、第1再生凝縮缶胴30の上部を除く両側壁及び底部で、第1再生凝縮缶胴30に接している。このような構成により、第1再生凝縮缶胴30内では、第1再生器G1から第1凝縮器C1へ第1再生器冷媒蒸気Vg1が移動できるようになっている。
第2再生器G2は、希溶液Swを加熱し濃縮して濃度的に再生する機器であり、第2の再生器に相当する。第2再生器G2は、熱源流体Hの流路を構成する第2の再生器伝熱管35(以下「第2再生伝熱管35」という。)と、希溶液Swを散布する第2希溶液散布ノズル36とを有している。第2希溶液散布ノズル36は、散布した希溶液Swが第2再生伝熱管35に降りかかるように、第2再生伝熱管35の上方に配設されている。第2再生器G2は、散布された希溶液Swが熱源流体Hで加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した第2の濃溶液Sa2(以下「第2濃溶液Sa2」という。)が生成されるように構成されている。第2再生器G2は、生成された第2濃溶液Sa2を下部に貯留するように構成されている。第2再生器G2において希溶液Swから離脱した冷媒Vの蒸気である第2再生器冷媒蒸気Vg2は、第2凝縮器C2に移動することとなる。第1再生伝熱管31と第2再生伝熱管35とは、第2再生伝熱管35を流れた熱源流体Hを第1再生伝熱管31に導く熱源再生連絡管73で接続されている。また、第2再生伝熱管35と第2蒸発伝熱管25とは、第2蒸発伝熱管25を流れた熱源流体Hを第2再生伝熱管35に導く熱源蒸発連絡管75で接続されている。
第2凝縮器C2は、第2再生器G2で発生した第2再生器冷媒蒸気Vg2を冷却水Yで冷却凝縮させて第2の冷媒液Vf2(以下「第2冷媒液Vf2」という。)とする機器であり、第2の凝縮器に相当する。第2凝縮器C2は、生成された第2冷媒液Vf2を下部に貯留するように構成されている。第2凝縮器C2は、冷却水Yの流路を構成する第2の凝縮器伝熱管45(以下「第2凝縮伝熱管45」という。)を有している。第2凝縮伝熱管45は、第2再生器冷媒蒸気Vg2を直接冷却することができるように、第2再生器冷媒蒸気Vg2が凝縮して生成された第2冷媒液Vf2に浸らないように配設されていることが好ましい。第1凝縮伝熱管41と第2凝縮伝熱管45とは、第1凝縮伝熱管41を流れた冷却水Yを第2凝縮伝熱管45に導く冷却水連絡流路としての冷却水連絡管74で接続されている。
第2再生器G2及び第2凝縮器C2は、水平方向に隣り合うようにして第2の再生凝縮缶胴(以下「第2再生凝縮缶胴40」という。)に収容されている。第2再生凝縮缶胴40の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第2再生凝縮壁49が設けられている。第2再生凝縮缶胴40内は、第2再生凝縮壁49を挟んで、一方に第2再生器G2が、他方に第2凝縮器C2が、それぞれ設けられている。第2再生凝縮壁49は、第2再生器G2と第2凝縮器C2とが上部で連通するように、第2再生凝縮缶胴40の天面に接触しないように設けられている。つまり、第2再生凝縮壁49は、第2再生凝縮缶胴40の上部を除く両側壁及び底部で、第2再生凝縮缶胴40に接している。このような構成により、第2再生凝縮缶胴40内では、第2再生器G2から第2凝縮器C2へ第2再生器冷媒蒸気Vg2が移動できるようになっている。
第1吸収蒸発缶胴10、第2吸収蒸発缶胴20、第1再生凝縮缶胴30、第2再生凝縮缶胴40は、それぞれが水平の状態で、鉛直上下に一列になるように縦積みされている。本実施の形態では、下から上に向けて、第2再生凝縮缶胴40、第1再生凝縮缶胴30、第1吸収蒸発缶胴10、第2吸収蒸発缶胴20の順に配置されている。各缶胴の間は、以下に説明する配管の取り付けスペースを確保することができていればよい。
第1吸収器A1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1希溶液Sw1を流出する第1の希溶液流出流路としての第1希溶液流出管14の一端が接続されている。第2吸収器A2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2希溶液Sw2を流出する第2の希溶液流出流路としての第2希溶液流出管18の一端が接続されている。第1希溶液流出管14の他端及び第2希溶液流出管18の他端は、第1希溶液Sw1と第2希溶液Sw2とが合流した希溶液Swを流す希溶液合流管51の一端に接続されている。希溶液合流管51は、希溶液合流流路に相当する。希溶液合流管51の他端には、第1希溶液導入管33の一端及び第2希溶液導入管37の一端が接続されている。
第1希溶液導入管33の他端は、第1希溶液散布ノズル32に接続されている。第1希溶液導入管33は、第1吸収器A1及び第2吸収器A2から流出した希溶液Swを直接第1再生器G1に導く管であり、第1の希溶液導入流路に相当する。ここで、吸収器から流出した希溶液Swを直接第1再生器G1に導くとは、吸収器から流出した希溶液Swが他の主要機器(吸収器、蒸発器、再生器、凝縮器)を経由せずに第1再生器G1に流入することを意味している。第2希溶液導入管37の他端は、第2希溶液散布ノズル36に接続されている。第2希溶液導入管37は、第1吸収器A1及び第2吸収器A2から流出した希溶液Swを直接第2再生器G2に導く管であり、第2の希溶液導入流路に相当する。ここで、吸収器から流出した希溶液Swを直接第2再生器G2に導くとは、吸収器から流出した希溶液Swが他の主要機器を経由せずに第2再生器G2に流入することを意味している。
第1吸収器A1と第2吸収器A2とは、第1希溶液流出管14及び第2希溶液流出管18を介して連絡しているが、吸収ヒートポンプ1の運転時は、連絡している部分(第1希溶液流出管14及び第2希溶液流出管18)が吸収液Sによって液封されているので、両者の気相部は連通せず、両者の内圧は相互に異なった値を取り得る。ひいては、第1吸収蒸発缶胴10と第2吸収蒸発缶胴20とは、気相部が相互に連通しておらず(独立しており)、両者の内圧を異ならせることが可能になっている。
第1再生器G1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1濃溶液Sa1を流出する第1濃溶液流出管34の一端が接続されている。第2再生器G2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2濃溶液Sa2を流出する第2濃溶液流出管38の一端が接続されている。第1濃溶液流出管34の他端及び第2濃溶液流出管38の他端は、第1濃溶液Sa1と第2濃溶液Sa2とが合流した合流濃溶液Sa(以下、単に「濃溶液Sa」という。)を流す濃溶液合流管53の一端に接続されている。濃溶液合流管53には、濃溶液Saを圧送する合流濃溶液ポンプ53pが配設されている。また、濃溶液合流管53及び希溶液合流管51には、溶液熱交換器52が配設されている。溶液熱交換器52は、濃溶液合流管53を流れる濃溶液Saと希溶液合流管51を流れる希溶液Swとの間で熱交換を行わせる機器である。濃溶液合流管53の他端には、第1濃溶液導入管13の一端及び第2濃溶液導入管17の一端が接続されている。
第1濃溶液導入管13の他端は、第1濃溶液散布ノズル12に接続されている。第1濃溶液導入管13は、本実施の形態では、第1再生器G1及び第2再生器G2から流出した濃溶液Saを直接第1吸収器A1に導く管である。ここで、再生器から流出した濃溶液Saを直接第1吸収器A1に導くとは、再生器から流出した濃溶液Saが他の機器(主要機器や気液分離器等)を経由せずに第1吸収器A1に流入することを意味している。第2濃溶液導入管17の他端は、第2濃溶液散布ノズル16に接続されている。第2濃溶液導入管17は、本実施の形態では、第1再生器G1及び第2再生器G2から流出した濃溶液Saを直接第2吸収器A2に導く管である。ここで、再生器から流出した濃溶液Saを直接第2吸収器A2に導くとは、再生器から流出した濃溶液Saが他の機器(主要機器や気液分離器等)を経由せずに第2吸収器A2に流入することを意味している。このように、吸収ヒートポンプ1は、再生器から流出した吸収液を直接第1吸収器A1に導く第1の濃溶液導入流路に相当する第1濃溶液導入管13と、再生器から流出した吸収液を直接第2吸収器A2に導く第2の濃溶液導入流路に相当する第2濃溶液導入管17とを備えている。
第1凝縮器C1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1冷媒液Vf1を流出する第1冷媒液流出管44の一端が接続されている。第2凝縮器C2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2冷媒液Vf2を流出する第2冷媒液流出管48の一端が接続されている。第1冷媒液流出管44の他端及び第2冷媒液流出管48の他端は、第1冷媒液Vf1と第2冷媒液Vf2とが合流した冷媒液Vfを流す冷媒液合流管54の一端に接続されている。冷媒液合流管54には、冷媒液Vfを圧送する合流冷媒液ポンプ54pが配設されている。冷媒液合流管54の他端には、第1冷媒液導入管23の一端及び第2冷媒液導入管27の一端が接続されている。第1冷媒液導入管23の他端は、第1冷媒液散布ノズル22に接続されている。第2冷媒液導入管27の他端は、第2冷媒液散布ノズル26に接続されている。
