JP6843715B2 - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Description
前記ガラス板に配置され、複数の水平加熱線を有するデフォッガと、
前記ガラス板における前記デフォッガの上方または下方の領域に配置されるノイズ遮蔽パターンと、
を備え、
前記ノイズ遮蔽パターンは、
水平方向延びる第1導体と、
前記第1導体の中央付近から垂直方向に延び、合計長さが300mm以上の第2導体と、
を有する、窓ガラス。
前記第2導体は、電気的に結合されている第1部位と第2部位とを有し、
前記第1部位は、前記第1導体と前記第2導体とを連結し、
前記第2部位は、前記第1部位とは分断され、前記デフォッガの少なくとも1つの水平加熱線と交差している、項1に記載の窓ガラス。
前記第2導体は、前記第1導体の中心よりも前記サブアンテナから離れた側に配置されている、項1から9のいずれかに記載の窓ガラス。
本実施形態に係る窓ガラスが取り付けられる車両には、天井にシャークフィンアンテナ、ポールアンテナ等の外部アンテナが設けられており、この外部アンテナは、FMメインアンテナとして機能する。但し、FM以外のAM、DAB、デジタルテレビ、GPSなどの各種メディアに係る電波を受信することもできる。また、この窓ガラスが取り付けられる窓枠は、金属枠によって構成されている。さらに、この車両には、各種の電子機器(カーナビゲーションシステム、車載カメラ、USBチャージャー等)が積載されている。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用窓ガラスは、ガラス板1上に、デフォッガ2、及びノイズ遮蔽パターン3が、配置されている。以下、各部材について、順に説明する。
ガラス板1は、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板1として、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板1は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
次に、デフォッガ2について説明する。図1に示すように、デフォッガ2は、ガラス板1における上下方向の中央付近に配置されており、ガラス板1の左右方向全体に亘って延びるように形成されている。具体的には、このデフォッガ2は、ガラス板1の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用のバスバー21a,21bを備えている。両バスバー21a,21bの間には、複数の水平加熱線22が所定間隔をおいて平行に配置されており、バスバー21a,21bからの給電により、防曇用の熱が発生するようになっている。
次に、ノイズ遮蔽パターン3について説明する。ノイズ遮蔽パターン3は、デフォッガ2の上方の領域に配置されている。この領域の上下方向の長さは、例えば、100〜200mmとすることができる。そして、この領域に配置されるノイズ遮蔽パターン3は、ガラス板1の上辺に沿って水平に延びる線状の第1水平エレメント(第1導体)31と、デフォッガ2の最上部加熱線221と所定間隔をおいて平行に延びる線状の第2水平エレメント(第3導体)32と、第1水平エレメント31と第2水平エレメント32とを連結するように上下方向に延びる線状の垂直エレメント(第1部位)33と、を備えている。第1水平エレメント31と第2水平エレメント32とは、ほぼ同じ長さに形成されている。垂直エレメント33は、第1水平エレメント31と第2水平エレメント32の中央同士を連結するように延びており、上述したデフォッガ2の垂直線23と対応する位置に配置されている。これら垂直エレメント33と垂直線23とは、分断されているが、これらを合わせて、以下、垂直導体(第2導体)と称することとする。
上記のようなデフォッガ2及びノイズ遮蔽パターン3は、線材を組み合わせることで構成されているが、これらは導電性を有する導電性材料をガラス板1の表面に所定のパターンを有するように積層することで形成することができる。そのような材料としては、導電性を有していればよく、実施形態に適宜選択可能であり、一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板1の表面に印刷し焼成することによって形成することができる。
