JP6400812B1 - 乗客コンベアの異常検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】運転中に車輪の異常の兆候を判断して、緊急停止が必要な状態になる前に対処可能とする。【解決手段】一実施形態に係る乗客コンベアの異常検出システムは、透過型光電センサ50の投光部51および受光部52と反射ミラー53を用いて車輪27の走行経路上に2つの光軸54,55を形成し、この2つの光軸54,55の間を車輪が通過した時間、踏段11の走行速度、2つの光軸54,55の位置関係に基づいて、車輪27のレール幅方向の変位を検出する。【選択図】 図4
Description
本発明の実施形態は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの異常検出システムに関する。
エスカレータや動く歩道などの乗車コンベア(マンコンベア)は、チェーンにより無端状に連結された多数の踏段(ステップ)を備える。これらの踏段をトラス内部に配設された案内レールに沿ってモータ駆動により循環移動させることで、踏段に搭乗した乗客を一方の乗降口から他方の乗降口へと搬送する。
踏段の左右両側には、チェーンに軸支された前輪と、踏段の蹴上げ面(ライザ)の下方に取り付けられた後輪が設けられている。これらの車輪(前輪と車輪)は、ゴムローラと、そのゴムローラを回転自在に支持するベアリングとで構成され、案内レール上を移動する。
ここで、乗車コンベアを長期間運転していると、車輪のゴムローラが劣化し、ベアリングとの接着面が剥離して脱落することがある。また、給油装置の不具合などによってベアリングが損傷するとスムーズに回転しなくなる。これにより、案内レールとゴムローラとの間に大きな摩擦力が生じて、ゴムローラが剥離して脱落する。ゴムローラが脱落した状態で乗客が踏段に乗ると、踏段が傾いて乗客が転倒する可能性がある。また、ベアリングの異常によってゴムローラがスムーズに回転しなくなると、振動が発生して乗客に不安を与えることになる。
従来、このような車輪の異常を検出する方法として、案内レールの一部に凹部を設け、その凹部に落ち込んだ車輪をマイクロスイッチ等で検出する方法がある。
しかしながら、上述した方法では、案内レールに加工が必要であり、運転中に騒音が生じる可能性がある。また、車輪のゴムローラが完全に脱落するか、案内レールから浮き上るような大きな異常でないと検出することができない。異常を検出した時点では、すでに車輪の即時交換が必要なほどの危険な状態にあるため、乗客コンベアの運転を緊急停止はて対応しなければならない。その間、乗客に多大な迷惑をかけてしまう。
本発明が解決しようとする課題は、運転中に車輪の異常の兆候を判断して、緊急停止が必要な状態になる前に対処することのできる乗客コンベアの異常検出システムを提供することを目的とする。
一実施形態に係る乗客コンベアの異常検出システムは、複数の踏段を有し、これらの踏段を支持する車輪がトラス内部に配設された案内レールに沿って走行する。
上記異常検出システムは、上記車輪の走行経路上に2つの光軸を形成する光軸形成手段と、この光軸形成手段によって形成された上記2つの光軸の間を上記車輪が通過した時間を測定する通過時間測定手段と、この通過時間測定手段によって測定された通過時間、上記踏段の走行速度、上記2つの光軸の位置関係に基づいて、上記車輪の上記案内レールの幅方向の変位を検出する状態検出手段とを備える。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、以下では乗客コンベアとして代表的なエスカレータを例にして説明する。各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態におけるエスカレータの全体の概略構成を示す図である。図中の10はエスカレータ全体を示す。
図1は第1の実施形態におけるエスカレータの全体の概略構成を示す図である。図中の10はエスカレータ全体を示す。
エスカレータ10は、例えば建物の上階と下階との間に傾斜して設置され、多数の踏段(ステップ)11を上部機械室12の乗降口と下部機械室13の乗降口との間で循環移動させる。各踏段11は、図2に示す無端状の連結チェーン14によって連結されており、建物の床下に設置されたトラス15内に配置されている。トラス15の内部には、上部スプロケット16と下部スプロケット17が配置されており、これらの間に連結チェーン14が巻き掛けられている。
上部スプロケット16と下部スプロケット17のいずれか一方(この例では上部スプロケット16)には、モータや減速機などを有する駆動装置18が連結されている。この駆動装置18の駆動により、スプロケット16,17が回転し、スプロケット16,17に噛み合う連結チェーン14を介して複数の踏段11が案内レール30,31にガイドされながら上部機械室12の乗降口と下部機械室13の乗降口との間を循環移動する。
また、トラス15の上部には、各踏段11の両側面と対向するように一対の図示しないスカートガードが踏段11の移動方向に沿って設置されている。この一対のスカートガード上にそれぞれ欄干19が立設されている。この欄干19の周囲にはベルト状のハンドレール20が装着されている。ハンドレール20は、踏段11に搭乗している乗客が把持する手摺であり、踏段11の移動と同期して周回する。
図2はエスカレータ10の踏段11の構成を示す斜視図である。
踏段11は、略扇形の側面形状を有するブラケット21と、ブラケット21の上部に設けられた踏板22と、ブラケット21の弧形状に沿って配置されたライザ23とを備える。
ブラケット21の先端部にはシャフト取付け部24が形成されており、そこに踏段連結シャフト25が回転自在に取り付けられる。踏段連結シャフト25は、踏段11の移動方向に沿って所定の間隔で水平方向に配設されている。この踏段連結シャフト25は、左右の連結チェーン14に係合しており、その両端部に左右一対の車輪(前輪)26が設けられている。また、ブラケット21のライザ23の下端部の両側には左右一対の車輪(後輪)27が設けられている。
踏段11の左右両側には車輪26,27の走行経路に沿って案内レール30,31が配設され、トラス15内にボルト等で固定されている。案内レール30は踏段11の前側に設けられた車輪26を支持し、案内レール31は踏段11の後側に設けられた車輪27を支持している。
図3は踏段11の車輪26,27の構成を示す断面図である。
一般に、踏段11の車輪26,27は、それぞれに中心部に回転自在に設けられたベアリング28と、そのベアリング28の周囲を覆うゴムローラ29とで構成される。エスカレータ10を長期間運転していると、ゴムローラ29やベアリング28の劣化により車輪26,27がスムーズに回転しなくなり、走行中に案内レールの側面に接触して異音を発生することがある。このような状態で運転を続けていると、ゴムローラ29がベアリング28から剥離して脱落する可能性もある。
以下では、踏段11の後側に設けられた車輪(後輪)27の異常を検出する構成について説明するが、踏段11の前側に設けられた車輪(前輪)27の異常についても同様の方法にて検出可能である。
図4は第1の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図であり、エスカレータ10の復路側の構成を部分的に示している。
エスカレータ10の各踏段11は上部機械室12の乗降口と下部機械室13の乗降口との間で循環移動している。この場合、各踏段11の往路側で踏板22を上にして移動し、復路側で踏板22を下にして移動する。
ここで、本システムでは、透過型光電センサ50と反射ミラー53を用いて踏段11の車輪27の異常を光学的に検出する構成にある。なお、図4の例では、踏段11の左右両側の車輪27のうちの一方だけを示しているが、左右両側の車輪27に対して透過型光電センサ50と反射ミラー53が設けられているものとする。
透過型光電センサ50は、投光部51と受光部52が別体にあり、投光部51から投光された光を受光部52で受光することでON/OFFする。車輪27の走行経路の一方側、具体的には案内レール31の外側に透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が走行経路に沿って所定の間隔を空けて設置されている。また、車輪27の走行経路の他方側、具体的には案内レール31の内側に反射ミラー53が設置されている。
