JP6408907B2 - 画像形成装置、画像形成方法、現像装置および現像方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法を利用した画像形成装置、画像形成方法、現像装置および現像方法に関する。
電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般的には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電荷像担持体上に静電潜像を形成する。次いで前記静電潜像をトナーにより現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱または圧力などにより記録媒体上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。このような画像形成装置としては、複写機やプリンターなどがある。
これらプリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、特にプリンターでは小型化が強く求められている。
従来、プリンターはネットワークにつながり、多人数がそのプリンターで印刷するという使われ方が多かったが、近年は個人の机にPCとプリンターを置き、手元で印刷するという需要も大きくなってきた。そのためにはプリンターの省スペース化が必要であり、プリンターは小型化の要求が強い。
また、このようなコンパクトなプリンターであっても高画質であり、長期間の使用においても画質変動が少ない高耐久性の要望も大きい。
ここでプリンターの小型化に着目すると、小型化には主に定着器の小型化と現像装置の小型化が有効である。特に、後者はプリンターの容積のかなりの部分を占めており、現像装置の小型化がプリンターの小型化には必須であるといえる。
現像方式について考えると、プリンターの現像方式には二成分現像方式や一成分現像方式があるが、コンパクトという意味では一成分現像が適している。これは、キャリアを使用しないためである。
次に、一成分現像での小型化について考えると、現像装置の小型化には静電潜像担持体やトナー担持体の径を小さくすることが有効である。
また、現像装置として、クリーナーレスシステムは小型化に非常に適している。多くのプリンターでは、転写工程にて残余した静電潜像担持体上のトナー(以後、転写残トナー、または、残トナーと呼ぶ)はクリーニングブレードなどによりかき取られ、クリーナー容器に回収される。しかし、クリーナーレスシステムではクリーニングブレード、クリーナー容器が無いため、現像装置を大幅に小型化できる。
一方、クリーナーレスシステムには特有の課題も存在する。その1つが残トナーの回収性である。クリーナーレスシステムでは、残トナーはトナー担持体と静電潜像担持体が当接する領域(以後、現像領域と呼ぶ)でトナー担持体に回収される。しかし、残トナーの回収性が悪いと静電潜像担持体上にトナーが連れ回り、カブリの増大やクリーナーレスゴーストなどの画像弊害を生じてしまう。ここで、クリーナーレスゴーストとは転写した後の残トナーが現像部にて回収されず、再度の転写工程で転写してしまう現象である。
回収性に着目すると、トナーは低温低湿環境の方がチャージアップしやすく、静電潜像担持体に対するトナーの付着力が高くなる。その結果、残トナーの回収性が悪くなる傾向にある。
このような課題に対し、例えば現像バイアスに交番電圧に直流電圧を重畳するなど、トナーの円形度と残留磁化を制御することにより、クリーナーレスシステムでも常温常湿環境において良好な画質を維持できるという報告もある(特許文献1、2参照)。
しかし、これら現像装置、トナーを用いても低温低湿環境での回収性には改善の余地があった。
一方、低温低湿環境での回収性向上を目指し、トナーと静電潜像担持体の付着力を下げるためにトナーの帯電量を低下させると、特に高温高湿環境においてカブリが悪化してしまう。一般的に、カブリトナーの帯電性は正規の帯電極性とは逆極性、あるいは、帯電量がほぼゼロであるため、転写されにくい。そして、クリーナーレスシステムにおいては、クリーニングブレードなどの残トナーをかきとる機構が存在しないため、残トナーは帯電部材を汚染することになる。帯電部材が汚染されると、設定どおりの電位(静電潜像担持体上の電位)を得ることができなくなり、よりカブリが増大しやすい傾向にある。
以上のように、クリーナーレスシステムにおいて低温低湿環境での残トナーの回収性と、高温高湿環境でのカブリの両立は難しく、さらなる改善の余地があった。
特開2005−173484号公報 特開2006−154093号公報
本発明の目的は、高温高湿環境下においてもカブリが抑えられた画像が得られ、低温低湿環境下においても回収性が良好である現像装置、現像方法、画像形成装置および画像形成方法を提供することにある。
本発明は、
静電潜像担持体、
該静電潜像担持体の表面を帯電するための帯電手段、
帯電された該静電潜像担持体の表面に像露光光を照射して該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成するための像露光手段、
該静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成するための現像装置、
中間転写体を介してまたは介さずに該静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段、および、
該転写材に転写されたトナー像を該転写材に定着するための定着手段、
を有する画像形成装置であって、
該トナー像を転写した後の該静電潜像担持体の表面の転写残トナーを該現像装置で回収する画像形成装置において、
該現像装置が、
該静電潜像を現像するためのトナー、
該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
を有し、
該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
該トナー担持体が、
基体、
弾性層、および、
ウレタン樹脂を含む表面層
を有し、
該ウレタン樹脂が、
下記構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有し、
該トナーが、
結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
無機微粒子と、
を有する磁性トナーであり、
該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
下記数式(1):
空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下であることを特徴とする画像形成装置である。
Figure 0006408907
(構造式(1)中、
nは、1以上4以下の整数であり
は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
(a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
(b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
(c)下記構造式(2)で示される基、
は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
Figure 0006408907
(構造式(2)中、
mは、2または3であり、
は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
また、本発明は、静電潜像担持体の表面を帯電する帯電工程、
帯電された該静電潜像担持体の表面に像露光光を照射して該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する像露光工程、
現像装置を用い、該静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程、
中間転写体を介してまたは介さずに該静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程、および、
該転写材に転写されたトナー像を該転写材に定着するための定着工程を有する画像形成方法であって、
該トナー像を転写した後の該静電潜像担持体の表面の転写残トナーを該現像装置で回収する画像形成方法において、
該現像装置が、
該静電潜像を現像するためのトナー、
該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材
を有し、
該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
該トナー担持体が、
基体、
弾性層、および、
ウレタン樹脂を含む表面層、
を有し、
該ウレタン樹脂が、
上記構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有し、
該トナーが、
結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
無機微粒子と、
を有する磁性トナーであり、
該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
上記数式(1)から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
ことを特徴とする画像形成方法である。
また、本発明は、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成するための現像装置において、
該現像装置が、
該静電潜像を現像するためのトナー、
該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
を有し、
該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
該トナー担持体が、
基体、
弾性層、および、
ウレタン樹脂を含む表面層、
を有し、
該ウレタン樹脂が、
上記構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有し、
該トナーが、
結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
無機微粒子と、
を有する磁性トナーであり、
該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
上記数式(1)から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
ことを特徴とする現像装置である。
また、本発明は、現像装置を用い、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像方法において、
該現像装置が、
該静電潜像を現像するためのトナー、
該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
を有し、
該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
該トナー担持体が、
基体、
弾性層、および、
ウレタン樹脂を含む表面層、
を有し、
該ウレタン樹脂が、
上記構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有し、
該トナーが、
結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
無機微粒子と、
を有する磁性トナーであり、
該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
上記数式(1)から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
ことを特徴とする現像方法である。
本発明によれば、高温高湿環境下においてもカブリが抑えられた画像が得られ、低温低湿環境下においても回収性が良好である現像装置、現像方法、画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
