以下、ルーフ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
図1及び図2に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口11が形成されるとともに、例えばガラス製又は樹脂製の板材からなる略四角形の可動パネル12及び固定パネル13が設置されている。可動パネル12は、開口11の前側開口11aを開閉可能に取り付けられている。すなわち、可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ作動及び前後方向へのスライド作動可能に取り付けられている。可動パネル12による前側開口11aの開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド作動する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。一方、固定パネル13は、開口11の後側開口11bを常時閉塞するように取り付けられている。
次に、可動パネル12の開閉作動等に係る構造について説明する。
図3に示すように、開口11の車両の幅方向両縁部には、一対のガイドレール20が配置・固定されている。各ガイドレール20は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。そして、各ガイドレール20には、駆動シュー30が前後方向に移動可能に案内及び支持されている。
また、開口11の前縁部には、例えば出力ギヤを有する電動モータなどの電気的駆動源38が設置されている。この電気的駆動源38は、例えば樹脂材からなる略帯状の一対の駆動ベルト39の各々を介して各駆動シュー30に連結されており、両駆動シュー30を同時に前後方向に移動させる。なお、電気的駆動源38の回転、即ち両駆動シュー30の前後方向の移動は、図示省略の電子制御装置(以下、「ECU」という)により制御されている。
図4に示すように、各ガイドレール20は、その車内側で上方が開口するとともに下方が閉塞する第1レール部21を有するとともに、該第1レール部21に隣接する車外側で上方が開口するとともに下方が閉塞する第2レール部22を有する。そして、第1レール部21は、車両の高さ方向で互いに連通する第1下側レール部21a及び第1上側レール部21bを有するとともに、その底壁23の車内側部に立設された略リブ状の第1規制壁部24を有する。一方、第2レール部22は、車両の高さ方向で互いに連通する第2下側レール部22a及び第2上側レール部22bを有するとともに、その底壁25の車外側部に立設された略リブ状の第2規制壁部26を有する。なお、第1レール部21の底壁23は、第2レール部22の底壁25よりも上方に位置するとともに、第2下側レール部22aの上端よりも下方に位置している。また、第1下側レール部21aの上端及び第2上側レール部22bの上端は互いに同等の車両の高さ方向の位置に位置している。
図5及び図6(a)に示すように、第1レール部21の車外側部の前端には、例えば樹脂材からなる略扇状の前側ガイド部材27が取り付けられている。この前側ガイド部材27は、基本的にガイドレール20の前端よりも車両の前方に突出している。そして、前側ガイド部材27には、車内側端から車外側に向かって凹む前側ガイド溝28が形成されている。この前側ガイド溝28は、斜め後上方に延びる略弓状に成形されており、その前端は閉塞されるとともに、後端は開放されている。前側ガイド溝28の前端は第1レール部21よりも下方に位置しており、後端は第1上側レール部21bの車外側部に連通している。
図5及び図8(a)、(b)に示すように、第1レール部21の前端部には、例えば樹脂材からなる第1チェックブロック40が嵌着されている。この第1チェックブロック40は、基本的に第1レール部21の車内側部で底壁23と略面一になるように広がる底壁41を有しており、該底壁41の前後方向中間部には、下方に向かって凹む略四角形の第1係合凹部42が形成されている。なお、第1係合凹部42は、車内側に開口するものの第1レール部21の車内側端が隣接することで閉塞されている。
また、第1チェックブロック40は、第1規制壁部24の前端に連続する第1ブロック側規制壁部43を有する。この第1ブロック側規制壁部43の底壁41から起立する車外側面は、第1規制壁部24の前端から第1係合凹部42後端の車内側端に向かって斜めに延びている。つまり、底壁41は、第1ブロック側規制壁部43により第1係合凹部42の車両の後方で当該方向に向かうに従い徐々に縮幅されている。第1係合凹部42及びその車両の前方で底壁41が相対的に拡幅された一定幅を有することはいうまでもない。
図5及び図9(a)、(b)に示すように、第2レール部22の前端部には、例えば樹脂材からなる第2チェックブロック45が嵌着されている。この第2チェックブロック45は、基本的に第2レール部22の車外側部で底壁25と略面一になるように広がる底壁46を有しており、該底壁46の前後方向中間部には、下方に向かって凹む略四角形の第2係合凹部47が形成されている。
また、第2チェックブロック45は、第2規制壁部26の前端に連続する第2ブロック側規制壁部48を有する。この第2ブロック側規制壁部48の底壁46から起立する車内側面は、第2規制壁部26の前端から第2係合凹部47後端の車外側端に向かって斜めに延びている。つまり、底壁46は、第2ブロック側規制壁部48により第2係合凹部47の車両の後方で当該方向に向かうに従い徐々に縮幅されている。
さらに、第2チェックブロック45は、第2係合凹部47の車両の前方に位置する第2ブロック側規制壁部49を有する。この第2ブロック側規制壁部49は、略台形柱状に成形されており、その前後方向中間部の車外側面が第2規制壁部26の前後方向への延長線上に位置している。また、第2ブロック側規制壁部49は、当該中間部よりも車両の前方の車外側面が当該方向に向かうに従い車外側に向かって斜めに延びるとともに、当該中間部よりも車両の後方の車外側面が当該方向に向かうに従い車外側に向かって斜めに延びている。つまり、底壁46は、第2ブロック側規制壁部49により第2係合凹部47の車両の前方で当該方向に向かうに従い、徐々に縮幅されるとともに当該縮幅後の一定幅が維持され、更に縮幅前の一定幅まで徐々に拡幅されている。前後方向で第2ブロック側規制壁部48及び第2ブロック側規制壁部49間に挟まれる第2係合凹部47の位置で底壁46が相対的に拡幅された一定幅を有することはいうまでもない。
図5及び図6(a)に示すように、ガイドレール20の第1レール部21には、車両の高さ方向に起立する略板状の前側シュー50が前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、図10(a)に併せ示すように、前側シュー50は、その下端に沿って前後方向に延在するシュー部51を有しており、該シュー部51において第1レール部21の底壁23を摺動する。また、前側シュー50は、前上端部から車外側に突出する略円柱状のローラ52を有しており、該ローラ52において第1上側レール部21bの車外側部を摺動する。なお、図29(a)〜(c)に併せ示すように、前側シュー50には、ローラ52の斜め後下方で車外側端から車外側に向かって上向きに凸となる略円弧ボス状のシュー側ガイド壁53が突設されている。
ここで、図6(a)に示すように、可動パネル12の全閉状態では、前側シュー50の前後方向の位置は、第1チェックブロック40(底壁41)の前後方向の位置に含まれる。ただし、前側シュー50のシュー部51は、第1チェックブロック40の底壁41よりも車外側の底壁23に位置することで、前後方向への移動に伴って底壁41を摺動することはない。
前側シュー50には、車両の幅方向に延びる軸線の周りに第1回転チェック60が回動自在に連結されている。すなわち、図10(a)に併せ示すように、前側シュー50の前後方向中間部には、車両の幅方向に開口する略円筒状の軸受部54が車内側に向かって突設されている。一方、第1回転チェック60の前端部には、軸受部54と同心で略円柱状の支持ピン61が車外側に向かって突設されている。第1回転チェック60は、支持ピン61が軸受部54に挿入・軸支されることで前側シュー50に回動自在に連結されている。なお、第1回転チェック60は、車両の幅方向において底壁41の位置(底壁23の車内側部)に位置している。ただし、第1回転チェック60は、支持ピン61が軸受部54に車両の幅方向に移動自在に挿入されることで前側シュー50に対する当該方向への移動が許容されている。