投光部51、受光部52、反射ミラー53は、エスカレータ10のトラス15に図示せぬ支持部材を介して取り付けられており、投光部51から投光された光を反射ミラー53で反射させて受光部52で受光できるように、投光部51と受光部52の向きが調整されている。これらは車輪27の走行経路上に2つの光軸54,55を形成するための光軸形成手段として用いられる。
第1の光軸54は、投光部51から反射ミラー53に向けられている。第2の光軸55は、反射ミラー53から受光部52に向けられている。この2つの光軸54,55と、投光部51と受光部52の設置点を結ぶ線で三角形が形成される。
なお、透過型光電センサ50の投光部51と受光部52の配置は左右逆であっても良い。また、図5に示すように、案内レール31の内側に透過型光電センサ50の投光部51と受光部52を設け、案内レール31の外側に反射ミラー53を設けても良い。
また、エスカレータ10の往路側に投光部51、受光部52、反射ミラー53を設けても良い。ただし、エスカレータ10の往路側は、踏段11の踏板22に乗客が乗るため、振動による影響を受けやすく、設置スペースも狭いため、復路側に投光部51、受光部52、反射ミラー53を設置することが好ましい。
次に、図6および図7を用いて踏段11の車輪27と光電センサの光軸54,55との関係について説明する。図6は光軸配置を上から見た図、図7は光軸配置を側面から見た図である。
図6に示すように、透過型光電センサ50の投光部51と受光部52は、所定の間隔D1を空けて互いに内側に傾けて配置されている。投光部51から反射ミラー53に向かう第1の光軸54と反射ミラー53から受光部52に向かう第2の光軸55は、並行ではなく、車輪27の走行方向を2箇所で遮るように角度αを持って配置される。また、図7に示すように、第1の光軸54と第2の光軸55は同一平面上にあって、車輪27の中心よりやや上の部分を横切る。これにより、車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55の間を走行すると、この2つの光軸54,55が順に遮断される。
ここで、踏段11の車輪27が第2の光軸55を遮断しているときに、後続の踏段11の車輪27が第1の光軸54を遮断しないように間隔D1が調整されている。つまり、ある踏段11の車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55との間のセンサ範囲を抜けるまでは、後続の踏段11の車輪27がセンサ範囲に入らないように調整されている。
この様子を図8および図9に示す。
図8および図9は踏段11の車輪27の動きと2つの光軸54,55との関係を時系列で示す図である。
図8(a)は車輪27が第1の光軸54に差し掛かる状態(ステップ1)、同図(b)は車輪27が第1の光軸54の遮断を開始した状態(ステップ2)、同図(c)は車輪27が第1の光軸54の遮断を終了した状態(ステップ3)、同図(d)は車輪27が第1の光軸54を抜けた状態を示している(ステップ4)。続いて、図9(a)は車輪27が第2の光軸55の遮断を開始した状態(ステップ5)、同図(b)は車輪27が第2の光軸55の遮断を終了した状態(ステップ6)、同図(c)は車輪27が第2の光軸55を抜けた状態を示している(ステップ7)。ある車輪27が第2の光軸55を抜けると、次の車輪27が第1の光軸54に差し掛かる(図8(a)のステップ1の状態)。
図10は本システムに用いられる制御装置の機能構成を示すブロック図である。
透過型光電センサ50の投光部51および受光部52は、図示せぬケーブルを介して制御装置61に接続されている。制御装置61は、汎用のコンピュータ(マイコン)からなる。制御装置61は、エスカレータ10の上部機械室12または下部機械室13などに設置され、透過型光電センサ50に必要な電力を投光部51および受光部52に供給すると共に、透過型光電センサ50のON/OFF信号をセンサ反応時間に近い1ms程度以下の遅れで検知している。
ここで、制御装置61には、本システムを実現するための機能として、通過時間測定部61a、状態検出部61bが備えられている。
通過時間測定部61aは、投光部51、受光部52、反射ミラー53で形成された2つの光軸54,55の間を踏段11の車輪27が通過した時間を測定する。状態検出部61bは、通過時間測定部61aによって測定された通過時間、踏段11の走行速度、2つの光軸54,55の位置関係に基づいて、車輪27の案内レール31の幅方向の変位(以後、水平変位と称す)つまり走行中の偏り状態を検出する。詳しくは、後に図11および図12を参照して説明する。
制御装置61は、状態検出部61bによって検出された踏段11の水平変位が予め設定された危険ラインを超えた場合にその旨を警告し、エスカレータ10の運転を止めるなどの処理を行う。警告方法としては、例えばエスカレータ10の設置された図示せぬ警告ランプを点灯する方法や、ブザー音を鳴らす、あるいは、図示せぬ通信ネットワークを介してビルの監視室やメンテナンスの監視センタなどに発報する方法などがある。
また、制御装置61には、記憶装置62および表示装置63が接続される。記憶装置62は、状態検出部61bによって検出された車輪27の水平変位を複数周回に渡って連続的に記憶する。表示装置63は、例えば車輪27の水平変位を所定の形式で表示したり、エスカレータ10に何らかの異常が検出された場合にその旨のメッセージなどを表示する。
図11は本システムにおける踏段11の車輪27の水平変位とセンサ信号との関係を示す図である。なお、ここでは投光部51を左側、受光部52を右側に示す。
踏段11の車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55を遮断するときに、透過型光電センサ50の信号がON/OFFする。なお、光電センサには、光軸が遮断されたときに信号がOFFするタイプとONするタイプがある。ここでは、光軸が遮断されたときに信号がONするタイプで説明する。ただし、このタイプに限定されるものではない。
踏段11の車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55の間を図中の「1」,「2」,「3」,「4」の順で走行していくものとする。まず、踏段11の車輪27が「1」の位置で第1の光軸54に進入する。このとき、第1の光軸54が車輪27で遮られて、第2の光軸55が受光部52に入らないため、センサ信号がONからOFFに切り替わる。車輪27が「2」の位置に来ると、第1の光軸54を抜けるために、第2の光軸55が受光部52に入り、センサ信号がOFFする。
続いて、車輪27が「3」の位置まで進行すると、今度は第2の光軸55が遮られるため、センサ信号がONする。そして、車輪27が「4」の位置まで来ると、第2の光軸55から車輪27が抜けるため、センサ信号がOFFする。このように、車輪27が2つの光軸54,55を遮断するタイミングでセンサ信号が2回ONすることがわかる。
ここで、車輪27の水平変位量に応じて2つの光軸54,55の遮断タイミングが異なり、センサ信号がONする間隔も変わってくる。図中のS1は車輪27の水平変位量がY1の場合(案内レール31の中心からミラー側に偏って走行している状態)のセンサ信号の波形を示している。S2は車輪27の水平変位量がY2の場合(案内レール31の中心からセンサ側に偏って走行している状態)のセンサ信号の波形を示している。
センサ信号S1とセンサ信号S2を比較すると、センサ信号がONする間隔(車輪27が第1の光軸54を遮断してから第2の光軸55を遮断するまでの時間)が異なることが分かる(T1<T2)。したがって、車輪27が2つの光軸54,55の間を通過する時間を測定すれば、図12に示すように車輪27の偏り状態つまり水平変位Yを幾何学的に求めることができる。
図12は車輪27の水平変位Yの算出方法を示す図である。
投光部51と受光部52の設置点を結ぶ線を底辺とした三角形を想定する。この三角形の底辺に当たるD1[mm]と、高さに当たるD2[mm]は固定である。D1は投光部51と受光部52のレール長手方向の間隔、D2は投光部51(あるいは受光部52)と反射ミラー53のレール幅方向の間隔である。
ここで、踏段11の走行速度をV[mm/s]とする。車輪27が第1の光軸54を遮断した時間(センサ信号が1回目にONした時間)をt1[s]、車輪27が第2の光軸55を遮断した時間(センサ信号が2回目にONした時間)をt2[s]とする。
車輪27の移動距離をX[mm]とすると、車輪27の水平変位Yは、(1)式で表される。
Y=X×(D2/D1)
=(t2−t1)×V×(D2/D1) ・・・(1)
