JP2012217003A - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】車室内の電装部品の作動により発生する電磁波がノイズとしてルーフアンテナに与える環境下にあって、一層のノイズ低減を行う。
【解決手段】車両用窓ガラス1に形成されたデフォッガ20の上部エリア10に、デフォッガ20の水平線条21と略平行に配設された少なくとも2本の水平線状素子1a(2a),1b(2b)からなるノイズ遮蔽パターン#1〜#9を、ルーフやデフォッガ20の熱線とは電気的に絶縁して配設する。
【選択図】図1
【解決手段】車両用窓ガラス1に形成されたデフォッガ20の上部エリア10に、デフォッガ20の水平線条21と略平行に配設された少なくとも2本の水平線状素子1a(2a),1b(2b)からなるノイズ遮蔽パターン#1〜#9を、ルーフやデフォッガ20の熱線とは電気的に絶縁して配設する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両のルーフ後方にポールアンテナを有し、後部窓ガラスに複数の水平線状からなる熱線とその両端を接続するバスバーとからなるデフォッガが配設された、車両用窓ガラスに関する。
車両用のAM/FM用ラジオアンテナとして、車両のルーフ後方に取り付けられる棒状のルーフアンテナ(以下、ポールアンテナという)や、後方窓ガラス(リアガラス)面上にプリントされたフィルムアンテナ等が知られている。これらのAM/FM用ラジオアンテナには、車室内の電装部品から発せられるノイズが伝搬することが多い。このため、従来、リアガラス面上に形成されるデフォッガの上部エリアにノイズ遮蔽パターンを設置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1について、図12及び図13を用いて説明する。図12及び図13は、従来のノイズ遮蔽バターンを示す図である。図12に示されるように、車両100のルーフ後方にはポールアンテナ60が取り付けられており、ノイズ遮蔽パターン51は、後部窓ガラス50に形成されるデフォッガ52の上部エリアに形成されている。ノイズ遮蔽パターン51は、車室内の電装部品の作動によって発生するノイズを遮蔽し、ポールアンテナ60にノイズを伝達させないようにしている。
ノイズ遮蔽パターン51は、図13に示されるように、車室内の電装部品の作動により発生する電磁波がノイズとしてポールアンテナ60に与える環境下にあって、複数の水平線条からなる熱線521とその両端を接続するバスバー522,523とからなるデフォッガ52の上部エリアに形成される。
ノイズ遮蔽パターン51は、デフォッガ52の上部余白エリアに、少なくとも3本の水平線条516と、少なくとも1本の垂直線条517とを互いに交差させ、左右対称パターンとした線条バターンで形成される。そして、このノイズ遮蔽パターン51とデフォッガ52とを、中央部と、その左右対称となる位置に少なくとも3本の接続線条517で接続し、電装部品による電磁波ノイズをこのノイズ遮蔽パターン51で遮蔽し、ポールアンテナ60にノイズを伝達させないようにしている。
上記した特許文献1に開示された技術によれば、リアガラスに設けたデフォッガの上部エリアに、左右対称形状のノイズ遮蔽パターン51を設け、このノイズ遮蔽パターン51を少なくとも3本の接続線条517により左右対称位置でデフォッガ522に接続したことで、ポールアンテナ60に伝達されるノイズを一定量低減することができる。
しかしながら、依然として車室内から発振されたノイズがルーフに設置されたポールアンテナに誘起され、このため、ポールアンテナがノイズを受信してしまい、上記したノイズ遮蔽パターン51によっても十分な量のノイズ低減効果はない。今後、一層エレクトロニクス化が進み、数多くの電装部品が使用されつつある状況の中で、十分なノイズ低減効果が得られていないのが実情である。