本発明に係るトナー担持体の一例を示す模式的断面図 本発明に係る現像装置の一例を示す模式的断面図 本発明に係る現像装置を有する画像形成装置の一例を示す模式的断面図 本発明に係る現像装置の一例を示す模式的断面図
本発明の現像装置は、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成するための現像装置において、
該現像装置が、
該静電潜像を現像するためのトナー、
該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
を有し、
該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
該トナー担持体が、
基体、
弾性層、および、
ウレタン樹脂を含む表面層、
を有し、
該ウレタン樹脂が、
下記構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有し、
該トナーが、
結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
無機微粒子と、
を有する磁性トナーであり、
該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
下記数式(1):
空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
ことを特徴とする。
Figure 0006408907
(構造式(1)中、
nは、1以上4以下の整数であり
は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
(a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
(b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
(c)下記構造式(2)で示される基、
は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
Figure 0006408907
(構造式(2)中、
mは、2または3であり、
は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
本発明者らが詳細に検討したところ、表面層に特定のウレタン樹脂を含有するトナー担持体と、特定の重量平均粒径(D4)、空隙率を有するトナーを用いることにより高温高湿環境でのカブリと、低温低湿環境での回収性を両立でき、本発明に至った。
この理由について、以下に説明する。
まず、トナーが帯電しにくい高温高湿環境にてカブリを抑制するために、トナーは迅速に帯電することが重要である。先に述べたように、従来のクリーナーがあるシステムに比べ、クリーナーレスシステムでは帯電部材汚染によるカブリの悪化もあり、カブリに対する要求は厳しいものとなっている。
高温高湿環境でのカブリに関し、トナーが帯電しにくい高温高湿環境にて均一な帯電性を得るためには次の2つの条件が必要であると考えられる。1つは、部材の帯電性が高いことであり、もう1つはトナーの帯電機会が多いことである。1つ目の部材の帯電性に関しては、トナーはトナー担持体と接し、摩擦することにより帯電することが可能となる。そこで、トナー担持体の表面層に含有させる化合物を種々検討した結果、構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応に由来する部分構造を有するウレタン樹脂の帯電能が高いことを見出した。この理由については、構造式(1)で示される化合物は中心に窒素原子(N)を、そして窒素原子は孤立電子対(ローンペア)を有しているため、構造式(1)で示される化合物はルイス塩基である。ルイス塩基は電子供与性であるため、トナーは構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応に由来する部分構造を有するウレタン樹脂と接することにより、十分な帯電量を得ることができる。また、構造式(1)で示される化合物はポリイソシアネートとの反応によって構造式(1)で示される化合物の構造周辺に多数のウレタン基またはウレア基が生成した架橋構造が形成される。その結果、ミクロ的な硬度は高いものとなり、トナー規制部材とトナー担持体が当接する部分(以下、「規制部」と略す)にてトナーを規制する際もトナーがトナー担持体表面にめり込むことが少ない。この結果、トナーの良好な転がり性を維持できるようになり、トナーへの帯電性が向上する。
次に、トナー担持体上のトナーの挙動について考えると、トナーはトナー担持体により搬送され、規制部ではトナー担持体で搬送される力と規制ブレードからの押圧による力がトナーに働く。その結果、トナー担持体表面のトナーはかき混ざるように入れ替わりながら搬送されていく。また、規制部でトナーが転がり、入れ替わることによりトナーはトナー担持体と接触し、摺擦を受ける。これによりトナーは帯電し、電荷を帯びるようになる。
ここで重要なことは、規制部でトナーが転がり、入れ替わることである。しかし、当接部ではトナーは規制ブレードからの押圧により圧縮され、パッキングされた状態になってしまう。規制部で密にパッキングされるとトナーの動きが規制され、良好な転がり性、入れ替わり性が制限されてしまう。このため、圧縮された際にある程度の空隙を有することが重要であると考えられる。
以上の理由から、トナーが圧縮された際の空隙率、すなわち、数式(1)で示される空隙率が50以上56以下であることが重要である。
トナーの空隙率が50よりも低い場合、圧を受けたトナーの空隙率が低く、規制部においてトナーの転がり性や入れ替わりが不十分になりやすく、迅速な帯電が損なわれるため好ましくない。また、トナーの微粉が多い場合や、トナーの流動性が劣る場合、空隙率は56より大きくなりやすいが、このような場合にも微粉の影響、あるいは、流動性が悪いためにカブリが増大しやすく、好ましくない。
なお、空隙率は数式(1)で示すようにトナーの真密度とタップ密度との差を真密度で割ることによって求められるものであり、トナーをタップした際の、トナーの粒子間に存在する空隙の割合を示している。トナーをタップした際の空隙率を規定した理由は、先に述べたように、規制部ではトナーは圧縮される。このため、タップしたトナーは規制部での圧縮状態に近似できると考えられるためである。
トナーの空隙率はトナーの粒径や形状、または外添剤の種類や量、外添工程時の製造条件を調整することにより制御可能である。
これまで述べてきたように、本発明に用いるトナー担持体は、その表面層に
構造式(1)で示される化合物と、
ポリイソシアネートと、
の反応に由来する部分構造を有するウレタン樹脂を有しており、帯電性が高いこと、そして、トナーが適度な空隙率を有することにより帯電機会を多く得ることができる。これら2点の相乗効果により、帯電しにくい高温高湿環境でも迅速で高い帯電性を得ることができ、カブリを抑制できる。
次に低温低湿環境での回収性について述べる。回収性向上には静電潜像担持体に対するトナーの付着力が低いこと、そして、現像領域においてトナーが適切な帯電性を有し、残トナー(転写残トナー)とトナー担持体上のトナーが入れ替わることが重要であると考えられる。この理由について以下に述べる。
静電潜像担持体に対するトナーの付着力が高いと、トナーは静電潜像担持体に貼りついてしまい回収性が劣るものとなる。また、クリーナーレスシステムでは、トナー担持体上のトナーと残トナーの両者が入れ替わるように混ざり合うことで残トナーが回収されるからである。
そこで付着力に着目すると、付着力は非静電的な力(Van der Waals力)と静電的な力(鏡映力)の和である。このため、Van der Waals力と鏡映力の双方を下げることが重要である。
まず、Van der Waals力についてであるが、トナー粒径が大きいと静電潜像担持体との接触面積が小さくなるため、Van der Waals力は小さくなる。このため、本発明に用いるトナーの重量平均粒径(D4)は9.5μm以上14.0μm以下であることが重要である。
次に、鏡映力についてであるが、本発明に用いるトナー担持体は表面層に構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応に由来する部分構造を有するウレタン樹脂を有しており、迅速な帯電性を得ることができる。これは低温低湿環境においても同様である半面、トナーはチャージアップしやすい状態であるともいえる。
しかし、本発明に用いるトナーは、上記のように空隙率が50以上であるために規制部でトナーが圧縮されにくく、良好なトナーの転がり性、入れ替わり性を維持することが可能である。さらに、本発明に用いるトナーの重量平均粒径(D4)が9.5μm以上と大きいため、小径のトナーに比して比表面積が小さく、トナーの電荷量が小さくなる。このように、規制部でのトナーの転がり性、入れ替わり性が良好なことと、トナーの電荷量が小さくなることの相乗効果により、低温低湿環境であってもチャージアップせず、鏡映力を下げることが可能となる。
以上のように、本発明に用いるトナーはVan der Waals力と鏡映力が低いため、付着力を低くすることが可能となる。
次に、現像領域でのトナーの挙動について考える。先に述べたように、残トナーを回収するためにはトナー担持体上のトナーと残トナーが入れ替わることが重要である。これまで、規制部でのトナーの転がり性、入れ替わり性について説明してきたが、これは現像領域においても同様であると考えられる。
すなわち、本発明に用いるトナーは現像領域においてもトナー担持体上のトナーは転がり性、入れ替わり性が良好である。また、トナーの付着力が低いために現像領域において残トナーはトナー担持体上のトナーと混ざりやすい。さらに、残トナーは様々な帯電性を有していると考えられるが、現像領域でトナー担持体上のトナーと混ざり合い、特定の化合物を有する本発明に用いるトナー担持体に接触し、こすられることでトナー担持体上のトナーと同様の帯電性となることが可能となる。
このような理由から、本発明では回収性が悪化しやすい低温低湿環境においても良好な回収性を維持できるとともに、高温高湿環境ではカブリを抑制できる。
本発明に用いるトナーは、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比、D4/D1が1.30以下であることが好ましく、より好ましくは1.25以下である。D4/D1が1.30以下ということは、トナーの粒度分布がシャープであることを意味する。
これまで述べてきたように、本発明に用いるトナーは付着力が低いことが重要である。付着力はトナー粒径にも依存し、小粒径であるほど付着力が高くなり、大粒径であるほど付着力は低くなる。このため、粒度分布がシャープであると個々のトナーの付着力のバラつきが少なくなり、規制部でのトナーの入れ替わりが良好になりやすく好ましい。さらに、本発明に用いるトナーの重量平均粒径(D4)は9.5μm以上14.0μmである。このため、D4/D1が1.30以下であると微粉量が少ないことを意味し、カブリが良化するので非常に好ましい。
本発明に用いるトナーのガラス転移温度(Tg)は40.0℃以上70.0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であると、良好な定着性を維持しつつ保存安定性、そして耐久性を向上できるために好ましい。
本発明に用いるトナーの結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。
具体的には、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独でまたは複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン系共重合体およびポリエステル樹脂が現像特性、定着性などの点で好ましい。
