<第1実施形態>
図1は本発明にかかる部品実装装置の第1実施態を示す平面図である。また、図2は図1に示す部品実装装置の部分正面図である。また、図3は図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。さらに、図4は図1に示す部品実装装置におけるコンベア配置態様を示す模式図である。なお、図1、図2および図4では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が示されている。これらの図には、基板の搬送方向に平行なX方向と、当該X方向に垂直なY方向とが示されている。なお、X方向の矢印X1は基板搬送方向の上流側を向いており、X方向の矢印X2は基板搬送方向の下流側を向いている。また、Y方向の矢印Y1はY方向の一方側を向いており、Y方向の矢印Y2はY方向の他方側を向いている。この部品実装装置100は、X方向の幅が比較的大きな大型の基板に対する部品実装を実行するのみならず、図1に示すように当該幅が比較的狭い小型の基板1a、1bに対して部品実装を並列的に実行可能となっている。以下、部品実装装置100の構成について説明した後で、上記のように2枚の小型基板1a、1bに対して部品実装を行う場合の動作について詳述する。
部品実装装置100は、図1に示すように、X方向に延びる基板搬送装置2と、基板搬送装置2の上方をXY方向に移動可能な第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4とを備えている。これら基板搬送装置2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4はそれぞれ、基台5上に配置されている。また、基台5上のY方向側の両端部には、部品を供給するための部品供給部6としてテープ型部品供給部、つまりテープフィーダー6a〜6dが複数個設けられている。そして、第1ヘッドユニット3はY方向のY1側のテープフィーダー6a、6bから供給を受けた部品を実装し、第2ヘッドユニット4はY方向のY2側のテープフィーダー6c、6dから供給を受けた部品を実装する。
基板搬送装置2は、X方向に並ぶ第1コンベアユニット21、第2コンベアユニット22、第3コンベアユニット23および第4コンベアユニット24を備えている。そして、基板搬送装置2は、これらコンベアユニット21〜24を協働して動作させることで、X方向へ基板1a、1bを搬入・搬出させたり、実装作業位置へ基板1a、1bを位置決めしたりする。詳細は次のとおりである。
第1コンベアユニット21はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア211、212を備え、第2コンベアユニット22はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア221、222を備え、第3コンベアユニット23はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア231、232を備え、第4コンベアユニット24はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア241、242を備えている。また、この基板搬送装置2には、第1コンベアユニット21および第2コンベアユニット22において、X方向のX2側へ基板1aを搬送するための駆動力を発生する搬送モーター(図示省略)および駆動伝達部(図示省略)が設けられている。そして、コンベア211、212の搬送ベルトおよびコンベア221、222の搬送ベルトとを同期して駆動することで基板1a、1bがX方向のX2側に搬送される。
第1コンベアユニット21のコンベア211、212のうち、Y方向のY2側のコンベア212は、Y方向のY2側に設けられたテープフィーダー6cの近傍で、基台5に固定されている。一方、Y方向のY1側のコンベア212は、ボールネジ軸213の回転に伴って、基台5に対してY方向に移動自在に構成されている。したがって、ボールネジ軸213を駆動する駆動モータ(図示省略)を、装置全体を制御する制御ユニット7のモーター制御部71が制御することで、コンベア211、212のY方向への間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整される。そして、コンベア211、212の間隔が基板1a、1bに応じて調整された状態で、モーター制御部71が搬送モーターを適宜制御することで、第1コンベアユニット21は部品実装装置100外部から基板1a、1bを順次搬入し、基板受渡位置P21(図4(a)、(b)参照)に位置決めされた第2コンベアユニット22に渡す。このように、本実施形態では、第1コンベアユニット21は、部品実装処理前の基板を部品実装装置100に搬入する、「入口搬送装置」や「基板搬入装置」として機能する。
第2コンベアユニット22のコンベア221、222のうち、Y方向のY2側のコンベア222は、図示を省略する回転モーターからの駆動力を受けてボールネジ軸223が回転することで、Y方向のY1側のコンベア221から独立してY方向に移動する。したがって、当該回転モーターの回転をモーター制御部71が制御することで、コンベア221、222のY方向への間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整される。また、コンベア221、222の間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整された状態で、モーター制御部71が搬送モーターを適宜制御することで、第2コンベアユニット22は、基板受渡位置P21で第1コンベアユニット21から基板1a、1bを受け取ったり、第3コンベアユニット23に基板1a、1bを渡したりすることができる。
また、第2コンベアユニット22のコンベア221、222は、図示を省略する駆動モーターからの駆動力を受けて、それぞれの間隔を保ったままY方向に移動自在に構成されている。したがって、モーター制御部71によるモーター制御によって、第2コンベアユニット22は、基板受渡位置P21と、Y1側のテープフィーダー6aに近接したY1側近接位置P22(図4(c)、(d)参照)との間を移動して位置決めされる。以上のような構成を備えているため、第2コンベアユニット22は、基板受渡位置P21で未実装の基板1a、1bを第1コンベアユニット21から受けた後で、未実装のまま当該基板1a、1bを次の第3コンベアユニット23の基板受渡位置P31(図4(a)、(c)参照)に渡すことが可能となっている。また、第2コンベアユニット22には、基板1a、1bを保持する保持機構(図示省略)が設けられており、当該保持機構で基板1a、1bを保持した状態で第2コンベアユニット22はY1側近接位置P22に移動して基板1a、1bを位置決め可能となっている。そして、Y1側近接位置P22を実装作業位置としてヘッドユニット3、4による部品実装作業を行うことが可能となっている。また、Y1側近接位置P22での実装が済んだ基板1a、1bを基板受渡位置P21にまで戻して第3コンベアユニット23の基板受渡位置P31(図4(a)、(c)参照)に渡すことも可能となっている。また、本実施形態では、基板1a、1bを保持したまま基板受渡位置P21でヘッドユニット3、4による部品実装作業を行うことも可能となっている。このように、第2コンベアユニット22を装備するステージが部品実装を行うためのX1側実装ステージMS1として機能し、装置内部のX1側領域において基板の受取、保持、移動、位置決めおよび搬出などの処理を行う。
上記したように、本実施形態では、第1コンベアユニット21および第2コンベアユニット22に対して複数のモーターを駆動源とするX1側の搬送機構が設けられ、モーター制御部71によって各モーターを制御することで、
・未実装の基板の装置内への搬入、
・未実装の基板を保持した状態での当該基板のY1側近接位置P22への移動・位置決め、
・基板の第3コンベアユニット23への搬送
を実行することが可能となっている。
一方、第3コンベアユニット23および第4コンベアユニット24も、上記X1側の搬送機構と同様のX2側の搬送機構が設けられており、当該搬送機構の各モーターをモーター制御部71が制御することで、
・実装完了前の基板を保持した状態での当該基板のY2側近接位置P32(図4(b)、(d)参照)への移動・位置決め、
・基板の第4コンベアユニット24への搬送、
・実装済の基板の装置外への搬出、
を実行することが可能となっている。すなわち、第4コンベアユニット24に設けられた搬送モーター(図示省略)がモーター制御部71により駆動されると、搬送モーターで発生した駆動力が駆動伝達部(図示省略)を介して第3コンベアユニット23および第4コンベアユニット24に与えられる。これによって、第3コンベアユニット23のコンベア231、232の搬送ベルトおよび第4コンベアユニット24のコンベア241、242の搬送ベルトが同期して駆動され、これによって基板1a、1bがX方向のX2側に搬送される。
