JP6397979B2 - 積層布帛 - Google Patents

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本発明は、生地に貼り合せて用いる中入れ中わた服資材に関する。さらに詳しくは、シート状のわたを使って、保温性や防寒効果も兼ね備えた積層布帛であって、洗濯後のわたの偏りや、その表地や裏地表面へのわた繊維の吹き出しがなく、風合いをはじめ、嵩高性などの品位、品質を維持できる積層布帛に関する。
従来から、冬の寒冷時期には身体の保温性を得る為に、上下衣服には、例えば、表地と裏地などの間に、羽毛や中入れわた(中わた)といった保温材などを使用することにより、外気と内衣や肌との間に空気層を有する断熱構造とした衣類を使用している。
このように衣服に保型性を持たせる目的で使用されるもの、例えば、羽毛の場合には、高密度で織製された生地を袋状に縫い合せ、その中に羽毛を充填した通称ダウンパックを使用したり、表地を高密度にして、袋状に縫製したものに羽毛を充填したりする方法が用いられている。
また、中わたの積層方法に関しては、シート状の中わたをそのまま表地と裏地に挟んだ状態で縫い合せるキルト生地の方法や、例えば特許文献1に記されているように、中わたに予め一般にホットメルト樹脂と呼ばれる熱可塑性樹脂をスプレーにて散布したものを表地などに張り合わせる方法が採られている。
また、特許文献2では、ライナー素材として、裏地用布帛と、繊維相互の接合点または絡合点が点固定されている不織布シート状物と、をキルティング縫着するか、若しくは点固定する方法として、高周波融着、若しくは接着樹脂によって接着するなど、所謂、ピンソニック加工、若しくはそれに近い形態で接着加工を施す方法が取られている。更に、この様な構造体にできる空間部分に同じ不織布や中わたを充填させる方法や、不織布シート状物は、表面の摩擦力を小さくすることで、層境界面が相互に滑動することが重要であるとして開示されている。
近年では、アウターの薄地化、軽量化など、カジュアル化が求められ、更には、家庭洗濯可能なアウターの必要性も出てきている。この場合、上述したような従来の方法では、生地が厚くなり、風合いが硬く、重たくなったり、経時的な中わたの偏りによる型崩れが発生したりする。また、キルト加工のように、中わたを縫い合わせることにより、デザインの多様性が損なわれてしまう。
特許文献1のホットメルト樹脂をスプレー散布した中わたと表地とを接着する中わたでは、中わたの繊維同士までが接着されてしまい、シート状中わたの嵩高性がそこなわれたり、厚みが不均一となったりする。さらに、風合いが大きく低下することや、凹凸感があるカジュアル系の表地の場合などは、わたの接着性が著しく低下するなど、数々の問題を抱えていた。
また、特許文献2の裏地用布帛と、繊維相互の接合点または絡合点が点固定されている不織布シート状物と、をキルティング縫着するか若しくは点固定する方法として、高周波融着、若しくは接着樹脂によって接着するなど、所謂、ピンソニック加工などを施したライナー素材では、キルティング同様、デザイン性を損ねたり、不織布シート状物そのものや、その中に充填された同不織布シート状物、または中間わたが動き易くなることで、積層体表面への繊維吹き出しや洗濯後のわたの偏りや着用時も含めた、布帛へのわた繊維の吹き出し現象を充分に解消できるものではなかった。
特許第5224842号公報 特開昭60−231808号公報
本発明は、上述のような従来の問題点を解決するために考案されたものであり、本発明の目的は、中わたが薄地や低目付であっても、保温性や防寒効果も兼ね備えた生地であって、中わた接着に伴う型崩れや風合い低下をなくし、更に、洗濯後のわたの偏りやわた繊維の吹き出し現象がなく、高い耐久性積層布帛を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、布帛基布に予め、布帛全面にホットメルト樹脂をドット状に付与しておき、該布帛基布と、シート状に形成された中わた部材とを積層接着することで、わたの機能や接着性の保持に効果があることに想到し、本発明を完成させるに至った。更には、その樹脂ドットの数、接着された後の樹脂ドットの高さ、樹脂量を規定することで、保温性や防寒効果も兼ねた生地であって、中わた接着に伴う型崩れや風合い低下をなくし、更に、洗濯後のわたの偏りやわた繊維の吹き出し現象がなく、高い耐久性積層布帛の服資材である積層布帛を実現できる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