図6(a)に示すように、第1回転チェック60は、前側シュー50に一方の端末の掛止されたコイルスプリングSP1の他方の端末が掛止されることで図示時計回りに、即ち先端部(後端部)が下降する回動方向に付勢されている。また、第1回転チェック60は、コイルスプリングSP1により、前側シュー50から車両の幅方向に離れる側(車内側)に向かって付勢されている。これにより、第1回転チェック60は、ガイドレール20の第1規制壁部24に当接する車両幅方向の位置と、第1チェックブロック40の第1ブロック側規制壁部43の車両の前方で第1レール部21の車内側端に当接する車両の幅方向の位置との間を当該方向に移動可能である。
第1回転チェック60の後端部には、主として下方に拡幅される頭部62が形成されるとともに、該頭部62の前側シュー50に対向する端面(車外側面)から車内側に向かって凹む略鉤爪状の第1係合溝63が形成されている。図27(a)、(b)に併せ示すように、この第1係合溝63は、上方に開口して前方に延びる第1溝部63aを有するとともに、該第1溝部63aの前端に連通して斜め下前方に延びる第2溝部63bを有し、更に該第2溝部63bの下端に連通して後方に延びる第3溝部63cを有する。第3溝部63cの後端は閉塞されている。なお、第1回転チェック60は、第3溝部63cの後端に、車両の幅方向に開口する略円形の挿入凹部64を形成する。
コイルスプリングSP1に付勢される第1回転チェック60は、基本的に頭部62において第1チェックブロック40の底壁41又はガイドレール20の底壁23に当接する。特に、頭部62の前後方向の位置が第1係合凹部42の前後方向の位置に含まれるとき、頭部62は第1係合凹部42に嵌入する。これにより、第1回転チェック60は、前側シュー50と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制される。このとき、第1回転チェック60は、第1チェックブロック40の第1ブロック側規制壁部43よりも車両の前方に位置することで、車両の幅方向で前側シュー50から相対的に離れる位置にある。以下、前側シュー50を移動規制するときの第1回転チェック60の回動位置を「規制位置」ともいう。
また、頭部62の前後方向の位置が第1係合凹部42の前後方向の位置から外れるとき、第1回転チェック60は、前側シュー50と共にガイドレール20に対する前後方向の移動規制が解除される。以下、前側シュー50の移動規制を解除するときの第1回転チェック60の回動位置を「解除位置」ともいう。
なお、可動パネル12の全閉状態では、第1回転チェック60は規制位置に配置されている。ここで、第1係合凹部42の前後方向の開口幅は、頭部62の前後方向の寸法よりも十分に大きく設定されている。これは、製品ばらつきや組付ばらつきなどの影響でECUにより制御される駆動シュー30の前後方向の位置に誤差が生じたとしても、頭部62を第1係合凹部42の上方で確実に停止させるためである。
図5及び図6(a)に示すように、前側シュー50の車両の前方で、前後方向に延在する前側リンク55及び第1支持ブラケット70の前端部同士が車両の幅方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結されている。すなわち、第1支持ブラケット70には、その前端部から車両の幅方向両側に突出する略円柱状の取付ピン71が設けられており、前側リンク55には、その前端部を車両の幅方向に貫通する略円形の軸受孔56が形成されている。前側リンク55は、第1支持ブラケット70の車外側に配置されており、車内側から取付ピン71が軸受孔56に挿入されるとともに該軸受孔56を貫通する取付ピン71の先端部に略円筒状のガイドピン72が装着されることで第1支持ブラケット70に回動自在に連結されている。なお、取付ピン71の車内側の先端部にも同様のガイドピン72が装着されている。
前側リンク55は、軸受孔56から車両の後方に延びて前側シュー50よりも車外側となる第1レール部21の車外側部に配置される腕部57を有する。この腕部57の後端部には、上端から斜め後下方に向かって凹む略U字状の係合溝57aが形成されるとともに、該係合溝57aの車両の後方で斜め後上方に凸となる略弓形のリンク側ガイド壁57bが車内側に突設されている。このリンク側ガイド壁57bは、シュー側ガイド壁53と共に促進部を構成する。また、腕部57の後端部には、下方に向かって撓み部58が突設されている。そして、可動パネル12の全閉状態では、腕部57の上端は、ガイドレール20に沿って前後方向に延びており、係合溝57aよりも車両の前方でローラ52の下端に当接又は近接している。このとき、撓み部58は、第1チェックブロック40の第1係合凹部42に嵌入する。
従って、前側リンク55に対して前側シュー50が前後方向に移動するとき、ローラ52が腕部57の上端に当接又は近接することで前側リンク55の回動が規制される。また、図29(a)〜(c)に併せ示すように、前側リンク55に対して車両の後方に移動する前側シュー50のローラ52が係合溝57aに近付くと、シュー側ガイド壁53がリンク側ガイド壁57bを押圧することで前側リンク55の図示反時計回りの回動、即ち係合溝57aを上昇させる回動が促進される。これにより、ローラ52は、上昇した係合溝57aの後端に当接することになり、前側リンク55を回動させつつ係合溝57aに係入される。つまり、前側リンク55は、前側シュー50(ローラ52)との係合に伴って所定の係合位置に向かって回動するように構成されている。前側リンク55及び前側シュー50間に介設されるリンク側ガイド壁57b及びシュー側ガイド壁53(促進部)は、前側リンク55及び前側シュー50の係合に先立って前側リンク55の当該係合位置に近付く回動を促すためのものである。この状態で、前側シュー50が車両の後方に更に移動すると、前側リンク55が第1支持ブラケット70と共に一体で車両の後方に移動する。
ここで、図6(a)に示すように、第1支持ブラケット70は、その上面に取付けられる可動パネル12を支持する。可動パネル12の全閉状態では、第1支持ブラケット70に取着される車外側のガイドピン72は、前側ガイド部材27の前側ガイド溝28に回動自在且つ移動自在に装着されている。従って、第1支持ブラケット70が車両の後方に移動すると、車外側のガイドピン72が前側ガイド溝28を昇って第1上側レール部21bの車外側部に進入する。同時に、第1支持ブラケット70に取着される車内側のガイドピン72は、第1上側レール部21bの車内側部に進入する。なお、第1支持ブラケット70は、前側シュー50の上方で前後方向に延在しており、その前後方向中間部から後端に亘り、車外側端から車内側に向かって凹むガイド溝73が形成されている。
図5及び図6(a)に示すように、前記駆動シュー30は、可動パネル12の全閉状態では、前側シュー50の車両の後方に位置している。図10(d)に併せ示すように、この駆動シュー30は、第1上側レール部21bの車外側部及び車内側部をそれぞれ摺動する一対のシュー部31,32を有して第1レール部21を車両の幅方向に跨いでいる。そして、駆動シュー30は、その車内側端から下向きに延びる取付片33を有する。この取付片33は、車両の幅方向において前側シュー50及び第1回転チェック60間に配置されている。そして、取付片33には、車内側に向かって略ピン状の第1係合突部34が突設されている。この第1係合突部34は、ガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡が、規制位置にある第1回転チェック60の第1溝部63aを通過するように配置されている。あるいは、図16(a)又は図17(b)に示すように、第1係合突部34は、ガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡が、解除位置にある第1回転チェック60の第3溝部63cを通過するように配置されている。なお、駆動シュー30は、その車外側端から上向きに延びる取付片35を有する。この取付片35には、上方から第2レール部22に進入するように車外側に向かって略ピン状の係脱ピン36が突設されている。
図5及び図7(b)に示すように、ガイドレール20の第2下側レール部22aには、前後方向に延在する後側ガイド部材80が当該方向に移動自在に支持されている。すなわち、図11(c)に併せ示すように、後側ガイド部材80は、第2下側レール部22aの車外側部及び車内側部をそれぞれ摺動する一対のシュー部81,82を有して第2レール部22を車両の幅方向に跨いでいる。