本発明に用いるトナーは、帯電特性向上のために必要に応じて荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては公知のものが利用できるが、帯電スピードが速く、かつ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が特に好ましい。荷電制御剤として具体的には、
サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物;
アゾ染料またはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;
スルフォン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;
ホウ素化合物;
尿素化合物;
ケイ素化合物;
カリックスアレーン
などが挙げられる。
これらの荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり一義的に限定されるものではない。しかし、トナー粒子に内部添加する場合、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で用いられる。また、トナー粒子に外部添加する場合、トナー100質量部に対し好ましくは0.005質量部以上1.000質量部以下、より好ましくは0.010質量部以上0.300質量部以下である。
本発明に用いるトナーは定着性向上のため、離型剤を含有しても良く、結着樹脂に対し1.0質量%以上30.0質量%以下を含有することが好ましく、より好ましくは、3.0質量%以上25.0質量%以下である。
離型剤の含有量が1.0質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しい。30.0質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化するとともに、トナー表面へのしみ出しなどによりトナーの帯電均一性が劣るものとなり、規制不良が悪化しやすいために好ましくない。
本発明に用いるトナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックスおよびその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
また、これら離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、60℃以上140℃以下であることが好ましい。より好ましくは65℃以上120℃以下である。融点が60℃以下の場合は、トナーの粘度が低下しやすく、トナー担持体への融着が発生しやすくなり好ましくない。一方、融点が140℃以上の場合は、低温定着性が悪化しやすく好ましくない。
離型剤の融点は、DSCにて測定した際の吸熱ピークのピークトップとする。吸熱ピークのピークトップの測定はASTM D 3417−99に準じて行う。これらの測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
本発明に用いるトナーは磁性体を有しているが、磁性体は結着樹脂100質量部に対して20質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は以下のとおりである。窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素などの原子を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2m/g以上30m/g以下であることが好ましく、3m/g以上28m/g以下であることがより好ましい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形などの異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性体は、体積平均粒径(D3)が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。磁性体の体積平均粒径(D3)が上記範囲であると磁性体の分散性が良好となり、トナーの着色力が向上するので好ましい。
なお、磁性体の体積平均粒径(D3)は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、体積平均粒径(D3)の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
磁性体は、例えば以下の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5以上10以下に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。このとき、任意のpHおよび反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性体の形状および磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法により濾過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
本発明では、磁性体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用しうる着色剤としては、公知の染料および顔料の他、磁性または非磁性の無機化合物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンなどが挙げられる。これらもまた、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。
本発明に用いるトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などのトナーとして必要な成分およびその他の添加剤などをヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散または溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級および表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式などの公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。さらには、熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルなどの機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムなどの装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、トナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
本発明に用いるトナーは、一次粒子の個数平均粒径(D1)が4nm以上80nm以下、より好ましくは6nm以上40nm以下の無機微粒子がトナー粒子に添加されることが必要である。無機微粒子は、トナーの流動性改良およびトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粒子を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上などの機能を付与することも好ましい形態である。
本発明において、無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
本発明で用いられる無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。シリカ微粒子としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、および水ガラスなどから製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−などの製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
上記無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において無機微粒子は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。無機微粒子の疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。これらの処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるトナーは、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下の微粒子を有することが好ましい。そして、該微粒子が、樹脂微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、および、チタン酸カルシウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一種の微粒子であることが好ましい。このような微粒子を添加することで、規制部でのトナーの転がり性、入れ替わりが良化する。これは、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下と大きいことで、トナーの付着力が小さくなること、そして、これら微粒子はほぼ帯電しないことからトナーのチャージアップを抑制することの相乗効果である。
上記樹脂微粒子はメタクリレートを主成分とした樹脂微粒子、アクリレートを主成分とした樹脂微粒子、スチレンおよびスチレン誘導体を主成分とした樹脂微粒子であることが好ましい。なお、「主成分」とは全成分量の60質量%以上であることと定義する。
これら樹脂微粒子に用いられる重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、または混合して使用しうる。
上記微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。上記微粒子の添加量が0.1質量部以上3.0質量部以下であると、上記効果を奏しやすく非常に好ましい。
次に、本発明に用いるトナー担持体について説明する。
本発明に用いるトナー担持体は基体、弾性層およびウレタン樹脂を含む表面層を有し、該ウレタン樹脂は上記構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応に由来する部分構造を有している。
本発明に係るトナー担持体の一実施形態を図1に示す。図1に示した導電性ローラー1(トナー担持体)は、円柱状または中空円筒状の導電性の基体2の外周面に弾性層3が形成されている。また、表面層4は、弾性層3の外周面を被覆している。
〈基体〉
基体2は、導電性ローラー1の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼のような金属または合金;クロム、またはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂のような導電性の材質で構成される。
〈弾性層〉
弾性層3は、導電性ローラーと静電潜像担持体との当接部において、所定の幅の当接部を形成するために必要な弾性を導電性ローラーに与えるものである。
弾性層3は、通常ゴム材料の成型体により形成されることが好ましい。ゴム材料としては以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、特に、長期にわたる他の部材(現像剤規制ブレードなど)が当接した場合にも圧縮永久歪みを弾性層に生じさせにくいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化物などが挙げられる。さらにいえば、後述する表面層との接着性が優れることから、付加硬化型ジメチルシリコーンゴムの硬化物とすることが特に好ましい。