シート状に形成された中わた部材と、予めホットメルト樹脂が布帛全面にドット状に付与された布帛基布とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面と、該中わた部材とを対向させて接着された積層布帛であって、前記ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における前記樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛。
[2]
前記中わた部材の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、[1]に記載の積層布帛。
[3]
前記中わた部材において、繊維素材の単糸繊度が0.3〜8.0dtxであり、繊維長が20〜160mmである、[1]または[2]に記載の積層布帛。
[4]
前記布帛基布の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層布帛。
[5]
以下の工程:
中わた部材をシート状に形成する工程、布帛基布上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および、前記中わた部材と前記布帛基布とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材と対向させて接着する工程、を備え、前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛の製造方法。
本発明によれば、中わたが薄地や低目付であっても、保温性や防寒効果も兼ね備えた生地であって、中わた接着に伴う型崩れや風合い低下をなくし、更に、洗濯後のわたの偏りやわた繊維の吹き出し現象がなく、高い耐久性積層布帛を提供することができる。
本発明の積層布帛の一構成例を模式的に示す図。 本発明の積層布帛を示す写真。 布帛基布にホットメルト樹脂をドット状に付与するコーティング装置の一例を模式的に示す図。 図3の彫刻ロール表面の穴を拡大して示す図。 シート状の中わたと樹脂ドットが予め形成された布帛基布とを積層して貼り合せを行う接着装置の一例を模式的に示す図。 本発明の布帛基布の接着された後のドットの高さを示す写真。
以下、本発明の積層布帛について具体的に説明する。
図1は、本発明の積層布帛の一構成例を模式的に示す図であり、図2は、積層布帛を拡大した写真である。なお図1では、本発明の積層布帛の構成をわかりやすくするために、一部剥がした状態で図示している。
本発明の積層布帛1は、シート状に形成された中わた部材2と、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布3とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材2と対向させて接着された積層布帛であって、ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドット4の数が、75〜190ドット/cm2であり、そして中わた部材2と接着された後における前記樹脂ドット4の高さが、70〜120μmであることを特徴とする。
シート状の中わた部材2の製造方法は、一般的に、原綿から作られる、ケミカルボンド法(浸漬法やスプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法などで形成されたシート状のわた部材であればどれも問題ない。また、中わたの繊維素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、毛から選ばれる一種以上を含む。
また、繊維素材の単糸繊度が、0.3〜8.0dtxであり、繊維長が、20〜60mmであることが好ましい。これにより、本発明でいう風合いや保温性に優れた中わたが得られる。
中わた部材2の厚みとしては、特に限定されるものではないが、例えば3〜20mmであることが好ましい。中わたの嵩高性に関しては、単糸繊度違いのものを組み合わせたり、糸のクリンプ率の違うものなどを組み合すことで任意の嵩高性を設定することができるし、保温性を向上させるために、中わた部材の空気層を緻密にして、厚みを増すことでその効果が得られる。
その繊維素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、毛から選ばれる一種以上を含んで構成される。
また、本発明でいう布帛基布3とは、特に限定されるものではなく、編物、織物、不織布のいずれも使用可能であるが、本発明において、接着された後の樹脂ドット4の高さをより均一にすること、および、後のコーティングの精度を考慮すると、布帛基布3としては、凹凸の少ない平滑性を有する織物を使用した場合がより効果的であり、糸条もフィラメントの方がより好ましい。また例えば、布帛基布3の組織に関して、一般的には、平織が最も良好であり、次に、綾織、朱子織が良好である。更には、形成する経糸、緯糸の単糸繊度が小さく、平組織の布帛がより好ましい。
