JP6394382B2 - 光重合性組成物、非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法、および非水電解質二次電池 - Google Patents

光重合性組成物、非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法、および非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、光重合性組成物に関する。
本発明はまた、上記の光重合性組成物を用いて製造された非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法、およびこれを含む非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、あるいは電気自動車(EV)等の用途に利用されている。
非水電解質二次電池は、一対の電極である正極および負極と、これらの間を絶縁するセパレータと、非水電解質とを備える。
非水電解質二次電池用の電極の構造としては、集電体とその上に形成された電極活物質層とを含む積層構造が知られている。
リチウムイオン二次電池において、正極集電体としてはアルミニウム箔等が用いられ、負極集電体としては銅箔等が用いられる。正極活物質としては、LiNiCoMn(1−x−y)等が好ましく用いられる(式中、0<x<1、0<y<1)。
リチウムイオン二次電池では、Liイオンの移動により充放電がなされるが、電池内には充放電に寄与するLiイオン以外に微量の金属イオンが存在し得る。
Liイオン以外の微量の金属イオンとしては、正極活物質から溶出するNiイオン、CoイオンまたはMnイオン等、集電体から溶出するAlイオンまたはCuイオン等、あるいは、製造工程で混入する金属異物から溶出するCuイオンまたはFeイオン等が挙げられる。
上記のLiイオン以外の金属イオンは負極上で還元されて金属として析出し、この析出金属は容量低下の原因となり得る。
かかる問題は、リチウムイオン二次電池に限らず、任意の非水電解質二次電池において生じ得る。
従来、不要な金属イオンを捕捉する方法として、多孔質高分子膜からなるセパレータ本体をポリエチレンイミンあるいは環状ポリアミン等の窒素原子を含有するキレート剤を含む溶液に浸漬させて、セパレータ本体にキレート剤を付着させる方法が提案されている。しかしながら、単にセパレータ本体にキレート剤を付着させるだけでは、キレート剤が脱離しやすい。脱離した窒素原子を含有するキレート剤は正極上または負極上で酸化分解または還元分解され、電池の抵抗上昇と容量低下を引き起こす恐れがある。
特許文献1には、セパレータ本体に銅イオンとキレート結合を形成する基を化学結合したリチウムイオン二次電池が開示されている(請求項1)。
特許文献1において、上記銅イオンとキレート結合を形成する基としては、イミノジ酢酸基が挙げられている(請求項2)。
特開2007-207690号公報
金属イオンの捕捉性を高めるためには、セパレータ本体に対してより多くのキレート成分を付与できることが好ましい。
特許文献1では、グラフト重合を採用している。一般にセパレータ本体に対して充分な量のグラフト鎖を導入するには強力な電子線が必要であるが、セパレータ本体に強力な電子線を照射すると、セパレータ本体が変形してしまう恐れがある。セパレータ本体の変形の恐れのない電子線照射条件では、充分な量のグラフト鎖を安定的に導入することが難しい。したがって、特許文献1に記載の方法では、セパレータ本体の変形の恐れなく、充分な量のキレート成分を付与することが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、セパレータ本体の変形の恐れなく、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分を付与でき、かつ、付与されたキレート成分の脱離を抑制することが可能な光重合性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分が付与され、かつ、付与されたキレート成分の脱離が抑制され、不要な金属イオンに起因する容量低下を抑制することが可能な非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の光重合性組成物(C)は、
1つの光重合性官能基(GX)を有する単官能光重合性単量体(N)と、
光重合開始剤(I)と、
少なくとも1つの配位原子を含み、金属イオンに対してキレート配位することが可能な炭素原子数が3以上のキレート剤(P)と、
溶媒(S)とを含むものである。
本発明の非水電解質二次電池用のセパレータは、
多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して、上記の本発明の光重合性組成物(C)を重合コーティングしてなるものである。
本発明の非水電解質二次電池用のセパレータの製造方法は、
上記の本発明の光重合性組成物(C)を用意する工程(1)と、
多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して光重合性組成物(C)を付着させる工程(2)と、
前記セパレータ本体に付着させた光重合性組成物(C)を乾燥する工程(3)と、
前記セパレータ本体に付着させた乾燥後の光重合性組成物(C)を光重合する工程(4)とを有するものである。
本発明の光重合性組成物(C)の光重合により、単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクス中にキレート剤(P)が分散された高分子組成物が生成される。この高分子組成物は、キレート剤(P)による金属イオン捕捉機能を有する。