本発明は、車室内の電装部品の作動により発生する電磁波がノイズとしてポールアンテナに与える環境下にあって、一層ノイズ低減を行うことができる、車両用窓ガラスを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車両のガラス面上にノイズ遮蔽パターンが配設された車両用窓ガラスであって、前記車両にはルーフアンテナが取り付けられており、前記ノイズ遮蔽パターンは、第1のエリアと、第2のエリアと、前記第1のエリアと前記第2のエリアによって左右に挟まれる第3のエリアとからなり、前記第1のエリアと前記第2のエリアに、少なくとも2本の水平線状素子と、前記水平線状素子のそれぞれを接続する1本以上の第1の垂直線状素子とからなる前記ノイズ遮蔽パターンがそれぞれ配設され、前記それぞれのノイズ遮蔽パターンは、前記車両を含む導体とは電気的に絶縁されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の車両用窓ガラスにおいて、前記水平線状素子の素子長は、前記垂直線状素子が前記水平線状素子に交わる点を基点に長い方の部位をいずれも略1/4波長分に設定することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の車両用窓ガラスにおいて、前記第1の垂直線状素子は、前記水平線状素子の前記第3のエリアに近い方の先端と交わることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1記載の車両用窓ガラスにおいて、前記第3のエリアの略中央に、前記第1のエリアにおける前記第1の垂直線状素子と略平行に配設された第2の垂直線状素子が配設されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、車両のガラス面上にノイズ遮蔽パターンが配設された車両用窓ガラスであって、前記車両にはルーフアンテナが取り付けられており、前記ノイズ遮蔽パターンは、水平方向に延びる少なくとも2本の、水平線状素子と、前記それぞの水平線状素子の略中央を接続する1本以上の垂直線状素子からなり、前記ノイズ遮蔽パターンは、前記車両を含む導体と電気的に絶縁されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の車両用窓ガラスにおいて、前記水平線状素子の素子長は、前記垂直線状素子が前記水平線状素子に交わる点を基点に長い方の部位をいずれも略1/4波長分に設定することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、車両用窓ガラスを、第1のエリアと、第2のエリアと、第1のエリアと第2のエリアによって左右に挟まれる第3のエリアとに区分し、第1のエリアと第2のエリアに、少なくとも2本の水平線状素子と、この水平線状素子のそれぞれを接続する1本以上の第1の垂直線状素子とからなるノイズ遮蔽パターンをそれぞれ配設し、それぞれのノイズ遮蔽パターンは、車両を含む導体とは電気的に絶縁されている。このため、第3エリアの近傍の電波の透過が抑制され、従って、車室内から発振されるノイズがルーフのセンター方向に放射されるのを防ぐことができる。
請求項2に係る発明によれば、水平線状素子の素子長は、略1/4波長分に設定される。発明者らの評価によれば、水平線状素子を略1/4波長分の素子長にすることで、垂直線状素子の設置位置に依存することなくノイズの遮蔽効果が大きいことがわかった。
請求項3に係る発明によれば、第1の垂直線状素子は、水平線状素子の第3のエリアに近い方の先端と交わることとした。発明者らの評価によれば、垂直線状素子を水平線状素子の中央よりの先端に接続するケースが、水平線状素子の逆方向の先端位置、あるいは略中央に接続するケースに比べてノイズ遮蔽効果が大きいことがわかった。