後側ガイド部材80には、車外側端から車内側に向かって凹む後側ガイド溝83が形成されている。この後側ガイド溝83は、基本的に車両の後方に向かうに従い上方に向かうように傾斜しており、その前端は上方に向かって曲成されて開放されるとともに、後端は閉塞されている。車両の高さ方向において、後側ガイド溝83の前端は第2下側レール部22aの位置に位置しており、後端は第2上側レール部22b(第2レール部22)よりも上方に位置している。なお、後側ガイド部材80の後端には、車両の後方に開口する略U字状の引き込み部80aが形成されている。また、図6(b)に示すように、後側ガイド部材80の前端部には、車外側に向かって略円柱状の第2係合突部84が突設されている。
後側ガイド溝83よりも車両の前方となる後側ガイド部材80の前端部には、車両の高さ方向に起立する略板状のチェック部材85が車両の幅方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結されている。すなわち、チェック部材85の後端部には、車内側に向かって略円筒状の支持突部86が突設されており、該支持突部86には、後側ガイド部材80に向かって車外側に突出する略円柱状の連結ピン87が装着されている。そして、後側ガイド部材80及びチェック部材85は、連結ピン87の周りに相対回動自在に連結されている。なお、支持突部86は、第2下側レール部22aの車内側部に回動自在に、且つ、前後方向に移動自在に装着されている。
チェック部材85の第2レール部22よりも上方に突出する前上端部には、車内側端から車外側に向かって凹む係合溝88が形成されている。この係合溝88は、車両の後方に向かうに従い上方に向かうように傾斜しており、その前端は閉塞されるとともに、後端は開放されている。そして、可動パネル12の全閉状態では、図6(a)に併せ示すように、係合溝88の下端に駆動シュー30の係脱ピン36が位置している。また、チェック部材85の前端部には、その下端から下方に向かって略四角形の規制部89が突設されている。なお、支持突部86の周りには、後側ガイド部材80に一方の端末が掛止されるとともにチェック部材85に他方の端末が掛止されたコイルスプリングSP2が巻回されており、該コイルスプリングSP2によりチェック部材85が図示反時計回りに、即ち規制部89が第2レール部22の底壁25に当接する回動方向に付勢されている。特に、図6(b)に示すように、底壁25には、規制部89の車両の後方に隣接して車両の高さ方向に開口する規制孔25aが形成されており、該規制孔25aに規制部89が到達することでこれに係入するようになっている。
以上により、可動パネル12の全閉状態では、駆動シュー30が車両の前方に移動すると、チェック部材85は、支持突部86及び規制部89を第2下側レール部22aの車内側部及び底壁25にそれぞれ摺動させつつ後側ガイド部材80と共に車両の前方に移動する。このとき、後側ガイド部材80の両シュー部81,82が第2下側レール部22aの車外側部及び車内側部をそれぞれ摺動する。
図5及び図6(b)に示すように、チェック部材85よりも車両の前方となるガイドレール20の第2上側レール部22bには、後側シュー90が前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、図10(b)、(c)に併せ示すように、後側シュー90は、第2上側レール部22bの車外側部及び車内側部をそれぞれ摺動する一対のシュー部91,92を有して第2レール部22を車両の幅方向に跨いでいる。なお、後側シュー90の車両の幅方向中央部には、上向きに延びて第2レール部22の上方に突出する略板状の取付片93が突設されるとともに、下向きに延びて第2下側レール部22aに進入する略板状の取付片94が突設されている。
ここで、図6(b)に示すように、可動パネル12の全閉状態では、後側シュー90の前後方向の位置は、第2チェックブロック45(底壁46)の前後方向の位置に含まれる。ただし、後側シュー90は、両シュー部91,92が第2上側レール部22bに装着されていることで、前後方向への移動に伴って底壁46を摺動することはない。
後側シュー90には、車両の幅方向に延びる軸線の周りに第2回転チェック65が回動自在に連結されている。すなわち、図10(c)に併せ示すように、後側シュー90の取付片94には、車両の幅方向に開口する略円筒状の軸受部94aが車外側に向かって突設されている。一方、第2回転チェック65の前端部には、軸受部94aと同心で略円柱状の支持ピン66が車内側に向かって突設されている。第2回転チェック65は、支持ピン66が軸受部94aに挿入・軸支されることで後側シュー90に回動自在に連結されている。なお、第2回転チェック65は、車両の幅方向において底壁46の位置(底壁25の車外側部)に位置している。ただし、第2回転チェック65は、支持ピン66が軸受部94aに車両の幅方向に移動自在に挿入されることで後側シュー90に対する当該方向への移動が許容されている。
図6(b)に示すように、第2回転チェック65は、後側シュー90に一方の端末の掛止されたコイルスプリングSP3の他方の端末が掛止されることで、図示時計回りに、即ち先端部(後端部)が下降する回動方向に付勢されている。また、第2回転チェック65は、コイルスプリングSP3により、後側シュー90から車両の幅方向に離れる側(車外側)に向かって付勢されている。これにより、第2回転チェック65は、ガイドレール20の第2規制壁部26に当接する車両幅方向の位置と、前後方向で第2ブロック側規制壁部48,49間に挟まれる位置で第2レール部22の車外側端に当接する車両の幅方向の位置との間を当該方向に移動可能である。
第2回転チェック65の後端部には、主として下方に拡幅される頭部67が形成されるとともに、該頭部67の後側シュー90に対向する端面(車内側面)から車外側に向かって凹む略鉤爪状の第2係合溝68が形成されている。頭部67の前後方向の寸法は、第2係合凹部47の前後方向の開口幅と同等若しくはそれよりも若干小さく設定されている。図28(a)、(b)に併せ示すように、第2係合溝68は、上方に開口して前方に延びる第1溝部68aを有するとともに、該第1溝部68aの前端に連通して斜め下前方に延びる第2溝部68bを有し、更に該第2溝部68bの下端に連通して後方に延びる第3溝部68cを有する。第3溝部68cの後端は閉塞されている。第3溝部68cの車内側の内壁面は、第2溝部68bの車内側の内壁面よりも車内側に隆起しており、第2係合溝68は、第2及び第3溝部68b,68cの前後方向の境界位置に段差状の被押圧面68dを形成する。なお、第2回転チェック65は、第3溝部68cの後端に、車両の幅方向に開口する略円形の挿入凹部69を形成する。
コイルスプリングSP3に付勢される第2回転チェック65は、基本的に頭部67において第2チェックブロック45の底壁46又はガイドレール20の底壁25に当接する。特に、頭部67の前後方向の位置が第2係合凹部47の前後方向の位置に含まれるとき、頭部67は第2係合凹部47に嵌入する。これにより、第2回転チェック65は、後側シュー90と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制される。このとき、第2回転チェック65は、前後方向で第2ブロック側規制壁部48,49間に挟まれる位置にあることで、後側シュー90から相対的に離れる位置にある。以下、前側シュー50を移動規制するときの第1回転チェック60の回動位置を「規制位置」ともいう。
また、頭部67の前後方向の位置が第2係合凹部47の前後方向の位置から外れるとき、第2回転チェック65は、後側シュー90と共にガイドレール20に対する前後方向の移動規制が解除される。以下、後側シュー90の移動規制を解除するときの第2回転チェック65の回動位置を「解除位置」ともいう。
なお、後側ガイド部材80の前端部及びチェック部材85の規制部89は、車両の幅方向において後側シュー90及び第2回転チェック65間に配置されている。後側ガイド部材80及び規制部89が後側シュー90等よりも車両の後方に位置することはいうまでもない。そして、第2係合突部84は、ガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡が、規制位置にある第2回転チェック65の第1溝部68aを通過するように配置されている。あるいは、図16(b)又は図18(b)に示すように、第2係合突部84は、ガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡が、解除位置にある第2回転チェック65の第3溝部68cを通過するように配置されている。可動パネル12の全閉状態では、第2回転チェック65は規制位置に配置されている。
