以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図中、破線は制御信号を表す。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る高温再生器32Aの構成を説明する。図1は、高温再生器32Aの縦断面図である。高温再生器32Aは貫流式再生器であり、希溶液Swを導入する液室としての下部管寄せ14と、下部管寄せ14の希溶液Swを上方に向けて流す複数の液管10と、液管10内で濃溶液としての高温濃溶液Saと冷媒蒸気としての高温冷媒蒸気Vaとの混合流体Fmとなったものを収集する収集室としての上部管寄せ15と、液管10内の希溶液Swを加熱する燃焼ガスを生成する加熱装置としてのバーナー16と、これらの部材を収容する外容器13と、高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとを分離する気液分離器22と、気液分離器22と連通する液位制御容器としての液面制御ケース24とを備えている。
下部管寄せ14は、希溶液Swを複数の液管10に分配する部材である。下部管寄せ14は、典型的には、水平断面が円環状に、鉛直断面が矩形状に形成されている。なお、水平断面は円形以外の多角形状にひとまわりしているものであってもよく、環状につながれずにC字状に形成されていてもよい。鉛直断面は矩形以外の円形あるいは楕円形であってもよい。また、下部管寄せ14の中心部に形成された空洞部分には、耐火材17が充填されている。下部管寄せ14には、希溶液Swを導入する希溶液管45と、気液分離器22から導出された高温濃溶液Saを導入する戻り管25とが接続されている。
下部管寄せ14には、複数の液管10がほぼ鉛直に配設されている。液管10がほぼ鉛直とは、液管10の軸がほぼ鉛直の状態である。ほぼ鉛直は、液管10内で加熱されて希溶液Swから蒸発して生じた高温冷媒蒸気Vaが高温濃溶液Saと共に円滑に排出される程度であればよい。液管10の長さは、高温再生器32Aの高さに制限があるときは、その高さに納まるように決定されると共に、内部を流れる希溶液Swに与える熱量によって希溶液Sw中から高温冷媒蒸気Vaを発生させて高温濃溶液Saを生成することができるように、高温再生器32Aに供給される希溶液Swの流量、液管10の本数及び径との関係を総合的に勘案して決定される。また、複数の液管10は、下部管寄せ14とほぼ同心円上にほぼ等間隔に配設されている。下部管寄せ14と同心円上にほぼ等間隔に配設された複数の液管10の内側には、燃料を燃焼して燃焼ガスGbを生成する燃焼室20が形成されている。
複数の液管10の頂部には、上部管寄せ15が接続されている。上部管寄せ15は、下部管寄せ14と同様に、典型的には、水平断面が円環状に、鉛直断面が矩形状に形成されている。上部管寄せ15には、高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとの混合流体Fmを気液分離器22に導く混合流体管21が接続されている。上部管寄せ15の中心部に形成された空洞部分には、バーナー16が配設されている。バーナー16は、制御装置65(図2参照)からの信号を受信して点火及び停止することができるように構成されている。
外容器13は、燃焼室20で生成された燃焼ガスGbを外部に漏らさないガスシール構造となっており、典型的には、円筒形状を有している。外容器13は、下部管寄せ14及び上部管寄せ15とほぼ同心円となっており、下部管寄せ14及び上部管寄せ15を嵌め込むことができるような内径を有している。外容器13には、燃焼ガスGbを排出する煙道18が接続されている。
気液分離器22は、典型的には、円筒状に形成されているが、四角柱形状や多角形形状、その他の形状であってもよい。気液分離器22は、鉛直方向に長手方向がくるようにして上部管寄せ15に近接した位置に配設されている。気液分離器22は、水平断面の面積が、戻り管25の軸直角方向の断面積よりも大きく形成されている。気液分離器22は、混合流体管21で上部管寄せ15と接続されている。気液分離器22内には、混合流体管21を介して導入した混合流体Fmを高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとに分離する気液分離板としてのバッフル板22aが設けられている。バッフル板22aは、気液分離器22の上部を2分割するように気液分離器22の天板に取り付けられている。バッフル板22aによって分割された空間の、混合流体管21が接続されていない方の領域の気液分離器22の上面には、分離した高温冷媒蒸気Vaを導出する高温冷媒蒸気導出口22eが形成されており、高温冷媒蒸気導出口22eには冷媒蒸気管57が接続されている。高温冷媒蒸気導出口22eは、気液分離器22の上部側面に形成されていてもよいが、冷媒蒸気管57に溶液が混入するのを防ぐようにする観点から、気液分離器22の上方に形成されていることが好ましい。
また、気液分離器22の底面には分離した高温濃溶液Saを導出する高温濃溶液導出口22nが形成されており、高温濃溶液導出口22nには高温濃溶液管46が接続されている。高温濃溶液導出口22nは、典型的には気液分離器22の底面に形成されているが、気液分離器22の下部側面に形成されていてもよい。さらに気液分離器22の底面の別の部分には、分離した高温濃溶液Saのうちの余剰分を下部管寄せ14に戻す戻り管25が接続されている。本実施の形態では、戻り管25により下部管寄せ14と気液分離器22とが連絡している。下部管寄せ14と気液分離器22とが連絡していると、気液分離器22内に貯留した高温濃溶液Saを下部管寄せ14に還流でき、気液分離器22内の液位の上昇を抑制して、気液分離器22から導出される高温冷媒蒸気Vaに同伴する溶液量を少なくすることができる。
