以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る高温再生器32Aの構成を説明する。図1は、高温再生器32Aの縦断面図である。高温再生器32Aは貫流式再生器であり、冷媒を吸収した溶液である希溶液Swを導入する下部管寄せ14と、下部管寄せ14の希溶液Swを上方に向けて流す複数の液管10と、液管10内で希溶液Swが濃縮した高温濃溶液Saと冷媒蒸気としての高温冷媒蒸気Vaとの混合流体Fmとなったものを収集する上部管寄せ15と、液管10内の希溶液Swを加熱する燃焼ガスを生成する加熱装置としてのバーナー16と、これらの部材を収容する外容器13と、高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとを分離して高温濃溶液Saを一旦貯留する溶液貯留部としての気液分離器22と、気液分離器22と連通する液面制御ケース24と、制御装置65とを備えている。以下の説明では、冷媒を吸収する溶液を、濃度によって「希溶液Sw」、「高温濃溶液Sa」等と区別するが、特に区別しない場合は総称して「溶液S」と表現する。
下部管寄せ14は、希溶液Swを複数の液管10に分配する部材である。下部管寄せ14は、典型的には、水平断面が円環状に、鉛直断面が矩形状に形成されている。なお、水平断面は円形以外の多角形状にひとまわりしているものであってもよく、環状につながれずにC字状に形成されていてもよい。鉛直断面は矩形以外の円形あるいは楕円形であってもよい。また、下部管寄せ14の中心部に形成された空洞部分には、耐火材17が充填されている。下部管寄せ14には、希溶液Swを導入する希溶液管45と、気液分離器22から導出された高温濃溶液Saを導入する戻り管25とが接続されている。
下部管寄せ14には、複数の液管10がほぼ鉛直に配設されている。液管10がほぼ鉛直とは、液管10の軸がほぼ鉛直の状態である。ほぼ鉛直は、液管10内で加熱されて希溶液Swから蒸発して生じた高温冷媒蒸気Vaが高温濃溶液Saと共に円滑に排出される程度であればよい。液管10の長さは、高温再生器32Aの高さに制限があるときは、その高さに納まるように決定されると共に、内部を流れる希溶液Swに与える熱量によって希溶液Sw中から高温冷媒蒸気Vaを発生させて高温濃溶液Saを生成することができるように、高温再生器32Aに供給される希溶液Swの流量、液管10の本数及び径との関係を総合的に勘案して決定される。また、複数の液管10は、下部管寄せ14とほぼ同心円上にほぼ等間隔に配設されている。下部管寄せ14と同心円上にほぼ等間隔に配設された複数の液管10の内側には、燃料を燃焼して燃焼ガスGbを生成する燃焼室20が形成されている。
複数の液管10の頂部には、上部管寄せ15が接続されている。上部管寄せ15は、下部管寄せ14と同様に、典型的には、水平断面が円環状に、鉛直断面が矩形状に形成されている。上部管寄せ15には、高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとの混合流体Fmを気液分離器22に導く混合流体管21が接続されている。上部管寄せ15の中心部に形成された空洞部分には、バーナー16が配設されている。バーナー16は、制御装置65からの信号を受信して点火及び停止することができるように構成されている。
外容器13は、燃焼室20で生成された燃焼ガスGbを外部に漏らさないガスシール構造となっており、典型的には、円筒形状を有している。外容器13は、下部管寄せ14及び上部管寄せ15とほぼ同心円となっており、下部管寄せ14及び上部管寄せ15を嵌め込むことができるような内径を有している。外容器13には、燃焼ガスGbを排出する煙道18が接続されている。
気液分離器22は、典型的には、円筒状に形成されているが、四角柱形状や多角形形状、その他の形状であってもよい。気液分離器22は、鉛直方向に長手方向がくるようにして上部管寄せ15に近接した位置に配設されている。気液分離器22は、混合流体管21で上部管寄せ15と接続されている。気液分離器22内には、混合流体管21を介して導入した混合流体Fmを高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとに分離する気液分離板としてのバッフル板22aが設けられている。バッフル板22aは、気液分離器22の上部を2分割するように気液分離器22の天板に取り付けられている。バッフル板22aによって分割された空間の、混合流体管21が接続されていない方の領域の気液分離器22の上面には、分離した高温冷媒蒸気Vaを導出する高温冷媒蒸気導出口22eが形成されており、高温冷媒蒸気導出口22eには冷媒蒸気管57が接続されている。冷媒蒸気管57には、高温冷媒蒸気Vaの温度を検出する温度センサ27が配設されている。典型的には、温度センサ27は高温冷媒蒸気導出口22eの近傍に配設されている。この位置に配設されていると、飽和蒸気の高温冷媒蒸気Va温度を検出することができ(すなわち高温冷媒蒸気Vaの飽和温度を検出することができ)、高温再生器32Aの圧力を推定することができる。温度センサ27は、制御装置65と信号ケーブルで接続されており、制御装置65に検出した温度を信号として送信することができるように構成されている。高温冷媒蒸気導出口22eは、気液分離器22の上部側面に形成されていてもよいが、冷媒蒸気管57に溶液が混入するのを防ぐようにする観点から、気液分離器22の上方に形成されていることが好ましい。
また、気液分離器22は、分離した高温濃溶液Saを下部に貯留する溶液貯留部として機能する。気液分離器22の底面には一旦貯留した高温濃溶液Saを導出する高温濃溶液導出口22nが形成されており、高温濃溶液導出口22nには高温濃溶液管46が接続されている。高温濃溶液導出口22nは、典型的には気液分離器22の底面に形成されているが、気液分離器22の下部側面に形成されていてもよい。さらに気液分離器22の底面の別の部分には、分離した高温濃溶液Saのうちの余剰分を下部管寄せ14に戻す戻り管25が接続されている。本実施の形態では、戻り管25により下部管寄せ14と気液分離器22とが連絡している。下部管寄せ14と気液分離器22とが連絡していると、気液分離器22内に貯留した高温濃溶液Saを下部管寄せ14に還流でき、気液分離器22内の液位の上昇を抑制して、気液分離器22から導出される高温冷媒蒸気Vaに同伴する溶液量を少なくすることができる。
液面制御ケース24は、典型的には、円筒状に形成されているが、四角柱形状や多角形形状、その他の形状であってもよい。液面制御ケース24の内部には、損傷防止液位Lpを検出する損傷防止液位検出器としての損傷防止電極棒23pと、低液位Lsを検出する低液位検出器としての低液位電極棒23sと、高液位Ltを検出する高液位検出手段としての高液位電極棒23tとが鉛直方向に延びるようにして収納されている。以下、損傷防止電極棒23p、低液位電極棒23s、高液位電極棒23tを総称して「液位検出電極棒23」ということもある。液位検出電極棒23は、それぞれ液面制御ケース24の天板に取り付けられている。損傷防止電極棒23pの下端は損傷防止液位Lpに位置している。低液位電極棒23sの下端は低液位Lsに位置している。高液位電極棒23tの下端は高液位Ltに位置している。なお、液面制御ケース24には、必要に応じて、高温濃溶液Saを介して液位検出電極棒23と電気回路を形成するコモン電極棒(不図示)も配設されるが、以降の説明では、コモン電極棒についての言及を特に行わない。液位検出電極棒23は、制御装置65と信号ケーブルで接続されており、気液分離器22の高液位信号及び低液位信号並びに損傷防止液位信号を制御装置65に送信することができるように構成されている。
ここで、損傷防止液位Lpは、液管10内に溶液(希溶液Swから高温濃溶液Saに移行する溶液)がない状態で液管10を加熱することによって液管10が過熱されることによる損傷を防ぐために最低限液管10内に溶液を満たしておくべき液位に余裕分(高温再生器32Aが停止動作を開始してから停止するまでの間に液位が降下する分)だけ上方に設定した液管10内の液位が気液分離器22に現れる液位である。余裕分は適宜決定することができる。高液位Ltは、本実施の形態では下部管寄せ14に供給される希溶液Swの流量を減少させる信号を溶液ポンプ48に送信する液位である。低液位Lsは、本実施の形態では下部管寄せ14に供給される希溶液Swの流量を増加させる信号を溶液ポンプ48に送信する液位である。