図5及び図6(b)に示すように、後側シュー90の取付片93には、前後方向に延在する第2支持ブラケット100の前端部が車両の幅方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結されている。この第2支持ブラケット100は、取付片93の車内側に配置されている。
図7(b)に示すように、第2支持ブラケット100の後上端部には、車内側に向かって略円柱状のガイドピン101が突設されるとともに、後下端部には、車外側に向かって略円柱状の引き込みピン102が突設されている。図11(d)に併せ示すように、ガイドピン101は、第1支持ブラケット70のガイド溝73に回動自在に、且つ、その長手方向(前後方向)に移動自在に挿入されている。なお、可動パネル12の全閉状態では、ガイドピン101は、ガイド溝73の後端部に位置している。
ガイドレール20の第2上側レール部22bには、後側リンク95が前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、図11(b)に併せ示すように、後側リンク95は、第2上側レール部22bの車外側部及び車内側部をそれぞれ摺動する一対のシュー部96を有するとともに、それら両シュー部96の各々に後端部が車両の幅方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結された略弓形の昇降レバー97を有する。両昇降レバー97は、後側ガイド部材80を車両の幅方向に挟んだ状態で一体に連結されている。後側リンク95は、両シュー部96を第2上側レール部22bの車外側部及び車内側部にそれぞれ摺動させつつ前後方向に移動する。
図11(a)に併せ示すように、車外側の昇降レバー97の長手方向中間部には、車内側に突出して後側ガイド部材80の後側ガイド溝83に挿入される略円柱状のガイドピン98が突設されている。また、両昇降レバー97は、第2レール部22よりも上方に位置する先端部において、車両の幅方向に延びる軸線の周りに第2支持ブラケット100の長手方向中間部に回動自在に連結されている。
ここで、可動パネル12の全閉状態では、後側リンク95のガイドピン98は、後側ガイド溝83の前端部に位置している。従って、後側リンク95に対して後側ガイド部材80が車両の前方に移動すると、両昇降レバー97は、後側ガイド溝83に沿ってガイドピン98を上昇させつつ図示時計回りに、即ち第2支持ブラケット100との連結部位を上昇させる方向に回動する。このとき、第2支持ブラケット100は、後側シュー90(取付片93)との連結部位を支点に図示反時計回りに、即ち後端部(ガイドピン101)を上昇させる方向に回動する。そして、ガイドピン101に持ち上げられる第1支持ブラケット70は、ガイドピン72を支点に図示反時計回りに、即ち後端部を上昇させる方向に回動する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図6(a)、(b)〜図9(a)、(b)に示すように、まず、可動パネル12が全閉状態にあるものとして説明する。このとき、コイルスプリングSP1により付勢される第1回転チェック60は、その頭部62が第1チェックブロック40の第1係合凹部42に嵌入する規制位置にあり、第1回転チェック60に連結された前側シュー50は、ガイドレール20に対する前後方向の移動が規制されている。同様に、コイルスプリングSP3により付勢される第2回転チェック65は、その頭部67が第2チェックブロック45の第2係合凹部47に嵌入する規制位置にあり、第2回転チェック65に連結された後側シュー90は、第2支持ブラケット100と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制されている。また、前側リンク55は、腕部57の上端に前側シュー50のローラ52が位置することで、ガイドピン72の周りの回動が規制されている。加えて、前側リンク55は、ガイドピン72が前側ガイド溝28の前端に位置する状態で撓み部58が第1チェックブロック40の第1係合凹部42に嵌入することで、第1支持ブラケット70及び可動パネル12と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制されている。
一方、駆動シュー30は、係脱ピン36をチェック部材85の係合溝88の下端に配置しており、チェック部材85及び後側ガイド部材80と一体で前後方向に移動自在となっている。このとき、後側ガイド溝83の前端にガイドピン98の配置される後側リンク95が相対的に前倒れの姿勢にあることで、該後側リンク95に連結された第2支持ブラケット100が相対的に後倒れの姿勢にあるとともに、ガイドピン101によりガイド溝73の支持された第1支持ブラケット70が可動パネル12と共に相対的に後倒れの姿勢にある。また、第1回転チェック60の第1溝部63aは、第1係合突部34のガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡に臨んで後方に開口している。同様に、第2回転チェック65の第1溝部68aは、第2係合突部84のガイドレール20に沿う前後方向の移動軌跡に臨んで後方に開口している。
この状態で、駆動シュー30がガイドレール20に沿って車両の前方に移動すると、駆動シュー30は、チェック部材85及び後側ガイド部材80と共に第2回転チェック65等に近付きつつ該第2回転チェック65により前後方向の移動の規制された第2支持ブラケット100に対して車両の前方に移動する。このとき、後側リンク95は、後側ガイド溝83に沿ってその中間部までガイドピン98を上昇させつつ第2支持ブラケット100との連結部位を上昇させる。これにより、図12(a)、(b)及び図13(a)、(b)に示すように、第2支持ブラケット100が前端部を支点に後端部(ガイドピン101)を上昇させるように回動するとともに、第1支持ブラケット70がガイドピン72を支点に後端部を上昇させるように回動する。そして、第1支持ブラケット70に支持される可動パネル12がチルトアップ作動する(第1のチルトアップ状態)。
なお、図14(a)、(b)及び図15(a)、(b)に併せ示すように、この段階では、駆動シュー30の第1係合突部34及び後側ガイド部材80の第2係合突部84はそれぞれ第1及び第2回転チェック60,65に到達していない。従って、この状態で、駆動シュー30がガイドレール20に沿って車両の後方に移動すると、駆動シュー30は、チェック部材85及び後側ガイド部材80と共に第2回転チェック65等から離れつつ該第2回転チェック65により前後方向の移動の規制された第2支持ブラケット100に対して車両の後方に移動する。このとき、後側リンク95は、後側ガイド溝83に沿ってその前端までガイドピン98を下降させつつ第2支持ブラケット100との連結部位を下降させる。これにより、図6(a)、(b)及び図7(a)、(b)に示すように、第2支持ブラケット100が前端部を支点に後端部(ガイドピン101)を下降させるように回動するとともに、第1支持ブラケット70がガイドピン72を支点に後端部を下降させるように回動する。そして、第1支持ブラケット70に支持される可動パネル12が全閉状態になる。
また、可動パネル12の第1のチルトアップ状態への移行を経て駆動シュー30がチェック部材85及び後側ガイド部材80と共に車両の前方に更に移動すると、後側リンク95は、後側ガイド溝83に沿ってその後端までガイドピン98を更に上昇させつつ第2支持ブラケット100との連結部位を更に上昇させる。これにより、図16(a)、(b)及び図17(a)、(b)に示すように、第2支持ブラケット100が前端部を支点に後端部(ガイドピン101)を更に上昇させるように回動するとともに、第1支持ブラケット70がガイドピン72を支点に後端部を更に上昇させるように回動する。そして、第1支持ブラケット70に支持される可動パネル12が更にチルトアップ作動する(第2のチルトアップ状態)。
