JP5784848B1 - 消臭剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術に比べて、長時間安定した消臭効果を発揮することができ、かつ、粉末状としても凝集することがなく、製品形状や使用態様に関する自由度が高く利便性の高い消臭剤を提供すること。
【解決手段】SiOを46〜70モル%、BとRO(R=Li、Na、K)を合計で15〜50モル%、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)を0〜10モル%、CuOを0.1〜23モル%含有するガラスからなる消臭剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質をはじめ、その他、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質を消臭する機能を備えた消臭剤に関するものである。
近年、快適な住環境への関心の高まりを受けて、各種の消臭剤への需要が高まっている。
住環境で問題となる臭気のうちでも、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭は、強い不快感を与えるものとして嫌われている。特に、メチルメルカプタンは、ppb程度の低濃度でも腐敗臭が感じられる悪臭原因物質として知られており、その消臭に関する技術開発が従来から求められている。
上記の消臭に関する技術として、Pを主成分とする溶解性ガラスに銀、銅、鉄の何れかを含有させ、PO 2−イオン、Agイオン、Cu2+イオン、Fe2+イオンの溶解速度を特定の範囲に設定することにより硫黄系の悪臭を消臭する技術(特許文献1)や、酸化銅を活性炭に分散させた消臭剤によってメチルメルカプタンなどの悪臭原因物質を除去する技術(特許文献2)が開示されている。
しかし、特許文献1の技術は、溶解で生じるAgイオン、Cu2+イオン、Fe2+イオンと硫黄成分との硫化反応を利用した技術であるため、平衡状態となった場合、それ以上の反応は進まず、持続的な消臭効果が期待できないという問題や、Pを主成分とする溶解性ガラス剤が、化学的耐久性、特に耐水性に欠けるため、例えば、粉末状にすると凝集しやすく取扱いが困難である等、製品形状や使用態様などに関し制約を受け、利便性に劣るというという問題があった。
特許文献2には、酸化銅の具体的作用は記載されていないが、その触媒作用によって、活性炭の悪臭物質除去効率を改善しているものと推測される。しかし、特許文献2の技術では、活性炭に分散させた酸化銅が、悪臭原因物質との反応によって被毒(触媒劣化)してしまい、消臭効果の持続時間が未だ不十分であるという問題があった。
特開平4−67868号公報 特開2009−213992号公報
本発明の目的は前記の問題を解決し、従来技術に比べて、長時間安定した消臭効果を発揮することができ、かつ、粉末状としても凝集することがなく、製品形状や使用態様に関する自由度が高く利便性の高い消臭剤を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の消臭剤は、持続性に優れたガラス質消臭剤であって、SiOを50〜63モル%、BとRO(R=Li、Na、K)を合計で23〜44モル%、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)を2〜7モル%、CuOを1〜13モル%含有するガラスからなる空気中で使用される消臭剤であって、ガラス中のCuOの触媒作用により、空気中の悪臭成分を分解することを特徴とするものである。
前記のガラス組成は、Bを8〜18モル%、RO(R=Li、Na、K)を15〜26モル%、含有するものであることが好ましい。
請求項3記載の発明は、持続性に優れたガラス質消臭剤であって、SiOを51〜55モル%、Bを12〜16モル%、NaOを19〜22モル%、CaOを4.5〜6.5モル%、CuOを4〜13モル%含有するガラスからなる空気中で使用される消臭剤であって、ガラス中のCuOの触媒作用により、空気中の悪臭成分を分解することを特徴とするものである。
を5〜20モル%、RO(R=Li、Na、K)を10〜30モル%含有する前記組成のガラスを消臭剤として使用することにより、従来技術に比べて、製品形状や使用態様に関する自由度が高く利便性の高い消臭剤を実現することができる。具体的には、長時間安定した消臭効果を発揮することができ、化学的耐久性が高く、粉末にしたとき凝集しにくく、室温・酸素存在下や、光のない暗下や、水分存在下(表面が濡れた状態)、高温環境(450℃以下)でも優れた消臭効果を発揮することができ、極めて扱いやすい消臭剤を実現することができる。
従来、「触媒作用による消臭効果を示すガラス剤」は存在せず、専ら、溶解性ガラスを用いた消臭剤は各種開発されていたのに対し、本発明者らは、長年による研究の結果、「上記組成のガラス中に上記比率で含有されるCuOが触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応(酸化・還元反応)を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏する」という新たな知見を見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、「触媒作用による消臭効果を示す新規のガラス剤」として各種用途への展開が期待される。