気液分離器22は、蒸気の取り出しを目的とするボイラ用の気液分離器と異なり、高温濃溶液Saを安定して吸収器31(図2参照)に還流させるために、高温再生器32Aの運転中は常に高温濃溶液導出口22nより上方に高温濃溶液Saの液位が存在するように配置することが好ましい。他方、気液分離器は気相空間が大きいほど気液分離性能が向上するため、気相空間をできるだけ大きく確保することが好ましい。一方で、高温再生器に設けられる気液分離器は、現在のところ法的に内容量が制限されている。このような事情から、気液分離器22は、高温濃溶液Saを安定して貯留しつつ気相空間が大きくなる位置に配置することが好ましい。
また、気液分離器22は、混合流体管21及び戻り管25並びに上部管寄せ15及び下部管寄せ14を介して液管10と接続されていて、高温再生器32Aの運転中は、液管10内の混合流体Fmの液位に対して気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位は高く現れる。そして、液管10が過熱されることによる損傷を防ぐ観点から液管10内の溶液(希溶液Swから高温濃溶液Saに移行する溶液)の液位に応じて現れる気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が損傷防止液位Lpよりも高くなるように気液分離器22が配置され、高液位Lt及び低液位Lsが設定される。その他の観点では、ある液管10内の混合流体Fmが他の液管10に流入することを防ぐ観点から液管10内の混合流体Fmの液位が液管10の上端を越えないように、気液分離器22内の高温濃溶液Saの高液位Ltが液管10の上端より所定の寸法だけ下方に位置している。そして、高液位Ltの下方に低液位Lsを設定してもなお、低液位Lsの下方に定常状態で安定的な取り出しが可能な量の高温濃溶液Saを確保できるような位置に気液分離器22の底面がくるように、また、気相空間をできるだけ大きくする観点から、気液分離器22の底面(最下部)ができるだけ損傷防止液位Lpより上方に位置するように気液分離器22が配設されている。このような位置に気液分離器22が配設されていると、内容量の制限が解除された場合においても気液分離器22をコンパクトにすることができ、ひいては高温再生器32をコンパクトにすることができるので好ましい。本実施の形態では、上部管寄せ15の上端よりも気液分離器22の上端の方が高くなり、上部管寄せ15の上面と気液分離器22の上部側面とを90°曲がった混合流体管21で接続するようにしている。
ここで、損傷防止液位Lpは、液管10内に溶液(希溶液Swから高温濃溶液Saに移行する溶液)がない状態で液管10を加熱することによって液管10が過熱されることによる損傷を防ぐために最低限液管10内に溶液を満たしておくべき液位に余裕分(高温再生器32Aが停止動作を開始してから停止するまでの間に液位が降下する分)だけ上方に設定した液管10内の液位が気液分離器22に現れる液位である。余裕分は適宜決定することができる。高液位Ltは、本実施の形態では下部管寄せ14に供給される希溶液Swの流量を減少させる信号を溶液ポンプ48(図2参照)に送信する液位である。低液位Lsは、本実施の形態では下部管寄せ14に供給される希溶液Swの流量を増加させる信号を溶液ポンプ48(図2参照)に送信する液位である。
液面制御ケース24は、典型的には、円筒状に形成されているが、四角柱形状や多角形形状、その他の形状であってもよい。液面制御ケース24の内部には、損傷防止液位Lpを検出する損傷防止液位検出器としての損傷防止電極棒23pと、低液位Lsを検出する低液位検出器としての低液位電極棒23sと、高液位Ltを検出する高液位検出手段としての高液位電極棒23tとが鉛直方向に延びるようにして収納されている。以下、損傷防止電極棒23p、低液位電極棒23s、高液位電極棒23tを総称して「液位検出電極棒23」ということもある。液位検出電極棒23は、それぞれ液面制御ケース24の天板に取り付けられている。損傷防止電極棒23pの下端は損傷防止液位Lpに位置している。低液位電極棒23sの下端は低液位Lsに位置している。高液位電極棒23tの下端は高液位Ltに位置している。なお、液面制御ケース24には、必要に応じて、高温濃溶液Saを介して液位検出電極棒23と電気回路を形成するコモン電極棒(不図示)も配設されるが、以降の説明では、コモン電極棒についての言及を特に行わない。液位検出電極棒23は、吸収冷凍機30の制御装置65(図2参照)と信号ケーブルで接続されており、気液分離器22の高液位信号及び低液位信号並びに損傷防止液位信号を制御装置65(図2参照)に送信することができるように構成されている。
