図1は、本発明の実施形態のガラスアンテナが設けられるバックドア1の分解斜視図である。
本実施形態のバックドア1は、車両後端部の上縁に沿って車幅方向に配置されたバックドア上部と、車両後端部の左右の側縁に沿って車両上下方向に配置されたバックドア側部と、左右のバックドア側部の下端部から下方に配置されたバックドア裾部とから構成されている。バックドア1は、その上部を蝶番によって車体に取り付けられており、上部を支点として上方向へ回動することによって開放される。バックドア1の上側には、開口部1Dを覆うように、開口部1Dの周囲に塗布されたウレタン系接着剤によってリアガラス2が取り付けられる。
バックドア1は、外板を構成するインナーパネル1Bと内板を構成するアウターパネル1Cとを組み合わせ、その周縁部を接合して形成される。バックドア1は、その中央には開口部1Dを有し、開口部1Dにはリアガラス2が装着される。すなわち、リアガラス2は、アウターパネル1Cのバックドア上部、バックドア側部及びバックドア裾部のアウターパネル1Cに取り付けられ、開口部1Dを覆う。
インナーパネル1B及びアウターパネル1Cは、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)又は金属によって形成される。
バックドア1の内部は中空となっており、この中空領域には、バックドア1の剛性を高めるために樹脂製又は金属製のリインフォース9A、9Bが設けられる。具体的には、左のリインフォース9Aは、バックドア上部、左のバックドア側部及びバックドア裾部に設けられる。また、右のリインフォース9Bは、バックドア上部、右のバックドア側部及びバックドア裾部に設けられる。
なお、実施例1で後述する樹脂製バックドアは、インナーパネル1Bとアウターパネル1Cとが樹脂製であり、リインフォース9A、9Bは樹脂製でも金属製でもよい。また、実施例2で後述する金属製バックドアは、インナーパネル1Bとアウターパネル1Cとが金属製であり、リインフォース9A、9Bも金属製である。
リアガラス2の下部には、ワイパーが設けられる。ワイパーは、その回動軸をモータによって駆動し、左右に揺動する。
<実施形態1>
図2は、本発明の第1実施形態のガラスアンテナのパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
バックドア1の開口部1Dを覆うように取り付けられたリアガラス2には、デフォッガ90が形成される。デフォッガ90は、リアガラス2の左右に設けられた一対のバスバ93と、二つのバスバ93の間を接続する複数の加熱線条91と、複数の加熱線条91を接続する垂直線条92とを有する。垂直線条92は、図示したように複数本(例えば3本)設けても、1本設けてもよい。また、垂直線条92は、同じ水平線条を端点としても、異なる水平線条を端点としてもよい。
最下部の加熱線条91の中央部は、ワイパーの回動軸を避けるために、上方向に屈曲するが、このような屈曲を設けなくてもよい。
バスバ93には、電源及びアースからデフォッガ90に流入する受信周波数帯のノイズを抑制するためのデフォッガコイル94が設けられる。
リアガラス2において、デフォッガ90が設けられていない上部の余白部には第1アンテナ11が設けられ、デフォッガ90が設けられていない左側の余白部には第2アンテナ21が設けられる。第1アンテナ11は、上部の余白部ではなく、下部の余白部に設けてもよく、第2アンテナ21は左側の余白部ではなく、右側の余白部に設けてもよい。この、リアガラス2の左右上下に設けられる余白部がアンテナ取付可能領域である。
すなわち、アンテナ取付可能領域は、バックドア1が合成樹脂製である場合、リアガラス2をバックドア1に取り付けるために塗布された接着剤層とデフォッガ90(最上部の加熱線条又はバスバ93)との間の領域である。すなわち、合成樹脂製のバックドア1において、接着剤層の内側の空間がアンテナの線条やデフォッガの線条を配置できる領域であり、実質的には開口部1Dは接着剤層の内周となる。よって、バックドア1が合成樹脂製である場合、図2から図11において、破線1Dは接着剤層の内周を表す。一方、バックドア1が金属製である場合、開口部1Dの周縁(いわゆる、ボディフランジ)とデフォッガ90(最上部の加熱線条又はバスバ93)との間の領域である。
リアガラス2の上部の余白部の縦方向の幅(すなわち、デフォッガ90の最上部の水平線条91と開口部1Dの上辺との間隔)は40mm以上であるとよい。また、バックドア1が合成樹脂製である場合、リアガラス2の左側及び右側の余白部の横方向の幅(すなわち、バスバ93と接着剤層との間隔)はそれぞれ40mm以上であるとよい。また、バックドア1が金属製である場合、リアガラス2の左側及び右側の余白部の横方向の幅(すなわち、バスバ93と開口部1Dの左辺及び右辺との間隔)はそれぞれ10mm以上であるとよい。
また、デフォッガ90の上部から左側にかけての余白部には、第1アンテナ11の芯線側給電部10A及びアース側給電部10Bが隣接して設けられ、第2アンテナ21の芯線側給電部20A及びアース側給電部20Bが隣接して設けられる。
第1アンテナ11は、FMラジオ放送波(76〜108MHz)を受信するアンテナである。第2アンテナ21は、DAB放送波を受信するアンテナであり、バンド3(174〜240MHz)及びLバンド(1452〜1492MHz)のいずれかの周波数帯の電波を受信するものでも、両方の周波数帯を受信する共用アンテナでもよい。
第1アンテナ11は、芯線側給電部10Aから下方向に延伸する接続線条と、該接続線条の下端から左方向にデフォッガ90の最上部の水平線条91と略平行に延伸する水平線条とを有する。芯線側給電部10Aの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、芯線側給電部10Aはピックアップ端子を介して同軸ケーブル5Aの芯線に接続される。アース側給電部10Bの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、アース側給電部10Bはピックアップ端子を介して同軸ケーブル5Aの外部導体に接続される。同軸ケーブル5Aは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、受信アンプ7Aを介して受信機8に信号を伝送する。
第2アンテナ21は、芯線側給電部20Aから左方向に延伸する接続線条と、該接続線条の左端から下方向にデフォッガ90の左側を延伸する垂直線条とを有する。芯線側給電部20Aの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、芯線側給電部20Aはピックアップ端子を介して同軸ケーブル5Bの芯線に接続される。アース側給電部20Bの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、アース側給電部20Bはピックアップ端子を介して同軸ケーブル5Bの外部導体に接続される。同軸ケーブル5Bは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、受信アンプ7Bを介して受信機8に信号を伝送する。
