JP7204736B2 - リアガラス - Google Patents
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Description
0.49×α×λFM-C≦LAM≦0.67×α×λFM-C
図1に示すように、本実施形態に係るバックドアは、例えば、ハッチバック式の車両後部の開口(図示省略)を閉じるものであり、この開口の上縁を構成する車両のルーフパネル(図示省略)の端部にヒンジ(図示省略)を介して取り付けられている。すなわち、跳ね上げ式のドアを構成している。具体的には、次のように構成されている。なお、以下の説明において、バックドアの各部位の方向を示すときには、特に断りのない限りは、開口を閉じた状態での方向を示すものとする。
次に、リアガラス3について、図4を参照しつつ説明する。図4はリアガラスの正面図である。図4に示すように、このリアガラス3は、矩形状に形成され、上下方向に配置されるアッパーパネル21とロアパネル22との間で、インナーパネル1及び強化フレーム4に締結材(図示省略)などによって固定される。そして、リアガラス3上に、デフォッガ5及びAM/FMの共用アンテナ6が、実装されている。以下、各部材について、順に説明する。
リアガラス3は、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板として、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70~73質量%
Al2O3:0.6~2.4質量%
CaO:7~12質量%
MgO:1.0~4.5質量%
R2O:13~15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T-Fe2O3):0.08~0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T-Fe2O3)の比率を0.4~1.3質量%とし、CeO2の比率を0~2質量%とし、TiO2の比率を0~0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT-Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
次に、デフォッガ5について説明する。図4に示すように、デフォッガ5は、リアガラス3における上下方向の中央付近に配置されており、リアガラス3の左右方向全体に亘って延びるように形成されている。具体的には、このデフォッガ5は、リアガラス3の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用のバスバー51a,51bを備えている。両バスバー51a,51bの間には、水平方向に延びる複数の加熱線52が所定間隔をおいて平行に配置されており、バスバー51a,51bからの給電により、防曇用の熱が発生するようになっている。さらに、複数の加熱線52を交差するように上下方向に延びる5本の垂直線53が設けられている。これら5本の垂直線53は、両バスバー51a,51bの間で等間隔に配置されている。
続いて、共用アンテナ6について説明する。図4に示すように、この共用アンテナ6は、AMとFMの両方の放送波を受信するものであり、デフォッガ5の上方に配置される。具体的には、デフォッガ5の上方に配置される給電部61と、この給電部61から延びるAMアンテナ62及びFMアンテナ63と、を備えている。AMアンテナ62は、給電部61からやや上方へ延びる補助素子620と、この補助素子620から水平方向に左側へ延びる第1AMアンテナ素子621と、この第1AMアンテナ素子621の左端部から下方へ延びる第2AMアンテナ素子622と、この第2AMアンテナ素子622の下端部から水平方向に右側へ延びる第3AMアンテナ素子623と、を備えている。第2AMアンテナ素子622は、上下方向において給電部61の下端付近まで延び、第3AMアンテナ素子623は、水平方向において給電部61の近傍にまで延びている。このように、AMアンテナ62は、第2AMアンテナ素子622及び第3AMアンテナ素子623が折り返し部を構成している。
本実施形態に係る共用アンテナ6では、AMアンテナ62の素子長を次のように調整することで、AMアンテナ62によるFMアンテナ63の受信性能への影響を低減できることを見いだした。この点について、図5を参照しつつ、説明する。図5は共用アンテナの拡大平面図である。
0.49×α×λFM-C≦LAM≦0.67×α×λFM-C (1)