例えば、セパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して光重合性組成物(C)を付着させた後、光重合性組成物(C)を光重合することで、セパレータ本体の少なくとも一方の電極接触面、より好ましくはセパレータ本体の少なくとも一方の電極接触面および細孔内に対して、キレート剤(P)とこれを固着する単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクスとを含む高分子組成物を重合コーティングすることができる。本発明では、単にセパレータ本体をキレート剤(P)溶液に浸漬させる方法に比して、セパレータ本体に対してより強固にキレート剤(P)を固着させることができる。その結果、キレート剤(P)の脱離が高レベルに抑制される。
本発明のセパレータは、キレート剤(P)に含まれる窒素原子等の配位原子が金属イオンに配位して、金属錯体を形成することができる。キレート剤(P)は、正極活物質、正極集電体、負極集電体、あるいは製造工程で混入した金属異物から溶出した充電に寄与しない不要な金属イオンを捕捉することができる。その結果、充電に寄与しない不要な金属イオンの負極上での金属析出およびこれによる容量低下を抑制することができる。
本発明では、生成された高分子組成物はセパレータ本体に対して強固に付着して脱離しづらいため、脱離したキレート剤(P)が正極上または負極上で酸化分解または還元分解され、電池の抵抗上昇と容量低下を引き起こす恐れもない。
本発明では、グラフト重合を用いる必要がないので、強力な電子線照射が不要であり、強力な電子線照射によるセパレータ本体の変形の恐れもない。
以上説明したように、本発明によれば、セパレータ本体の変形の恐れなく、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分を付与でき、かつ、付与されたキレート成分の脱離を抑制することが可能な光重合性組成物(C)を提供することができる。
本発明によればまた、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分が付与され、かつ、付与されたキレート成分の脱離が抑制され、不要な金属イオンに起因する容量低下を抑制することが可能な非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法を提供することができる。
本発明の非水電解質二次電池は、
上記の本発明の非水電解質二次電池用のセパレータと、当該セパレータを挟持する一対の電極とを備えたものである。
本発明の非水電解質二次電池は、上記の本発明のセパレータを用いたものであるので、電池内に充電に寄与しない金属イオンに起因した容量低下が抑制され、電池性能に優れる。
本発明によれば、セパレータ本体の変形の恐れなく、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分を付与でき、かつ、付与されたキレート成分の脱離を抑制することが可能な光重合性組成物(C)を提供することができる。
本発明によればまた、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分が付与され、かつ、付与されたキレート成分の脱離が抑制され、不要な金属イオンに起因する容量低下を抑制することが可能な非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法を提供することができる。
非水電解質二次電池の構成例を示す模式全体図である。 図1の非水電解質二次電池における電極積層体の模式断面図である。
「光重合性組成物(C)」
本発明の光重合性組成物(C)は、
単官能光重合性単量体(N)と、
光重合開始剤(I)と、
炭素原子数が3以上のキレート剤(P)と、
溶媒(S)とを含む。
本発明の光重合性組成物(C)はさらに、好ましくは架橋剤(B)を含む。
単官能光重合性単量体(N)、光重合開始剤(I)、溶媒(S)、および架橋剤(B)は、それぞれ1種または2種以上用いることができる。
本発明の光重合性組成物(C)の用途は特に制限されない。
本発明の光重合性組成物(C)を光重合すると、単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクス中にキレート剤(P)が分散された高分子組成物が生成される。この高分子組成物は、キレート剤(P)による金属イオン捕捉機能を有する。
本発明の光重合性組成物(C)は、多孔質高分子膜からなる非水電解質二次電池用のセパレータ本体の改質用として好適である。
(単官能光重合性単量体(N))
単量体(N)は、1つの光重合性官能基(GX)を含む単官能光重合性単量体である。
光重合性官能基(GX)としては、(メタ)アクリロイル基またはアリル基等が好ましく、反応性が高いことから、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」は、メタクリロイル基およびアクリロイル基を意味する。
(メタ)アクリロイル基およびアリル基等の光重合性官能基(GX)は、置換基を有していてもよい。
単官能光重合性単量体(N)の炭素原子数は特に制限されない。ただし、単官能光重合性単量体(N)の炭素原子数が多い程、単官能光重合性単量体(N)の柔軟性(分子運動性)が増す。そのため、単官能光重合性単量体(N)を光重合した後、単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクス中に含まれるキレート剤(P)が柔軟に動いて、金属イオンを捕捉しやすくなる。
単官能光重合性単量体(N)の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
単官能光重合性単量体(N)は、酸素原子等の負電荷を有する原子を含むことが好ましい。
酸素原子等の負電荷を有する原子は、Liイオン等の正の伝導イオンとイオン結合できる。そのため、Liイオン等の正の伝導イオンのいわゆるホッピングを可能とし、電池のイオン伝導性を高め、電池性能を向上することができる。
