JP6399977B2 - 消臭性ガラス容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス質消臭剤を利用した消臭性ガラス容器に関するものである。
ガラス容器は各種食品、飲料の容器として広く用いられているほか、気密性を要する物品の容器としても広く用いられている。内容物が臭気を発生するものである場合にも、ガラス容器はキャップを完全にしておけば、内部に臭気を封じ込めることができる。しかし内部の臭気を低減させることはできない。
消臭剤としては、従来から各種の材質のものが提案され、実用化されている。しかしガラス容器自体に消臭効果を持たせることは、これまで行われていないと考えられる。容器を構成するガラス素材と組み合わせるに適する消臭剤としてはゼオライトのような無機系の消臭剤(例えば特許文献1)が考えられる。しかしゼオライトは悪臭成分を化学吸着又は物理吸着して消臭効果を発揮するものである。化学吸着、物理吸着は何れも吸着剤の表面露出量に依存する。このため、消臭効果の持続性は露出量に依存することとなり、露出量によって消臭限界が決定される。従って、化学的吸着反応や物理吸着による消臭効果は持続性に乏しいという問題があった。
また、本出願人は銀を含有するリン酸ガラスからなる水溶性のガラス質消臭剤(特許文献2)を開発している。このガラス質消臭剤は水分と接触すると徐々に銀イオンを放出するため、比較的長期間にわたり消臭効果を発揮できる利点がある。
しかし、一般にこのガラス質消臭剤は粒径がD96=40μm以下の微細な粉体であるから、銀の総含有量も小さく、しかもその効果は表面露出量に依存する。このため、特許文献2のガラス質消臭剤も、銀イオンの放出が進行すると次第に消臭効果が低下することが避けられない。また、銀イオンは抗菌効果があるために菌が生成する悪臭を防ぐ効果があるが、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果はなく、これらの臭気が問題となる場合には適さないという問題があった。
特開平6−343680号公報 特開平5−202227号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた消臭性ガラス容器を提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、容器を構成するガラス壁にガラス質消臭剤を保持させるか、溶かし込み、内容物が発生する臭気を抑制する消臭性ガラス容器であって、このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、銅成分を溶出させることなくガラス中に保持させたまま、銅成分の触媒作用により、容器内の空気中の悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とするものである。
なお、請求項2のように、ガラス質消臭剤をガラス壁の表面に保持させた構造とすることができる。
また請求項3のように、ガラス壁がガラス質消臭剤を部分的に溶かし込んだガラスにより構成された構造とすることができる。また請求項4のように、ガラス壁が、ガラス質消臭剤を溶かしたガラスにより構成された構造とすることができる。
本発明の消臭性ガラス容器は、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤を容器を構成するガラス壁に保持させるか、溶かし込んだものであり、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、容器内外の悪臭成分を分解することができる。具体的には、食品包装用容器として用いれば内部の臭気を軽減することができ、またガラス容器のまま冷蔵庫に収納した場合には、冷蔵庫の内部の臭気をなくすことができる。
溶解性ガラスを用い、銀イオンと悪臭成分との化学反応を利用して消臭する消臭剤は開発されていたのに対し、従来、「触媒作用による消臭効果を示すガラス剤」は知られていなかった。本発明者らは、長年による研究の結果、上記組成のガラス中に含有させた銅成分が触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するという新たな知見を見出した。
本発明では、このように、ガラス中に含まれる銅成分を触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するメカニズムを有するものであるため、化学吸着、物理吸着を利用した従来技術に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。すなわち、従来の化学吸着、物理吸着は何れも吸着剤の表面露出量に依存し、露出量によって消臭限界が決定されるのであるが、本発明では触媒反応を利用するため、露出量が少量であっても大きい消臭総量を得ることができる。このため消臭量のみに着目すればガラス質消臭剤の添加量は少量添加でもよいが、消臭スピードを加えるためには0.1〜15質量%を含有させることが好ましい。