液面制御ケース24の上部は、気液分離器22の上部側面と上部連通管29Aで接続されている。また、液面制御ケース24は、損傷防止液位Lpより下方の部分と戻り管25とが下部連通管29Cで接続されている。また、液面制御ケース24は、上部連通管29Aと下部連通管29Cとの間に配設された中間連通管29Bで、戻り管25と接続されている。このように、液面制御ケース24が、上部連通管29Aと中間連通管29Bと下部連通管29Cとで気液分離器22あるいは戻り管25と接続されていることにより、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位(貯留液位Lx)及び液管10内の溶液の液位が液面制御ケース24内に正しく現れることになる。制御装置65については後述する。
次に図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収冷凍機30の構成を説明する。図2は吸収冷凍機30の系統図である。吸収冷凍機30は、三重効用吸収冷凍機であり、被冷却媒体としての冷水pの熱で冷媒液Vfを蒸発させて冷媒蒸気Veを発生させることにより冷水pを冷却する蒸発器34と、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdで吸収する吸収器31と、吸収器31で冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを導入し、希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した高温濃溶液Saを生成する第1の実施の形態として上述した高温再生器32Aと、吸収器31から希溶液Swを導入し、高温再生器32Aで発生した高温冷媒蒸気Vaで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した中温濃溶液Smを生成する中温再生器32Mと、同じく吸収器31から希溶液Swを導入し、主に中温再生器32Mで発生した中温冷媒蒸気Vmで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した低温濃溶液Sbを生成する低温再生器32Bと、低温再生器32Bで希溶液Swから蒸発した低温冷媒蒸気Vbを冷却して凝縮させ、蒸発器34に送る冷媒液Vfを生成する凝縮器33と、吸収冷凍機30を制御する制御装置65とを備えている。吸収冷凍機30で使用される冷媒及び溶液は、典型的には、冷媒として水が、溶液として臭化リチウム(LiBr)が用いられるが、これに限らず他の冷媒、溶液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
蒸発器34には、冷却する対象である冷水pを流す冷水管34aが配設されている。冷水管34aは、エアハンドリングユニット等の冷水利用機器(不図示)と配管52を介して接続されている。また、蒸発器34には、冷媒液Vfを冷水管34aに向けて散布するための冷媒液散布ノズル34bが冷水管34aの上方に配設されている。蒸発器34の下部には、導入した冷媒液Vfを貯留する貯留部34cが形成されている。
吸収器31には、混合濃溶液Sdで冷媒蒸気Veを吸収した際に発生する吸収熱を奪う冷却水qを流す冷却水管31aが内部に配設されている。冷却水管31aは、凝縮器33内の冷却水管33aと配管53を介して、及び冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。また、吸収器31には、混合濃溶液Sdを冷却水管31aに向けて散布する濃溶液散布ノズル31bが冷却水管31aの上方に配設されている。吸収器31は、冷却水管31aの下方に、冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを貯留する貯留部31cが形成されている。
吸収器31と蒸発器34とは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁31dが設けられている。吸収器31と蒸発器34とは仕切壁31dの上部で連通しており、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを吸収器31に移動させることができるように構成されている。缶胴外側の蒸発器34側には、貯留部34cに貯留されている冷媒液Vfを上部の冷媒液散布ノズル34bに導く循環冷媒管51が配設されている。循環冷媒管51には、貯留部34cに貯留している冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル34bに圧送する冷媒ポンプ39が配設されている。
吸収器31の底部には、貯留部31cの希溶液Swを高温再生器32Aに導く希溶液管45と、中温再生器32M及び低温再生器32Bに導く希溶液管55が接続されている。希溶液管45には、希溶液Swを高温再生器32Aに圧送する高温溶液ポンプ48が配設されている。希溶液管55には、希溶液Swを中温再生器32M及び低温再生器32Bに圧送する中温溶液ポンプ38が配設されている。高温溶液ポンプ48及び中温溶液ポンプ38は、典型的にはインバータ(不図示)により、回転速度を調節することが可能なように構成されており、冷凍負荷に応じた流量の希溶液Swを圧送することができるように構成されている。すなわち、高温溶液ポンプ48及び中温溶液ポンプ38は、吐出流量が調節可能に構成されている。なお、中温溶液ポンプ38とは別に、吸収器31から低温再生器32Bへ希溶液Swを圧送する溶液ポンプを設けてもよい。
高温溶液ポンプ48の下流側の希溶液管45には、希溶液Swと高温濃溶液Saとの間で熱交換を行わせる高温溶液熱交換器37が配設されている。高温溶液熱交換器37には、また、高温濃溶液Saを流す濃溶液管46が接続されている。高温溶液熱交換器37は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管45は、高温再生器32Aに接続されている。上述のように、高温再生器32Aには、高温濃溶液管46が接続されている。また、高温再生器32Aには、発生した高温冷媒蒸気Vaを流す冷媒蒸気管57が接続されている。高温再生器32Aへの希溶液管45、高温濃溶液管46、冷媒蒸気管57の具体的な接続位置は既に述べている(図1参照)のでここでは省略する。
中温溶液ポンプ38の下流側の希溶液管55には、希溶液Swと混合濃溶液Scとの間で熱交換を行わせる低温溶液熱交換器36が配設されている。低温溶液熱交換器36には、また、混合濃溶液Scを流す濃溶液管56が接続されている。低温溶液熱交換器36は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管55は、低温溶液熱交換器36の下流側で、中温再生器32Mに接続される希溶液管55Aと、低温再生器32Bに接続される希溶液管55Bとに分岐している。希溶液管55Aには、希溶液Swと中温濃溶液Smとの間で熱交換を行わせる中温溶液熱交換器35が配設されている。中温溶液熱交換器35には、また、中温濃溶液Smを流す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温溶液熱交換器35は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