請求項4に係る発明によれば、第3のエリアの略中央に、第1のエリアにおける第1の垂直線状素子と略平行に配設された第2の垂直線状素子が配設される。発明者の評価によれば、第3のエリアの略中央に第2の垂直線状素子を配設しても、左右それぞれの水平線状素子の素子長を略1/4波長とすることによりノイズ遮蔽効果に影響の無いことがわかった。
請求項5に係る発明によれば、ノイズ遮蔽パターンは、水平方向に延びる少なくとも2本の、略1/2波長分の素子長を有する水平線状素子と、それぞれの水平線状素子の略中央を接続する1本以上の垂直線状素子からなり、このノイズ遮蔽パターンをルーフ等の導体とは分離して配設した。このため、車室内から発振されるノイズが車両のルーフに放射されるのを防ぐことができる。発明者らの評価によれば、第3のエリアを挟んでノイズ遮蔽パターンを配設する例に比べてノイズ低減量は若干劣るが、先行技術とほぼ同等のノイズ遮蔽効果が得られることがわかった。
請求項6に係る発明によれば、水平線状素子の素子長について、垂直線状素子が水平線状素子に交わる点を基点に長い方の部位をいずれも略1/4波長分に設定した。発明者らの評価によれば、水平線状素子の長い方の部位を略1/4波長分の素子長にすることでノイズの遮蔽効果が大きいことがわかった。
本発明の実施の形態(以下、本実施例という)を添付図に基づいて以下に説明する。
本実施例に係る車両用窓ガラス1は、例えば、車両のリアウインドウに取り付けられる。図1に示されるように、リアウインドウ(車両用窓ガラス1)には、デフォッガ20が配置されており、デフォッガ20の上部エリア10にはAM/FM用ラジオアンテナ等がプリントされるケースが多い。但し、車両のルーフ後方に設けられるポールアンテナをAM/FM用ラジオアンテナとして用いる場合、デフォッガ20の上部エリア10は余白となるケースがほとんどである。そこで、本実施例に係る車両用窓ガラス1では、この上部エリアに、以下に説明するノイズ遮蔽パターンをプリントするものとする。
図1に示されるように、この上部エリア10は、第1のエリアAと、第2のエリアBと、第1のエリアAと第2のエリアBによって左右に挟まれる第3のエリアCとからなる。第1のエリアAと第2のエリアBのそれぞれに、以下に説明するノイズ遮蔽パターン#1〜#6のいずれかが形成され、第3のエリアCはガラスのみで形成されるものとする。ノイズ遮蔽パターン#1〜#6は、いずれも車両のルーフやデフォッガ20等の導体とは電気的に分離(絶縁)され形成されている。
図2〜図7に、第1のエリアAと第2のエリアBに配置されるノイズ遮蔽パターンの一例が示されている。図2〜図7において、符号d,x,yで示されるサイズは、後述するノイズ低減効果の評価の際に使用されるパラメータであって詳細は後述するものとし、まずは、ノイズ遮蔽パターンの構成のみを説明する。
図2に示すノイズ遮蔽パターン#1は、デフォッガ20の上部エリア10において、第1のエリアAには、略1/4波長のサイズを有する2本の水平線状素子1a,1bと、水平線状素子1a,1bを、その一端(向かって右先端部)で接続する垂直線状素子1cとが配置される。また、第2のエリアBには、略1/4波長のサイズを有する2本の水平線状素子2a,2bと、この水平線状素子2a,2bを、その一端(向かって左先端部)で接続する垂直線状素子2cとが配置される。
図3に示すノイズ遮蔽パターン#2は、垂直線状素子1cを、水平線状素子1a,1bの一端ではなく、水平線状素子1a,1bがデフォッガ20の複数水平線条21からなる熱線と略平行に延びる途中の線上(p点)で接続している。垂直線状素子2cも同様に、水平線状素子2a,2bの一端ではなく、水平線状素子2a,2bがデフォッガ20の熱線と略平行に延びる途中の線上(q点)で接続している。このノイズ遮蔽パターン#2において、水平線状素子1a,1bの素子長は、垂直線状素子2a,2bが水平線状素子1a,1bのそれぞれに交わる点を基点に長い方がいずれも略1/4波長分に設定される。
図4に示すノイズ遮蔽パターン#3は、図2に示すノイズ遮蔽パターン#1に、垂直線状素子1d,2dを付加したものであり、垂直線状素子1dは、垂直線状素子1cと平行に、垂直線状素子2dは、垂直線状素子2cと平行に、それぞれ配置される。