上記(1)式では、反射ミラー53から車輪27までの水平方向の距離が水平変位Yとして算出される。なお、投光部51(あるいは受光部52)から車輪27までの水平方向の距離を水平変位Yとして算出するようにしても良い。
=(t2−t1)×V×(D2/D1) ・・・(1)
上記(1)式では、反射ミラー53から車輪27までの水平方向の距離が水平変位Yとして算出される。なお、投光部51(あるいは受光部52)から車輪27までの水平方向の距離を水平変位Yとして算出するようにしても良い。
図13はエスカレータ10の運転時間と車輪27の変位変化との関係を示す図である。
図中のY0は変位の基準値である。車輪27が案内レール31の中心位置にいるときの変位量を便宜的にY0と定めている。Ya,YbはY0を基準とした場合の変位の−方向と+方向の最大値である。
図中のaは車輪27が案内レール31の中心位置から水平方向に一方(例えば左端)に徐々にずれていく場合の変位変化(Y0から−方向の変化)を示している。図中のbは車輪27が案内レール31の中心位置から他方(例えば右端)に徐々にずれていく場合の変位変化(Y0から+方向の変化)を示している。
車輪27の劣化により案内レール31の中心位置から左端あるいは右端にずれて走行していると、案内レール31の側面に衝突して脱落する可能性が高くなる。したがって、エスカレータ10の運転中に車輪27の水平変位Yを継続的に監視し、水平変位Yが予め設定された危険ラインTHaあるいはTHbを超えた時点でエスカレータ10の運転を止めて部品交換すれば、車輪27が案内レール31に衝突して脱落することを未然に防ぐことができる。このような車輪27の変位変化に基づく交換時期の推測処理などは、図10に示した制御装置61で実現できる。
また、エスカレータ10の運転中に複数の周回に渡って車輪27の水平変位Yを記憶装置62に連続的に記録しておけば、その水平変位Yの変化から車輪27の幅方向のがたつき状態を検出することができる。
この様子を図14および図15に示す。
何らかの原因で車輪27の取り付けががたついていると、図14に示すように案内レール31の中心位置をまっすぐに走行せずに、車輪27が左右にふらついて走行する。この車輪27の左右にふらつき状態を「がたつき状態」と呼ぶ。この−方向から+方向までの水平変位量をがたつき量Yrとする。
図10に示した制御装置61は、車輪27の水平変位Yを複数周回に渡って記憶装置62に記録しておき、車輪27のがたつき量Yrを求める。このがたつき量Yrが予め設定された許容量を超えた時点でエスカレータ10の運転を止めて部品交換すれば、車輪27の脱落を未然に防ぐことができる。
また、水平変位Yの変化を図15に示すようなグラフ形式で表示装置63に表示することも可能である。これにより、保守員などが表示装置63に表示された水平変位Yの変化から車輪27の状態を把握でき、適切な時期に交換等のメンテナンスを行うことができる。
このように第1の実施形態によれば、車輪27の走行経路上に形成された2つの光軸54,55を用いて車輪27の水平変位を光学的に測定することができ、その測定結果から異常の兆候を判断することができる。したがって、例えば車輪27の水平変位が大きい場合に、案内レール31に衝突して脱落する前に部品交換するなどの対応を早期に行うことができる。
また、本システムは、案内レール31の改良などを必要とせずに、透過型光電センサ(投光部51と受光部52)、反射体(反射ミラー53)、マイコン(制御装置61)といった安価なハードウエア構成で実現できるといった利点がある。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
次に、第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態が反射体を用いて2つの光軸を形成するミラー方式であるのに対し、第2の実施形態は反射体を用いずに2つの光軸を形成するミラーレス方式である。
図16は第2の実施形態におけるミラーレス方式の異常検出システムの構成を示す図である。
エスカレータ10の復路側において、踏段11の左側車輪27aと右側車輪27bが踏段11の両側に設けられた一対の案内レール31a,31bに支持され、左から右方向へ移動しているものとする。上記第1の実施形態との違いは、反射体である反射ミラー53がなく、代わりに2組の透過型光電センサ70a,70bを用いて車輪27a,27bの走行経路上に2つの光軸73a,73bを形成している点である。
第1の透過型光電センサ70aは、投光部71aと受光部72aを別体で備える。同様に、第2の透過型光電センサ70bは、投光部71bと受光部72bを別体で備える。第1の透過型光電センサ70aの投光部71aと投光部71bは、踏段11の走行経路の一方側(案内レール31bの外側)に所定の距離(Db)を空けて互いに外側に向けて設置されている。第2の透過型光電センサ70bの受光部72aと受光部72bは、踏段11の走行経路の他方側(案内レール31aの外側)に所定の距離(Da)を空けて互いに内側向けて設置されている。
ここで、DaとDbは同じではなく、図16の例ではDa>Dbであり、第1の光軸73aと第2の光軸73bは平行ではなく、車輪27a,27bの走行方向を2箇所で遮るように角度βを持って配置されている。
このような光軸配置により、踏段11が2つの光軸73a,73bの間を走行したときに、踏段11の左右両側に設けられた車輪27aと車輪27bのうち、まず、車輪27aが第1の光軸73aを遮断して第1の透過型光電センサ70aの信号SaをONし、続いて車輪27bが第1の光軸73aを遮断して第1の透過型光電センサ70aの信号SaをONする。次に、車輪27bが第2の光軸73bを遮断して第2の透過型光電センサ70bの信号SbをONし、続いて車輪27aが第2の光軸73bを遮断して第2の透過型光電センサ70bの信号SbをONする。
このように、踏段11の走行中に2つの光軸73a,73bを通過するタイミングが左右の車輪27a,27bで異なる。したがって、上記タイミングの違いを考慮して車輪27a,27bの水平変位Ya,Ybを求める必要がある。
図17は本システムによる車輪27a,27bの水平変位Ya,Ybの算出方法を説明するための図である。
第1の透過型光電センサ70aの投光部71aと受光部72aの設置点と、第2の透過型光電センサ70bの投光部71bと受光部72bの設置点を結ぶ台形を想定する。
この台形の上辺に当たるDb[mm]と下辺に当たるDa[mm]、高さに当たるDc[mm]は固定である。Dbは投光部71aと投光部71bのレール長手方向の間隔、Daは受光部72aと受光部72bのレール長手方向の間隔である。Dcは投光部71aと受光部72a(あるいは投光部71bと受光部72b)のレール幅方向の間隔である。
ここで、踏段11の走行速度をV[mm/s]とする。車輪27aが第1の光軸73aを遮断した時間(センサ信号Saが1回目にONした時間)をt1[s]、車輪27bが第1の光軸73aを遮断した時間(センサ信号Saが2回目にONした時間)をt2[s]とする。車輪27bが第2の光軸73bを遮断した時間(センサ信号Sbが1回目にONした時間)をt3[s]、車輪27aが第2の光軸73bを遮断した時間(センサ信号Sbが2回目にONした時間)をt4[s]とする。
車輪27aの移動距離をXa[mm]とすると、車輪27aの水平変位Yaは、(2)式で表される。
Ya=Xa×(Dc/Da)
=(t4−t1)×V×(Dc/Da) ・・・(2)
上記(2)式では、受光部72a(または受光部72b)から車輪27aまでの水平方向の距離が水平変位Yaとして算出される。
=(t4−t1)×V×(Dc/Da) ・・・(2)
上記(2)式では、受光部72a(または受光部72b)から車輪27aまでの水平方向の距離が水平変位Yaとして算出される。
また、車輪27bの移動距離をXb[mm]とすると、車輪27bの水平変位Ybは、(3)式で表される。
Yb=Xb×(Dc/Db)
=(t3−t2)×V×(Dc/Db) ・・・(3)
上記(3)式では、投光部71a(または投光部71b)から車輪27bまでの水平方向の距離が水平変位Ybとして算出される。
=(t3−t2)×V×(Dc/Db) ・・・(3)
上記(3)式では、投光部71a(または投光部71b)から車輪27bまでの水平方向の距離が水平変位Ybとして算出される。