第1再生器G1と第2再生器G2とは、第1濃溶液流出管34及び第2濃溶液流出管38を介して連絡しているが、吸収ヒートポンプ1の運転時は、連絡している部分(第1濃溶液流出管34及び第2濃溶液流出管38)が吸収液Sによって液封されているので、両者の気相部は連通せず、両者の内圧は相互に異なった値を取り得る。第1凝縮器C1と第2凝縮器C2とは、第1冷媒液流出管44及び第2冷媒液流出管48を介して連絡しているが、吸収ヒートポンプ1の運転時は、連絡している部分(第1冷媒液流出管44及び第2冷媒液流出管48)が冷媒液Vfによって液封されているので、両者の気相部は連通せず、両者の内圧は相互に異なった値を取り得る。これらのことから分かるように、第1再生凝縮缶胴30と第2再生凝縮缶胴40とは、気相部が相互に連通しておらず(独立しており)、両者の内圧を異ならせることが可能になっている。
引き続き図2を図1と併せて参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。図2は、吸収ヒートポンプ1のデューリング線図である。図2のデューリング線図は、縦軸に冷媒(本実施の形態では水)の露点温度を、横軸に吸収液(本実施の形態ではLiBr水溶液)の温度をとっている。右上がりの線は吸収液の等濃度線を表し、右に行くほど高濃度、左に行くほど低濃度となる。なお、縦軸が示す露点温度は飽和圧力と対応関係にあるため、冷媒の蒸気が飽和蒸気である本実施の形態の吸収サイクルでは、縦軸は主要機器(吸収器、蒸発器、再生器、凝縮器)の内部圧力を表していると見ることもできる。
第1凝縮器C1では、第1再生器G1で蒸発した第1再生器冷媒蒸気Vg1を受け入れて、第1凝縮伝熱管41を流れる冷却水Yで冷却して凝縮させ、第1冷媒液Vf1とする。第2凝縮器C2では、第2再生器G2で蒸発した第2再生器冷媒蒸気Vg2を受け入れて、第2凝縮伝熱管45を流れる冷却水Yで冷却して凝縮させ、第2冷媒液Vf2とする。冷却水Yは、第1凝縮伝熱管41を流れた後に冷却水連絡管74を経由して第2凝縮伝熱管45を流れるので、第1凝縮伝熱管41を流れているときの温度が第2凝縮伝熱管45を流れているときの温度よりも低くなり、第1凝縮器C1の内圧(TC1)は第2凝縮器C2の内圧(TC2)よりも低くなる。第1凝縮器C1は、内部の第1冷媒液Vf1の液位が、第2凝縮器C2よりも内圧が低い分だけ第2凝縮器C2内の第2冷媒液Vf2の液位よりも高くなる。しかし、本実施の形態では、内圧が低い第1再生凝縮缶胴30が、第2再生凝縮缶胴40の上方に配置されているので、第1凝縮器C1内の第1冷媒液Vf1の液位と第2凝縮器C2内の第2冷媒液Vf2の液位とが適性に維持される。したがって、第1凝縮伝熱管41が第1冷媒液Vf1に没入すること及び第2凝縮伝熱管45が第2冷媒液Vf2に没入することを抑制することができる。
なお、第1再生凝縮缶胴30の内圧と第2再生凝縮缶胴40の内圧との差が大きい場合(冷却水Yの入口温度と出口温度との差が大きい場合)には、内圧が高い第2凝縮器C2から第2冷媒液Vf2が流出する第2冷媒液流出管48及び第2再生器G2から第2濃溶液Sa2が流出する第2濃溶液流出管38にオリフィスや弁等の圧力調整装置を設けて、第2凝縮器C2内の第2冷媒液Vf2の液位と第1凝縮器C1内の第1冷媒液Vf1の液位との差、及び第2再生器G2内の第2濃溶液Sa2の液位と第1再生器G1内の第1濃溶液Sa1の液位との差を縮小すると、第1再生凝縮缶胴30と第2再生凝縮缶胴40との設置高さの差を小さくすることができる。
第1凝縮器C1で生成された第1冷媒液Vf1は第1冷媒液流出管44に流出し、第2凝縮器C2で生成された第2冷媒液Vf2は第2冷媒液流出管48に流出する。第1冷媒液流出管44を流れる第1冷媒液Vf1及び第2冷媒液流出管48を流れる第2冷媒液Vf2は、それぞれ冷媒液合流管54に流入し、混合されて冷媒液Vfとなる。冷媒液合流管54内の冷媒液Vfは、合流冷媒液ポンプ54pで圧送されて、第1冷媒液導入管23と第2冷媒液導入管27とに分流する。第1冷媒液導入管23を流れる冷媒液は、第1冷媒液散布ノズル22から第1蒸発器E1内に散布される。他方、第2冷媒液導入管27を流れる冷媒液は、第2冷媒液散布ノズル26から第2蒸発器E2内に散布される。
第1蒸発器E1では、第1冷媒液散布ノズル22から散布された冷媒液Vfが、第1蒸発伝熱管21を流れる熱源流体Hで加熱されて蒸発し、第1蒸発器冷媒蒸気Ve1となる。第1蒸発器E1で発生した第1蒸発器冷媒蒸気Ve1は、第1蒸発器E1と連通する第1吸収器A1へと移動する。他方、第2蒸発器E2では、第2冷媒液散布ノズル26から散布された冷媒液Vfが、第2蒸発伝熱管25を流れる熱源流体Hで加熱されて蒸発し、第2蒸発器冷媒蒸気Ve2となる。第2蒸発器E2で発生した第2蒸発器冷媒蒸気Ve2は、第2蒸発器E2と連通する第2吸収器A2へと移動する。熱源流体Hは、第1蒸発伝熱管21を流れた後に熱源蒸発連絡管72を経由して第2蒸発伝熱管25を流れるので、第1蒸発伝熱管21を流れているときの温度が第2蒸発伝熱管25を流れているときの温度よりも高くなり、第1蒸発器E1の内圧(TE1)は第2蒸発器E2の内圧(TE2)よりも高くなる。
第1吸収器A1では、第1濃溶液Sa1が第1濃溶液散布ノズル12から散布され、この散布された第1濃溶液Sa1が第1蒸発器E1から移動してきた第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収する。第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収した第1濃溶液Sa1は、濃度が低下して第1希溶液Sw1となる(A1a〜A1b)。第1吸収器A1では、第1濃溶液Sa1が第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、第1吸収伝熱管11を流れる加熱対象流体Wが加熱される。第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収して第1濃溶液Sa1から濃度が低下した第1希溶液Sw1は、第1吸収器A1の下部に貯留される。第2吸収器A2では、第2濃溶液Sa2が第2濃溶液散布ノズル16から散布され、この散布された第2濃溶液Sa2が第2蒸発器E2から移動してきた第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収する。第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収した第2濃溶液Sa2は、濃度が低下して第2希溶液Sw2となる(A2a〜A2b)。第2吸収器A2では、第2濃溶液Sa2が第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、第2吸収伝熱管15を流れる加熱対象流体Wが加熱される。第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収して第2濃溶液Sa2から濃度が低下した第2希溶液Sw2は、第2吸収器A2下部に貯留される。
このとき、第1蒸発器E1と連通する第1吸収器A1の内圧(TE1)は、第2蒸発器E2と連通する第2吸収器A2の内圧(TE2)よりも高くなる。また、加熱対象流体Wは、第2吸収伝熱管15を流れた後に第1吸収伝熱管11を流れるので、第1吸収器A1を流れる加熱対象流体Wの温度は第2吸収器A2を流れる加熱対象流体Wの温度より高くなり、第1希溶液Sw1の温度(A1b)は第2希溶液Sw2の温度(A2b)より高くなる。ここで、吸収蒸発缶胴を1個にした場合と比較すると、吸収蒸発缶胴が1個の場合、吸収器内圧は、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1における低い方の第2吸収器A2の内圧(TE2)に近く、吸収器から流出する希溶液温度は、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1における高い方の第1希溶液Sw1の温度(A1b)に近くなる。本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、第1吸収器A1の内圧(TE1)が第2吸収器A2の内圧(TE2)より高いので、第1希溶液Sw1の濃度は、吸収蒸発缶胴が1個の場合における吸収器から流出する希溶液濃度より、内圧が高い分だけ低くなる。また、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、第2希溶液Sw2の濃度は、吸収蒸発缶胴が1個の場合における吸収器から流出する希溶液濃度より、吸収液温度が低い分だけ低くなる。したがって、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、第1希溶液Sw1及び第2希溶液Sw2の濃度を、吸収蒸発缶胴が1個の場合における吸収器から流出する希溶液濃度よりも低くすることができ、出力を増大させることができる。このように、熱源流体Hが流れる缶胴の順番を第1蒸発器E1から第2蒸発器E2としつつ、加熱対象流体Wを流す缶胴の順番をこれとは逆向きにして第2吸収器A2から第1吸収器A1の順に加熱対象流体Wを流すと、第1希溶液Sw1の濃度及び第2希溶液Sw2の濃度を低くするのに好適である。