同軸ケーブル5A、5Bは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、それぞれ、受信アンプ7A、7Bを介して受信機8に信号を伝送する。
アース側給電部10Bとアース側給電部20Bとは、アースエレメント70によって接続される。アースエレメント70の形状(例えば、線状、帯状など)や、配置される位置(例えば、デフォッガ90との相対的な位置、デフォッガ90を囲むように配置するか等)や、長さを問わない。
アースエレメント70は、アース側給電部10Bとアース側給電部20Bとを接続するが、単にグランド電位を与えるだけではない。すなわち、アースエレメント70によってアンテナ感度が変化するので、本実施形態のガラスアンテナは、アースエレメント70が、アース側の放射エレメントとして機能するといえる。そして、アースエレメント70の長さを調整することによって、アースエレメント70が接続しているアンテナのインピーダンスや共振周波数を変えることができる。
アースエレメント70は、アース側給電部10Bとアース側給電部20Bとの配置に基づいて、適切な長さにすればよい。特に、後述する実施形態のようにアースエレメント70が長い場合に、アースエレメント70によるアンテナ特性の変化は顕著に表れる。さらに、後述する実施形態のようにアースエレメント70が長い場合に、アースの機能がより高まり、給電線(同軸ケーブル)の這い回しによって各アンテナの特性が影響を受けにくくなり、アンテナ特性を安定化することができる。
よって、本実施形態のガラスアンテナは、アース側の放射エレメントが互いに接続された複数のアンテナを含むガラスアンテナであるといえる。
第1実施形態では、アースエレメント70が複数のアース側給電部10B、20Bを接続するので、良好なアンテナ感度を得ることができる。また、ルーフやスポイラーにFMアンテナを設けなくても、バックドアに配置したアンテナのみでFMラジオ放送をダイバーシティ受信できるので、自動車のデザイン性を向上することができる。
<実施形態2>
図3は、本発明の第2実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第2実施形態のガラスアンテナは、第1アンテナ11とダイバーシティを構成する第3アンテナ31を設けている点が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、リアガラス2の余白部には、第1アンテナ11、第2アンテナ21及び第3アンテナ31が設けられる。また、デフォッガ90の上部から左側にかけての余白部には、第1アンテナ11の芯線側給電部10A及びアース側給電部10Bが隣接して設けられ、第2アンテナ21の芯線側給電部20A及びアース側給電部20Bが隣接して設けられる。さらに、デフォッガ90の右上の余白部には、第3アンテナ31の芯線側給電部30A及びアース側給電部30Bが隣接して設けられる。
すなわち、第1アンテナ11及び第2アンテナ21はリアガラス2の縦中心線の左側に配置され、第3アンテナ31はリアガラス2の縦中心線の右側に配置される。
第3アンテナ31はFMラジオ放送波(76〜108MHz)を受信するアンテナであり、第1アンテナ11とダイバーシティを構成する。
第3アンテナ31は、芯線側給電部30Aから左方向に延伸する水平線条と、該水平線条の左端から上方向に延伸する垂直線条と、該垂直線条の上端から左方向に延伸する水平線条とを有する。芯線側給電部30Aの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、芯線側給電部30Aはピックアップ端子を介して同軸ケーブル(図示省略)の芯線に接続される。アース側給電部30Bの位置にはピックアップ端子が取り付けられており、アース側給電部30Bはピックアップ端子を介して同軸ケーブルの外部導体に接続される。第3アンテナ31に接続される同軸ケーブルは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、受信アンプを介して受信機8に信号を伝送する。
アース側給電部10B、アース側給電部20B及びアース側給電部30Bは、アースエレメント70によって接続される。第2実施形態において、アースエレメント70は、各アース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71のみによって構成される。接続エレメント71は、接続するアース側給電部10B、20B、30Bよりリアガラス2の上辺に近い位置に配置される。また、アースエレメント70は、視界に入っても目立たない程度の太さの1mm以下(例えば、0.7mm)の導体で、後述するように、導電性のセラミックペーストを焼付けして形成する。
なお、アース側給電部10B、アース側給電部20B、アース側給電部30Bの一つは、アースエレメント70と接続されていなくてもよい。すなわち、リアガラス2上にアース側給電部が設けられていないアンテナをリアガラス2上に設けてもよい。例えば、アンテナの取付位置によっては、当該アンテナのアースを車体に接続してもよい。
第2実施形態の前述以外の構成は、第1実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第2実施形態では、第1アンテナ11と第3アンテナ31とをリアガラス2の縦中心線に対して反対側に配置するので、二つのアンテナのアース側給電部を接続するアースエレメント70に所定以上の長さを持たせることができ、アースの機能をより高めることができる。また、二つのアンテナの間隔は、良好なダイバーシティ効果が得られる条件や、給電線の這い回しによってアンテナ感度が不安定化しない程度の長さで適宜定めるとよい。
また、アースエレメント70を、アース側給電部10B、20B、30Bよりリアガラス2の上辺に近い位置に配置したので、アースエレメント70を目立たなくすることができ、好ましい外観を実現することができる。また、アースエレメント70をリアガラス2の上辺から離れて配置する場合と比較して、良好な感度が得やすくなる。
また、アースエレメント70を線状に形成したので、目立たつことなく、アンテナ感度を良好に調整することができる。
<実施形態3>
図4は、本発明の第3実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第3実施形態のガラスアンテナは、接続エレメント71に接続される補助アースエレメント72をデフォッガ90の右上部に設けている点が第2実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72とによって構成される。補助アースエレメント72は、デフォッガ90の右上部の余白部において、接続エレメント71の右上角部から左方向に水平に延伸し、さらに下方向に延伸する。