第3コンベアユニット23のコンベア231、232のうち、Y方向のY1側のコンベア231は、図示を省略する回転モーターからの駆動力を受けてボールネジ軸233が回転することで、Y方向のY2側のコンベア232から独立してY方向に移動する。したがって、当該回転モーターの回転をモーター制御部71が制御することで、コンベア231、232のY方向への間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整される。また、コンベア231、232の間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整された状態で、モーター制御部71が搬送モーターを適宜制御することで、第3コンベアユニット23は、基板受渡位置P31で第2コンベアユニット22から基板1a、1bを受け取ったり、第4コンベアユニット24に基板1a、1bを渡したりすることができる。
また、第3コンベアユニット23のコンベア231、232は、図示を省略する駆動モーターからの駆動力を受けて、それぞれの間隔を保ったままY方向に移動自在に構成されている。したがって、モーター制御部71によるモーター制御によって、第3コンベアユニット23は、基板受渡位置P31と、Y2側のテープフィーダー6dに近接したY2側近接位置P32と、Y1側のテープフィーダー6bに近接したY1側近接位置(後で説明する図23(b)中の位置P35b)との間を移動して位置決めされる。以上のような構成を備えており、本実施形態では、第3コンベアユニット23は、基板受渡位置P31で基板1a、1bを第2コンベアユニット21から受けた後で、当該基板1a、1bへの実装処理を行わないまま次の第4コンベアユニット24に渡すことが可能となっている。また、第3コンベアユニット23には、基板1a、1bを保持する保持機構(図示省略)が設けられており、当該保持機構で基板1a、1bを保持した状態で第3コンベアユニット23はY2側近接位置P32に移動して基板1a、1bを位置決め可能となっている。そして、Y2側近接位置P32を実装作業位置としてヘッドユニット3、4による部品実装作業を行うことが可能となっている。また、Y1側近接位置P32での実装が済んだ基板1a、1bを基板受渡位置P31にまで戻して第4コンベアユニット24に渡すことも可能となっている。また、本実施形態では、基板1a、1bを保持したまま基板受渡位置P21でヘッドユニット3、4による部品実装作業を行うことも可能となっている。このように、第3コンベアユニット23を装備するステージが部品実装を行うためのX2側実装ステージMS2として機能し、装置内部のX2側領域において基板の受取、保持、移動、位置決めおよび搬出などの処理を行う。
第4コンベアユニット24のコンベア241、242のうち、Y方向のY2側のコンベア242は、Y方向のY2側に設けられたテープフィーダー6dの近傍で、基台5に固定されている。一方、Y方向のY1側のコンベア242は、ボールネジ軸243の回転に伴って、基台5に対してY方向に移動自在に構成されている。したがって、ボールネジ軸243を駆動する駆動モータ(図示省略)をモーター制御部71が制御することで、コンベア241、242のY方向への間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整される。そして、コンベア241、242の間隔が基板1a、1bに応じて調整された状態で、モーター制御部71が搬送モーターを適宜制御することで、第4コンベアユニット24は、第3コンベアユニット23から搬送されてきた実装済の基板1a、1bを部品実装装置100外部に搬出する。このように、本実施形態では、第4コンベアユニット24は、部品実装済の基板1a、1bを部品実装装置100から搬出する、「出口搬送装置」や「基板搬出装置」として機能する。
上記したように、本実施形態では、図4に示すように、第1コンベアユニット21および第4コンベアユニット24ではコンベア対を一体的にY方向に移動させることは規制されている。その一方で、第2コンベアユニット22および第3コンベアユニット23ではコンベア対を一体的にY方向に移動させることが可能となっており、後述するように基板搬送時および部品実装時において適切な位置に位置決めされ、当該コンベア対により位置決めされた実装作業位置で第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4による部品実装が実行される。
第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とは、図1および図2に示すように、互いに同様の構成を示している。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、テープフィーダー6a、6b(6c、6d)の部品取出部61から部品をピックアップして、基板への部品の実装を行う。なお、部品には、半導体集積回路装置、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの小型の電子部品が含まれる。
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、図1および図2に示すように、それぞれX方向に延びるヘッドユニット支持部31、41に沿ってX方向に直線移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット支持部31(41)は、X方向に延びるボールネジ軸31a(41a)と、ボールネジ軸31a(41a)を回転させるサーボモータ31b(41b)と、X方向のガイドレール(図示せず)とを有している。第1ヘッドユニット3(4)は、モーター制御部71からの駆動指令に応じたサーボモータ31b(41b)の駆動によりボールネジ軸31a(41a)が回転されることによって、ヘッドユニット支持部31(41)に対してX方向に移動される。
また、ヘッドユニット支持部31、41はリニアモータ(図示省略)により固定レール部51に沿ってY方向に移動される。すなわち、ヘッドユニット支持部31およびヘッドユニット支持部41の両端部には、界磁コイルがリニアモータの可動子として取り付けられている。一方、固定レール部51では、複数の永久磁石がY方向に沿って配列されてリニアモータの固定子として機能する。そして、ヘッドユニット3(4)をY方向に移動させるためにモーター制御部71からの指令に応じて可動子に電流が供給されると、ヘッドユニット支持部31(41)が固定レール部51に沿ってY方向に移動する。このように、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、ヘッドユニット支持部31(41)およびリニアモータにより基台5上をXY方向に移動可能である。
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、上記した基板の位置決め位置、つまり基板受渡位置P21、P31、Y1側近接位置P22およびY2側近接位置P32の基板に対して部品実装が可能となるように、それぞれの可動範囲が設定されている。そして、ヘッドユニット3、4が実装ターンを繰り返すことで数多くの部品を基板に実装する。この「実装ターン」とは、ヘッドユニット3(4)によりテープフィーダー6a、6b(6c、6d)から供給される1つまたは複数の部品を吸着し、実装作業位置で停止する基板1a、1bの上方位置に移動した後で、部品を基板に装着する一連の工程を意味している。本実施形態では、一回の実装ターンにおいて最大、実装ヘッドの本数分の部品を基板1a、1bに実装することが可能となっている。つまり、各ヘッドユニット3、4は、基板に実装すべき部品を1組または複数組にグループ分けしてなるグループ毎に、テープフィーダー6a、6bで構成される部品供給部6の上方に移動して当該組を構成する部品を保持した後で基板の上方に移動して当該組を構成する部品を基板に実装する実装ターンを実行する。
ここで、部品実装装置100の通常実装動作としては、Y1側近接位置P22に位置決めされた基板に対しては、Y方向のY1側のテープフィーダー6a、6bから供給を受けた部品が第1ヘッドユニット3により実装される。また、Y2側近接位置P32に位置決めされた基板に対しては、Y方向のY2側のテープフィーダー6c、6dから供給を受けた部品が第2ヘッドユニット4により実装される。というのも、上記した部品実装動作を行うことで各実装ターンにおける部品実装時の第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4の移動距離が短くなり、各実装ターンに要する時間を短縮することができるからである。
第1ヘッドユニット(第2ヘッドユニット4)には、X方向に列状に配列された8本の吸着ノズル35(45)が取り付けられており、各吸着ノズル35(45)が部品を吸着することができる。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、まず部品供給位置において部品取出部61から部品を取得した後でY2(Y1)方向に移動されることによって、部品を保持(吸着)したまま実装作業位置の上方に移動される。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、X方向およびY方向の移動を繰り返しながら部品を基板1b(1a)表面の所定の搭載点に実装するように構成されている。そして、一の実装ターンが終了すると、次の実装ターンが開始される。つまり、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、Y方向のY1(Y2)側に移動されることによって基板の上方から再び部品供給位置(テープフィーダー6a、6b(6c、6d))の上方)に戻され、部品取出部61から部品の取得(吸着)作業を実行する。
