以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、三段昇温型の吸収ヒートポンプである。吸収ヒートポンプ1は、本実施の形態では、比較的利用価値の低い低温(例えば80℃〜90℃程度)の排温水he、hgを熱源媒体として導入し、利用価値の高い被加熱水蒸気Wv(例えば、圧力が約0.2MPa(ゲージ圧)を超え、望ましくは0.8MPa(ゲージ圧)程度)を取り出すことができる、第二種吸収ヒートポンプである。吸収ヒートポンプ1は、主要構成機器として、高温吸収器10と、高温蒸発器20と、中温吸収器30と、中温蒸発器40と、低温吸収器50と、低温蒸発器60と、再生器70と、凝縮器80とを備えている。また、吸収ヒートポンプ1は、制御装置100を備えている。
なお、以下の説明においては、吸収液(「溶液」という場合もある)に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「高濃度溶液Sa」、「中濃度溶液Sb」、「低濃度溶液Sc」、「希溶液Sw」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「高温冷媒蒸気Va」、「中温冷媒蒸気Vb」、「低温冷媒蒸気Vc」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H2O)が用いられている。また、吸収ヒートポンプ1から外部に生産物(目的物)として被加熱水蒸気Wvを供給するように構成されている。被加熱水蒸気Wvは、被加熱水液Wqが蒸発したものであり、これらの性状を不問にするときは被加熱水Wということとする。本実施の形態では、被加熱水Wとして水(H2O)が用いられている。
高温吸収器10は、被加熱水Wの流路を構成する伝熱管11と、高濃度溶液Saを散布する高濃度溶液散布ノズル12とを、高温吸収器缶胴14の内部に有している。伝熱管11は被加熱流体流路に相当し、高濃度溶液散布ノズル12は吸収液供給部に相当し、高温吸収器缶胴14は吸収器缶胴に相当する。高濃度溶液散布ノズル12は、散布した高濃度溶液Saが伝熱管11に降りかかるように、伝熱管11の上方に配設されている。高温吸収器10は、高濃度溶液散布ノズル12から高濃度溶液Saが散布され、高濃度溶液Saが高温冷媒蒸気Vaを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、伝熱管11を流れる被加熱水Wが受熱して、被加熱水Wが加熱されるように構成されている。高温吸収器10において、伝熱管11の内部を流れる被加熱水Wは被加熱流体に相当する。高温吸収器10の下部には、中濃度溶液Sbが貯留される貯留部13が形成されている。中濃度溶液Sbは、高濃度溶液散布ノズル12から散布された高濃度溶液Saが高温冷媒蒸気Vaを吸収して、高濃度溶液Saから濃度が低下した吸収液Sである。伝熱管11は、中濃度溶液Sbに没入しないように、貯留部13よりも上方に配設されている。このようにすると、発生した吸収熱が伝熱管11内を流れる被加熱水Wに速やかに伝わり、吸収能力の回復を早めることができる。また、高温吸収器缶胴14は、設計運転圧力に余裕分を加えた圧力に耐え得る厚さになっている。高温吸収器缶胴14には、内部の圧力を検知する圧力検知器としての高温吸収器圧力計14Pが設けられている。
高温蒸発器20は、高温吸収器10に高温冷媒蒸気Vaを供給する構成部材である。高温蒸発器20は、冷媒液Vf及び高温冷媒蒸気Vaを収容する冷媒気液分離胴21と、高温冷媒液供給管22と、高温冷媒蒸気受入管24とを有している。高温冷媒液供給管22は、冷媒液Vfを中温吸収器30の加熱管31に導く流路を構成する管である。高温冷媒蒸気受入管24は、中温吸収器30の加熱管31で冷媒液Vfが加熱されて生成された高温冷媒蒸気Vaあるいは高温冷媒蒸気Vaと冷媒液Vfとの冷媒気液混相を冷媒気液分離胴21まで案内する流路を構成する管である。冷媒気液分離胴21内には、高温冷媒蒸気Va中に含まれる冷媒Vの液滴を衝突分離させるバッフル板(不図示)が設けられている。本実施の形態では、中温吸収器30の加熱管31の内面を高温蒸発器20の伝熱面としている。また、高温蒸発器20には冷媒液Vfを導入する冷媒液管82が接続されている。高温蒸発器20に接続された冷媒液管82には、流量調節弁83が配設されている。高温冷媒液供給管22は、冷媒気液分離胴21の冷媒液Vfが貯留されている部分に一端が接続され、他端が加熱管31の一端に接続されている。高温冷媒蒸気受入管24は、冷媒気液分離胴21に一端が接続され、他端が加熱管31の他端に接続されている。高温蒸発器20は、加熱管31の内部で冷媒液Vfが蒸気に変化して密度が大幅に減少するので、加熱管31を気泡ポンプとして機能させることとして、冷媒気液分離胴21内の冷媒液Vfを加熱管31に送るポンプを省略している。なお、冷媒気液分離胴21内の冷媒液Vfを加熱管31に送るポンプ(不図示)を高温冷媒液供給管22に配設してもよい。
高温蒸発器20と高温吸収器10とは、高温冷媒蒸気流路としての高温冷媒蒸気管29で接続されている。高温冷媒蒸気管29は、一方の端部が冷媒気液分離胴21の上部(典型的には頂部)に接続されており、他方の端部が高濃度溶液散布ノズル12よりも上方で高温吸収器缶胴14に接続されている。このような構成により、高温蒸発器20で生成された高温冷媒蒸気Vaを、高温冷媒蒸気管29を介して、高温吸収器10に供給することができるようになっている。また、高温吸収器10と高温蒸発器20とは、高温冷媒蒸気管29を介して連通していることにより、概ね同じ内部圧力となる。