本発明で用いたガラス質消臭剤は、特にメチルメルカプタンに対し、優れたな消臭効果を発揮することができる。すなわちこのガラス質消臭剤は、メチルメルカプタンを触媒的に酸化分解し、二量体のジメチルジスルフィドを生成する。このときラジカルが発生し、酸化分解される。同様に、他のガスに対しても同様の酸化分解が可能である。なお、この点については後記する実施例においても言及する。しかし、消臭可能な悪臭は硫黄系悪臭物質に限られるものではない。具体的には、低級脂肪酸や、体臭(汗、足臭)として知られる酢酸、イソ吉草酸を始め、悪臭防止法で定められるプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸や、中鎖脂肪酸のカプロン酸、エナント酸や、加齢臭として知られるトランス−2−ノネナールも消臭可能である。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)というが、本明細書においては炭素数1個の酢酸、5個の吉草酸も低級脂肪酸として取り扱う。
なお、食品が傷んだ際の臭い成分や、タマネギ、チーズ、キャベツ等の臭い成分は、硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸が主であり、本発明のガラス容器は、これら特定食品向けのガラス容器として特に適している。
第1の実施形態の消臭性ガラス容器を示す模式的な断面図である。 第2の実施形態の消臭性ガラス容器を示す模式的な断面図である。 実施例Dのガラス質消臭剤の基本特性(分解作用)を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1に示されるように、第1の実施形態の消臭性ガラス容器は、ガラス容器を構成するガラス壁1の表面に、ガラス質消臭剤2を保持させた構造を持つ。図1に示したガラス容器は食品包装用の広口壜であるがこれに限定されるものではなく、細口壜であっても、その他の任意の形状・用途のガラス容器とすることができる。ガラス質消臭剤2は、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなる。
第1の実施形態では、粉体状のガラス質消臭剤2をバインダー中に分散させ、ガラス壁1の内側の表面にスプレーして固定した。バインダーとしては有機系、無機系の様々なバインダーを使用できる。このように粉体状のガラス質消臭剤2をガラス壁1の表面に単に付着させてもよいが、容器の耐久性を考慮すると、ガラス質消臭剤2はガラス壁1の表面に塗布したうえで融着させることがより好ましい。このためにはガラス容器の印刷に使用されるインク中にガラス質消臭剤2を含有させ、印刷、焼付する方法を採ることができる。また、図1ではガラス容器の内側表面にのみガラス質消臭剤2を保持させたが、外側表面にも保持させることもできる。保持させるガラス質消臭剤2の量は、ガラス容器の質量の0.1〜15%程度が好ましい。ガラス質消臭剤2が少なすぎると消臭効果が不十分となる。より好ましい含有率は0.1〜10質量%である。本発明において、ガラス質消臭剤2は触媒効果によって消臭機能を発揮するため、消臭量がガラス質消臭剤2の露出量に依存しない。このため長期的には、少量が表面に露出していればよい。
なお、ガラス質消臭剤2をガラス壁1に溶かし込むこともできるが、これについては後述する。次に、本発明で使用したガラス質消臭剤2の組成について説明する。
(アルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラス)
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスは、SiO:46〜70モル%、B+RO(R:アルカリ金属):15〜50モル%、R´O(R´:アルカリ土類金属):0〜10モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。ここで、B:5〜20モル%、RO:10〜30モル%とすることができる。
このガラス質消臭剤2の好ましい組成は、SiO:51〜63モル%、B+RO:21〜39モル%、R´O:2〜7モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜13モル%である。ここで、B:8〜17モル%、RO:13〜22モル%とすることができる。またこのガラス質消臭剤2の最も好ましい組成は、SiO:53〜62モル%、B:10〜17モル%、RO:13〜19モル%、R´O:3〜6モル%、Al:0〜4.5%、CuO:4〜13モル%である。以下に、各ガラス組成について詳細に説明する。
(SiO
SiOは、ガラスの構造骨格を形成する主成分であり、その含有量は46〜70モル%、好ましくは、51〜63モル%、更に好ましくは53〜62モル%とする。46モル%未満の場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となり、またガラスが失透しやすくなり好ましくない。更に、46モル%未満の場合、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。70モル%を超える場合、融点が上昇することにより、ガラスの溶融性が困難となる他、粘度上昇も起こるため好ましくない。
(B