弾性層3中には、導電性付与剤、非導電性充填剤、架橋剤、触媒のような各種添加剤が適宜配合される。導電性付与剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅のような導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンのような導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。このうち、カーボンブラックは比較的容易に入手でき、良好な導電性が得られるので特に好ましい。導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合は、ゴム材中のゴム100質量部に対して2〜50質量部配合される。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛または炭酸カルシウムが挙げられる。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンまたはジクミルパーオキサイドが挙げられる。触媒としては通常使用される公知の触媒が挙げられる。
〈表面層〉
表面層4はウレタン樹脂を主成分とした樹脂層であり、ウレタン樹脂はポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られ、以下のようにして合成することができる。
まず、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールのようなポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。
次いで、イソシアネート基末端プレポリマーを、構造式(1)の構造を有する化合物と反応させることで、本発明に係るウレタン樹脂を得ることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールのようなジオール成分、トリメチロールプロパンのようなトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸などのジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
上記以外には、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールのようなポリオレフィンポリオール、またはこれらの水素添加物、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
これらのポリオール成分は必要に応じて、あらかじめ2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のようなイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
該ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールの数平均分子量は1000以上4000以下であることが特に好ましい。ポリオールの数平均分子量が上記範囲であると、分子量に対する水酸基量が多いためにイソシアネートと高い反応性を示し、未反応成分が少なくなるため高温高湿環境での帯電性がより良好となる。
これらのポリオール成分、および構造式(1)で示される化合物と反応させるイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のような脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートのような脂環式ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族イソシアネートおよびこれらの共重合物やイソシアヌレート体、TMPアダクト体、ビウレット体、そのブロック体を用いることができる。
この中でもトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族イソシアネートがより好適に用いられる。
ポリオール成分、および構造式(1)で示される化合物と反応させるイソシアネート化合物の混合比は、各々の水酸基1.0に対してイソシアネート基の比率が1.0から2.0の範囲であることが好ましい。
本発明に用いるトナー担持体の表面層には構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応に由来する部分構造を有するウレタン樹脂を有する。これまで述べてきたように、このウレタン樹脂を用いることにより、トナーの良好な転がり性を維持できるとともに、トナーに高い帯電性を付与することが可能となる。
Figure 0006408907
構造式(1)で示される化合物について詳細に述べると、構造式(1)で示される化合物は、分子中にアミン構造を有する多官能ポリオールまたは末端アミノ化合物を表す。nが1以上4以下の場合、すなわち反応性の官能基である水酸基またはアミノ基を4個以上7個以下有する構造の場合、ウレタン基またはウレア基による架橋構造が良好に形成され、ミクロ的な硬度が向上する。この結果、トナーの良好な転がり性を維持できる。
次に、本発明者らの検討によれば、本効果は構造式(1)で示される化合物の水酸基またはアミノ基数が4以上7以下で奏される。そのため構造式(1)で示される化合物の末端官能基数は、最低4個あればよく、残りがアルキル基で置換されていても同等の効果が得られる。
構造式(1)中、Rは各々独立に下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかである。
(a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
(b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
(c)構造式(2)で示される基、
が、ヒドロキシアルキル基である場合は炭素数が2以上8以下、Rがアミノアルキル基である場合は炭素数が2以上8以下であると、ウレタンまたはウレア基による架橋構造を形成しやすく好ましい。
構造式(2)はいわゆるエーテルの繰り返し単位を有する末端が水酸基である基を表す。Rが構造式(2)で示される基である場合も、同様の理由で、Rは炭素数が2以上5以下のアルキレン基であり、エーテル繰り返し数mは2以上3以下であることが好ましい。
Figure 0006408907
構造式(1)中、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数2以上4以下のアルキレン基であるとトナー担持体の帯電性が向上する。これは、Rが炭素数2以上4以下のアルキレン基であると分子として適度な大きさとなるため、イソシアネートと反応する際の分散性が良好なものとなるためであると考えている。
構造式(1)で示される化合物のうち、構造式(3)で示されるものが好ましい。すなわち、構造式(1)中、nは1または2であり、Rは炭素数2のアルキレン基であることが特に好ましい。
構造式(3)に由来する部分構造を含むウレタン樹脂は、官能基価(5官能)、ウレタン基間の距離が最も好適な範囲になるため、規制部でのトナーの転がり性が良好なものとなり特に好ましい。
Figure 0006408907
構造式(3)中、nは1または2であり、Rは各々独立に炭素数2または炭素数3のアルキレン基であり、Rは炭素数2のアルキレン基を表す。
なお、本発明において、構造式(1)で示される化合物とポリイソシアネートとの反応によって形成されてなる構造は、R
(a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、または
(c)上記構造式(2)で示される基
である場合、構造式(1)の末端にウレタン基を有する構造となる。
また、R
(b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基
である場合、構造式(1)の末端にウレア基を有する構造となる。
表面層4は導電性を有することが好ましい。導電性の付与手段としてはイオン導電剤や導電性微粒子の添加が挙げられるが、安価であり抵抗の環境変動が少ない導電性微粒子が好適に用いられ、また導電付与性と補強性の観点からカーボンブラックが特に好ましい。該導電性微粒子の性状として、一次粒子径18nm以上50nm以下、かつDBP吸油量が50mL/100g以上160mL/100g以下であるようなカーボンブラックであると、導電性、硬度、分散性のバランスが良好であり好ましい。導電性微粒子の含有率は、表面層を形成する樹脂成分100質量部に対して10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
トナー担持体として表面粗度が必要な場合は、表面層4に粗さ制御のための微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径(D3)が3μm以上20μm以下であることが好ましい。また、表面層に添加する粒子添加量が、表面層の樹脂固形分100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。粗さ制御用微粒子には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂の微粒子を用いることができる。
表面層4の形成方法としては特に限定されるものではないが、塗料によるスプレー、浸漬、またはロールコートが挙げられる。特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、表面層を形成する方法として簡便で生産安定性に優れている。
次に本発明の現像装置について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図2は、本発明の現像装置の一例を示す模式的断面図である。また、図3は、本発明の現像装置が組み込まれた画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
図2および/または図3において、静電潜像が形成された像担持体である静電潜像担持体5は、矢印R1方向に回転される。トナー担持体7は矢印R2方向に回転することによって、トナー担持体7と静電潜像担持体5とが対向している現像領域にトナー17を搬送する。また、トナー担持体にはトナー供給部材8が接しており、矢印R3方向に回転することによって、トナー担持体表面にトナー17を供給している。
静電潜像担持体5の周囲には帯電ローラー6、転写部材(転写ローラー)10、定着器11、ピックアップローラー12などが設けられている。静電潜像担持体5は帯電ローラー6によって帯電される。そして、レーザー発生装置(像露光手段)14によりレーザー光(像露光光)を静電潜像担持体5に照射することによって露光(像露光)が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像担持体5上の静電潜像は現像器9内のトナー17で現像されてトナー画像を得る。トナー画像は転写材を介して静電潜像担持体5に当接された転写部材(転写ローラー)10により転写材(紙)13上へ転写される。トナー画像の転写材への転写は、中間転写体を介して行われてもよい。トナー画像を載せた転写材(紙)13は定着器11へ運ばれ転写材(紙)13上に定着される。
本発明の現像装置における帯電工程において、静電潜像担持体と帯電ローラーとが当接部を形成して接触し、帯電ローラーに所定の帯電バイアスを印加して静電潜像担持体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いることが好ましい。このように接触帯電を行うことで、安定した均一な帯電を行うことができ、さらに、オゾンの発生が低減することが可能である。また、静電潜像担持体との接触を均一に保ち、均一な帯電を行うために、静電潜像担持体と同方向に回転する帯電ローラーを用いることがより好ましい。
帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件として、帯電ローラーの当接圧が4.9N/m以上490.0N/m以下で、直流電圧もしくは、直流電圧に交流電圧を重畳したものが例示できる。