なお、図1中の符号91、92はそれぞれスキャンカメラおよび基板認識カメラを示している。このスキャンカメラ91はヘッドユニット3、4の下方側(Z方向のZ2側)でヘッドユニット3、4に対してX方向に移動自在に取り付けられている。このため、各実装ヘッド36(46)の先端に取り付けられた吸着ノズル35(45)に吸着された部品の下面が所定の撮像高さ位置に位置するように実装ヘッド36(46)を昇降させた後で、モーター制御部71によりスキャン駆動モーター911を駆動制御すると、スキャンカメラ91がX方向に往復移動しながら上記部品を撮像する。一方、基板認識カメラ92は、照明部およびCCDカメラなどから構成されており、基板1a、1bに付されたフィデューシャルマークを撮像すること等によって基板認識を行う。
部品実装装置100には、オペレータとのインターフェースとして機能する表示ユニット8(図3)が設けられている。表示ユニット8は、制御ユニット7と接続され、部品実装装置100の動作状態を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてオペレータからの入力を受け付ける入力端末としての機能も有する。
次に、制御ユニット7の構成について図3を参照しつつ説明する。制御ユニット7は、装置本体の内部の適所に設けられ、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。
制御ユニット7は、機能的には、モーター制御部71、外部入出力部72、画像処理部73、サーバ通信制御部74、フィーダー通信制御部75、メモリ76および演算処理部77を備えている。
上記モーター制御部71は、コンベアユニット21〜24やヘッドユニット3、4に装備されたモーターの駆動を制御する。外部入出力部72は、部品実装装置100に装備されている各種センサー類93からの信号を入力する一方、部品実装装置100に装備されている各種アクチュエータ等94に対して信号を出力する。本実施形態では、上記センサー類93として、図4に示すように、基板検出センサー931〜933がそれぞれコンベアユニット21〜23のX2側端部に近接して配置されており、各コンベアユニット21〜23における基板の有無を検出可能となっている。
画像処理部73は、スキャンカメラ91および基板認識カメラ92から画像データを取り込み、2値化等の画像処理を行う。サーバ通信制御部74はサーバ(図示省略)との間で情報等の交信を行う。フィーダー通信制御部75は各テープフィーダー6a〜6dとの間で情報等の交信を行う。
メモリ76は、部品実装処理を行うためのプログラム、各実装ターンでの基板位置、実装される部品や実装位置などを示す実装データ、実装作業に関連する実装情報(例えば実装ターン数、部品数、各位置の相互距離など)を記憶する。
上記演算処理部77は、CPU等のような演算機能を有するものであり、上記メモリ76に記憶されているプログラムおよび実装データに従ってモーター制御部71や画像処理部73を制御することでヘッドユニット3、4による実装ターンを繰り返す。また、演算処理部77は、外部のホストコンピュータなどの外部装置により作成された実装データに従ってそのまま部品実装を実行するのではなく、当該実装データに従って各実装ターンを実行した際の実装作業時間に関連する情報、つまり実装作業情報を取得し、当該実装作業情報に基づいて実装作業位置の変更によりタクトタイムの短縮が可能か否かを判別する。そして、演算処理部77は、タクトタイムの短縮が可能であると判断した際には、実装作業位置の変更を反映した実装データに変更し、実装データの書換を行う。このように、本実施形態では、演算処理部77は、情報取得部771、タイム短縮判別部772およびデータ変更部773の機能を有している。
次に、上記のように構成された部品実装装置100の動作について図5ないし図7を参照しつつ説明する。図5は図1の部品実装装置の動作を示すフローチャートである。図6は予め作成された実装データに従って実行される通常実装動作の一例を示す図である。図7は、実装作業位置が変更された実装データに従って実行されるタクト改善動作の一例を示す図である。これら通常実装動作およびタクト改善動作はそれぞれ本発明の「第1実装モード」および「第2実装モード」に相当する。なお、図6および図7中の白丸は、基板検出センサーが基板未検出状態であることを示し、黒丸は、基板検出センサーが基板検出状態であることを示している。また、図6および図7中の符号TT1、TT2は、それぞれ通常実装動作およびタクト改善動作のタクトタイムを示している。
部品実装装置100では、外部のホストコンピュータなどのサーバにより作成された実装データが与えられ、メモリ76に記憶されると、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76からプログラムを読み出し、上記実装データに従って通常実装動作をそのまま実行するのではなく、次に詳述するようにステップS1〜S3の工程を実行してタクトタイムの短縮の可能性を検討する。そして、当該可能性があると判断した場合(ステップS3「YES」)には、演算処理部77は実装データの変更および書換を行い(ステップS4)、変更後の実装データに従ってタクト改善動作を実行する(ステップS5)。一方、当該可能性がない場合(ステップS3で「NO」)には、演算処理部77は外部から与えられた実装データに従って通常実装動作を実行する(ステップS5)。
ここでは、タクトタイムの短縮が可能となるケースを理解するために、通常実装動作およびタクト改善動作の一例について説明する。そして、その後でステップS1〜S5の工程について詳述する。
通常実装動作は予めサーバにより作成された実装データに従って実行されるものであり、常に実装ステージMS1、MS2をそれぞれY1側近接位置P22およびY2側近接位置P32に位置決めした状態で部品実装を行う動作である。この通常実装動作では、図6中の右上欄に示すようにコンベアユニット21、22のコンベアがX方向に並ぶ、つまりX1側実装ステージMS1が基板受渡位置P21に位置決めされた状態で、コンベアが作動して未実装の基板1aがX1側実装ステージMS1に搬入される。そして、基板1aの搬入完了後に当該基板1aはX1側実装ステージMS1に保持される。それに続いて、X1側実装ステージMS1がY方向のY1側に移動されてY1側近接位置P22に位置決めされる。これによって、基板1aはテープフィーダー6aに近接する。そして、この状態でY1側で実装ターンが実行され、第1ヘッドユニット3による部品実装が行われる。なお、図6では、実装データに従って4回の実装ターンが実行されるように図示されているが、実装ターンの回数はこれに限定されない。
X1側実装ステージMS1での部品実装が完了すると、X1側実装ステージMS1がY方向のY2側に移動されて元の基板受渡位置P21に戻される。そして、X2側実装ステージMS2が基板受渡位置P31に位置決めされている状態で、当該基板1aは第2コンベアユニット22および第3コンベアユニット23のコンベアによってX2側実装ステージMS2に搬送され、X2側実装ステージMS2により保持される。こうしてX1側実装ステージMS1からの基板1aの搬出開始と同時、あるいは少し遅れて、別の未実装の基板1bがコンベアユニット21、22のコンベアによってX1側実装ステージMS1に搬入され、X1側実装ステージMS1により保持される。
装置内部のX2側領域では、X2側実装ステージMS2がY方向のY2側に移動されてY2側近接位置P32に位置決めされる。これによって、基板1aはテープフィーダー6dに近接する。そして、この状態で実装ターンが実行され、第2ヘッドユニット4による部品実装が行われる。一方、装置内部のX1側領域では、基板1aと同様にして、基板1bへの部品実装が行われる。すなわち、X1側実装ステージMS1がY方向のY1側に移動されてY1側近接位置P22に位置決めされた後で第1ヘッドユニット3による基板1bへの部品実装が行われる。
各実装ステージMS1、MS2では、部品実装が完了すると、実装ステージMS1、MS2はそれぞれ元の基板受渡位置P21、P31に戻される。そして、基板受渡位置P31に戻ったX2側実装ステージMS2から部品実装済の基板1aが第3コンベアユニット23および第4コンベアユニット24のコンベアによって装置外部に搬出される。こうしてタクトタイムTT1を掛けて部品実装装置100は実装データに従って予め指定された部品を基板1aに実装する。なお、X2側実装ステージMS2からの基板1aの搬出開始と同時、あるいは少し遅れて、第2コンベアユニット22および第3コンベアユニット23のコンベアによって基板1bの搬送を開始する。そして、当該基板1bがX2側実装ステージMS2に搬送されると、X2側実装ステージMS2により保持された後、基板1aと同様にして部品実装、基板搬出が行われる。