液位検出電極棒23を収納する液面制御ケース24は、下端(下面)が損傷防止液位Lpよりも下方に、上端(上面)が少なくとも液管10の上端より上方で好ましくは上部管寄せ15の上端よりも上方に位置するように配設されている。液面制御ケース24の上端は気液分離器22の上端より下方であってもよい。このようにすると、液面制御ケース24をコンパクトにすることができる。液面制御ケース24の上面は、気液分離器22の上部側面と上部連通管29Aで接続されている。また、液面制御ケース24は、損傷防止液位Lpより下方の部分と戻り管25とが下部連通管29Cで接続されている。また、液面制御ケース24は、上部連通管29Aと下部連通管29Cとの間に配設された中間連通管29Bで、戻り管25と接続されている。このように、液面制御ケース24が、上部連通管29Aと中間連通管29Bと下部連通管29Cとで気液分離器22あるいは戻り管25と接続されていることにより、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位及び液管10内の溶液の液位が液面制御ケース24内に正しく現れることになる。このようにして、気液分離器22の下部と上部とを液面制御ケース24に連通しただけでは溶液の性状の変化によって気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が液面制御ケース24内に正確に現れないという不都合を解消している。
次に図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収冷凍機30の構成を説明する。図2は吸収冷凍機30の系統図である。吸収冷凍機30は、三重効用吸収冷凍機であり、被冷却媒体としての冷水pの熱で冷媒液Vfを蒸発させて冷媒蒸気Veを発生させることにより冷水pを冷却する蒸発器34と、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdで吸収する吸収器31と、吸収器31で冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを導入し、希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した高温濃溶液Saを生成する第1の実施の形態として上述した高温再生器32Aと、吸収器31から希溶液Swを導入し、高温再生器32Aで発生した高温冷媒蒸気Vaで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した中温濃溶液Smを生成する中温再生器32Mと、同じく吸収器31から希溶液Swを導入し、主に中温再生器32Mで発生した中温冷媒蒸気Vmで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した低温濃溶液Sbを生成する低温再生器32Bと、低温再生器32Bで希溶液Swから蒸発した低温冷媒蒸気Vbを冷却して凝縮させ、蒸発器34に送る冷媒液Vfを生成する凝縮器33と、吸収冷凍機30を制御する制御装置65とを備えている。吸収冷凍機30で使用される冷媒及び溶液は、典型的には、冷媒として水が、溶液として臭化リチウム(LiBr)が用いられるが、これに限らず他の冷媒、溶液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
蒸発器34には、冷却する対象である冷水pを流す冷水管34aが配設されている。冷水管34aは、エアハンドリングユニット等の冷水利用機器(不図示)と配管52を介して接続されている。また、蒸発器34には、冷媒液Vfを冷水管34aに向けて散布するための冷媒液散布ノズル34bが冷水管34aの上方に配設されている。蒸発器34の下部には、導入した冷媒液Vfを貯留する貯留部34cが形成されている。
吸収器31には、混合濃溶液Sdで冷媒蒸気Veを吸収した際に発生する吸収熱を奪う冷却水qを流す冷却水管31aが内部に配設されている。冷却水管31aは、凝縮器33内の冷却水管33aと配管53を介して、及び冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。また、吸収器31には、混合濃溶液Sdを冷却水管31aに向けて散布する濃溶液散布ノズル31bが冷却水管31aの上方に配設されている。吸収器31は、冷却水管31aの下方に、冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを貯留する貯留部31cが形成されている。
吸収器31と蒸発器34とは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁31dが設けられている。吸収器31と蒸発器34とは仕切壁31dの上部で連通しており、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを吸収器31に移動させることができるように構成されている。缶胴外側の蒸発器34側には、貯留部34cに貯留されている冷媒液Vfを上部の冷媒液散布ノズル34bに導く循環冷媒管51が配設されている。循環冷媒管51には、貯留部34cに貯留している冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル34bに圧送する冷媒ポンプ39が配設されている。