本発明では、このように、ガラス中にふくまれるCuOを触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するメカニズムを有するものであるため、「硫化反応」を利用した従来技術(例えば、特許文献1)に比べて、消臭容量(例えば、特許文献1では、硫黄成分の悪臭成分を吸着させるイオン濃度に比例する)を増大させることができ、かつ、触媒を繰り返し使用することによって消臭効果を長期間に亘って持続することができるとともに、触媒として機能するCuOを活性炭に分散させた従来技術(例えば、特許文献2)のような被毒が進行し難く、その触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
本発明の消臭剤は、特にメチルメルカプタンに対し、優れたな消臭効果を発揮することができる。なお、消臭剤を粉末状として、悪臭物質との接触面積を多く確保することにより、触媒としての機能をより効果的に発揮することができる。
なお、本発明の消臭剤は、硫黄系悪臭物質に限らず、脱水素反応が可能な悪臭物質であれば、消臭可能である。具体的には、低級脂肪酸や、体臭(汗、足臭)として知られる酢酸、イソ吉草酸を始め、悪臭防止法で定められるプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸や、中鎖脂肪酸のカプロン酸、エナント酸や、加齢臭として知られるトランス−2−ノネナールも消臭可能である。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)というが、本明細書においては炭素数1個の酢酸、5個の吉草酸も低級脂肪酸として取り扱う。これら、低級脂肪酸やトランス−2−ノネナールに対する消臭機構は、硫黄系悪臭物質に対する触媒作用と類似である可能性が高い。例えば、本発明の消臭剤は、メチルメルカプタンを触媒的に分解し、二量体のジメチルジスルフィドが生成するが、このとき脱水素反応が起きていることになる。同様に、低級脂肪酸も脱水素反応により分解するものと推測される。あるいは、低級脂肪酸による悪臭ガスは酸性として知られるため、アルカリを多く含む本発明の消臭剤と中和反応を起こしている可能性がある。消臭試験結果から反応量を算出したところ、等量反応以上の消臭効果が確認されたため、触媒作用による消臭効果、中和反応による消臭効果の同時発生の可能性が高い。ただし、トランス−2−ノネナールは中性ガスとして知られるため、中和反応ではなく、触媒作用による消臭効果が主である可能性が高い。また、トランス−2−ノネナールに限らず、前駆体のパルミトレイン酸を分解し、防臭効果を示す可能性も考えられる。
また、本発明の消臭剤は、ガラス中にCuOを多く含有するため、CuOによる抗菌効果も同時に発揮することができる。
その他、「硫化反応」を利用した従来技術(例えば、特許文献1等、硫黄成分と親和性の高いAgイオン、Cu2+イオン、Fe2+イオンを反応させる消臭方法)では、硫化反応によってガラスに変色が生じ、ガラスの美観を損なうという問題もあったのに対し、本発明は、ガラス化したCuOを触媒として、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものであるため、ガラスを変色させることなく消臭機能を発揮することができる。
実施例Aの測定結果を示すグラフである。 実施例Bの測定結果を示すグラフである。 実施例Bの測定結果を示すグラフである。 実施例Cの測定結果を示すグラフである。 実施例Dの測定結果を示すグラフである。 実施例Eの測定結果を示すグラフである。 実施例Gの測定結果を示すグラフである。 実施例Gの測定結果を示すグラフである。 実施例Hの測定結果を示すグラフである。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本実施形態の消臭剤は、SiOを46〜70モル%、BとROを合計で15〜50モル%、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)を0〜10モル%、CuOを0.1〜23モル%含有する「アルカリ(RO)−アルカリ土類(R´O)−ホウケイ酸ガラス(B−SiO)」からなり、通常のガラス剤と同様に、溶融急冷法で製造することができる。ガラス剤の形状は特に限定されないが、例えば、成形体や粉体とすることができる。成形体(例えば、消臭容器)の場合は、型を使用して成形体を成形し、粉体の場合は、溶融急冷法でプレ成形体を得た後、粉砕を行って所望の形状の消臭剤を得ることができる。ここで言う粉砕とは、一般的に知られる粉砕機(例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、CFミル等)による粉砕を意味し、乾式でも湿式でも構わない。
以下、各ガラス組成について詳細に説明する。
(SiO
SiOは、ガラスの構造骨格を形成する主成分となる。その含有量は、46〜70モル%、好ましくは、50〜63モル%とする。46モル%未満の場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となり、またガラスが失透しやすくなり好ましくない。更に、46モル%未満の場合、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。70モル%を超える場合、融点が上昇することにより、ガラスの溶融性が困難となる他、粘度上昇も起こるため好ましくない。
