JP6392536B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
放電制御部は、点火コイル(40)、点火スイッチ(45)、整流素子(46)、エネルギ投入手段(50)、及び、投入エネルギ制御手段(33)を有する。点火コイルは、直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、及び、点火プラグの電極に接続され一次電流の通電及び遮断によって発生する放電電流としての二次電流が流れる二次コイル(42)を有する。点火スイッチは、一次コイルの直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号(IGT)に従って一次電流の通電と遮断とを切り替える。清流素子は、一次コイルの接地側に設けられ、接地に向かう電流を遮断し接地から一次コイルの接地側に向かう電流を通す。エネルギ投入手段は、点火スイッチによる一次電流の遮断によって点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間(IGW)において、放電を可能とするエネルギを点火コイルの接地側から継続的に投入する。投入エネルギ制御手段は、エネルギ投入手段と電気的に接続し、エネルギ投入手段による投入エネルギを制御する。放電制御部は、触媒の温度が所定の温度より低いと触媒温度判定手段が判定すると、点火プラグの放電時間の通常の放電時間からの延長及び点火プラグの放電電流の同じ極性での増加の少なくとも一方を行う。
本発明の一実施形態による「内燃機関の制御装置」としてのエンジン制御装置1は、車両等に搭載されるエンジンシステムに適用される。エンジン制御装置1は、放電制御部30、「運転状態検出手段」としてのクランク位置センサ35、「運転状態検出手段」としての触媒温度センサ341、「触媒温度判定手段」としての触媒温度判定部34、吸気ポート用インジェクタ15、「直噴用燃料噴射弁」としての直噴用インジェクタ26などから構成されている(図2参照)。
電子制御ユニット32には、破線矢印で示すように、クランク位置センサ35、カム位置センサ36、水温センサ37、スロットル開度センサ38、吸気量センサ39、触媒温度センサ341などの各種センサからの検出信号が入力される。電子制御ユニット32は、これらの各種センサからの検出信号に基づき、実線矢印で示すように、スロットル弁13、吸気ポート用インジェクタ15、直噴用インジェクタ26、及び、点火回路ユニット31などを駆動してエンジン12の運転状態を制御する。
図2に示すように、放電制御部30は、点火コイル40、点火回路ユニット31、及び、電子制御ユニット32の制御信号出力部33を含む。
一次コイル41は、一端が一定の直流電圧を供給可能な「直流電源」としてのバッテリ6の「非接地側出力端子」としての正極に接続されており、他端が点火スイッチ45を介して接地されている。以下、一次コイル41のバッテリ6と接続する側とは反対側を「接地側」という。
二次コイル42は、一次コイル41と磁気的に結合されている。二次コイル42の一端は点火プラグ7の一対の電極を介して接地されており、他端は整流素子43及び二次電流検出抵抗47を介して接地されている。
点火スイッチ45は、ゲートに入力される点火信号IGTに応じてオンオフ動作する。詳しくは、点火スイッチ45は、点火信号IGTの立ち上がり時にオンとなり、点火信号IGTの立ち下がり時にオフとなる。一次コイル41における一次電流I1は、点火スイッチ45により点火信号IGTに従って通電及び遮断が切り替えられる。
エネルギ蓄積コイル52は、一端がバッテリ6に接続され、他端が充電スイッチ53を介して接地されている。充電スイッチ53は、例えば、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)から構成されている。充電スイッチ53の「第二電源側端子」としてのドレインは、エネルギ蓄積コイル52に接続されている。充電スイッチ53の「第二接地側端子」としてのソースは、接地されている。充電スイッチ53の「第二制御端子」としてのゲートは、充電スイッチ用ドライバ回路54に接続されている。充電スイッチ用ドライバ回路54は、充電スイッチ53をオンオフ駆動可能である。