中温再生器32Mには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる高温冷媒蒸気Vaを流す加熱蒸気管32Maが配設されている。加熱蒸気管32Maは、一端が冷媒蒸気管57に接続されている。他端は、凝縮冷媒管57Dに接続されている。中温再生器32Mには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Maに向けて散布する希溶液散布ノズル32Mbが配設されている。希溶液散布ノズル32Mbは、希溶液管55Aに接続されている。中温再生器32Mの底部には、温度が上昇した中温濃溶液Smを通す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温濃溶液管56Aは、中温溶液熱交換器35を経由して低温濃溶液管56Bに接続されている。また、中温再生器32Mには、発生した中温冷媒蒸気Vmを流す冷媒蒸気管58が接続されている。冷媒蒸気管58には、上述の凝縮冷媒管57Dが接続されている。
低温再生器32Bには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる混合冷媒蒸気Vnを流す加熱蒸気管32Baが配設されている。加熱蒸気管32Baは、一端が冷媒蒸気管58に接続されている。他端は、凝縮冷媒管59に接続されている。凝縮冷媒管59は、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮した冷媒液Vdを凝縮器33へと導く配管である。低温再生器32Bには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Baに向けて散布する希溶液散布ノズル32Bbが配設されている。希溶液散布ノズル32Bbは、希溶液管55Bに接続されている。
凝縮器33には、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを冷却するための冷却水qを流す冷却水管33aが配設されている。冷却水管33aは、一端が吸収器31内の冷却水管31aと配管53を介して、他端が冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。
凝縮器33と低温再生器32Bとは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁33dが設けられている。凝縮器33と低温再生器32Bとは仕切壁33dの上部で連通しており、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを凝縮器33に移動させることができるように構成されている。凝縮器33と低温再生器32Bとが形成された缶胴は、吸収器31と蒸発器34とが形成された缶胴よりも上方に配設されており、低温再生器32B内の低温濃溶液Sbを吸収器31に、凝縮器33内の冷媒液Vfを蒸発器34に、それぞれ重力によって送液することができるように構成されている。
低温再生器32Bの底部には、濃度が上昇した低温濃溶液Sbを通す低温濃溶液管56Bが接続されている。低温濃溶液管56Bには中温濃溶液管56Aが接続されて濃溶液管56となっている。濃溶液管56は、低温溶液熱交換器36を経由して濃溶液管66に接続されている。濃溶液管66は、濃溶液散布ノズル31bに接続されている。凝縮器33の底部には、冷媒液Vfを蒸発器34に向けて導出する冷媒液管60が接続されている。冷媒液Vfは、低温冷媒蒸気Vbが凝縮した冷媒液Vcと、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮し、凝縮器33で冷却された冷媒液Vdとが混合した冷媒液である。
制御装置65は、高液位電極棒23t(図1参照)から高液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が高液位Ltに至ったことを検出したときに、高温溶液ポンプ48に信号を送信して回転数(rpm)を減少させる。これにより、下部管寄せ14(図1参照)に導入される希溶液Swが減少する。また、制御装置65は、低液位電極棒23s(図1参照)から低液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が低液位Lsに至ったことを検出したときに、高温溶液ポンプ48に信号を送信して回転数(rpm)を増加させる。これにより、下部管寄せ14(図1参照)に導入される希溶液Swが増加する。また、制御装置65は、損傷防止電極棒23p(図1参照)から損傷防止液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が戻り管25内の損傷防止液位Lpまで降下したことを検出したときに、バーナー16(図1参照)に信号を送信してバーナー16(図1参照)における燃焼を停止させ、液管10(図1参照)の加熱を停止させる。また、制御装置65は、温度センサ27から温度信号を受信して高温冷媒蒸気Vaの温度を検出する。制御装置65には、飽和蒸気の温度と圧力との関係がテーブルとして記憶されており、温度センサ27から受信した温度信号を参照して高温再生器32Aの圧力を把握することができるように構成されている。また、制御装置65は、吸収冷凍機30の運転負荷に応じて高温溶液ポンプ48及び中温溶液ポンプ38の回転数(rpm)を調節する他、吸収冷凍機30の運転を制御する。高温溶液ポンプ48の制御については、後述する作用の説明の中で詳述する。
引き続き図1及び図2を参照して高温再生器32A及び吸収冷凍機30の作用を説明する。なお、高温再生器32Aの作用は、吸収冷凍機30の作用の説明の一環として説明する。まず図2を参照して吸収冷凍機30の冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器33では、低温再生器32Bで蒸発した低温冷媒蒸気Vbを受け入れて、冷却塔(不図示)から供給された、冷却水管33aを流れる冷却水qで冷却して凝縮し、冷媒液Vcとする。凝縮した冷媒液Vcは、冷媒液Vdと混合され冷媒液Vfとなって蒸発器34へと送られ、貯留部34cに冷媒液Vfとして貯留される。貯留部34cに貯留された冷媒液Vfは、冷媒ポンプ39により冷媒液散布ノズル34bに送液される。蒸発器34の冷媒液Vfが冷媒液散布ノズル34bから冷水管34aに散布されると、冷媒液Vfは冷水管34a内の冷水pから熱を受けて蒸発する一方、冷水pは冷やされる。冷やされた冷水pは冷熱を利用する場所(不図示)に送られて使われる。他方、蒸発器34で蒸発した冷媒液Vfは冷媒蒸気Veとなって、連通している吸収器31へと移動する。
次に吸収冷凍機30の溶液側のサイクルを説明する。吸収器31では、高濃度の混合濃溶液Sdが濃溶液散布ノズル31bから散布され、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdが吸収して希溶液Swとなる。希溶液Swは、貯留部31cに貯留される。混合濃溶液Sdが冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱は、冷却水管31aを流れる冷却水qによって除去される。貯留部31cの希溶液Swは、高温溶液ポンプ48で高温再生器32Aへ、中温溶液ポンプ38で中温再生器32M及び低温再生器32Bへ、それぞれ圧送される。なお、貯留部31cに溜まった溶液を溶液循環ポンプ(不図示)により循環させて冷却水管31aに散布する構成としてもよい。このようにすると、冷却水管31aを溶液で十分に濡らすことができ、冷却水管31aに接触する溶液の偏りを防止することができる。また、中温溶液ポンプ38が溶液循環ポンプを兼ねるように構成してもよい。この場合は、中温溶液ポンプ38と低温溶液熱交換器36との間の希溶液管55から配管を分岐して濃溶液散布ノズル31bに接続するとよい。
高温溶液ポンプ48で圧送されて希溶液管45を流れる希溶液Swは、高温溶液熱交換器37で高温再生器32Aから導出された高温濃溶液Saと熱交換して温度が上昇した後に高温再生器32Aへと導入される。
ここで図1を参照して、高温再生器32Aの作用を説明する。希溶液管45を流れて高温再生器32Aへと導入された希溶液Swは、下部管寄せ14に流入する。下部管寄せ14に流入した希溶液Swは、各液管10の下部に達し、高温溶液ポンプ48の圧力により複数の液管10内を上昇して上部管寄せ15へと向かう。希溶液Swは、各液管10を上昇する過程でバーナー16の火炎及び燃焼ガスGbにより加熱され、冷媒が蒸発して高温冷媒蒸気Vaが発生し、溶液自体の濃度は上昇して高温濃溶液Saとなる。希溶液Swから濃度が上昇した高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとは、混合流体Fmとして各液管10から上部管寄せ15に流入して収集され、混合流体管21を介して気液分離器22に流入される。
