JP6879744B2 - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施形態に係る車両用窓ガラスは、ガラス板1上に、デフォッガ2と、FM−DAB共用アンテナ素子3(以下、単にアンテナ素子という)とが、実装されている。以下、各部材について、順に説明する。
ガラス板1は、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板1として、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板1は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
次に、デフォッガ2について説明する。図1に示すように、デフォッガ2は、ガラス板1における垂直方向の中央付近に配置されており、ガラス板1の左右方向全体に亘って延びるように形成されている。具体的には、このデフォッガ2は、ガラス板1の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用のバスバー21a、21bを備えている。ここでは、説明の便宜のため、左側のバスバーを第1バスバー21aと称し、右側のバスバーを第2バスバー21bと称することとする。そして、両バスバー21a、21bの間には、複数の水平エレメント(水平加熱線)22が所定間隔をおいて平行に配置されており、バスバー21a、21bからの給電により、防曇用の熱が発生するようになっている。また、このデフォッガ2には、上下方向に延びる2本の垂直エレメント41、42が設けられている。ここでは、説明の便宜のため、左側の垂直エレメントを第1垂直エレメント41と称し、右側の垂直エレメントを第2垂直エレメント42と称することとする。これら垂直エレメント41、42は、すべての水平エレメント22と交差するように、最も上方にある水平エレメント(以下、最上部水平エレメントという)221と、最も下方にある水平エレメント(以下、最下部水平エレメントという)222とを結ぶように延びている。
ところで、デフォッガ2には常時、定在波が発生しており、この定在波の波長帯域はデフォッガ2の水平エレメント22の長さに起因する。そして、デフォッガ2の近傍に後述するアンテナ素子3が配置され、このアンテナ素子3がデフォッガ2と容量結合または直接結合している場合、水平エレメント22の長さが、アンテナ素子3で受信する放送波の波長λの半分、つまりλ/2の整数倍であれば、アンテナ素子3は、デフォッガ2に発生する定在波の影響を受けることが本発明者によって見出された(但し、ここでのλはガラス板の波長短縮率を掛けたものとする)。すなわち、デフォッガ2で受信した電波が、デフォッガ2においてアンテナ素子3の周波数帯域の半分の定在波として励起すれば、その励起されるエネルギー分だけ、容量結合または直接結合によりデフォッガ2からアンテナ素子に供給されるエネルギーが、アンテナ素子3の周波数帯域の電波がデフォッガ2にトラップされる。その結果、アンテナ素子3の受信感度が低下することが分かった。但し、本実施形態のように、水平エレメント22が垂直エレメント41、42によって区切られている場合には、区切られた水平エレメントの長さ、つまりバスバー21a、21bと垂直エレメント41、42との間隔や、隣接する垂直エレメント41、42間の間隔に起因して定常波がコントロールができ、その結果、アンテナ素子3の受信感度の低下を抑制できることも分かった。
Pmax<α・λ1/2 (2)
Pmin≦α・3λ1/8 (3)
続いて、垂直エレメント41,42の長さLについて検討する。垂直エレメント41,42の長さLと、給電部31から垂直エレメント41、42までの上下方向の長さDは、以下の式(4)、(5)を充足するように設けられることが好ましい。
L+D≧α・λ1/4 (4)
L+D≧α・λ2/4 (5)
次に、アンテナ素子3について説明する。本実施形態に係るアンテナ素子3は、上記のように、FMアンテナとDABアンテナとを兼用している。具体的には、以下の通りである。まず、このアンテナ素子3は、ガラス板1において、デフォッガ2の上方に配置されており、ガラス板1の上端縁の中央よりも左寄りに配置された給電部31を備えている。そして、この給電部31から下方に延びる第1垂直部32と、この第1垂直部32の下端から水平方向に左右に延びる第1水平部33と、を備えており、これら第1垂直部32と第1水平部33とで、主としてDABの放送波を受信する。さらに、このアンテナ素子3は、第1垂直部32の途中から左側へ延びる第2水平部34、この第2水平部34の左端から下方へ延びる第2垂直部35、及び第2垂直部35の下端から右側へ延びる第3水平部36を備えた略J字状の部位を有しており、この部位で、主としてFMの放送波を受信する。なお、第1水平部33と第3水平部36は、水平方向に間隔をあけて配置され、且つ上下方向にほぼ同じ位置に配置されている。
上記のようなデフォッガ2、各アンテナ素子3は、導電性を有する導電性材料をガラス板1の表面に所定の線状のパターンを有するように積層することで形成することができる。そのような材料としては、導電性を有していればよく、実施の形態に適宜選択可能であり、一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。この上記各部材は、例えば、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板1の表面に印刷し焼成することによって形成することができる。
次に、本実施形態に係る窓ガラスの製造方法を説明する。本実施形態に係る窓ガラスのガラス板1は、プレスによって成形するプレス成形工法、ガラス板1の自重で曲げる自重曲げ工法等によって成形することができる。