酸素原子等の負電荷を有する原子を含む基としては、アルキレンオキシド基(AO)等が挙げられる。
したがって、単官能光重合性単量体(N)としては、少なくとも1つのアルキレンオキシド基(AO)を含む基が好ましい。
かかる単官能光重合性単量体(N)としては、下記式で表される(ポリ)アルキレングリコール構造(PAG)を含む単量体が挙げられる。
−(AO)−・・・(PAG)
上記式(PAG)中、Aは置換基を有していてもよいアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、(AO)はアルキレンオキシド基である。
nはアルキレンオキシド基(AO)の数であり、nは1以上、好ましくは2以上である。
(ポリ)アルキレングリコール構造(PAG)中の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
アルキレンオキシド基(AO)としては、エチレンオキシド基(−CHCHO−)等が挙げられる。この場合、nは1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは3〜20である。
単官能光重合性単量体(N)としては、下記式で表される光重合性単量体(NI)が挙げられる。
(GX)−(AO)-(GE)・・・(NI)
上記式(NI)中、(GX)は光重合性官能基である。
Aは置換基を有していてもよいアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、AO(OAの場合もある。)はアルキレンオキシド基である。
nはアルキレンオキシド基(AO)の数であり、nは1以上である。
単官能光重合性単量体(N)としては、下記式で表される(ポリ)アルキレングリコールアクリレート(NI−a)等が挙げられる。
CH=CH−CO−(OA)-OR(n≧1)・・・(NI−a)
上記式(NI−a)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基である。
上記のように、単官能光重合性単量体(N)は酸素原子等の負電荷を有する原子を含むことが好ましいが、単官能光重合性単量体(N)は置換基を有していてもよいアルキル基等の負電荷を有する原子を含まない単量体であってもよい。
(光重合開始剤(I))
光重合開始剤(I)としては特に制限されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(I)としては、
メチルフェニルグリオキシレート、および9,10−フェナンスレンキノン等のα−ジケトン類;
ベンゾイン等のアシロイン類;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、およびイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;
ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;
アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)社製「IRGACURE907」)、および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類;
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン、および1,4−ナフトキノン等のキノン類;
2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、および4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル等のアミノ安息香酸類;
フェナシルクロライド、およびトリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物;
アシルホスフィンオキシド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、アセチルオキシム等のオキシムエステル類;
トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびジエチルアミノエチルメタクリレート等の脂肪族アミン類;
2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,4−ブタノールビス(3−メルカプトブチレート)、トリス(2−メルカプトプロパノイルオキシエチル)イソシアヌレート、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物等が挙げられる。
キレート剤(P)
キレート剤(P)は、少なくとも1つの配位原子を含み、金属イオンに対してキレート配位することが可能な化合物である。
配位原子としては、窒素原子(N)および酸素原子(O)等が挙げられる。
1つの金属イオンに対して複数の配位原子が配位して、金属イオンが捕捉される。
金属イオンが銅イオンであり、配位原子が窒素原子である場合、銅イオンの周りを4つの窒素原子が取り囲んで配位して銅イオンを捕捉する状態が、最も安定的な捕捉状態である。したがって、金属イオンが銅イオンであり、配位原子が窒素原子である場合、1つのキレート剤(P)が4以上の窒素原子を含むことが特に好ましい。ただし、1つのキレート剤(P)に含まれる窒素原子の数は4以上でなくても、捕捉効果は発現する。
窒素原子は、銅イオン以外の金属イオンに対しても配位して、捕捉することができる。
捕捉効果が効果的に発現することから、キレート剤(P)は、炭素原子数が3以上であり、配位原子の数が3以上であることが好ましい。キレート剤(P)の配位原子の数はより好ましくは4以上である。