整流素子55は、ダイオードで構成されており、コンデンサ56からエネルギ蓄積コイル52及び充電スイッチ53側への電流の逆流を防止する。
コンデンサ56は、一方の電極が整流素子55を介してエネルギ蓄積コイル52の接地側に接続されている。また、コンデンサ56の他方の電極は、接地されている。コンデンサ56は、DCDCコンバータ51によって昇圧された電圧を蓄電する。
整流素子59は、ダイオードで構成されており、点火コイル40からコンデンサ56への電流の逆流を防止している。
なお、図2では1気筒に対する構成のみを示しているが、実際には、放電スイッチ57以降の構成は気筒数分が並列して設けられている。すなわち、放電スイッチ57の手前で電流経路が気筒毎に分岐され、コンデンサ56に蓄積されたエネルギが各経路に分配される。
点火信号IGTは、点火スイッチ45のゲート、及び、充電スイッチ用ドライバ回路54に入力される。点火スイッチ45は、点火信号IGTが入力されている期間、オンとなる。充電スイッチ用ドライバ回路54は、点火信号IGTが入力されている期間、充電スイッチ53のゲートに対し、充電スイッチ53をオンオフ制御する充電スイッチ信号SWcを繰り返し出力する。
図3のタイムチャートは、共通の時間軸を横軸とし、縦軸に上から順に、点火信号IGT、エネルギ投入期間信号IGW、コンデンサ電圧Vdc、一次電流I1、二次電流I2、投入エネルギP、充電スイッチ信号SWc、放電スイッチ信号SWdの時間変化を示している。
ここで、「コンデンサ電圧Vdc」は、コンデンサ56に蓄電された電圧を意味する。また、「投入エネルギP」は、コンデンサ56から放出され一次コイル41の低電圧側端子側から点火コイル40に供給されるエネルギを意味し、点火プラグ7における1回の放電における供給開始(最初の放電スイッチ信号SWdの立ち上がり)からの積算値を示す。
このようにして、点火信号IGTがHレベルに立ち上がっている時刻t1から時刻t2間に、点火コイル40が充電されるとともに、DCDCコンバータ51の出力によってコンデンサ56にエネルギが蓄積される。このエネルギの蓄積は、時刻t2までに終了する。
このとき、コンデンサ電圧Vdc、すなわち、コンデンサ56のエネルギ蓄積量は、充電スイッチ信号SWcのオンデューティ比及びオンオフ回数によって制御可能である。
時刻t2で点火放電を発生させた後にエネルギ投入を行わない場合、二次電流I2は、破線BL1で示すように、時間経過とともに0[A]に近づき、放電を維持できない程度まで減衰すると放電は終了する。このような放電による点火方式を「通常放電」という。
すなわち、放電スイッチ信号SWdがオンになる毎に、コンデンサ56の蓄積エネルギにより一次電流I1が順次追加される。これに対応して、二次電流I2が順次追加される。これにより、実線SL1に示すように、二次電流I2は、目標二次電流I2*に一致するように維持される。
時刻t4でエネルギ投入期間信号IGWがLレベルに立ち下げられると、放電スイッチ信号SWdのオンオフ動作が停止し、一次電流I1及び二次電流I2はゼロとなる。
図5に、エンジン12の定常運転制御及び触媒暖機制御のそれぞれにおけるエンジン12の各部の動作のタイムチャートを示す。図5では、共通の横軸にクランクシャフト18のクランク角(ピストン17の位置)を示し、縦軸に上から吸気弁22の開閉状態、排気弁23の開閉状態、定常運転制御におけるエンジン12の各部の動作及び燃焼室16の圧力、触媒暖機制御におけるエンジン12の各部の動作及び燃焼室16の圧力を示している。定常運転制御及び触媒暖機制御におけるエンジン12の各部の動作においては、吸気ポート用インジェクタ15による吸気マニホールド14内への燃料の噴射時期を「吸気マニホールド噴射時期」と示す。また、直噴用インジェクタ26による燃焼室16への燃料の噴射時期を「燃焼室噴射時期」と示す。また、点火プラグ7の放電時期を「放電時期」と示し、燃焼室16の圧力を「燃焼室圧力」と示す。なお、燃焼室圧力は、点火プラグ7による放電によって燃焼室16の混合気が点火する前後における圧力のみ示す。
吸気弁22は、実線矢印V22が示すように、ピストン17が180°から360°に移動する途中、すなわち、圧縮TDC後のBDCから排気TDCに移動する途中において開弁し、吸気マニホールド14内の気体を燃焼室16に導入する。その後、ピストン17が540°から720°に移動する途中、すなわち、排気TDC後のBDCから次の圧縮TDCに移動する途中において閉弁する。