上記のようなデフォッガ5、及び共用アンテナ6は、線材を組み合わせることで構成されているが、これらは導電性を有する導電性材料をリアガラス3の表面に所定のパターンを有するように積層することで形成することができる。そのような材料としては、導電性を有していればよく、実施形態に適宜選択可能であり、一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをリアガラス3の表面に印刷し焼成することによって形成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)共用アンテナ6において、AMアンテナ62の素子長LAMが、上記式(1)を充足するように構成されているので、FMアンテナ63の受信性能の低減を抑制することができる。すなわち、共用アンテナ6が、AMアンテナ62とFMアンテナ63を有していても、AMアンテナ62がFMアンテナ63の受信性能に影響を与えることを防止することができる。なお、AMアンテナ62の受信性能に対しては、一般的にFMアンテナ63による影響は非常に少ない。したがって、上記式(1)を充足する限り、AMアンテナ62及びFMアンテナ63を個別に設計することができ、設計の自由度を向上することができる。その結果、共用アンテナ6におけるAMアンテナ62及びFMアンテナ63の受信性能をともに向上することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
上記共用アンテナ6のAMアンテナ62のパターンは一例であり、素子の数、長さ、形状、方向などは、特には限定されず、種々の形態にすることができる。例えば、上記実施形態のAMアンテナ62の第1パターンは、下方に折り返されているが、図9に示すように、上方に折り返してもよい。したがって、第2~第4パターンについても同様である。
FMアンテナ63の構成は、特には限定されず、例えば、FM本体素子630を枠形ではなく、少なくとも1本の線状など他の形状に形成することもできる。あるいは、FM本体素子630を設けず、第1及び第2FMアンテナ素子631、632のみで、FMアンテナ63を構成することもできる。また、第1及び第2FMアンテナ素子631、632の形状を、例えば、L字状などに変えたり、これ以外の素子を設けることもできる。あるいは、給電部61とは異なる他の給電部から素子が延びるFMサブアンテナを設けることもできる。
上記実施形態では、FMアンテナ63の受信性能に影響を及ぼさないように、AMアンテナ62の素子長LAMを調整しているが、FMアンテナ63の受信性能に影響を及ぼさないようにするには、例えば、図10に示すようにすることができる。図10の例では、ループ状のAMアンテナ62を設け、このAMアンテナ62と給電部61との間にコイル66を配置している。これによって、AMアンテナ62がFMアンテナ63に影響を与えるのを防止することができる。ここで用いるコイル66は、FM帯域は高周波的に交流を阻止し、AM帯域は交流を通す機能を有するFM用チョークコイルであり、そのインダクタンスは、例えば、1~10μHであることが好ましい。また、コイル66を用いる場合でも、AMアンテナ62及びFMアンテナ63の形状等は上記のように適宜変更可能である。
上記実施形態では、第2FMアンテナ素子632が、AMアンテナ62よりもデフォッガ5に近い位置に配置されているが、デフォッガ5と第2FMアンテナ素子652との距離と、デフォッガ5とAMアンテナ62との距離とが同じであってもよい。例えば、第2FMアンテナ素子632と、第3AMアンテナ素子623とが、一直線上に並ぶことで、デフォッガ5から同じ距離に配置されてもよい。この場合、第3AMアンテナ素子623の全体ではなく、一部でも第2FMアンテナ素子632と一直線上に並んでいればよい。
また、上記実施形態では、共用アンテナ6がデフォッガ5よりも上方に配置されているが、デフォッガ5の下方に配置されていてもよい。
他のメディアに係るアンテナ、例えば、デジタルテレビアンテナ、DABアンテナを設けることもできる。
デフォッガ5の形態も特には限定されず、少なくとも両側にバスバー51a,51bが配置され、これらバスバー51a,51bを結ぶ水平方向の複数の加熱線52が設けられていればよい。また、垂直線53の数や位置は特には限定されず、5本以外でもよいし、等間隔に配置されていなくてもよい。また、垂直py53を設けないようにすることもできる。
バックドアの形態は、特には限定されず、樹脂製パネルを有し、この樹脂製パネルにリアガラス3が嵌め込まれる開口部が形成されていればよい。したがって、例えば、アッパーパネルとロアパネルとを一体化した1枚の樹脂製パネル、またはさらに複数のパネルを有するバックドアとすることもできる。
アンプは、車内に設ける以外に、ガラス板3上に配置されるものであってもよい。また、アンプを省略し、給電部と受信機を直接接続してもよい。
以下の受信性能の検討に当たっては、3次元電磁界シミュレーションソフト(タイムドメイン3D電磁界シミュレーションソフト)を用いた。このシミュレーションにおいては、厚みが3.1mmの一般的な強化ガラスを想定し、ガラス板をモデリングした。また、デフォッガ、アンテナ素子の線幅は1mm、ガラス板の短縮率は0.61を想定したモデルとした。シミュレーションの手順としては、(1)車両、誘電体、アンテナ等をモデリングし、材質を設定、(2)車両、誘電体、アンテナ等に妥当なメッシュを設定、を行った上で、シミュレーションを実行した。このようなシミュレーションの設定及び実行は、以下に示すすべての実施例及び比較例の検討において共通である。
・アンテナが実装されたリアガラスの取付角:水平方向に対して23度傾斜
・角度分解能:角度3度毎に自動車を360度回転させて測定
・電波の発信位置とアンテナとの仰角:1.9度(地面と水平方向を0度、天頂方向を90度とする)