キレート剤(P)としては、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖ポリアミン(LPA)、および環状ポリアミン(RPA)からなる群より選択され、配位原子として窒素原子を含む炭素原子数3以上の窒素原子含有化合物が好ましい。
ポリエチレンイミン(PEI)は、エチレンイミンの重合体である。通常、ポリエチレンイミン(PEI)は完全な線状重合体でなく、1級アミン、2級アミン、および3級アミンを含む分岐構造を有する重合体である。
直鎖ポリアミン(LPA)は、−R−NH−基(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキレン基である。)が直鎖状に複数(n個)繋がった構造を有する。この直鎖アミン(LPA)は、概略、下記式で表される。
−(R−NH)−・・・(LPA)
上記式(LPA)中、Rは置換基を有していてもよいアルキレン基である。なお、n個の−R−NH−基は、Rの炭素原子数が同一でも非同一でもよい。
nは、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
上記直鎖ポリアミンの両末端は、非置換の場合、−NHである。
nが4〜6の場合の直鎖ポリアミン(LPA)としては、下記式で表される、トリエチレンテトラミン(LPA−1)、テトラエチレンペンタミン(LPA−2)、および、ペンタエチレンヘキサミン(LPA−3)等が挙げられる。
Figure 0006394382
環状ポリアミン(RPA)は、−R−NH−基(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキレン基である。)が環状に複数(n個)繋がった構造を有する。
環状ポリアミン(RPA)についても、直鎖ポリアミン(LPA)と同様、n個の−R−NH−基は、Rの炭素原子数が同一でも非同一でもよい。
環状ポリアミン(RPA)についても、直鎖ポリアミン(LPA)と同様、nは好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
n=4の場合の環状ポリアミン(RPA)としては、下記式で表される、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(RPA−1)、および、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(慣用名シクラム)(RPA−2)等が挙げられる。
Figure 0006394382
直鎖ポリアミン(LPA)および環状ポリアミン(RPA)において、置換基は、アルキレン基Rに含まれる炭素原子に結合していてもよいし、窒素原子に結合していてもよい。
置換基としては特に制限なく、公知の任意の置換基を適用できる。
例えば、少なくとも1つの−R−NH−基において、窒素原子に結合している水素原子がアルキル基等に置換されていてもよい。
環状ポリアミン(RPA)はそれ自身が環を有し、その環の内部に金属イオンを安定的に取り込める。したがって、金属イオンの捕捉効果が高く、好ましい。
その他のキレート剤(P)としては、
アセチルアセトン等のジケトン:
イミノ二酢酸およびエチレンジアミン四酢酸等の窒素原子含有カルボン酸が挙げられる。
(架橋剤(B))
架橋剤(B)としては、公知の架橋剤を用いることができる。
架橋剤(B)としては、2つ以上の光重合性官能基を有する光重合性単量体等が挙げられる。
ここで、光重合性官能基としては、単官能光重合性単量体(N)中の光重合性官能基(GX)と同様、(メタ)アクリロイル基またはアリル基等が好ましく、反応性が高いことから、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
(メタ)アクリロイル基およびアリル基等の光重合性官能基は、置換基を有していてもよい。
架橋剤(B)としては、下記式で表される二官能光重合性単量体(BI)が好ましい。
(GX)−(GM)−(GX)・・・(BI)
上記式中、(GX)および(GX)はそれぞれ独立に1価の光重合性官能基である。
(GM)は任意の2価の有機基である。
上記したように、(GX)および(GX)はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基またはアリル基等であることが好ましく、反応性が高いことから、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。反応性が高いことから、(GX)および(GX)はアクリロイル基であることが特に好ましい。(GX)および(GX)がアクリロイル基である場合、二官能光重合性単量体(BI)はジアクリレート化合物である。
単官能光重合性単量体(N)と同様の理由から、有機基(GM)は、酸素原子等の負電荷を有する原子を含むことが好ましく、例えば少なくとも1つのアルキレンオキシド基(AO)を含むことが好ましい。
架橋剤(B)としては、単官能光重合性単量体(N)と同様、(ポリ)アルキレングリコール構造(PAG)を含むものが挙げられる。
かかる架橋剤(B)としては、下記式で表される二官能光重合性単量体(BI−a)が挙げられる。
(GX)−(AO)-(GX)・・・(BI−a)
上記式(BI−a)中、(GX)および(GX)は上記と同様である。
Aは置換基を有していてもよいアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、(AO)はアルキレンオキシド基である。
nはアルキレンオキシド基(AO)の数であり、nは1以上、好ましくは2以上である。
(ポリ)アルキレングリコール構造(PAG)中の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
アルキレンオキシド基(AO)としては、エチレンオキシド基(−CHCHO−)等が挙げられる。この場合、nは1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは3〜20である。
