JP7138658B2 - リアガラス - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施形態に係るバックドアは、例えば、ハッチバック式の車両後部の開口(図示省略)を閉じるものであり、この開口の上縁を構成する車両のルーフパネル(図示省略)の端部にヒンジ(図示省略)を介して取り付けられている。すなわち、跳ね上げ式のドアを構成している。具体的には、次のように構成されている。なお、以下の説明において、バックドアの各部位の方向を示すときには、特に断りのない限りは、開口を閉じた状態での方向を示すものとする。
次に、リアガラス3について、図4を参照しつつ説明する。図4はリアガラスの正面図である。図4に示すように、このリアガラス3は、矩形状に形成され、上下方向に配置されるアッパーパネル21とロアパネル22との間で、インナーパネル1及び強化フレーム4に締結材(図示省略)などによって固定される。そして、リアガラス3上に、デフォッガ5、デジタルテレビ(DTV)アンテナ6、及びAMアンテナ7が、実装されている。
以下、各部材について、順に説明する。
リアガラス3は、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板として、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70~73質量%
Al2O3:0.6~2.4質量%
CaO:7~12質量%
MgO:1.0~4.5質量%
R2O:13~15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T-Fe2O3):0.08~0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T-Fe2O3)の比率を0.4~1.3質量%とし、CeO2の比率を0~2質量%とし、TiO2の比率を0~0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT-Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
次に、デフォッガ5について説明する。図4に示すように、デフォッガ5は、リアガラス3における上下方向の中央付近に配置されており、リアガラス3の左右方向全体に亘って延びるように形成されている。具体的には、このデフォッガ5は、リアガラス3の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用のバスバー51a,51bを備えている。両バスバー51a,51bの間には、水平方向に延びる複数の加熱線52が所定間隔をおいて平行に配置されており、バスバー51a,51bからの給電により、防曇用の熱が発生するようになっている。なお、このデフォッガ5には、複数の加熱線52と交差し、上下方向に延びる少なくとも1つの垂直線を設けることもできる。
続いて、DTVアンテナ(デジタルテレビアンテナ)6について説明する。図4に示すように、DTVアンテナ6は、デフォッガ5の下方に配置されており、芯線側エレメント(導電性線状エレメント)61と、アース側エレメント(導電性線状エレメント)62とで構成されている。芯線側エレメント61は、デフォッガ5の下方に配置された矩形状の芯線側給電部611と、この給電部611から右側へ延びる水平部612とを有している。一方、アース側エレメント62は、芯線側給電部611より左側に配置された矩形状のアース側給電部621と、この給電部621に接続されたアース本体622と、を備えている。アース本体622は、アース側給電部621の上端から左側へ延びる上側水平部、この上側水平部の左端から下方へ延びる垂直部、及びこの垂直部の下端から右側へ延び、アース側給電部621の下端に接続される第2水平部と、で構成されている。
続いて、AMアンテナ7について説明する。AMアンテナ7は、デフォッガ5の上方に配置されており、ガラス板3の左側に配置された給電部71と、この給電部71から延びるアンテナエレメント72と、を有している。アンテナエレメント72は、線状に形成され、水平方向が長手方向となる矩形状の領域を囲むように配置されている。そして、アンテナエレメント72の左側に給電部71が配置されている。
上記のようなデフォッガ5、DTVアンテナ6、及びAMアンテナ7は、線材を組み合わせることで構成されているが、これらは導電性を有する導電性材料をリアガラス3の表面に所定のパターンを有するように積層することで形成することができる。そのような材料としては、導電性を有していればよく、実施形態に適宜選択可能であり、一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをリアガラス3の表面に印刷し焼成することによって形成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)電波受信の障害となる金属ではなく、樹脂材料によってバックドアが形成されているため、AMアンテナ7及びDTVアンテナ6の電波の受信感度を向上することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
上記AMアンテナ7の形態は、一例であり、エレメントの数、長さ、形状、方向などは、特には限定されず、種々の形態にすることができる。また、上記実施形態では、AMアンテナ7の全体がデフォッガ5よりも上方に配置されているが、AMアンテナ7のすべてがデフォッガ5の上方になくてもよく、例えば、AMアンテナ7の設置面積の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上がデフォッガ5の上方に配置されていればよい。したがって、AMアンテナ7の一部がデフォッガ5の側方や下方に配置されていてもよい。例えば、AMアンテナ7の主たる部分をデフォッガ5の上方に設置し、それ以外の部分をデフォッガ5の側方や下方に配置することができる。
デフォッガ5の上方にAMアンテナ7以外の追加アンテナを配置することもできる。例えば、FMアンテナ、DTVアンテナ、DABアンテナ等の少なくとも1つを配置することができる。これらのアンテナは、一のアンテナで構成するほか、例えば、メインアンテナとサブアンテナとで構成することができる。この場合、水平方向において、メインアンテナとサブアンテナとの間に、AMアンテナ7を配置することができる。このようにすると、メインアンテナとサブアンテナとの間の距離を保つことができるため、受信性能を向上することができる。また、AMアンテナ7とFMアンテナとを一体化したAM/FM兼用アンテナを設けることもできる。