第2吸収器A2は、内部の第2希溶液Sw2の液位が、第1吸収器A1よりも内圧が低い分だけ第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位よりも高くなる。しかし、本実施の形態では、内圧が低い第2吸収蒸発缶胴20が、第1吸収蒸発缶胴10の上方に配置されているので、第2吸収器A2内の第2希溶液Sw2の液位と第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位とが適性に維持される。したがって、第1吸収伝熱管11が第1希溶液Sw1に没入すること及び第2吸収伝熱管15が第2希溶液Sw2に没入することを抑制することができる。
なお、第1吸収蒸発缶胴10の内圧と第2吸収蒸発缶胴20の内圧との差が大きい場合(熱源流体Hの入口温度と出口温度との差が大きい場合)には、内圧が高い第1吸収器A1から第1希溶液Sw1が流出する第1希溶液流出管14にオリフィスや弁等の圧力調整装置を設けて、第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位と第2吸収器A2内の第2希溶液Sw2の液位との差を縮小すると、第1吸収蒸発缶胴10と第2吸収蒸発缶胴20との設置高さの差を小さくすることができる。
第1吸収器A1で生成された第1希溶液Sw1は第1希溶液流出管14に流出し、第2吸収器A2で生成された第2希溶液Sw2は第2希溶液流出管18に流出する。第1希溶液流出管14を流れる第1希溶液Sw1及び第2希溶液流出管18を流れる第2希溶液Sw2は、それぞれ希溶液合流管51に流入し、混合されて希溶液Swとなる(Ab)。希溶液合流管51を流れる希溶液Swは、溶液熱交換器52において濃溶液Saと熱交換して温度が低下した後、第1希溶液導入管33と第2希溶液導入管37とに分流する。第1希溶液導入管33を流れる希溶液Swは、第1希溶液散布ノズル32から第1再生器G1内に散布される。他方、第2希溶液導入管37を流れる希溶液Swは、第2希溶液散布ノズル36から第2再生器G2内に散布される。
このとき、蒸発飽和温度TE1と凝縮飽和温度TC1との差は、通常の運転条件ならば30℃以上あるので、第1吸収器A1の内圧と第1再生器G1の内圧との差は、第1再生器G1内で希溶液Swを散布するのに充分な圧力差となり、第1再生器G1内で希溶液Swを安定して散布することができる。吸収ヒートポンプ1では、第1再生器G1と第2再生器G2との間に吸収液Sの直接的な流通がないので、第1再生器G1と第2再生器G2との間に吸収液Sの散布圧を得るための落差が不要となり、第1再生器G1と第2再生器G2との高さの差(第1再生凝縮缶胴30と第2再生凝縮缶胴40との高さの差)を縮小することができる。
第1再生器G1では、第1希溶液散布ノズル32から散布された希溶液Swが、第1再生伝熱管31を流れる熱源流体Hで加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して第1濃溶液Sa1となり(G1a〜G1b)、第1再生器G1の下部に貯留される。希溶液Swから蒸発した冷媒は第1再生器冷媒蒸気Vg1として第1凝縮器C1へと移動する。他方、第2再生器G2では、第2希溶液散布ノズル36から散布された希溶液Swが、第2再生伝熱管35を流れる熱源流体Hで加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して第2濃溶液Sa2となり(G2a〜G2b)、第2再生器G2の下部に貯留される。希溶液Swから蒸発した冷媒は第2再生器冷媒蒸気Vg2として第2凝縮器C2へと移動する。前述のように、第1再生凝縮缶胴30の内圧(TC1)は、第2再生凝縮缶胴40の内圧(TC2)よりも低くなる。また、熱源流体Hは、第2再生伝熱管35を流れた後に第1再生伝熱管31を流れるので、第2再生器G2を流れる熱源流体Hの温度は第1再生器G1を流れる熱源流体Hの温度より高くなり、第2濃溶液Sa2の温度(G2b)は第1濃溶液Sa1の温度(G1b)より高くなる。ここで、再生凝縮缶胴を1個にした場合と比較すると、再生凝縮缶胴が1個の場合、再生器内圧は、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1における高い方の第2再生器G2の内圧(TC2)に近く、再生器から流出する濃溶液温度は、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1における低い方の第1濃溶液Sa1の温度(G1b)に近くなる。本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、第1再生器G1の内圧(TC1)が第2再生器G2の内圧(TC2)より低いので、第1濃溶液Sa1の濃度は、再生凝縮缶胴が1個の場合における再生器から流出する濃溶液濃度より、内圧が低い分だけ高くなる。また、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、第2濃溶液Sa2の濃度は、再生凝縮缶胴が1個の場合における再生器から流出する濃溶液濃度より、吸収液温度が高い分だけ高くなる。したがって、第1濃溶液Sa1及び第2濃溶液Sa2の濃度を、再生凝縮缶胴が1個の場合における再生器から流出する濃溶液濃度よりも高くすることができ、出力を増大させることができる。このように、冷却水Yが流れる缶胴の順番を第1凝縮器C1から第2凝縮器C2としつつ、熱源流体Hを流す缶胴の順番をこれとは逆向きにして第2再生器G2から第1再生器G1の順に熱源流体Hを流すと、第1濃溶液Sa1の濃度及び第2濃溶液Sa2の濃度を高くするのに好適である。
第1再生器G1で生成された第1濃溶液Sa1は第1濃溶液流出管34に流出し、第2再生器G2で生成された第2濃溶液Sa2は第2濃溶液流出管38に流出する。第1濃溶液流出管34を流れる第1濃溶液Sa1及び第2濃溶液流出管38を流れる第2濃溶液Sa2は、それぞれ濃溶液合流管53に流入し、混合されて濃溶液Saとなる(Gb)。濃溶液合流管53内の濃溶液Saは、合流濃溶液ポンプ53pで圧送されて第1吸収器A1及び第2吸収器A2に向けて流動し、溶液熱交換器52において希溶液Swと熱交換して温度が上昇した後、第1濃溶液導入管13と第2濃溶液導入管17とに分流する。第1濃溶液導入管13を流れる濃溶液Saは、第1濃溶液散布ノズル12から第1吸収器A1内に散布され、以降前述のサイクルを繰り返す。他方、第2濃溶液導入管17を流れる濃溶液Saは、第2濃溶液散布ノズル16から第2吸収器A2内に散布され、以降前述のサイクルを繰り返す。吸収ヒートポンプ1では、第1吸収器A1と第2吸収器A2との間に吸収液Sの直接的な流通がないので、第1吸収器A1と第2吸収器A2との間に吸収液Sの散布圧を得るための落差が不要となり、第1吸収器A1と第2吸収器A2との高さの差(第1吸収蒸発缶胴10と第2吸収蒸発缶胴20との高さの差)を縮小することができる。
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1によれば、第1再生器G1と第2再生器G2との間、及び、第1吸収器A1と第2吸収器A2との間に、吸収液Sの散布圧を得るための落差を設ける必要がなく、高さを抑制することができる。また、冷却水Yを第1凝縮伝熱管41に流した後に第2凝縮伝熱管45に流すことで第1再生器G1の内圧を第2再生器G2の内圧よりも低くし、かつ、この冷却水Yが流れる缶胴の順番とは逆向きに、熱源流体Hを第2再生伝熱管35に流した後に第1再生伝熱管31に流すことで第2再生器G2から流出する第2濃溶液Sa2の温度を第1再生器G1から流出する第1濃溶液Sa1の温度よりも高くして、第1濃溶液Sa1の濃度及び第2濃溶液Sa2の濃度を再生凝縮缶胴が1個の場合における再生器から流出する濃溶液濃度より高くし、さらに、熱源流体Hを第1蒸発伝熱管21に流した後に第2蒸発伝熱管25に流すことで第1吸収器A1の内圧を第2吸収器A2の内圧よりも高くし、かつ、この熱源流体Hが流れる缶胴の順番とは逆向きに、加熱対象流体Wを第2吸収伝熱管15に流した後に第1吸収伝熱管11に流すことで第2吸収器A2から流出する第2希溶液Sw2の温度を第1吸収器A1から流出する第1希溶液Sa1の温度より低くして、第1希溶液Sw1の濃度及び第2希溶液Sw2の濃度を吸収蒸発缶胴が1個の場合における吸収器から流出する希溶液濃度より低くして、吸収ヒートポンプ1の出力を増大させることができる。