吸収器31の底部には、貯留部31cの希溶液Swを高温再生器32Aに導く希溶液管45と、中温再生器32M及び低温再生器32Bに導く希溶液管55が接続されている。希溶液管45には、希溶液Swを高温再生器32Aに圧送する高温溶液ポンプ48が配設されている。希溶液管55には、希溶液Swを中温再生器32M及び低温再生器32Bに圧送する中温溶液ポンプ38が配設されている。高温溶液ポンプ48及び中温溶液ポンプ38は、典型的にはインバータ(不図示)により、回転速度を調節することが可能なように構成されており、冷凍負荷に応じた流量の希溶液Swを圧送することができるように構成されている。なお、中温溶液ポンプ38とは別に、吸収器31から低温再生器32Bへ希溶液Swを圧送する溶液ポンプを設けてもよい。
高温溶液ポンプ48の下流側の希溶液管45には、希溶液Swと高温濃溶液Saとの間で熱交換を行わせる高温溶液熱交換器37が配設されている。高温溶液熱交換器37には、また、高温濃溶液Saを流す濃溶液管46が接続されている。高温溶液熱交換器37は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管45は、高温再生器32Aに接続されている。上述のように、高温再生器32Aには、高温濃溶液管46が接続されている。また、高温再生器32Aには、発生した高温冷媒蒸気Vaを流す冷媒蒸気管57が接続されている。高温再生器32Aへの希溶液管45、高温濃溶液管46、冷媒蒸気管57の具体的な接続位置は既に述べている(図1参照)のでここでは省略する。
中温溶液ポンプ38の下流側の希溶液管55には、希溶液Swと混合濃溶液Scとの間で熱交換を行わせる低温溶液熱交換器36が配設されている。低温溶液熱交換器36には、また、混合濃溶液Scを流す濃溶液管56が接続されている。低温溶液熱交換器36は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管55は、低温溶液熱交換器36の下流側で、中温再生器32Mに接続される希溶液管55Aと、低温再生器32Bに接続される希溶液管55Bとに分岐している。希溶液管55Aには、希溶液Swと中温濃溶液Smとの間で熱交換を行わせる中温溶液熱交換器35が配設されている。中温溶液熱交換器35には、また、中温濃溶液Smを流す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温溶液熱交換器35は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
中温再生器32Mには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる高温冷媒蒸気Vaを流す加熱蒸気管32Maが配設されている。加熱蒸気管32Maは、一端が冷媒蒸気管57に接続されている。他端は、凝縮冷媒管57Dに接続されている。中温再生器32Mには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Maに向けて散布する希溶液散布ノズル32Mbが配設されている。希溶液散布ノズル32Mbは、希溶液管55Aに接続されている。中温再生器32Mの底部には、温度が上昇した中温濃溶液Smを通す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温濃溶液管56Aは、中温溶液熱交換器35を経由して低温濃溶液管56Bに接続されている。また、中温再生器32Mには、発生した中温冷媒蒸気Vmを流す冷媒蒸気管58が接続されている。冷媒蒸気管58には、上述の凝縮冷媒管57Dが接続されている。
低温再生器32Bには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる混合冷媒蒸気Vnを流す加熱蒸気管32Baが配設されている。加熱蒸気管32Baは、一端が冷媒蒸気管58に接続されている。他端は、凝縮冷媒管59に接続されている。凝縮冷媒管59は、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮した冷媒液Vdを凝縮器33へと導く配管である。低温再生器32Bには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Baに向けて散布する希溶液散布ノズル32Bbが配設されている。希溶液散布ノズル32Bbは、希溶液管55Bに接続されている。
凝縮器33には、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを冷却するための冷却水qを流す冷却水管33aが配設されている。冷却水管33aは、一端が吸収器31内の冷却水管31aと配管53を介して、他端が冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。
凝縮器33と低温再生器32Bとは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁33dが設けられている。凝縮器33と低温再生器32Bとは仕切壁33dの上部で連通しており、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを凝縮器33に移動させることができるように構成されている。凝縮器33と低温再生器32Bとが形成された缶胴は、吸収器31と蒸発器34とが形成された缶胴よりも上方に配設されており、低温再生器32B内の低温濃溶液Sbを吸収器31に、凝縮器33内の冷媒液Vfを蒸発器34に、それぞれ重力によって送液することができるように構成されている。