なお、図示した例では、補助アースエレメント72を接続エレメント71の右上角部に接続したが、補助アースエレメント72をアース側給電部30Bに接続し、デフォッガ90の右上部の余白部に設けてもよい。
なお、後述する実施形態のように、補助エレメントの形状、配置及び長さは様々な形態をとりうる。例えば、後述する実施形態の他に、デフォッガ90に近づく方向や、アンテナの給電部の内側に設けてもよい。
さらに、補助アースエレメントは、後述する実施形態のように、一部又は全部が面状でもよい。
第3実施形態の前述以外の構成は、第2実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第3実施形態では、アース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72とを設けたので、アース側給電部の位置が制約されており、接続エレメント71の形状、配置及び長さが決まる場合でも、補助アースエレメント72の形状や配置や長さを変えることによって、良好なアンテナ感度を得ることができる。
また、補助アースエレメント72を設けることによって、給電点の位置にかかわらず、アースエレメント70の全長を長くすることができ、アースエレメント70の面積が大きくなるので、アースを安定することができ、給電線の這い回しの影響を受けにくくすることができる。
また、補助アースエレメント72を接続エレメント71に接続することによって、アースエレメントを調整するバリエーションが増え、各アンテナの入力インピーダンスを適切に調整することができ、アンテナ感度を良好な値に調整することができる。例えば、補助アースエレメント72と各アンテナ11、21、31のエレメントとの距離や、補助アースエレメント72の接続位置や、補助アースエレメント72の形状や、補助エレメントが延伸する方向を調整してもよい。
また、補助アースエレメント72が、各アンテナ11、21、31の芯線側エレメントの近くに設けられることによって、アンテナ感度を調整することができる。
<実施形態4>
図5は、本発明の第4実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第4実施形態のガラスアンテナは、アース側給電部20Bに接続される補助アースエレメント73をデフォッガ90の左側に設けている点が第3実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72と、アース側給電部20Bから延伸する補助アースエレメント73によって構成される。補助アースエレメント73は、アース側給電部20Bに接続され、デフォッガ90の左側の余白部において、アース側給電部20Bから左方向に水平に延伸し、さらに、下方向に延伸する。すなわち、補助アースエレメント73は、アース側給電部20Bを介して接続エレメント71と接続している。
なお、図示した例では、補助アースエレメント72を、接続エレメント71の右上角部に接続したが、アース側給電部30Bに接続し、デフォッガ90の右上部の余白部に設けてもよい。また、補助アースエレメント73を、アース側給電部30Bに接続したが、接続エレメント71の左上角部に接続し、デフォッガ90の左側の余白部に設けてもよい。
第4実施形態の前述以外の構成は、第3実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第4実施形態では、補助アースエレメント73をアース側給電部20Bに接続するので、補助アースエレメントを調整するバリエーションが増え、各アンテナの入力インピーダンスを適切に調整することができ、アンテナ感度を良好な値に調整することができる。
また、補助アースエレメント72、73を設けることによって、給電点の位置にかかわらず、アースエレメント70の全長を長くすることができ、アースエレメント70の面積が大きくなるので、アースを安定することができ、給電線の這い回しの影響を受けにくくすることができる。
<実施形態5>
図6は、本発明の第5実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第5実施形態のガラスアンテナは、第3実施形態と同様に、接続エレメント71に接続される補助アースエレメント72をデフォッガ90の右側に設けている点において第2実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72によって構成される。補助アースエレメント72は、接続エレメント71の右上角部に接続され、デフォッガ90の右側の余白部において、接続エレメント71を左方向に水平に延伸し、さらに下方向に延伸して、バスバ93の右側に配置される。
なお、図示した例では、補助アースエレメント72を、接続エレメント71の右上角部に接続したが、アース側給電部30Bに接続し、デフォッガ90の右側の余白部に設けてもよい。
第5実施形態では、接続エレメント71及び補助アースエレメント72を、それぞれ、デフォッガ90の上部及び右側に配置することによって、アースエレメント70が、デフォッガ90の隣接する2辺(上辺、右辺)を囲むように配置される。
第5実施形態の前述以外の構成は、第3実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第5実施形態では、デフォッガ90の隣接する2辺(上辺、右辺)を囲むようにアースエレメント70を配置し、アースエレメント70を長くしたので、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。そのため、アンテナから車体のアースまでの同軸ケーブルの這い回しによるアンテナ感度の変化の影響を低減することができる。また、アースエレメント70を幅広に形成できない場合でも、長さによって面積を大きくすることができる。
<実施形態6>
図7は、本発明の第6実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第6実施形態のガラスアンテナは、接続エレメント71に接続される補助アースエレメント73をデフォッガ90の左側に設けている点において第5実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72、73によって構成される。補助アースエレメント73は、接続エレメント71の左上角部に接続され、デフォッガ90の左側の余白部において、接続エレメント71から左方向に水平に延伸し、さらに、下方向に延伸する。