次に、本実施形態に係る窓ガラスの製造方法を説明する。本実施形態に係る窓ガラスのガラス板1は、プレスによって成形するプレス成形工法、ガラス板1の自重で曲げる自重曲げ工法等によって成形することができる。
以上のように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。ガラス板1は金属枠に嵌め込まれた誘電体であるため、デフォッガ2などの導体が配置されていない領域が、車内の電子機器(例えば、USBチャージャーなど)からのノイズを受信し、これを車外に再放射する現象が生じることが知られている。すなわち、ガラス板1とこれを囲む金属枠がスロットアンテナとして機能し、電波を車外に再放射する。これにより、車外の外部アンテナがノイズを受信することになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
上記実施形態では、デフォッガ2の垂直線23を1本としているが、他に1以上の垂直線を設けることもできる。
上記実施形態では、ノイズ遮蔽パターン3の垂直エレメント33と、デフォッガ2の垂直線23との合計長さを300mm以上としているが、例えば、垂直エレメント33の長さを300mm以上とすることもでき、このようにしても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、垂直エレメント33が単独で300mm以上の長さを有しているため、垂直エレメント33と垂直線23とは容量結合していなくてもよい。
上記実施形態のデフォッガ2の形態は一例であり、水平加熱線22の数、水平加熱線22と垂直線23との交差数などは、特には限定されない。また、受信感度を向上するために、追加のエレメントを適宜設けることもできる。
上記実施形態では、外部アンテナをFMメインアンテナとしているが、例えば、FMサブアンテナをガラス板に配置することもできる。図2は、その一例であり、FMサブアンテナ4が設けられている。このFMサブアンテナ4は、左側のバスバー21aの上方にチューナーに接続された給電部41を有し、この給電部41から最上部加熱線221と第2水平エレメント32との間に延びる水平エレメント42を有している。この水平エレメント42は、垂直線33の近傍まで延びている。このようなFMサブアンテナ4を設けると、FM放送波に対する周波数特性を向上することができる。また、FMサブアンテナ4の形状は特には限定されず、例えば、複数のエレメントを組み合わせた種々の形状が可能である。
ノイズ遮蔽パターン3やFMサブアンテナ4は、デフォッガ2の上方ではなく、下方に配置することもできる。
上記実施形態では、FMアンテナについて言及したが、外部アンテナやサブアンテナについては、FM以外のメディアについても適用することができ、例えば、AM,DAB,デジタルテレビなどにも適用することができる。
まず、ガラス板と金属枠によるノイズの発生について検討した。ここでは、図3〜図5に示すようなシミュレーションのモデルを作成した。図中の数字の単位は、mmである。図3は、実施例1に係る窓ガラスであり、ガラス板にデフォッガとノイズ遮蔽パターンとを配置している。デフォッガには3本の垂直線が設けられている。図4は比較例1であり図3の実施例1との相違は、垂直エレメントと垂直線とを直接接続している点である。図5は比較例2であり、ガラス板に実施例1と同様のデフォッガのみ配置している。以上の実施例1,比較例1,2は図示を省略するが、金属枠に窓ガラスが嵌め込まれている。一方、比較例3は、比較例2と同じ窓ガラスであるが、金属枠を設けていない。
次に、垂直導体の長さについて検討した。ここでは、実施例1〜5、比較例4,5を準備した。実施例1〜5、比較例4,5は、ともに垂直エレメントの長さが150mmであるが、デフォッガの垂直線の長さが相違する。垂直線以外の寸法は、実施例1〜5、比較例4,5において同じである。各例において、垂直エレメントと垂直線の間には、実施例1と同様に5mmの隙間が形成されている。また、垂直線は、デフォッガの最上部加熱線を起点とし、下方に延びている。さらに、比較例6として、ノイズ遮蔽パターンを設けず、垂直導体の長さが0mmのものも準備した。具体的な垂直線の長さは、以下の通りである。
・実施例2:420mm(垂直導体の長さ:575mm)
・実施例3:330mm(垂直導体の長さ:485mm)
・実施例4:240mm(垂直導体の長さ:395mm)
・実施例5:150mm(垂直導体の長さ:305mm)
・比較例4:60mm(垂直導体の長さ:215mm)