以上のように、部品実装装置100では、X1側実装ステージMS1を基板受渡位置P21、近接位置P22および当該実装ステージMS1の移動範囲を含む領域(以下「X1側ステージ位置決め領域」という)内で位置決め可能となっている。そして、上記通常実装動作では、X1側実装ステージMS1をテープフィーダー6aに近接した近接位置P22に位置決めした状態で実装ターンを実行している。このため、X1側ステージ位置決め領域のうち近接位置P22以外の位置にX1側実装ステージMS1を位置決めして実装ターンを実行して部品実装作業を行う場合に比べ、各実装ターンにおけるヘッドユニット3の移動距離が短縮され、実装作業時間が短くなる。この作用効果は実装すべき部品点数の増加に伴い顕著なものとなる。
しかしながら、上記通常実装動作を行うためには、実装ターンの実行前にX1側実装ステージMS1を基板受渡位置P21から近接位置P22に移動させる動作(図6中の「位置P22」への移動)、および全実装ターンの実行後にX1側実装ステージMS1を近接位置P22から基板受渡位置P21に戻す動作(図6中の「位置P21」への移動)を行う必要がある。つまり、上記通常実装動作には、位置P21、P22間でのX1側実装ステージMS1の往復動作を伴う。したがって、X1側実装ステージMS1で保持する基板に実装すべき部品点数が所定数であるときには、近接位置P22での部品実装により短縮される時間と、往復動作に要する時間とがほぼ等しくなる。この所定数は部品実装装置100の構成やヘッドユニット3の移動速度などによって異なるが、それらのデータに基づき事前に算出することができる値である。そして、実装すべき部品点数が所定数を下回ると、近接位置P22での部品実装により短縮される時間が往復動作に要する時間よりも短くなる。
上記した点については、X2側実装ステージMS2による部品実装動作においても同様である。すなわち、上記通常実装動作では、X2側実装ステージMS2をテープフィーダー6dに近接した近接位置P32に位置決めした状態で実装ターンを実行することで、各実装ターンにおけるヘッドユニット4の移動距離の短縮化による作用効果が得られる。しかしながら、X2側実装ステージMS2で保持する基板に実装すべき部品点数が少なくなると、ヘッドユニット4の移動距離の短縮化による時間短縮効果が位置P31、P32間でのX2側実装ステージMS2の往復動作を伴う時間を超えなくなる。このような場合には、図7中のタクト改善動作を実行するのが望ましい。すなわち、実装すべき部品点数が所定数以上であるX1側実装ステージMS1では通常動作と同様に近接位置P22に位置決めした状態で実装ターンを実行する一方、実装すべき部品点数が所定数を下回るX2側実装ステージMS2では往復動作を行わず、基板受渡位置P31に位置決めした状態で実装ターンを実行するのが望ましく、タクト改善動作でのタクトタイムTT2は通常実装動作でのタクトタイムTT1よりも短くなる。このように実装すべき部品点数に基づいて実装作業位置を基板受渡位置および近接位置の間で切り替えることでタクトタイムを短縮することができる。当該技術考察に基づき本実施形態では、図5に示すように、必要に応じて実装データを変更した上で部品実装を実行する。
図5に戻って部品実装装置100において演算処理部77が行う処理(ステップS1〜S5)について説明する。サーバは上記通常実装動作を基本動作として実装データを作成し、それが部品実装装置100に与えられ、メモリ76に記憶されるが、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し(ステップS1)、当該実装データに基づいてタクトタイムの短縮の可能性を検討し、その検討結果に応じて実装作業位置を必要に応じて変更する(実装作業位置の検討工程:ステップS2)。
このステップS2では、X1側実装ステージMS1とX2側実装ステージMS2とで同様の処理を実行する。すなわち、演算処理部77は実装データに基づいてX1側実装ステージMS1に保持する基板に実装すべき部品の点数(以下「実装部品点数」という)を取得する(ステップS211)。そして、実装部品点数が上記した所定数、例えば10点を下回っているか否かを演算処理部77は判定する(ステップS212)。ここで、実装部品点数が所定数を下回っていると判定したときのみ、演算処理部77は実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P22から基板受渡位置P21に変更する(ステップS213)。また、演算処理部77は実装データに基づいてX2側実装ステージMS2での実装部品点数を取得した(ステップS214)後で、当該実装部品点数が所定数を下回っているか否かを判定する(ステップS215)。そして、実装部品点数が所定数を下回っていると判定したときのみ、演算処理部77は実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P32から基板受渡位置P31に変更する(ステップS216)。
次のステップS3で実装作業位置の変更があったか否かを演算処理部77は判定する。そして、変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更することでデータ修正を行い、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換える(ステップS4)。その上で演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う(ステップS5)。
以上のように、第1実施形態によれば、各実装ステージMS1、MS2に保持された基板に実装すべき実装部品点数に基づいて基板受渡位置および近接位置のいずれか一方を実装作業位置として設定している。したがって、基板を基板受渡位置P21に搬入し、各実装ステージMS1、MS2で部品実装を行った後で基板受渡位置P31から搬出するのに要する時間(タクトタイム)を短縮することができる。すなわち、本実施形態では、常にタクトタイムの短縮に有利な位置で部品を実装することが可能となっている。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、本発明の「前記基板に実装すべき前記部品の全てを前記基板に実装するのに要する実装作業時間に関連する実装作業情報(以下、単に「実装作業情報」という)」として実装部品点数を用いているが、実装部品点数の増減に伴って実装ターンの数も比例的に増減する。特に、実装ターン数は、テープフィーダーと実装ステージとの間をヘッドユニット3、4が移動する回数に相当しており、実装作業時間と密接に関連する。したがって、図1と同一の構成を有する部品実装装置100において、実装作業情報として実装部品点数の代わりに実装ターン数を用いてもよく、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
図8は本発明にかかる部品実装装置の第2実施形態の動作に示すフローチャートであり、第1実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違している点は、実装作業位置の検討工程(ステップS2)であり、その他の構成および動作は第1実施形態と同一である。したがって、以下においては相違点を中心に説明し、同一構成および動作については同一符号を付して説明を省略する。なお、この点に関しては、後で説明する実施形態においても同様である。
第2実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、当該実装データに基づいてX1側実装ステージMS1に保持される基板に対して実行される実装ターンの数を取得する(ステップS221)。そして、実装ターン数が所定数を下回っているか否かを演算処理部77は判定する(ステップS222)。なお、第2実施形態における「所定数」は第1実施形態における「所定数」よりも少ない値に設定される。というのもの、1回の実装ターンで複数の部品を一括して基板の上方に搬送し、各部品を基板に実装することが多いためである。
このステップS222で実装ターン数が所定数を下回っていると判定したときのみ、演算処理部77は実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P22から基板受渡位置P21に変更する(ステップS223)。また、演算処理部77は実装データに基づいてX2側実装ステージMS2での実装ターン数を取得した(ステップS224)後で、当該実装ターン数が所定数を下回っているか否かを判定する(ステップS225)。そして、実装ターン数が所定数を下回っていると判定したときのみ、演算処理部77は実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P32から基板受渡位置P31に変更する(ステップS226)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換える。そして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせる、つまり実装部品点数および実装ターン数の両方を実装作業情報として用いてもよい。
<第3実施形態>
上記第1実施形態および第2実施形態では、実装作業情報として実装部品点数や実装ターン数を用いているが、実装部品点数や実装ターン数の増減に伴って各実装ステージMS1、MS2で行われる部品実装に要する時間(以下「ステージ実装時間」という)も比例的に増減する。したがって、図1と同一の構成を有する部品実装装置100において、実装作業情報として実装部品点数や実装ターン数の代わりにステージ実装時間を用いてもよく、第1実施形態や第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