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Aを説明する。図3は、吸収ヒートポンプ1Aの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Aは、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と比較して、以下の点が異なっている。吸収ヒートポンプ1Aでは、第1吸収蒸発缶胴10Aは、内部に収容される第1吸収器A1及び第1蒸発器E1が鉛直上下に配列されている。本変形例では、第1蒸発器E1が第1吸収器A1の上に配置されている。第1蒸発器E1を構成する第1蒸発伝熱管21及び第1冷媒液散布ノズル22は、上部が開放した第1蒸発容器19Aに収容されている。第1蒸発器E1が第1吸収器A1の上方に配置されていることで、第1吸収器A1内の吸収液Sが第1蒸発器E1内に漏洩して第1蒸発器E1内の冷媒液Vfが汚染されることを防ぐことができる。また、第2吸収蒸発缶胴20Aは、第1吸収蒸発缶胴10Aと同様、内部に収容される第2蒸発器E2が、第2吸収器A2の鉛直上方に配置されている。第2蒸発器E2を構成する第2蒸発伝熱管25及び第2冷媒液散布ノズル26は、上部が開放した第2蒸発容器29Aに収容されている。
第1吸収蒸発缶胴10Aと第2吸収蒸発缶胴20Aとは、水平方向に隣接して配置されている。このとき、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部の高さの差が、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部と最低部との高さの差の小さい方よりも小さくなるようにすると、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部よりも所定の高さだけ上方に第1濃溶液散布ノズル12及び第2濃溶液散布ノズル16がそれぞれ配置されているので、第1吸収器A1及び第2吸収器A2それぞれにおける濃溶液Saの散布圧が概ね等しくなり、濃溶液Sa散布量が概ね等しくなって、第1吸収器A1及び第2吸収器A2のうちの一方の熱出力が低下することを回避することができて好ましい。本変形例では、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1濃溶液散布ノズル12と第2濃溶液散布ノズル16とが同じ高さに配置されている。ここでいう同じ高さは、実質的に等しい高さ(第1吸収器A1及び第2吸収器A2それぞれの熱出力が許容範囲内で異なる程度に濃溶液Saの散布圧が異なる範囲)が含まれる。また、第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25のそれぞれの最上部の高さの差が、第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25のそれぞれの最上部と最低部との高さの差の小さい方よりも小さくなるようにすると、両者に差がある吸収ヒートポンプ1(図1参照)に比べて熱源流体Hの押し込み圧力を小さくすることができて好ましい。本変形例では、第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1冷媒液散布ノズル22と第2冷媒液散布ノズル26とが同じ高さに配置されている。ここでいう同じ高さは、実質的に等しい高さが含まれる。このようにすると、第1吸収蒸発缶胴10Aと第2吸収蒸発缶胴20Aとを配置したときの高さを抑制することができる。
また、吸収ヒートポンプ1Aでは、第1再生凝縮缶胴30Aは、内部に収容される第1再生器G1及び第1凝縮器C1が鉛直上下に配列されている。本変形例では、第1凝縮器C1が第1再生器G1の上に配置されている。第1凝縮器C1を構成する第1凝縮伝熱管41は、上部が開放した第1凝縮容器39Aに収容されている。第1凝縮器C1が第1再生器G1の上部に配置されていることで、第1再生器G1内の吸収液Sが第1凝縮器C1内に漏洩して第1凝縮器C1内の冷媒液Vfが汚染されることを防ぐことができる。また、第2再生凝縮缶胴40Aは、第1再生凝縮缶胴30Aと同様、内部に収容される第2凝縮器C2が、第2再生器G2の鉛直上方に配置されている。第2凝縮器C2を構成する第2凝縮伝熱管45は、上部が開放した第2凝縮容器49Aに収容されている。
第1再生凝縮缶胴30Aと第2再生凝縮缶胴40Aとは、水平方向に隣接して配置されている。このとき、第1再生伝熱管31及び第2再生伝熱管35のそれぞれの最上部の高さの差が、第1再生伝熱管31及び第2再生伝熱管35のそれぞれの最上部と最低部との高さの差の小さい方よりも小さくなるようにすると、第1再生伝熱管31及び第2再生伝熱管35のそれぞれの最上部よりも所定の高さだけ上方に第1希溶液散布ノズル32及び第2希溶液散布ノズル36がそれぞれ配置されているので、第1再生器G1及び第2再生器G2それぞれにおける希溶液Swの散布圧が概ね等しくなり、希溶液Sw散布量が概ね等しくなって、第1再生器G1及び第2再生器G2のうちの一方の熱出力が低下することを回避することができて好ましい。本変形例では、第1再生伝熱管31及び第2再生伝熱管35のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1希溶液散布ノズル32と第2希溶液散布ノズル36とが同じ高さに配置されている。ここでいう同じ高さは、実質的に等しい高さ(第1再生器G1及び第2再生器G2それぞれの熱出力が許容範囲内で異なる程度に希溶液Swの散布圧が異なる範囲)が含まれる。また、第1凝縮伝熱管41及び第2凝縮伝熱管45のそれぞれの最上部の高さの差が、第1凝縮伝熱管41及び第2凝縮伝熱管45のそれぞれの最上部と最低部との高さの差の小さい方よりも小さくなるようにすると、両者に差がある吸収ヒートポンプ1(図1参照)に比べて冷却水Yの押し込み圧力を小さくすることができて好ましい。本変形例では、第1凝縮伝熱管41及び第2凝縮伝熱管45のそれぞれの最上部の高さが同じ高さに配置されている。ここでの同じ高さは、実質的に等しい高さが含まれる。このようにすると、第1再生凝縮缶胴30Aと第2再生凝縮缶胴40Aとを配置したときの高さを抑制することができる。また、水平方向に隣接して配置された第1再生凝縮缶胴30A及び第2再生凝縮缶胴40Aは、水平方向に隣接して配置された第1吸収蒸発缶胴10A及び第2吸収蒸発缶胴20Aの下方に配置されている。上記以外の吸収ヒートポンプ1Aの構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様である。
上述のように構成された吸収ヒートポンプ1Aは、基本的には吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様に作用する。冷却水Yは第1凝縮伝熱管41を流れた後に第2凝縮伝熱管45を流れるので、第1凝縮伝熱管41を流れる冷却水Yの温度は第2凝縮伝熱管45を流れる冷却水Yの温度よりも低くなり、第1凝縮器C1を含む第1再生凝縮缶胴30Aの内圧は第2凝縮器C2を含む第2再生凝縮缶胴40Aの内圧より低くなって、第1再生器G1から流出する第1濃溶液Sa1の濃度及び第2再生器G2から流出する第2濃溶液Sa2の濃度を、再生凝縮缶胴を1個で構成した場合における再生器から流出する濃溶液濃度より濃くすることができて出力が増大する。また、第1凝縮器C1と第2凝縮器C2とを同じ高さに設置してあるので、第1再生凝縮缶胴30Aの内圧が第2再生凝縮缶胴40Aの内圧より低い分だけ第1凝縮器C1内の第1冷媒液Vf1の液位は第2凝縮器C2内の第2冷媒液Vf2の液位より高くなるが、第1再生凝縮缶胴30Aの内圧と第2再生凝縮缶胴40Aの内圧との差が大きい場合には、内圧が高い第2凝縮器C2から第2冷媒液Vf2が流出する第2冷媒液流出管48及び第2再生器G2から第2濃溶液Sa2が流出する第2濃溶液流出管38にオリフィスや弁等の圧力調整装置を設けて、第1凝縮器C1内の第1冷媒液Vf1の液位と第2凝縮器C2内の第2冷媒液Vf2の液位との差、及び第1再生器G1内の第1濃溶液Sa1の液位と第2再生器G2内の第2濃溶液Sa2の液位との差を縮小するとよい。
また、熱源流体Hは第1蒸発伝熱管21を流れた後に第2蒸発伝熱管25を流れるので、第1蒸発伝熱管21を流れる熱源流体Hの温度は第2蒸発伝熱管25を流れる熱源流体Hの温度よりも高くなり、第1蒸発器E1を含む第1吸収蒸発缶胴10Aの内圧は第2蒸発器E2を含む第2吸収蒸発缶胴20Aの内圧よりも高くなって、第1吸収器A1から流出する第1希溶液Sw1の濃度及び第2吸収器A2から流出する第2希溶液Sw2の濃度を、吸収蒸発缶胴を1個で構成した場合における吸収器から流出する希溶液濃度より希にすることができて出力が増大する。また、第1吸収器A1と第2吸収器A2とを同じ高さに設置してあるので、第2吸収蒸発缶胴20Aの内圧が第1吸収蒸発缶胴10Aの内圧より低い分だけ第2吸収器A2内の第2希溶液Sw2の液位は第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位より高くなるが、第1吸収蒸発缶胴10Aの内圧と第2吸収蒸発缶胴20Aの内圧との差が大きい場合には、内圧が高い第1吸収器A1から第1希溶液Sw1が流出する第1希溶液流出管14にオリフィスや弁等の圧力調整装置を設けて、第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位と第2吸収器A2内の第2希溶液Sw2の液位との差を縮小するとよい。また、吸収ヒートポンプ1Aでは、高さ方向における隣接する缶胴間のスペースが、第1吸収蒸発缶胴10Aと第1再生凝縮缶胴30A(あるいは第2吸収蒸発缶胴20Aと第2再生凝縮缶胴40A)の1箇所となるので、吸収ヒートポンプ1Aの高さを抑制することができる。