布帛基布3の厚みとしては、特に限定されるものではないが、例えば0.05〜2.5mmであることが好ましい。
なお、樹脂のドット加工、所謂コーティング加工に関しては、一般的に凹凸感のない生地が最も良好である。また例えば、組織的に凹凸感があっても、シレー加工など、表面を平滑にする加工方法を加味しても問題ない。
また、わた繊維の吹き出しを抑えようとするならば、布帛設計として、出来れば、布帛上、均一に空隙が存在して空気が偏って抜けない布帛であり、その通気度(JIS L1096 8−27 通気性‐1 フラジール形法)を10cc/cm・秒 以下にすることがより望ましい。
布帛基布3には、予めホットメルト樹脂がドット状に付与されている。樹脂ドット4の配列としては特に限定されるものではなく、規則的でもランダムであっても構わない。
但し、規則的なものは、一般的に謂われる樹脂モワレが発生し易い。
ホットメルト樹脂は特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など、現在、汎用化されているホットメルト樹脂を用いることができる。
また、ホットメルト樹脂の布帛基布3への付与方法としては、特に限定されるものではなく、例えばパウダー散布方式、パウダードット方式、ペーストドット方式、ダブルドット方式等を用いることができるが、中でも彫刻ロールを使用したパウダードット方式がより好ましい。
なお、現在、汎用タイプのダブルドット方式では、樹脂の付与工程が、ペーストドットとパウダー散布との2工程であるのに加えて、余分なパウダー状ホットメルト樹脂を取り除く工程が必要であり、製造工程が複雑となるほか、ダブルドット方式では、本発明のドットの接着された後のドットの高さをコントロールすることは、技術的にも難しいことから、特に、パウダードット方式を採用するのがより好ましい。
図3は、パウダードット方式により、布帛基布3に樹脂ドット4を付着させるコーティング装置10の一例を模式的に示す図である。
プレスロール(彫刻ロール)11は、例えば鉄からなる円柱状の芯部11aと、その表面に銅めっき層11bと硬質クロム層11cが順に形成されており、図4に拡大して示すように、この表面メッキ層には、目的に応じた形状や深さ、単位面積当たりの数が彫り込まれた穴(窪み)12が形成されている。穴12にはホットメルト樹脂粉末4aが充填されており、この粉末はホッパー13の先端にあるドクター13aから穴に移されたものであるが、プレスロール11が、加熱したスチールロール14によって熱せられた布帛基布3の上に押し当てられると、基布表面に転写、熔着、凝集作用が起こり、このため粉末4aは穴12から布帛基布3に移る。この凝集作用に加えて、引き続き赤外線加熱等をして点状に並んだそれぞれの粉塊の粒子を焼結させて基布に定着させ、冷却することにより、樹脂ドット4が予め付与された布帛基布3が得られる。
また、図5は、上記のようにして、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布3と、シート状に形成された中わた部材2とを接着する接着装置の一例を模式的に示す図である。
この接着装置20は、温度コントロール可能なヒートロール21と、ゴム製のプレスロール22と、冷却シリンダー23と、複数の搬送ロール24を備える。別々の供給ロール(図示略)からそれぞれ送り出された、シート状の中わた部材2と、樹脂ドット4が予め形成された布帛基布3とを積層し、ヒートロールとプレスロールとの間を通すことでプレス接着する。その後続いて、冷却シリンダーの外周に沿って走らせることで連続的に冷却する、このように、シート状の中わた部材2と、コーティングされた布帛基布3とを同時に供給して貼り合せを行うことにより、本発明の積層布帛1が得られる。
そして特に本発明の積層布帛1において、樹脂ドット4の数に関しては、75〜190ドット/cm2であり、好ましくは、105〜159ドット/cm2、より好ましくは、122〜150ドット/cm2である。75ドット/cm2以下では、中わたとの接着点の間隔が大きくなることから、洗濯後の中わたの偏りの発生や布帛面へのドット当り、更には、中わた吹き出しが発生し易いなど品位を損なう。また、190ドット/cm2以上では、シート状中わた部材2との接着性が向上するが、風合い低下やわたの嵩高性が損なわれて好ましくない。
布帛面へのドット当りに関しては、布帛の目付、生地厚さに大きく関係されるが、本発明では、布帛の目付が、80〜150g/m2であることが最も好ましい。
シート状中わた部材2と接着された後において、樹脂ドット4の高さに関しては、70〜120μmである。70μm以下では、シート状中わた部材2との接着性が低下し、また、120μm以上では、シート状中わたの風合いが低下し好ましくない。