図9は本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態の動作に示すフローチャートであり、第1実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違している点は、実装作業位置の検討工程(ステップS2)であり、その他の構成および動作は第1実施形態と同一である。したがって、以下においては相違点を中心に説明する。
第3実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、当該実装データに基づき、X1側実装ステージMS1を基板受渡位置P21に位置決めして部品実装を行ったときのステージ実装時間T11を取得するとともにX1側実装ステージMS1を近接位置P22に位置決めして部品実装を行ったときのステージ実装時間T12を取得する(ステップS231)。そして、これらを比較し、演算処理部77は最小となるステージ実装時間を決定し、これに対応するX1側実装ステージMS1の位置を取得する(ステップS232)。つまり、
・(ステージ実装時間T11)>(ステージ実装時間T12)のときには、サーバより与えられた実装データの通り、近接位置P22をX1側実装ステージMS1の実装作業位置とし、
・(ステージ実装時間T11)<(ステージ実装時間T12)のときには、基板受渡位置P21をX1側実装ステージMS1の実装作業位置とする。次のステップS233では、演算処理部77は、上記ステップS232で取得された位置が近接位置P22であるか否かを判定する。そして、「NO」と判定したときのみ、演算処理部77はX1側実装ステージMS1の実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P22から基板受渡位置P21に変更する(ステップS234)。
また、上記一連の工程(ステップS231〜S234)と並行して、演算処理部77はX2側実装ステージMS2の位置に関しても同様の工程を実行する(ステップS235〜S238)。すなわち、演算処理部77はメモリから読み出した実装データに基づき、X2側実装ステージMS2を基板受渡位置P31に位置決めして部品実装を行ったときのステージ実装時間T21を取得するとともにX2側実装ステージMS2を近接位置P32に位置決めして部品実装を行ったときのステージ実装時間T22を取得する(ステップS235)。そして、演算処理部77は、ステージ実装時間が最小となるX2側実装ステージMS2の位置を取得する(ステップS236)。それに続いて、演算処理部77は上記ステップS236で取得された位置が近接位置P32でない、つまりステップS237で「NO」と判定したときのみ、X2側実装ステージMS2の実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P32から基板受渡位置P31に変更する(ステップS238)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。このように本実施形態では、ステージ実装時間T11、T21が本発明の「第1時間」に相当し、ステージ実装時間T12、T22が本発明の「第2時間」に相当する。
ところで、上記第3実施形態では、X1側実装ステージMS1の実装作業位置を基板受渡位置P21および近接位置P22のうちの一方に固定し、X2側実装ステージMS2の実装作業位置を基板受渡位置P31および近接位置P32のうちの一方に固定して部品実装を行っているが、例えば図10に示すように部品実装作業中に実装作業位置を切り替えることでタクトタイムをさらに短縮することができる場合がある。
図10は本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態の変形例を示す図である。サーバから与えられた実装データに従って実行される通常実装動作として、例えば同図の左端図に示すものがある。この通常実装動作では、基板1aが基板受渡位置P21を介して基板受渡位置P31に位置決めされたX2側実装ステージMS2に搬入された後、当該X2側実装ステージMS2がY方向のY2側に移動されてY2側近接位置P32に位置決めされる。こうして近接位置P32が実装作業位置に設定された状態のままヘッドユニット4による部品実装およびヘッドユニット3による部品実装が行われる。そして、X2側実装ステージMS2に保持された基板1aに実装すべき部品の全てについて部品実装が完了すると、X2側実装ステージMS2がY方向のY1側に移動されて元の基板受渡位置P31に戻された後、部品実装済の基板1aは基板受渡位置P31から装置外部に搬出される。
ここで、同図中の中央図に示すように、ヘッドユニット4による部品実装が完了した時点でX2側実装ステージMS2をY方向のY1側に移動して元の基板受渡位置P31に戻した状態でヘッドユニット3による部品実装を行ってもよい。このように実装作業位置の切替を行うタクト改善動作ではヘッドユニット3の移動距離が短縮され、ヘッドユニット3によって部品を実装するのに要する時間が短くなる。その結果、タクト改善動作のタクトタイムTT2は通常実装動作のタクトタイムTT1より短くなり、好適である。
そこで、図9中のステップS231、S235において、部品実装を行うヘッドユニット3、4の切替に応じて実装作業位置を切り替えた場合のステージ実装時間をさらに取得するように構成するのが望ましい。例えば図10に示すようにX2側実装ステージMS2で保持される基板1aに対する部品実装をヘッドユニット4およびヘッドユニット3の順序で行う場合のステージ実装時間T23を取得すればよい。そして、3種類のステージ実装時間T21、T22、T23に基づいてX2側実装ステージMS2の実装作業位置を決定すればよい。この場合、ステージ実装時間T21、T22、T23がそれぞれ本発明の「第1時間」、「第2時間」および「第3時間」に相当する。
<第4実施形態>
上記第1実施形態ないし第3実施形態では部品を供給する部品供給部6として、比較的小型の部品を供給するテープフィーダー6a〜6dが用いられているが、部品供給部6の種類はこれに限定されるものではなく、テープフィーダーで供給される小型部品よりも大きな部品(以下「大型部品」という)を供給するために、例えば図11に示すトレイ型部品供給部6eやスティック型部品供給部(スティックフィーダー)などの大型部品供給部が用いられることがある。ここでは、大型部品供給部として図11を参照しつつトレイ型部品供給部を用いる場合を例示して説明するが、スティック型部品供給部を用いる場合も同様である。
トレイ型部品供給部6eは、パレット62を収容する収容部63と、この収容部63からパレット62をY方向に引き出す引出機構64とを有する。そして、収容部63内に収容されるパレット62を引出機構64が部品供給領域Rsにまで引き出すことで、パレット62に載置されたトレイ65に収納された大型の部品をヘッドユニット3へ供給することが可能となっている。
トレイ型部品供給部6eを用いて大型部品を基板に実装する部品実装装置100では、トレイ型部品供給部6eから供給される大型部品を実装するときのステージ実装時間は一般的に短い。そこで、第4実施形態では、図11に示すようにトレイ型部品供給部6eを有する部品実装装置100において、部品供給部がトレイ型部品供給部であるか否かを実装作業情報として取得し、当該実装作業情報に基づいて実装作業位置を設定している。つまり、第4実施形態は、実装作業情報として実装部品点数などの代わりに部品供給部の種類を用いたものであり、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
図12は本発明にかかる部品実装装置の第4実施形態の動作に示すフローチャートであり、第1実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。この第4実施形態が第1実施形態と大きく相違している点は、実装作業位置の検討工程(ステップS2)であり、その他の構成および動作は第1実施形態と同一である。したがって、以下においては相違点を中心に説明する。
第4実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、当該実装データに基づいてY1側に配置される部品供給部6の種類を取得する(ステップS241)。そして、部品供給部6がトレイ型部品供給部であるか否かを演算処理部77は判定する(ステップS242)。こうしてトレイ型部品供給部の有無の判定が完了すると、演算処理部77はステップS242でY1側にトレイ型部品供給部が存在すると判定したときのみ実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P22から基板受渡位置P21に変更する(ステップS243)。