交流電圧は0.5kVpp以上5.0kVpp以下、交流周波数は50Hz以上5kHz以下、直流電圧としては電圧の絶対値が400V以上1700V以下であることが好ましい。
帯電ローラーの材質としては、弾性体の材料として、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ウレタン、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴムなどに抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物などの導電性物質を分散したゴム材、
または、これらを発泡させたもの
が挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。また、導電性物質を分散せずに、または導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
また、帯電ローラーに用いられる芯金としては、アルミニウム、SUSなどが挙げられる。帯電ローラーは、静電潜像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、帯電ローラーと静電潜像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。
次に、本発明の現像装置において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。接触転写工程とは、静電潜像担持体が記録媒体を介してトナーと逆極性の電圧が印加された転写部材と当接しながらトナー像を記録媒体に静電転写するものである。転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m未満であると、記録媒体の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなる。
本発明において、トナー規制部材がトナーを介してトナー担持体に当接することによってトナー担持体上のトナー層厚を規制することが好ましい。このようにすることでカブリの無い高画質を得ることができる。トナー担持体に当接するトナー規制部材としては、規制ブレードが一般的であり、本発明においても好適に使用できる。
上記規制ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRのようなゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートのような合成樹脂弾性体、リン青銅板、SUS板などの金属弾性体が使用でき、さらに、それらの複合体であっても良い。さらに、ゴム、合成樹脂、金属弾性体のような弾性支持体に、トナーの帯電性をコントロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属のような帯電コントロール物質をトナー担持体当接部分に当たるようにつけたものを用いても良い。この中でも、金属弾性体に樹脂、ゴムをトナー担持体当接部に当たるように貼り合わせるものが特に好ましい。
金属弾性体に貼り合わせる部材の材質としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂のような正極性に帯電しやすいものが好ましい。
上記規制ブレード上辺部側である基部は現像器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性力に抗してトナー担持体の順方向または逆方向にたわめ状態にしてトナー担持体表面に適度の弾性押圧力をもって当接させる。
規制ブレードとトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体母線方向の線圧として、好ましくは、1.30N/m以上245.0N/m以下、さらに好ましくは4.9N/m以上118.0N/m以下が有効である。当接圧力が1.30N/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、カブリや飛散の原因となりやすい。当接圧力が245.0N/mを超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーの劣化が起こりやすくなる傾向にある。
トナー担持体上のトナーの量は、2.0g/m以上15.0g/m以下であることが好ましく、より好ましくは、3.0g/m以上14.0g/m以下である。
トナー担持体上のトナー量が2.0g/mよりも小さいと十分な画像濃度が得られにくい。
一方、トナー担持体上のトナー量が15.0g/mよりも多くなると規制不良が発生しやすくなり、また、均一帯電性が損なわれやすいことからカブリの増大を招く傾向にある。
なお、本発明において、トナー担持体上のトナー量はトナー担持体の表面粗さ(Ra)、規制ブレードの自由長、規制ブレードの当接圧を変えることにより任意に変えることが可能である。
トナー担持体上のトナー量の測定であるが、外径が6.5mmの吸い口に円筒濾紙を装着する。これを掃除機に取り付け、吸引しながらトナー担持体上のトナーを吸い取り、吸い取ったトナー量(g)を吸い取った面積(m)で割った値をもってトナー担持体上のトナー量とする。
本発明において、トナーを担持するトナー担持体の外径は8.0mm以上14.0mm以下であることが好ましい。現像装置のコンパクト化という意味ではトナー担持体の外径は小さいほど良いが、外径が小さくなればなるほど現像性が低下しやすく、カブリも悪化傾向にある。このため、本発明に用いるトナー担持体とトナーにおいては、コンパクト化とカブリの両立のためにトナー担持体の外径は8.0mm以上14.0mm以下であることが好ましい。
本発明に用いるトナー担持体の表面粗さは、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaで、0.3μm以上5.0μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上4.5μm以下である。
Raが0.3μm以上5.0μm以下であると、トナーの搬送量が充分に得られるうえ、トナー担持体上のトナー量を規制しやすくなり規制不良が生じにくくなるとともに、トナーの帯電量が均一になりやすい。
トナー担持体表面のJIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaの測定は、小坂研究所製サーフコーダーSE−3500を用いて行う。測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、9点(軸方向に等間隔に取った3点の各点について周方向に3点)について測定し、その平均値をとった。
本発明におけるトナー担持体の表面粗さを上記範囲にするには、例えば、トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト、樹脂微粒子などを添加することにより可能となる。
本発明において、現像工程はトナー担持体に現像バイアスを印加し静電潜像担持体上の静電潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する工程であることが好ましく、印加する現像バイアスは直流電圧や直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波など適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
本発明においてトナー供給部材を用いず磁性によりトナーを搬送する方式を用いた場合、トナー担持体の内部にマグネットを配置する必要がある(図4の符号19)。この場合、トナー担持体は内部に多極を有する固定されたマグネットを有していることが好ましく、3極以上10極以下の磁極を有することが好ましい。
本発明において、帯電手段が静電潜像担持体の表面を帯電したときの静電潜像担持体の表面の電位(V1)と、静電潜像を現像するときにトナー担持体に印加する直流電圧(V2)との差の絶対値(|V1−V2|)が、200V以上600V以下であることが好ましい。
|V1−V2|と回収性は相関があり、|V1−V2|が大きいほど残トナーの回収性が向上するため、|V1−V2|は200V以上であることが好ましい。一方、|V1−V2|が600Vよりも大きくなると、特に高温高湿環境でのカブリが悪化傾向となるため、本発明においては|V1−V2|は200V以上600V以下であることが好ましい。
本発明において上記|V1−V2|の値[V]は、高温高湿環境(32.5℃、80%RH)での値[V]よりも低温低湿環境(15℃、10%RH)での値[V]の方が100V以上高いことが好ましい。先に述べたように、低温低湿環境での残トナーの回収性は、|V1−V2|が大きいほど良好となる。一方、高温高湿環境では|V1−V2|が大きいとカブリが悪化傾向となる。このため、低温低湿環境での|V1−V2|の値[V]を高温高湿環境での|V1−V2|の値[V]よりも100V以上高くすることで、回収性とカブリを高いレベルで両立でき、非常に好ましい。
次に、本発明に用いるトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
〈磁性トナーの平均粒径および粒度分布〉
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)、および、個数平均粒径(D1)を算出する。
〈トナーの空隙率の測定〉
空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100
真密度およびタップ密度の測定法を以下に示す。
(真密度の測定)
トナーの真密度は、島津製作所製の乾式自動密度計“アキュピック1330”により、トナーを5.0g精評して測定する。
(タップ密度の測定)
ホソカワミクロン(株)製のパウダーテスターを用い、該パウダーテスターに付属している容器を使用して、該パウダーテスターの取扱説明書の手順に従って測定する。すなわち、パウダーテスターの測定用カップ(内容積:Vcm)にトナーを入れ、タッピングを行う。タッピング終了後、余分なトナーをブレードですり切り、容器中のトナーの重量(Wg)を測定し、次の式によりタップ密度を得ることができる。なお、タップ回数は600回とする。
タップ密度=W/V(g/cm
以下、本発明を製造例および実施例によりさらに具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数はすべて質量部を示す。
(基体2の用意)
基体2として、SUS304製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼き付けしたものを用意した。
(弾性ローラーの作製)
上記で用意した基体2を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名、SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)100質量部、
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)15質量部、
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体 0.2質量部、
・白金触媒 0.1質量部。
下記表1に記載した材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該基体を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体2の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層が形成された弾性ローラーD−1を作製した。
(表面層4の調製)
以下に本発明のポリウレタン表面層を得るための合成例を示す。