なお、図4(A)に示すように、第1吸収蒸発缶胴10Aと第2吸収蒸発缶胴20Aとを横並びで接触させたうえで下部に連通口129hを形成し、缶胴内で第1希溶液Sw1と第2希溶液Sw2とが混合するように構成してもよい。連通口129hは、その上端が、第1吸収器A1内の第1希溶液Sw1の液位よりも下方、かつ、第2吸収器A2内の第2希溶液Sw2の液位よりも下方になるように形成される。このように構成すると、連通口129hは希溶液Swに液封されるため、第1吸収蒸発缶胴10Aの気相部と第2吸収蒸発缶胴20Aの気相部とは相互に連通せず、第1吸収蒸発缶胴10A及び第2吸収蒸発缶胴20Aそれぞれの内圧は独立して(異なることを許容したまま)維持される。この場合、第1希溶液流出管14(図3参照)及び第2希溶液流出管18(図3参照)を省略することができ、希溶液合流管51が缶胴の下部(典型的には連通口129hの直下の底部)に接続される。この場合、希溶液合流管51が、第1の希溶液流出流路と第2の希溶液流出流路とを兼ねることとなる。なお、図示は省略するが、連通口129hを設けずに第1吸収蒸発缶胴10Aと第2吸収蒸発缶胴20Aとを区画する壁を第1吸収蒸発缶胴10A及び第2吸収蒸発缶胴20Aの底部迄延長し、第1吸収蒸発缶胴10Aと第2吸収蒸発缶胴20Aとの双方に開口する溶液貯留室を、第1吸収蒸発缶胴10A及び第2吸収蒸発缶胴20Aの底部下面に取り付け、希溶液合流管51を溶液貯留室の下部に接続してもよい。図4(A)に示す形態と同様に、図4(B)に示すように、第1再生凝縮缶胴30Aと第2再生凝縮缶胴40Aとを横並びで接触させたうえで下部に連通口349hを形成し、缶胴内で第1濃溶液Sa1と第2濃溶液Sa2とが混合するように構成してもよい。連通口349hは、その上端が、第1再生器G1内の第1濃溶液Sa1の液位よりも下方、かつ、第2再生器G2内の第2濃溶液Sa2の液位よりも下方になるように形成される。このように構成すると、連通口349hは濃溶液Saに液封されるため、第1再生凝縮缶胴30Aの気相部と第2再生凝縮缶胴40Aの気相部とは相互に連通せず、第1再生凝縮缶胴30A及び第2再生凝縮缶胴40Aそれぞれの内圧は独立して(異なることを許容したまま)維持される。この場合、第1濃溶液流出管34(図3参照)及び第2濃溶液流出管38(図3参照)を省略することができ、濃溶液合流管53が缶胴の下部(典型的には連通口349hの直下の底部)に接続される。この場合、濃溶液合流管53が、第1の濃溶液流出流路と第2の濃溶液流出流路とを兼ねることとなる。なお、図示は省略するが、連通口349hを設けずに第1再生凝縮缶胴30Aと第2再生凝縮缶胴40Aとを区画する壁を第1再生凝縮缶胴30A及び第2再生凝縮缶胴40Aの底部迄延長し、第1再生凝縮缶胴30Aと第2再生凝縮缶胴40Aとの双方に開口する溶液貯留室を、第1再生凝縮缶胴30A及び第2再生凝縮缶胴40Aの底部下面に取り付け、濃溶液合流管53を溶液貯留室の下部に接続してもよい。
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Bを説明する。図5は、吸収ヒートポンプ1Bの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Bは、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と比較して、以下の点が異なっている。吸収ヒートポンプ1Bでは、第1吸収蒸発缶胴10Bは、内部に収容される第1吸収器A1及び第1蒸発器E1の鉛直上下の配列が、第1吸収器A1が第1蒸発器E1の上に配置されている。第1吸収器A1を構成する第1吸収伝熱管11及び第1濃溶液散布ノズル12は、上部が開放した第1吸収容器19Bに収容されている。第1蒸発容器19A(図3参照)は設けられていない。第1蒸発器E1が第1吸収器A1の下方に配置されていることで、第1蒸発伝熱管21に供給する熱源流体Hを押し上げるための押し込み圧力を小さくすることができ、熱源流体Hを圧送するポンプ(不図示)の動力を低減することができる。また、第2吸収蒸発缶胴20Bは、第1吸収蒸発缶胴10Bと同様、内部に収容される第2吸収器A2が、第2蒸発器E2の鉛直上方に配置されている。第2吸収器A2を構成する第2吸収伝熱管15及び第2濃溶液散布ノズル16は、上部が開放した第2吸収容器29Bに収容されている。第2蒸発容器29A(図3参照)は設けられていない。第1吸収器A1が第1蒸発器E1の鉛直上方に配置され、第2吸収器A2が第2蒸発器E2の鉛直上方に配置されている状況で、第1濃溶液散布ノズル12と第2濃溶液散布ノズル16とが同じ高さ(実質的に等しい高さを含む)に配置され、第1冷媒液散布ノズル22と第2冷媒液散布ノズル26とが同じ高さ(実質的に等しい高さを含む)に配置されている。
また、吸収ヒートポンプ1Bでは、第1再生凝縮缶胴30Bは、内部に収容される第1再生器G1及び第1凝縮器C1の鉛直上下の配列が、第1再生器G1が第1凝縮器C1の上に配置されている。第1再生器G1を構成する第1再生伝熱管31及び第1希溶液散布ノズル32は、上部が開放した第1再生容器39Bに収容されている。第1凝縮容器39A(図3参照)は設けられていない。第1凝縮器C1が第1再生器G1の下方に配置されていることで、第1凝縮伝熱管41に供給する冷却水Yを押し上げるための押し込み圧力を小さくすることができ、冷却水Yを圧送するポンプ(不図示)の動力を低減することができる。また、第2再生凝縮缶胴40Bは、第1再生凝縮缶胴30Bと同様、内部に収容される第2再生器G2が、第2凝縮器C2の鉛直上方に配置されている。第2再生器G2を構成する第2再生伝熱管35及び第2希溶液散布ノズル36は、上部が開放した第2再生容器49Bに収容されている。第2凝縮容器49A(図3参照)は設けられていない。第1再生器G1が第1凝縮器C1の鉛直上方に配置され、第2再生器G2が第2凝縮器C2の鉛直上方に配置されている状況で、第1希溶液散布ノズル32と第2希溶液散布ノズル36とが同じ高さ(実質的に等しい高さを含む)に配置されており、第1凝縮伝熱管41及び第2凝縮伝熱管45のそれぞれの最上部の高さが同じ高さ(実質的に等しい高さを含む)に配置されている。上記以外の吸収ヒートポンプ1Bの構成は、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と同様である。
上述のように構成された吸収ヒートポンプ1Bは、基本的には吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と同様に作用する。吸収ヒートポンプ1Bは、熱源流体Hを圧送するポンプ(不図示)及び冷却水Yを圧送するポンプ(不図示)の動力を低減することができる。
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態の第3の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Cを説明する。図6は、吸収ヒートポンプ1Cの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Cは、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と比較して、以下の点が異なっている。吸収ヒートポンプ1Cは、第1吸収蒸発缶胴10A、第2吸収蒸発缶胴20A、第1再生凝縮缶胴30A、第2再生蒸発缶胴40Aの構成及び配列は吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と同じであるが、各缶胴を接続する配管が、第1希溶液Sw1と第2希溶液Sw2とが合流せず、第1濃溶液Sa1と第2濃溶液Sa2とが合流せず、第1冷媒液Vf1と第2冷媒液Vf2とが合流しないような、以下の構成となっている。吸収ヒートポンプ1Cでは、第1希溶液流出管14が、希溶液合流管51(図3参照)を介さずに直接第1希溶液導入管33に接続されており、第1の希溶液連絡流路に相当する。また、第2希溶液流出管18が、希溶液合流管51(図3参照)を介さずに直接第2希溶液導入管37に接続されており、第2の希溶液連絡流路に相当する。また、第1濃溶液流出管34が、濃溶液合流管53(図3参照)を介さずに直接第1濃溶液導入管13に接続されている。第1濃溶液流出管34には、第1濃溶液Sa1を圧送する第1濃溶液ポンプ34pが配設されている。また、第2濃溶液流出管38が、第2濃溶液導入管17に接続されている。第2濃溶液流出管38には、第2濃溶液Sa2を圧送する第2濃溶液ポンプ38pが配設されている。第1希溶液流出管14及び第1濃溶液流出管34には、第1希溶液Sw1と第1濃溶液Sa1とで熱交換を行わせる第1溶液熱交換器52Aが配設されている。第2希溶液流出管18及び第2濃溶液流出管38には、第2希溶液Sw2と第2濃溶液Sa2とで熱交換を行わせる第2溶液熱交換器52Bが配設されている。また、第1冷媒液流出管44が、第1冷媒液導入管23に接続されている。第1冷媒液流出管44には、第1冷媒液Vf1を圧送する第1冷媒液ポンプ44pが配設されている。また、第2冷媒液流出管48が、第2冷媒液導入管27に接続されている。第2冷媒液流出管48には、第2冷媒液Vf2を圧送する第2冷媒液ポンプ48pが配設されている。吸収ヒートポンプ1Cでは、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)で設けられていた希溶液合流管51、合流濃溶液ポンプ53pが配設された濃溶液合流管53、合流冷媒液ポンプ54pが配設された冷媒液合流管54が設けられておらず、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)における溶液熱交換器52が第1溶液熱交換器52A及び第2溶液熱交換器52Bに置き換わっている。上記以外の吸収ヒートポンプ1Cの構成は、吸収ヒートポンプ1A(図3参照)と同様である。