排気弁23は、実線矢印V23が示すように、ピストン17が0°から180°に移動する途中、すなわち、圧縮TDCからBDCに移動する途中において開弁し、燃焼排ガスを排気マニホールド20に排出する。その後、ピストン17が360°、すなわち、排気TDCの位置にあるとき閉弁する。
吸気ポート用インジェクタ15は、ピストン17が180°から360°に移動する途中であって、吸気弁22が開弁する前に吸気マニホールド14に燃料を噴射する(実線矢印IJ11)。また、直噴用インジェクタ26は、ピストン17が360°から540°に移動する途中であって、吸気弁22が開弁しているとき、燃焼室16に燃料を噴射する(実線矢印IJ12)。
吸気ポート用インジェクタ15及び直噴用インジェクタ26による燃料の噴射の後、点火プラグ7は、エンジン12でのノッキングを回避しつつ出力が最大となるようピストン17が680°から720°(圧縮TDC)の位置にあるとき、放電を開始し、燃焼室16の混合気を燃焼する(白抜き丸印SP1)。このとき、図5の曲線CL1に示すように、燃焼室16の圧力は、放電開始タイミングから少し遅れた時刻において最大となる。
吸気ポート用インジェクタ15は、定常運転制御の場合と同じように、ピストン17が180°から360°に移動する途中であって、吸気弁22が開弁する前に吸気マニホールド14に燃料を噴射する(実線矢印IJ21)。
一方、直噴用インジェクタ26は、ピストン17が540°から720°に移動する途中において、吸気弁22が閉弁した後に燃焼室16に燃料を噴射する(実線矢印IJ22)。すなわち、触媒暖機制御における直噴用インジェクタ26の燃料の噴射時期は、定常運転制御における直噴用インジェクタ26の燃料の噴射時期に比べ圧縮TDC寄りに設定されている。
吸気ポート用インジェクタ15及び直噴用インジェクタ26による燃料の噴射の後、点火プラグ7は、720°から900°に移動する途中に放電を開始し、燃焼室16の混合気を燃焼する(白抜き丸印SP2)。すなわち、触媒暖機制御における点火プラグ7の放電開始タイミングは、定常運転制御における点火プラグ7の放電開始タイミングに比べ遅角側に設定されている。
S103における放電延長制御及びS104における触媒暖機制御によって、図5の曲線CL2に示すように、燃焼室16の圧力は、圧縮TDC直後に最大となった後一旦小さくなるが、点火プラグ7の放電開始によって720°から900°に移動する途中に再び上昇する。
そこで、一実施形態によるエンジン制御装置1では、触媒暖機制御における点火プラグ7の放電時間をS104における点火プラグ7の遅角側への移行の大きさに応じて変更し、燃焼室16における混合気の失火を防止する。したがって、エンジン制御装置1では、点火プラグ7の放電時期が遅角側に移行しても混合気を確実に燃焼し、トルク変動をさらに小さくすることができる。
(ア)上述した実施形態では、触媒温度センサが出力する触媒温度信号及びクランク位置センサから取得したエンジンの運転状態に基づいて、触媒の現在の温度が所定の温度より低いか否かを判定するとした。しかしながら、「運転状態検出手段」は、これに限定されない。触媒温度判定部は、触媒温度センサが検出する値のみから触媒の現在の温度が所定の温度より低いか否かを判定してもよい。また、エンジン制御装置が触媒温度センサを備えていない場合、触媒温度判定部は、クランク位置センサが検出するエンジンの回転数を元にしてマップに基づいて触媒の現在の温度が所定の温度より低いか否かを判定してもよい。また、水温センサが出力するエンジンの冷却水の温度に基づいて触媒の現在の温度が所定の温度より低いか否かを判定してもよい。
12 ・・・エンジン(内燃機関)、
14 ・・・吸気マニホールド(吸気系)、
16 ・・・燃焼室、
19 ・・・触媒、
20 ・・・排気マニホールド(排気系)、
30 ・・・放電制御部、
34 ・・・触媒温度判定部(触媒温度判定手段)、
341 ・・・触媒温度センサ(運転状態検出手段)、
35 ・・・クランク位置センサ(運転状態検出手段)。
Claims (5)
- 内燃機関(12)の燃焼室(16)における混合気の燃焼を制御する内燃機関の制御装置(1)であって、
放電により混合気に点火する点火プラグの放電状態を制御する放電制御部(30)と、