は、ガラスの溶解性、清澄性を向上させる成分であり、特定の組成においてはガラスの構造骨格を形成する成分ともなる。Bは、その含有量によって、ガラスの安定性を大きく左右するものであり、本願発明ではガラスの融剤としての意味合いが大きい。その含有量は、Bの揮発量を勘案して、5〜20モル%、好ましくは8〜17モル%、さらに好ましくは10〜17モル%とする。20モル%を超える場合、Bは溶融過程において揮発しやすく、組成制御が困難となるため好ましくない。
(RO)
O(R=Li、Na、K)は、ガラスの構造骨格におけるSiとOの結合を切断して非架橋酸素を形成し、その結果、ガラスの粘性を低下させ、成形性や溶解性を向上させる成分であり、B同様の融剤である。その含有量は、ROの一種もしくは二種以上を、多成分との含有比も考慮しつつ、合計10〜30モル%、好ましくは13〜22モル%、更に好ましくは13〜19モル%とする。30モル%を超える場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となる。具体的には、ガラス剤と大気中の水分が反応してブルームと称される白化現象が引き起こされる。ブルームが発生することにより、悪臭ガスとの接触面積が減少するため望ましくない。
(B+RO)
前記のように、BとROは、共に、融剤として使用される。BとROの合計含有量が、15〜50モル%、好ましくは21〜39モル%の範囲が、安全に消臭効果を示す領域となる。15モル%未満の場合、ガラスの溶融性が不十分となり、成形の際に失透が発生しやすくなるため好ましくない。50モル%を超えると、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。また、50モル%を超えると、溶融の際に分相を起こしやすく、それに伴いガラス剤の消臭効果が不十分となるため好ましくない。
(R´O)
R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分である。その含有量は、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)の一種もしくは二種以上を、合計0〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、更に好ましくは3〜6モル%とする。10モル%を超えると溶融時の粘性が高くなるとともに、ガラスが失透しやすくなるため好ましくない。なおR´Oは発明の消臭剤において必須成分ではなく、その含有量は0モル%でもよいが、2モル%以上とすることが好ましい。
(Al
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させ、結晶構造安定性に影響を与える成分である。また、Alは、ガラスの分相を抑制しガラス剤の均質性を高める働きをする。粘性を上げること、添加によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える可能性があることから、その含有量は、6モル%以下、好ましくは5.5モル%以下、最も好ましくは4.5モル%以下とする。
(CuO)
CuOは、触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものである。その含有量は、0.01〜23モル%、好ましくは1〜13モル%、さらに好ましくは4〜13モル%とする。23モル%を超えると未溶解物が残留しやすくなる他、急冷の際や加工時に金属銅が析出しやすくなるため好ましくない。金属銅の析出に伴いガラスに変色を生じるため、ガラスの変色が問題となる用途には適さない。また、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。これに対し、CuOをガラス成分として含ませれば被毒が進行し難く、触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
(その他の微量成分)
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO、ZrO、Nb、P、CsO、RbO、TeO、BeO、GeO、Bi、La、Y、WO、MoO、またはFe等も含めることができる。さらに、F、Cl、SO、Sb、SnO、あるいはCe等を清澄剤として添加してもよい。
(アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス)
また本発明ではガラス質消臭剤2として、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスを用いることもできる。このガラスは、SiO:50〜70モル%、RO:10〜33モル%、R´O:0〜15モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。
このガラス質消臭剤2の好ましい組成は、SiO:55〜70モル%、RO:12〜24モル%、R´O:2〜10モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜20モル%である。またこのガラス質消臭剤2の最も好ましい組成は、SiO:55〜65モル%、RO:12〜20モル%、R´O:3〜7モル%、Al:0〜5%、CuO:4〜13モル%である。
アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスは、上記したアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスとは異なりBを含有しないため組成の数値範囲が多少変化しているが、数値限定の理由はアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスと同様である。
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤2は、ガラス容器を構成するガラス壁1の表面に保持され、消臭効果を発揮する。前記したようにこのガラス質消臭剤2はガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有するものである。溶解性ガラスとは異なり、銅成分はガラス中に保持されたままで触媒作用により悪臭成分を分解するため、長期間にわたり消臭効果が維持され、持続性に優れる。また、溶解性ガラスは酸性ガラスであるため酸性悪臭である低級脂肪酸に対する消臭効果はないが、本発明におけるガラス質消臭剤2は、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果を持つ。
なお、ガラス容器を構成するガラス組成は特に限定されるものではなく、一般的なソーダライムガラスのほか、任意の組成のガラスを使用することができる。
なお、上記した実施形態ではガラス質消臭剤2を単独で使用したが、汎用のシリカゲル、ゼオライト、活性炭、粘土鉱物、光触媒(二酸化チタン)等の無機系消臭剤と複合使用することもできる。また特許文献1に記載の銀を含有するリン酸ガラスとともに使用することもできる。このような複合使用により、消臭速度のスピードアップや対象ガス拡大、コストダウン等の効果を狙うことが可能となる。
上記した第1の実施形態では、ガラス質消臭剤2をガラス容器を構成するガラス壁1の表面に付着させて保持させたが、第2の実施形態では、ガラス壁1をガラス質消臭剤を部分的に溶かし込んだガラスにより構成した。このようなガラス容器は、ガラス容器を成形するための溶融ガラス中にガラス質消臭剤2を溶かし込んでおく方法で製造することができる。すなわち、上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスはソーダ石灰ガラスよりも低融点のガラスであるから、業界において周知のカラーフリットと同様に、ガラス成形機に溶融ガラス塊(ゴブ)を供給するガラスフィーダの先端部において、溶融ガラス中に投入する方法で溶かし込むことができる。着色を目的とするカラーフリットの場合には投入後にスターラによって十分に撹拌してガラスを均一に着色するが、この第2の実施形態ではガラス質消臭剤2を投入した後の撹拌をなくすか抑制し、筋を引くように不均一に溶かし込んだ。
このようにガラス質消臭剤2を筋を引くように不均一に溶かし込んだゴブを用いて常法によりガラス容器を成形すると、たとえば図2に示されるような筋状の模様を持つガラス容器が成形できる。ガラス質消臭剤2は銅成分を含有するために鮮やかな青色に発色するので、青い筋の付いたガラス容器が得られる。図2のガラス容器はタンブラーであるが、壜、花瓶、その他の任意の形状とすることができる。
このようにガラス壁1をガラス質消臭剤を溶かし込んだガラスにより構成した場合にも、ガラス質消臭剤2をガラス容器を構成するガラス壁1の表面に付着させて保持させた場合と同様の消臭効果を得ることができる。特にガラス質消臭剤2を筋を引くように不均一に溶かし込んだ場合には、青い筋状の模様を持つガラス容器となるから意匠性があり、室内に配置して装飾効果と消臭効果を同時に発揮させることができる。
上記したようにガラス壁1をガラス質消臭剤2を部分的に溶かし込んだガラスにより構成するほか、ガラス壁1をガラス質消臭剤2のみを溶かしたガラスにより構成することもできる。この場合には、ガラス容器全体が青色に着色されたガラスとなる。ガラス溶融窯内の全体を前記組成とすれば、カラーフィーダを用いる必要もない。
以下に本発明の実施例を示す。
表1に示す組成となるようにガラス原料を調合し、びんガラスなどの汎用ガラス組成と同様の常法により溶融、成形、必要に応じて粉砕してガラス質消臭剤を製造した。得られたガラス質消臭剤を表2に示すようにガラス容器(図1状容器、500mL)に保持させ、あるいはガラス容器を成形するためのガラス中に溶かし込み、消臭性ガラス容器を成形した。この消臭性ガラス容器を用いて消臭効果の確認試験を行った。試験はガラス容器に悪臭成分を封入し、室温で経過時間に伴うガラス容器内の悪臭濃度をガス検知管で測定した。悪臭成分としては、硫化水素、メチルメルカプタン、プロピオン酸を使用した。なお比較のために、表3に示す組成の溶解性ガラス1〜4を製造した。
(実施例A:100%ガラス容器)
調合溶融後に手吹きで型成形した表2の実験例1〜10のガラス容器に悪臭成分を封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度をガスクロマトグラフで測定した。実験例8は、耐久性の低いガラスであり、成形が困難であった。また、溶解性ガラス1〜4はいずれもガラス容器に成形不可能なガラス組成である。なお、銅成分を含まないブランクは、実験例6に該当する。その結果、表4の通り、実験例6を除いて、全て消臭効果が確認された。