(B
は、ガラスの溶解性、清澄性を向上させる成分であり、特定の組成においてはガラスの構造骨格を形成する成分ともなる。Bは、その含有量によって、ガラスの安定性を大きく左右するものであり、本願発明ではガラスの融剤としての意味合いが大きい。その含有量は、Bの揮発量を勘案して、5〜20モル%、好ましくは8〜18モル%とする。20モル%を超える場合、Bは溶融過程において揮発しやすく、組成制御が困難となるため好ましくない。
(RO(R=Li、Na、K))
O(R=Li、Na、K)は、ガラスの構造骨格におけるSiとOの結合を切断して非架橋酸素を形成し、その結果、ガラスの粘性を低下させ、成形性や溶解性を向上させる成分であり、B同様の融剤である。その含有量は、RO(R=Li、Na、K)の一種もしくは二種以上を、多成分との含有比も考慮しつつ、合計10〜30モル%、好ましくは15〜26モル%とする。30モル%を超える場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となる。具体的には、ガラス剤と大気中の水分が反応してブルームと称される白化現象が引き起こされる。ブルームが発生することにより、悪臭ガスとの接触面積が減少するため望ましくない。また、溶解炉のアルミナ質が浸蝕されやすくなる。
(B+RO(R=Li、Na、K))
前記のように、BとROは、共に、融剤として使用される。BとROの合計含有量が、15〜50モル%、好ましくは23〜44モル%の範囲が、安全に消臭効果を示す領域となる。15モル%未満の場合、ガラスの溶融性が不十分となり、成形の際に失透が発生しやすくなるため好ましくない。45モル%を超えると、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。また、50モル%を超えると、溶融の際に分相を起こしやすく、それに伴いガラス剤の消臭効果が不十分となるため好ましくない。
(R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba))
R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分である。その含有量は、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)の一種もしくは二種以上を、合計0〜10モル%、好ましくは2〜7モル%とする。10モル%を超えると溶融時の粘性が高くなるとともに、ガラスが失透しやすくなるため好ましくない。なお、発明の消臭剤において必須成分ではなく、その含有量は0モル%でもよい。
(CuO)
CuOは、触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応(酸化・還元反応)を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものである。その含有量は、0.1〜23モル%、好ましくは1〜13モル%、さらに好ましくは4〜13モル%とする。23モル%を超えると未溶解物が残留しやすくなる他、急冷の際や加工時に金属銅が析出しやすくなるため好ましくない。金属銅も消臭効果を示すため、消臭という観点からは、その析出は問題とならないが、金属銅の析出に伴いガラスに変色を生じるため、ガラスの変色が問題となる用途には適さない。また、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。これに対し、CuOをガラス成分として含ませた本発明によれば、被毒が進行し難く、触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
ガラス剤が同重量かつ同粒径の条件下において、CuOの含有量を減少させていくと、その減少に伴い、消臭能力が低下する傾向がある。これは、悪臭と接触するガラス表面のCuO量が減少することに起因するものと推測される。CuOの含有量や粒径は、求められる消臭スピードや消臭容量によって異なるが、生産性や製造費の観点から、粒径はD50(粒径を累積分布させたときの積算値50%にあたる、一般的にメジアン径と呼ぶ)=0.1μm以上、好ましくはD50=1μm以上、さらに好ましくはD50=4μm以上とする。粒径をD50=0.1μm以上とした場合、CuOの含有量は0.1モル%以上、粒径をD50=1μm以上とした場合、CuOの含有量は1モル%以上、粒径をD50=4μm以上とした場合、CuOの含有量は4モル%以上とする。
CuOの含有量と粒径に関し、粉体の単位質量あたりの表面積は比表面積[m/g]と言われるが、この値が大きいほど粒子は細かくなる。粒子形状が球状であると仮定すると、半径rの粒子がn個あると、このときの全表面積はn4πr、質量は、ρを粒子の密度とすると(n4πr/3)ρであるので、比表面積=n4πr/(n4πr/3)ρ=3/ρrとなる。ここで消臭ガラス剤粒子の半径をR、密度Ρと仮定すると、比表面積は3/ΡRと表される。R=5μmのとき、比表面積(直径=2R=10μm)=3/Ρ(5μm)となり、R=0.5μmのとき、比表面積(直径=2R=1μm)=3/Ρ(0.5μm)となる。つまり、消臭ガラス剤の粒子径(直径)10μmを1μmまで細かくすると、比表面積は10倍大きくなる。これに伴い、当然消臭能力が高まることが想定される。以上より、粒径を小さくすることができれば、CuOの添加量は限りなく下げることができる。ただし、製造時の制御や生産性、製造価格を考慮し、安定な消臭能力を得るには、CuO含有量が0.1モル%以上、粒径が0.1μm以上が望ましい。