上記DTVアンテナ6の形態は一例であり、エレメントの数、長さ、形状、方向などは、特には限定されない。また、DTVアンテナのほか、DABアンテナをデフォッガ5の下方に配置することもできる。その他、FMアンテナを配置することもできる。但し、本発明に係るリアガラスでは、少なくとも上述したAMアンテナ7が配置されていればよく、DTVアンテナ、DABアンテナ、FMアンテナは設けなくてもよい。
デフォッガ5の形態も特には限定されず、少なくとも両側にバスバー51a,51bが配置され、これらバスバー51a,51bを結ぶ水平方向の複数の加熱線52が設けられていればよい。また、水平加熱線52と交差する少なくとも1つの垂直線が設けられていてもよい。
バックドアの形態は、特には限定されず、樹脂製パネルを有し、この樹脂製パネルがリアガラス3が嵌め込まれる開口部が形成されていればよい。したがって、例えば、アッパーパネルとロアパネルとを一体化した1枚の樹脂製パネル、またはさらに複数のパネルを有するバックドアとすることもできる。
アンプは、車内に設ける以外に、ガラス板3上に配置されるものであってもよい。また、アンプを省略し、給電部と受信機を直接接続してもよい。
実施例1及び比較例1として、図5及び図6に示すパターンを有するリアガラスを準備した(単位はmm)。実施例1は、図5に示すように、上記実施形態と対応している。図6に示す比較例1が実施例1と相違するには、AMアンテナの位置であり、デフォッガの下方に配置されている。
次に、AMアンテナの設置面積と、デフォッガとの距離の関係について検討する。以下では、実施例2~4に係るリアガラスを準備した。実施例2~4は、図11に示すA,Bの長さを以下通り変えたものである。AはAMアンテナの上下方向の距離、Bはデフォッガの最上部とAMアンテナの最下部との距離である。
AMアンテナの位置について、実施例5~10について、ノイズの測定を行った。図13は、実施例5~10に係るAMアンテナの位置を示している。リアガラスの水平方向の中線Lに対し、実施例6,9では、アンテナが左右対称に延びるように配置した。実施例5,8は中線Lから左側に450mm離れた位置から中央側に延びるように配置した。同様に、実施例7,10は中線Lから右側に450mm離れた位置から中央側に延びるように配置した。また、実施例5~7は、デフォッガから80mm離れた位置に配置し、実施例8~10は、デフォッガから40mm離れた位置に配置した。各AMアンテナの上下方向の長さは40mm、水平方向の長さは実施例5~7で100mm、実施例8~10で80mmとした。実施例5~7と、実施例8~10で長さを変えたのは、AMアンテナとして同等の受信ができるようにするための調整のためである。
実施例に係るリアガラスを用い、ダミー容量が異なる3種類のアンプ(容量が5pF,30pF,50pF)での受信レベルを測定し、容量が50pFのアンプを用いたときの受信レベルに基づいて、正規化を行った。より詳細には、530~1710kHzのAM放送波の594、693、810、954、1134、1242、1458kHzの7点において、受信感度を測定する。そして、各周波数について、図7のAMアンテナ測定サイトの4つのポイントで測定する。4つのポイントでの測定値を平均した値を各周波数の受信感度とする。さらに、各周波数の受信感度については、アンテナ設置高相当である地上から約1.3mの高さに略直立した略600mmの正方形のループアンテナ(図14参照)にて電界レベルを測定し、60dBμV/m中での誘起電圧値に換算した。
5 :デフォッガ
6 :DTVアンテナ
7 :AMアンテナ
Claims (10)
- 車両後部の樹脂製の跳ね上げ式バックドアに取り付けられるリアガラスであって、
ガラス板と、
前記ガラス板の上下方向の中央付近に配置されるデフォッガと、
前記ガラス板において、前記デフォッガの上方に配置されるAMアンテナと、
を備え、
前記AMアンテナは、給電部と、前記給電部から延びるアンテナエレメントと、を有し、
前記デフォッガの最上部と、前記バックドアに取付けられた前記ガラス板の上縁との距離が40~100mmである、リアガラス。 - 車両後部の樹脂製の跳ね上げ式バックドアに取り付けられるリアガラスであって、
ガラス板と、
前記ガラス板の上下方向の中央付近に配置されるデフォッガと、
前記ガラス板において、前記デフォッガの上方に配置されるAMアンテナと、
前記AM放送波以外の放送波を受信する少なくとも1つの追加アンテナと、
を備え、
前記AMアンテナは、給電部と、前記給電部から延びるアンテナエレメントと、を有し、
前記追加アンテナは、メインアンテナとサブアンテナとを備え、
水平方向において、前記AMアンテナは、前記メインアンテナと前記サブアンテナとの間に配置されている、リアガラス。 - 前記ガラス板は、前記バックドアが閉じられた状態で、水平方向から45度以上の角度で設置される、請求項1または2に記載のリアガラス。
- 前記デフォッガの最上部から前記AMアンテナまでの距離は、前記AMアンテナの上下方向の最大幅以下である、請求項1に記載のリアガラス。
- 前記AM放送波以外の放送波を受信する少なくとも1つの追加アンテナをさらに備えている、請求項1または4に記載のリアガラス。
- 前記追加アンテナは前記デフォッガの上方に配置されている、請求項5に記載のリアガラス。
- 前記追加アンテナは、メインアンテナとサブアンテナとを備え、
水平方向において、前記AMアンテナは、前記メインアンテナと前記サブアンテナとの間に配置されている、請求項5または6に記載のリアガラス。 - 前記追加アンテナは、FMアンテナである、請求項5から7のいずれかに記載のリアガラス。
- 前記追加アンテナは、デジタルテレビ用アンテナである、請求項5から7のいずれかに記載のリアガラス。
- 前記ガラス板において、前記デフォッガの下方に配置される、デジタルテレビアンテナ及びDABアンテナの少なくとも一方をさらに備えている、請求項1から9のいずれかに記載のリアガラス。
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