図7に、図6に表す吸収ヒートポンプ1Cのデューリング線図を示す。吸収ヒートポンプ1Cでは、吸収液Sの循環回路が、第1希溶液Sw1及び第1濃溶液Sa1として循環する第1回路D1と、第2希溶液Sw2及び第2濃溶液Sa2として循環する第2回路D2との2回路となり、各回路D1、D2を個別に最適化して出力性能を向上させることができる。また、第1吸収器A1及び第2吸収器A2並びに第1再生器G1及び第2再生器G2が独立しているので、内圧が相互に影響し合うことがなく、内圧の違いが液位の差として現れることがなくなって、液位制御を簡便に行うことができる。また、第1濃溶液ポンプ34pと第2濃溶液ポンプ38pとを個別に作動させることで、第1吸収器A1及び第2吸収器A2それぞれの液位制御を適切に行うことができる。
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態の第4の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Dを説明する。図8は、吸収ヒートポンプ1Dの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Dは、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と比較して、気液分離器80が設けられている点が異なっている。気液分離器80は、第1吸収器A1及び第2吸収器A2で加熱された加熱対象流体Wを、加熱対象流体蒸気Wvと加熱対象流体液Wqとに分離する機器である。第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11及び第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15のそれぞれの一端には、気液分離器80から流出した加熱対象流体液Wqが、加熱対象流体液供給管81を介して並列に供給されるように構成されている。加熱対象流体液供給管81は、典型的には気液分離器80の底部に接続されている。第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの他端から流出した、加熱されて沸騰した沸騰加熱対象流体Wbは、沸騰加熱対象流体管83を介して、合流した後に気液分離器80に流入するように構成されている。沸騰加熱対象流体管83は、気液分離器80の気相部(典型的には気液分離器80の側面上部)に接続されている。また、気液分離器80には、分離された加熱対象流体蒸気Wvを需要先に向けて吸収ヒートポンプ1Dの外に導く加熱対象流体蒸気管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。また、主に蒸気として吸収ヒートポンプ1Dの外に供給された分の加熱対象流体Wを補うための補給流体Wsを吸収ヒートポンプ1Dの外から導入する補給管85が設けられている。補給管85は、本変形例では、気液分離器80の側面に接続されているが、加熱対象流体液供給管81に接続されていてもよい。上記以外の吸収ヒートポンプ1Dの構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様である。
上述のように構成された吸収ヒートポンプ1Dでは、気液分離器80から流出する加熱対象流体液Wqを、気液分離器80と第1吸収器A1及び第2の吸収器A2との間の加熱対象流体液供給管81及び沸騰加熱対象流体管83内の加熱対象流体Wの比重量の差に基づく気泡ポンプ作用により、第1吸収伝熱管11と第2吸収伝熱管15とに供給している。吸収ヒートポンプ1Dは、第1吸収器A1及び第2吸収器A2の設置高さが異なるため気泡ポンプ効果が異なり、各吸収器A1、A2に供給される加熱対象流体液Wqの流量が異なる。すなわち、下方に配置された第1吸収器A1へ供給される加熱対象流体液Wqの流量は、上方に配置された第2吸収器A2に供給される加熱対象流体液Wqの流量よりも多くなる。このような状況で、加熱対象流体液Wqの流量の過少に伴う伝熱の阻害を回避しつつ、加熱対象流体液Wqの流量の過多に伴う気液分離作用の阻害を回避する観点から、上方に配置された第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15に供給される加熱対象流体液Wqの流量と、下方に配置された第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11に供給される加熱対象流体液Wqの流量を各々最適化するために、下方に配置された第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11へ加熱対象流体液Wqを供給する加熱対象流体液供給管81に、加熱対象流体液Wqの流量を調整するためのオリフィスや弁等の流量調整装置を設けるとよい。
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態の第5の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Eを説明する。図9は、吸収ヒートポンプ1Eの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Eは、図3に示す吸収ヒートポンプ1Aに対して、図8に示す吸収ヒートポンプ1Dの気液分離器80まわりの構成を組み合わせたものである。吸収ヒートポンプ1Eによれば、吸収ヒートポンプ1D(図8参照)に比べて高さを抑制することができる。また、吸収ヒートポンプ1Eによれば、気液分離器80と第1吸収器A1との落差と、気液分離器80と第2吸収器A2との落差とが同じになって、気液分離器80から流出する加熱対象流体液Wqを気泡ポンプ作用によって第1吸収伝熱管11と第2吸収伝熱管15とに供給する場合に、第1吸収伝熱管11と第2吸収伝熱管15とに供給される加熱対象流体液Wqの流量を同一にすることができて好ましい。
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態の第6の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Fを説明する。図10は、吸収ヒートポンプ1Fの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Fは、吸収ヒートポンプ1D(図8参照)と比較して、以下の点が異なっている。吸収ヒートポンプ1Fは、第1吸収器A1及び第2吸収器A2よりも作動圧力・温度が高い高温吸収器AHと、高温吸収器AHで加熱された被加熱媒体Xを、被加熱媒体蒸気Xvと被加熱媒体液Xqとに分離する高温気液分離器90とを備えている。吸収ヒートポンプ1Fでは、加熱対象流体Wが、吸収サイクルを構成する冷媒となっている。したがって、便宜上表現が異なるものの、加熱対象流体Wと冷媒Vとは同じ成分の流体となっている。高温吸収器AHは、気液分離器80で分離された加熱対象流体蒸気Wvを濃溶液Saで吸収する機器である。高温吸収器AHは、被加熱媒体Xを流す高温吸収伝熱管111と、濃溶液Saを高温吸収伝熱管111の外面に向けて散布する高温濃溶液散布ノズル112とを有している。高温濃溶液散布ノズル112には濃溶液合流管53が接続されており、高温吸収器AHに濃溶液Saを導入することができるように構成されている。また、高温吸収器AHは、加熱対象流体蒸気管89が接続されており、気液分離器80から加熱対象流体蒸気Wvを導入することができるように構成されている。高温吸収器AHは、散布された濃溶液Saが加熱対象流体蒸気Wvを吸収することで濃度の低下した中濃度溶液Smを下部に貯留すると共に、濃溶液Saが加熱対象流体蒸気Wvを吸収した際に発生した吸収熱によって被加熱媒体Xが加熱されるように構成されている。
高温吸収器AHの高温吸収伝熱管111の一端には、高温気液分離器90から流出した被加熱媒体液Xqが、被加熱媒体液供給管91を介して供給されるように構成されている。被加熱媒体液供給管91は、典型的には高温気液分離器90の底部に接続されている。高温吸収伝熱管111の他端から流出した、加熱されて沸騰した沸騰被加熱媒体Xbは、沸騰被加熱媒体管93を介して高温気液分離器90に流入するように構成されている。沸騰被加熱媒体管93は、高温気液分離器90の気相部(典型的には高温気液分離器90の側面上部)に接続されている。また、高温気液分離器90には、分離された被加熱媒体蒸気Xvを需要先に向けて吸収ヒートポンプ1Fの外に導く被加熱媒体蒸気管99が上部(典型的には頂部)に接続されている。また、主に蒸気として吸収ヒートポンプ1Fの外に供給された分の被加熱媒体Xを補うための補給流体Xsを吸収ヒートポンプ1Fの外から導入する補給管95が設けられている。補給管95は、本変形例では、被加熱媒体液供給管91に接続されているが、高温気液分離器90の側面に接続されていてもよい。