CuOをガラス成分として含ませた本発明において、遷移金属イオンである銅イオンは、ガラスのマトリックス中に導入されている。銅イオンは、ガラスのマトリックス中に導入されたとき、周囲の陰イオンからの結晶場の影響を強く受けることが知られている。銅イオンは、周囲の環境により複数のイオン状態をとるが、通常、銅イオンはガラス中でCuまたはCu2+として存在する。Cu2+は酸化雰囲気で安定であり、Cuは還元雰囲気で安定である。ガラス中のCu2+はガラスの構造骨格の網目修飾イオンの位置を占め、これに多数の酸素イオンが配位されれば青色を呈する。Cu自体は無色であるが、それがCu2+と共存すると、イオンの変形がおきて吸収が強められる。また、銅イオン濃度が高くなると、すべてのCu2+に対しては酸素イオンの配位を満足させることが不可能となる結果、低配位数の不飽和銅イオンの数が増す。また、温度上昇によっても不飽和イオンが増す。これに伴い、ガラスは青色から緑色に変化する。Cu2+は可視から近赤外域(800 nm付近)に吸収帯を示す。一般に遷移金属イオンの原子価決定要因として、溶融温度、溶融雰囲気中の酸素分圧、遷移金属イオンの添加量およびホストガラス組成が挙げられる。しかし、ガラス組成による銅イオンの原子価制御に関する報告は少ない。
酸化物ガラス中にアルミナを添加することにより、ガラスの耐水性が向上することが知られている。例えば、村多、栗村、森永らによる研究(日本金属学会誌 第61巻 第11号(1997))によると、特定の組成において以下が確認されている。一般的にケイ酸塩系ガラスは、ホウ酸塩あるいはリン酸塩系ガラスよりも溶融温度が高いため、他の2つのガラス系よりもCu−Cu2+の酸化還元状態が還元側に移行しやすい。ホウ酸塩あるいはリン酸塩系ガラスにアルミナを加えることでCu−Cu2+の酸化還元状態が還元側に安定される効果がある。二成分系のNaO−SiOガラスではNaOの含有量の減少に伴い、相対的にCuが増加することや、三成分系アルカリ-アルカリ土類-ケイ酸塩ガラスでは、アルカリ土類のイオン半径が減少するにつれて、Cuの量が増加する報告がある。また、遷移金属の内、ホストガラスによる価数バランスの影響の仕方が、銅イオンは特殊であるという報告もある。しかし、ガラス剤の各構成成分が発揮する作用は、必ずしも配合割合に応じた線形的な変化とならない。非晶質のガラス質内の原子同士の結合、結合核の変化等の種々の要因が作用していると考えられる。
(Al
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させ、結晶構造安定性に影響を与える成分である。また、Alは、ガラスの分相を抑制しガラス剤の均質性を高める働きをする。粘性を上げること、添加によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える可能性があることから、その含有量は、3.5モル%以下とすることが望ましい。
なお、CuO添加量が23モル%を超える場合、ガラス溶融後の急冷や成形時に銅イオンが還元され、金属銅が析出する場合がある。金属銅も消臭効果を示すため、消臭という観点からは、その析出は問題とならないが、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。このとき、SiOで構成されるガラス構造の一部をAl3+にすることにより、金属銅の析出を抑制することができる。
(その他の微量成分)
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO、ZrO、Nb、P、CsO、RbO、TeO、BeO、GeO、Bi、La、Y、WO、MoO、またはFe等も含めることができる。さらに、F、Cl、SO、Sb、SnO、あるいはCe等を清澄剤として添加してもよい。
(Fe
Feは、ガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える(Cu>Cu2+を強める)成分のため、その含有量は、0.2モル%以下、好ましくは0.1モル%以下とすることが望ましい。
(Cr、MnO、CeO
Cr、MnO、CeOは、遷移金属イオンであり、CuOと同様に原子価を変化し得る成分である。CuOと混在するとき、酸化性が強いこれらの成分(酸化力Cr>MnO>CeO)によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態は酸性に傾く(Cu<Cu2+)。本願発明の組成範囲、製造方法では安定性して消臭効果が得られるが、酸化還元状態が大きく予想を外れて消臭効果が得られない場合(例えば、溶解炉は浸蝕に伴い酸化還元状態の制御が困難となる場合がある)、Cr、MnO、CeOの添加によって銅イオンの価数バランスを制御することもできる。