(イソシアネート基末端プレポリマー A−1の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネートT80;三井化学社製)17.7質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール (商品名:エクセノール4030;旭硝子社製)100.0gを反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8重量%のイソシアネート基末端プレポリマーA−1を得た。
(イソシアネート基末端プレポリマーA−2の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR 日本ポリウレタン工業社製)33.8質量部に対し、ブチレンアジペート系ポリオール(商品名:ニッポラン4010;日本ポリウレタン工業社製)100.0gを反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.3重量%のイソシアネート基末端プレポリマーA−2を得た。
(アミノ化合物(構造式(1)で示される化合物)の合成)
(アミノ化合物 B−1の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながらエチレンジアミン100.0質量部(1.67mol)、純水100質量部を40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、プロピレンオキシド425.3質量部(7.35mol)を30分かけて徐々に滴下した。さらに1時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱して水を留去し、アミノ化合物 B−1 426gを得た。
(アミノ化合物B−2の合成)
プロピレンオキシドの配合量、および反応時間を下記表1に記載のとおり変更した以外は、アミノ化合物B−1の合成例と同様にして、アミノ化合物B−2を得た。
Figure 0006408907
(アミノ化合物 B−3の合成)
撹拌装置、温度計、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながらジエチレントリアミン100.0質量部(0.97mol)、エタノール100質量部を40℃まで加温した。次に、反応温度を60℃以下に保持しつつ、エチレンオキシド235.0質量部(5.34mol)を30分かけて徐々に滴下した。さらに1時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱してエタノールを留去し、アミノ化合物 B−3 276gを得た。
(アミノ化合物B−4の合成)
エチレンオキシドを2−メチル−テトラヒドロフランに変更し、配合量および反応時間を表1に記載のとおり変更した以外は、アミノ化合物B−3の合成例と同様にして、アミノ化合物B−4を得た。
(アミノ化合物 B−5の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながらテトラエチレンペンタミン100.0質量部(0.53mol)、エタノール100質量部を40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、8−ブロモ−1−オクタノール851.5質量部(4.08mol)を30分かけて徐々に滴下した。さらに1.5時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱してエタノールを留去し、アミノ化合物 B−5 1288gを得た。
(アミノ化合物 B−6の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながらブチレンジアミン100.0質量部(1.14mol)、エタノール100質量部を40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、エチレンイミン215.0質量部(5.02mol)を30分かけて徐々に滴下した。さらに1時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱してエタノールを留去し、アミノ化合物 B−6 216gを得た。
(アミノ化合物B−7の合成)
エチレンイミンを8−ブロモ−1−アミノオクタンに変更し、配合量を表1に記載のとおり変更した以外は、アミノ化合物B−6の合成例と同様にして、アミノ化合物B−7を得た。
得られたアミノ化合物の構造を表2に示す。表中、nは構造式(1)のアミノ構造単位の繰り返し数を表し、mはRが構造式(2)である場合のエーテル繰り返し数を表す。また表中の基数は、アミノ化合物が1分子内に有する末端水酸基または末端アミノ基の数を表す。
Figure 0006408907
Figure 0006408907
Figure 0006408907
〈トナー担持体1の作製〉
表面層4の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーA−1 617.9質量部に対し、アミノ化合物B−1 34.2質量部、カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製)117.4質量部、およびウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.4質量部、を撹拌混合した。
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトン(以下MEK)を加えた後、サンドミルにて混合した。次いで、さらに、MEKで粘度10〜13cpsに調整して表面層形成用塗料を調製した。
先に作製した弾性ローラーD−1を、表面層形成用塗料に浸漬して、弾性ローラーD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚15μmの表面層4を設け、トナー担持体1を作製した。
〈トナー担持体2〜7の作製〉
表面層4の材料として、下記表3の材料を用いた以外はトナー担持体1の作製と同様に表面層形成用塗料を調製した。そして、各塗料を弾性ローラーD−1に対して、トナー担持体1の作製と同様にして塗布、乾燥および加熱を行ってトナー担持体2〜7を作製した。
Figure 0006408907
〈トナー担持体8の作製〉
表面層4の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーA−2 632.8質量部に対し、ペンタエリスリトール 19.5質量部、カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製)117.4質量部、およびウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.5質量部、を撹拌混合した。
以降は、トナー担持体1の作製に係る表面層形成用塗料の調製方法と同様にしてトナー担持体8に係る表面層形成用塗料を調製した。この表面層形成用塗料をトナー担持体1の作製と同様にして弾性ローラーD−1のシリコーンゴム弾性層の表面に塗工、乾燥させて表面層4を形成し、トナー担持体8を作製した。
〈トナー担持体9の作製〉
表面層4の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーA−2 351.6質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール (商品名:エクセノール230;旭硝子社製) 300.5質量部、カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製)117.4質量部、およびウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.5質量部、を撹拌混合した。
以降は、トナー担持体1の作製に係る表面層形成用塗料の調製方法と同様にしてトナー担持体9に係る表面層形成用塗料を調製した。この表面層形成用塗料をトナー担持体1の作製と同様にして弾性ローラーD−1のシリコーンゴム弾性層の表面に塗工、乾燥させて表面層4を形成し、トナー担持体9を作製した。
〈磁性体1の製造〉
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄原子に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄原子に対しリン原子換算で0.15質量%となる量のP、鉄原子に対してケイ素原子換算で0.50質量%となる量のSiOを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを7.5とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.1当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.4に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(D3)が0.22μmの磁性体1を得た。
〈トナー1の製造〉
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比76/24) 100.0質量部
磁性体1 100.0質量部
ポリエチレンワックス(融点110℃) 3.0質量部
モノアゾ染料の鉄錯体(T−77;保土ヶ谷化学社製) 2.0質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、120℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕した後、微粉砕物を風力分級してトナー粒子1を得た。
このトナー粒子1を100質量部、個数平均粒径(D1)が100nmのポリメチルアクリレート微粒子0.1質量部、個数平均粒径(D1)が12nmのシリカ微粒子1.2質量部をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株)に投入した。そして、4000回転で4分間混合し、トナー1を得た。得られたトナー1の重量平均粒径(D4)は11.2μmであり、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比D4/D1は1.22、空隙率は53であった。トナー1の物性を表4に示す。
〈トナー2〜17の製造〉
用いるトナー粒子、および、添加する微粒子を表4に示すように変えたこと以外は、トナー1の製造と同様にトナー2〜17を得た。トナー2〜17に物性を表4に示す。
なお、トナー粒子2〜5、7〜10は、溶融混練し、冷却後の微粉砕条件、および、風力分級の条件を変更したこと以外は、トナー粒子1の製造と同様にしてトナー粒子2〜5、7〜10を得た。
トナー粒子6は、トナー粒子5をハイブリダイザー(奈良機械製作所製)にて6000回転で3分間の処理を2回おこなってトナー粒子6を得た。
トナー粒子11は、トナー粒子5に熱風を吹き付けることによりトナー粒子の表面改質を行う装置であるメテオレインボー(日本ニューマチック工業社製)で表面改質を行い、トナー粒子11を得た。表面改質時の条件は、原料供給速度2kg/hr、熱風流量700L/min、吐出熱風温度300℃で行った。
Figure 0006408907
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〈実施例1〉
(画像形成装置)
キヤノン製プリンターLBP7700Cを改造して画像出力評価に用いた。改造点としては、現像装置のトナー供給部材を図2に示すように、トナー担持体と逆回転するようにするとともに、トナー供給部材への電圧印加をオフにした。また、クリーニングブレードを外し、トナー担持体と静電潜像担持体の当接部の幅が1.1mmとなるように当接圧を調整した。
このように改造した現像装置にトナー1を100g充填し、トナー担持体2を用いて現像装置を作製した。作製した現像装置をブラックステーションにセットした。