この際、駆動シュー30の第1係合突部34が第1係合溝63の第1溝部63aに進入してその前端(第2溝部63bの上端)を押圧し始める。これにより、第1回転チェック60は、第2溝部63bの傾斜で受ける第1係合突部34の押圧力で、コイルスプリングSP1の付勢力に抗して回動する。これにより、第1回転チェック60は、その頭部62が第1チェックブロック40の第1係合凹部42から外れて前側シュー50と共に車両の前方への移動が可能となる。そして、駆動シュー30がチェック部材85及び後側ガイド部材80と共に車両の前方に更に移動すると、図17(a)、(b)に併せ示すように、第1係合突部34に第1係合溝63(第2溝部63b)の押圧される第1回転チェック60は、前側シュー50と共に車両の前方に移動する。このとき、第1係合凹部42を乗り越えた第1回転チェック60の頭部62は、コイルスプリングSP1に付勢されて底壁41に当接しており、第1係合溝63内の第1係合突部34は第2溝部63bの下端(第3溝部63cの前端)に当接する。また、第1回転チェック60の頭部62は、コイルスプリングSP1に付勢されて第1下側レール部21aの車内側部に当接しており、前側シュー50から相対的に離れる車両の幅方向の位置にある。
同時に、後側ガイド部材80の第2係合突部84が第2係合溝68の第1溝部68aに進入してその前端(第2溝部68bの上端)を押圧し始める。これにより、第2回転チェック65は、第2溝部68bの傾斜で受ける第2係合突部84の押圧力で、コイルスプリングSP3の付勢力に抗して回動する。これにより、第2回転チェック65は、その頭部67が第2チェックブロック45の第2係合凹部47から外れて後側シュー90と共に車両の前方への移動が可能となる。そして、駆動シュー30がチェック部材85及び後側ガイド部材80と共に車両の前方に更に移動すると、図18(a)、(b)に併せ示すように、第2係合突部84に第2係合溝68(第2溝部68b)の押圧される第2回転チェック65は、後側シュー90と共に車両の前方に移動する。この段階では、第1支持ブラケット70の前後方向の移動が前側リンク55等により依然として規制されていることで、第2支持ブラケット100は、ガイド溝73内でガイドピン101を摺動させつつ車両の前方に移動する。このとき、第2係合凹部47を乗り越えて第2ブロック側規制壁部49を通過した第2回転チェック65の頭部67は、コイルスプリングSP3に付勢されて底壁46に当接しており、第2係合溝68内の第2係合突部84は第2溝部68bの下端(第3溝部68cの前端)に当接する。また、第2回転チェック65の頭部67は、コイルスプリングSP3に付勢されて第2下側レール部22aの車外側部に当接しており、後側シュー90から相対的に離れる車両の幅方向の位置にある。
駆動シュー30の停止後、該駆動シュー30が反転して車両の後方に移動すると、第1係合突部34は第3溝部63cを空走しつつその後端に当接する。このとき、第1回転チェック60は、第3溝部63cに第1係合突部34が収まることで車両の高さ方向への移動、即ち支持ピン61周りの回動が規制される。なお、第1係合突部34が第3溝部63cを空走する期間は、第1回転チェック60等を残置したまま駆動シュー30がチェック部材85及び後側ガイド部材80と共に車両の後方に移動する。ただし、このときの駆動シュー30の移動量は僅少であり、可動パネル12は第2のチルトアップ状態のままである。
同時に、後側ガイド部材80の第2係合突部84は第3溝部68cを空走しつつその後端に当接する。このとき、第2回転チェック65は、第3溝部68cに第2係合突部84が収まることで車両の高さ方向への移動、即ち支持ピン66周りの回動が規制される。
この状態で、駆動シュー30がガイドレール20に沿って車両の後方に更に移動すると、第3溝部63cに収まる第1係合突部34により回動規制された第1回転チェック60は、第1係合突部34に押圧されて前側シュー50と共に車両の後方に移動し、頭部62を第1係合凹部42に嵌入させることなくこれを通過する。これに伴い、図19(a)、(b)に示すように、第1回転チェック60の頭部62が第1ブロック側規制壁部43を通過してガイドレール20の第1規制壁部24に到達する。第1回転チェック60は、頭部62が第1ブロック側規制壁部43を通過する際に該第1ブロック側規制壁部43に案内されることで、コイルスプリングSP1の付勢力に抗して前側シュー50(及び駆動シュー30)に近付く車両の幅方向(車外側)に移動する。また、第1ブロック側規制壁部43を通過した第1回転チェック60は、ガイドレール20の第1規制壁部24に当接されることで、前側シュー50(及び駆動シュー30)に近付く車両の幅方向の位置を保持する。このとき、第3溝部63cの後端(挿入凹部64)に位置する第1係合突部34は、第1回転チェック60の車外側への移動に伴って挿入凹部64に挿入される。これにより、第1回転チェック60は、駆動シュー30に対する前後方向の移動も規制される。
同時に、第3溝部68cに収まる第2係合突部84により回動規制された第2回転チェック65は、第2係合突部84に押圧されて後側シュー90と共に車両の後方に移動し、頭部67を第2係合凹部47に嵌入させることなくこれを通過する。これに伴い、図20(a)、(b)に示すように、第2回転チェック65の頭部67が第2ブロック側規制壁部49,48を通過してガイドレール20の第2規制壁部26に到達する。第2回転チェック65は、頭部67が第2ブロック側規制壁部49を通過する際に該第2ブロック側規制壁部49の傾斜する前端部に案内されることで、コイルスプリングSP3の付勢力に抗して後側シュー90(及び後側ガイド部材80)に近付く車両の幅方向(車内側)に移動する。続いて、第2回転チェック65は、頭部67が第2ブロック側規制壁部49の傾斜する後端部に案内されることで、コイルスプリングSP3の付勢力で後側シュー90(及び後側ガイド部材80)から離れる車両の幅方向(車外側)に移動する。また、第2回転チェック65は、頭部67が第2ブロック側規制壁部48に案内されることで、コイルスプリングSP3の付勢力に抗して後側シュー90(及び後側ガイド部材80)に近付く車両の幅方向(車内側)に移動する。さらに、第2ブロック側規制壁部48を通過した第2回転チェック65は、ガイドレール20の第2規制壁部26に当接されることで、後側シュー90(及び後側ガイド部材80)に近付く車両の幅方向の位置を保持する。このとき、第3溝部68cの後端(挿入凹部69)に位置する第2係合突部84は、第2回転チェック65の車内側への移動に伴って挿入凹部69に挿入される。これにより、第2回転チェック65は、駆動シュー30に対する前後方向の移動も規制される。
以上により、第1回転チェック60及び前側シュー50が駆動シュー30と一体で前後方向に移動可能になるとともに、第2回転チェック65、後側シュー90及び第2支持ブラケット100が駆動シュー30と一体で前後方向に移動可能になる。
ここで、図29(a)〜(c)に示すように、駆動シュー30等と共に前側シュー50が車両の後方に移動すると、シュー側ガイド壁53がその移動軌跡上にある前側リンク55のリンク側ガイド壁57bを押圧することで、前側リンク55がガイドピン72を支点に後端部(係合溝57a)を上昇させるように回動する。このとき、前側シュー50のローラ52は、係合溝57aの開口端に近接している。この状態で、前側シュー50が車両の後方に移動すると、ローラ52は、ガイドピン72を支点に後端部(係合溝57a)が更に上昇するように前側リンク55を回動させつつ係合溝57aに進入する。このように、シュー側ガイド壁53でリンク側ガイド壁57bを押圧して前側リンク55の回動を促進しているのは、係合溝57aの後端を著しく上方に配置しなくても、該係合溝57aにローラ52をより確実に進入させるためである。
係合溝57aへのローラ52の進入に伴う前側リンク55の回動により、撓み部58が第1チェックブロック40の第1係合凹部42が外れることで、前側リンク55が第1支持ブラケット70と共に車両の後方に移動可能となる。従って、この状態で、前側シュー50等と共に前側リンク55が車両の後方に移動すると、該前側リンク55は、ガイドピン72を前側ガイド部材27の前側ガイド溝28に沿って上昇させる。あるいは、前側リンク55は、前側ガイド溝28から第1上側レール部21bに進入したガイドピン72を第1上側レール部21bに沿って車両の後方に移動させつつ第1支持ブラケット70と共に当該方向に移動する。このとき、第2支持ブラケット100は、後側シュー90等と共に車両の後方に移動することはいうまでもない。