気液分離器22に流入した混合流体Fmは、バッフル板22aに衝突後にバッフル板22aの面に案内されて下方に流れる際に高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとに分離され、高温冷媒蒸気Vaはバッフル板22aの下端を反転して上方に移動し、高温濃溶液Saは気液分離器22の下部に溜まる。気液分離器22の上方に移動した高温冷媒蒸気Vaは、高温冷媒蒸気導出口22eから導出され、冷媒蒸気管57を中温再生器32M(図2参照)に向かって流れる。他方、気液分離器22の下部に溜まった高温濃溶液Saは、高温濃溶液導出口22nから導出され、高温濃溶液管46を吸収器31(図2参照)に向かって流れる。また、気液分離器22の下部に溜まった高温濃溶液Saの余剰分が、戻り管25を流れて下部管寄せ14に還流する。
このとき、気液分離器22と連通する液面制御ケース24にも高温濃溶液Saが流入する。液面制御ケース24の上部が気液分離器22の気相部と上部連通管29Aで接続されているため、液面制御ケース24の気相部と気液分離器22の気相部とがほぼ等しい圧力となり、液面制御ケース24内には気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が現れる。また、液面制御ケース24は中間連通管29B及び下部連通管29Cで戻り管25と接続されていて、中間連通管29Bは低液位Lsより下位にあって高温濃溶液Saで満たされているため、戻り管25を流通する高温濃溶液Saの一部は中間連通管29B及び下部連通管29Cをバイパスして液面制御ケース24を流通する。これによって、液面制御ケース24内の高温濃溶液Saの液位は、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が正しく反映されることとなる。そして、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が正しく反映される液面制御ケース24内に液位検出電極棒23が設けられているので、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位を正確に検出することができる。
高温再生器32Aは、その運転中、空焚きや溶液溢れ等の招来を回避するように、制御装置65が溶液ポンプ48の吐出量を調節することにより適正な溶液の液位が維持される。本実施の形態の高温再生器32Aにおける適正な液位は、気液分離器22内の高温濃溶液Saの貯留液位Lxが低液位Lsと高液位Ltとの間に位置する液位である。高温再生器32Aが適正な貯留液位Lxを維持するために、上述のように、制御装置65は、貯留液位Lxが高液位Lt以上になると溶液ポンプ48の吐出流量(周波数あるいは回転数(rpm))を減らす流量調節信号を送信し、逆に貯留液位Lxが低液位Ls以下になると溶液ポンプ48の吐出流量(周波数あるいは回転数(rpm))を増やす流量調節信号を送信する。なお、吸収冷凍機30(図2参照)内の溶液Sの循環流量は、負荷の変動に伴う高温再生器32Aの内圧の変動が1つの要因となって変動する。本実施の形態では、高温冷媒蒸気Va(飽和蒸気と見ることができる)の温度を検出して高温再生器32Aの圧力を推定しており、高温冷媒蒸気Vaの温度と溶液ポンプ48の吐出流量とは、以下のような関係がある。
図3は、高温冷媒蒸気Vaの温度(高温再生器冷媒蒸気飽和温度)と溶液ポンプ48の吐出流量(溶液ポンプ運転周波数)との関係を示すグラフである。高温冷媒蒸気Vaの温度の上昇、すなわち高温再生器32Aの内部圧力が上昇するのに伴って溶液Sの循環流量が増加するため、制御装置65は、図3の曲線Aに示すように高温冷媒蒸気Vaの温度が上昇するのに応じて溶液ポンプ48の運転周波数を上昇させて溶液ポンプ48の回転数(rpm)を増加させることにより、必要とされる循環流量に見合う希溶液Swを吸収器31から高温再生器32Aに送るように制御する。上記のように制御装置65は温度センサ27で検出された高温冷媒蒸気Vaの温度に対応する周波数で溶液ポンプ48を運転し(このときの溶液ポンプ48の吐出流量を「定常流量Qr」ということとする)、その結果、気液分離器22内の貯留液位Lxが低液位Lsと高液位Ltの範囲内にあれば空焚きや溶液溢れ等を回避することができる。しかしながら、実際は負荷の状況が異なるために、溶液Sの循環流量が濃度や他の要因の影響を受けて貯留液位Lxが上昇し過ぎたり、下降し過ぎたりする。そこで、高温再生器32Aは、負荷変動に追従した液位制御を実現するために以下のような制御を行う。
図4及び図5を併せて参照して、高温再生器32Aにおける溶液Sの液位制御を説明する。図4は、高温再生器32Aの溶液Sの液位変化と溶液ポンプ48の吐出流量の制御との関係を示すグラフである。グラフの横軸には時間経過をとり、縦軸上部には気液分離器22内の高温濃溶液Saの貯留液位Lxを、縦軸下部には溶液ポンプ48の吐出流量をとっている。なお、図4には経過時間の前半部に符号を付して後半部に符号を付すのを省略している。図5は、高温再生器32Aへの溶液Swの導入量の制御を説明するフローチャートである。
詳細を説明するのに先立って、高温再生器32Aにおける溶液Sの液位制御の概要を説明する。高温再生器32Aは、運転中、貯留液位Lxが、低液位Lsよりも高く高液位Ltよりも低い範囲である標準液位Wn(低液位Ls<標準液位Wn<高液位Lt)にあるように、希溶液Swの導入流量が調節される。希溶液Swの導入流量の調節は、高温再生器32Aの圧力に対して図3に示す関係で溶液ポンプ48が運転されることにより行われる。本実施の形態では、典型的には、貯留液位Lxが標準液位Wnにあって、高温再生器32Aの圧力に対して図3に示す関係で溶液ポンプ48が運転されている状態を定常運転ということとする。そして、貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合は、高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量を図3に示す関係に固執せずに変更して(S7)、貯留液位Lxが標準液位Wnに戻るようにする。
ここで、貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合に、貯留液位Lxが標準液位Wnに戻るようにするために、高温再生器32Aに導入する希溶液Swの流量を変更する際の変化量(変化分)を「回復促進流量分Δr」ということとする。すなわち、貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合、高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量が、戻り方向に所定の回復促進流量分Δr変更される(S7)。「戻り方向」とは、標準液位Wnから逸脱した貯留液位Lxを標準液位Wnに戻す方向であって、貯留液位Lxが高液位Lt以上になった場合は導入する希溶液Swを減らす方向であり、貯留液位Lxが低液位Ls以下になった場合は導入する希溶液Swを増やす方向である。