なお、図16の例では、Da>Dbとして、2組の透過型光電センサ70a,70bを踏段11の両側に配置したが、図18に示すように、Da<Dbとして、2組の透過型光電センサ70a,70bを踏段11の両側に配置することでも良い。この場合、第1の光軸73aと第2の光軸73bは車輪27a,27bの走行経路に対して角度γを持って案内レール31a,31bを横切る。要は、2つの光軸73a,73bが互いに並行ではなく、かつ、車輪27a,27bの走行経路を2箇所で遮るように配置されていれば良い。
これらの透過型光電センサ70a,70bは、それぞれに図示せぬケーブを介して図10に示した制御装置61に接続される。制御装置61は、透過型光電センサ70a,70bのON/OFF信号に基づいて車輪27a,27bの通過を検出し、上記(2),(3)式により車輪27aの水平変位Yaと車輪27bの水平変位Ybをそれぞれ求める。
このように第2の実施形態によれば、ミラーレス方式で2つの光軸73a,73bを形成する構成とした場合でも、車輪27a,27bの水平変位を光学的に測定することができ、その測定結果から車輪27a,27bの異常の兆候を判断して事前に対処することができる。
また、第2の実施形態では、上記第1の実施形態のような反射体(反射ミラー53)を用いないので、光軸調整が容易であり、反射体の汚れで精度が落ちることもない。さらに、2つの光軸73a,73bを用いて踏段11の左右両側の車輪27a,27bの変位を同時に測定できるといった利点もある。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、ミラーレス方式の異常検出システムにおいて、2つの光軸を交差させる構成である。
図19は第3の実施形態におけるミラーレス方式の異常検出システムの構成を示す図である。なお、上記第2の実施形態と同じ部分には同一符号を付して説明する。
2組の透過型光電センサ70a,70bを用いて踏段11の左側車輪27aと右側車輪27bの通過を2箇所で検出する構成にある。上記第2の実施形態との違いは、第1の透過型光電センサ70aの光軸73aと第2の透過型光電センサ70bの光軸73bが交差している点である。
すなわち、投光部71aと投光部71bは、車輪27bの走行経路の一方側(案内レール31bの外側)に所定の距離(Db)を空けて互いに内側に向けて設置されている。受光部72aと受光部72bは、車輪27aの走行経路の他方側(案内レール31aの外側)に所定の距離(Da)を空けて互いに内側に向けて設置されている。ただし、受光部72aと受光部72bは、第1の光軸73aと第2の光軸73bをクロスさせるために投光部71aと投光部71bとは逆に配置されている。
ここで、Da=Dbであり、第1の光軸73aと第2の光軸73bは車輪27の走行方向に対して角度θを持って互いに交差する。
このような光軸配置により、踏段11が2つの光軸73a,73bの間を走行したときに、光軸73a,73bがほぼ同時に遮断される。すなわち、図19の例では、まず、車輪27bが第1の光軸73aを遮断して第1の透過型光電センサ70aの信号SaをONし、車輪27aが第2の光軸73bを遮断して第2の透過型光電センサ70bの信号SbをONする。次に、車輪27bが第1の光軸73aを遮断して第1の透過型光電センサ70aの信号SaをONし、車輪27bが第2の光軸73bを遮断して第2の透過型光電センサ70bの信号SbをONする。
ここで、車輪27aの通過時間は、センサ信号Saが1回目にONした時間t1とセンサ信号Sbが2回目にONした時間t3から算出できる(t3−t1)。車輪27bの通過時間は、センサ信号Sbが1回目にONした時間t2とセンサ信号Saが2回目にONした時間t4から算出できる(t4−t2)。
図20は本システムによる車輪27a,27bの水平変位Ya,Ybの算出方法を説明するための図である。
第1の透過型光電センサ70aの投光部71aと受光部72aの設置点と、第2の透過型光電センサ70bの投光部71bと受光部72bの設置点を結ぶ四角形を想定する。
この四角形の上辺に当たるDb[mm]と下辺に当たるDa[mm]、高さに当たるDc[mm]は固定である。Dbは投光部71aと投光部71bのレール長手方向の間隔、Daは受光部72aと受光部72bのレール長手方向の間隔である。Dcは投光部71aと受光部72a(あるいは投光部71bと受光部72b)のレール幅方向の間隔である。
ここで、踏段11の走行速度をV[mm/s]とする。車輪27bが第1の光軸73aを遮断した時間(センサ信号Saが1回目にONした時間)をt1[s]、車輪27aが第2の光軸73bを遮断した時間(センサ信号Sbが1回目にONした時間)をt2[s]とする。車輪27bが第2の光軸73bを遮断した時間(センサ信号Sbが2回目にONした時間)をt3[s]、車輪27aが第1の光軸73aを遮断した時間(センサ信号Saが2回目にONした時間)をt4[s]とする。
車輪27aの移動距離をXa[mm]とすると、車輪27aの水平変位Yaは、(4)式で表される。
Ya=Xa×(Dc/Da)
=(t4−t2)×V×(Dc/Da) ・・・(4)
上記(4)式では、受光部72a(または受光部72b)から車輪27aまでの水平方向の距離が水平変位Yaとして算出される。
=(t4−t2)×V×(Dc/Da) ・・・(4)
上記(4)式では、受光部72a(または受光部72b)から車輪27aまでの水平方向の距離が水平変位Yaとして算出される。
また、車輪27bの移動距離をXb[mm]とすると、車輪27bの水平変位Ybは、(5)式で表される。
Yb=Xb×(Dc/Db)
=(t3−t1)×V×(Dc/Db) ・・・(5)
上記(5)式では、投光部71a(または投光部71b)から車輪27bまでの水平方向の距離が水平変位Ybとして算出される。
=(t3−t1)×V×(Dc/Db) ・・・(5)
上記(5)式では、投光部71a(または投光部71b)から車輪27bまでの水平方向の距離が水平変位Ybとして算出される。
なお、図19の例では、Da=Dbとしたが、Da<DbあるいはDa>Dbとして、2組の透過型光電センサ70a,70bを踏段11の両側に配置して、第1の光軸73aと第2の光軸73bを交差させても良い。
これらの透過型光電センサ70a,70bは、それぞれに図示せぬケーブを介して図10に示した制御装置61に接続される。制御装置61は、透過型光電センサ70a,70bのON/OFF信号に基づいて車輪27a,27bの通過を検出し、上記(4),(5)式により車輪27aの水平変位Yaと車輪27bの水平変位Ybをそれぞれ求める。
このように第3の実施形態によれば、ミラーレス方式において、2つの光軸73a,73bを交差させる構成とした場合でも、踏段11の車輪27a,27bの水平変位を測定することができ、その測定結果から車輪27の異常の兆候を判断して事前に対処することができる。
また、第3の実施形態では、2つの光軸73a,73bを交差させるので、センサ間の距離(Da,Db)を大きく必要としない。したがって、エスカレータ10の任意の箇所に設置できるといった利点がある。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
次に、第4の実施形態について説明する。
上記第1乃至第3の実施形態では、車輪の偏り状態(水平変位)を検出したが、第4の実施形態では、車輪の回転軸の傾き状態を検出する。
以下では、上記第1の実施形態におけるミラー方式を例にして説明するが、上記第2及び第3の実施形態におけるミラーレス方式でも同様である。
図21および図22は第4の実施形態における車輪27の回転軸の傾き検出方法を説明するための図である。
車輪27の走行経路の一方側に透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が設けられ、他方側に反射ミラー53が設けられており、2つの光軸54,55の間を踏段11の車輪27が通過する。図11で説明したように、踏段11の車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55の間を通過するときに、透過型光電センサ50の信号がON/OFFし、車輪27の水平変位量に応じてONするタイミングが変化する。
ここで、上記第1の実施形態では、車輪27が第1の光軸54に入ってから第2の光軸55を抜けるまでの通過時間を測定していた。第4の実施形態では、車輪27が第1の光軸54に入ってから抜けるまでの時間(以後、第1の遮断時間と称す)と、車輪27が第2の光軸55に入ってから抜けるまでの時間(以後、第2の遮断時間と称す)を測定する。
図21は、車輪27の回転軸が上から見て反時計方向に傾いている場合のセンサ信号の一例を示したものである。図22は、車輪27の回転軸が上から見て時計方向に傾いている場合のセンサ信号の一例を示したものである。