図5に示すノイズ遮蔽パターン#4は、図2に示すノイズ遮蔽パターン#1に水平線状素子1e,2eを付加したものである。水平線状素子1eは、垂直線状素子1cの略中央位置から水平線状素子1a,1bと平行に、向かって左方向に延びて配置されている。また、水平線状素子2eは、垂直線状素子2cの略中央位置から水平線状素子2a,2bと平行に、向かって右方向に延びて配置されている。
図6に示すノイズ遮蔽パターン#5は、図3に示すノイズ遮蔽パターン#2に、水平線状素子1e,2eを付加したものである。水平線状素子1eは、垂直線状素子1cの略中央位置から水平線状素子1a,1bと平行に、向かって左方向に延びて配置されている。また、水平線状素子2eは、垂直線状素子2cの略中央位置から水平線状素子2a,2bと平行に、向かって右方向に延びて配置されている。
図7に示すノイズ遮蔽パターン#6は、図4に示すノイズ遮蔽パターン#3と、図5に指名ノイズ遮蔽パターン#4とを重ね合わせて形成したものである。
上記したノイズ遮蔽バターン#1(図2)〜#6(図7)は、いずれも、第1のエリアAにノイズ遮蔽バターン#1〜#6のいずれかをコの字形状に配設し、第2のエリアBにノイズ遮蔽パターン#1〜#6のいずれかを逆コの字形状に配設することで、ガラスのみで形成される第3のエリアCを挟んで左右対称に形成したものである。換言すれば、デフォッガ20の上部エリア10の略中央位置を基点に、所定の間隔(第3のエリアC)を空けて左右方向にそれぞれ延びる水平線状素子1a(2a),1b(2b),1e(2e)が少なくとも2本ずつ配設され、この少なくとも2本ずつ配設された水平線状素子1a(2a),1b(2b),1e(2e)を、先端又は途中位置でそれぞれ接続する垂直線状素子1c,1d(2c,2d)が配設されたノイズ遮蔽パターンである。
図8に示すノイズ遮蔽パターン#7は、デフォッガ20の上部エリア10に、デフォッガ20の複数の水平線条21からなる熱線と略平行に2本の水平線状素子1x,1yが配設され、これら水平線状素子1x,1yの略中央の点が垂直線状素子1zで接続されている。図8に示すノイズ遮蔽パターン#7も、上記したノイズ遮蔽パターン#1〜#6同様、車両のルーフ及びデフォッガ20等の導体とは電気的に分離され形成されている。
図9に示すノイズ遮蔽パターン#8は、図2に示すノイズ遮蔽パターン#1を基本パターンとし、第3のエリアCの略中央に垂直線状素子1vが付加されたものである。
図10に示すノイズ遮蔽パターン#9は、図5に示すノイズ遮蔽パターン#4を基本パターンとし、第3のエリアCに形成される垂直線状素子1vが付加されたものである。この垂直線状素子1vは、垂直線状素子1c,2cとは所定の間隔を空けて平行に配置される。
上記したノイズ遮蔽パターン#1〜#9をデフォッガ20上部エリア10に配置することで、車室内から発振されるノイズが車両ルーフのセンター方向に放射するのを防ぐことができる。特に、国内では76[MHz]から90[MHz]の周波数で、海外では88[MHz]から108[MHz]の周波数帯でサービスされているFM用ラジオ周波数帯で、車室内から発振されたノイズが天井のポールアンテナに誘起され、ポールアンテナがノイズを受信してしまう環境にあっても、車両窓ガラス1に形成されるデフォッガ20上部エリア10に設置されるノイズ遮蔽パターン#1〜#9により、車内から発振されるノイズを遮断することができる。
また、デフォッガ20の上部エリア10の略中心位置から所定の間隔を空けて左(右)に複数の水平線状素子1a(2a),1b(2b)を設置し、それらを垂直線状素子1c(2c)で接続し、このときの水平線状素子長を、垂直線状素子1c(2c)の接続箇所から略1/4波長とすることで、デフォッガ20の複数の水平線条21からなる熱線上部の中央付近の電波の透過を抑えることができる。このため、ルーフのセンター方向への電波の放射を防ぐことが可能になる。これは、ノイズ遮蔽パターン#1〜#9により、車室内から発振されるノイズが、ルーフのセンター方向に放射されるのを防ぐ効果があるためと考えられる。このことにより、充分なノイズ除去効果を実現出来る。