そして、標準液位Wnから逸脱した貯留液位Lxが標準液位Wnに戻ったら、戻り方向とは逆の「復帰方向」に、高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量を変更する(S19)。ここで、標準液位Wnから逸脱した貯留液位Lxが標準液位Wnに戻った場合に、高温再生器32Aに導入する希溶液Swの流量を変更する際の変化量(変化分)を「復帰流量分Δb」ということとする。すなわち、貯留液位Lxが標準液位Wnに戻った場合、高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量が、復帰方向に所定の復帰流量分Δb変更される(S19)。「復帰流量分Δb」は、先に貯留液位Lxを標準液位Wnに戻すために高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量を変更したものを、このまま放置すれば貯留液位Lxが逆の液位側に逸脱する可能性があるところ(例えば高液位Lt以上になった貯留液位Lxを標準液位Wnに戻すために回復促進流量分Δr変更した場合の「逆の液位側」は低液位Ls側)、これを抑制するために戻り方向とは逆方向である復帰方向に変更する高温再生器32Aへの希溶液Swの導入流量の変化量である。念のため「復帰方向」を具体的に説明すれば、貯留液位Lxが高液位Lt以上から標準液位Wnに戻った場合は導入する希溶液Swを増やす方向であり、貯留液位Lxが低液位Ls以下から標準液位Wnに戻った場合は導入する希溶液Swを減らす方向である。本発明の実施の形態に係る高温再生器32Aは、復帰流量分Δbを、貯留液位Lxが標準液位Wnから逸脱していた時間である逸脱時間Tdに応じて変化させることとしている。
ここで図6を参照して、逸脱時間Tdと復帰流量分Δbとの関係を説明する。図6は逸脱時間Tdと復帰流量分Δbとの関係を示すグラフであり、横軸に逸脱時間Tdをとり、縦軸に復帰流量分Δbをとっている。本実施の形態に係る高温再生器32Aは、吸収冷凍機30(図2参照)の負荷変動に追従した液位制御を行うために、復帰流量分Δbを逸脱時間Tdの関数としている。基本的な考えは、逸脱時間Tdが長いほど、貯留液位Lxの変動が大きくなる負荷変動があったと推定して、復帰流量分Δbを大きくする。このとき、図6(a)に示すように逸脱時間Tdを所定時間ごと(例えば5秒ごと)に区切ってステップ状に復帰流量分Δbを変化させるようにしてもよく、図6(b)に示すように逸脱時間Tdがあらかじめ決められた時間Tpを越えた後は逸脱時間Tdに正比例するように無段階で復帰流量分Δbを変化させるようにしてもよい。
他方、「回復促進流量分Δr」は、直前の逸脱時間Tdから見たその時点(溶液流量を回復促進流量分Δr変更する時点)の復帰流量分Δbに応じた値が採用される。復帰流量分Δbに応じた値は、典型的には、復帰流量分Δbを規準として、その70〜130%の値が採用される。復帰流量分Δbに応じた値は、復帰流量分Δbと同じ値(すなわち100%)であってもよい。なお、停止状態にあった高温再生器32Aを起動してから初めて貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合のように直前の逸脱時間Tdがない場合は、あらかじめ定められて制御装置65に記憶されている所定の基準変化量(例えば、溶液ポンプ48の運転周波数に換算して10Hz以下の所定の量)を回復促進流量分Δrとするとよい。
上述の概要をふまえ、高温再生器32Aにおける溶液Sの液位制御を図5に示すフローチャートに沿って説明する。吸収冷凍機30(図2参照)が起動して定常運転に入ると、高温再生器32Aも定常運転を行う(S1)。このときの溶液ポンプ48の吐出流量は定常流量Qrである。高温再生器32Aの定常運転中、制御装置65は液位検出電極棒23からの信号の有無により、貯留液位Lxが標準液位Wnにあるか否かを判断する(S2)。貯留液位Lxが標準液位Wnにあれば再び貯留液位Lxが標準液位Wnにあるか否かを判断する工程(S2)に戻る。
他方、貯留液位Lxが標準液位Wnになければ、制御装置65は、第1の所定の時間が経過したか否かを判断する(S3)。ここで「第1の所定の時間」は、溶液ポンプ48の吐出流量(高温再生器32Aに導入する希溶液Swの流量)を復帰流量分Δbあるいは回復促進流量分Δr変更した場合において、逸脱時間Tdが収束するまでに要すると推定される時間である。停止状態にあった高温再生器32Aを起動してから初めて貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合は、原則として第1の所定の時間の計測を開始していないため、第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S3)においては第1の所定の時間が経過していないものと取り扱い、回復促進流量分Δrを据え置く(S4)。また、回復促進流量分Δrを据え置く工程(S4)において、停止状態にあった高温再生器32Aを起動してから初めて貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合は、あらかじめ定められて制御装置65に記憶されている所定の基準変化量(例えば、溶液ポンプ48の運転周波数に換算して10Hz以下の所定の量)を回復促進流量分Δrとする。回復促進流量分Δrを据え置く工程(S4)においては、この後溶液ポンプ48の吐出流量を変更する際の回復促進流量分Δrを決定しただけで、まだ溶液ポンプ48の吐出流量の変更はしていない。そして、次の工程において、溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を所定の回復促進流量分Δr(回復促進流量分Δrを据え置く工程(S4)において決定した回復促進流量分Δr)だけ戻り方向に変更する(S7)。
溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を所定の回復促進流量分Δrだけ変更したら、制御装置65は、貯留液位Lxが標準液位Wnに戻ったか否かを判断する(S8)。標準液位Wnに戻っていなければ、溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量をさらに戻り方向に所定の変化率Rc(例えば、溶液ポンプ48の運転周波数に換算して1分間あたり2〜3Hz程度の割合)で変更し続け(S9)、再び貯留液位Lxが標準液位Wnに戻ったか否かを判断する工程(S8)に戻る。他方、貯留液位Lxが標準液位Wnに戻ったか否かを判断する工程(S8)において標準液位Wnに戻ったら、逸脱時間Tdから見て、復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否か(図6に示す関係に照らして前回の復帰流量分Δbよりも大きいか否か、換言すれば逸脱時間Tdが長くなっているか否か)を判断する(S10)。
逸脱時間Tdから見て復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否かを判断する工程(S10)において、増大させる必要がある場合は、第1の所定の時間の計測を開始(第1の所定の時間を計測中の場合はリセットして計測し直すことを含むことを意図して図5中では「再開始」と表現している)して(S11)、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを増加させると共に増加させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも増加させる(S12)。この時点は、例えば図4中の時間Ex1の時点(第1の所定の時間T1(a)の計測開始)である。この段階では、この後溶液ポンプ48の吐出流量を変更する際の復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを決定した(増加させた)だけで、まだ溶液ポンプ48の吐出流量の変更はしていない。なお、「第1の所定の時間」は、上述のように、溶液ポンプ48の吐出流量を復帰流量分Δbあるいは復帰流量分Δbに応じた回復促進流量分Δr変更した場合における逸脱時間Tdが収束するまでの時間である。すなわち、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを増加することによって逸脱時間Tdは減少傾向になるが、減少後、許容範囲内(後述する第2の所定の時間T2内)の逸脱時間Tdに収束する迄の時間に所定の余裕時間を加えた時間が第1の所定の時間である。第1の所定の時間は、復帰流量分Δbあるいは復帰流量分Δbを増加する契機となった逸脱時間Tdに応じて可変としてもよい。また、高温再生器32Aの内圧又は高温冷媒蒸気Vaの温度(温度センサ27で検出する飽和蒸気の温度)も入力値として採用して第1の所定の時間を算定してもよい。なお、復帰流量分Δbを増加させた場合であっても逸脱時間Tdが許容範囲内(後述する第2の所定の時間内)に止まる場合があり得るが、本実施の形態では、復帰流量分Δbを増加させた場合に逸脱時間Tdが許容範囲(後述する第2の所定の時間内)を超えたと推定して、第1の所定の時間の計測を開始することとしている。