架橋剤(BI−a)としては、下記式で表される(ポリ)アルキレングリコールジアクリレート(BI−a1)等が挙げられる。
CH=CH−CO−O(AO)−OC−CH=CH(n≧1)・・・(BI−a1)
架橋剤(B)を用いることで、単官能光重合性単量体(N)の光重合時に架橋反応を起こさせ、生成される重合体をより強固にセパレータ本体に固着させることができる。
また、架橋剤(B)を用いる場合、セパレータ本体の細孔内の壁面に沿って重合体を薄く生成することができ、細孔が生成される重合体によって閉塞されることを抑制できる。
(溶媒(S))
溶媒(S)としては特に制限されず、水等の無機溶媒でもよいし、エタノール等の各種アルコール等の有機溶媒でもよい。
溶媒(S)は、複数種の混合溶媒でもよい。
(任意成分)
光重合性組成物(C)は上記成分の他、必要に応じて、1種または2種以上の任意成分を含むことができる。
光重合性組成物(C)は必要に応じてに応じて、公知の1種または2種以上の界面活性剤を含むことができる。この場合、セパレータ本体の細孔内への光重合性組成物(C)の浸透性が増し、セパレータ本体に対してより効果的にキレート成分を導入することができる。
光重合性組成物(C)中の各成分の配合比は特に制限されない。
好ましい配合比は、以下の通りである。
単官能光重合性単量体(N)と溶媒(S)との合計100質量部に対して、単官能光重合性単量体(N)の量は1〜50質量部であり、溶媒(S)の量は99〜50質量部であることが好ましい。
単官能光重合性単量体(N)100質量%に対して、架橋剤(B)の添加量は0〜5質量%であることが好ましい。
単官能光重合性単量体(N)100質量%に対して、光重合開始剤(I)の添加量は0.1〜5質量%であることが好ましい。
単官能光重合性単量体(N)100質量%に対して、キレート剤(P)の添加量は1〜30質量%であることが好ましい。
「非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法」
本発明の非水電解質二次電池用のセパレータは、
多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して、上記の本発明の光重合性組成物(C)を重合コーティングしてなるものである。
本発明の非水電解質二次電池用のセパレータは、下記の製造方法によって製造できる。
本発明の非水電解質二次電池用のセパレータの製造方法は、
上記の本発明の光重合性組成物(C)を用意する工程(1)と、
多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して光重合性組成物(C)を付着させる工程(2)と、
セパレータ本体に付着させた光重合性組成物(C)を乾燥する工程(3)と、
セパレータ本体に付着させた乾燥後の光重合性組成物(C)を光重合する工程(4)とを有する。
工程(2)において、セパレータ本体に対して光重合性組成物(C)を付着させる方法としては特に制限されず、浸漬、塗布、およびスプレー噴霧等が挙げられる。
工程(3)においては、溶媒(S)を乾燥除去する。溶媒の乾燥除去方法は特に制限なく、温風乾燥、冷風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、および減圧加熱乾燥等が挙げられる。
セパレータ本体の収縮を抑制するために、乾燥温度は100℃以下が好ましい。
工程(4)において、光重合に用いる光としては、紫外光(UV)等が挙げられる。
本発明では、セパレータ本体を変形する恐れのある強力な電子線は不要である。
本発明の製造方法では、本発明の光重合性組成物(C)の光重合により、単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクス中にキレート剤(P)が分散された高分子組成物が生成される。この高分子組成物は、キレート剤(P)による金属イオン捕捉機能を有する。
セパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して光重合性組成物(C)を付着させた後、光重合性組成物(C)を光重合することで、セパレータ本体の少なくとも一方の電極接触面、より好ましくはセパレータ本体の少なくとも一方の電極接触面および細孔内に対して、キレート剤(P)とこれを固着する単官能光重合性単量体(N)の重合体マトリクスとを含む高分子組成物を重合コーティングすることができる。したがって、単にセパレータ本体をキレート剤(P)溶液に浸漬させる方法に比して、セパレータ本体に対してより強固にキレート剤(P)を固着させることができる。その結果、キレート剤(P)の脱離が高レベルに抑制される。
本発明のセパレータは、キレート剤(P)に含まれる窒素原子等の配位原子が金属イオンに配位して、金属錯体を形成することができる。キレート剤(P)は、正極活物質、正極集電体、負極集電体、あるいは製造工程で混入した金属異物から溶出した充電に寄与しない不要な金属イオンを捕捉することができる。その結果、充電に寄与しない不要な金属イオンの負極上での金属析出およびこれによる容量低下を抑制することができる。
例えば、リチウムイオン二次電池において、正極集電体としてはアルミニウム箔等が用いられ、負極集電体としては銅箔等が用いられる。正極活物質としては、LiNiCoMn(1−x−y)等が好ましく用いられる(式中、0<x<1、0<y<1)。
リチウムイオン二次電池では、Liイオンの移動により充放電がなされるが、電池内には充放電に寄与するLiイオン以外に微量の金属イオンが存在し得る。
Liイオン以外の微量の金属イオンとしては、正極活物質から溶出するNiイオン、CoイオンまたはMnイオン等、集電体から溶出するAlイオンまたはCuイオン等、あるいは、製造工程で混入する金属異物から溶出するCuイオンまたはFeイオン等が挙げられる。