従って、第1及び第2支持ブラケット70,100は、前後方向の距離を一定に保って車両の後方に移動することになる。それにより、可動パネル12は第2のチルトアップ状態を保持したまま車両の後方に移動する(開作動する)。換言すれば、前側リンク55が第1支持ブラケット70と共に車両の後方に移動可能になるまでの間は、第2支持ブラケット100は、後側シュー90等と共に車両の後方に移動するものの、第1支持ブラケット70は、前側シュー50が車両の後方に移動しても停止したままである。この際、第2支持ブラケット100は、ガイド溝73内でガイドピン101を摺動させつつ車両の後方に移動することで、可動パネル12は第2のチルトアップ状態を保持し続ける。
その後、図21(a)、(b)に示すように、駆動シュー30の車両の後方への移動量が所定量を超え、該駆動シュー30と共に車両の後方に移動していたチェック部材85の規制部89が、ガイドレール20の底壁25に形成された規制孔25aに到達したとする。このとき、駆動シュー30は、コイルスプリングSP2に付勢されるチェック部材85を規制部89が規制孔25aに嵌入するように回動させつつ、係合溝88から係脱ピン36を離脱させる。これにより、駆動シュー30は、チェック部材85を残置したまま車両の後方に移動可能となり、該チェック部材85は、第2支持ブラケット100等と共に当該位置で停止する。この状態にあっても、第1支持ブラケット70は、依然としてガイド溝73において第2支持ブラケット100のガイドピン101により前後方向に移動自在に支持されている。
従って、駆動シュー30が車両の後方に更に移動していくと、第1回転チェック60等を介して第1支持ブラケット70が車両の後方に移動する。このとき、第1及び第2支持ブラケット70,100の前後方向の距離が縮まるものの、ガイド溝73がガイドピン101を摺動することで、図22(a)、(b)に示すように、可動パネル12は第2のチルトアップ状態を保持したまま全開状態になるまで車両の後方に移動する(開作動する)。
可動パネル12の全開状態において、駆動シュー30が車両の前方に移動すると、可動パネル12は第2のチルトアップ状態を保持したまま車両の前方に移動する(閉作動する)。そして、駆動シュー30の係脱ピン36がチェック部材85の係合溝88に到達すると、駆動シュー30は、コイルスプリングSP2の付勢力に抗してチェック部材85を規制部89が規制孔25aから外れるように回動させつつ、係合溝88に係脱ピン36を係合させる。
従って、駆動シュー30が車両の前方に更に移動していくと、チェック部材85及び第2回転チェック65等を介して第2支持ブラケット100が車両の前方に移動し始める。そして、第1及び第2支持ブラケット70,100が前後方向の距離を一定に保ったまま車両の前方に移動して、可動パネル12が第2のチルトアップ状態を保持したまま車両の前方に移動する(閉作動する)。
駆動シュー30が車両の前方に更に移動していくと、第1支持ブラケット70等の車外側のガイドピン72が第1上側レール部21bの車外側部から前側ガイド溝28に進入して該前側ガイド溝28を下降しその前端に到達する。このとき、前側リンク55の撓み部58は、第1チェックブロック40の第1係合凹部42の上方に位置するものの、依然として係合溝57aに前側シュー50のローラ52が係入する状態にあることで、第1係合凹部42に嵌入不能となっている。
この状態で、駆動シュー30が車両の前方に更に移動すると、第1回転チェック60と共に車両の前方に更に移動する前側シュー50は、前側リンク55をガイドピン72を支点に腕部57の後端部が下降する側、即ち撓み部58が第1係合凹部42に嵌入する側に回動させつつ、ローラ52を係合溝57aの車両の前方に乗り上げさせる。これにより、前側リンク55の前後方向の移動が第1支持ブラケット70(及び可動パネル12)と共に規制される。
一方、コイルスプリングSP1により車両の幅方向に付勢される第1回転チェック60は、頭部62が第1チェックブロック40に到達することで、第1ブロック側規制壁部43に規制される範囲で前側シュー50(及び駆動シュー30)から離れる車両の幅方向に移動する。このとき、挿入凹部64に挿入された第1係合突部34は、第1回転チェック60の車両の幅方向への移動に伴って挿入凹部64から外れる。これにより、第1係合突部34(駆動シュー30)は、第1回転チェック60に対して車両の前方に移動可能となる。同時に、第1回転チェック60は、その頭部62が第1チェックブロック40の第1係合凹部42上に配置される。ただし、この段階では、第1係合突部34は、第3溝部63cの後端に位置しており、第1回転チェック60は、前述の態様で車両の高さ方向への移動、即ち支持ピン61周りの回動が規制されたままである。この状態で、駆動シュー30が車両の前方に更に移動すると、第1係合突部34は第3溝部63cを空走しつつその前端(第2溝部63bの下端)に当接する。この段階でも、第1回転チェック60は、傾斜する第2溝部63bの下端に第1係合突部34が位置することで、依然として支持ピン61周りの回動が規制されたままである。
なお、駆動シュー30の車両の前方への移動は、この段階で停止するように前述のECUにより制御されている。
また、コイルスプリングSP3により車両の幅方向に付勢される第2回転チェック65は、頭部67が第2チェックブロック45に到達することで、第2ブロック側規制壁部48に規制される範囲で後側シュー90(及び後側ガイド部材80)から離れる車両の幅方向に移動する。このとき、挿入凹部69に挿入された第2係合突部84は、第2回転チェック65の車両の幅方向への移動に伴って挿入凹部69から外れる。これにより、第2係合突部84(後側ガイド部材80)は、第2回転チェック65に対して車両の前方に移動可能となる。ただし、この段階では、第2係合突部84は、第3溝部68cの後端に位置しており、第2回転チェック65は、前述の態様で車両の高さ方向への移動、即ち支持ピン66周りの回動が規制されたままである。この状態で、後側ガイド部材80が車両の前方に更に移動すると、第2係合突部84は第3溝部68cを空走しつつその前端(第2溝部68bの下端)に当接する。この段階でも、第2回転チェック65は、傾斜する第2溝部68bの下端に第2係合突部84が位置することで、依然として支持ピン66周りの回動が規制されたままである。そして、後側ガイド部材80が車両の前方に更に移動すると、第2回転チェック65は、その頭部67が第2チェックブロック45の第2係合凹部47を通過してその車両の前方の底壁25上に配置される。このとき、第2回転チェック65は、その頭部67が第2ブロック側規制壁部49の前後方向の位置に位置することで、第2溝部68bの下端(被押圧面68d)に第2係合突部84が位置する状態で後側シュー90(及び後側ガイド部材80)に近付く車両の幅方向に移動している。この場合、第2係合突部84が車両の後方に移動すると、被押圧面68dの押圧される第2回転チェック65が一体で車両の後方に移動することになり、第2係合突部84が第3溝部68cを通って挿入凹部69に到達することはない。
前述の状態で駆動シュー30が停止した後、該駆動シュー30が反転して車両の後方に移動すると、図23(a)、(b)〜図26(a)、(b)に示すように、コイルスプリングSP1に付勢される第1回転チェック60は、第2溝部63bに沿って第1係合突部34を外しつつ支持ピン61周りに回動して、その頭部62を第1チェックブロック40の第1係合凹部42に嵌入する。これにより、第1回転チェック60は、前側シュー50と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制される。同時に、第1回転チェック60の第1溝部63aは、第1係合突部34のガイドレール20に沿う車両の後方を開放する。
また、第2溝部68bの下端(被押圧面68d)に第2係合突部84が位置する第2回転チェック65は、第2係合突部84に被押圧面68dが押圧されることで一体で車両の後方に移動する。これに伴い、頭部67が第2ブロック側規制壁部49を通過して第2係合凹部47の上方に到達すると、コイルスプリングSP3に付勢される第2回転チェック65は、第2溝部68bに沿って第2係合突部84を外しつつ支持ピン66周りに回動して、その頭部67を第2チェックブロック45の第2係合凹部47に嵌入する。これにより、第2回転チェック65は、後側シュー90(及び第2支持ブラケット100)と共にガイドレール20に対する前後方向の移動が規制される。同時に、第2回転チェック65の第1溝部68aは、第2係合突部84のガイドレール20に沿う車両の後方を開放する。