逸脱時間Tdから見て復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否かを判断する工程(S10)において、増大させる必要がない場合は、逸脱時間Tdが第2の所定の時間T2以内であったか否かを判断する(S13)。ここで「第2の所定の時間」は、逸脱時間Tdの収束を評価する時間であって、第1の所定の時間よりも短い時間である。なお、第2の所定の時間も、第1の所定の時間と同様に、復帰流量分Δbあるいは逸脱時間Tdに応じて可変としてもよい。また、高温再生器32Aの内圧又は高温冷媒蒸気Vaの温度(温度センサ27で検出する飽和蒸気の温度)も入力値として採用して第2の所定の時間を算定してもよい。逸脱時間Tdが第2の所定の時間T2以内であったか否かを判断する工程(S13)において第2の所定の時間T2以内でなかった場合は、第1の所定の時間の計測を開始(第1の所定の時間を計測中の場合はリセットして計測し直すことを含むことを意図して図5中では「再開始」と表現している)する一方(S14)、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く(S15)。この時点は、例えば図4中の時間Ex2の時点(第1の所定の時間T1(b)の計測開始)である。
逸脱時間Tdが第2の所定の時間T2以内であったか否かを判断する工程(S13)において第2の所定の時間T2以内であった場合は、第1の所定の時間が経過したか否かを判断する(S16)。第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S16)において第1の所定の時間が経過していない場合(例えば図4中の時間Ex3の時点)は、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く工程(S15)に進む。他方、第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S16)において第1の所定の時間が経過している場合(例えば第1の所定の時間が図4中のT1(b)の場合における時間Ex4の時点)は、第1の所定の時間の計測を新たに開始して(S17)(例えば図4中の時間Ex4の時点から第1の所定時間T1(c)を計測している。)、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを減少させると共に減少させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも減少させる(S18)。この段階では、この後溶液ポンプ48の吐出流量を変更する際の復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを決定した(減少した)だけで、まだ溶液ポンプ48の吐出流量の変更はしていない。上記の工程(S10)〜(S18)のように復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrに制約を加えることによって、逸脱時間Tdが第2の所定の時間T2以内となる状態が第1の所定の時間継続する迄、増大させた復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを減少させないこととして、逸脱時間Tdの収束を確実にすることができる。逸脱時間Tdが第2の所定の時間以内となる状態が第1の所定の時間継続するとは、第1の所定の時間内で、貯留液位Lxの状態が、標準液位Wn内、標準液位Wnから逸脱、標準液位Wn内、標準液位Wnから逸脱、・・・を繰り返す際に、各逸脱時間Tdが第2の所定の時間T2以内にあるという意味である。
復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを増加(S12)、又は復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置き(S15)、又は復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを減少(S18)したら、制御装置65は、標準液位Wnに戻った時点の溶液Sの流量Qnから、復帰方向に、溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を、決定した所定の復帰流量分Δbだけ変更する(S19)。ここで、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く工程(S15)から進んできた場合は、復帰流量分Δbの変化量は0(ゼロ)となり、前回と同じ復帰流量分Δbの希溶液Swの流量が変更されることとなる。溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を、決定した所定の復帰流量分Δbだけ復帰方向に変更したら、再び貯留液位Lxが標準液位Wnにあるか否かを判断する工程(S2)に戻る。
再び貯留液位Lxが標準液位Wnにあるか否かを判断する工程(S2)に戻ったら、上述の要領で第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S3)に進む。そして、第1の所定の時間が経過していない場合は復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く工程(S4)に進む。他方、第1の所定の時間が経過している場合は、第1の所定の時間の計測を新たに開始して(S5)、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを減少させると共に減少させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも減少させる(S6)。この時点は、例えば図4中の時間Ex5の時点(第1の所定の時間T1(d)の計測開始)である。この段階では、この後溶液ポンプ48の吐出流量を変更する際の回復促進流量分Δr及び復帰流量分Δbを決定した(減少した)だけで、まだ溶液ポンプ48の吐出流量の変更はしていない。この工程(S5、S6)は、典型的には、第1の所定の時間T1(b’)が経過した時点の貯留液位Lxが標準液位Wnにあり、その後貯留液位Lxが標準液位Wnから逸脱した際に行われる工程である。このときの、第1の所定の時間が経過して減少した回復促進流分Δrは、第1の所定の時間T1(b’)の計測中に検出された直前の逸脱時間Td(この逸脱時間Tdは第1の所定時間計測中に検出されたものであるから第2の所定の時間T2以内となる)から見た復帰流量分Δbに応じた値が採用され、第1の所定の時間T1(b’)の計測中に逸脱時間Tdが検出されなかった場合はあらかじめ定められて制御装置65に記憶されている所定の基準変化量(停止状態にあった高温再生器32Aを起動してから初めて貯留液位Lxが標準液位Wnを逸脱した場合に採用されるのと同じ基準変化量)が採用される。そして、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置き(S4)、又は復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを減少(S6)したら、制御装置65は、溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を所定の回復促進流量分Δrだけ戻り方向に変更する(S7)。ここで、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く工程(S4)から進んできた場合は、回復促進流量分Δrの変化量は0(ゼロ)となり、前回決定した復帰流量分Δbに応じた回復促進流量分Δrの希溶液Swの流量が変更されることとなる。以降は、上述した制御を行う。