また、吸収ヒートポンプ1Fでは、高温吸収器AHから流出した中濃度溶液Smを流す中濃度溶液流出管151の一端が高温吸収器AHの下部(典型的には底部)に接続されている。中濃度溶液流出管151の他端は、第1中濃度溶液導入管113と第2中濃度溶液導入管117とに分離している。第1中濃度溶液導入管113の他端は、第1吸収器A1の第1濃溶液散布ノズル12に接続されている。第1中濃度溶液導入管113は、第1の希溶液導入流路に相当する。第2中濃度溶液導入管117の他端は、第2吸収器A2の第2濃溶液散布ノズル16に接続されている。第2中濃度溶液導入管117は、第2の希溶液導入流路に相当する。このように、吸収ヒートポンプ1Fでは、第1濃溶液散布ノズル12及び第2濃溶液散布ノズル16に中濃度溶液Smが導入され、第1吸収器A1及び第2吸収器A2の内部には中濃度溶液Smが散布されるように構成されている。中濃度溶液流出管151及び濃溶液合流管53には、中濃度溶液Smと濃溶液Saとで熱交換を行わせる高温溶液熱交換器152が配設されている。溶液熱交換器52は、希溶液合流管51と高温溶液熱交換器152よりも上流側の濃溶液合流管53とに配設されている。気液分離器80には、吸収ヒートポンプ1Fの外部ではなく内部の冷媒液Vfを補給流体Wsとして導入する内部補給管185の一端が接続されている。内部補給管185の他端は、冷媒液合流管54あるいは第1冷媒液導入管23又は第2冷媒液導入管27に接続されている。上記以外の吸収ヒートポンプ1Fの構成は、吸収ヒートポンプ1D(図8参照)と同様である。
上述のように構成された吸収ヒートポンプ1Fは、2段昇温型第二種吸収ヒートポンプとして機能し、加熱対象流体蒸気Wvよりも高温の被加熱媒体蒸気Xvを取り出すことができる。なお、2段昇温型に限らず、3段昇温型を含めた多段昇温型の第二種吸収ヒートポンプに適用してもよい。多段昇温型の第二種吸収ヒートポンプは、本変形例のように被加熱媒体蒸気Xvを取り出すものの他、被加熱媒体Xを液体(温水)のまま取り出すものとすることもでき、被加熱媒体Xを液体のまま取り出す場合は高温気液分離器90を省略することができる。
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態の第7の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Gを説明する。図11は、吸収ヒートポンプ1Gの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1Gは、図9に示す吸収ヒートポンプ1Eに対して、図10に示す吸収ヒートポンプ1Fの高温吸収器AHまわり及び高温気液分離器90まわりの構成を組み合わせたものである。吸収ヒートポンプ1Gによれば、吸収ヒートポンプ1F(図10参照)に比べて高さを抑制することができる。なお、2段昇温型では再生器の熱容量が蒸発器の約2倍になるので、本変形例に係る吸収ヒートポンプ1Gのように、伝熱面積の大きな再生器を凝縮器の下方に配置すると好適である。
以上の説明では、第1再生器G1の第1再生伝熱管31及び第2再生器G2の第2再生伝熱管35を流れる熱源流体Hは、第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25を流れる熱源流体Hと同じになっており、第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25を流れた後に第2再生伝熱管35及び第1再生伝熱管31を流れるように構成されているが、第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25を流れる熱源流体Hと第2再生伝熱管35及び第1再生伝熱管31を流れる熱源流体Hとが別種のものであってもよく、同種の熱源流体Hが流れる場合には、第2再生伝熱管35及び第1再生伝熱管31を流れた後に第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発伝熱管25を流れることとしてもよく、第2再生伝熱管35と第1再生伝熱管31とを流れる順序を入れ替えてもよい。あるいは、第1蒸発伝熱管21を流れた後に第2再生伝熱管35を流れ、第2蒸発伝熱管25を流れた後に第1再生伝熱管31を流れることとしてもよく、第2再生伝熱管35を流れた後に第1蒸発伝熱管21を流れ、第1再生伝熱管31を流れた後に第2蒸発伝熱管25を流れることとしてもよい。また、第1蒸発伝熱管21を流れた後に、第2再生伝熱管35から第1再生伝熱管31又は第1再生伝熱管31から第2再生伝熱管35を流れてから、第2蒸発伝熱管25を流れることとしてもよい。このように、第1の蒸発器伝熱管21を流れた後に、第2再生伝熱管35及び又は第1再生伝熱管31を流れてから第2蒸発伝熱管25を流れることとしてもよい。また、第2再生伝熱管35を流れた後に第1蒸発伝熱管21と第2蒸発伝熱管25を流れてから第1再生伝熱管31を流れることとしてもよく、あるいは、第2再生伝熱管35と第1再生伝熱管31とを流れる順序を入れ替えてもよい。なお、熱源流体Hとしては、典型的には温水を用いることができるが、温水の他、水蒸気、石油等の化学液体、アルコール等の凝縮性化学蒸気であってもよい。同様に、加熱対象流体Wとしても、温水や水蒸気の他、石油等の化学液体、アルコール等の沸騰を伴う化学液体であってもよい。
以上の説明では、熱源流体Hが、冷却水Yが流れる缶胴の順番とは逆向きに、第2再生器G2から第1再生器G1へ流れるとしたが、冷却水Yが第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41を流れた後に第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45を流れるように構成した上で、熱源流体Hによっては、冷却水Yが流れる缶胴の順番と同じ順番となる第1再生器G1から第2再生器G2へ熱源流体Hが流れるように、熱源流体Hが第1再生器G1の第1再生伝熱管31を流れた後に第2再生器G2の第2再生伝熱管35を流れることとしてもよい。あるいは、熱源流体Hが第1再生器G1の第1再生伝熱管31と第2再生器G2の第2再生伝熱管35に並列に流れることとしてもよい。このようにしても、第1再生器G1の内圧を、再生凝縮缶胴が1個の場合における再生器の内圧より低くして、第1再生器G1から流出する第1濃溶液Sa1の濃度及び/又は第2再生器G2から流出する第2濃溶液Sa2の濃度を高くして出力を増大することができる。
以上の説明では、熱源流体Hが第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21を流れた後に第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25を流れるようにしたが、冷却水Yが第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41を流れた後に第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45を流れるように構成した上で、熱源流体Hによっては、熱源流体Hが第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25を流れた後に第1蒸発器E1の第1の蒸発伝熱管21を流れることとしてもよいし、熱源流体Hが第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21及び第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25に並列に流れることとしてもよい。また、熱源流体Hが、第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21、第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25、第1再生器G1の第1再生伝熱管31、及び第2再生器G2の第2再生伝熱管35の4箇所に並列に流れることとしてもよい。さらに、熱源流体Hを2つの流れに分けて、一方は第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21から第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25へ、又は、第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25から第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21へ流れることとし、他方は第1再生器G1の第1再生伝熱管31から第2再生器G2の第2再生伝熱管35へ、又は、第2再生器G2の第2再生伝熱管35から第1再生器G1の第1再生伝熱管31へ流れることとしてもよい。