・比較例5:0mm(垂直導体の長さ:155mm)
・比較例6:0mm(垂直導体の長さ:0mm)
次に、垂直エレメントと垂直線との距離Eについて検討した。ここでは、実施例1、6〜8と比較例7,8について検討した。いずれもデフォッガ及びノイズ遮蔽パターンの形状は実施例1と同じであり(比較例7を除く)、垂直エレメントと垂直線との距離Bが相違する。具体的には、実施例1、6〜8では、それぞれEを5,10,20,30mmとした。また、比較例8はE=50mmとした。
垂直線の数について、実施例1,9,10及び比較例7を用いて検討した。実施例1は上記のように3本の垂直線を有している。実施例9は、中央の垂直線のみ有しており、実施例10は、デフォッガの中央から右側に400mm離れた位置、及び左側に400mm離れた位置の2カ所に垂直線が配置されている。これら実施例1,9,10及び比較例7に対し、上記試験1と同様のシミュレーションを行った。結果は、図11に示すとおりである。
次に、FMサブアンテナを設けた実施例11〜14について、垂直エレメントの水平位置の検討を行った。実施例11〜14は、実施例1と同様のノイズ遮蔽パターン及びデフォッガを有しており、さらにFMサブアンテナを有している。そして、図12では、実施例11〜14の垂直エレメントの位置を示している。実施例11は、実施例1と同じ位置に垂直エレメントが設けられている。実施例12は、垂直エレメントの水平位置を実施例11から左側へ50mmずらしている。実施例13は、垂直エレメントの水平位置を実施例11から右側へ50mmずらしている。また、実施例14は、垂直エレメントの水平位置を実施例11から右側へ100mmずらしている。
・アンテナが実装された窓ガラスの取付角:水平方向に対して23度傾斜
・角度分解能:角度3度毎に自動車を360度回転させて測定
・電波の発信位置とアンテナとの仰角:1.9度(地面と水平方向を0度、天頂方向を90度とする)
2 :デフォッガ
3 :ノイズ遮蔽パターン
Claims (12)
- 車両の金属枠に嵌め込まれるガラス板と、
前記ガラス板に配置され、複数の水平加熱線を有するデフォッガと、
前記ガラス板における前記デフォッガの上方または下方の領域に配置されるノイズ遮蔽パターンと、
を備え、
前記ノイズ遮蔽パターンは、
水平方向延びる第1導体と、
前記第1導体の中央付近から垂直方向に延び、合計長さが300mm以上の第2導体と、を有する、窓ガラス。 - 前記ノイズ遮蔽パターンは、前記デフォッガと所定間隔をおいて配置された第3導体をさらに備え、
前記第2導体は、電気的に結合されている第1部位と第2部位とを有し、
前記第1部位は、前記第1導体と前記第3導体とを連結し、
前記第2部位は、前記第1部位とは分断され、前記デフォッガの少なくとも1つの水平加熱線と交差している、請求項1に記載の窓ガラス。 - 前記第2導体の前記第1部位と前記第2部位とは、容量結合されている、請求項2に記載の窓ガラス。
- 前記第3導体と前記デフォッガとの距離が30mm以下である、請求項3に記載の窓ガラス。
- 前記第3導体と前記デフォッガとの距離が10mm以下である、請求項3に記載の窓ガラス。
- 前記第3導体と前記デフォッガとの距離が10mm以上30mm以下である、請求項3に記載の窓ガラス。
- 前記ノイズ遮蔽パターンは、前記デフォッガの上方に配置されている、請求項1から6のいずれかに記載の窓ガラス。
- 前記ガラス板において、前記デフォッガの上方または下方の前記ノイズ遮蔽パターンが配置されている領域の上下方向の長さは、100mm以上200mm以下である、請求項1から7のいずれかに記載の窓ガラス。
- 前記第2部位の長さが、30mm以上600mm以下である、請求項3から6のいずれかに記載の窓ガラス。
- 前記第2導体は、前記第1導体の中心から水平方向に100mm以内の範囲に連結されている、請求項1から9のいずれかに記載の窓ガラス。
- 前記車両の前記ガラス板以外の箇所に設けられたアンテナと同じメディアの電波を受信し、前記ガラス板に配置されるサブアンテナをさらに備え、
前記第2導体は、前記第1導体の中心よりも前記サブアンテナから離れた側に配置されている、請求項1から9のいずれかに記載の窓ガラス。 - 前記デフォッガの少なくとも1つの水平加熱線と交差する複数の垂直エレメントをさらに備えている、請求項3から6のいずれかに記載の窓ガラス。
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