なお、前述のように、第1支持ブラケット70の前後方向の移動が規制された後も、第2回転チェック65の頭部67が第2係合凹部47に嵌入するまでは第2回転チェック65等と共に第2支持ブラケット100が車両の後方に移動することになる。しかしながら、その移動量が僅少であることとも、当該移動時には第2支持ブラケット100のガイドピン101が第1支持ブラケット70のガイド溝73を摺動するのみであることで、第1支持ブラケット70及び可動パネル12の姿勢に影響を及ぼすことは実質的にない。このように第2回転チェック65等を車両の後方に移動させながら頭部67を第2係合凹部47に嵌入させるようにしたのは、第1係合凹部42の前後方向の開口幅と同等の前後方向の寸法に設定された第2回転チェック65の頭部67をより確実に第2係合凹部47に嵌入させるためである。
以上のように、第1及び第2支持ブラケット70,100の前後方向の移動が規制された状態で、駆動シュー30がチェック部材85及び後側ガイド部材80と共にガイドレール20に沿って車両の後方に更に移動すると、後側リンク95は、後側ガイド溝83に沿ってガイドピン98を下降させつつ第2支持ブラケット100との連結部位を下降させる。これにより、第2支持ブラケット100が前端部を支点に後端部(ガイドピン101)を下降させるように回動するとともに、第1支持ブラケット70がガイドピン72を支点に後端部を下降させるように回動する。そして、図6(a)、(b)〜図7(a)、(b)に示すように、第1支持ブラケット70に支持される可動パネル12がチルトダウン作動して、第1のチルトアップ状態を経て全閉状態になる(復帰する)。そして、駆動シュー30の車両の後方への移動が停止するように前述のECUにより制御される。
なお、可動パネル12がチルトダウン作動をしつつ全閉状態に移行する際、第2支持ブラケット100の引き込みピン102は徐々に下降する。一方、後側ガイド部材80の引き込み部80aは、その開口方向である車両の後方に徐々に移動する。従って、引き込み部80aは、車両の後方への移動に伴い、下降しつつある引き込みピン102を案内することで、可動パネル12を全閉状態に引き込むように引き込みピン102が係入される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル12の全閉状態では、駆動シュー30がチェック部材85等と共に第1及び第2支持ブラケット70,100に対して車両の前方に移動する際に可動パネル12がチルトアップ状態に移行する。また、チルトアップ状態において駆動シュー30が更に車両の前方に移動した後に後方に移動する際に前側リンク55と係合状態になることで該前側リンク55と共に移動して可動パネル12がチルトアップ状態のまま開作動する。そして、駆動シュー30の車両の後方への移動量が前記所定量を超えるとチェック部材85等から離脱状態になることで該チェック部材85等を残置したまま前側リンク55と共に車両の後方に移動して可動パネル12がチルトアップ状態のまま全開状態になるまで開作動する。この場合、可動パネル12の全開状態を規定する駆動シュー30の最大の移動量は、可動パネル12をチルトアップ状態にする際の逆方向(車両の前方)の駆動シュー30の移動量に制約されることはない。従って、可動パネル12の全開状態を規定する駆動シュー30の最大の移動量、即ち可動パネル12の開口量を増加することができる。
(2)本実施形態では、可動パネル12の全閉状態では、前側リンク55がガイドレール20に沿う前後方向の移動の規制状態にあるとともに第1回転チェック60により前側シュー50の移動が規制された状態にあることで、チルトアップ状態に移行すべく駆動シュー30が車両の前方に移動する際に第1支持ブラケット70の前端部の移動が規制される。そして、チルトアップ状態において、駆動シュー30が更に車両の前方に移動する際に第1係合突部34に第1係合溝63の押圧される第1回転チェック60が前側シュー50の移動規制を解除し、その後に駆動シュー30が車両の後方に移動する際に前側シュー50が一体で移動するように第1回転チェック60が第1係合突部34と係合する。これにより、前側シュー50が前側リンク55に対して車両の後方に移動して該前側リンク55と係合することで、前側シュー50及び前側リンク55が一体で第1支持ブラケット70の前端部と共に車両の後方に移動する。このように、チルトアップ状態において、前側シュー50の移動規制を解除すべく駆動シュー30と共に前側シュー50が車両の前方に移動しても、前側リンク55に対して車両の後方に移動しない限り前側シュー50及び前側リンク55が係合することがない。このため、前側リンク55及び第1支持ブラケット70の前端部の移動をより確実に規制することができる。
(3)本実施形態では、可動パネル12の全閉状態では、第2回転チェック65により後側シュー90の移動が規制された状態にあることで、チルトアップ状態に移行すべく駆動シュー30が後側ガイド部材80等と共に車両の前方に移動する際に第2支持ブラケット100の前端部の移動が規制される。そして、チルトアップ状態において、駆動シュー30が後側ガイド部材80等と共に更に車両の前方に移動する際に第2係合突部84に第2係合溝68の押圧される第2回転チェック65が後側シュー90の移動規制を解除する。そして、その後に駆動シュー30が後側ガイド部材80等と共に車両の後方に移動する際に後側シュー90が一体で移動するように第2回転チェック65が第2係合突部84と係合する。これにより、後側シュー90が一体で第2支持ブラケット100の前端部と共に車両の後方に移動する。チルトアップ状態において、後側シュー90の移動規制を解除すべく駆動シュー30及び後側ガイド部材80等と共に後側シュー90が車両の前方に移動すると、第2支持ブラケット100の前端部も車両の前方に移動することになる。しかしながら、第2支持ブラケット100は、第1支持ブラケット70の支持位置を該第1支持ブラケット70に対して車両の前方に移動させることで、第1支持ブラケット70の前端部が移動することを抑制することができる。
(4)本実施形態では、可動パネル12を開状態から閉作動すべく駆動シュー30が車両の前方に移動する際、前側シュー50及び第1回転チェック60と共に車両の前方に移動する前側リンク55が規制状態に切り替わることで、第1支持ブラケット70の前端部の移動が規制され、更に前側リンク55に対して前側シュー50及び第1回転チェック60が車両の前方に移動する際、該第1回転チェック60が第1係合凹部42に到達することで該第1係合凹部42に嵌入して前側シュー50に対する駆動シュー30の車両の後方への移動が許容される。一方、可動パネル12を開状態から閉作動すべく駆動シュー30が車両の前方に移動する際、第1回転チェック60が第1係合凹部42に到達する段階でチェック部材85と共に車両の前方に移動する第2回転チェック65が第2係合凹部47を通過する。そして、全閉状態に移行すべく駆動シュー30が車両の後方に移動する際、チェック部材85と共に車両の後方に移動する第2回転チェック65が第2係合凹部47に到達することで該第2係合凹部47に嵌入して後側シュー90に対する駆動シュー30の車両の後方への移動が許容される。これにより、第1及び第2支持ブラケット70,100に対して駆動シュー30が車両の後方に移動することで、可動パネル12が全閉状態に移行する。この場合、第1支持ブラケット70の前端部の移動が規制されて第1回転チェック60が第1係合凹部42に到達した後、第2回転チェック65が第2係合凹部47に到達するまで後側シュー90と共に第2支持ブラケット100の前端部が車両の後方に移動することになる。しかしながら、第2支持ブラケット100の前端部が車両の後方に移動しても、第1支持ブラケット70は、第2支持ブラケット100の支持位置(ガイドピン101)が移動するのみであることで第1支持ブラケット70の姿勢、即ち可動パネル12の姿勢に及ぼす影響は僅少又は皆無である。このように、第2回転チェック65は、車両の後方に移動しながら第2係合凹部47に嵌入すればよいため、該第2係合凹部47に嵌入する状態での遊びをより縮小することができる。これにより、第2回転チェック65が第2係合凹部47に嵌入する位置、即ち可動パネル12が全閉状態に移行すべくチルトダウン作動を開始する位置をより高精度に設定することができる。