以上を考慮し、本発明では、安定して消臭効果が得られる組成範囲を特定した。つまり、溶融温度範囲、酸化還元状態、組成範囲を考慮した上で、組成範囲を特定した。上記組成範囲のガラス剤を、溶融急冷法で製造すれば安定して消臭ガラス剤が得られる。特に、タンク炉溶融、電気炉溶融、小規模のるつぼ溶融で安定して得られる。一般的にソーダライムガラスの場合、タンク炉溶融、電気炉溶融では、銅イオンの価数バランス(Cu2+/total)が、前者が15%程度、後者が50%程度であると知られている。本発明の組成でも当然価数バランスは変化する。消臭機構が触媒作用であるため、これらの化学状態が消臭効果に影響を及ぼす可能性があるが、上記組成範囲であれば、その効果の違いは特に問題とならない。
なお、溶融温度、溶融時間によって酸化還元状態が異なることは考慮が必要である。溶融温度1200〜1400℃、好ましくは1280〜1380℃に制御するとよい。溶融時間は6〜8時間が望ましい。ここで得られるガラスは、Cu2+による青、もしくは緑青色が確認される。以上の通り、本発明の組成範囲では、銅イオンの価数バランスは必ずしも重要でない。また、得られたガラス剤を意図的に価数バランスを変化させて(薄板を作製し、Cu2+の発色が確認される青色ガラス、Cu>>Cu2+に価数バランスが変化しほとんど色調の確認されないガラス、Cuのコロイド状金属銅の析出が確認される褐色(赤色)ガラス)消臭効果を確認したが、いずれも十分な消臭効果が得られた。このように、上記組成範囲のガラス剤とすることにより消臭効果が得られ、また、成形後に熱処理等で銅イオンの価数バランスを制御しても消臭効果を得ることができる。
前記のように、ガラス剤の形状は特に限定されず、粉末または顆粒でそのままカートリッジなどの容器に入れた消臭製品として使用できる他、繊維、塗料、シート、および成型品等に消臭性を付与でき、消臭製品として用いることができる。使用形態は粉末に限らず、板状、あるいは、成形体でも構わない。触媒作用による消臭剤は、悪臭濃度が高濃度の場合、即効性に不十分な場合がある。一時的なトラップ剤として、物理吸着剤(活性炭、シリカゲル、ゼオライト等)と混合して利用することもできる。また、悪臭は必ずしも一成分で存在するわけではないため、各種悪臭の消臭に特化した剤を複合利用することもできる。従来からの消臭剤と混合して利用することもできる。
消臭ガラス剤作製方法:
原料調合後、溶融温度1350℃で8時間溶融し、流し出して、下記表1のガラス組成から成るガラスを得た。溶融後は、自然冷却を行ったが、水冷とすることもできる。ガラス組成は、蛍光X線分析装置を用いた半定量測定により確認した。得られたガラスをボールミルを用いて乾式粉砕し、粒度計でD50=4.5μm以下、D98(粒径を累積分布させたときの積算値98%にあたる)=50μm以下となるように制御した。なお、粒径(直径)100μm以上の粒子はふるいで分けて除去した。
(実施例A:硫黄系悪臭に対する消臭効果確認試験)
消臭試験方法:
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤と悪臭とをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内の悪臭濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
測定結果および考察:
図1に示すように、硫化水素、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、2-メルカプトエタノール、いずれの硫黄系悪臭に対しても消臭効果があることが確認された。その他、図2、3、4、6に示す通りメチルメルカプタンに対しても消臭効果があることが確認された。
(実施例B:消臭ガラス剤の消臭機構解明試験)
消臭試験方法1(窒素雰囲気):
上記表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤とMM(メチルメルカプタン)とをテドラーバッグに封入し、悪臭注入直後、2時間後、24時間後に、MMおよびDMDS(ジメチルジスルフィド)濃度をガスクロマトグラフ(GC)で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 5L
初期ガス(MM)濃度 : 100ppm
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
上記の試験は、株式会社 環境科学研究所に依頼した。
消臭試験方法2(人工エアー雰囲気):
上記同様の試験を、人工エアー雰囲気(酸素濃度20%、窒素濃度80%)で行った。
消臭試験方法1に同じく、株式会社 環境科学研究所に依頼した。
測定結果および考察:
図2には、消臭試験方法1の結果を示し、図3には、消臭試験方法2の結果を示している。
図2、図3に示すように、ブランクでも0時間の時点からDMDSが存在しているが、確認したところ、使用したガス中にコンタミでDMDSが含まれていた。
MM→DMDSは、自然酸化が若干は起こるものの、ブランクに対し消臭ガラス剤は明らかにDMDSの生成が促進されている。この反応は、MMが二量体化してDMDSとなる。
その他、硫黄成分がないかGCの保持時間を90分まで保持し、その中でMM、DMDS以外の存在を確認したが、特にピークは確認されなかった。