低温再生器32Bの底部には、濃度が上昇した低温濃溶液Sbを通す低温濃溶液管56Bが接続されている。低温濃溶液管56Bには中温濃溶液管56Aが接続されて濃溶液管56となっている。濃溶液管56は、低温溶液熱交換器36を経由して濃溶液管66に接続されている。濃溶液管66は、濃溶液散布ノズル31bに接続されている。凝縮器33の底部には、冷媒液Vfを蒸発器34に向けて導出する冷媒液管60が接続されている。冷媒液Vfは、低温冷媒蒸気Vbが凝縮した冷媒液Vcと、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮し、凝縮器33で冷却された冷媒液Vdとが混合した冷媒液である。
制御装置65は、高液位電極棒23t(図1参照)から高液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が高液位Ltに至ったことを検出したときに、高温溶液ポンプ48に信号を送信して回転数(rpm)を減少させる。これにより、下部管寄せ14(図1参照)に導入される希溶液Swが減少する。また、制御装置65は、低液位電極棒23s(図1参照)から低液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が低液位Lsに至ったことを検出したときに、高温溶液ポンプ48に信号を送信して回転数(rpm)を増加させる。これにより、下部管寄せ14(図1参照)に導入される希溶液Swが増加する。また、制御装置65は、損傷防止電極棒23p(図1参照)から損傷防止液位信号を受信することにより気液分離器22(図1参照)内の高温濃溶液Saの液位が戻り管25内の損傷防止液位Lpまで降下したことを検出したときに、バーナー16(図1参照)に信号を送信してバーナー16(図1参照)における燃焼を停止させ、液管10(図1参照)の加熱を停止させる。また、制御装置65は、吸収冷凍機30の運転負荷に応じて高温溶液ポンプ48及び中温溶液ポンプ38の回転数(rpm)を調節する他、吸収冷凍機30の運転を制御する。
引き続き図1及び図2を参照して高温再生器32A及び吸収冷凍機30の作用を説明する。なお、高温再生器32Aの作用は、吸収冷凍機30の作用の説明の一環として説明する。まず図2を参照して吸収冷凍機30の冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器33では、低温再生器32Bで蒸発した低温冷媒蒸気Vbを受け入れて、冷却塔(不図示)から供給された、冷却水管33aを流れる冷却水qで冷却して凝縮し、冷媒液Vcとする。凝縮した冷媒液Vcは、冷媒液Vdと混合され冷媒液Vfとなって蒸発器34へと送られ、貯留部34cに冷媒液Vfとして貯留される。貯留部34cに貯留された冷媒液Vfは、冷媒ポンプ39により冷媒液散布ノズル34bに送液される。蒸発器34の冷媒液Vfが冷媒液散布ノズル34bから冷水管34aに散布されると、冷媒液Vfは冷水管34a内の冷水pから熱を受けて蒸発する一方、冷水pは冷やされる。冷やされた冷水pは冷熱を利用する場所(不図示)に送られて使われる。他方、蒸発器34で蒸発した冷媒液Vfは冷媒蒸気Veとなって、連通している吸収器31へと移動する。
次に吸収冷凍機30の溶液側のサイクルを説明する。吸収器31では、高濃度の混合濃溶液Sdが濃溶液散布ノズル31bから散布され、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdが吸収して希溶液Swとなる。希溶液Swは、貯留部31cに貯留される。混合濃溶液Sdが冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱は、冷却水管31aを流れる冷却水qによって除去される。貯留部31cの希溶液Swは、高温溶液ポンプ48で高温再生器32Aへ、中温溶液ポンプ38で中温再生器32M及び低温再生器32Bへ、それぞれ圧送される。なお、貯留部31cに溜まった溶液を溶液循環ポンプ(不図示)により循環させて冷却水管31aに散布する構成としてもよい。このようにすると、冷却水管31aを溶液で十分に濡らすことができ、冷却水管31aに接触する溶液の偏りを防止することができる。また、中温溶液ポンプ38が溶液循環ポンプを兼ねるように構成してもよい。この場合は、中温溶液ポンプ38と低温溶液熱交換器36との間の希溶液管55から配管を分岐して濃溶液散布ノズル31bに接続するとよい。
高温溶液ポンプ48で圧送されて希溶液管45を流れる希溶液Swは、高温溶液熱交換器37で高温再生器32Aから導出された高温濃溶液Saと熱交換して温度が上昇した後に高温再生器32Aへと導入される。
ここで図1を参照して、高温再生器32Aの作用を説明する。希溶液管45を流れて高温再生器32Aへと導入された希溶液Swは、下部管寄せ14に流入する。下部管寄せ14に流入した希溶液Swは、各液管10の下部に達し、高温溶液ポンプ48(図2参照)の圧力により複数の液管10内を上昇して上部管寄せ15へと向かう。希溶液Swは、各液管10を上昇する過程でバーナー16の火炎及び燃焼ガスGbにより加熱され、冷媒が蒸発して高温冷媒蒸気Vaが発生し、溶液自体の濃度は上昇して高温濃溶液Saとなる。希溶液Swから濃度が上昇した高温濃溶液Saと高温冷媒蒸気Vaとは、混合流体Fmとして各液管10から上部管寄せ15に流入して収集され、混合流体管21を介して気液分離器22に流入される。