中温吸収器30は、冷媒液Vf及び高温冷媒蒸気Vaの流路を構成する加熱管31と、中濃度溶液散布ノズル32とを、中温吸収器缶胴34の内部に有している。加熱管31は被加熱流体流路に相当し、中濃度溶液散布ノズル32は吸収液供給部に相当し、中温吸収器缶胴34は吸収器缶胴に相当する。加熱管31は、上述のように、一端に高温冷媒液供給管22が、他端に高温冷媒蒸気受入管24が、それぞれ接続されている。中濃度溶液散布ノズル32は、本実施の形態では、中濃度溶液Sbを散布する。中濃度溶液散布ノズル32は、散布した中濃度溶液Sbが加熱管31に降りかかるように、加熱管31の上方に配設されている。中濃度溶液散布ノズル32には、中濃度溶液Sbを内部に流す中濃度溶液管15の一端が接続されている。中温吸収器30は、中濃度溶液散布ノズル32から中濃度溶液Sbが散布され、中濃度溶液Sbが中温冷媒蒸気Vbを吸収する際に生じる吸収熱により、加熱管31を流れる冷媒液Vfを加熱して高温冷媒蒸気Vaを生成することができるように構成されている。中温吸収器30において、加熱管31の内部を流れる冷媒液Vf及び高温冷媒蒸気Vaは被加熱流体に相当する。中温吸収器30は、高温吸収器10よりも低い圧力(露点温度)で作動するように構成されており、高温吸収器10よりも作動温度が低くなっている。中温吸収器30の下部には、低濃度溶液Scが貯留される貯留部33が形成されている。低濃度溶液Scは、中濃度溶液散布ノズル32から散布された中濃度溶液Sbが中温冷媒蒸気Vbを吸収して濃度が低下した吸収液Sである。加熱管31は、貯留部33よりも上方に配設されている。また、中温吸収器缶胴34は、設計運転圧力に余裕分を加えた圧力に耐え得る厚さになっている。中温吸収器30の作動圧力は高温吸収器10の作動圧力よりも低いため、中温吸収器缶胴34は、高温吸収器缶胴14よりも厚さを薄くすることができる。中温吸収器缶胴34には、内部の圧力を検知する圧力検知器としての中温吸収器圧力計34Pが設けられている。
中温蒸発器40は、中温吸収器30に中温冷媒蒸気Vbを供給する構成部材である。中温蒸発器40は、冷媒液Vf及び中温冷媒蒸気Vbを収容する冷媒気液分離胴41と、中温冷媒液供給管42と、中温冷媒蒸気受入管44とを有している。中温冷媒液供給管42は、冷媒液Vfを低温吸収器50の加熱管51に導く流路を構成する管である。中温冷媒蒸気受入管44は、低温吸収器50の加熱管51で冷媒液Vfが加熱されて生成された中温冷媒蒸気Vbあるいは中温冷媒蒸気Vbと冷媒液Vfとの冷媒気液混相を冷媒気液分離胴41まで案内する流路を構成する管である。冷媒気液分離胴41は、高温蒸発器20の冷媒気液分離胴21と同様に構成されている。本実施の形態では、低温吸収器50の加熱管51の内面を中温蒸発器40の伝熱面としている。また、中温蒸発器40には冷媒液Vfを導入する冷媒液管84が接続されている。冷媒液管84は、冷媒液管82から分岐している。中温蒸発器40に接続された冷媒液管84には、流量調節弁85が配設されている。中温冷媒液供給管42は、冷媒気液分離胴41の冷媒液Vfが貯留されている部分に一端が接続され、他端が加熱管51の一端に接続されている。中温冷媒蒸気受入管44は、冷媒気液分離胴41に一端が接続され、他端が加熱管51の他端に接続されている。中温蒸発器40は、加熱管51の内部で冷媒液Vfが蒸気に変化して密度が大幅に減少するので、加熱管51を気泡ポンプとして機能させることとして、冷媒気液分離胴41内の冷媒液Vfを加熱管51に送るポンプを省略している。なお、冷媒気液分離胴41内の冷媒液Vfを加熱管51に送るポンプ(不図示)を中温冷媒液供給管42に配設してもよい。
中温蒸発器40と中温吸収器30とは、中温冷媒蒸気流路としての中温冷媒蒸気管49で接続されている。中温冷媒蒸気管49は、一方の端部が冷媒気液分離胴41の上部(典型的には頂部)に接続されており、他方の端部が中濃度溶液散布ノズル32よりも上方で中温吸収器缶胴34に接続されている。このような構成により、中温蒸発器40で生成された中温冷媒蒸気Vbを、中温冷媒蒸気管49を介して、中温吸収器30に供給することができるようになっている。また、中温吸収器30と中温蒸発器40とは、中温冷媒蒸気管49を介して連通していることにより、概ね同じ内部圧力となる。
低温吸収器50は、冷媒液Vf及び中温冷媒蒸気Vbの流路を構成する加熱管51と、低濃度溶液散布ノズル52とを、低温吸収器缶胴54の内部に有している。加熱管51は被加熱流体流路に相当し、低濃度溶液散布ノズル52は吸収液供給部に相当し、低温吸収器缶胴54は吸収器缶胴に相当する。加熱管51は、上述のように、一端に中温冷媒液供給管42が、他端に中温冷媒蒸気受入管44が、それぞれ接続されている。低濃度溶液散布ノズル52は、本実施の形態では、低濃度溶液Scを散布する。低濃度溶液散布ノズル52は、散布した低濃度溶液Scが加熱管51に降りかかるように、加熱管51の上方に配設されている。低濃度溶液散布ノズル52には、低濃度溶液Scを内部に流す低濃度溶液管35の一端が接続されている。低温吸収器50は、低濃度溶液散布ノズル52から低濃度溶液Scが散布され、低濃度溶液Scが低温冷媒蒸気Vcを吸収する際に生じる吸収熱により、加熱管51を流れる冷媒液Vfを加熱して中温冷媒蒸気Vbを生成することができるように構成されている。低温吸収器50において、加熱管51の内部を流れる冷媒液Vf及び中温冷媒蒸気Vbは被加熱流体に相当する。低温吸収器50は、中温吸収器30よりも低い圧力(露点温度)で作動するように構成されており、中温吸収器30よりも作動温度が低くなっている。低温吸収器50の下部には、希溶液Swが貯留される貯留部53が形成されている。希溶液Swは、低濃度溶液散布ノズル52から散布された吸収液S(本実施の形態では低濃度溶液Sc)が低温冷媒蒸気Vcを吸収して濃度が低下した吸収液Sである。希溶液Swは、高濃度溶液Sa及び中濃度溶液Sbと比較して、冷媒Vを多く含んでいる。加熱管51は、貯留部53よりも上方に配設されている。また、低温吸収器缶胴54は、設計運転圧力に余裕分を加えた圧力に耐え得る厚さになっている。低温吸収器50の作動圧力は中温吸収器30の作動圧力よりも低いため、低温吸収器缶胴54は、中温吸収器缶胴34よりも厚さを薄くすることができる。低温吸収器缶胴54には、内部の圧力を検知する圧力検知器としての低温吸収器圧力計54Pが設けられている。