図5に示すフローチャートにおいては、説明の便宜上、第1の所定の時間の計測を開始(第1の所定の時間を計測中の場合はリセットして計測し直すことを含む)する工程の後に復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを増加又は減少する工程を行うこととしたが、典型的には、第1の所定の時間の計測を開始する工程と、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを増加又は減少する工程と、その後の溶液ポンプ48の吐出流量を復帰流量分Δb又は回復促進流量分Δr変更する工程とはほぼ同時に行われるため、図5に示すフローチャートにおいて復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを増加又は減少する工程の後に第1の所定の時間の計測を開始する工程を行うこととしてもよい。
上述した制御を繰り返す過程において、貯留液位Lxが標準液位Wnから逸脱した後に標準液位Wnに復帰した時点で、前回増加して決定された復帰流量分Δb(S12)よりもさらに復帰流量分Δbを増加させるような逸脱時間Tdとなった場合は、そのさらに増加した復帰流量分Δbを採用して新たに第1の所定の時間の計測をし始める。このように、本実施の形態では、一旦増加した復帰流量分Δbは、より長い逸脱時間Tdが現れて採用中の復帰流量分Δbを増加すべきでない限り、前回増加した復帰流量分Δbだけ溶液ポンプ48の吐出流量を変更してから第1の所定の時間の間維持する。第1の所定の時間の途中で復帰流量分Δbをさらに増大すべき逸脱時間Tdが現れた場合には、その逸脱時間Tdを検知した時点でより大きな復帰流量分Δbを採用し、同時にそれまで計測していた第1の所定の時間の経過の有無をリセットして新たな第1の所定の時間の計測を開始する。新たに大きくした復帰流量分Δbを第1の所定の時間の間維持することによって、復帰流量分Δbに応じた逸脱時間Tdに収束させることができる。また、逸脱時間Tdに応じた分の復帰流量分Δbを減少させると共に減少させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも減少させる工程(S6、S18)における作用のように、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを減少させたら、減少させた値で溶液ポンプ48の吐出流量を変更した時点を起算点として第1の所定の時間の計時を開始する。このように、常に、新たに採用した復帰流量分Δb又は回復促進流量分Δrを第1の所定の時間維持する。そして、原則として、第1の所定の時間が経過した時点で、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを採用する。
ここで図2に戻って、溶液側のサイクルの説明を再開する。高温再生器32Aから導出されて高温濃溶液管46を流れる高温濃溶液Saは、高温溶液熱交換器37に導かれて高温再生器32Aに向かう希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。他方、高温再生器32Aから導出されて冷媒蒸気管57を流れる高温冷媒蒸気Vaは、中温再生器32Mの加熱蒸気管32Maに流入する。
ここから低温再生器21B及び中温再生器32Mまわりの作用に視点を移すと、中温溶液ポンプ38で圧送されて希溶液管55を流れる希溶液Swは、まず低温溶液熱交換器36で混合濃溶液Scと熱交換して熱回収した後に分流し、一部は希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へと導かれ、残りは希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bへと導かれる。希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へ流入した希溶液Swは、中温再生器32Mから導出された中温濃溶液Smと熱交換して温度が上昇した後に希溶液管55Aを流れて中温再生器32Mへと導入される。
中温再生器32Mに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Mbから散布される。希溶液散布ノズル32Mbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaによって加熱され、中温再生器32M内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して中温濃溶液Smとなる。高温冷媒蒸気Vaからの受熱により温度が上昇した中温濃溶液Smは、重力及び中温再生器32M内の圧力により中温濃溶液管56Aへ導出される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は中温冷媒蒸気Vmとして冷媒蒸気管58を流れる。加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液となり、凝縮冷媒管57Dを介して冷媒蒸気管58に流入し、中温冷媒蒸気Vmと混合される。冷媒蒸気管58を流れる中温冷媒蒸気Vmは、冷媒液が混入して混合冷媒蒸気Vnとなり、低温再生器32Bの加熱蒸気管32Baへと送られる。
他方、希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Bbから散布される。希溶液散布ノズル32Bbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnによって加熱され、低温再生器32B内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して低温濃溶液Sbとなる。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は低温冷媒蒸気Vbとして凝縮器33へと送られる。混合冷媒蒸気Vnからの受熱により温度が上昇した低温濃溶液Sbは、低温再生器32B内の圧力や重力により低温濃溶液管56Bへ導出される。なお、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液Vdとなり、凝縮冷媒管59を流れて凝縮器33に導入される。
低温再生器32Bから導出されて低温濃溶液管56Bを流れる低温濃溶液Sbは、中温溶液熱交換器35から導出されて高温濃溶液管56Aを流れてきた高温濃溶液管Saと合流して混合濃溶液Scとなって濃溶液管56を流れる。その後混合濃溶液Scは、低温溶液熱交換器36に流入して吸収器31から導出された希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。温度が低下した混合濃溶液Scは、高温溶液熱交換器37で熱交換を行って温度が低下した高温濃溶液Saと混ざり合って混合濃溶液Sdとなる。混合濃溶液Sdは、吸収器31に導かれ、濃溶液散布ノズル31bから冷却水管31aに向けて散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
以上の説明では、高温再生器32Aにおける溶液Sの液位制御(図5参照)において、逸脱時間Tdが第2の所定の時間以内となる状態が第1の所定の時間継続する迄、増大させた復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを減少させないこととしたが、例えば以下のように改変してもよい。