(実施例B:素地への添加)
窯で溶融されたソーダライムガラス素地へのカラーフィーダでの着色法の通り、カラーフィーダでガラス質消臭剤を添加した。その粒径は1cm以下である。撹拌し均一着色したもの、墨流し手法で意匠性をもたせたものを作製し、型成形した。これら表2の実験例11〜20のガラス容器に悪臭成分を封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度をガスクロマトグラフで測定した。また、溶解性ガラス1〜4はソーダライムガラス素地と特性が大きく異なることから、この方法で溶かし込むと品質不良となる。なお、銅成分を含まないブランクは、実施例Aで消臭効果がないことを確認済である。その結果、表5の通り、いずれも消臭効果が確認された。
(実施例C:表面成形)
窯で溶融されたガラス素地にガラス質消臭剤を印刷加工し、表面成形した。また、溶解性ガラス1〜4はいずれもソーダライムガラス素地と特性が大きく異なることから、印刷には不向きであった。溶解性ガラスとの比較には、バインダーと混合してスプレーコートした(含有率1質量%)。これら表2の実験例21〜27のガラス容器に悪臭成分を封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度をガスクロマトグラフで測定した。なお、銅成分を含まないブランクは、実施例Aで消臭効果がないことを確認済である。その結果、表6の通り、溶解性ガラスは消臭限界に達したのに対し、前記実験例は、消臭総量が大きいことが確認された。溶解性ガラスは、露出量に応じて消臭限界が決定するのに対し、銅成分を含有したガラス質消臭剤は触媒作用を示すため、少量でも消臭総量が期待できる。しかし、ガラスは組成によって連続的に変化し、その効果も触媒反応から溶解性ガラスの吸着反応まで連続的に変化する。実験例28は、耐久性が低下した組成のため、溶解性ガラス同様に吸着反応を示し、消臭限界に達したことが確認された。
(実施例D:ガラス質消臭剤の基本特性・分解作用)
なお、本発明で用いたガラス質消臭剤の基本特性を、次の通り確認した。
50=4.2μmまで粉砕した表1の組成番号6からなるガラス1gとメチルメルカプタンを5Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン、ジメチルジスルフィドをガスクロマトグラフで測定した。またブランクとして、ガラス質消臭剤なしで同様の操作を行った。なお、事前にガスクロマトグラフ質量分析計にて、袋内に存在するガス成分がこの二成分のみであることを確認していた。その結果、図3の通り、本発明のガラス質消臭剤がメチルメルカプタンを分解し、ジメチルジスルフィドを生成する作用を示すことを確認した。
(実施例E:ガラス質消臭剤の基本特性・ラジカル発生)
50=5.0μmまで粉砕した表1の組成番号6、9、表3の溶解性ガラス1からなるガラス200mgに対し、pH=7.4の0.1mоl・L−1のリン酸緩衝溶液200μLを添加した。そこに9.2mоl・L−1のDMPO(LABOTEC.製、LM−2110)10μLを添加し、シェイクした。DMPO添加時点から10秒後、1分後、5分後にシェイクをやめ、溶液のみをヘマトクリット管で採取し、ESR(日本電子株式会社製、FR−30、Xバンド)測定を実施した。また、ガラスを除いたものをブランクとした。全て、室温、蛍光灯下で実施した。当手法は、ラジカル測定の一般的手法であるスピントラップ法に該当し、DMPOがラジカルを補足するとスピンアダクトが生成する。この生成物(DMPO−OH)をESRで検出した。なお、検出値の単位は、基準物質Mn2+に対するピーク面積値比率(エリアシングル/エリアマンガン、S/M)である。その結果を表7に示す。組成番号6のガラスはDMPO−OHの生成が確認されたのに対し、組成番号9、溶解性ガラス1はブランクと同様にバックグラウンドの値を示しただけであった。本発明のガラス質消臭剤がラジカルを発生する可能性が高いことが確認された。
1 ガラス壁
2 ガラス質消臭剤

Claims (4)

  1. 容器を構成するガラス壁にガラス質消臭剤を保持させるか、溶かし込み、内容物が発生する臭気を抑制する消臭性ガラス容器であって、
    このガラス質消臭剤は銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、
    銅成分を溶出させることなくガラス中に保持させたまま、銅成分の触媒作用により、容器内の空気中の悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とする消臭性ガラス容器。
  2. ガラス質消臭剤をガラス壁の表面に保持させたことを特徴とする請求項1記載の消臭性ガラス容器。
  3. ガラス壁がガラス質消臭剤を部分的に溶かし込んだガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の消臭性ガラス容器。
  4. ガラス壁が、ガラス質消臭剤を溶かしたガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の消臭性ガラス容器。
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