第1の光軸54に対する第1の遮断時間をT3、第2の光軸55に対する第2の遮断時間をT4とすると、車輪27の回転軸が正常な状態にある場合、T3とT4は同じになる。一方、車輪27の回転軸が傾いた状態にあると、車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55に接している時間が違うため、T3とT4は同じならない。図21の例ではT3<T4であり、図22の例ではT3>T4である。したがって、T3とT4を比較することで、車輪27の回転軸がどちらに傾いているのかがわかる。
図23は本システムに用いられる制御装置の機能構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図10の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
透過型光電センサ50の投光部51および受光部52は、図示せぬケーブルを介して制御装置61に接続されている。制御装置61は、汎用のコンピュータ(マイコン)からなる。この制御装置61には、本システムを実現するための機能として、通過時間測定部61a、状態検出部61bに加え、遮断時間測定部61cが備えられている。
遮断時間測定部61cは、踏段11の車輪27が2つの光軸54,55の一方の光軸に進入してから抜けるまでの第1の遮断時間T3と他方の光軸に進入してから抜けるまでの第2の遮断時間T4を測定する。状態検出部61bは、この遮断時間測定部61cによって測定された第1の遮断時間T3と第2の遮断時間T4との差から車輪27の回転軸の傾き状態を検出する。詳しくは、状態検出部61bは、T3<T4であれば、車輪27の回転軸が反時計方向に傾いていると判断し、T3>T4であれば、車輪27の回転軸が時計方向に傾いていると判断する。なお、T3とT4の差から傾き量を算出することも可能である。
このように第4の実施形態によれば、ミラー方式の異常検出システムにおいて、踏段11の車輪27が2つの光軸54,55を遮断する時間から車輪27の回転軸の傾き状態を検出することができる。したがって、車輪27の回転軸が正常でない場合には、エスカレータ10の運転を止めて部品交換すれば、脱落等を未然に防ぐことができる。
なお、上記第2および第3の実施形態で説明したミラーレス方式の異常検出システムにおいても、2つの光軸73a,73bを遮断する時間を計測すれば、その測定結果から車輪27a,27bの回転軸の傾き状態を上記同様にして検出することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
次に、第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態では、上記第1の実施形態で説明したミラー方式の異常検出システムにおいて、透過型光電センサの投光部と受光部との間隔を広げたものである。
図24は第5の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図である。
車輪27の走行経路の一方側に透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が設けられ、他方側に反射ミラー53が設けられており、2つの光軸54,55の間を踏段11の車輪27が通過する。図11で説明したように、踏段11の車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55の間を通過するときに、透過型光電センサ50の信号がON/OFFし、車輪27の水平変位量に応じてONするタイミングが変化する。
ここで、第4の実施形態では、投光部51と受光部52の間隔D1'を上記第1の実施形態よりも広げている(D1'>D1)。また、第1の光軸54と第2の光軸55とがなす角度θ'についても、上記第1の実施形態よりも広げている(θ'>θ)。
このような構成において、車輪27の水平変位を求めると、下記のようになる。
踏段11の走行速度をV[mm/s]とする。車輪27が第1の光軸54を遮断した時間(センサ信号が1回目にONした時間)をt11[s]、車輪27が第2の光軸55を遮断した時間(センサ信号が2回目にONした時間)をt12[s]とする。
投光部51と受光部52の間隔をD1'とすると、車輪27の水平変位Y'は、(6)式で表される。
Y'=(t12−t11)×V×(D2/D1') ・・・(6)
ここで、投光部51と受光部52の間隔を上記第1の実施形態の2倍に広げたとすると(D1'=2D1)、水平変位Y'は下記のようになる。
ここで、投光部51と受光部52の間隔を上記第1の実施形態の2倍に広げたとすると(D1'=2D1)、水平変位Y'は下記のようになる。
Y'=(t12−t11)×V×(D2/2D1) ・・・(7)
同じ車輪27であれば、上記第1の実施形態における(1)式で求められる水平変位Yと上記(7)式で求められる水平変位Y'は同じである。したがって、(t12−t11)=2(t1−t2)となり、同じ水平変位量に対して、車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55を通過する時間が2倍に延びたことが分かる。
同じ車輪27であれば、上記第1の実施形態における(1)式で求められる水平変位Yと上記(7)式で求められる水平変位Y'は同じである。したがって、(t12−t11)=2(t1−t2)となり、同じ水平変位量に対して、車輪27が第1の光軸54と第2の光軸55を通過する時間が2倍に延びたことが分かる。
一方、図10に示した制御装置61がt1、t2を検出する精度は、信号のサンプリング周期で決まる。このサンプリング周期が早い程、誤差が少なくなり、測定精度が向上する。本実施形態では、同じ車輪27の水平変位Yに対して、時間差(t1−t2)が2倍で検出されるため、サンプリング周期を1/2に早めた場合と同じ効果が得られ、測定精度が向上する。
このように、センサ範囲(投光部51と受光部52の間隔)を広げることで、水平変位の測定精度を上げることができる。しかし、第1の光軸54と第2の光軸55とのセンサ範囲に2つ以上の車輪27が入り込むため、車輪27の順番とセンサ信号がONするタイミングとを関連付けて通過時間を計算しなければならない。
この様子を図25および図26を用いて説明する。
図25はセンサ範囲が狭い場合の信号パターンを示す図である。投光部51と受光部52との間隔はD1である。
各車輪27の番号をL1,L2,L3とする。各車輪27がL1→L2→L3の順で第1の光軸54と第2の光軸55の間を走行した場合、センサ信号はL1→L1→L2→L2→L3→L3の順でONする。このときの時間をt1〜t6とすると、各車輪27の光軸通過時間LT1,LT2,LT3は、下記のように求められる。
LT1=t2−t1
LT2=t4−t3
LT3=t6−t5
図26はセンサ範囲が広い場合の信号パターンを示す図である。投光部51と受光部52との間隔はD1'(例えばD1'=2D1)である。
LT2=t4−t3
LT3=t6−t5
図26はセンサ範囲が広い場合の信号パターンを示す図である。投光部51と受光部52との間隔はD1'(例えばD1'=2D1)である。
各車輪27の番号をL1,L2,L3とする。各車輪27がL1→L2→L3の順に第1の光軸54と第2の光軸55の間を走行した場合、センサ信号はL1→L2→L1→L3→L2→L3の順でONする。このときの時間をt1〜t6とすると、車輪L1,L2,L3の光軸通過時間LT1,LT2,LT3は、下記のように求められる。
LT1=t3−t1
LT2=t5−t2
LT3=t6−t4
なお、センサ範囲を広げた場合に、センサ範囲内に入る車輪27を1つおきに間引いてセンサ信号を取り込むようにしても良い。つまり、図26の例では、L2の車輪を間引き、L1の車輪とL3の車輪に対応したセンサ信号を取り込むようにすれば、光軸通過時間の算出が簡単化する。
LT2=t5−t2
LT3=t6−t4
なお、センサ範囲を広げた場合に、センサ範囲内に入る車輪27を1つおきに間引いてセンサ信号を取り込むようにしても良い。つまり、図26の例では、L2の車輪を間引き、L1の車輪とL3の車輪に対応したセンサ信号を取り込むようにすれば、光軸通過時間の算出が簡単化する。