消臭ガラス剤の消臭機構が、先行技術の溶解性ガラス剤のように硫化反応であれば、硫黄成分と銅成分の結合が起きる。しかし、GC結果の通り、銅との結合ではなく、MMから別の硫黄成分DMDSへの変換が確認された。変換量もほぼ等量と考えられる(ブランク自体のMMの減少等考慮して)。
また、図3に示すように、酸素が存在すると、その消臭効果が明らかに高まった。酸素を介してMM→DMDSの反応を促進する触媒と考えられる。触媒作用による消臭機構を示すことが知られているCuOも、酸素を介してMM→DMDSの反応を促進する。表面に吸着している酸素を介すといわれている。消臭ガラス剤も同様の触媒作用を示している可能性がある。窒素雰囲気のときも消臭効果が確認されるが、封入前、ガラス表面に吸着していた酸素が影響した可能性がある。
反応式としては、下記式が想定される。
2CH‐SH+oxidant→CH‐S‐S‐CH+2H+2e
(実施例C:CuOと消臭ガラス剤の比較試験)
消臭試験方法:
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤、CuO試薬それぞれとMMとをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内のMM濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
初期ガス(MM)濃度 : 55ppm (55ppmで繰り返し8回実施)
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
CuO : Wako試薬、粒径(記載値5μm)、比表面積0.38m/g。
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
測定結果および考察:
図4に示すように、消臭ガラス剤もCuOも、約10ppm弱で収束することが確認された。これは、触媒作用によってDMDSが生成することによる、ガス検知管の誤差である。(MM以外の硫黄成分があるとき、識別ができないため誤差要因となる)。単純にCuO含有量からすると、消臭ガラス剤はCuO試薬の1/10程度にあるにも関わらず、高い消臭効果を示した。
繰返し1回目の時点では、CuOの消臭スピードが上回っているが、繰返し8回目ともなると、両者の関係は逆転し、消臭ガラス剤の消臭スピードが勝っていることが確認された。具体的には、繰返し8回目も消臭ガラス剤は消臭スピードを保っているが、CuOの消臭効果が低下傾向にあることがわかる。硫黄系悪臭を消臭するとき、CuOは被毒(触媒劣化)することが知られており、この影響によると考えられる。本実施例では、ガラス化することで、安定な触媒状態になっていることが確認された。
(実施例D:溶解性ガラス剤と消臭ガラス剤の比較=硫化反応による消臭ガラス剤と触媒反応による消臭ガラス剤の比較)
溶解性ガラス剤作製方法:
溶解性ガラス1
代表的な溶解性ガラス剤(イオンピュア)市販品
溶解性ガラス2
リン酸マグネシウム94.26gと、89重量%のリン酸157.76gと、酸化銀4.0gとを混合して300℃にて3時間保持し、次にその乾燥物を1300℃で1時間溶融して下記表2のガラス組成から成るガラスを作製し、これを粉砕して試料とした。
溶解性ガラス3
リン酸カリウム71.36gと、第一リン酸カルシウム38.05gと、酸化銅26.17gと89重量%のリン酸117.72gを混合して300℃にて3時間保持し、次にその乾燥物を1300℃で1時間溶融して下記表2のガラス組成から成るガラスを作製し、これを粉砕して試料とした。
溶解性ガラス4
無水硼酸12.05g、硝酸ソーダ5.62g、超微粉シリカ(製品名:スノーテックスS)5.26g、アルミナ粉末0.2g、塩化銅21.4g、純水60mlを高速攪拌機で撹拌して、ゾルを調整した後、これに10Nのアンモニア水3mlを加えてゲル化し、乾燥機にて、120℃で180分乾燥した後、焼成炉にて、常温→525℃で30分、525℃で10分、525→950℃で30分、950℃で30分焼成して下記表2のガラス組成から成るガラス剤を作製し、これを粉砕して試料とした。
消臭試験方法:
表1および上記表2のガラス組成からなる消臭ガラス剤と硫化水素とをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内の硫化水素濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
初期ガス(硫化水素)濃度 : 55ppm
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
測定結果および考察:
図5に示すように、溶解性ガラス剤は、硫化反応による消臭のため反応スピードが速いことが確認された。このため、溶解性ガラス剤は、10分後にも測定した。溶解性ガラス1、3は、繰返し1回目で収束した。ほぼ消臭限界に達したことが確認された。また、これらのガラス剤は耐水性が低く吸湿しやすいせいか、凝集が確認された。参考値として、試料量中のAgO、CuO換算値を示した。しかし、これはガラス全量中であり、実際は表面に析出している分が消臭効果を示す。溶解性ガラス剤は表面で硫化反応を示し(実際、反応を裏付ける変色(黄色〜褐色)が確認された)、それ以上、ガラス内部のAg、Cuは反応に寄与しないと考えられる。溶解性ガラス3は、繰返し2回目も若干の消臭効果を示したが、凝集していたため、ガスがゆっくりと内部に潜り込んで消臭された可能性がある。消臭ガラス剤は、溶解性ガラス剤と消臭機構が異なるために、溶解性ガラス4よりもCuOモル量が少ないにも関わらず持続性が高く、消臭量が多くなることが確認された。