同様に、熱源流体Hを2つの流れに分けて、一方は第2再生器G2の第2再生伝熱管35から第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21へ、又は、第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21から第2再生器G2の第2再生伝熱管35へ流れることとし、他方は第1再生器G1の第1再生伝熱管31から第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25へ、又は、第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25から第1再生器G1の第1再生伝熱管31へ流れることとしてもよい。同様に、熱源流体Hを2つの流れに分けて、一方は第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21から第1再生器G1の第1再生伝熱管31へ、又は、第1再生器G1の第1再生伝熱管31から第1蒸発器E1の第1蒸発伝熱管21へ流れることとし、他方は、第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25から第2再生器G2の第2再生伝熱管35へ、又は、第2再生器G2の第2再生伝熱管35から第2蒸発器E2の第2蒸発伝熱管25へ流れることとしてもよい。
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1、1A、1B、1Cにおいて、加熱対象流体Wを第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15を流れた後に第1吸収器A1の第1の吸収伝熱管11を流れることとしたが、熱源流体Hが流れる缶胴の順番と同じ順番となる第1吸収器A1から第2吸収器A2に加熱対象流体Wが流れるように、加熱対象流体Wを第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11を流れた後に第2吸収器A2の第2の吸収伝熱管15を流れることとしてもよい。また、沸騰を伴わない加熱対象流体Wを、図8等に示すように、第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11及び第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15に並列に流れることとしてもよい。このようにしても出力を増大することができる。
これまでの説明において、熱源流体Hの流れの順序について、図示した各実施の形態では第1蒸発器E1、第2蒸発器E2、第2再生器G2、第1再生器G1の順に直列に流れることとすると共に、図示しない各変形例を上述したが、これまでに言及したもののほか、例えば以下のようにすることもできる。熱源流体Hが、第1再生器G1、第2再生器G2、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2の各機器に直列に流れるように構成する場合、最初に第1蒸発器E1又は第2再生器G2に流入するように構成するとよい。ここで、熱源流体Hが最初に第1蒸発器E1に流入する場合、第1蒸発器E1を流出した熱源流体Hのその後の流れ方は、説明の便宜のために符号のみで流れ順に示すと、(1)E2、G1、G2、(2)E2、G2、G1、(3)G1、E2、G2、(4)G2、E2、G1、(5)G1、G2、E2、(6)G2、G1、E2、のいずれかとなる。他方、熱源流体Hが最初に第2再生器G2に流入する場合、第2再生器G2を流出した熱源流体Hのその後の流れ方は、符号のみで流れ順に示すと、(7)G1、E1、E2、(8)G1、E2、E1、(9)E1、G1、E2、(10)E1、E2、G1、(11)E2、G1、E1、(12)E2、E1、G1、のいずれかとなる。熱源流体Hが上述のいずれかの態様で直列に流れるとき、加熱対象流体Wの流れの順序は、第1再生器G1及び第2再生器G2の順序にかかわらず第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2の順序のみに着目すると、熱源流体Hが第1蒸発器E1、第2蒸発器E2の順に流れる場合は加熱対象流体Wが第2吸収器A2、第1吸収器A1の順に流れ、熱源流体Hが第2蒸発器E2、第1蒸発器E1の順に流れる場合は加熱対象流体Wが第1吸収器A1、第2吸収器A2の順に流れるように構成するとよい。上述したいずれかの態様で構成すると、循環する吸収液Sの濃度差を大きくすることができて熱源流体Hから加熱対象流体Wに移動させる熱量を大きくすることができると共に流出する加熱対象流体Wの温度を高くすることができる。これに加えて、熱源流体Hが最初に第1蒸発器E1に流入する場合は、第1再生器G1及び第2再生器G2における吸収液Sの濃度の上昇を効果的に抑制することができて吸収液Sが過度に濃縮して結晶してしまうことを回避することができる。なお、冷却水Yは、いずれの態様であっても第1凝縮器C1、第2凝縮器C2の順に流れるが、代表的な運転条件の下では、熱源流体Hの流れの順序は、第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2の順序にかかわらず第1再生器G1及び第2再生器G2の順序のみに着目した場合、第2再生器G2、第1再生器G1の順に流れることとすると、出力をより増大させることができて好ましい。
以上の説明では、第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2が散布式であるとしたが、第1蒸発器E1及び/又は第2蒸発器E2を満液式としてもよい。第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2を満液式とする場合は、第1冷媒液散布ノズル22及び第2冷媒液散布ノズル26を省略することができる。同様に、第1再生器G1及び第2再生器G2が散布式であるとしたが、第1再生器G1及び/又は第2再生器G2を満液式としてもよい。第1再生器G1及び第2再生器G2を満液式とする場合は、第1希溶液散布ノズル32及び第2希溶液散布ノズル36を省略することができる。
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1A、1B、1C、1E、1Gにおいて、水平方向に隣接して配置された第1吸収蒸発缶胴10A(10B)及び第2吸収蒸発缶胴20A(20B)の下方に、水平方向に隣接して配置された第1再生凝縮缶胴30A(30B)及び第2再生凝縮缶胴40A(40B)が配置されていることとしたが、第1吸収蒸発缶胴10A(10B)及び第2吸収蒸発缶胴20A(20B)と第1再生凝縮缶胴30A(30B)及び第2再生凝縮缶胴40A(40B)とを水平方向に隣接して配置してもよい。つまり、第1吸収蒸発缶胴10A(10B)、第2吸収蒸発缶胴20A(20B)、第1再生凝縮缶胴30A(30B)、第2再生凝縮缶胴40A(40B)の4つの缶胴を水平方向に配列してもよい。このように構成すると、据え付け面積は増大するものの、高さを抑制することができ、例えば天井が低い地下室等の機械室に設置する場合に好適である。
あるいは、1つの吸収ヒートポンプの中で、吸収器と蒸発器とが水平方向に隣り合うようにして配置された第1吸収蒸発缶胴10及び第2吸収蒸発缶胴20と、再生器と凝縮器とが鉛直上下に配列された第1再生凝縮缶胴30A(30B)及び第2再生凝縮缶胴40A(40B)とを組み合わせて構成してもよく、これらを入れ替えて、吸収器と蒸発器とが鉛直上下に配列された第1吸収蒸発缶胴10A(10B)及び第2吸収蒸発缶胴20A(20B)と、再生器と凝縮器とが水平方向に隣り合うようにして配置された第1再生凝縮缶胴30及び第2再生凝縮缶胴40とを組み合わせて構成してもよい。
以上の説明では、吸収器及び蒸発器が、第1吸収器A1及び第2吸収器A2と第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2との2つずつが設けられているとしたが、1つずつであってもよい。つまり、第1吸収蒸発缶胴10(10A、10B)及び第2吸収蒸発缶胴20(20A、20B)のうちのいずれか一方を省略してもよい。また、以上の説明では、吸収蒸発缶胴(10(10A、10B)、20(20A、20B))及び再生凝縮缶胴(30(30A、30B)、40(40A、40B))をそれぞれ2組ずつ備えることとしたが、一方あるいは両方を3組以上備えることとしてもよい。
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1D、1E、1F、1Gにおいて、加熱対象流体Wは気泡ポンプ作用により気液分離器80から第1吸収器A1及び第2の吸収器A2へ供給されるとしたが、加熱対象流体液Wqを圧送するためのポンプを設けてもよい。加熱対象流体Wを圧送するためのポンプを設けると、気液分離器80を低い位置に設置できて、一層、高さを抑制した吸収ヒートポンプにすることができる。