このように第5の実施形態によれば、ミラー方式の異常検出システムにおいて、透過型光電センサ50の投光部51と受光部52との間隔を広げることで、水平変位の測定精度を上げることができる。これにより、踏段11の車輪27の状態をより正確に検出して、何らかの異常が発生している場合に迅速に対処できる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
次に、第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態では、上記第2および第3の実施形態で説明したミラーレス方式の異常検出システムにおいて、2組の透過型光電センサの送光部と受光部との間隔を広げたものである。
図27は第6の実施形態におけるミラーレス方式の異常検出システムの構成を示す図である。なお、ここでは、上記第3の実施形態の構成(図19参照)を例にして説明するが、上記第2の実施形態の構成(図16参照)でも同様である。
2組の透過型光電センサ70a,70bを用いて踏段11の左側車輪27aと右側車輪27bの通過を2箇所で検出する構成において、第1の透過型光電センサ70aの光軸73aと第2の透過型光電センサ70bの光軸73bが交差している。
ここで、第6の実施形態では、第1の透過型光電センサ70aの送光部71aと受光部72aの間隔Db'と第2の透過型光電センサ70bの送光部71bと受光部72bの間隔Da'を上記第3の実施形態よりも広げている(Db'>Db,Da'>Da)。これにより、上記第5の実施形態と同様の理由で水平変位の測定精度を上げることができる。
ただし、この場合も第1の光軸73aと第2の光軸73bとのセンサ範囲内に2つ以上の車輪27が入り込むため、車輪27の順番と2つのセンサ信号がONするタイミングとを関連付けて通過時間を計算しなければならない。
この様子を図28および図29を用いて説明する。
図28および図29はセンサ範囲を広げた場合の車輪の動きと2つの光軸との関係を時系列で示す図である。図28(a)は時間t1の状態、同図(b)は時間t2の状態、同図(c)は時間t3の状態を示している。続いて、図29(a)は時間t4の状態、同図(b)は時間t5の状態、同図(c)は時間t6の状態を示している。
各踏段11の左側車輪27aと右側車輪27bの番号を「L1・R1」,「L2・R2」,「L3・R3」とする。また、第1の透過型光電センサ70aの光軸73aのことを光軸1、第2の透過型光電センサ70bの光軸73bのことを光軸2とする。各踏段11の左側車輪27aと右側車輪27bが「L1・R1」→「L2・R2」→「L3・R3」の状態で光軸1と光軸2の間を走行した場合、2つのセンサ信号は、下記のような順でONする。
t1:光軸1をL1が遮断、光軸2をR1が遮断
t2:光軸1をL2が遮断、光軸2をR2が遮断
t3:光軸1をR1が遮断、光軸2をL1が遮断
t4:光軸1をL3が遮断、光軸2をR3が遮断
t5:光軸1をR2が遮断、光軸2をL2が遮断
t6:光軸1をR3が遮断、光軸2をL3が遮断
ここで、左側車輪L1,L2,L3の光軸通過時間LT1,LT2,LT3は、下記のように求められる。
t2:光軸1をL2が遮断、光軸2をR2が遮断
t3:光軸1をR1が遮断、光軸2をL1が遮断
t4:光軸1をL3が遮断、光軸2をR3が遮断
t5:光軸1をR2が遮断、光軸2をL2が遮断
t6:光軸1をR3が遮断、光軸2をL3が遮断
ここで、左側車輪L1,L2,L3の光軸通過時間LT1,LT2,LT3は、下記のように求められる。
LT1=t3−t1
LT2=t5−t2
LT3=t6−t4
右側車輪R1,R2,R3の光軸通過時間についても同様である。ただし、実際には左側車輪L1,L2,L3と右側車輪R1,R2,R3が光軸1と光軸2を遮断する時間は厳密には同じではなく、多少の時間差があるので、その時間差を考慮して光軸通過時間を個別に計測する必要がある。
LT2=t5−t2
LT3=t6−t4
右側車輪R1,R2,R3の光軸通過時間についても同様である。ただし、実際には左側車輪L1,L2,L3と右側車輪R1,R2,R3が光軸1と光軸2を遮断する時間は厳密には同じではなく、多少の時間差があるので、その時間差を考慮して光軸通過時間を個別に計測する必要がある。
なお、センサ範囲を広げた場合に、センサ範囲内に入る車輪27a,27bを1つおきに間引いてセンサ信号を取り込むようにしても良い。つまり、図27の例では、「L2・R2」の車輪を間引き、「L1・R1」の車輪と「L3・R3」の車輪に対応したセンサ信号を取り込むようにすれば、光軸通過時間の算出が簡単化する。
このように第6の実施形態によれば、ミラーレス方式の異常検出システムにおいて、センサ範囲を広げることで、水平変位の測定精度を上げることができる。これにより、踏段11の車輪27a,27bの状態をより正確に検出して、何らかの異常が発生している場合に迅速に対処できる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
次に、第7の実施形態について説明する。
第7の実施形態では、2組の反射型光電センサを用いたミラー方式の異常検出システムであり、踏段の車輪を反射体にして2つの光軸を形成するものである。
図30は第7の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図である。
車輪27の走行経路の一方側、具体的には案内レール31の外側に2組の反射型光電センサ80a,80bが踏段11の走行方向に沿って所定の間隔を空けて設置されている。
第1の反射型光電センサ80aは、投光部81aと受光部82aが一体化されており、車輪27の側面を反射体として、投光部81aから車輪27に向けて投光した光を受光する。第2の反射型光電センサ80bについても同様であり、投光部81bと受光部82bが一体化されており、車輪27の側面を反射体として、投光部81bから車輪27に向けて投光した光を受光する。なお、車輪27の側面には光を反射しやすい素材あるいは色が使われているものとする。
ここで、2つの光軸83a,83bが車輪27の走行方向となす角度は、上記第1実施形態の2つの光軸54,55と同様であり、車輪27の走行方向に対して垂直ではなく、所定の角度を有して斜めに配置されている。
このような構成において、踏段11の車輪27が投光部81aの光軸83aを通過する際に、車輪27で遮られるのではなく、車輪27に反射されて受光部82bに入る。同様に、踏段11の車輪27が投光部81bの光軸83bを通過する際に、車輪27で遮られるのではなく、車輪27に反射されて受光部82bに入る。
この場合、第1の反射型光電センサ80aの信号Saは、光軸83aを受光している間ONする。第1の反射型光電センサ80bの信号Sbについても、光軸83bを受光している間ONする。したがって、信号Sa,SbがONするタイミングから車輪27が光軸83a,83bを通過する時間を測定すれば、上記第1の実施形態と同様に車輪27の走行中の偏り状態つまり水平変位Yを幾何学的に求めることができる。
なお、図30の例では、踏段11の一方の車輪27に対する構成しか示していないが、他方の車輪27に対しても2組の反射型光電センサ80a,80bを用いて2つの光軸80a,80bを形成することで、上記同様にして、他方の車輪27の水平変位Yについても幾何学的に求めることができる。
このように第7の実施形態によれば、2組の反射型光電センサ80a,80bを用い、車輪27に光を反射させて踏段11の車輪27の走行経路上に2つの光軸83a,83bを形成することでも、車輪27の水平変位Yを検出することができる。その測定結果から車輪27の状態を検出して、例えば正常に走行していない状態であれば、部品交換するなどの対応を早期に行うことで、脱落等を未然に防ぐことができる。
また、第7の実施形態では、車輪27を反射体として利用するので、上記第1の実施形態のような反射体(反射ミラー53)が不要であり、その分、部品点数を削減できるといった利点がある。
さらには、反射型光電センサは、1つのセンサヘッドに投光部と受光部が一体化されているため、投光部と受光部が別体の透過型光電センサを用いた構成よりも低コストで実現できるという利点がある。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。
次に、第8の実施形態について説明する。
第8の実施形態では、ミラー方式の異常検出システムにおいて、2つの光軸が同一平面上になく、上下方向に異なる角度を持って形成される。
図31は第8の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図であり、エスカレータ10の復路側の構成を部分的に示している。なお、上記第1の実施形態における図4と同じ部分には同一符号を付して説明する。