(実施例E:CuO含有量と消臭効果の関係)
消臭ガラス剤作製方法:
原料調合後、溶融温度1350 ℃で8時間溶融し、流し出して、下記表3のガラス組成から成るガラスを得た。溶融後の形成は、自然冷却で行ったが、水冷とすることもできる。
ガラス組成は、蛍光X線分析装置を用いた半定量測定により確認した。得られたガラスをボールミルを用いて乾式粉砕し、粒度計でD50=4.5μm以下、D98=50μm以下となるように制御した。なお、粒径(直径)100μm以上の粒子はふるいで分けて除去した。
消臭試験方法:
上記表3のガラス組成からなるガラス剤(CuO含有の消臭ガラス剤と未含有ガラス剤)とMMとをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内のMM濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
初期ガス(MM)濃度 : 55ppm
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
測定結果および考察:
図6に示すように、CuOの含有量が異なる実験例1〜7の何れも、消臭効果が、約10ppm弱に収束することが確認された。これは、触媒作用によってDMDSが生成することによる、ガス検知管の誤差である(MM以外の硫黄成分があるとき、識別ができないため誤差要因となる)。
また、同粒径、同重量のとき、CuO含有量に伴って、消臭効果が上がる(具体的には、消臭スピードが上がる)ことが確認された。
これは、CuOの含有量に伴って、悪臭と接触するガラス表面のCuO含有量も増加することによる。
ただし、最も少ないCuO含有量の実験例2でも、55ppmという高濃度のMMを消臭しており、その消臭効果は十分である。
実験例2は、24時間時点で比較したときに、実験例3〜7よりも消臭スピードが劣るが、粒子径を小さくし表面積を上げることでそのスピードは容易に補える。
(実施例F:耐水性に伴う硫化作用と触媒作用)
ガラス組成変化に伴って、耐水性が変化する。このとき、溶解性ガラス剤に近づくと消臭機構が変化する可能性があるため、代表的な溶解性ガラス剤であるイオンピュア(比較例1、2)と溶解量を比較した。比較例1、2は、代表的な溶解性ガラス剤である「イオンピュア(市販品)」である。
消臭ガラス剤作製方法:
原料調合後、溶融温度1350 ℃で8時間溶融し、流し出して、下記表4のガラス組成から成るガラスを得た。溶融後の形成は、自然冷却で行ったが、水冷とすることもできる。
ガラス組成は、蛍光X線分析装置を用いた半定量測定により確認した。得られたガラスをボールミルを用いて乾式粉砕し、粒度計でD50=4.5μm以下、D98=50μm以下となるように制御した。なお、粒径(直径)100μm以上の粒子はふるいで分けて除去した。実験例8〜10はCuO含有量(モル%)が同等となるように調整した。
ガラス溶解量確認方法
試料0.1gに対し、蒸留水100mLに浸漬し、室温(20〜25℃)で24時間保持した後、その減少量を確認した。
判定方法
テドラーバッグ1L、MM濃度55ppm、繰り返し8回後までに消臭限界を迎えたものを×、消臭限界は迎えていないが、消臭スピードの低下が確認されたものを△、
繰返し8回後も持続性が確認されたものを○、として評価した。
消臭試験時のガラス剤の比表面積、粒径は表4の通りであり、試料重量は0.1gである。
判定結果および考察:
実験例9、10も触媒作用は確認されたが、耐水性が不十分なために溶解性ガラス剤と同様のイオン溶出における硫化反応が大きく働いたと思われる。
(実施例G:持続性の高い無機系消臭剤(市販品)との性能比較)
消臭試験方法1(持続性評価):
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤とMMとをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内のMM濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
初期ガス(MM)濃度 : 表5の通り
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
比較評価対象として、下記の表5に示す無機系消臭剤を用いて上記同様の消臭試験を行った。なお、これらの無機系消臭剤は、何れも持続性の高い無機系消臭剤として市販されているものである。
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の消臭試験を行った。
消臭試験方法2(水分存在条件):
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤、表5の無機系消臭剤1〜2、CuO試薬それぞれとMM、蒸留水とをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内のMM濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