気液分離器22に流入した混合流体Fmは、バッフル板22aに衝突後にバッフル板22aの面に案内されて下方に流れる際に高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとに分離され、高温冷媒蒸気Vaはバッフル板22aの下端を反転して上方に移動し、高温濃溶液Saは気液分離器22の下部に溜まる。このとき、分離された高温濃溶液Saが気液分離器22の下部に貯留されている高温濃溶液Saに降り注ぐため、気液分離器22の下部に貯留されている高温濃溶液Saの液面は波立っている。気液分離器22の上方に移動した高温冷媒蒸気Vaは、高温冷媒蒸気導出口22eから導出され、冷媒蒸気管57を中温再生器32M(図2参照)に向かって流れる。他方気液分離器22の下部に溜まった高温濃溶液Saは、高温濃溶液導出口22nから導出され、高温濃溶液管46を吸収器31(図2参照)に向かって流れる。また、気液分離器22の下部に溜まった高温濃溶液Saの余剰分が、戻り管25を流れて下部管寄せ14に還流する。
このとき、気液分離器22と連通する液面制御ケース24にも高温濃溶液Saが流入する。液面制御ケース24の上部が気液分離器22の気相部と上部連通管29Aで接続されているため、液面制御ケース24の気相部と気液分離器22の気相部とがほぼ等しい圧力となり、液面制御ケース24内には気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が現れる。また、液面制御ケース24は配設高さを異にした中間連通管29B及び下部連通管29Cで戻り管25と接続されていて、中間連通管29Bは低液位Lsより下位にあって高温濃溶液Saで満たされているため、戻り管25を流通する高温濃溶液Saの一部は中間連通管29B及び下部連通管29Cをバイパスして液面制御ケース24を流通する。これによって、液面制御ケース24内の高温濃溶液Saは、気液分離器22及び戻り管25を流通する高温濃溶液Saと素早く置換され、気液分離器22内の高温濃溶液Saと同一性状、同一比重となる。さらに、液面制御ケース24内は、高温濃溶液Saの液滴が降り注ぐことがないので液面が落ち着いている。したがって、液面制御ケース24内の高温濃溶液Saの液位は、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が正しく反映されることとなる。そして、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が正しく反映される液面制御ケース24内に液位検出電極棒23が設けられているので、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位を正確に検出することができる。このように、本実施の形態の高温再生器32Aでは、従来の不都合、つまり、従来のように気液分離器と液面制御ケースとを気相部と液相部とを各1本ずつの連通管で接続したままで、液面制御ケースの下端が気液分離器の下端よりも下方になるように配設した場合は、負荷に応じて性状が変化する気液分離器内の溶液に対して液面制御ケース内の溶液はその内部に滞留したまま溶液性状が変化せず、双方の溶液性状が異なって、液面制御ケース内の液位が気液分離器内の液位を正確に反映することができずに安定した液位制御が困難であるという不都合を解消している。
吸収冷凍機30の定常運転時には、下部管寄せ14に流入する希溶液Swの流量は、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位に基づいて調節される。気液分離器22内の液位が高液位電極棒23tの検出液位迄上昇すると、高液位電極棒23tが信号を発信して高温溶液ポンプ48の回転数(rpm)を所定の回転数減少させ、これにより希溶液Swの供給量を減少させて、気液分離器22内の液位を低下させる。ここで「所定の回転数」は、典型的には気液分離器22内の高温濃溶液Saの増加を抑制して気液分離器22内の高温濃溶液Saを適切な量に維持できるような回転数である。検出直後は気液分離器22内の高温濃溶液Saが減少するようにし、その後液位を気液分離器22内の適切な位置に維持するようにしてもよい。
他方、気液分離器22内の液位が低液位電極棒23sの検出液位迄下降すると、低液位電極棒23sが信号を発信して高温溶液ポンプ48の回転数(rpm)を所定の回転数増加させ、これにより希溶液Swの供給量を増加させて、気液分離器22内の液位を上昇させる。ここで「所定の回転数」は、典型的には気液分離器22内の高温濃溶液Saの減少を抑制して気液分離器22内の高温濃溶液Saを適切な量に維持できるような回転数である。検出直後は気液分離器22内の高温濃溶液Saが増加するようにし、その後液位を気液分離器22内の適切な位置に維持するようにしてもよい。
このように、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位を、高液位電極棒23tの検出液位と低液位電極棒23sの検出液位との間の液位幅に所定の変動幅を加えた液位幅内で制御するように、下部管寄せ14に流入する希溶液Swの流量を調節する。これにより、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位は、負荷の変化にかかわらず常に所定範囲幅内に維持されることとなる。