前記内燃機関の運転状態を検出し、前記内燃機関の運転状態に基づいて検出信号を出力する運転状態検出手段(35、341)と、
前記運転状態検出手段が出力する信号に基づいて、前記内燃機関の排気系(20)に設けられる触媒(19)の温度が所定の温度より低いか否かを判定する触媒温度判定手段(34)と、
を備え、
前記放電制御部は、
直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、及び、前記点火プラグの電極に接続され前記一次電流の通電及び遮断によって発生する放電電流としての二次電流が流れる二次コイル(42)を有する点火コイル(40)、
前記一次コイルの前記直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号(IGT)に従って前記一次電流の通電と遮断とを切り替える点火スイッチ(45)、
前記一次コイルの接地側に設けられ、接地に向かう電流を遮断し接地から前記一次コイルの接地側に向かう電流を通す整流素子(46)、
前記点火スイッチによる前記一次電流の遮断によって前記点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間(IGW)において、放電を可能とするエネルギを前記点火コイルの接地側から継続的に投入するエネルギ投入手段(50)、
並びに、
前記エネルギ投入手段と電気的に接続し、前記エネルギ投入手段による投入エネルギを制御する投入エネルギ制御手段(33)、
を有し、
前記放電制御部は、前記触媒の温度が所定の温度より低いと前記触媒温度判定手段が判定すると、前記点火プラグの放電時間の通常の放電時間からの延長及び放電電流の同じ極性での増加の少なくとも一方を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記エネルギ投入手段は、
第一制御端子、第一電源側端子、及び、前記一次コイルの他端に接続する第一接地側端子を有し、前記第一制御端子に入力された放電スイッチ信号(SWd)に基づいて前記第一電源側端子と前記第一接地側端子との間のオンオフを制御する放電スイッチ(57)と、
第二制御端子、前記第一電源側端子に接続する第二電源側端子、及び、接地されている第二接地側端子を有し、前記第二制御端子に入力された充電スイッチ信号(SWc)に基づいて前記第二電源側端子と前記第二接地側端子との間のオンオフを制御する充電スイッチ(53)と、
前記直流電源における非接地側出力端子と前記第二電源側端子とに接続するよう設けられ、前記充電スイッチのオンによってエネルギが蓄積されるエネルギ蓄積コイル(52)と、
を有し、
前記投入エネルギ制御手段は、
前記充電スイッチのオンにより前記エネルギ蓄積コイルにエネルギが蓄積されているとき前記点火スイッチのオフにより開始された前記点火プラグの放電中に前記充電スイッチのオフ及び前記放電スイッチのオンにより前記エネルギ蓄積コイルからエネルギを放出し、前記一次コイルの他端側から前記一次コイルに前記一次電流を供給するよう前記放電スイッチ及び前記充電スイッチを制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記放電制御部は、
複数の前記点火コイルと、
複数の前記点火コイルのそれぞれの前記一次コイルの前記接地側に接続され点火信号に従って前記一次電流の通電と遮断とを切り替える複数の前記点火スイッチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記放電制御部は、前記触媒の温度が所定の温度より低いと前記触媒温度判定手段が判定すると、前記点火プラグの放電開始タイミングを遅角側に移行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記燃焼室に燃料を噴射する直噴用燃料噴射弁(26)を備え、
前記直噴用燃料噴射弁は、前記内燃機関のピストン(17)が圧縮行程において下死点から上死点に移動するとき、前記燃焼室に燃料を噴射することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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