初期ガス(MM)濃度 : 55ppm
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
蒸留水添加量 : 500μl(試料表面全体を濡らした)
CuO : Wako試薬、粒径(記載値5μm)、比表面積0.38m/g。
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の消臭試験を行った。
測定結果および考察:
上記の表6に示すように初期ガス濃度を変化させながら、繰返し10回実施したところ、図7に示すように、繰返し10回目まで同様の傾向が確認された。つまり、無機系消臭剤1は、瞬間的消臭効果が高いが、消臭限界(吸着限界)があるため収束する。無機系消臭剤2、実施例は高濃度で消臭可能であり、同重量のとき、無機系消臭剤2の方が消臭スピードが上回る。無機系消臭剤1は収束するものの、悪臭を入れ替えて(リセットして)使用すれば、消臭効果の再現性がある。いずれも、悪臭が高濃度であったにも関わらず、繰返し10回目時点でも消臭効果が持続している。
また、図8に示すように、水分添加により、消臭傾向に変化が確認された。
無機系消臭剤1では、瞬間的な消臭効果が低下することが確認された。これは、物理吸着が高い剤のため、表面が濡れるとその瞬間的効果が弱まることに起因するものと考えられる。無機系消臭剤2は、水分存在環境では十分な消臭効果を奏することができないことが確認された。本実施例では、水分添加によって、消臭スピードが大幅に向上することが確認された。本実施例では、水分の存在によって、触媒効果を助長することやイオン溶出によって硫化反応による消臭機構が加わった可能性がある。本実施例は耐水性が高い剤のため、前者の可能性が高い。また、水分添加条件のとき、繰返し1回目にも関わらず、CuOよりも消臭スピードが速い結果であった(図4参照)。
なお、ブランクでは、若干の減少があるものの明らかな濃度低下は確認されなかった。この結果は、MMが水に溶けたわけではなく、各剤の消臭効果を評価できたことを示している。
(実施例H:低級脂肪酸に対する消臭効果確認試験)
消臭試験方法:
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤と悪臭とをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内の悪臭濃度をガス検知管で測定した。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 1L
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
測定結果および考察:
図9に示すように、酢酸、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸、いずれの低級脂肪酸に対しても、消臭効果があることが確認された。
(実施例I:トランス−2−ノネナールに対する消臭効果確認試験)
消臭試験方法:
表1のガラス組成からなる消臭ガラス剤、CuO試薬それぞれとトランス−2−ノネナールとをテドラーバッグに封入し、経過時間に伴うバッグ内の悪臭濃度を高速液体クロマトグラフで測定した。
高速液体クロマトグラフ法では、バッグ内のガスをDNPHカートリッジに捕集し、このカートリッジにアセトニトリルを通してDNPH誘導体を溶出させ、得られた溶出液を高速液体クロマトグラフで測定し、バッグ内のガス濃度を算出する。
試験条件は、下記の通りとした。
テドラーバッグ容量 : 4L
温度 : 室温(20〜25℃)
消臭ガラス剤重量 : 0.1g
消臭ガラス剤粒径 : D50= 4.21μm
消臭ガラス剤比表面積 : 1.54m/g
CuO : Wako試薬、粒径(記載値5μm)、比表面積0.38m/g
また、ブランクとして、消臭ガラス剤なしで上記同様の操作を行った。
上記の試験は、一般財団法人 日本食品分析センターに依頼した。
測定結果および考察:
上記の表7に示すように、トランス−2−ノネナールに対して消臭効果があることが確認された。

Claims (3)

  1. SiOを50〜63モル%、
    とRO(R=Li、Na、K)を合計で23〜44モル%、
    R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)を2〜7モル%、
    CuOを1〜13モル%
    含有するガラスからなる空気中で使用される消臭剤であって、ガラス中のCuOの触媒作用により、空気中の悪臭成分を分解することを特徴とする持続性に優れたガラス質消臭剤。
  2. 前記ガラスが、
    を8〜18モル%、
    O(R=Li、Na、K)を15〜26モル%、
    含有することを特徴とする請求項1記載の持続性に優れたガラス質消臭剤。
  3. SiOを51〜55モル%、
    を12〜16モル%、
    NaOを19〜22モル%、
    CaOを4.5〜6.5モル%、
    CuOを4〜13モル%
    含有するガラスからなる空気中で使用される消臭剤であって、ガラス中のCuOの触媒作用により、空気中の悪臭成分を分解することを特徴とする持続性に優れたガラス質消臭剤。
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