次に、高温高湿環境(32.5℃、80%RH)では静電潜像担持体上の電位が−600Vになるように帯電部材へ直流電圧を印加した。また、トナー担持体へは−300Vの直流電圧を印加し、|V1−V2|が300Vとなるようにして画像出力試験を行った。
低温低湿環境(15℃、10%RH)では、静電潜像担持体上の電位が−900Vになるように帯電部材へ直流電圧を印加した。また、トナー担持体へは−300Vの直流電圧を印加し、|V1−V2|が600Vとなるようにして画像出力試験を行った。
なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、連続通紙にて3000枚の画像出力試験を行った。
その結果、クリーナーレスであっても高温高湿環境ではカブリの無い鮮明な画像が得られ、低温低湿環境においても回収性が良好で、回収不良に起因するクリーナーレスゴーストが無い良好な画像を得ることができた。評価結果を表5に示す。
本発明の実施例および比較例で行った各評価の評価方法とその判断基準について以下に述べる。
〈画像濃度〉
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
〈カブリ〉
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTOMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下のとおりである。
A:非常に良好なレベル(カブリ1.5%未満)
B:良好なレベル(カブリ1.5%以上2.5%未満)
C:実用的には問題ないレベル(カブリ2.5%以上3.5%未満)
D:実用上好ましくないレベル(カブリ3.5%以上)
〈回収性〉
回収性は静電潜像担持体1周分のベタ黒画像を形成し、転写工程、帯電工程を通過し、現像領域通過前の残トナーをテーピングし、その濃度を上記マクベス反射濃度計にて測定した。残トナーをテーピングした濃度から、テープのみの濃度を差し引き、回収前濃度を求めた。次に、転写工程、帯電工程、現像領域を通過し、次の転写工程前の領域にて静電潜像担持体上をテーピングし、その濃度を上記マクベス反射濃度計にて測定した。このようにして測定した静電潜像担持体上の濃度から、テープのみの濃度を差し引き、回収後濃度を求めた。
上記回収前濃度と回収後濃度を用い、以下のように回収性を算出した。
回収性=1−(回収後濃度/回収前濃度)
なお、回収性の判断基準は以下のとおりである。
A:回収性が0.95以上であり、非常に良好
B:回収性が0.90以上0.95未満であり良好
C:回収性が0.85以上0.90未満であり、実用上問題ないレベル
〈実施例2〜22〉
トナーとトナー担持体を表5に示したような組み合わせで現像装置を作製し、|V1−V2|を表5に示したように設定し、実施例1と同様に画像出力評価を行った。その結果、すべての現像装置において高温高湿環境ではカブリは実用上問題のないレベル以上であり、低温低湿環境での回収性も良好で、回収不良に起因するクリーナーレスゴーストが無い画像を得ることができた。評価結果を表5に示す。
〈参考例1〜4〉
トナーとトナー担持体を表5に示したような組み合わせで現像装置を作製し、|V1−V2|を表5に示したように設定し、実施例1と同様に画像出力評価を行った。その結果、すべての現像装置において高温高湿環境でのカブリ、低温低湿環境での回収性、いずれも実用上問題のないレベルであった。評価結果を表5に示す。
〈比較例1、2〉
トナーとトナー担持体を表5に示したような組み合わせで現像装置を作製し、各現像装置を実施例1と同様に画像出力評価を行った。その結果、いずれの現像装置も低温低湿環境での回収性は実用的には問題の無い結果だったものの、高温高湿環境でのカブリが悪かった。評価結果を表5に示す。
Figure 0006408907
Figure 0006408907
〈トナー担持体10の作製〉
(基体の用意)
基体2として、外径10mmφ(直径)で算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼き付けした。
(弾性ローラーの作製)
上記で用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名、SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)100質量部、
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)15質量部、
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体 0.2質量部、
・白金触媒 0.1質量部。
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該基体を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体2の外周に膜厚0.5mm、直径11mmのシリコーンゴム弾性層が形成された弾性ローラーD−2を作製した。
(表面層の作製)
表面層4の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーA−1 617.9質量部に対し、アミノ化合物B−1 34.2質量部、カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製)117.4質量部、およびウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.4質量部、を撹拌混合した。
次に、総固形分比が30質量%となるようにMEKを加え表面層形成用塗料を調製した。
次に、先に作製した弾性ローラーD−2のゴムの無い部分をマスキングして垂直に立て、1500rpmで回転させ、スプレーガンを30mm/sで下降させながら前記塗料を塗布した。続いて、熱風乾燥炉中で温度180℃、20分間加熱して塗布層を硬化・乾燥することで弾性層外周に膜厚8μmの表面層4を設けトナー担持体10を作製した。
〈トナー担持体11〜16の作製〉
表面層4の材料として、下記表6の材料を用いた以外はトナー担持体10の作製と同様に表面層形成用塗料を調製した。そして、各塗料を弾性ローラーD−2に対して、トナー担持体10の作製と同様にして塗布、乾燥および加熱を行ってトナー担持体11〜16を作製した。
Figure 0006408907
〈実施例23〉
キヤノン製プリンターLBP3100を改造して画像出力評価に用いた。改造点としては、図4に示すようにトナー担持体7が静電潜像担持体に当接するように改造した。なお、トナー担持体と静電潜像担持体の当接部の幅が1.0mmとなるように当接圧を調整した。トナー供給部材が無いことから高温高湿環境でのカブリに厳しい条件である。
このように改造した現像装置にトナー1を50g充填し、トナー担持体10を用いて現像装置を作製した。
次に、高温高湿環境(32.5℃、80%RH)では静電潜像担持体上の電位が−600Vになるように帯電部材へ直流電圧を印加した。また、トナー担持体へは−300Vの直流電圧を印加し、|V1−V2|が300Vとなるようにして画像出力試験を行った。
低温低湿環境(15℃、10%RH)では、静電潜像担持体上の電位が−800Vになるように帯電部材へ直流電圧を印加した。また、トナー担持体へは−300Vの直流電圧を印加し、|V1−V2|が500Vとなるようにして画像出力試験を行った。
なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、連続通紙にて1500枚の画像出力試験を行った。
その結果、クリーナーレスであっても高温高湿環境ではカブリの無い鮮明な画像が得られ、低温低湿環境においても回収性が良好で、回収不良に起因するクリーナーレスゴーストが無い良好な画像を得ることができた。評価結果を表7に示す。
〈実施例24〜29〉
トナーとトナー担持体を表7に示したような組み合わせで現像装置を作製し、|V1−V2|を表7に示したように設定し、実施例23と同様に画像出力評価を行った。
その結果、すべての現像装置で高温高湿環境でのカブリ、低温低湿環境での回収性いずれも良好な結果が得られた。評価結果を表7に示す。
Figure 0006408907
Figure 0006408907
1 トナー担持体
2 基体
3 弾性層
4 表面層
5 静電潜像担持体(感光体)
6 帯電ローラー
7 トナー担持体
8 トナー供給部材
9 現像器
10 転写部材(転写ローラー)
11 定着器
12 ピックアップローラー
13 転写材(紙)
14 レーザー発生装置
15 トナー規制部材
16 金属板
17 トナー
18 撹拌部材
19 マグネット

Claims (14)

  1. 静電潜像担持体、
    該静電潜像担持体の表面を帯電するための帯電手段、
    帯電された該静電潜像担持体の表面に像露光光を照射して該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成するための像露光手段、
    該静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成するための現像装置、
    中間転写体を介してまたは介さずに該静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段、および、
    該転写材に転写されたトナー像を該転写材に定着するための定着手段、
    を有する画像形成装置であって、
    該トナー像を転写した後の該静電潜像担持体の表面の転写残トナーを該現像装置で回収する画像形成装置において、
    該現像装置が、
    該静電潜像を現像するためのトナー、
    該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
    該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
    を有し、
    該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
    該トナー担持体が、
    基体、
    弾性層、および、
    ウレタン樹脂を含む表面層、
    を有し、
    該ウレタン樹脂が、
    下記構造式(1)で示される化合物と、
    ポリイソシアネートと、
    の反応に由来する部分構造を有し、
    該トナーが、
    結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
    無機微粒子と、
    を有する磁性トナーであり、
    該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
    下記数式(1):
    空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
    から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
    ことを特徴とする画像形成装置。
    Figure 0006408907
    (構造式(1)中、
    nは、1以上4以下の整数であり、
    は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
    (a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
    (b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
    (c)下記構造式(2)で示される基、
    は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006408907
    (構造式(2)中、
    mは、2または3であり、
    は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