なお、図示した例では、補助アースエレメント72を接続エレメント71の右上角部に接続したが、補助アースエレメント72をアース側給電部30Bに接続し、デフォッガ90の右側の余白部に設けてもよい。また、補助アースエレメント73を、接続エレメント71の左上角部に接続したが、アース側給電部20Bに接続し、デフォッガ90の左側の余白部に設けてもよい。
第6実施形態では、接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73を、それぞれ、デフォッガ90の上部、右側及び左側に配置することによって、アースエレメント70がデフォッガ90の3辺(左辺、上辺、右辺)を囲むように配置される。
なお、図6、図7に、デフォッガ90の隣接する2辺又は3辺を囲むようにアースエレメント70を配置する例を示したが、図11に示すように、デフォッガ90の4辺を囲むようにアースエレメント70を配置してもよい。
第6実施形態の前述以外の構成は、第5実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第6実施形態では、デフォッガ90の3辺(左辺、上辺、右辺)を囲むようにアースエレメント70を配置したので、アースエレメント70を長くすることができる。そのため、アースエレメント70をデフォッガ90の隣接する2辺を囲むように配置した場合より、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。そのため、アンテナから車体のアースまでの同軸ケーブルの這い回しによるアンテナ感度の変化の影響を低減することができる。また、アースエレメント70を幅広に形成できない場合でも、長さによって面積を大きくすることができる。
<実施形態7>
図8は、本発明の第7実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第7実施形態のガラスアンテナは、接続エレメント71の一部に幅広部74を設けている点が第2実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71によって構成される。接続エレメント71の上部の略水平部分を通常の幅(0.7mm)ではなく、幅を広くしたアース側面状体による幅広部74を設けている。幅広部74は、金属箔によるベタパターンでも、導電性ペーストを焼成したベタパターンでも、通常の幅の導電体を網目状に形成したものでもよい。
第7実施形態では、接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73を、それぞれ、デフォッガ90の上部、右側及び左側に配置することによって、アースエレメント70が、デフォッガ90の3辺(左辺、上辺、右辺)を囲むように配置される。
第7実施形態の前述以外の構成は、第2実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第7実施形態では、接続エレメント71の一部に幅広部74を設けたので、アースエレメント70を長くしなくても、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。そのため、アンテナから車体のアースまでの同軸ケーブルの這い回しによるアンテナ感度の変化の影響を低減することができる。
<実施形態8>
図9は、本発明の第8実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第8実施形態のガラスアンテナは、接続エレメント71に面状の補助アースエレメント75及び76を設けている点が第2実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント75、76によって構成される。補助アースエレメント75、76は、接続エレメント71から左右に延伸し、接続エレメント71の左端及び右端に設けられる矩形の補助面状体である。補助アースエレメント75、76は、金属箔によるベタパターンでも、導電性ペーストを焼成したベタパターンでも、通常の幅(約0.7mm)の導電体を網目状に形成したものでもよい。
なお、図示した例では、補助アースエレメント75を接続エレメント71の左上角部に接続したが、補助アースエレメント75をアース側給電部20Bに接続してもよい。また、補助アースエレメント76を接続エレメント71の右上角部に接続したが、補助アースエレメント76をアース側給電部30Bに接続してもよい。
第8実施形態の前述以外の構成は、第2実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第8実施形態では、面状の補助アースエレメント75及び76を設けたので、接続エレメント71を長くしなくても、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。そのため、アンテナから車体のアースまでの同軸ケーブルの這い回しによるアンテナ感度の変化の影響を低減することができる。
<実施形態9>
図10は、本発明の第9実施形態のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。
第9実施形態のガラスアンテナは、平行する線条72B、72Dを補助アースエレメント72に設けている点が第6実施形態と異なる。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72、73によって構成される。補助アースエレメント72は、接続エレメント71の左上角部にから右方向に延伸する水平線条72A、水平線条72Aの右端から下方向に延伸する垂直線条72B、垂直線条72Bの下端から左方向に延伸する水平線条72C、及び、水平線条72Cの左端から上方向に延伸する垂直線条72Dによって構成される。すなわち、垂直線条72Bと垂直線条72Dとは略平行に配置され、垂直線条72Bと垂直線条72Dとの間は水平線条72Cによって接続される。
このように、垂直線条72Bと垂直線条72Dとを平行に配置することによって、当該部分を広い幅に形成したと同様の効果を得ることができる。
なお、垂直線条72Bと垂直線条72Dとは、その下端部で水平線条72Cによって接続したが、垂直線条72Dの中央部で水平線条72Cによって接続して、H型のエレメントを形成したり、垂直線条72Dの上端部で水平線条72Cによって接続して、逆L型のエレメントを形成してもよい。
また、先端の垂直線条72Dは、垂直線条72Bより内側(垂直線条72Bとバスバ93との間)に設けたが、垂直線条72Bより外側に設けてもよい。
また、図示した例では、補助アースエレメント72を、接続エレメント71の右上角部に接続したが、アース側給電部30Bに接続し、デフォッガ90の右側の余白部に設けてもよい。また、補助アースエレメント73を、接続エレメント71の左上角部に接続したが、アース側給電部20Bに接続し、デフォッガ90の左側の余白部に設けてもよい。
アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bの間を接続する接続エレメント71と、接続エレメント71から延伸する補助アースエレメント72と、アース側給電部20Bから延伸する補助アースエレメント73によって構成される。
第9実施形態では、接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73を、それぞれ、デフォッガ90の上部、右側及び左側に配置することによって、アースエレメント70が、デフォッガ90の3辺(左辺、上辺、右辺)を囲むように配置される。
第9実施形態の前述以外の構成は、第6実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
第9実施形態では、補助アースエレメント72の先端の垂直線条72Dを、垂直線条72Bと近接して平行に配置したので、垂直線条72Bと垂直線条72Dとの間隔を調整することによって、アンテナ感度を調整することができる。
なお、本発明の実施形態のアンテナの線条やアースエレメント70は、給電部に接続されるが、給電部の中央に接続されても、給電部の端部に接続されてもよい。
本発明の実施形態のデフォッガ90、線条、アンテナ及びアースエレメントは、そのパターンをリアガラス2の室内面側の所定位置に、導電性のセラミックペーストによって各線条の幅を所望の太さ(細い部分は、約0.7mm)で印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けして形成される。また、デフォッガ90と離隔したアンテナ及びアースエレメントは、光を透過する樹脂フィルム上に形成された導電性のパターンによって形成して、ガラス板に貼り付けてもよい。
次に、本発明の実施形態のガラスアンテナの作用について説明する。
本実施形態のガラスアンテナが設けられるリアガラス2にはデフォッガ90が形成され、余白部に設けられるアンテナ11、21、31のアース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71を有するので、各アンテナの特性が給電線の這い回しの影響を受けにくくなり、アンテナ特性を安定化させ、良好なアンテナ感度を得ることができる。
また、二つのアンテナ10、30は、リアガラス2の縦中心線に対して反対側に配置されるので、二つのアンテナのアース側給電部を接続する接続エレメント71に所定以上の長さを持たせることができ、アースの機能をより高めることができる。また、二つのアンテナ10、30を離れて配置することによって、良好なダイバーシティ効果を得ることができる。
また、アースエレメント70は、アース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71と、接続エレメント71又はアース側給電部10B、20B、30Bから延伸する補助アースエレメント72、73、75、76、77とを有するので、アース側給電部の位置が制約されており、接続エレメント71の形状、配置及び長さが決まってしまう場合でも、補助アースエレメントの形状や配置や長さを変えることによって、良好なアンテナ感度を得ることができる。
また、補助アースエレメント72、73、75、76、77を設けることによって、給電点の位置にかかわらず、アースエレメント70の全長を長くすることができ、アースエレメント70の面積が大きくなるので、アースを安定することができ、給電線の這い回しの影響を受けにくくすることができる。
また、補助アースエレメントの形状や接続する位置を選択することによって、補助アースエレメントを調整するバリエーションが増え、各アンテナの入力インピーダンスを適切に調整することができ、アンテナ感度を良好な値に調整することができる。
また、接続エレメント71は線状に形成され、補助アースエレメント72、73、75、76、77の少なくとも一部は線状に形成される。すなわち、接続エレメント71を線状に形成することによって、目立たつことなく、アンテナ感度を良好に調整することができる。一方、接続エレメント71の一部に幅広部74を設けることによって、接続エレメント71を長くしなくても、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。
また、補助アースエレメント72は、互いに近接して配置される二つ以上の垂直線条72B、72Dを有するので、垂直線条72Bと垂直線条72Dとの間隔を調整することによって、アンテナ感度を調整することができる。
また、接続エレメント71を、アース側給電部10B、20B、30Bより、リアガラス2の上辺に近い位置に配置したので、接続エレメント71を目立たなくすることができ、好ましい外観を実現することができる。また、接続エレメント71をリアガラス2の上辺から離れて配置する場合と比較して、良好な感度を得ることができる。
また、接続エレメント71を、デフォッガ90の隣接する2以上の辺を囲むように配置するので、アースエレメント70を長くすることができる。そのため、アースエレメント70の面積を大きくすることができ、アースの機能をより高めることができ、アンテナ特性をより安定化することができる。
また、デフォッガ90から延伸するデフォッガ補助線条96、97を、アンテナ11、21、31のエレメントと近接して配置するので、デフォッガ補助線条96、97と、アンテナ11、21、31のエレメントとを容量結合させ、良好なアンテナ感度を得ることができる。
以下、本発明の種々の実施例について説明する。
<実施例1>
図11は、本発明の第1実施例のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。なお、第1実施例において、前述した実施形態と同じ構成は適宜省略して説明する。
リアガラス2は、開口部1Dの周囲に塗布されたウレタン系接着剤によって、開口部1Dを覆うようにバックドア1に取り付けられる。第1実施例のバックドア1は合成樹脂によって成型される。
リアガラス2には、デフォッガ90が形成される。デフォッガ90は、リアガラス2の左右に設けられた一対のバスバ93と、二つのバスバ93の間を接続する複数の加熱線条91と、複数の加熱線条91を接続する垂直線条92とを有する。
バスバ93には、デフォッガコイル94が設けられる。すなわち、一方のバスバ93はデフォッガコイル94を介して電源に接続し、他方のバスバ93はデフォッガコイル94を介してアースに接続する。デフォッガコイル94によって、デフォッガ90が、受信周波数帯域(例えば、FMラジオ放送帯)において高周波的に浮いた状態となっている。そのため、デフォッガに乗ったFMラジオ放送波の信号が、デフォッガ90の給電部から電源やアースに流出せず、補助線条95、96と容量結合している第1アンテナ11及び第3アンテナ31に伝達される。そのため、第1アンテナ11及び第3アンテナ31の感度を高めることができる。