上記第1の実施形態では、透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が反射ミラー53と同じ高さに設置されていた。これに対し、第8の実施形態では、投光部51と受光部52が設置される高さが異なる。図31の例では、投光部51が反射ミラー53より高い位置に設置され、受光部52が反射ミラー53より低い位置に設置されている。これにより、投光部51から反射ミラー53に向かう第1の光軸54と、反射ミラー53から受光部52に向かう第2の光軸55が上下方向に角度を持って形成される。
このように、第1の光軸54と第2の光軸55に上下方向の角度を与えることで、車輪27の傾き状態を検出することができる。この様子を図32に示す。
図32は本システムによる車輪27の傾きと2つの光軸54,55との関係を説明するための図であり、図32(a)は車輪27の傾きがない状態、同図(b)は車輪27の傾きがある状態を示している。
図32(a)に示すように、踏段11の走行中に車輪27が2つの光軸54,55を遮断している時間をT5,T6とする。この場合、車輪27の側面上部を横切る第1の光軸54の遮断時間T5の方が短く、T5<T6である。
ここで、図32(b)に示すように、車輪27のベアリングの異常などにより車輪27が水平方向(レール幅方向)に右側または左側に傾いた状態にあると、そのときの傾き状態に応じて遮断時間T5が変化する。この例では、車輪27が走行方向に向かって右側に傾くと、第1の光軸54の遮断時間T5が正常状態での遮断時間よりも短くなる。逆に、車輪27が左側に傾いた場合には、第1の光軸54の遮断時間T5が正常状態での遮断時間よりも長くなる。
なお、受光部52が投光部51よりも高い位置に設置した場合には、第2の光軸55がの側面上部を横切るので、車輪27の傾き状態に応じて第2の光軸55の遮断時間T6が変化する。
このように、第1の光軸54の遮断時間T5または第2の光軸55の遮断時間T6を測定すれば、車輪27の水平方向の傾き状態を検出することができる。具体的には、図4に示した制御装置61の遮断時間測定部61cにおいて、車輪27が第1の光軸54に進入してから抜けるまでの遮断時間T5または第2の光軸55に進入してから抜けるまでの遮断時間T6を測定する。状態検出部61bは、この測定結果に基づいて、遮断時間T5または遮断時間T6が予め設定された時間(傾きのない状態での遮断時間)と異なる場合に車輪27の水平方向に傾いた状態にあると判断する。
このように第8の実施形態によれば、ミラー方式の異常検出システムにおいて、2つの光軸54,55を上下方向に異なる角度を持って配置した状態で車輪27が光軸54または光軸55を遮断する時間を計測することで、車輪27の水平方向の傾き状態を検出することができる。
なお、上記第2および第3の実施形態で説明したミラーレス方式の異常検出システムにおいても、2つの光軸73a,73bを上下方向に異なる角度を持って配置する構成とすれば、車輪27a,27bの水平方向の傾き状態を上記同様にして検出することができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について説明する。
次に、第9の実施形態について説明する。
第9の実施形態では、ミラー方式の異常検出システムにおいて、透過型光電センサの投光部と受光部が反射体に対して水平ではなく、斜め下に向けて設置されている。
図33は第9の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図であり、エスカレータ10の復路側の構成を部分的に示している。なお、上記第1の実施形態における図4と同じ部分には同一符号を付して説明する。
上記第1の実施形態では、透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が反射ミラー53と同じ高さに設置されていた。これに対し、第8の実施形態では、投光部51と受光部52が反射ミラー53よりも高い位置にあり、斜め下方向に傾けて設置されている。この投光部51と受光部52の向きに合わせて、反射ミラー53が斜め上方向に向けて傾けて設置されている。これにより、第1の光軸54は上から下に向けて形成され、第2の光軸55は下から上に向けて形成される。この2つの光軸54,55を用いて車輪27の水平変位Yを求める方法は上記第1の実施形態と同様であるため、その説明については省略する。
ここで、エスカレータ10内は油や埃などが多く、投光部51と受光部52が汚れやすい。投光部51と受光部52が汚れていると、2つの光軸54,55を用いた水平変位の検出精度に影響が出る。本実施形態の場合、投光部51と受光部52が斜め下に向けられているので、センサヘッドに油や埃などが付きにくい。
このように第9の実施形態によれば、投光部51と受光部52を斜め下に向けて設置することで、特に汚れ防止用の部品を必要とせずに、油や埃の付着を防いで、車輪27の水平変位Yを正しく求めることができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態について説明する。
次に、第10の実施形態について説明する。
第10の実施形態では、ミラー方式の異常検出システムにおいて、上記第9の実施形態の構成に加え、反射体側にも汚れ対策を講じたものである。
図34は第10の実施形態におけるミラー方式の異常検出システムの構成を示す図であり、エスカレータ10の復路側の構成を部分的に示している。なお、上記第1の実施形態における図4と同じ部分には同一符号を付して説明する。
透過型光電センサ50の投光部51と受光部52が斜め下方向に傾けて設置されている。第10の実施形態では、投光部51から投光される光を反射させる反射体としてプリズムミラー84が用いられている。このプリズムミラー84内の光軸反射面84aは斜め上を向いており、第1の光軸54と同じ角度で第2の光軸55を形成できる。一方、このプリズムミラー84のガラス面84bは下向きの角度を持ち、油や埃などが付きにくい構造になっている。
このように第10の実施形態によれば、投光部51と受光部52を斜め下に向けて設置することに加え、反射体としてプリズムミラー84を用いていることで、反射体側の油や埃の付着も防いで、車輪27の水平変位Yを正しく求めることができる。
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態について説明する。
次に、第11の実施形態について説明する。
第11の実施形態は、ミラー方式の異常検出システムで用いられる光軸形成部品(投光部、受光部、反射体)を一体で支持するユニットに関する。
図35は第11の実施形態におけるユニットの構成を示す図である。なお、上記第1の実施形態における図4と同じ部分には同一符号を付して説明する。
上記第1の実施形態では、図4に示したように、踏段11の車輪27の走行経路の一方側に設置された透過型光電センサ50の投光部51および受光部52と、他方側に設置された反射ミラー53とで2つの光軸54,55を形成している。
本実施形態におけるユニット90は、これらの光軸形成部品を一体で支持する構造を有する。詳しくは、ユニット90は、天板91と、アーム92a〜92cと、取付部93a〜93cとを有し、これらが一体形成されている。天板91は、投光部51と受光部52と反射ミラー53の上部を覆っている。なお、ここではユニット90の構造を見やすくするため、天板91の外枠だけを部分的に示しているが、実際には上部全体を覆うような板状である。
アーム92a〜92cは、投光部51と受光部52と反射ミラー53を支持するための支持部材であり、天板91の3つの角部から下方向に延出されている。アーム92a〜92cの先端部に取付部93a〜93cが形成されており、そこに投光部51と受光部52と反射ミラー53が所定の角度を持って取り付けられる。
このような構成のユニット90を用いれば、光軸形成部品である投光部51と受光部52と反射ミラー53の配置関係を維持した状態で一体で動かせるため、例えば工場出荷時に光軸調整を行っておけば、現場ではエスカレータ10内にユニット90を設置するだけで済むといったメリットがある。
図36にユニット90をエスカレータ10に設置した状態を示す。なお、ユニット90の構造を見やすくするため、天板91の外枠だけを部分的に示している。