本発明の製造方法では、生成された高分子組成物はセパレータ本体に対して強固に付着して脱離しづらいため、脱離したキレート剤(P)が正極上または負極上で酸化分解または還元分解され、電池の抵抗上昇と容量低下を引き起こす恐れもない。
本発明の製造方法では、グラフト重合を用いる必要がないので、強力な電子線照射が不要であり、強力な電子線照射によるセパレータ本体の変形の恐れもない。
以上説明したように、本発明によれば、セパレータ本体の変形の恐れなく、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分を付与でき、かつ、付与されたキレート成分の脱離を抑制することが可能な光重合性組成物(C)を提供することができる。
本発明によればまた、セパレータ本体に対して充分な量のキレート成分が付与され、かつ、付与されたキレート成分の脱離が抑制され、不要な金属イオンに起因する容量低下を抑制することが可能な非水電解質二次電池用のセパレータとその製造方法を提供することができる。
「非水電解質二次電池」
図1及び図2に、本発明に係る一実施形態の非水電解質二次電池の構成を示す。図1は模式全体図、図2は電極積層体の模式断面図である。
図1に示す非水電解質二次電池1は、外装体(電池容器)11内に、電極積層体20と非水電解質(符号略)とが収容されたものである。
図2に示すように、電極積層体20は、正極21と負極22とがこれらを絶縁するセパレータ23を介して積層されたものである。
外装体11の外面には、外部接続用の2個の外部端子(一方はプラス端子、他方はマイナス端子)12が設けられている。
非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
以下、リチウムイオン二次電池を例として、主な構成要素について説明する。
(正極)
正極は、公知の方法により、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布して、製造することができる。
公知の正極活物質としては特に制限なく、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−x)、およびLiNiCoMn(1−x−y)等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる(式中、0<x<1、0<y<1)。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の分散剤を用い、上記の正極活物質と、炭素粉末等の導電助剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合および混練して、ペーストを得、このペーストをアルミニウム箔等の集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、正極活物質層を形成することができる。
正極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を用いる場合、集電体を用いずに、正極活物質をそのまま正極として用いることができる。
(負極)
負極活物質としては特に制限なく、Li/Li+基準で2.0V以下にリチウム吸蔵能力を持つものが好ましく用いられる。負極活物質としては、黒鉛等の炭素、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、および、これらの組合わせ等が挙げられる。
負極は例えば、公知の方法により、銅箔などの負極集電体に負極活物質を塗布して、製造することができる。
例えば、水等の分散剤を用い、負極活物質と、変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の結着剤と、必要に応じてカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)等の増粘剤とを混合して、ペーストを得、このペーストを銅箔等の集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、負極を得ることができる。
負極活物質として金属リチウムおよび/またはリチウム合金を用いる場合、集電体を用いずに、負極活物質をそのまま負極として用いることができる。
(非水電解質)
非水電解質としては公知のものが使用でき、液状、ゲル状もしくは固体状の非水電解質が使用できる。
例えば、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電界液が好ましく用いられる。
混合溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(S)が好ましく用いられる。
リチウム含有電解質としては例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF{C(2k+1)(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、及びこれらの組合わせが挙げられる。
(セパレータ)
セパレータとしては、上記の本発明のセパレータを用いる。
すなわち、多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して、上記の本発明の光重合性組成物(C)を重合コーティングしてなる非水電解質二次電池用のセパレータを用いる。
セパレータ本体としては特に制限なく、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつLiイオン等の充放電に寄与する金属イオンが透過可能な多孔質高分子膜であればよい。
セパレータ本体としては、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましく用いられる。
(外装体(電池容器))
外装体としては公知のものが使用できる。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型(ラミネート型)等があり、所望の型に合わせて外装体を選定することができる。