低温蒸発器60は、蒸発器熱源流体としての蒸発器熱源温水heの流路を構成する熱源管61と、冷媒液Vfを散布する冷媒液散布ノズル62とを内部に有している。冷媒液散布ノズル62は、散布した冷媒液Vfが熱源管61に降りかかるように、熱源管61の上方に配設されている。低温蒸発器60には、冷媒液Vfを内部に流す冷媒液管86の一端が接続されている。冷媒液管86には、低温蒸発器60に導入する冷媒液Vfの流量を調節する流量調節弁87が配設されている。低温蒸発器60の下部(典型的には底部)には、低温蒸発器60の下部に貯留された冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル62へ導く低温冷媒液管65の一端が接続されている。低温冷媒液管65の他端は、冷媒液散布ノズル62に接続されている。低温冷媒液管65には、内部を流れる冷媒液Vfを圧送する低温冷媒液ポンプ66が配設されている。低温蒸発器60は、冷媒液散布ノズル62から冷媒液Vfが散布され、散布された冷媒液Vfが熱源管61内を流れる蒸発器熱源温水heの熱で蒸発して低温冷媒蒸気Vcが発生するように構成されている。蒸発器熱源温水heは、冷媒液Vfを加熱する加熱源となっている。熱源管61を流れた後の蒸発器熱源温水heを流す流路には、熱源管61を流れる蒸発器熱源温水heの流量を調節可能な蒸発器熱源温水弁64が設けられている。低温蒸発器60は、中温蒸発器40よりも低い圧力(露点温度)で作動するように構成されており、中温蒸発器40よりも作動温度が低くなっている。
低温吸収器50と低温蒸発器60とは、相互に連通している。低温吸収器50と低温蒸発器60とが連通することにより、低温蒸発器60で発生した低温冷媒蒸気Vcを低温吸収器50に供給することができるように構成されている。低温吸収器50と低温蒸発器60とは、典型的には、低濃度溶液散布ノズル52より上方及び冷媒液散布ノズル62より上方で連通している。また、低温吸収器50と低温蒸発器60とは、連通していることにより、概ね同じ内部圧力となる。
再生器70は、再生器熱源流体としての再生器熱源温水hgの流路を構成する熱源管71と、希溶液Swを散布する希溶液散布ノズル72とを有している。再生器70の熱源管71を流れる再生器熱源温水hgは、低温蒸発器60の熱源管61を流れる蒸発器熱源温水heと同じ温水であってもよく、その場合は、熱源管61を流れた後に熱源管71を流れるように配管(不図示)で接続されているとよい。各熱源管61、71に異なる熱源媒体が流れることとしてもよい。希溶液散布ノズル72は、散布した希溶液Swが熱源管71に降りかかるように、熱源管71の上方に配設されている。再生器70は、散布された希溶液Swが再生器熱源温水hgで加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した高濃度溶液Saが生成される。再生器熱源温水hgは、希溶液Swを加熱する加熱源となっている。再生器70は、生成された高濃度溶液Saが下部に貯留されるように構成されている。熱源管71を流れた後の再生器熱源温水hgを流す流路には、熱源管71を流れる再生器熱源温水hgの流量を調節可能な再生器熱源温水弁74が設けられている。
凝縮器80は、冷却媒体流路を形成する冷却水管81を有している。冷却水管81には、冷却媒体としての冷却水cが流れる。凝縮器80は、再生器70で発生した冷媒Vの蒸気である再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。冷却水cは、再生器冷媒蒸気Vgを冷却する冷却源となっている。冷却水管81は、再生器冷媒蒸気Vgを直接冷却することができるように、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮した冷媒液Vfに浸らないように配設されている。冷却水管81を流れた後の冷却水cを流す流路には、冷却水管81を流れる冷却水cの流量を調節可能な冷却水弁81vが設けられている。凝縮器80には、凝縮した冷媒液Vfを、高温蒸発器20、中温蒸発器40、及び低温蒸発器60に向けて送る冷媒液管88の一端が接続されている。冷媒液管88の他端は、高温蒸発器20に接続された冷媒液管82及び低温蒸発器60に接続された冷媒液管86に接続されており、凝縮器80内の冷媒液Vfを高温蒸発器20と中温蒸発器40と低温蒸発器60とに分配することができるように構成されている。冷媒液管88には、冷媒液Vfを圧送するための凝縮冷媒ポンプ89が配設されている。本実施の形態では、冷媒液管88及び凝縮冷媒ポンプ89並びに冷媒液管82、84、86で冷媒液搬送部を構成している。
再生器70と凝縮器80とは、相互に連通している。再生器70と凝縮器80とが連通することにより、再生器70で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器80に供給することができるように構成されている。再生器70と凝縮器80とは、上部の気相部で連通している。また、再生器70と凝縮器80とは、連通していることにより、概ね同じ内部圧力となる。また、再生器70の下部と凝縮器80の下部とは、冷媒液導入管78で接続されている。冷媒液導入管78は、凝縮器80側では冷媒液Vfが貯留される部分に端部が接続されており、再生器70側では缶胴を貫通して吸収液Sの液面よりも上方で端部が開口している。冷媒液導入管78には、流体の流通を遮断可能な冷媒液導入弁78vが配設されている。冷媒液導入管78と冷媒液導入弁78vとで冷媒液導入部を構成している。また、本実施の形態では、再生器70及び凝縮器80が、高温吸収器10、高温蒸発器20、中温吸収器30、中温蒸発器40、低温吸収器50、低温蒸発器60の下方に設けられている。