案内レール31の外側に投光部51と受光部52、案内レール31の内側に反射ミラー53がくるようにユニット90の向きを合わせて、エスカレータ10のトラス15内にボルト等で固定する。ユニット90の向きを逆にして設置すれば、図5の例のように、案内レール31の内側に投光部51と受光部52、案内レール31の外側に反射ミラー53を配置することも可能である。
なお、2つの光軸54,55を用いて車輪27の水平変位Yを求める方法は上記第1の実施形態と同様であるため、その説明については省略する。
このような構造を有するユニット90を用いて投光部51、受光部52、反射ミラー53をエスカレータ10に設置した場合、上部がユニット90の天板91で覆われるため、雨天時の水滴やチェーン油などが垂れてきた場合に防ぐことができる。また、埃などが付着することを軽減できる効果もある。
このように第11の実施形態によれば、光軸形成部品(投光部、受光部、反射体)を一体で支持するためのユニット90を用いることで、現場での設置が容易になり、作業時間を短縮できる。ユニット90の天板91によって、雨天時の水滴やチェーン油を防止でき、埃などの付着も軽減できる。
なお、上記第2および第3の実施形態で説明したミラーレス方式の異常検出システムでも同様のユニットを用いることができる。例えば、図16の構成であれば、第1の透過型光電センサ70aの投光部71aと受光部72aと、第2の透過型光電センサ70bの投光部71bと受光部72bが光軸形成部品である。これらの光軸形成部品の配置関係を維持した状態で一体で支持するユニットを用いれば良い。この場合も、例えば工場出荷時に光軸調整を行っておけば、現場ではエスカレータ10内に当該ユニットを設置するだけで済む。また、上部を覆う天板を設けておけば、雨天時の水滴やチェーン油を防止すると共に埃などの付着を軽減できる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、運転中に車輪の異常の兆候を判断して、緊急停止が必要な状態になる前に対処することのできる乗客コンベアの異常検出システムを提供することができる。
なお、上記各実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータを例にして説明したが、動く歩道などでも適用可能である。
要するに、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…エスカレータ、11…踏段、12,13…機械室、14…連結チェーン、15…トラス、16,17…スプロケット、18…駆動装置、19…欄干、20…ハンドレール、21…ブラケット、22…踏板、23…ライザ、24…シャフト取付け部、25…踏段連結シャフト、26…車輪(前輪)、27…車輪(後輪)、28…ベアリング、29…ゴムローラ、30,31…案内レール、50…透過型光電センサ、51…投光部、52…受光部、53…反射ミラー、54,55…光軸、61…制御装置、61a…通過時間測定部、61b…状態検出部、61c…遮断時間測定部、62…記憶装置、63…表示装置、70a,70b…透過型光電センサ、71a,71b…投光部、72a,72b…受光部、73a,73b…光軸、80a,80b…反射型光電センサ、81a,81b…投光部、82a,82b…受光部、83a,83b…光軸、84…プリズムミラー、84a…光軸反射面、84b…ガラス面、90…ユニット、91…天板、92a〜92c…アーム、93a〜93c…取付部。
Claims (11)
- 複数の踏段を有し、これらの踏段を支持する車輪がトラス内部に配設された案内レールに沿って走行する乗客コンベアの異常検出システムにおいて、
上記車輪の走行経路上に2つの光軸を形成する光軸形成手段と、
この光軸形成手段によって形成された上記2つの光軸の間を上記車輪が通過した時間を測定する通過時間測定手段と、
この通過時間測定手段によって測定された通過時間、上記踏段の走行速度、上記2つの光軸の位置関係に基づいて、上記車輪の上記案内レールの幅方向の変位を検出する状態検出手段と
を具備したことを特徴とする乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記2つの光軸は互いに並行ではなく、かつ、上記車輪の走行経路を2箇所で遮るように形成されることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。
- 上記光軸形成手段は、
透過型光電センサと反射体とを有し、
上記車輪の走行経路の一方側に上記透過型光電センサの投光部と受光部を所定の間隔を空けて配置し、上記車輪の走行経路の他方側に上記反射体を配置し、
上記車輪の走行経路上に上記透過型光電センサの投光部から上記反射体に向けた第1の光軸と上記反射体から上記透過型光電センサの受光部に向けた第2の光軸を形成することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記光軸形成手段は、
第1および第2の透過型光電センサを有し、
上記車輪の走行経路の一方側に上記第1の透過型光電センサの投光部と上記第2の透過型光電センサの投光部を所定の間隔を空けて配置し、
上記車輪の走行経路の他方側に上記第1の透過型光電センサの受光部と上記第2の透過型光電センサの受光部を所定の間隔を空けて配置し、
上記車輪の走行経路上に上記第1の透過型光電センサの投光部から受光部に向けた第1の光軸と上記第2の透過型光電センサの投光部から受光部に向けた第2の光軸を形成することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記光軸形成手段は、
第1および第2の透過型光電センサを有し、
上記車輪の走行経路の一方側に上記第1の透過型光電センサの投光部と上記第2の透過型光電センサの投光部を所定の間隔を空けて配置し、
上記車輪の走行経路の他方側に上記第1の透過型光電センサの受光部と上記第2の透過型光電センサの受光部を所定の間隔を空けて互いの光軸が交差するように配置し、
上記車輪の走行経路上に上記第1の透過型光電センサの投光部から受光部に向けた第1の光軸と上記第2の透過型光電センサの投光部から受光部に向けた第2の光軸を形成することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記光軸形成手段は、
投光部と受光部が一体化された第1および第2の反射型光電センサを有し、
上記車輪の走行経路の一方側に所定の間隔を空けて上記第1および第2の反射型光電センサを配置し、
上記車輪の走行経路上に上記第1の反射型光電センサの投光部から上記車輪で反射して受光部に入光する第1の光軸と上記第2の反射型光電センサの投光部から上記車輪で反射して受光部に入光する第2の光軸を形成することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記状態検出手段は、
上記車輪の上記案内レールの幅方向の変位を周回毎に連続的に記録し、その記録結果から上記車輪のがたつき状態を検出することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記車輪が上記2つの光軸の一方の光軸に進入してから抜けるまでの第1の遮断時間と他方の光軸に進入してから抜けるまでの第2の遮断時間を測定する遮断時間測定手段をさらに備え、
上記状態検出手段は、
上記遮断時間測定手段によって測定された上記第1の遮断時間と上記第2の遮断時間との差から上記車輪の回転軸の傾き状態を検出することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記2つの光軸を上下方向に異なる角度を持って配置した状態で、上記車輪が上記2つの光軸の一方の光軸に進入してから抜けるまでの第1の遮断時間または他方の光軸に進入してから抜けるまでの第2の遮断時間を測定する遮断時間測定手段をさらに備え、
上記状態検出手段は、
上記遮断時間測定手段によって測定された上記第1の遮断時間または上記第2の遮断時間に基づいて上記車輪の水平方向の傾き状態を検出することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。 - 上記2つの光軸を形成するための光軸形成部品を一体で支持するユニットを備えたことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常検出システム。
- 上記ユニットには、上記光軸形成部品の上部を覆う天板が設けられていることを特徴とする請求項10記載の乗客コンベアの異常検出システム。
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