第1実施例において、デフォッガ90の左、上及び右に設けられる余白部がアンテナ取付可能領域である。具体的には、アンテナ取付け可能領域はリアガラス2とバックドア1とを固定するための接着剤が塗布された領域とデフォッガ90の外周との間の領域であり、デフォッガ90の最上部の水平線条91と開口部1Dの上辺との間隔は55mmであり、デフォッガ90の左右のバスバ93と開口部1Dの左辺及び右辺との間隔はそれぞれ120mmである。
また、第1実施例において、デフォッガ90が設けられていない上部の余白部には第1アンテナ11及び第3アンテナ31が設けられ、デフォッガ90が設けられていない左側の余白部には第2アンテナ21が設けられる。
また、デフォッガ90の上部の余白部には、第1アンテナ11の芯線側給電部10A及びアース側給電部10Bが隣接して設けられ、デフォッガ90の右側の余白部には、第3アンテナ31の芯線側給電部30A及びアース側給電部30Bが隣接して設けられる。第1アンテナ11の給電部10A、10B及び第3アンテナ31の給電部30A、30Bは10mm×10mmの正方形であり、隣接する二つの給電点は20mm離れて配置される。デフォッガ90の左側の余白部には、第2アンテナ21の芯線側給電部20A及びアース側給電部20Bが隣接して設けられる。第2アンテナ21の給電部20A、20Bは12mm×12mmの正方形であり、隣接する二つの給電点は30mm離れて配置される。
第1アンテナ11及び第3アンテナ31はFMラジオ放送波(海外バンドの88〜108MHz)を受信するアンテナであり、ダイバーシティを構成する。第2アンテナ21はバンド3(174〜240MHz)のDAB放送波を受信するアンテナであり、バンド3及びLバンドの両方の周波数帯を受信する共用アンテナでもよい。
第1アンテナ11は、芯線側給電部10Aから下方向に延伸する接続線条と、該接続線条の下端から左方向にデフォッガ90の最上部の水平線条91と略平行に延伸する水平線条とを有する。第1アンテナ11の芯線側給電部10Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部10Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第1アンテナ11の接続線条の長さは5mmで、水平線条の長さは500mmである。第1アンテナ11のエレメントの全長は505mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数98MHzにおいてαλ/4程度となる。
第2アンテナ21は、芯線側給電部20Aから左方向に延伸する接続線条と、該接続線条の左端から下方向にデフォッガ90の左側を延伸する垂直線条とを有する。第2アンテナ21の芯線側給電部20Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部20Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第2アンテナ21の接続線条の長さは10mmで、垂直線条の長さは150mmである。第2アンテナ21のエレメントの全長は160mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数207MHzにおいてαλ/6程度となる。
第3アンテナ31は、芯線側給電部30Aから左方向に延伸する接続線条と、該水平線条の左端から上方向に延伸する垂直線条と、該垂直線条の上端から左方向に延伸する水平線条とを有する。第3アンテナ31の芯線側給電部30Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部30Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第3アンテナ31の接続線条の長さは5mmで、垂直線条の長さは95mmで、水平線条の長さは270mmである。第3アンテナ31の合計のエレメントの全長は365mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数98MHzにおいてαλ/5程度となる。
同軸ケーブルは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、受信アンプを介して受信機8に信号を伝送する。
アース側給電部10B、アース側給電部20B及びアース側給電部30Bは、接続エレメント71によって接続される。接続エレメント71は、アース側給電部10B、20B、30Bより、リアガラス2の上辺に近い位置に配置され、アース側給電部10B、20B、30Bを接続する。アース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71の水平部の長さは1070mmであり、接続エレメント71とアース側給電部10Bとを接続する線条の長さは5mmであり、接続エレメント71とアース側給電部20Bとを接続する線条の長さは45mmであり、接続エレメント71とアース側給電部30Bとを接続する線条の長さは60mmであり、接続エレメント71の全長は1180mmである。また、接続エレメント71は、視界に入っても目立たない程度の太さの1mm以下(例えば、0.7mm)の導体で、導電性のセラミックペーストを焼付けして形成する。
また、デフォッガ90の右側の余白部に補助アースエレメント72が設けられ、デフォッガ90の左側の余白部に補助アースエレメント73が設けられ、デフォッガ90の下部の余白部に補助アースエレメント77が設けられる。
補助アースエレメント72は、接続エレメント71の左上角部にから40mm右方向に延伸する水平線条72A、水平線条72Aの右端から300mm下方向に延伸する垂直線条72B、垂直線条72Bの下端から10mm左方向に延伸する水平線条72C、及び、水平線条72Cの左端から140mm上方向に延伸する垂直線条72Dによって構成される、全長490mmのエレメントである。すなわち、垂直線条72Bと垂直線条72Dとは10mmの間隔で略平行に配置され、垂直線条72Bと垂直線条72Dとの間は水平線条72Cによって接続されている。このように、垂直線条72Bと垂直線条72Dとを平行に配置することによって、当該部分を広い幅に形成したと同様の効果を得ることができる。
補助アースエレメント73は、接続エレメント71から40mm左方向に水平に延伸し、さらに、280mm下方向に延伸する。
補助アースエレメント77は、補助アースエレメント73の下端から150mm右方向に延伸する。
補助アースエレメント73及び補助アースエレメント77は、全長470mmの補助エレメントを構成する。
接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73、77は、一体となって、全長2140mmのアースエレメント70を構成する。