以上のように、本実施形態では、デフォッガ2のバスバー21a,21bと垂直エレメント41、42との間隔、及び垂直エレメント41、42間の間隔を調整することで、デフォッガ2に発生する定在波の影響を低減し、アンテナ素子3の受信性能の低下を抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
上記実施形態のデフォッガ2には2つの垂直エレメント41、42を設けているが、上述した式(1)〜(3)のいずれかを充足する限り、垂直エレメントの数は特には限定されない。また、垂直エレメントの長さも特には限定されず、複数の垂直エレメントの長さが異なっていてもよい。
上記実施形態では、1つのアンテナ素子3が設けられているが、アンテナ素子の構成は特には限定されない。例えば、上記実施形態では、FM用とDAB用を兼用したアンテナ素子を用いているが、これらを個別に分けてもよい。また、AMやデジタルテレビの放送波を受信するアンテナを設けることができる。特に、デジタルテレビの放送波は、DABの放送波と同様に、波長が短いため、その波長域を考慮して、上記式(1)〜(5)を充足するように垂直エレメントを配置すれば、定在波の影響による受信性能の低下を抑制することができる。また、本発明の目的からすると、定在波の影響を受けやすいDAB用アンテナあるいはデジタルテレビ用アンテナのみが設けられていてもよい。
上記実施形態では、本発明に係る窓ガラスを自動車のリアガラスに適用した例を示したが、これ以外のガラスに適用することもできる。
上述したように、デフォッガの水平エレメントは、垂直エレメントによって区切られる。そして、本発明者は、区切られた水平エレメントの長さによって、デフォッガに生じる定在波がアンテナ素子の受信性能に影響を与えることを見出した。そこで、以下では、区切られた水平エレメントの長さと受信性能の関係について検討する。
次に、垂直エレメントの長さの検討を行う。以下では、実施例6〜12を準備した。これらはいずれも垂直エレメントの数を4本とし、間隔Pは左から135mm,164mm,330m,164mm,135mmとした。そして、以下の表3に示すように、垂直エレメントの長さLが相違するようにした。なお、給電部から垂直エレメントまでの上下方向の長さDは、いずれも100mmとしている。また、垂直エレメントの長さに係る式(4)については、L+D≧α・λ1/4(203mm)となり、式(5)については、L+D≧α・λ2/4(287mm)となる。
続いて、アンテナ素子とデフォッガとの距離について検討する。以下では、実施例13〜17を準備した。これらはいずれも垂直エレメントの数を4本とし、間隔Pは左から75mm,226mm,328m,226mm,75mmとした。そして、以下の表5に示すように、アンテナ素子の第1水平部及び第3水平部との最上部水平エレメントとの距離Sが相違するようにした。なお、実施例13は距離Sが0mmであるため、アンテナ素子とデフォッガとは直接結合している。
2 :デフォッガ
21a :バスバー
21b :バスバー
22 :水平エレメント(水平加熱線)
3 :アンテナ素子
41、42:垂直エレメント
Claims (8)
- ガラス板と、
前記ガラス板上に形成された1対のバスバー、及び前記1対のバスバーを連結する複数の水平加熱線を有するデフォッガと、
前記デフォッガに設けられ、前記水平加熱線の少なくとも1つと交差する、少なくとも1つの垂直エレメントと、
前記ガラス板上に形成され、前記デフォッガと容量結合または直接結合する第1アンテナ素子と、
を備え、
前記第1アンテナ素子は、FMの周波数域より高く、波長がλ1〜λ2の周波数域を有する放送波を受信するように構成され、
いずれかの前記バスバーと前記垂直エレメントとの距離、または前記垂直エレメント間の距離のうち、最も小さい距離をPmin、前記ガラス板の波長短縮率をαとしたとき、Pmin<α・λ1/2を充足し、
前記第1アンテナ素子の給電部と前記垂直エレメントとの距離、および前記垂直エレメントの長さの合計は、α・λ 1 /4以上である、車両用窓ガラス。 - いずれかの前記バスバーと前記垂直エレメントとの水平距離、または前記垂直エレメント間の水平距離のうち、最も大きい距離をPmaxとしたとき、Pmax<α・λ1/2を充足する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
- 前記Pmin,α,及びλ1が、Pmin≦α・3λ1/8を充足する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
- 前記ガラス板上に形成され、FMの放送波を受信する第2アンテナ素子をさらに備えており、
前記第2アンテナ素子は、前記デフォッガと容量結合する、請求項1から3のいずれかに記載の車両用窓ガラス。 - 前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子は、共通の給電部から給電されている、請求項4に記載の車両用窓ガラス。
- 前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子は、一体的に接続されている、請求項5に記載の車両用窓ガラス。
- 前記第1アンテナ素子の給電部と前記垂直エレメントとの距離、及び前記垂直エレメントの長さの合計は、α・λ2/4以上である、請求項1から6のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
- 前記第1アンテナ素子が、DABの放送波を受信するように構成され、
前記第1アンテナ素子と前記デフォッガとの距離が15mm以下である、請求項1から7のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
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