また、演算処理部77はY2側についても同様の工程(ステップS244〜S246)を実行する。つまり、演算処理部77は実装データに基づいてY2側に配置される部品供給部6の種類を取得する(ステップS244)。そして、部品供給部6がトレイ型部品供給部であるか否かを演算処理部77は判定し(ステップS245)、トレイ型部品供給部の存在を確認したときのみ実装作業位置を予め実装データで設定されている近接位置P32から基板受渡位置P31に変更する(ステップS246)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
<第5実施形態>
ところで、例えば図11に示す部品実装装置100では、実装ターン中においてヘッドユニット3は吸着ノズル35で部品を吸着した状態で実装ステージMS1、MS2に保持される基板の上方位置に移動する。ここで、吸着している部品が例えばQFP(Quad Flat Package)等の大型部品であるとき、吸着ノズル35からの部品脱落を防止するために、ヘッドユニット3の移動速度を低速度に設定する必要がある。このような場合、ステージ実装時間の長時間化を回避するために、実装ターン中のヘッドユニット3の移動距離を極力短くするのが望ましい。例えば図13(a)に示すように、未実装の基板1aに対してトレイ型部品供給部6eから供給される大型部品を実装する場合、コンベアユニット21、22のコンベアがX方向に並ぶ、つまりX1側実装ステージMS1が基板受渡位置P21に位置決めされた状態で、コンベアが作動して未実装の基板1aがX1側実装ステージMS1に搬入される。そして、基板1aの搬入完了後に当該基板1aはX1側実装ステージMS1に保持される。それに続いて、X1側実装ステージMS1がY方向のY1側に移動されてY1側近接位置P22に位置決めされる。これによって、基板1aはテープフィーダー6aに近接する。そして、この状態で第1ヘッドユニット3がトレイ型部品供給部6eの部品供給領域Rs(図11参照)にアクセスして大型部品をトレイ65からピックアップした後に低速度(テープフィーダー6a〜6cから供給される小型部品を搬送するときの移動速度より遅い速度)で実装ステージMS1に保持された基板1aの上方に移動し、当該大型部品を基板1aに装着する。このような実装ターンを行う前に基板1aは近接位置P22に位置決めされているため、第1ヘッドユニット3の移動距離は短縮されてステージ実装時間の長時間化が抑制される。
逆に、上記した大型部品を実装しない場合には、実装する部品は小型であるため、ヘッドユニット3、4の速度を落とす必要がなく、高速移動させることができる。そのため、図13(b)に示すように、実装ステージMS1を基板受渡位置P21に位置決めしたままヘッドユニット3,4による部品実装を行うことでステージ実装時間を短縮することができ、好適である。以下、図13および図14を参照しつつ本発明の第5実施形態について説明する。
図13は本発明にかかる部品実装装置の第5実施形態の動作を説明するための模式図である。また、図14は本発明にかかる部品実装装置の第5実施形態の動作を示すフローチャートであり、上記第1実施形態ないし第4実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。
第5実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、当該実装データに基づいてX1側実装ステージMS1に保持される基板に対して実装する部品の種類を取得する(ステップS251)。そして、取得した部品種類にトレイ型部品供給部6eから供給される大型部品が含まれるか否かを演算処理部77は判定する(ステップS252)。その結果、当該ステップS252で大型部品が含まれないと判定すると、演算処理部77はX1側実装ステージMS1の実装作業位置を基板受渡位置P21に設定する(ステップS253)。一方、大型部品が含まれると判定すると、演算処理部77は、X1側実装ステージMS1の実装作業位置を近接位置P22に設定する(ステップS254)。
また、演算処理部77はX2側についても同様の工程(ステップS255〜S258)を実行する。つまり、演算処理部77は実装データに基づいてX2側実装ステージMS2に保持される基板に対して実装する部品の種類を取得し(ステップS255)、その中に大型部品が含まれない(ステップS256で「YES」)ときにはX2側実装ステージMS2の実装作業位置を基板受渡位置P31に設定し(ステップS257)、大型部品が含まれる(ステップS256で「NO」)ときにはX2側実装ステージMS2の実装作業位置を近接位置P32に設定する(ステップS258)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
以上のように、第5実施形態によれば、大型部品を基板に実装するためにヘッドユニット3、4の移動速度を低減したとしても、ステージ実装時間の長時間化を回避して良好なタクトタイムで部品実装を行うことができる。一方、小型部品についてはヘッドユニット3、4を高速度で移動させ、ステージ実装時間を効果的に短縮することができる。このように第5実施形態では、部品の種類がヘッドユニット3、4の移動速度に関連する情報としており、本発明の「移動情報」として機能している。なお、第5実施形態では、大型部品を供給するためにトレイ型部品供給部6eを用いているが、スティック型部品供給部を用いた部品実装装置においても上記第5実施形態と同様の構成を採用することができる。
<第6実施形態>
上記第5実施形態では、ヘッドユニット3、4により大型部品を搬送するときのヘッドユニット3、4の移動に着目したが、上記のようにして大型部品が実装された基板に対し、さらに部品を実装することがある。ここで、大型部品を実装した基板を基板受渡位置と近接位置との間を移動させる際には、実装ステージの移動速度を低速度(テープフィーダー6a〜6cから供給される小型部品のみを実装した基板を基板受渡位置P31と近接位置P32との間を移動させるときの移動速度より遅い速度)に保つ必要がある。なんとなれば、当該移動中の速度が速くなると、実装済の大型部品が基板上で移動してしまうからである。このように実装ステージの移動を低速化することで部品移動を防止できるものの、別の問題、つまりタクトタイムの長時間化が発生する。この問題を回避するためには、予めサーバにより作成された実装データに捉われず、基板受渡位置P21、P31に搬送されてくる基板に大型部品が既に実装される場合には、各基板受渡位置P21、P31を部品実装位置に設定するのが望ましい。以下、図11、図15および図16を参照しつつ本発明の第6実施形態について説明する。
図15は本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態の動作を示すフローチャートであり、第5実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。また、図16は本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態の動作を模式的に示す図である。第6実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、後で説明する実装作業位置の検討工程(ステップS2)を実行して実装作業位置の設定によりタクトタイムの適正化を図る。そして、実装作業位置の変更を行った場合には、演算処理部77は実装データを変更し修正した上で実装データの書換を行い、修正済の実装データに従ってタクト改善動作を実行する。一方、実装作業位置の変更を伴わない場合には、演算処理部77は外部から与えられた実装データに従って通常実装動作を実行する。
ここでは、タクトタイムの短縮が可能となるケースの一例を理解するために、第5実施形態と同様にしてX1側実装ステージMS1で基板1aに大型部品を実装した後で当該基板1aを次の基板受渡位置P31に搬送し、X2側実装ステージMS2で基板1aへの部品実装を行う場合の動作を図16に例示して説明する。そして、その後で本実施形態の特徴部分であるステップS2(実装作業位置の検討工程)について詳述する。
図16では、未実装の基板1aが基板受渡位置P21に搬送され、第5実施形態と同様にしてトレイ型部品供給部6eから供給される大型部品が基板1aに実装されると、当該大型部品を有する基板1aは基板受渡位置P21に戻された後、第2コンベアユニット22および第3コンベアユニット23のコンベアによって基板受渡位置P31に搬送される。この基板1aには同図に示すように大型部品LPが装着されている。したがって、上記した理由から実装ステージMS2を基板受渡位置P31に位置決めさせたまま部品実装を行い、これによってタクトタイムの長時間化を防止している。そして、X2側実装ステージMS2での部品実装が完了すると、基板1aは第3コンベアユニット23および第4コンベアユニット24のコンベアによって装置外部に搬出される。
次に、図15に戻って部品実装装置100において演算処理部77が行う実装作業位置の検討工程(ステップS2)について説明する。制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から実装データを読み出し、当該実装データに基づいて基板受渡位置P21に搬送されてきた基板に既に存在している部品の種類を取得する(ステップS261)。そして、取得した部品種類に大型部品LPが含まれるか否かを演算処理部77は判定する(ステップS262)。その結果、大型部品LPが含まれる場合、演算処理部77は、実装データで規定されているX1側実装ステージMS1の実装作業位置に捉われず、X1側実装ステージMS1の実装作業位置を基板受渡位置P21に設定する(ステップS263)。なお、大型部品LPが含まれていないと判定したときには、X1側実装ステージMS1の実装作業位置は実装データのまま維持される。