再生器70の高濃度溶液Saが貯留される部分と、高温吸収器10の高濃度溶液散布ノズル12とは、高濃度溶液管75で接続されている。高濃度溶液管75には、再生器70内の高濃度溶液Saを高濃度溶液散布ノズル12に圧送する高濃度溶液ポンプ76が配設されている。高濃度溶液管75及び高濃度溶液ポンプ76は、濃溶液搬送部の構成要素となっている。高温吸収器10の貯留部13と、中温吸収器30の中濃度溶液散布ノズル32とは、中濃度溶液管15で接続されている。中濃度溶液管15には、高温吸収器10内の中濃度溶液Sbを中温吸収器30に圧送する中濃度溶液ポンプ16が配設されている。中温吸収器30の貯留部33と、低温吸収器50の低濃度溶液散布ノズル52とは、低濃度溶液管35で接続されている。低濃度溶液管35には、中温吸収器30内の低濃度溶液Scを低温吸収器50に圧送する低濃度溶液ポンプ36が配設されている。低温吸収器50の貯留部53と、再生器70の希溶液散布ノズル72とは、希溶液管55で接続されている。
中濃度溶液管15及び高濃度溶液管75には、高温熱交換器18が配設されている。高温熱交換器18は、中濃度溶液管15を流れる中濃度溶液Sbと、高濃度溶液管75を流れる高濃度溶液Saとの間で熱交換を行わせる機器である。低濃度溶液管35及び高濃度溶液管75には、中温熱交換器38が配設されている。中温熱交換器38は、低濃度溶液管35を流れる低濃度溶液Scと、高濃度溶液管75を流れる高濃度溶液Saとの間で熱交換を行わせる機器である。希溶液管55及び高濃度溶液管75には、低温熱交換器58が配設されている。低温熱交換器58は、希溶液管55を流れる希溶液Swと、高濃度溶液管75を流れる高濃度溶液Saとの間で熱交換を行わせる機器である。
吸収ヒートポンプ1は、上述した主要構成機器のほか、高温吸収器10の伝熱管11を流れて加熱された被加熱水Wを被加熱水蒸気Wvと被加熱水液Wqとに分離する気液分離器90を備えている。気液分離器90の下部と高温吸収器10の伝熱管11の一端とは、被加熱水液Wqを伝熱管11に導く被加熱水液管92で接続されている。内部が気相部となる気液分離器90の側面と伝熱管11の他端とは、加熱された被加熱水Wを気液分離器90に導く加熱後被加熱水管94で接続されている。被加熱水液管92には、蒸気として系外に供給された分の被加熱水Wを補うための補給流体としての補給水Wsを系外から導入する補給水管95が接続されている。補給水管95には、気液分離器90に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ96が配設されている。また、気液分離器90には、被加熱水蒸気Wvを系外に供給する被加熱水蒸気供給管99が上部(典型的には頂部)に接続されている。被加熱水蒸気供給管99には、安全弁98が設けられている。なお、安全弁98は、被加熱水蒸気管99に代えて、気液分離器90の上部(典型的には頂部)に設けられていてもよい。気液分離器90は、伝熱管11内で被加熱水液Wqの一部が蒸発して被加熱水液Wqと被加熱水蒸気Wvとが混合した混合流体Wmを導入してもよく、被加熱水液Wqのまま気液分離器90に導いて減圧し一部を気化させて混合流体Wmとしたものを気液分離させるようにしてもよい。
制御装置100は、吸収ヒートポンプ1の作動を制御する。制御装置100は、中濃度溶液ポンプ16、低濃度溶液ポンプ36、低温冷媒液ポンプ66、高濃度溶液ポンプ76、凝縮冷媒ポンプ89、補給水ポンプ96とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、各ポンプの発停及び回転速度の調節をすることができるように構成されている。また、制御装置100は、高温吸収器圧力計14P、中温吸収器圧力計34P、低温吸収器圧力計54Pとそれぞれ信号ケーブルで接続されており、各圧力計14P、34P、54Pで検知された値を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置100は、蒸発器熱源温水弁64、再生器熱源温水弁74、冷却水弁81vとそれぞれ信号ケーブルで接続されており、各弁64、74、81vの開度を調節することができるように構成されている。また、制御装置100は、冷媒液導入弁78vと信号ケーブルで接続されており、冷媒液導入弁78vの開閉を制御することができるように構成されている。
引き続き図1を参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。吸収ヒートポンプ1の起動時及び定常運転時は、冷媒液導入弁78vは閉となっており、蒸発器熱源温水弁64及び再生器熱源温水弁74並びに各流量調節弁83、85、87は開となっている。まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器80では、再生器70で発生した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管81を流れる冷却水cで再生器冷媒蒸気Vgを冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、凝縮冷媒ポンプ89で高温蒸発器20、中温蒸発器40、及び低温蒸発器60に向けて圧送される。凝縮冷媒ポンプ89で圧送された冷媒液Vfは、冷媒液管88を流れ、冷媒液管82と冷媒液管86とに分流される。冷媒液管82を流れる冷媒液Vfは、途中で一部が冷媒液管84に流入し、残りはそのまま冷媒液管82を流れて高温冷媒液供給管22に導入される。冷媒液管84を流れる冷媒液Vfは、中温冷媒液供給管42に導入される。冷媒液管86を流れる冷媒液Vfは、低温蒸発器60に導入される。