このように、接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73、77を、それぞれ、デフォッガ90の上部、右側、左側及び下側に配置することによって、アースエレメント70が、デフォッガ90の4辺(左辺、上辺、右辺、下辺)を囲むように配置される。
また、第1実施例では、最上部の水平線条91と略平行に延伸する補助線条95を設ける。補助線条95は、最上部の水平線条91と略平行に延伸する水平線条と、該水平線条と水平線条91とを接続する接続線条とで構成される。補助線条95の水平線条の長さは接続線条との交点から右側に120mm、左側に555mmであり、接続線条の長さは5mmである。すなわち、補助線条95と第1アンテナ11の水平線条とは、10mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分43で容量結合する。オーバーラップ部43の長さは約375mmである。
また、デフォッガ90の上部余白部に補助線条96を設ける。補助線条96は、最上部の水平線条91の右端から25mm上方向に延伸し、その後、左方向に615mm略水平に延伸し、第1アンテナ11と第3アンテナ31との間に延在する。すなわち、補助線条96と第1アンテナ11の水平線条とは、10mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分41で容量結合する。オーバーラップ部41の長さは約100mmである。また、補助線条96と第3アンテナ31の水平線条とは、5mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分42で容量結合する。オーバーラップ部42の水平部分の長さは約265mmである。なお、補助線条96と第3アンテナ31とは、垂直部分が25mmの長さでオーバーラップしている。補助線条96と第1アンテナ11のエレメントとが容量結合し、補助線条96と第3アンテナ31のエレメントとが容量結合することによって、良好なアンテナ感度を得ることができる。
また、デフォッガ90の左側の余白部に補助線条97を設ける。補助線条97は、左側のバスバ93の上端から左方向に5mm延伸する接続線条と、該接続線条の左端から下方向に170mm延伸する垂直線条と、該垂直線条の下端から左方向に15mm延伸する水平線条とによって構成される、船長が190mmの線条である。補助線条97と第2アンテナ21の垂直線条とは、5mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分44で容量結合する。オーバーラップ部44の長さは約140mmである。補助線条97と、第2アンテナ21のエレメントとが容量結合することによって、良好なアンテナ感度を得ることができる。
第1実施例では、デフォッガ上部のアンテナ取付可能領域の幅が小さく、該領域が狭いにもかかわらず、FMラジオ放送帯(特に、該帯域の高周波帯88〜108MHz)で良好な感度が得られ、DAB帯(174〜240MHz)においても良好な感度が得られる。
また、アースエレメント70の全長が長いので、アースエレメント70が良好なアース性能を有し、同軸線の這い回しに影響されず良好なアンテナ性能を得ることができる。また、補助アースエレメント72、73、77の長さ及び配置によって、アンテナ感度を微調整することができる。
また、補助アースエレメント72のように先端部を折り返すことによって、隣接する線条72B、72Dが容量結合して、アースとして線状のエレメントで形成される面積より大きな面積を有するものと同様の効果が得られ、アースをより安定することができる。
<実施例2>
図12は、本発明の第2実施例のアンテナパターンを示し、自動車のリアガラス2に設けられるガラスアンテナの正面図(車内視)である。なお、第2実施例において、前述した実施形態と同じ構成は適宜省略して説明する。
リアガラス2は、開口部1Dの周囲に塗布されたウレタン系接着剤によって、開口部1Dを覆うようバックドア1に取り付けられる。第2実施例のバックドア1は金属によって形成され、開口部1Dが金属フランジを形成する。
リアガラス2には、デフォッガ90が形成される。デフォッガ90は、リアガラス2の左右に設けられた一対のバスバ93と、二つのバスバ93の間を接続する複数の加熱線条91と、複数の加熱線条91を接続する垂直線条92とを有する。
バスバ93には、デフォッガコイル94が設けられる。すなわち、一方のバスバ93はデフォッガコイル94を介して電源に接続し、他方のバスバ93はデフォッガコイル94を介してアースに接続する。デフォッガコイル94によって、デフォッガ90が、受信周波数帯域(例えば、FMラジオ放送帯)において高周波的に浮いた状態となっている。そのため、デフォッガに乗ったFMラジオ放送波の信号が、デフォッガ90の給電部から電源やアースに流出せず、補助線条95と容量結合している第1アンテナ11及び第3アンテナ31に伝達される。そのため、第1アンテナ11及び第3アンテナ31の感度を高めることができる。
第2実施例において、デフォッガ90の左、上及び右に設けられる余白部がアンテナ取付可能領域である。具体的には、アンテナ取付け可能領域は開口部1Dの端辺(いわゆる、ボディフランジ)とデフォッガ90の外周との間の領域であり、デフォッガ90の最上部の水平線条91と開口部1Dの上辺との間隔は40mmであり、デフォッガ90の左右のバスバ93と開口部1Dの左辺及び右辺との間隔はそれぞれ10mmである。この左右の領域には、第1実施例(図11)と異なり、エレメントは設けられていない。このように、左右の余白部を小さくすることによって、アンテナ性能を良好に保つことができる。これは、樹脂製バックドア(第1実施例)の場合と比較して、接続エレメント71を金属製のバックドア1(開口部1Dの周縁)と近接して配置することによって、接続エレメント71がボディフランジと容量結合し、アースエレメント70がアースとして良好に機能するためである。
また、第2実施例において、デフォッガ90が設けられていない上部の余白部には第1アンテナ11及び第3アンテナ31が設けられ、デフォッガ90が設けられていない左側の余白部には第2アンテナ21が設けられる。
また、デフォッガ90の上部の余白部には、第1アンテナ11の芯線側給電部10A及びアース側給電部10Bが隣接して設けられ、デフォッガ90の右側の余白部には、第3アンテナ31の芯線側給電部30A及びアース側給電部30Bが隣接して設けられる。第1アンテナ11の給電部10A、10B及び第3アンテナ31の給電部30A、30Bは10mm×10mmの正方形であり、隣接する二つの給電点は20mm離れて配置される。デフォッガ90の左側の余白部には、第2アンテナ21の芯線側給電部20A及びアース側給電部20Bが隣接して設けられる。第2アンテナ21の給電部20A、20Bは12mm×12mmの正方形であり、隣接する二つの給電点は30mm離れて配置される。