また、演算処理部77はX2側についても同様の工程(ステップS264〜S256)を実行する。つまり、演算処理部77は実装データに基づいて基板受渡位置P31に搬送されてきた基板に既に存在している部品の種類を取得し(ステップS264)、その中に大型部品LPが含まれる(ステップS265で「YES」)場合のみ、X2側実装ステージMS2の実装作業位置を基板受渡位置P31に設定する(ステップS266)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
以上のように、第6実施形態によれば、大型部品LPが既に実装されている基板を近接位置に移動させるのを規制しているため、ステージ実装時間の長時間化を回避して良好なタクトタイムで部品実装を行うことができる。
<第7実施形態>
図1や図11に示す部品実装装置100では、2つの実装ステージMS1、MS2が設けられており、例えば図6に示すように基板1a、1bをそれぞれ実装ステージMS1、MS2で保持しながら実装作業位置に位置決めして部品実装を並列的に行う動作モード(以下「並列実装モード)という)が実行される。また、部品実装装置100では、この並列実装モード以外に、例えば図17に示すように部品実装装置100において1つの基板1aを実装ステージMS1(または実装ステージMS2)で保持しながら当該基板1aに対して2つのヘッドユニット3、4をアクセスさせて部品実装を集中的に行う動作モード(以下「集中実装モード」という)を行うことがある。この場合、上記基板1aを保持する実装ステージを近接位置に移動させるメリットはなく、基板受渡位置を実装作業位置として実装ステージを位置決めして集中実装モードを実行することによって良好なタクトタイムで部品実装を行うことができる。以下、図17および図18を参照しつつ本発明の第7実施形態について説明する。
図17は本発明にかかる部品実装装置の第7実施形態の動作を模式的に示す図である。また、図18は本発明にかかる部品実装装置の第7実施形態の動作を示すフローチャートであり、上記第1実施形態ないし第6実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。
第7実施形態では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から読み出した実装データに基づき基板を保持して部品実装処理を受ける実装ステージの個数を取得する(ステップS271)。ここで、個数が「1」であるということは、実装ステージMS1、MS2のうちの一方の実装ステージのみで部品実装装置100に搬入される基板に対して部品実装を行うことを意味しており、この場合、一方の実装ステージに保持される基板に対してヘッドユニット3、4をアクセスして部品実装を集中的に行う、つまり集中実装モードが実行される。一方、個数が「1」でない、つまり「0」であることは部品実装を停止していることを意味するとともに「2」であることは、並列実装モードが実行されることを意味している。
演算処理部77は、次のステップS272で「YES」と判定する、つまり集中実装モードであることを確認すると、当該集中実装モードの実行対象となる実装ステージがX1側実装ステージMS1であるかX2側実装ステージMS2であるかを判定する(ステップS273)。X1側実装ステージMS1である(ステップS273で「YES」)ときには、演算処理部77は実装作業位置を基板受渡位置P21に設定する(ステップS274)。一方、X2側実装ステージMS2である(ステップS272で「NO」)ときには、演算処理部77は実装作業位置を基板受渡位置P31に設定する(ステップS275)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が完了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
以上のように、第7実施形態によれば、部品実装装置100において集中実装モードが実行されるときには、実装作業位置を基板受渡位置に設定しているため、良好なタクトタイムで部品実装を行うことができる。
<第8実施形態>
上記した並列実装モードを実行する際には、例えば図19(a)に示すように実装ステージMS1、MS2をそれぞれ近接位置P22、P32に位置決めすることでヘッドユニット3、4が相互に干渉するのを効果的に防止することができる。つまり、同図に示す並列実装モードでは、ヘッドユニット3はアクセス範囲AR3にわたってY方向に移動しながら実装ステージMS1に保持される基板1bに対して部品実装を行う。また、ヘッドユニット4はアクセス範囲AR4にわたってY方向に移動しながら実装ステージMS2に保持される基板1aに対して部品実装を行う。したがって、両アクセス範囲AR3、AR4は重なっておらず、ヘッドユニット3、4の相互干渉が確実に防止される。
ここで、当該相互干渉を回避するためには、アクセス範囲AR3、AR4の重なりを防止すれば十分である。例えば図19(b)に示すように、実装ステージMS1の実装作業位置を移動範囲(X1側ステージ位置決め領域から基板受渡位置P21、近接位置P22を除いた範囲)内の中間位置P23に設定するとともに、実装ステージMS2の実装作業位置を移動範囲(X2側ステージ位置決め領域から基板受渡位置P31、近接位置P32を除いた範囲)内の中間位置P33に設定し、アクセス範囲AR3、AR4をY方向に隣接させてもよい。このような構成を採用することで、各実装ステージMS1、MS2を実装作業位置に位置決めさせる時間および実装作業位置から基板受渡位置に戻す時間を短縮してタクトタイムを短縮することができる。なお、同図(b)では両実装ステージMS1、MS2の実装作業位置をそれぞれ中間位置P23、P33に設定しているが、いずれか一方の実装ステージを近接位置に位置させたまま他方を中間位置に位置させてアクセス範囲AR3、AR4をY方向に隣接させてもよい。すなわち、実装ステージMS1、MS2のうち少なくとも一方の実装ステージの実装作業位置を移動範囲内で調整し、アクセス範囲AR3、AR4をY方向に隣接させることによって、ヘッドユニット3、4の相互干渉を確実に回避しながら並列実装モードでのタクトタイムを短縮することができる。以下、図19および図20を参照しつつ本発明の第8実施形態について説明する。
図19は本発明にかかる部品実装装置の第8実施形態の動作を説明するための模式図である。また、図20は本発明にかかる部品実装装置の第8実施形態の動作を示すフローチャートであり、上記第1実施形態ないし第7実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。
並列実装モードで部品実装を実行する場合、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から読み出した実装データに基づき各ヘッドユニット3、4のアクセス範囲AR3、AR4を取得し(ステップS281)、両アクセス範囲AR3、AR4のY方向における離間距離DY(図19(a)参照)を算出する(ステップS282)。そして、離間距離DYがゼロでない、つまり例えば図19(a)に示すようにアクセス範囲AR3、AR4がY方向に互いに離間しているか否かを演算処理部77は判定する(ステップS283)。離間距離DYがゼロでなくアクセス範囲AR3、AR4が離間している(ステップS283で「YES」)ときには、演算処理部77はX1側実装ステージMS1の実装作業位置を中間位置P23に設定する(ステップS284)とともにX2側実装ステージMS2の実装作業位置を中間位置P33に設定する(ステップS285)。一方、ステップS283で「NO」と判定したときには、演算処理部77は実装作業位置の変更を行わず、そのまま検討工程(ステップS2)を終了する。そして、検討工程の終了に続いて、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換える。そして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
<第9実施形態>
ところで、例えば図11に示す部品実装装置100で採用したと同様のトレイ型部品供給部を用いる場合、部品実装装置100内においてトレイ型部品供給部が使用される範囲を考慮して実装作業位置を設定するのが好適である。例えば図21に示すように2つのトレイ型部品供給部6e、6fを部品供給部6に設ける場合、各トレイ型部品供給部6e、6fの配設位置は使用するトレイ65の大きさに依存する。つまり、トレイ65が各ヘッドユニット3、4により部品をピックアップ可能な範囲内に収まるようにトレイ型部品供給部6e、6fを配設する必要がある。このため、図21(a)、(b)の対比から明らかなように、大型トレイ65を用いる場合(同図(b))、小型トレイ65を用いる場合(同図(a))よりもトレイ型部品供給部6e、6fをそれぞれY2側、Y1側にずらして配置する必要がある。したがって、それに応じて実装作業位置もトレイ65の大きさに伴って変更するのが好適であり、当該変更によってトレイ65の大きさにかかわらず、ヘッドユニット3、4の移動距離を短縮してタクトタイムを良好なものとすることができる。以下、図21および図22を参照しつつ本発明の第9実施形態について説明する。