低温蒸発器60に導入された冷媒液Vfは、低温冷媒液ポンプ66によって冷媒液散布ノズル62に圧送され、冷媒液散布ノズル62から熱源管61に向けて散布される。冷媒液散布ノズル62から散布された冷媒液Vfは、熱源管61内を流れる蒸発器熱源温水heによって加熱され蒸発して低温冷媒蒸気Vcとなる。低温蒸発器60で発生した低温冷媒蒸気Vcは、低温蒸発器60と連通する低温吸収器50へと移動する。他方、中温冷媒液供給管42に導入された冷媒液Vfは、気泡ポンプの作用によって低温吸収器50の加熱管51に流入する。加熱管51に流入した冷媒液Vfは、低温吸収器50において、低温蒸発器60から移動してきた低温冷媒蒸気Vcが低濃度溶液Scに吸収される際に発生する吸収熱により加熱され、この加熱により蒸発して中温冷媒蒸気Vbとなる。加熱管51内で発生した中温冷媒蒸気Vbは、中温冷媒蒸気受入管44を流れ、冷媒気液分離胴41に至る。冷媒気液分離胴41に流入した中温冷媒蒸気Vbは、中温冷媒蒸気管49を介して中温蒸発器40と連通する中温吸収器30へと移動する。また、高温冷媒液供給管22に導入された冷媒液Vfは、気泡ポンプの作用によって中温吸収器30の加熱管31に流入する。加熱管31に流入した冷媒液Vfは、中温吸収器30において、中温蒸発器40から移動してきた中温冷媒蒸気Vbが中濃度溶液Sbに吸収される際に発生する吸収熱により加熱され、この加熱により蒸発して高温冷媒蒸気Vaとなる。加熱管31内で発生した高温冷媒蒸気Vaは、高温冷媒蒸気受入管24を流れ、冷媒気液分離胴21に至る。冷媒気液分離胴21に流入した高温冷媒蒸気Vaは、高温冷媒蒸気管29を介して高温蒸発器20と連通する高温吸収器10へと移動する。
次に吸収ヒートポンプ1の吸収液側のサイクルを説明する。高温吸収器10では、高濃度溶液Saが高濃度溶液散布ノズル12から散布され、この散布された高濃度溶液Saが高温蒸発器20から移動してきた高温冷媒蒸気Vaを吸収する。高温冷媒蒸気Vaを吸収した高濃度溶液Saは、濃度が低下して中濃度溶液Sbとなる。高温吸収器10では、高濃度溶液Saが高温冷媒蒸気Vaを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、伝熱管11を流れる被加熱水液Wqが加熱される。ここで、被加熱水蒸気Wvを取り出すための気液分離器90まわりの作用について説明する。
気液分離器90には、系外から補給水Wsが補給水管95を介して導入される。補給水Wsは、補給水ポンプ96により補給水管95を圧送され、被加熱水液管92に導入される。被加熱水液管92に導入された補給水Wsは、被加熱水液Wqとして、気液分離器90の下部から流れてきた被加熱水液Wqと合流し、気泡ポンプの作用により、高温吸収器10の伝熱管11に流入する。伝熱管11に流入した被加熱水液Wqは、高温吸収器10における上述の吸収熱により加熱される。伝熱管11で加熱された被加熱水液Wqは、一部が蒸発して被加熱水蒸気Wvとなった混合流体Wmとして、あるいは温度が上昇した被加熱水液Wqとして、気液分離器90に向けて加熱後被加熱水管94を流れる。加熱後被加熱水管94を、温度が上昇した被加熱水液Wqが流れる場合、被加熱水液Wqは、気液分離器90に導入される際に、気液分離器90への導入部に設けた弁やオリフィス等の減圧装置(不図示)により減圧され、一部が蒸発して被加熱水蒸気Wvとなった混合流体Wmとして気液分離器90に導入される。気液分離器90に導入された混合流体Wmは、被加熱水液Wqと被加熱水蒸気Wvとが分離される。分離された被加熱水液Wqは、気液分離器90の下部に貯留され、再び高温吸収器10の伝熱管11に送られる。他方、分離された被加熱水蒸気Wvは、被加熱水蒸気供給管99に流出し、蒸気利用場所に供給される。本実施の形態では、0.8MPa(ゲージ圧)程度の被加熱水蒸気Wvが供給される。
再び吸収ヒートポンプ1の吸収液側のサイクルの説明に戻る。高温吸収器10で高温冷媒蒸気Vaを吸収した高濃度溶液Saは、濃度が低下して中濃度溶液Sbとなり、貯留部13に貯留される。貯留部13内の中濃度溶液Sbは、中濃度溶液ポンプ16の作動により中温吸収器30に向かって中濃度溶液管15を流れ、高温熱交換器18で高濃度溶液Saと熱交換して温度が低下した後に、中濃度溶液散布ノズル32に至る。このように、本実施の形態では、高温吸収器10内の吸収液Sを直接(他の吸収器を経由せずに)中温吸収器30に導入している。なお、高温吸収器10の内部圧力が中温吸収器30の内部圧力よりも高くなり、中濃度溶液ポンプ16が作動していなくても両者の内圧の差によって、高温吸収器10内の中濃度溶液Sbを中温吸収器30に搬送することができる場合は、中濃度溶液ポンプ16を止めるとよい。
中温吸収器30では、中濃度溶液Sbが中濃度溶液散布ノズル32から散布され、この散布された中濃度溶液Sbが中温蒸発器40から移動してきた中温冷媒蒸気Vbを吸収する。中温冷媒蒸気Vbを吸収した中濃度溶液Sbは、濃度が低下して低濃度溶液Scとなり、貯留部33に貯留される。中温吸収器30では、中濃度溶液Sbが中温冷媒蒸気Vbを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、前述したように、加熱管31を流れる冷媒液Vfが加熱される。貯留部33内の低濃度溶液Scは、低濃度溶液ポンプ36の作動により低温吸収器50に向かって低濃度溶液管35を流れ、中温熱交換器38で高濃度溶液Saと熱交換して温度が低下した後に、低濃度溶液散布ノズル52に至る。このように、本実施の形態では、高温吸収器10内の吸収液Sを、中温吸収器30を経由して間接的に低温吸収器50に導入している。なお、中温吸収器30の内部圧力が低温吸収器50の内部圧力よりも高くなり、低濃度溶液ポンプ36が作動していなくても両者の内圧の差によって中温吸収器30内の低濃度溶液Scを低温吸収器50に搬送することができる場合は、低濃度溶液ポンプ36を止めるとよい。