(5)本実施形態では、前側リンク55に対して前側シュー50が車両の後方に移動する際、シュー側ガイド壁53及びリンク側ガイド壁57b(促進部)により前側リンク55(係合溝57a)及び前側シュー50(ローラ52)の係合に先立って前側リンク55の係合位置に近付く回動が促される。これにより、前側リンク55及び前側シュー50の車両の高さ方向における係合代を十分に確保しなくてもそれらをより確実に係合させることができる。従って、前側リンク55又は前側シュー50を車両の高さ方向により小型化することができる。
(6)本実施形態では、可動パネル12がチルトアップ状態のまま開作動を開始してからの駆動シュー30の車両の後方への移動量が前記所定量を下回るのであれば、前側リンク55及び後側ガイド部材80が共に車両の後方に移動することで、ガイドレール20による第1支持ブラケット70の前端部(ガイドピン72)の支持位置と、第2支持ブラケット100による第1支持ブラケット70の支持位置との前後方向の離間距離が一定に保たれる。従って、可動パネル12がチルトアップ状態のまま開作動を開始してからの駆動シュー30の車両の後方への移動量が前記所定量を超え、後側ガイド部材80と共に第2支持ブラケット100が残置されたまま可動パネル12が全開状態に移行したとしても、前記離間距離を確保することができ、可動パネル12の支持剛性をより増加することができる。
また、可動パネル12がチルトアップ状態のまま開作動を開始してからの駆動シュー30の車両の後方への移動量が前記所定量を超えると、後側ガイド部材80と共に第2支持ブラケット100が残置される。このため、基本的にガイドレール20に要する前後方向の寸法は、可動パネル12を全開状態に到達させるまでの駆動シュー30の移動範囲に対応すればよい。従って、ガイドレール20の前後方向の寸法をより低減することができる。具体的には、図22(a)、(b)に示すように、可動パネル12を全開状態において、開作動の途上で停止させられた後側ガイド部材80及び後側リンク95は、前側開口11aの後端付近よりも車両の前方に位置しており、駆動シュー30も同様に位置している。これにより、ガイドレール20は、前側開口11aの後端付近まで延びる前後方向の寸法であればよい。
(7)本実施形態では、第1係合凹部42の前後方向の開口幅が頭部62の前後方向の寸法よりも十分に大きく設定されている。従って、可動パネル12を開状態から閉作動すべく駆動シュー30が車両の前方に移動する際、第1係合凹部42の上方に第1回転チェック60の頭部62が到達した段階で駆動シュー30を停止させるECUによるタイミングに誤差があったとしても、頭部62を第1係合凹部42により確実に嵌入することができる。なお、前記タイミングの誤差は、ECU自体のばらつきや駆動シュー30及び駆動ベルト39の結合位置のばらつきなどに起因するものである。また、この場合、可動パネル12の全閉状態等で第1回転チェック60自体で第1支持ブラケット70等の前後方向の位置を決められなくなるが、前側リンク55によって当該位置が決められることから何ら支障はない。
(8)本実施形態では、可動パネル12がチルトアップ状態から全閉状態に移行する際に、駆動シュー30の移動方向(車両の後方)に開口する引き込み部80aにて引き込みピン102を案内することで、可動パネル12を全閉状態により円滑に引き込むことができる。特に、後側ガイド部材80は、可動パネル12の全閉状態から車両の前方に移動することを想定して、若しくは途中で停止させるためのチェック部材85に連結することを想定して車両の後方寄りに配置されていることで、後側ガイド部材80を前後方向に徒に伸長させなくても、引き込み部80aを形成することができる。あるいは、駆動シュー30の車両の後方への移動に伴い、チェック部材85及び後側ガイド部材80を介して可動パネル12を全閉状態に引き込むことで、配置・寸法の設定自由度を増大することができる。
(9)本実施形態では、例えば可動パネル12を全閉状態からチルトアップ状態に、あるいはチルトアップ状態から全閉状態にする際の駆動シュー30の移動量を十分に確保できるため、該駆動シュー30の単位移動量当たりの負荷(モータ出力)を減少することができ、ひいては電気的駆動源38の大型化を回避することができる。
特に、可動パネル12の開閉作動に伴い電気的駆動源38の回転速度変動が所定閾値(以下、「反転荷重」ともいう)を超えた際に可動パネル12による挟み込みを判定して該可動パネル12を反転動作させる機能を有する場合、通常動作時の回転速度変動が小さいことで反転荷重も低減することができる。つまり、反転荷重を低減しても、上記機能により挟み込みと誤判定される可能性を低減できる。この場合、例えば欧州法規における100N以下を満足できる可能性があり、可動パネル12をオートクローズ化できる可能性がある。
(10)本実施形態では、図10(a)、(d)に示すように、可動パネル12の全閉状態において、駆動シュー30は、第1回転チェック60と係合等すべく前後方向に移動する際、ガイドレール20の第1レール部21を車両の幅方向に跨る状態でこれを摺動する。しかしながら、駆動シュー30は、実質的に前側リンク55よりも上方に位置する第1上側レール部21bを摺動することで、前側リンク55と干渉することがない。従って、駆動シュー30及び第1回転チェック60の係合状態(例えば可動パネル12の全開状態)で、駆動シュー30及び前側リンク55の前後方向の位置が重なるようにそれらを配置することができ、ひいては駆動シュー30等の移動範囲を含むために要するガイドレール20の前後方向の寸法をより縮小することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、第2支持ブラケット100のガイドピン101に後側ガイド部材80の後側ガイド溝83を直結して第2支持ブラケット100の姿勢を制御するのであれば、後側リンク95を省略してもよい。
・前記実施形態において、前側ガイド部材27を省略して、例えばチルトアップ状態から開作動を開始する際の第1支持ブラケット70の前端部の上昇を、前側シュー50との適宜の係合構造で実現してもよい。
・前記実施形態において、前側リンク55及び前側シュー50の車両の高さ方向における係合代を十分に確保できるのであれば、シュー側ガイド壁53及びリンク側ガイド壁57b(促進部)を省略してもよい。
・前記実施形態において、可動パネル12を開状態から閉作動すべく駆動シュー30が車両の前方に移動する際、第1回転チェック60(頭部62)が第1係合凹部42に到達するタイミングで第2回転チェック65(頭部67)が第2係合凹部47に到達していてもよい。つまり、第1回転チェック60の頭部62が第1係合凹部42に嵌入するタイミングで第2回転チェック65の頭部67が第2係合凹部47に嵌入するようにしてもよい。ただし、頭部67を第2係合凹部47により確実に嵌入するために、該第2係合凹部47の前後方向の開口幅を頭部67の前後方向の寸法よりも十分に大きく設定しておくことが好ましい。
・前記実施形態においては、後側ガイド部材80に連結されたチェック部材85でガイドレール20(規制孔25a)との係脱を行ったが、後側部材としての後側ガイド部材80自体でガイドレール20との係脱を行なえるのであれば、チェック部材85を省略してもよい。
・前記実施形態において、可動パネルを複数枚備えたルーフ装置であってもよい。例えば、固定パネル13に代えて可動パネル12と同様の可動パネルを採用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)上記ルーフ装置において、
前記前側リンクは、前記前側シューとの係合に伴って所定の係合位置に向かって回動するように構成されており、
前記前側リンク及び前記前側シュー間に介設され、前記前側リンクに対して前記前側シューが車両の後方に移動する際に前記前側リンク及び前記前側シューの係合に先立って前記前側リンクの前記係合位置に近付く回動を促す促進部を備えた、ルーフ装置。
この構成によれば、前記前側リンクに対して前記前側シューが車両の後方に移動する際、前記促進部により前記前側リンク及び前記前側シューの係合に先立って前記前側リンクの前記係合位置に近付く回動が促されることで、前記前側リンク及び前記前側シューの係合代を十分に確保しなくてもそれらをより確実に係合させることができる。従って、前記前側リンク又は前記前側シューをより小型化することができる。