第1アンテナ11及び第3アンテナ31はFMラジオ放送波(海外バンドの88〜108MHz)を受信するアンテナであり、ダイバーシティを構成する。第2アンテナ21はバンド3(174〜240MHz)のDAB放送波を受信するアンテナであり、バンド3及びLバンドの両方の周波数帯を受信する共用アンテナでもよい。
第1アンテナ11は、芯線側給電部10Aから下方向に延伸する接続線条と、該接続線条の下端から左方向にデフォッガ90の最上部の水平線条91と略平行に延伸する第1水平線条と、該水平線条の右端から上方向に延伸する垂直線条と、該垂直線条の上端から右方向に略水平に延伸する第2水平線条とを有する。第1アンテナ11の芯線側給電部10Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部10Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第1アンテナ11の接続線条の長さは10mmで、第1水平線条の長さは230mmで、垂直線条の長さは5mmで、第2水平線条の長さは235mmである。第1アンテナ11のエレメントの全長は480mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数98MHzにおいてαλ/4程度となる。
第2アンテナ21は、芯線側給電部20Aから左方向に延伸する接続線条と、該接続線条の左端から下方向にデフォッガ90の左側を延伸する垂直線条とを有する。第2アンテナ21の芯線側給電部20Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部20Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第2アンテナ21の接続線条の長さは5mmで、垂直線条の長さは130mmである。第2アンテナ21のエレメントの全長は135mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数207MHzにおいてαλ/8程度となる。
第3アンテナ31は、芯線側給電部30Aから左方向に延伸する接続線条と、該水平線条の左端から上方向に延伸する垂直線条と、該垂直線条の上端から左方向に延伸する水平線条とを有する。第3アンテナ31の芯線側給電部30Aは同軸ケーブル(給電線)の芯線に接続され、アース側給電部30Bは同軸ケーブルの外部導体に接続される。第3アンテナ31の接続線条の長さは5mmで、垂直線条の長さは75mmで、水平線条の長さは300mmである。第3アンテナ31の合計のエレメントの全長は380mmであり、ガラスの波長短縮率α=0.7とし、帯域の中心周波数98MHzにおいてαλ/5程度となる。
同軸ケーブルは、バックドア1と車体との間に設けられたグロメット4の中空部を経由して車内に導入され、受信アンプを介して受信機8に信号を伝送する。
アース側給電部10B、アース側給電部20B及びアース側給電部30Bは、接続エレメント71によって接続される。接続エレメント71は、アース側給電部10B、20B、30Bより、リアガラス2の上辺に近い位置に配置され、アース側給電部10B、20B、30Bを接続する。アース側給電部10B、20B、30Bを接続する接続エレメント71の水平部の長さは1100mmであり、接続エレメント71とアース側給電部10Bとを接続する線条の長さは5mmであり、接続エレメント71とアース側給電部20Bとを接続する線条の長さは30mmであり、接続エレメント71とアース側給電部30Bとを接続する線条の長さは50mmであり、接続エレメント71の全長は1185mmである。また、接続エレメント71は、視界に入っても目立たない程度の太さの1mm以下(例えば、0.7mm)の導体で、後述するように、導電性のセラミックペーストを焼付けして形成する。
また、デフォッガ90の右側の余白部に補助アースエレメント72が設けられる。補助アースエレメント72は、接続エレメント71の左上角部にから15mm右方向に延伸する水平線条と、水平線条の右端から60mm下方向に延伸する垂直線条とによって構成される、全長75mmのエレメントである。
さらに、デフォッガ90の上部の余白部に補助アースエレメント78が設けられる。補助アースエレメント78は、接続エレメント71の下に略平行に延伸する水平線条と、水平線条と接続エレメント71とを接続する垂直線条とで構成される。水平線条の長さは80mmであり、垂直線条の長さは10mmであり、補助アースエレメント78の全長は90mmである。
接続エレメント71及び補助アースエレメント72、78は、一体となって、全長1350mmのアースエレメント70を構成する。
このように、接続エレメント71及び補助アースエレメント72、73、77を、それぞれ、デフォッガ90の上部、右側、左側及び下側に配置することによって、アースエレメント70が、デフォッガ90の4辺(左辺、上辺、右辺、下辺)を囲むように配置される。
また、第2実施例では、最上部の水平線条91と略平行に延伸する補助線条95を設ける。補助線条95は、最上部の水平線条91と5mmの間隔で左方向に略平行に延伸する第1水平線条と、最上部の水平線条91と10mmの間隔で右方向に略平行に延伸する第2水平線条と、該第1及び第2水平線条と水平線条91とを接続する接続線条とで構成される。補助線条95の第1水平線条の長さは240mmで、第2水平線条の長さは350mmで、接続線条の長さは10mmである。これによって、補助線条95と第1アンテナ11の水平線条とは、5mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分45で容量結合する。オーバーラップ部45の長さは約235mmである。また、補助線条95と第3アンテナ31の水平線条とは、5mmの間隔で略平行に近接して配置され、オーバーラップしている部分46で容量結合する。オーバーラップ部46の長さは約150mmである。
また、デフォッガ90の上部に補助線条98を設ける。補助線条98は、最下部の加熱線条91の中央の屈曲部に5mmの間隔で沿って、左右に160mmの線条が設けられる。補助線条98によって、ワイパーのモータからのノイズの影響を低減することができる。
第2実施例では、デフォッガ上部のアンテナ取付可能領域の幅が小さく、該領域が狭いにもかかわらず、FMラジオ放送帯(特に、該帯域の高周波帯88〜108MHz)で良好な感度が得られ、DAB帯(174〜240MHz)においても良好な感度が得られる。
また、アースエレメント70の全長を長くしているので、アースエレメント70が良好なアース性能を有し、同軸線の這い回しに影響されず良好なアンテナ性能を得ることができる。また、補助アースエレメント72の長さ及び配置によって、アンテナ感度を微調整することができる。
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。