低温吸収器50では、低濃度溶液散布ノズル52に流入した低濃度溶液Scが加熱管51に向けて散布される。散布された低濃度溶液Scは、低温蒸発器60から移動してきた低温冷媒蒸気Vcを吸収する。低温冷媒蒸気Vcを吸収した低濃度溶液Scは、濃度が低下して希溶液Swとなる。低温吸収器50では、低濃度溶液Scが低温冷媒蒸気Vcを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、前述したように、加熱管51を流れる冷媒液Vfが加熱され、中温冷媒蒸気Vbが生成される。低温吸収器50内の希溶液Swは、重力により再生器70に向かって希溶液管55を流れる。この際、希溶液Swは、低温熱交換器58で高濃度溶液Saと熱交換して温度が低下した後に、再生器70に導入される。このように、本実施の形態では、高温吸収器10内の吸収液Sを、中温吸収器30及び低温吸収器50を経由して間接的に再生器70に導入している。
再生器70に送られた希溶液Swは、希溶液散布ノズル72から散布される。希溶液散布ノズル72から散布された希溶液Swは、熱源管71を流れる再生器熱源温水hg(本実施の形態では約80℃前後)によって加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して高濃度溶液Saとなり、再生器70の下部に貯留される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは、再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器80へと移動する。再生器70の下部に貯留された高濃度溶液Saは、高濃度溶液ポンプ76により、高濃度溶液管75を介して高温吸収器10の高濃度溶液散布ノズル12に圧送される。高濃度溶液管75を流れる高濃度溶液Saは、低温熱交換器58で希溶液Swと熱交換して温度が上昇し、中温熱交換器38で低濃度溶液Scと熱交換してさらに温度が上昇し、次いで高温熱交換器18で中濃度溶液Sbと熱交換してさらに温度が上昇してから高温吸収器10に流入し、高濃度溶液散布ノズル12から散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
上述のように吸収ヒートポンプ1が作動すると、蒸発器熱源温水he及び再生器熱源温水hgの導入により、また、吸収液Sが冷媒Vの蒸気を吸収して発生した吸収熱により、気液分離器90や各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力は上昇し、大気圧を超えるものもある。大気圧を超える缶胴は、圧力容器に該当し、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することが求められる。気液分離器90は、その内部と連通する被加熱水蒸気供給管99(又は気液分離器90の上部)に安全弁98が設けられているため、最高使用圧力を超えると安全弁98が開放され、最高使用圧力以下に保たれる。他方、各吸収器缶胴14、34、54は、吸収ヒートポンプ1の停止時に内圧が大気圧未満になるため、缶胴内部と連通する部分に安全弁を設けると、大気圧未満になったときに安全弁を介して内部に空気が侵入するおそれがあり、空気の混入に起因して出力が低下するおそれや缶胴内部の腐食が進行するおそれがある。そこで、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、缶胴内部と連通する部分に安全弁を設けなくても缶胴の内部が所定の圧力を超えることを抑制することができるように、以下の制御を行うこととしている。
すなわち、制御装置100は、吸収ヒートポンプ1の運転中、高温吸収器圧力計14P、中温吸収器圧力計34P、低温吸収器圧力計54Pで検知された圧力が、それぞれ個別に設定された所定の圧力以上となったか否かを判断している。所定の圧力は、例えば、高温吸収器缶胴14内は0.35MPa(ゲージ圧)、中温吸収器缶胴34内は0.1MPa(ゲージ圧)、低温吸収器缶胴54内は0.05MPa(ゲージ圧)とすることができる。各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力のいずれか1つでも所定の圧力以上となったら、制御装置100は、低温冷媒液ポンプ66及び凝縮冷媒ポンプ89を停止する。低温冷媒液ポンプ66を停止すると、冷媒液散布ノズル62からの冷媒液Vfの散布が停止するため、低温冷媒蒸気Vcの生成が止まり、低温吸収器50における吸収熱の発生が止まる。これにより、低温吸収器50内の圧力の上昇が抑制される。また、凝縮冷媒ポンプ89を停止すると、低温蒸発器60への冷媒液Vfの供給が止まると共に、中温冷媒液供給管42及び高温冷媒液供給管22への冷媒液Vfの供給も止まる。すると、中温蒸発器40における中温冷媒蒸気Vbの発生及び高温蒸発器20における高温冷媒蒸気Vaの発生が止まり、中温吸収器30における吸収熱の発生及び高温吸収器10における吸収熱の発生が止まる。これにより、中温吸収器30内の圧力の上昇及び高温吸収器10内の圧力の上昇が抑制される。そして、各吸収器10、30、50では、吸収熱の発生の停止後、時間の経過と共に温度が低下し、それに連れて内圧も低下していく。
このとき、本実施の形態では、高濃度溶液ポンプ76の運転を継続し、必要に応じて中濃度溶液ポンプ16及び/又は低濃度溶液ポンプ36の運転も継続している。換言すれば、本実施の形態では、各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力のいずれか1つでも所定の圧力以上となったときに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止しつつ、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を継続している。高温蒸発器20への冷媒液Vfの導入を停止しつつ、高温吸収器10への高濃度溶液Saの導入を継続すると、高温蒸発器20に残存する高温冷媒蒸気Vaが高温吸収器10に移動して高濃度溶液Saに吸収されるため、高温吸収器缶胴14及びこれに連通する冷媒気液分離胴21内の冷媒の蒸気の量が減少し、高温吸収器缶胴14内の圧力を比較的早く低下させることができる。同様に、中温吸収器30及び低温吸収器50への吸収液の導入を継続すると、中温吸収器缶胴34内の圧力及び低温吸収器缶胴54内の圧力を比較的早く低下させることができる。