なお、予めホットメルト樹脂を布帛基布3にドット状に付与する工程では、シート状中わた部材2と接着される前の樹脂ドット4の高さを、100〜200μmとすることが好ましい。更に、120〜170μmにすることがより好ましい。
この接着される前の樹脂ドット4の高さやホットメルト樹脂の樹脂量は、彫刻ロールの穴の大きさや深さ、形状の穴設計・仕様にて、事前に把握でき、任意にコントロールできるものである。
更には、本発明の主要件である、中わた部材2と接着された後の樹脂ドット4の高さのコントロール方法については、例えば、ドット加工する彫刻ロールの穴の設計・仕様を調整する方法や、ホットメルト樹脂の中わた部材2と接着した後に、熱ロールにて樹脂ドット4を潰す方法などが挙げられる。
なお、パウダードット方式に使用する、彫刻ロールの仕様に関しては、ドットの穴口径と接着された後のドットの高さにて設計されているが、このドットの穴設計にて、中わた部材2と接着された後の樹脂ドット4の高さをコントロールすることも問題ない。
また、布帛基布3上に付与されるホットメルト樹脂量に関しては、5〜15g/m2であることが好ましい。樹脂量が5g/m2以下では、シート状中わたとの接着性が低下してしまう。一方、樹脂量が15g/m2以上では、シート状中わたの風合いが損なわれてしまうため好ましくない。樹脂量は、好ましくは、7〜12g/m2であり、より好ましくは、7〜9g/m2である。
このホットメルト樹脂量は、樹脂ドット4の大きさと、樹脂ドット4の密度との組み合わせによって決定され、彫刻ロールの穴の設計・仕様によって事前に把握できるものであり、これらを適宜調整することによってコントロールされる。
以上説明してきたように、本発明では、布帛基布3に予め、ホットメルト樹脂をドット状に配列させておくことで、例えば、表地の凹凸感に左右されず、わたの機能や接着性を十分なものとすることができる。更には、その樹脂ドット4の数、接着された後の樹脂ドット4の高さ、樹脂量を適切な範囲とすることで、保温性や防寒効果も兼ねた生地であって、中わた接着に伴う型崩れや風合い低下をなくすことができ、良好な風合いを有するものとなる。
このような積層布帛1は、
以下の工程:
中わた部材2をシート状に形成する工程、
布帛基布3上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および
前記中わた部材2と前記布帛基布3とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材2と対向させて接着する工程、を備えた製造方法によって製造される。
このとき、前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドット4の数が、75〜190ドット/cm2となり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmとなるように、製造条件が、適宜調整される。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験例(実施例および比較例)について説明する。なお、以下の実施例では、具体的な材料名や数値等を挙げて説明しているが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
下記、裏地用布帛規格、および中わた規格にて、ドット数、およびコーティング加工後の樹脂ドットの高さの実験を行った。
[布帛規格‐1]
素材:キュプラアンモニウムレーヨン100%
繊度:経糸55dt、緯糸84dt、
密度:経47.2本/cm、緯35本/cm
組織:平織
布帛幅:122cm
[中わた規格‐1]
キュプラアンモニウムレーヨン繊維(繊度:1.3d、繊維長:51mm)とポリエステル繊維(繊度:3.0d、繊維長:51mm)とを、それぞれ30:70の比率で混紡した。その後、カーディング等の工程を経て、ケミカルボンド スプレー法にて、平均目付け30g/m2で、122cm幅のシート状に形成された中わた部材を得た。
(実験例1)
75ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)を、図3に示すような装置を用いて、パウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
樹脂ドットの形成にはロール径φが240mmの彫刻ロールを用いた。樹脂ドットに対応する穴は、半円弧状であり(図4参照)、そのドット数、径、深さおよび数は、後掲する表1に示すように変更した。穴の修正は、ロール表面の銅メッキ部を再度塗りなおして、作製することができる。