これまで説明した液位制御(図5参照)の第1の変形例として、図5のフローチャートにおいて、逸脱時間Tdが第2の所定の時間以下であったか否かを判断する工程(S13)及びこれに続く工程(S14)を省略して、逸脱時間Tdから見て復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否かを判断する工程(S10)において増大させる必要がない場合に、第1の所定の時間のが経過したか否かを判断する工程(S16)に進むように構成してもよい。また、第2の変形例として、図5のフローチャートにおいて、第1の所定の時間に関する工程(S3〜S6、S11、S14、S16、S17)を省略してもよい。この第2の変形例の場合、貯留液位Lxが標準液位Wnにあるか否かを判断する工程(S2)において標準液位Wnにないときに、溶液ポンプ48の希溶液Sw吐出流量を、直前の逸脱時間Tdから見たその時点(溶液流量を回復促進流量分Δr変更する時点)の復帰流量分Δbに応じた所定の回復促進流量分Δr(直前の逸脱時間Tdがないときは所定の基準変化量)だけ戻り方向に変更する工程(S7)に進む。また、逸脱時間Tdから見て復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否かを判断する工程(S10)において、増大させる必要がある場合は、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを増加させると共に増加させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも増加させる工程(S12)に進む。また、逸脱時間Tdが第2の所定の時間以内であったか否かを判断する工程(S13)において第2の所定の時間以内でなかった場合は、復帰流量分Δb及び回復促進流量分Δrを据え置く工程(S15)に進み、他方、第2の所定の時間以内であった場合は、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを減少させると共に減少させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも減少させる工程(S18)に進む。さらに第3の変形例として、図5のフローチャートにおいて、第1の所定の時間に関する工程(S3〜S6、S11、S14、S16、S17)及び逸脱時間Tdが第2の所定の時間以下であったか否かを判断する工程(S13)を共に省略して、逸脱時間Tdから見て復帰流量分Δbを増大させる必要があるか否かを判断する工程(S10)において増大させる必要がない場合に、逸脱時間Tdに応じた分の(図6に示す関係に従った)復帰流量分Δbを減少させると共に減少させた復帰流量分Δbに応じて回復促進流量分Δrも減少させる工程(S18)に進むように構成してもよい。この第3の変形例の場合は図5のフローチャートにおける工程(S15)も省略されることとなる。
さらに図7に示す第4の変形例のように構成してもよい。図7は、高温再生器32Aにおける溶液Sの液位制御の第4の変形例に係るフローチャートである。第4の変形例は、第1の所定の時間の起算点を、逸脱時間Tdが第2の所定の時間以内になったときとし、所定の復帰流量分Δb及び所定の回復促進流量分Δrが減少することを許すのは第1の所定の時間が経過した後として、第1の所定の時間の計測が中断される等により第1の所定の時間が経過しなかった場合は所定の復帰流量分Δb及び所定の回復促進流量分Δrが減少することが許されないこととしている。
図7に示す第4の変形例に係る液位制御のフローの、図5に示す液位制御のフローとの異なる点は、以下の点である。まず、第4の変形例に係る液位制御のフローでは、第1の所定の時間の計測を新たに開始する工程(S5:図5参照)が削除されている。また、図5に示す液位制御のフローにおける第1の所定の時間の計測を開始(第1の所定の時間を計測中の場合はリセットして計測し直すことを含む)する工程(S11、S14:図5参照)が、第4の変形例に係る液位制御のフローでは第1の所定の時間の計測を中断する工程(S11’、S14’)に置き換えられている。また、第1の所定の時間の計測を開始する工程(S17:図5参照)が、第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S16)において第1の所定の時間が経過している場合の次に行われていたのに代えて、第4の変形例に係る液位制御のフローでは、第1の所定の時間の計測を開始する工程(S17’)として、逸脱時間Tdが第2の所定の時間以内であったか否かを判断する工程(S13)において第2の所定の時間以内であった場合の第1の所定の時間が経過したか否かを判断する工程(S16)の前に行われることとしている。上記以外の、図5における各工程と同符号を付した工程自体の内容(判断)及び流れ(手順)は、図5に示す液位制御のフローと同様の内容である。
以上の説明では、本発明の実施の形態に係る高温再生器として高温再生器32Aを例示したが、上述の吸収冷凍機30において高温再生器32Aを以下のものに代えてもよい。図8は、変形例に係る高温再生器の縦断面図であり、(a)は第1の変形例に係る高温再生器32P、(b)は第2の変形例に係る高温再生器32Qの図である。図8に示す各変形例に係る高温再生器32P、32Qは、炉筒煙管型の高温再生器である。高温再生器32P、32Qは、内部に形成された燃焼室120においてバーナー(不図示)で火炎を形成して燃焼ガスを生成する炉筒111と、燃焼ガスを流して周囲の溶液を加熱する煙管112と、炉筒111及び煙管12を内部に収容する缶胴113とを備えている。缶胴113の下部(典型的には底部)には希溶液Swを缶胴113内に導入する希溶液管45が接続されており、缶胴113の上部(典型的には頂部)には高温冷媒蒸気Vaを導出する冷媒蒸気管57が接続されている。
そして図8(a)に示す高温再生器32Pでは、維持すべき缶胴113内液位の近傍の缶胴113側部に高温濃溶液Sa取出用の角穴113hが形成され、角穴113hから流出する高温濃溶液Saを受け入れる溶液貯留部としての溶液貯留容器124Aが缶胴113の側部に設けられている。溶液貯留容器124A内には、低液位電極棒23s及び高液位電極棒23tを有する液位検出器としての液位検出電極棒23が配設されている。溶液貯留容器124Aの底部には、高温濃溶液Saを導出する高温濃溶液管46が接続されている。高温再生器32Pでは、導入された希溶液Swが炉筒111及び煙管12から受熱して加熱濃縮され、高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとが生成される。
他方図8(b)に示す高温再生器32Qでは、液面制御ケース24が2つの連通管29A、29Bを介して缶胴113に接続されている。液面制御ケース24は、缶胴113内の気相部と連通管29Aを介して接続されており、缶胴113内の液相部と連通管29Bを介して接続されている。これにより、缶胴113内の液位(貯留液位Lx)が液面制御ケース24内に現れる。液面制御ケース24内には、低液位電極棒23s及び高液位電極棒23tを有する液位検出器としての液位検出電極棒23が配設されている。液位検出電極棒23で検出した液位に基づいて溶液ポンプ48の吐出流量を制御することにより、缶胴113内の貯留液位Lxを制御することができる。高温再生器32Qでは、缶胴113自体が溶液貯留部となる。
以上の説明では、高温再生器が、貫流ボイラ式の高温再生器32A(図1参照)あるいは炉筒煙管式の高温再生器32P、32Q(図8参照)であるとしたが、他の形式の高温再生器においても適用することができる。しかしながら、貫流ボイラ式の高温再生器32A(図1参照)あるいは液管式再生器は一般に保有液量が少ないので液位変動が激しくなる傾向にあるため、貫流ボイラ式の高温再生器32A(図1参照)あるいは液管式再生器に本発明を適用すると、吸収冷凍機30(図2参照)の負荷変動に追従した液位制御を行うことができ、より効果的である。
以上の説明では、高温再生器がバーナーを有することとしたが、バーナーを有さずに外部から蒸気等の熱源(外部で生成された熱源)を導入して希溶液Swを加熱濃縮するように構成してもよい。
以上の説明では、温度センサ27で高温冷媒蒸気Vaの温度を検出して高温再生器32A、32P、32Qの圧力を推定することとしたが、温度センサ27に代えて圧力検出器を設け、直に高温再生器32A、32P、32Qの圧力を検出することとしてもよい。
以上の説明では、吸収冷凍機30が三重効用吸収冷凍機であるとして説明したが、単効用吸収冷凍機や二重効用吸収冷凍機であってもよい。単効用吸収冷凍機とした場合は、上述した高温再生器32Aを再生器とすることができ、二重効用吸収冷凍機とした場合は、上述した高温再生器32Aを作動温度が高い方の再生器とするとよい。