図2(A)に、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止しつつ、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を継続した場合の、気液分離器90、高温吸収器缶胴14、中温吸収器缶胴34の内圧の変化の一例を示す。図2(A)に示すグラフは、縦軸に圧力、横軸に時間を取り、線図P90は気液分離器90の内圧を、線図P10は高温吸収器缶胴14の内圧を、線図P30は中温吸収器缶胴34の内圧を、それぞれ示している。図2(A)に示すグラフでは、中温吸収器缶胴34の内部圧力が徐々に上昇し、時間t1にて所定の圧力に達したので、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止した状況を示している。図2(A)に示す例では、時間t1で各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止してから、気液分離器90、高温吸収器缶胴14、及び中温吸収器缶胴34の内圧が速やかに低下していくのが分かる。
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1によれば、各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力のいずれか1つでも所定の圧力以上となったときに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止するので、安全弁を設けることなく各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力の上昇を抑制することができる。また、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止する一方で、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を継続するので、各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力を比較的早く低下させることができる。
以上の説明では、各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力の少なくとも1つが所定の圧力以上となったときに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止することとしたが、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止することに代えて、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を停止してもよい。各吸収器10、30、50への吸収液の導入を停止するには、高濃度溶液ポンプ76、中濃度溶液ポンプ16、及び低濃度溶液ポンプ36の運転を停止すればよい。これらのポンプ76、16、36を停止すると、高温吸収器10では、高濃度溶液散布ノズル12からの高濃度溶液Saの散布が停止するため、高濃度溶液Saによる高温冷媒蒸気Vaの吸収が止まり、高温吸収器10における吸収熱の発生が止まる。これにより、高温吸収器10内の圧力の上昇が抑制される。同様に、中温吸収器30では、中濃度溶液散布ノズル32からの中濃度溶液Sbの散布が停止して中温吸収器30における吸収熱の発生が止まり、低温吸収器50では、低濃度溶液散布ノズル52からの低濃度溶液Scの散布が停止して低温吸収器50における吸収熱の発生が止まる。これにより、中温吸収器30内の圧力の上昇及び低温吸収器50内の圧力の上昇が抑制される。そして、各吸収器10、30、50では、吸収熱の発生の停止後、時間の経過と共に温度が低下し、それに連れて内圧も低下していく。
図2(B)に、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を停止しつつ、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を継続した場合の、気液分離器90、高温吸収器缶胴14、中温吸収器缶胴34の内圧の変化の一例を示す。図2(B)に示すグラフは、図2(A)に示すグラフと同様、縦軸に圧力、横軸に時間を取り、線図P90、線図P10、線図P30は、それぞれ、気液分離器90、高温吸収器缶胴14、中温吸収器缶胴34の内圧を示している。図2(B)に示すグラフでは、中温吸収器缶胴34の内部圧力が徐々に上昇し、時間t2にて所定の圧力に達したので、各ポンプ76、16、36を停止することで各吸収器10、30、50への吸収液の導入を停止した状況を示している。図2(B)に示す例では、時間t2で各ポンプ76、16、36を停止してから、高温吸収器缶胴14及び中温吸収器缶胴34で一時的に内圧が上昇した後、気液分離器90、高温吸収器缶胴14、及び中温吸収器缶胴34の内圧が速やかに低下していくのが分かる。なお、各吸収器10、30、50への吸収液の導入を停止した際に高温吸収器缶胴14及び中温吸収器缶胴34で一時的に内圧が上昇するのは、各ポンプ76、16、36の停止後に、各吸収器缶胴14、34、54の内圧差により吸収器缶胴14、34、54の内部に残留する吸収液がしばらく流れたためである。