本実施形態の非水電解質二次電池1は、上記の本発明のセパレータを用いたものであるので、電池内に充電に寄与しない金属イオンに起因した容量低下が抑制され、電池性能に優れる。
本発明に係る実施例および比較例について説明する。
[実施例1、2]
実施例1、2において、以下の材料を用意した。
<1>溶媒(S):エタノール
<2>単官能光重合性単量体(N):下記式で表されるポリエチレングリコールアクリレート
CH=CH−CO−(OCH−CH-OCH(n=9)
<3>架橋剤(B):下記式で表されるポリエチレングリコールジアクリレート
CH=CH−CO−O(CH−CHO)−OC−CH=CH(n=9)
<4>キレート剤(P):市販のポリエチレンイミン(純正化学(株)社製、質量平均分子量600)(実施例1)、および、環状ポリアミン(RPA−2)(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(慣用名シクラム、化学構造は上記[化2]を参照)(実施例2)
<5>重合開始剤(I):2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)社製「IRGACURE907」)
実施例1、2においては、上記材料<1>〜<5>を用い、表1に示す組成で、光重合性組成物(C)を調製した。
表1中、架橋剤(B)、光重合開始剤(I)、およびキレート剤(P)の添加量は、単官能光重合性単量体(N)100質量%に対する添加量である。
[比較例1〜3]
比較例1〜3において、以下の材料を用意した。
<6>溶媒(S):エタノール
<7>キレート剤(P):ポリエチレンイミン(PEI)(純正化学(株)社製、質量平均分子量600)(比較例2)、および、環状ポリアミン(RPA−2)(1,5,8,12−テトラアザシクロテトラデカン(慣用名シクラム、化学構造は上記[化2]を参照)(比較例3)
比較例1においては、材料としてエタノールのみを用い、これを比較用の組成物(G)とした。
比較例2、3においては、上記材料<6>、<7>を用い、表2に示す組成で、比較用の組成物(G)(キレート剤(P)溶液)を調製した。
表2中、キレート剤(P)の添加量は、溶媒(S)100質量部のうち10質量部を単官能光重合性単量体(N)に置き換えたと仮定した場合(実施例1、2に対応)の単官能光重合性単量体(N)100質量%に対する添加量である。
表2には比較例1についても、配合組成を記載してある。
(セパレータの製造)
実施例1、2および比較例1〜3の各例において、セパレータ本体として共通の市販のポリエチレン製セパレータを用意した。
比較例1においては、セパレータ本体をエタノールに5分間浸漬させ、エタノールから取り出したセパレータ本体を100℃で熱風乾燥させた。これを比較用のセパレータとして、評価に供した。
比較例2、3の各例においては、セパレータ本体を各例において得られた比較用の組成物(G)に5分間浸漬させ、組成物(G)から取り出したセパレータ本体を100℃で熱風乾燥させて、比較用のセパレータを得た。
実施例1、2の各例においては、セパレータ本体を各例において得られた光重合性組成物(C)に5分間浸漬させ、光重合性組成物(C)から取り出したセパレータ本体を100℃で熱風乾燥させた後、セパレータ本体に対してピーク波長365nmの紫外光(UV)を3000mJ照射して光重合させて、本発明のセパレータを得た。
[比較例4]
セパレータ本体として市販のポリエチレン製セパレータを用意した。
上記のセパレータ本体に対して、ピーク波長172nm、2000mW/cmの紫外光(UV)を照射した。紫外光(UV)照射直後のセパレータ本体を、10質量%のメタクリル酸グリシジルと0.5質量%のエチレングリコールジメタクリレートとを含むエタノール溶液に浸漬させて、グラフト共重合を行った。
別途、ジメチルスルホキシドの50質量%水溶液に、10質量%のポリエチレンイミン(PEI)(質量平均分子量300)を溶解したポリエチレンイミン溶液を用意した。
上記グラフト共重合後のセパレータ本体を上記ポリエチレンイミン(PEI)溶液に浸漬させて、グラフト共重合後のセパレータ本体に対してキレート剤(P)(ポリエチレンイミン(PEI))を付着させた。その後、エタノール洗浄および乾燥を実施して、比較用のセパレータを得た。
主な製造条件を表3に示す。
(評価用リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1、2および比較例1〜4の各例においては、各例において得られたセパレータを用い、セパレータを変える以外は同条件として、評価用リチウムイオン二次電池を製造した。
<正極>
正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた。
分散剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用い、上記の正極活物質と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるPVDFとを混合および混練して、ペーストを得た。得られたペーストを集電体であるアルミニウム箔上にドクターブレード法で塗布し、乾燥し、プレス加工して、正極を得た。
正極のサイズは、30mm×30mmとした。
<負極>
負極活物質として、黒鉛を用いた。
分散剤として水を用い、上記の負極活物質と、結着剤である変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)とを混合および混練して、ペーストを得た。得られたペーストを集電体である銅箔上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、負極を得た。
負極のサイズは、32mm×32mmとした。
<非水電解液>