図21は本発明にかかる部品実装装置の第9実施形態の動作を説明するための模式図である。また、図22は本発明にかかる部品実装装置の第9実施形態の動作を示すフローチャートであり、上記第1実施形態ないし第8実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。
制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から読み出した実装データに基づき各部品供給部のタイプ(トレイ型、テープ型)を取得し(ステップS291)、X1側の部品実装部6にトレイ型部品供給部が設けられているか否かを判定する(ステップS292)。例えば図21に示すようにトレイ型部品供給部6eが装着されているとき、ステップS292で「YES」と判定される。これに続いて、演算処理部77は、当該トレイ型部品供給部6eで使用するトレイ65のサイズを確認し(ステップS293)、当該トレイ65が小型であるときにはX1側実装ステージMS1の実装作業位置を中間位置P24Sに設定する(ステップS294)。ここで、テープフィーダー6bの部品取出部61に比べてトレイ65の実装ステージ端部(図21(a)の下側端部)はY2側に位置する、つまりトレイ型部品供給部6eはテープフィーダー6bよりもY2側に配置される。したがって、中間位置P24Sについては、近接位置P22よりもY2側に設定される。
一方、当該トレイ65が大型である(ステップS293で「NO」)ときには、演算処理部77はX1側実装ステージMS1の実装作業位置を中間位置P24Lに設定する(ステップS295)。ここで、トレイサイズの大型化によってトレイ65の実装ステージ端部(図21(b)の下側端部)は小型トレイを使用する場合(図21(a))よりもさらにΔYだけY2側に位置する。したがって、中間位置P24Lについては、中間位置P24SよりもY2側に設定される。
また、演算処理部77はX2側についても同様の工程(ステップS296〜S299)を実行する。つまり、演算処理部77はX2側の部品実装部6にトレイ型部品供給部が設けられているか否かを判定し(ステップS296)、当該ステップS292で「YES」と判定したときには、さらに当該トレイ型部品供給部6eで使用するトレイ65のサイズを確認する(ステップS297)。そして、演算処理部77は、当該トレイ65が小型である(ステップS297で「YES」)ときにはX1側実装ステージMS1の実装作業位置を中間位置P24Sに設定し(ステップS298)、当該トレイ65が大型である(ステップS297で「NO」)ときには、演算処理部77はX1側実装ステージMS1の実装作業位置を中間位置P24Lに設定する(ステップS299)。なお、ステップS292、S296で「NO」と判定したときには、演算処理部77は実装作業位置の変更を行わず、そのまま検討工程(ステップS2)を終了する。
こうして検討工程が終了すると、それに続いて、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
<第10実施形態>
図11および図21に示す部品実装装置100では、2種類の部品供給部、つまりテープフィーダー(テープ側部品供給部)とトレイフィーダー(トレイ型部品供給部)とが設けられている。このように異なるタイプの部品供給部から部品供給を受ける部品実装装置100では、トレイ型部品供給部から供給される部品(以下「トレイ部品」という)を基板に実装するのに適した位置(以下「トレイ近接位置」という)と、テープフィーダーから供給される部品(以下「テープ部品」という)を基板に実装するのに適した位置(以下「テープ近接位置」という)とは互いに異なっている。例えば図23(a)に示す部品実装装置100では、トレイ65e、65fに近接するトレイ近接位置P25e、P35fに実装ステージMS1、MS2をそれぞれ位置決めすると、トレイ65e、65fと基板1b、1aとの間でのヘッドユニット3、4の移動距離が短縮され、トレイ部品の実装に要する実装作業時間を短くすることができる。一方、図23(b)に示す部品実装装置100では、テープフィーダー6c、6bに近接するテープ近接位置P25c、P35bに実装ステージMS1、MS2をそれぞれ位置決めすると、テープフィーダー6c、6bと基板1b、1aとの間でのヘッドユニット3、4の移動距離が短縮され、テープ部品の実装に要する実装作業時間を短くすることができる。したがって、トレイ部品およびテープ部品のうち実装すべき部品点数が多い方に対応する近接位置に実装ステージMS1、MS2を位置決めすることでタクトタイムを短縮することができる。以下、図23および図24を参照しつつ本発明の第10実施形態について説明する。
図23は本発明にかかる部品実装装置の第10実施形態の動作を説明するための模式図である。また、図24は本発明にかかる部品実装装置の第10実施形態の動作を示すフローチャートであり、上記第1実施形態ないし第9実施形態の動作と相違する工程(ステップS2)のみを示している。
図23に示す部品実装装置100では、制御ユニット7の演算処理部77はメモリ76から読み出した実装データに基づきトレイ65e、65fおよびテープフィーダー6b、6cから供給されて基板に実装される部品の数、つまり実装部品点数を取得する(ステップS201)。そして、演算処理部77は、トレイ側の実装部品点数がテープ側の実装部品点数以上であるか否かを判定し(ステップS202)、「YES」と判定したときには例えば図23(a)に示すように実装ステージMS1、MS2の実装作業位置をそれぞれトレイ近接位置P25e、P35fに設定する(ステップS203)。一方、ステップS202で「NO」と判定したときには、演算処理部77は実装ステージMS1、MS2の実装作業位置をそれぞれテープ近接位置P25c、P35bに設定する(ステップS204)。
こうして実装作業位置の検討工程(ステップS2)が終了すると、実装作業位置の変更があったときのみ演算処理部77は実装データを変更して修正し、メモリ76に記憶される実装データを修正済のデータに書き換えるそして、演算処理部77はメモリ76に記憶されるプログラムおよび実装データに基づいて装置各部を制御して部品実装を行う。
なお、上記第10実施形態では、部品を基板に実装するのに適した位置が互いに異なる例として、テープフィーダーとトレイフィーダーとが示されているが、このような組み合わせ以外に、テープフィーダーとスティックフィーダーとの組み合わせやテープフィーダー、トレイフィーダーおよびスティックフィーダーの組み合わせがある。このような組み合わせを有する部品実装装置に対しても、本実施形態と同様の構成を採用することで第10実施形態と同様にタクトタイムの短縮を図ることができる。
<その他>
このように、上記実施形態では、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4がそれぞれ本発明の「第1ヘッド部」および「第2ヘッド部」として機能している。制御ユニット7および演算処理部77が本発明の「制御部」の一例に相当している。また、X1側実装ステージMS1およびX2側実装ステージMS2がそれぞれ本発明の「第1実装ステージ」および「第2実装ステージ」の一例に相当している。また、アクセス範囲AR3、AR4がそれぞれ本発明の「第1アクセス範囲」および「第2アクセス範囲」の一例に相当している。また、実装ステージMS1(MS2)を基板受渡位置P21(P31)に位置決し、実装ステージMS1がX方向のX1側から搬送されてくる基板を受け取っており、当該工程が本発明の「第1工程」の一例に相当している。一方、部品の実装に適した実装作業位置に実装ステージMS1(MS2)を位置決めした後でヘッドユニットにより部品を実装しており、当該工程が本発明の「第2工程」の一例に相当している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば上記した実施形態では、基板受渡位置と近接位置との間を移動自在な実装ステージを2つ並設した部品実装装置100に対して本発明を適用しているが、当該実装ステージの数はこれに限定されるものではなく、1つまたは3つ以上の実装ステージを備えた部品実装装置にも本発明を適用することができる。また、部品供給部6に設けられる部品供給部の数やタイプなどについても、上記実施形態中のそれらに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、部品実装装置100に与えられた実装データに基づき制御ユニット7の演算処理部77が最適な実装作業位置を求めて実装データを適宜修正しているが、このような処理(実装データの修正処理)を部品実装装置100以外の装置で実行し、修正後の実装データを部品実装装置100に与えるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、部品供給部として、テープ型部品供給部(テープフィーダー6a〜6d)やトレイ型部品供給部(トレイフィーダー)を用いているが、これ以外の部品供給部、例えばスティック型部品供給部を用いる部品実装装置に対しても本発明を適用することができる。