結果は、図13~図15及び表2に示すとおりである。図13~図15は、それぞれ、実施例1~7、比較例1~4、及び参考例におけるFMアンテナの受信感度を示している。また、表2は、76~108MHzの周波数域でのFM放送波の平均の受信感度を示している。FM放送波の平均の受信感度は、76~108MHzの周波数域における1MHz毎の受信感度を平均することで算出した。図13、図15、及び表2に示すように、実施例1~7はともに、FMアンテナが単独で設けられた参考例と比べ、FM放送波の受信感度は、ほとんど低下していない。一方、図14が示すように、比較例1、2はともにFM放送波の周波数域の比較的高周波数側で大きな落ち込みがあり、比較例3、4はともにFM放送波の周波数域の比較的低周波数側で大きな落ち込みがある。図14及び図15に示すように、比較例1~4はともにFMアンテナが単独で設けられた参考例と比べ、FM放送波の受信感度が低下している。
図17に示す共用アンテナを有する実施例8を準備した。デフォッガやFMアンテナの寸法は上述した実施例1等と同じである。図17に示すように、この実施例8では、AMアンテナと給電部とをインダクタンスが4.7μHのコイルで接続している。また、比較例5として、図18に示すように、コイルを介さずに直接同じAMアンテナを給電部に接続した共用アンテナをモデル化した。コイルを用いていないこと以外は、比較例5と実施例8は概ね同じ構成である。
次に、FMアンテナの形状を変化させた実施例9~12を準備し、受信性能について、上記の各考察と同様に測定した。図20~図23は、実施例9~12に係る共用アンテナが配置されたリアガラスである(図中の数字の単位がmmの寸法である)。図20に示す実施例9は、FM本体素子が設けられておらず、第1及び第2FMアンテナ素子のみでFMアンテナが構成されている。図21に示す実施例10は、FM本体素子として、給電部から水平方向に延びる一本の素子を設けた。図22に示す実施例11は、FM本体素子として、給電部から水平方向に延びる二本の素子を平行に設けた。図23に示す実施例12は、上記各実施例と同様に、長方形状の枠形のFM本体素子を設けた。
5 :デフォッガ
6 :共用アンテナ
61 :給電部
62 :AMアンテナ
63 :FMアンテナ
Claims (9)
- 車両後部の開口を閉じる、跳ね上げ式のバックドアに取り付けられるリアガラスであって、
ガラス板と、
前記ガラス板の上下方向の中央付近に配置されるデフォッガと、
前記ガラス板において、前記デフォッガの上方または下方に設置される共用アンテナと、
を備え、
前記リアガラスが取付けられる前記バックドアの内周の上縁また下縁と、前記デフォッガとの間のスペースの上下方向の距離が100mm以下であり、
前記共用アンテナは、前記スペースに配置され、
前記共用アンテナは、給電部と、前記給電部と接続されるAMアンテナと、前記給電部と接続されるFMアンテナと、を有し、
前記AMアンテナの素子長LAM、前記FMアンテナの受信周波数域である76~108MHzに対応する中心波長λFM-C、及び前記ガラス板の波長短縮率α、の関係が、以下の式を充足する、リアガラス。
0.49×α×λFM-C≦LAM≦0.67×α×λFM-C - 前記AMアンテナは、
前記給電部から水平方向に延びる第1AMアンテナ素子と、
前記第1AMアンテナ素子の端部から上下方向に延びる第2AMアンテナ素子と、
前記第2AMアンテナ素子の端部から水平方向に前記給電部側に延びる第3AMアンテナ素子と、
を有する請求項1に記載のリアガラス。 - 前記AMアンテナは、
前記第3アンテナAM素子の端部から前記第1AM素子側に上下方向に延びる第4AMアンテナ素子と、
前記第4AMアンテナ素子の端部から前記第2AMアンテナ素子と連結するように水平方向に延びる第5AMアンテナ素子と、
をさらに有する請求項2に記載のリアガラス。 - 前記デフォッガは、
前記ガラス板の左右の端部に沿って上下方向に延びる一対のバスバーと、
前記一対のバスバーを結ぶように水平に延びる複数の加熱線と、
を有し、
前記FMアンテナは、
前記給電部から水平方向に延びるFM本体素子と、
前記給電部から前記デフォッガに向かって上下方向に延びる第1FMアンテナ素子と、
前記第1FMアンテナ素子の端部に連結され、水平方向に延びる第2FMアンテナ素子と、
を有し、
前記第2FMアンテナ素子は、前記デフォッガの加熱線のうち、最も前記FMアンテナに近接する加熱線と容量結合している、請求項1から3のいずれかに記載のリアガラス。 - 前記FM本体素子は枠形に形成されている、請求項4に記載のリアガラス。
- 前記第2FMアンテナ素子と前記デフォッガとの距離は、前記AMアンテナと前記デフォッガとの距離以下である、請求項4または5に記載のリアガラス。
- 前記AMアンテナの上下方向の長さは、75mm以下である、請求項1から6のいずれかに記載のリアガラス。
- 前記共用アンテナは、前記デフォッガの上方に配置される、請求項1から7のいずれかに記載のリアガラス。
- DABアンテナをさらに備えている、請求項1から8のいずれかに記載のリアガラス。
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