次に、シート状中わた部材と布帛基布との接着には、図1に示すように、温度コントロール可能なヒートローラーとゴム製のプレスローラーにて、プレス接着した後、連続的に冷却する工程を備えた接着機を用いて(図5参照)、シート状の中わたと、コーティングされた布帛基布を同時に供給して貼り合せを行い、目的の積層布帛を得た。
接着の主な加工条件
速度:12〜13m/分
ローラープレス圧:0.3 MPa
ヒートローラー温度:180℃
(実験例2)
実験例1と同様にして、140ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、60、80、120、140、170、μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
(実験例3)
実験例1と同様にして、190ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
(実験例4)
実験例1と同様にして、45ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
(実験例5)
実験例1と同様にして、248ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
上記各実験例において、一例として、樹脂ドット数(P)と、彫刻ロールの穴の形状、との関係を、表1にまとめて示す。
以上のようにして作製された各実験例の積層布帛について、樹脂ドットの高さ、および樹脂量を、以下のようにして測定した。
(1)接着された後の樹脂ドットの高さ(H)の測定方法は、接着された中わたと布帛基布とを剥がし、布帛基布の上にあるドットの高さを、(株)キーエンス社製 デジタルマイクロスコープVHX−2000を用いて、画像処理することにより測定する(図6参照)。
なお、その高さ(H)は、ランダムに選んだドット10個の高さの算術平均値にて求める。
(2)ホットメルトの樹脂量(M)については、ホットメルト樹脂が塗布された布帛基布と元の布帛基布の目付差である。
その測定方法は、布帛基布、およびホットメルト樹脂が塗布された布帛基布に対して、それぞれ10cm角のサンプルを幅方向に均等に10か所を採取し、その目付差の算術平均値を測定した。
また、各実験例の積層布帛について、嵩高性、接着性、および風合いを、以下のようにして評価を行った。
(3)嵩高性の評価方法としては、(株)キーエンス社製 デジタルマイクロスコープVHX−2000を用い、画像処理にて、シートわたの厚みを測定することで得られる、元のシートわたの厚み(D)が布帛基布に接着された後、その厚み(d)のへたり率を、次式:
接着に伴うへたり性(G)=接着前後の厚み変化(D−d)/D×100(%)
として、算出する。へたり率(G)が小さいほど嵩高性があり、そのへたり率が、20%以上を良好(○)、20〜40%をやや良好(△)、40%以上を不可(×)として評価した。
(4)接着性の評価方法としては、一般的には、接着されたシートわたと布帛基布の剥離強度を測ることにあるが、このような測定方法では、シートわたが破壊され、真の接着力を測ることは不可能である。従って、この接着性の評価方法を次の方法にて代用評価した。
得られた積層布帛を水洗い洗濯(JIS L1096 8−64 G法)、平干し風乾し、その前後のわたの剥がれ状態の程度を官能評価した。
○:剥がれなし良好、△:やや剥がれがある、×:剥がれが著しい
(5)風合いは、布帛へのドットの当りや基布の方から触った時のソフト感を官能評価し、〇、△、×の三段階で評価した。
(6)わたの吹き出し評価方法としては、「綿ぬけ試験方法と判定基準」ICIピリングテスト機を用いるバイリーン法にて評価した。この評価方法によると、判定基準は、1〜5級あり、1〜2級を×、3級を△、4〜5級を○として評価し、3級以上を合格基準とした。
嵩高性についての評価結果を表2に、接着性についての評価結果を表3に、および風合いについての評価結果を表4に、わたの吹き出しについての評価結果を表5にそれぞれ示す。また、これらをまとめた総合評価結果を表6に示す。なお、表6中の○は、本発明の効果範囲であり、極めて課題解決効果が高いことを示す。
次に、表地用布帛、および中わたの規格を下記の如く、変更して、上記、実験例1〜5と同様なドット条件、ドットの接着された後の樹脂ドット高さの条件にて、実験例6〜10を行なった。
[布帛規格―2]
素材:66ナイロン 100%
繊度:経糸44dt、緯糸44dt、
密度:経54本/cm、緯37.4本/cm
組織:平織
布帛幅:152cm
[中わた規格−2]
ポリエステル繊維単一素材、繊度、繊維長違いを下記比率にて混繊し、ケミカルボンド スプレー法にて、平均目付け90g/m2で、150cm幅のシート状に形成された中わた部材を得た。