上記のように、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が、高液位電極棒23tの検出液位と低液位電極棒23sの検出液位との間の液位幅に所定の変動幅を加えた液位幅内で制御されると、通常は高温濃溶液Saの液位が損傷防止液位Lpよりも低下することがないと考えられる。しかし、液管10内の液位や気液分離器22内の液位は、高温溶液ポンプ48からの希溶液Swの供給量、気液分離器22に流出する混合流体Fmの流量、気液分離器22から戻り管25を介して下部管寄せ14に戻る高温濃溶液Saの流量、バーナー16における燃焼量、吸収冷凍機30(図2参照)の運転圧等が総合的に作用してその変化が現れるため、損傷防止液位Lpよりも低下することも起こりうる。そこで、高温再生器32Aでは、気液分離器22内の高温濃溶液Saの液位が損傷防止液位Lp迄下降すると、損傷防止電極棒23pが信号を発信してバーナー16の燃焼を停止させる。これにより、液管10が過熱されることに起因して損傷を受けることを防ぐことができ、高温再生器32Aを安全に運転することができる。
再び図2に戻って、溶液側のサイクルの説明を続ける。高温再生器32Aから導出されて高温濃溶液管46を流れる高温濃溶液Saは、高温溶液熱交換器37に導かれて高温再生器32Aに向かう希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。他方、高温再生器32Aから導出されて冷媒蒸気管57を流れる高温冷媒蒸気Vaは、中温再生器32Mの加熱蒸気管32Maに流入する。
ここから低温再生器21B及び中温再生器32Mまわりの作用に視点を移すと、中温溶液ポンプ38で圧送されて希溶液管55を流れる希溶液Swは、まず低温溶液熱交換器36で混合濃溶液Scと熱交換して熱回収した後に分流し、一部は希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へと導かれ、残りは希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bへと導かれる。希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へ流入した希溶液Swは、中温再生器32Mから導出された中温濃溶液Smと熱交換して温度が上昇した後に希溶液管55Aを流れて中温再生器32Mへと導入される。
中温再生器32Mに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Mbから散布される。希溶液散布ノズル32Mbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaによって加熱され、中温再生器32M内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して中温濃溶液Smとなる。高温冷媒蒸気Vaからの受熱により温度が上昇した中温濃溶液Smは、重力及び中温再生器32M内の圧力により中温濃溶液管56Aへ導出される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は中温冷媒蒸気Vmとして冷媒蒸気管58を流れる。加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液となり、凝縮冷媒管57Dを介して冷媒蒸気管58に流入し、中温冷媒蒸気Vmと混合される。冷媒蒸気管58を流れる中温冷媒蒸気Vmは、冷媒液が混入して混合冷媒蒸気Vnとなり、低温再生器32Bの加熱蒸気管32Baへと送られる。
他方、希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Bbから散布される。希溶液散布ノズル32Bbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnによって加熱され、低温再生器32B内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して低温濃溶液Sbとなる。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は低温冷媒蒸気Vbとして凝縮器33へと送られる。混合冷媒蒸気Vnからの受熱により温度が上昇した低温濃溶液Sbは、低温再生器32B内の圧力や重力により低温濃溶液管56Bへ導出される。なお、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液Vdとなり、凝縮冷媒管59を流れて凝縮器33に導入される。
低温再生器32Bから導出されて低温濃溶液管56Bを流れる低温濃溶液Sbは、中温溶液熱交換器35から導出されて高温濃溶液管56Aを流れてきた高温濃溶液管Saと合流して混合濃溶液Scとなって濃溶液管56を流れる。その後混合濃溶液Scは、低温溶液熱交換器36に流入して吸収器31から導出された希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。温度が低下した混合濃溶液Scは、高温溶液熱交換器37で熱交換を行って温度が低下した高温濃溶液Saと混ざり合って混合濃溶液Sdとなる。混合濃溶液Sdは、吸収器31に導かれ、濃溶液散布ノズル31bから冷却水管31aに向けて散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