(性能評価)
以下に、本実施例に係る車両用窓ガラス1のノイズ性評価の結果を説明する。評価にあたり、EV(Electric Vehicle)車、HV(Hybrid Vehicle)車の場合、車両から発振されるノイズは、電波の偏波が不明であるため、発振用アンテナとして円偏波を用いた。また、ノイズ発振源は、車室内であるものとし、この場合、ノイズが車両のルーフからポールアンテナに誘起されることが考えられるため、ルーフのポールアンテナ付近の電界強度を測定することにより評価した。発振用のアンテナ及びポールアンテナ付近の電界強度の評価周波数は、海外用周波数88[MHz]から108[MHz]の中心周波数である98MHzとした。
以下に、本実施例に係る車両用窓ガラス1のノイズ性評価の結果を説明する。評価にあたり、EV(Electric Vehicle)車、HV(Hybrid Vehicle)車の場合、車両から発振されるノイズは、電波の偏波が不明であるため、発振用アンテナとして円偏波を用いた。また、ノイズ発振源は、車室内であるものとし、この場合、ノイズが車両のルーフからポールアンテナに誘起されることが考えられるため、ルーフのポールアンテナ付近の電界強度を測定することにより評価した。発振用のアンテナ及びポールアンテナ付近の電界強度の評価周波数は、海外用周波数88[MHz]から108[MHz]の中心周波数である98MHzとした。
車両窓ガラス1に形成されたデフォッガ20の上部エリア10に配設されるノイズ遮蔽パターン#1〜#9のノイズ減少量を評価するにあたり、基準比較例として、これらノイズ遮蔽パターンを持たない車両窓ガラス1のノイズ減少量を測定した。遮蔽パターンを持たない基準比較例のノイズ減少量は以下の(表1)に示す通りである。
(表1)に示す基準比較例では、10[dB]〜12[dB]の範囲でノイズ遮蔽効果が確認された。
まず、図2に示したノイズ遮蔽パターン#1から説明する。図2では、第3のエリアCの中央位置から垂直線状素子1c,2cまでの間隔(以下、単に間隔という)をd[mm]とし、上下の水平線状素子1a(2a),1b(2b)の間隔(垂直線状素子長)をy[mm]とし、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長をx[mm]として説明する。ここでは、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長x[mm]、垂直線状素子1c(2c)の線長y[mm]を固定とし、間隔d[mm]を変更した場合のノイズ低減量を評価した。結果は以下の(表2)に示す通りである。
(表2)によれば、d=0[mm]の場合を除き、垂直線状素子1c(2c)の設置位置に依存することなくノイズ減少量が約18[dB]であり、ノイズ遮蔽パターンを持たない比較基準例に比べてノイズ遮蔽効果が大きいことがわかった。但し、左右の水平線状素子1aと2a,1bと2bが接続された、図8に示すノイズ遮蔽パターン#7の場合、98[MHz]でのノイズ減少量は遮蔽効果が若干劣ることがわかった。
次に、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長x[mm]、間隔d[mm]を固定とし、垂直線状素子1c(2c)の線長y[mm]を変更した場合のノイズ低減量を評価した。その結果を以下の(表3)に示す。
(表3)によれば、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長x[mm]の間隔が広い程ノイズ減少量が大きいことがわかった。