繊度:1.0d、繊維長:51mm 混紡率:40%
繊度:1.5d、繊維長:64mm 混紡率:40%
繊度:2.0d、繊維長:64mm 混紡率:20%
嵩高性についての評価結果を表7に、接着性についての評価結果を表8に、および風合いについての評価結果を表9に、わたの吹き出しについての評価結果を表10にそれぞれ示す。また、これらをまとめた総合評価結果を表11に示す。なお、表11中の○は、本発明の効果範囲であり、極めて課題解決効果が高いことを示す。
嵩高性については、表2、表7から明らかなように、樹脂ドット数が、190ドット/cm2を超える場合、あるいは、樹脂ドットの高さが147μmを超える場合、へたりが大きくなってしまうことがわかる。
接着性については、表3、表8から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、75ドット/cm2より少ない場合、あるいは、樹脂ドットの高さが53μmより小さい場合、十分な接着性が得られていないことがわかる。
また、風合いについては、表4、表9から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、190ドット/cm2を超える場合、あるいは、樹脂ドットの高さが147μmを超える場合、風合いが低下してしまっていることがわかる。
わたの吹き出しについては、表5、表11から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、190ドット/cm2未満の場合、あるいは、樹脂ドットの高さが68μm未満の場合、わたの吹き出しが見られることがわかる。
これらの総合評価として、表6、表11から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、75〜190ドット/cm2であり、接着された後のドットの高さ(H)が、68〜121μmである場合に、へたりにくく(嵩高く)、十分な接着性を有し、良好な風合いを有し、繊維の吹き出しもない積層布帛となることがわかる。
以上の結果から、シート状に形成された中わた部材と、予めホットメルト樹脂がドット状に配列された布帛基布とが接着された積層布帛において、樹脂ドット数(P)を75〜190ドット/cm2とし、接着後のドットの高さ(H)を70〜120μmとすることにより、十分な接着性を有しつつ、中わたを接着しても良好な風合いを有し、さらに、わた繊維の吹き出しもないことが確認された。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明による積層布帛を用いることで、保温性や防寒効果も兼ね備え、中わたを接着しても良好な風合いを有するものとなり、各種衣類の布帛として広く利用することができる。
1 積層布帛
2 中わた部材
3 布帛基布
4 樹脂ドット

Claims (5)

  1. シート状に形成された中わた部材と、
    予めホットメルト樹脂が布帛全面にドット状に付与された布帛基布とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面と、該中わた部材とを対向させて接着された積層布帛であって、
    前記ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における前記樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛。
  2. 前記中わた部材の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1に記載の積層布帛。
  3. 前記中わた部材において、繊維素材の単糸繊度が0.3〜8.0dtxであり、繊維長が20〜60mmである、請求項1または2に記載の積層布帛。
  4. 前記布帛基布の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層布帛。
  5. 以下の工程:
    中わた部材をシート状に形成する工程、
    布帛基布上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および
    前記中わた部材と前記布帛基布とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材と対向させて接着する工程、を備え、
    前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛の製造方法。
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