あるいは、各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力の少なくとも1つが所定の圧力以上となったときに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止することと、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を停止することとの一方を行うのではなく、これらの両方共行うこととしてもよい。さらに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入の停止及び/又は各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入の停止に重畳して、蒸発器熱源温水弁64及び/又は再生器熱源温水弁74及び/又は冷却水弁81vの開度を調節して低温蒸発器60への蒸発器熱源温水heの一部又は全部の導入及び/又は再生器70への再生器熱源温水hgの一部又は全部の導入及び/又は凝縮器80への冷却水cの一部又は全部の導入を停止してもよい。低温蒸発器60への蒸発器熱源温水heの一部又は全部の導入を停止すると、低温冷媒蒸気Vcの発生が抑制され、低温吸収器50における吸収熱の発生が抑制されて、各吸収器10、30、50の内圧の上昇の抑制に寄与することとなる。他方、再生器70への再生器熱源温水hgの一部又は全部の導入を停止すると、再生器70における吸収液Sの濃縮が抑制され、高温吸収器10における吸収熱の発生が抑制されて、各吸収器10、30、50の内圧の上昇の抑制に寄与することとなる。また、凝縮器80への冷却水cの一部又は全部の導入を停止すると、凝縮器80から放出される熱量が減少し、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮する露点が上昇するため、凝縮器80に連通する再生器70において吸収液Sの沸騰温度が上昇し再生器熱源温水hgによる吸収液Sへの加熱量が減少して吸収液Sの濃縮が抑制され、高温吸収器10における吸収熱の発生が抑制されて、各吸収器10、30、50の内圧の上昇の抑制に寄与することとなる。
また、各圧力計14P、34P、54Pで検知された圧力の少なくとも1つが所定の圧力以上となったときに、各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入の停止及び/又は各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入の停止に重畳して、あるいはこれらに加えて低温蒸発器60への蒸発器熱源温水heの一部又は全部の導入の停止及び/又は再生器70への再生器熱源温水hgの一部又は全部の導入の停止及び/又は凝縮器80への冷却水cの一部又は全部の導入の停止に重畳して、冷媒液導入弁78vを開にして凝縮器80内の冷媒液Vfを冷媒液導入管78を介して再生器70に導入させてもよい。凝縮器80内の冷媒液Vfを再生器70に導入させると、吸収液Sが冷媒Vの蒸気を吸収しなくなって濃度が最も高くなった再生器70内の吸収液Sを希釈することができ、吸収液Sが結晶することを防ぐことができる。各蒸発器20、40、60への冷媒液Vfの導入を停止すると、各吸収器10、30、50に冷媒Vの蒸気が流入しなくなり、各吸収器10、30、50の出口の吸収液Sの濃度が濃いままとなって、この吸収液Sが再生器70に流入することで、再生器70内の吸収液Sの濃度が高くなる。あるいは、各吸収器10、30、50への吸収液Sの導入を停止すると、再生器70内の吸収液Sの流動も停止し、再生器70内の吸収液Sは再生器熱源温水hgの残留熱で濃縮され、再生器70内の吸収液Sの濃度が高くなる。冷媒液導入弁78vを開にして凝縮器80内の冷媒液Vfを再生器70に導入させることで、再生器70内の吸収液Sの結晶を抑制することができる。なお、吸収液Sの結晶のおそれがない等の理由により、凝縮器80内の冷媒液Vfを再生器70に導入させることを行わない場合は、冷媒液導入管78及び冷媒液導入弁78vを省略してもよい。
以上の説明では、各圧力計14P、34P、54Pによって各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力を直接検知することとしたが、高温吸収器10と高温蒸発器20、中温吸収器30と中温蒸発器40、低温吸収器50と低温蒸発器60は、それぞれ連通しているので、各蒸発器20、40、60の内部圧力を検知して間接的に各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力を検知することとしてもよく、各蒸発器20、40、60において冷媒の飽和温度を検知してこれを圧力に換算することで間接的に各吸収器缶胴14、34、54の内部圧力を検知することとしてもよい。
以上の説明では、高濃度溶液Saを再生器70から高温吸収器10に送り、その後、中温吸収器30、低温吸収器50へと吸収液を直列に送ることとしたが、再生器70から各吸収器10、30、50へ吸収液を並列に送ることとしてもよい。
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1が三段昇温型であるとしたが、二段昇温型や単段昇温型であってもよい。二段昇温型とする場合、三段昇温型の吸収ヒートポンプ1の構成から中温吸収器30及び中温蒸発器40まわりの構成を省略し、高温蒸発器20の高温冷媒液供給管22及び高温冷媒蒸気受入管24を低温吸収器50の加熱管51に接続し、中濃度溶液管15を低濃度溶液散布ノズル52に接続して高温吸収器10内の中濃度溶液Sbを直接(他の吸収器を経由せずに)低温吸収器50に導入するように構成すればよい。単段昇温型とする場合、上述の二段昇温型の吸収ヒートポンプの構成からさらに高温蒸発器20及び低温吸収器50を省略し、低温蒸発器60で発生した低温冷媒蒸気Vcが高温吸収器10内に導入されるように構成し、中濃度溶液管15を再生器70内の希溶液散布ノズル72に接続して高温吸収器10内の中濃度溶液Sbを直接(他の吸収器を経由せずに)再生器70に導入するように構成すればよい。