次に、垂直線状素子1c(2c)の線長yを固定し、間隔dを50[mm]と100[mm]で2段階に変更し、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長xを変更した場合のノイズ低減量を評価した。その結果を以下の(表4)に示す。
(表4)によれば、水平線状素子長が長いほどノイズ遮蔽効果が高いということではなく、水平線状素子1a(2a),1b(2b)を、略1/4波長分の長さ(波長短縮率を0.6としたときに、x=400[mm]〜450[mm])に設定すれば、98[MHz]の電波受信時のノイズ遮蔽効果が大きいことがわかった。
次に、図2に示すノイズ遮蔽パターン#1の垂直線状素子を削除した場合のモデルについて評価した。その結果を以下の(表5)に示す。
(表5)によれば、垂直線状素子1c(2c)を有するノイズ遮蔽パターン#1の中で最もノイズ低減効果が高かったx=450[mm],y=135[mm],d=100[mm]のときに、ノイズ低減量が0[dB]である。従って、垂直線状素子1c(1d)は必要であり、それぞれによる水平線状素子1a(2a),1b(2b)との接続が必要であることがわかる。
次に、図3のノイズ遮蔽パターン#2の評価について説明する。ここでは、垂直線状素子1c(2c)の水平線状素子1a(2a),1b(2b)への接続位置(図3ではp点、q点)を変更することによる評価を試みた。すなわち、水平線状素子長x[mm]と、垂直線状素子長y[mm]と、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の先端位置d[mm]とを固定とし、垂直線状素子1c(2c)の設置位置d1[mm]を変更することにより評価した。結果は、以下の(表6)に示されている。
(表6)によれば、垂直線状素子1c(2c)は水平線状素子1a(2a),1b(2b)の先端、あるいは先端よりでノイズ低減効果がみられ、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の略中央付近ではでノイズ低減効果がみられなかった。このことから、垂直線状素子1c(2c)は、必ずしも水平線状素子1a(2a),1b(2b)の先端に接続することを必須としないが、水平線素子長を略1/4波長分確保することが必要であることがわかった。
次に、図4に示すノイズ遮蔽パターン#3の評価について説明する。水平線状素子1a(2a),1b(2b)の先端位置d[mm]、及び垂直線状素子1c(2c),1d(2d)の接続位置d1[mm]を変更して評価を試みた。結果は以下の(表7)に示す通りである。
(表7)によれば、複数の垂直線状素子1c(2c),1d(2d)を設置し、d1=100[mm]としたときにノイズ低減効果が確認された。結果、垂直線状素子1c(2c),1d(2d)は複数本設置してもかまわないが、水平線長素子1a(2a),1b(2b)の素子長は、略1/4波長分確保する必要があることがわかった。
次に、図5に示すノイズ遮蔽パターン#4の評価について説明する。ここでは、垂直線状素子長y[mm]及び間隔d[mm]を固定し、水平線状素子1a(2a),1b(2b),1e(2e)の線長x[mm]を変更して評価を試みた。結果は以下の(表8)に示す通りである。
(表8)によれば、水平線状素子長xが400[mm]〜450[mm]のところでノイズ量削減の改善効果が確認された。従って、左右それぞれの水平線状素子長x[mm]は、略1/4波長に設定すべきであり、また、水平線状素子は、2本でなくても3本でも良いことがわかった。なお、水平線状素子1a(2a),1b(2b),1e(2e)の最上線と最下線の間隔は広いほど良い。
次に、図9に示すノイズ遮蔽パターンの評価について説明する。図9に示すノイズ遮蔽パターンは、デフォッガ20の上部エリア10中、第3のエリアCの略中央部に垂直線状素子1vを付加したものである。ここでは、この垂直線状素子1vの素子長y[mm]及び間隔d[mm]を固定し、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の線長x[mm]を変更して評価を試みた。結果は以下の(表9)に示す通りである。