なお、上述の吸収冷凍機30において高温再生器32Aを以下のものに代えてもよい。図3は、変形例に係る高温再生器の縦断面図であり、(a)は第1の変形例、(b)は第2の変形例、(c)は第3の変形例、(d)は第4の変形例の図である。図3に示す各変形例では、気液分離器22まわりを示し外容器13内の図示は省略しているが、外容器13内の構成、並びに、液管10(図1参照)、上部管寄せ15(図1参照)、及び下部管寄せ14(図1参照)と気液分離器22との高さの関係は、図1に示す第1の実施の形態に係る高温再生器32Aと同様である。
図3(a)に示す第1の変形例では、上部連通管29Aが気液分離器22ではなく冷媒蒸気管57に接続されている。このとき、上部連通管29Aは、気液分離器22との接続部になるべく近い冷媒蒸気管57に接続されていると、液面制御ケース24内の高温濃溶液Saの液位が気液分離器22内の液位をより正確に反映することとなるため好ましい。
図3(b)に示す第2の変形例では、中間連通管29Bが戻り管25ではなく気液分離器22の下部の高温濃溶液Saが貯留されている部分に接続されている。この場合は、図1に示す第1の実施の形態に係る高温再生器32Aに比べて、気液分離器22内の高温濃溶液Saの性状等の変化が、液面制御ケース24内の高温濃溶液Saに反映されるのが早くなる。
図3(c)に示す第3の変形例では、液位検出電極棒23を気液分離器22内に設け、液面制御ケース24(図1参照)を省略している。第3の変形例では、液位検出電極棒23が、鉛直方向に延びるようにして、気液分離器22の上面に取り付けられている。ここで、損傷防止液位Lpは気液分離器22の最下部よりも下方にあるため、損傷防止電極棒23pは、気液分離器22の底面に接続された戻り管25内まで下端が延びている。損傷防止電極棒23pの下端を戻り管25内まで延長することによって、気液分離器22を相対的に上方に配設することができ、気液分離器22内の気相空間を大きく取ることができる。高液位電極棒23tの下端及び低液位電極棒23sの下端は、気液分離器22内に止まっている。これによって、気液分離器22内に高温濃溶液Saを貯留することができる。このとき、液位検出電極棒23が、混合流体管21が接続されている領域と、バッフル板22aを挟んで反対側の領域に配設されていることが好ましい。このようにすると、気液分離器22に流入した混合流体Fmが直接液位検出電極棒23に接触することを防ぐことができ、誤検知を抑制することができる。なお、上述のように、気液分離器22内では、混合流体Fmがバッフル板22aに当たって分離した高温濃溶液Saが常に上方から降り注いでいるため、気液分離器22の下部に貯留された高温濃溶液Saの液表面は荒れている。
第3の変形例では、荒れた液面によって液位検出電極棒23が高温濃溶液Saとの接液と非接液を繰り返すチャタリング現象に起因する誤検知を排除するため、液位検出電極棒23を囲む防波筒28が設けられている。防波筒28は、典型的には液位検出電極棒23全体を囲うような円筒であり、液位検出電極棒23の下端よりもさらに下方にチャタリングを回避できる長さ以上延長されており、下端が開放されている。さらに防波筒28の上方、すなわち、気液分離器22の天板近くの防波筒28の側面位置に、防波筒28内の圧力を気液分離器22内の圧力に保つための小孔28hが形成されている。小孔28hは、防波筒28の外側から内側に向けて液滴が侵入することを防ぐ観点から、バッフル板22aに対向する側とは反対側に形成するとよい。
防波筒28は、図3(c)に示すように高液位電極棒23t、低液位電極棒23s、及び損傷防止電極棒23pのそれぞれを別個に囲むように3本設けてもよく、あるいは高液位電極棒23t及び低液位電極棒23sについては1本の防波筒28に収容するようにしてもよい。また、防波筒28は、気液分離器電極棒23の長手方向全体を囲まなくても、少なくとも液位検出電極棒23の下端周辺を囲むようにすればよい。ここで「下端周辺」とは、各液位検出電極棒23が荒れた液面の波浪による誤検知を回避することができる範囲である。第3の変形例によれば、液面制御ケース24(図1参照)が不要となり、製造コストを安価にすることができる。
図3(d)に示す第4の変形例では、液面制御ケース24内には高液位電極棒23t及び低液位電極棒23sを配設し、損傷防止電極棒23pを、第3の変形例の要領で、下端が戻り管25内まで延びるようにして気液分離器22内に配設している。このようにすると、液面制御ケース24の下端を損傷防止液位Lpまで下げることなくコンパクトにすることができると共に、下部連通管29Cを省略することができる。
さらに図示は省略するが、高液位電極棒23t及び低液位電極棒23sを第3の変形例の要領で気液分離器22内に配設し、損傷防止電極棒23pを液面制御ケース24内に配設することとしてもよい。また、液面制御ケース24内に設ける液位検出器は、液位検出電極棒23に代えてフロートスイッチ等の公知の液位検出器としてもよい。しかしながら、液位検出器を電極棒とすると、可動部分がないため信頼性が高まるという利点がある。
以上の説明では、吸収冷凍機30が三重効用吸収冷凍機であるとして説明したが、単効用吸収冷凍機や二重効用吸収冷凍機であってもよい。単効用吸収冷凍機とした場合は、上述した高温再生器32Aを再生器とすることができ、二重効用吸収冷凍機とした場合は、上述した高温再生器32Aを作動温度が高い方の再生器とするとよい。