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=1/1/1(体積比)の混合溶液を溶媒(S)とし、リチウム塩であるLiPFを1mol/Lの濃度で溶解した。さらに、意図的に電解液中にCu2+イオンを含有させるために、Cu塩を1質量%添加した。Cu塩のアニオンとしては、リチウムイオン二次電池の電位に耐えるものを選定した。
以上のようにして、評価用の非水電界液(Cuイオンあり)を調製した。
<電池組立>
負極とセパレータと正極とを1層ずつ重ねて電極積層体を得た。この電極積層体とフィルム外装体と非水電解液とを用い、公知方法により、フィルム型(ラミネート型)の評価用リチウムイオン二次電池(Cuイオンあり)を製造した。
(サイクル充放電試験)
実施例1、2および比較例1〜4の各例において得られた評価用リチウムイオン二次電池(Cuイオンあり)について、室温(20〜25℃)にて、充放電レート1Cの条件で、3V−4V間の充放電を500サイクル繰り返し、下記式に基づいて、容量維持率を算出した。
[容量維持率(%)]=[サイクル後の電池容量]/[初期の電池容量]×100
(評価結果)
評価結果を表1〜表3に示す。
市販のセパレータをそのまま用いた比較例1では、Cuイオンに起因して、容量維持率の大幅な低下が見られた。なお、Cuイオンなしの条件で市販のセパレータを用いた場合の容量維持率は90%であった。
単にセパレータ本体をキレート剤(P)溶液に浸漬させた比較例2、3では、比較例1に対して容量維持率の向上は見られなかった。単にセパレータ本体をキレート剤(P)溶液に浸漬させる方法では、充分なキレート効果を得ることが難しいと考えられる。
セパレータ本体に対して紫外光(UV)を用いてグラフト重合し、グラフト重合後のセパレータ本体をキレート剤(P)であるポリエチレンイミン(PEI)の溶液に浸漬させた比較例4では、比較例1に対して容量維持率の有意な向上効果は見られなかった。紫外光(UV)を用いたグラフト重合ではラジカル発生が少なく、充分な量のグラフト鎖を導入することが難しいと考えられる。また、セパレータ本体をキレート剤(P)溶液に浸漬させるだけでは、充分なキレート効果を得ることが難しいと考えられる。
セパレータ本体に対して、単官能光重合性単量体(N)とキレート剤(P)とを含む光重合性組成物(C)を用い、紫外光(UV)照射により光重合を実施した実施例1、2では、比較例1に対して、容量維持率の顕著な向上効果が見られた。
Figure 0006394382
Figure 0006394382
Figure 0006394382
1 非水電解質二次電池
11 外装体(電池容器)
12 外部端子
20 電極積層体
21 正極
22 負極
23 セパレータ

Claims (12)

  1. 1つの光重合性官能基(GX)を有する単官能光重合性単量体(N)と、
    光重合開始剤(I)と、
    少なくとも1つの配位原子を含み、金属イオンに対してキレート配位することが可能な炭素原子数が3以上のキレート剤(P)と、
    溶媒(S)とを含み、
    多孔質高分子膜からなる非水電解質二次電池用のセパレータ本体の改質用である、
    光重合性組成物。
  2. さらに架橋剤(B)を含む、請求項1に記載の光重合性組成物。
  3. 単官能光重合性単量体(N)中の光重合性官能基(GX)は、置換基を有していてもよい(メタ)アクリロイル基または置換基を有していてもよいアリル基である、請求項1または2に記載の光重合性組成物。
  4. キレート剤(P)の前記配位原子の数が3以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性組成物。
  5. 前記配位原子は、窒素原子または酸素原子である、請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性組成物。
  6. キレート剤(P)は、ポリエチレンイミン、直鎖ポリアミン、および環状ポリアミンからなる群より選択され、前記配位原子として窒素原子を含む窒素原子含有化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の光重合性組成物。
  7. 単官能光重合性単量体(N)は少なくとも1つのアルキレンオキシド基を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の光重合性組成物。
  8. 単官能光重合性単量体(N)の炭素原子数が3以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の光重合性組成物。
  9. 架橋剤(B)は2つ以上の光重合性官能基を含む光重合性単量体である、請求項2に記載の光重合性組成物。
  10. 多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して、請求項1〜9のいずれかに記載の光重合性組成物(C)を重合コーティングしてなる、非水電解質二次電池用のセパレータ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の光重合性組成物(C)を用意する工程(1)と、
    多孔質高分子膜からなるセパレータ本体の電極接触面および/または細孔内表面に対して光重合性組成物(C)を付着させる工程(2)と、
    前記セパレータ本体に付着させた光重合性組成物(C)を乾燥する工程(3)と、
    前記セパレータ本体に付着させた乾燥後の光重合性組成物(C)を光重合する工程(4)とを有する、
    非水電解質二次電池用のセパレータの製造方法。
  12. 請求項10に記載の非水電解質二次電池用のセパレータと、当該セパレータを挟持する一対の電極とを備えた、
    非水電解質二次電池。
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