  2. 前記トナーの重量平均粒径(D4)と、前記トナーの個数平均粒径(D1)と、の比(D4/D1)が、1.30以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナーが、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下の微粒子を有し、
    該微粒子が、樹脂微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、および、チタン酸カルシウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一種の微粒子である
    請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記帯電手段が前記静電潜像担持体の表面を帯電したときの前記静電潜像担持体の表面の電位(V1)と、前記現像装置において前記静電潜像を現像するときに前記トナー担持体に印加される直流電圧(V2)と、の差の絶対値(|V1−V2|)が、200V以上600V以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 静電潜像担持体の表面を帯電する帯電工程、
    帯電された該静電潜像担持体の表面に像露光光を照射して該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する像露光工程、
    現像装置を用い、該静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程、
    中間転写体を介してまたは介さずに該静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程、および、
    該転写材に転写されたトナー像を該転写材に定着するための定着工程を有する画像形成方法であって、
    該トナー像を転写した後の該静電潜像担持体の表面の転写残トナーを該現像装置で回収する画像形成方法において、
    該現像装置が、
    該静電潜像を現像するためのトナー、
    該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
    該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材
    を有し、
    該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
    該トナー担持体が、
    基体、
    弾性層、および、
    ウレタン樹脂を含む表面層、
    を有し、
    該ウレタン樹脂が、
    下記構造式(1)で示される化合物と、
    ポリイソシアネートと、
    の反応に由来する部分構造を有し、
    該トナーが、
    結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
    無機微粒子と、
    を有する磁性トナーであり、
    該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
    下記数式(1):
    空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
    から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
    ことを特徴とする画像形成方法。
    Figure 0006408907
    (構造式(1)中、
    nは、1以上4以下の整数であり、
    は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
    (a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
    (b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
    (c)下記構造式(2)で示される基、
    は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006408907
    (構造式(2)中、
    mは、2または3であり、
    は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
  6. 前記トナーの重量平均粒径(D4)と、前記トナーの個数平均粒径(D1)と、の比(D4/D1)が、1.30以下である請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記トナーが、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下の微粒子を有し、
    該微粒子が、樹脂微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、および、チタン酸カルシウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一種の微粒子である
    請求項5または6に記載の画像形成方法。
  8. 前記帯電工程において前記静電潜像担持体の表面を帯電したときの前記静電潜像担持体の表面の電位(V1)と、前記現像工程において前記静電潜像を現像するときに前記トナー担持体に印加される直流電圧(V2)と、の差の絶対値(|V1−V2|)が、200V以上600V以下である請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  9. 静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成するための現像装置において、
    該現像装置が、
    該静電潜像を現像するためのトナー、
    該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
    該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
    を有し、
    該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
    該トナー担持体が、
    基体、
    弾性層、および、
    ウレタン樹脂を含む表面層、
    を有し、
    該ウレタン樹脂が、
    下記構造式(1)で示される化合物と、
    ポリイソシアネートと、
    の反応に由来する部分構造を有し、
    該トナーが、
    結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
    無機微粒子と、
    を有する磁性トナーであり、
    該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
    下記数式(1):
    空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
    から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
    ことを特徴とする現像装置。
    Figure 0006408907
    (構造式(1)中、
    nは、1以上4以下の整数であり、
    は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
    (a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
    (b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
    (c)下記構造式(2)で示される基、
    は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006408907
    (構造式(2)中、
    mは、2または3であり、
    は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
  10. 前記トナーの重量平均粒径(D4)と、前記トナーの個数平均粒径(D1)と、の比(D4/D1)が、1.30以下である請求項9に記載の現像装置。
  11. 前記トナーが、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下の微粒子を有し、
    該微粒子が、樹脂微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、および、チタン酸カルシウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一種の微粒子である
    請求項9または10に記載の現像装置。
  12. 現像装置を用い、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像して該静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像方法において、
    該現像装置が、
    該静電潜像を現像するためのトナー、
    該トナーを担持するためのトナー担持体、および、
    該トナー担持体に担持された該トナーの層厚を規制するための規制部材、
    を有し、
    該トナー担持体が、該静電潜像担持体に接触配置されており、
    該トナー担持体が、
    基体、
    弾性層、および、
    ウレタン樹脂を含む表面層、
    を有し、
    該ウレタン樹脂が、
    下記構造式(1)で示される化合物と、
    ポリイソシアネートと、
    の反応に由来する部分構造を有し、
    該トナーが、
    結着樹脂および磁性体を含有するトナー粒子と、
    無機微粒子と、
    を有する磁性トナーであり、
    該トナーの重量平均粒径(D4)が、9.5μm以上14.0μm以下であり、
    下記数式(1):
    空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度×100 ・・・数式(1)
    から得られる該トナーの空隙率が、50以上56以下である
    ことを特徴とする現像方法。
    Figure 0006408907
    (構造式(1)中、
    nは、1以上4以下の整数であり、
    は、各々独立に、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれるいずれかを表し、
    (a)炭素数2以上8以下のヒドロキシアルキル基、
    (b)炭素数2以上8以下のアミノアルキル基、
    (c)下記構造式(2)で示される基、
    は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。)
    Figure 0006408907
    (構造式(2)中、
    mは、2または3であり、
    は、炭素数2以上5以下のアルキレン基を表す。)
  13. 前記トナーの重量平均粒径(D4)と、前記トナーの個数平均粒径(D1)と、の比(D4/D1)が、1.30以下である請求項12に記載の現像方法。
  14. 前記トナーが、一次粒子の個数平均粒径(D1)が100nm以上2.0μm以下の微粒子を有し、
    該微粒子が、樹脂微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、および、チタン酸カルシウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一種の微粒子である
    請求項12または13に記載の現像方法。
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