(表9)によれば、水平線状素子長xが400[mm]〜450[mm]のところでノイズ量削減の改善効果が確認された。このため、左右それぞれの水平線状素子長は、略1/4波長に設定すべきであり、センターに垂直線状素子1vを設置してもかまわないことがわかる。
最後に、本実施例が先行技術と比較してノイズ遮蔽効果が見込めるか否かについて評価した。すなわち、図11に示されるように、デフォッガ20の複数の水平線条21からなる熱線両端(バスバー22,23)との接続箇所を開放したケース(図10(a))と、上部エリア10中、第3のエリアC(センター部分)の垂直線状素子を削除し、水平線状素子をデフォッガ20のバスバー22,23に接続線条で接続した特許文献1に開示されたノイズ遮蔽パターン相当のケース(図10(b))と、センター部分の垂直線状素子を削除し、熱線両端(バスバー22,23)との接続箇所を開放したケース(図10(c))を同じ条件(y=135[mm],d=100[mm]で固定し、x=400[mm]〜600[mm]の範囲で変更)で評価した結果を、それぞれ、評価1、評価2、評価3として纏めた。結果は以下の(表10)に示すとおりである。
(表10)によれば、評価1のノイズ低減量は12.7[dB]、評価2のノイズ低減量は10.5[dB]、評価3のノイズ低減量は19.0[dB]となっている。従って、デフォッガ20の水平線条21とノイズ遮蔽パターンとの接続線条を削除し、更に、センター部分の垂直線状素子を削除したケース(図10(a))が、3つのケース中で一番高いノイズ削減効果を得た。なお、このとき、センター部分の垂直線状素子は設置してもかまわない。
(実施例の効果)
以上説明のように本実施例によれば、車両用窓ガラス1を、第1のエリアAと、第2のエリアBと、第1のエリアAと第2のエリアBを左右に挟む第3のエリアCとに区分し、第1のエリアAと第2のエリアBに、少なくとも2本の水平線状素子1a(2a),1b(2b)からなるノイズ遮蔽パターン#1〜#6をそれぞれ配設し、それぞれのノイズ遮蔽パターンは、車両を含む導体とは電気的に絶縁されている。このため、第3エリアの近傍の電波の透過が抑制され、従って、車室内から発振されるノイズがルーフのセンター方向に放射されるのを防ぐことができる。発明者らの評価によれば、このノイズ遮蔽パターン#1〜#6と、車両のルーフやデフォッガ20の熱線等の導体とを分離したケースが接続線条で接続したケースよりもノイズ遮蔽効果が高いことがわかった。
以上説明のように本実施例によれば、車両用窓ガラス1を、第1のエリアAと、第2のエリアBと、第1のエリアAと第2のエリアBを左右に挟む第3のエリアCとに区分し、第1のエリアAと第2のエリアBに、少なくとも2本の水平線状素子1a(2a),1b(2b)からなるノイズ遮蔽パターン#1〜#6をそれぞれ配設し、それぞれのノイズ遮蔽パターンは、車両を含む導体とは電気的に絶縁されている。このため、第3エリアの近傍の電波の透過が抑制され、従って、車室内から発振されるノイズがルーフのセンター方向に放射されるのを防ぐことができる。発明者らの評価によれば、このノイズ遮蔽パターン#1〜#6と、車両のルーフやデフォッガ20の熱線等の導体とを分離したケースが接続線条で接続したケースよりもノイズ遮蔽効果が高いことがわかった。
また、本実施例によれば、デフォッガ20の上部エリア10を、第1のエリアAと、第2のエリアBと、第1のエリアAと第2のエリアBとを左右に挟む第3のエリアCとに区分し、第1のエリアAと第2のエリアBにそれぞれノイズ遮蔽パターン#1〜#6を形成することで、デフォッガ20上部エリア10中、第3のエリアCの近傍の電磁波の透過が抑制され、従って、車両のルーフのセンター方向への電波の放射を防ぐことができる。
また、本実施例によれば、第1のエリアAと第2のエリアBのそれぞれに形成されるノイズ遮蔽パターン#1〜#6を、略1/4波長のサイズを有する少なくとも2本の水平線状素子1a(2a),1b(2b)と、水平線状素子1a(2a),1b(2b)のそれぞれを接続する1本以上の第1の垂直線状素子1c(2c)で構成することで、ノイズの低減量が増す。発明者の評価によれば、水平線状素子1a(2a),1b(2b)の素子長を略1/4波長に設定することで、垂直線状素子1c(2c)の設置位置に依存することなく98[MHz]の受信電波のノイズ遮蔽効果が大きいことがわかった。
また、本実施例によれば、ノイズ遮蔽パターン#7は、水平方向に延びる少なくとも2本の、略1/2波長分の素子長を有する水平線状素子1x,1zと、それぞれの水平線状素子1x,1zの略中央を接続する1本の垂直線状素子1zからなり、このノイズ遮蔽パターン#7を車両のルーフやデフォッガの熱線等の導体とは分離して配設した。このため、車室内から発振されるノイズが車両のルーフに放射されるのを防ぐことができる。発明者らの評価によれば、第3のエリアCを挟んでノイズ遮蔽パターンを配設する例に比べてノイズ低減量は若干劣るが、先行技術とほぼ同等のノイズ遮蔽効果が得られることがわかった。
また、本実施例によれば、ノイズ遮蔽パターン#8,#9は、第3のエリアCの略中央に、第1の垂直線状素子1c(2c)と平行に配設された第2の垂直線状素子1vが形成される。この例によれば、発明者らの評価によれば、水平線素子1a(2a),1b(2b)の素子長によっては改善効果が大きいノイズ低減量が得られることがわかった。
1…車両用窓ガラス、1a、1b、1e、1x、1z、2a、2b、2e…水平線状素子、1c、1d、1v、1z、2c、2d…垂直線状素子、10…上部エリア、A…第1のエリア、B…第2のエリア、C…第3のエリア、20…デフォッガ、21…水平線条(熱線)、22、23…バスバー
Claims (6)
- 車両のガラス面上にノイズ遮蔽パターンが配設された車両用窓ガラスであって、
前記車両にはルーフアンテナが取り付けられており、
前記ノイズ遮蔽パターンは、第1のエリアと、第2のエリアと、前記第1のエリアと前記第2のエリアによって左右に挟まれる第3のエリアとからなり、前記第1のエリアと前記第2のエリアに、少なくとも2本の水平線状素子と、前記水平線状素子のそれぞれを接続する1本以上の第1の垂直線状素子とからなる前記ノイズ遮蔽パターンがそれぞれ配設され、前記それぞれのノイズ遮蔽パターンは、前記車両を含む導体とは電気的に絶縁されていることを特徴とする車両用窓ガラス。 - 前記水平線状素子の素子長は、
前記垂直線状素子が前水平線状素子に交わる点を基点に長い方の部位をいずれも略1/4波長分に設定することを特徴とする請求項1記載の車両用窓ガラス。 - 前記第1の垂直線状素子は、
前記水平線状素子の前記第3のエリアに近い方の先端と交わることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用窓ガラス。 - 前記第3のエリアの略中央に、前記第1のエリアにおける前記第1の垂直線状素子と略平行に配設された第2の垂直線状素子が配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両用窓ガラス。
- 車両のガラス面上にノイズ遮蔽パターンが配設された車両用窓ガラスであって、
前記車両にはルーフアンテナが取り付けられており、前記ノイズ遮蔽パターンは、水平方向に延びる少なくとも2本の水平線状素子と、前記それぞれの水平線状素子の略中央を接続する1本以上の垂直線状素子からなり、前記ノイズ遮蔽パターンは、前記車両を含む導体と電気的に絶縁されていることを特徴とする車両用窓ガラス。 - 前記水平線状素子の素子長は、
前記垂直線状素子が前記水平線状素子に交わる点を基点に長い方の部位をいずれも略1/4波長分に設定することを特徴とする請求項5記載の車両用窓ガラス。
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